説明

食品茹で調理器

【課題】 この調理器の茹で湯の塩分濃度を正確に検出することができるとともに、使用者がこの塩分濃度を容易に認識することができるように表示することができる食品茹で調理器の提供。
【解決手段】 食品を収容する調理槽を備える食品茹で調理器であって、前記調理槽内の茹で湯の電気伝導度を測定する測定手段と、前記測定手段で測定された電気伝導度に基づいて塩分濃度を算出する処理手段と、前記処理手段で算出された塩分濃度を表示する表示手段とからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品茹で調理器に関し、より詳しくは、この調理器の茹で湯の塩分濃度を正確に検出することができるとともに、使用者がこの塩分濃度を容易に認識することができるように表示することができる食品茹で調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スパゲッティやマカロニ等のパスタや、うどんやそば等の麺類を茹で上げるには、その麺類に応じる適宜な水量と適宜な塩分濃度が設定調整される必要が知られている。これら適宜な水量と適宜な塩分濃度は、これらの調整が難しいという問題を有していた。
しかしながら、近年になって、これらの水量や塩分濃度を、常時所望する一定値となるように制御して、上記する如き好適な茹で上げ条件(好適な塩分濃度)に設定することを可能とする調理器の発明が存在している。
例えば、特許文献1に開示されるような調理器は、調理槽の電気伝導度を検出することによって、調理槽に補給される塩分や水分を自動的に調整することができる。このように、自動的に麺類を茹で上げる条件を一定に調整することによって、誰でも容易に麺類を茹で上げることができるようになった。
【0003】
しかしながら、この特許文献1に記載される発明では、調理槽内の水(茹で湯)の状態に関わらず、塩分濃度を一定値とするように自動的に調整されている。このため、例えば、パスタを大量に茹で続けた場合には、このパスタの周囲を覆う小麦粉等が調理槽の水を白濁させ、塩分濃度を検出する際に誤差が生じる可能性を有していた。
この誤差により塩分濃度又は水量の微調整が必要となっていたが、特許文献1に記載される発明は、初期段階で設定される水量及び塩分濃度の数値を維持することは可能でも、このように使用に応じて水量及び塩分濃度の微調整を行うことができなかった。
【0004】
また、この特許文献1に記載される発明は、電気伝導度を調理槽内の所定位置に配置して設けられるセンサーを利用して、調理槽内の茹で湯の電気伝導度を検出している。このため、センサーが調理槽内の一箇所に配置されることになり、調理槽内の一箇所近辺の電気伝導度を検知することはできても、調理槽内全体の茹で湯の電気伝導度を検知することができない問題点を有していた。
またさらに、特許文献1に記載される発明の有するセンサーは、長期間使用すると水垢や食品カス等が電極に付着して誤作動を起こす危険性を有していた。このため、絶えず電極の保守・管理を行う必要があり、この保守・管理を行うために大変手間の有する作業を行わなければならない問題点を有していた。
【0005】
【特許文献1】特開2002−34791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、調理槽内の茹で湯の塩分濃度を詳細に表示することによって、調理中の茹で湯の塩分濃度を使用者に確実に知らしめることができるとともに、調理槽内の茹で湯全体の電気伝導度を確実に検知することができ、更には、保守・管理が容易な食品茹で調理器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、食品を収容する調理槽を備える食品茹で調理器であって、前記調理槽内の茹で湯の電気伝導度を測定する測定手段と、前記測定手段で測定された電気伝導度に基づいて塩分濃度を算出する処理手段と、前記処理手段で算出された塩分濃度を表示する表示手段とからなることを特徴とする食品茹で調理器を提供する。
請求項2記載の発明は、前記測定手段が、第1電極と第2電極を有し、前記第1電極は、前記調理槽の内側表面から所定間隔を有して配置され、前記第2電極は、金属導体で加工される前記調理槽の内側表面であることを特徴とする請求項1記載の食品茹で調理器を提供する。
請求項3記載の発明は、前記処理手段は、前記測定手段により測定された前記電気伝導度が所定電気伝導度以下の場合に信号を発信する警報手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品茹で調理器を提供する。
請求項4記載の発明は、前記表示手段が、前記処理手段で算出された前記塩分濃度に応じた数だけ発光する複数の発光部よりなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の食品茹で調理器を提供する。
請求項5記載の発明は、前記調理槽内に収容される茹で湯の温度を沸点近傍に維持する加熱手段を備えてなる請求項1記載の食品茹で調理器を提供する。
請求項6記載の発明は、前記第1電極及び第2電極が、同一素材で形成されていることを特徴とする請求項2記載の食品茹で調理器を提供する。
これらの発明を提供することによって、上記課題を悉く解決する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によって、調理槽の茹で湯の塩分濃度を表示することができるので、使用者は調理作業中絶えず、調理槽内の茹で湯の塩分濃度を認識することができ、この塩分濃度に応じて使用者が塩分及び水分を補給して微調整を正確に行うことができる食品茹で調理器を提供することができる。
請求項2記載の発明によって、第2電極が調理槽の内側表面であるので、水垢や食品カスが電極に付着することを防止することができるとともに、付着した場合であっても容易に清掃などの保守・管理を行うことができる食品茹で調理器を提供することができる。
請求項3記載の発明によって、測定手段により算出される電気伝導度が所定電気伝導度以下の場合に、警報手段が使用者に通知を促す信号を発信するので、調理槽に収容される水分が所定量よりも少ない状態をいち早く検出して警報を発することができる食品茹で調理器を提供することができる。
このため、麺類を茹で上げる際に、十分に必要とされる水分量を確保して茹で作業を行うことができる。
請求項4記載の発明によって、塩分濃度に応じて複数の発光部が発光するので、使用者は調理作業中一目するだけで現在の調理槽に於ける茹で湯の塩分濃度を認識することができる食品茹で調理器を提供することができる。
請求項5記載の発明によって、調理槽内の茹で湯を絶えず沸点近傍に維持することができるので、温度調整する必要がなく調理を行うことができる茹で湯調理器を提供することができる。
請求項6記載の発明によって、第1及び第2電極が同一素材で形成されているので、塩分濃度を極めて正確に算出することができる茹で湯調理器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明に係る食品茹で調理器(1)の概略構成図を示す。
本発明に係る食品茹で調理器(1)は、調理槽(11)、測定手段(2)、処理手段(3)、表示手段(4)と警報手段(5)を有している。
尚、本発明の調理器(1)が行う茹で調理は、一般的に行われる麺類の茹で調理は勿論、野菜等の茹で湯によって調理を行う食品であれば全て適用することができる。また、麺類も、特に限定されるものではなく、スパゲティ、マカロニ、ラビオリ等のパスタや、そうめん、ひやむぎ、干うどん、干そば、生うどん、生そば、生ラーメンを含む。
また、本発明の調理器(1)は、後述する各手段や各機構を、従来の茹で湯を使用する調理器に設けることによって使用することができるので、茹で湯調理器自体の詳細な説明は省略する。
【0010】
測定手段(2)は、食品を収容する調理槽(11)に収容される茹で湯の電気伝導度を測定する。
この測定手段(2)は、第1電極(21)と第2電極(22)を有している。図2(a)は測定手段(2)の概略構成図を示し、図2(b)は第1電極の断面図であり、図2(c)は第2電極の断面図である。
第1電極(21)は、調理槽(11)内の茹で湯の電気伝導度を測定するための電極であり、その形状は特に限定されないが、板状又は棒状に形成されている。この第1電極(21)は、図2(b)で示される如く、導体部(211)とこの導体部(211)の周囲を被覆する絶縁部(212)から構成されている。導体部(211)の上端部は、後述する処理手段(3)へ導線等を利用して接続されており、導体部(211)の下端部(213)は、茹で湯に接触する電極面を構成している。
尚、この導体部(211)を構成する材料は、特に限定されないが、ステンレス鋼等を採用することができ、特に、SUS316Lを利用することが好ましい。
絶縁部(212)は、上記の如く、導体部(211)の下端部(213)以外の周表面を被覆している。この絶縁部(212)を構成する材料は、特に限定されないが、フッ素樹脂等を採用することができ、特に、ポリテトラフルオロエチレンを利用することが好ましい。
第1電極(21)が有する茹で湯に接触する面積は、茹で湯の電気伝導度を測定するに充分な大きさであれば特に限定されないが、0.1〜1.0cm2程度が好ましい。
【0011】
第2電極(22)は、図2(c)で示される如く、金属導体で加工される調理槽(11)の内側表面である。尚、この金属加工される内側表面は、調理槽(11)の内側表面全体を金属加工することが好ましいが、調理槽(11)内の茹で湯が接触する全体部分にのみ金属加工することでも同様の効果を得ることができる。
第2電極(22)その物が、調理槽(11)の内側表面であるので、調理槽(11)内に茹で湯が供給された際には、必ず第2電極(22)が茹で湯に曝されることになり、確実に第1電極(21)と第2電極(22)の間に茹で湯が配されることになるとともに、茹で湯全体を介して第2電極(22)が配置されることになるので、確実に茹で湯全体の電気伝導度を測定することができる。
この第2電極(22)を構成する材料は、金属導体であれば特に限定されるものではないが、ステンレス鋼等を採用することができ、特に、SUS316Lを利用することが好ましい。
尚、上記する第1電極(21)及び第2電極(22)は、同一の素材から形成されていることが好ましい。このように、第1電極(21)及び第2電極(22)が同一の素材から形成されることにより、調理槽(11)内に収容される茹で湯の電気伝導度を極めて正確に測定することができるからである。
【0012】
第1電極(21)及び第2電極(22)は、2つの電極を構成するために、調理槽(11)の内側表面(第2電極(22))から離れて配置されるが、特に、図2(a)で示される如く、第2電極(22)である調理槽(11)の底部(12)から所定間隔(d)を有して配置されている。この所定間隔(d)は特に限定されるものではないが、後述する調理槽(11)の茹で湯の水位を計測することができるように、使用者によって適宜調整されて設定される。
例えば、図3で示される如く、茹で湯の水位が破線部(A)から実線部(B)に変化したとすると、水位が破線部(A)の状態であれば、第1電極(21)及び第2電極(22)によって茹で湯の電気伝導度を測定することができるが、水位が実線部(B)の状態になれば、第1電極(21)及び第2電極(22)により電気伝導度を測定することができなくなる。
つまり、この第1電極(21)の配置位置(調理槽(11)の底部(12)からの位置)により茹で湯の電気伝導度を測定することができるか否かによって、調理槽(11)内の水分が所定の水位を有するか否かを判断することができる。
尚、この所定間隔(d)は、茹で上げる食品に応じて適宜設定することが好ましい。この設定は、手動で所望する所定間隔(d)とすることもできるし、所望する食品を選択して自動的に好適な所定間隔(d)を有するように設定することもできる。
【0013】
測定手段(2)は、第1電極(21)及び第2電極(22)により電流値が測定された後、この電流値を電気伝導度に変換する変換手段(図示せず)を有している。
電気伝導度は、物質の導電性を示す数値であり、電気抵抗の逆数で表されるので、電流値と電圧値によって算出することができる。
【0014】
測定手段(2)を構成する第1電極(21)及び第2電極(22)は、電流計(図示せず)や交流電源(図示せず)を介して処理手段(3)に接続されている。図4は、本発明に係る調理器の構成を示すブロック線図である。
この処理手段(3)は、水位検出部(31)、探索部(32)と記録部(33)を有している。
この記録部(33)は、複数の電気伝導度に夫々対応する複数の塩分濃度を格納しているデータベースである。この記録部(33)を利用して、塩分濃度を算出することになる。
尚、測定手段(2)が電気伝導度を直接算出せず、電流値を測定するのみの場合には、この水位検出部(31)と測定手段(2)を接続する間に、測定手段(2)に電流値と電圧値から電気伝導度を算出する算出手段(図示せず)を間接的に設ける構成としてもよい。
【0015】
水位検出手段(31)は、予め設定される電気伝導度(所定電気伝導度)と、測定手段(2)により算出される電気伝導度(算出電気伝導度)を比較する。
この場合、所定電気伝導度よりも算出電気伝導度がより大きい(又は以上)場合には、後述する探索部(32)へこの電気伝導度の数値を示す信号を送信する。一方で、所定電気伝導度よりも算出電気伝導度が小さい(又は未満)場合には、後述する警報手段(5)へ制御信号を送信する。
この水位検出手段(31)を設けることによって、算出電気伝導度が所定電気伝導度よりも低い場合には、上記する如く、第1電極(21)の下端部(213)が充分に茹で湯に接触していない又は全く接触していないかのどちらかの場合であると判断することができるので、茹で湯が充分な水位を有していないことを検出することができる。
この所定電気伝導度は、使用者によって適宜設定されるが、食塩水の電気伝導度が1mS/cm〜50mS/cmであり、水道水(通常の水)の電気伝導度が100μS/cm〜500μS/cmであるので、1μS/cm〜100μS/cmに設定されることが好ましい。
尚、算出電気伝導度が、所定電気伝導度よりも小さい(又は以下)である場合には、水位異常であると判断され、探索部(32)へ電気伝導度の数値を示す信号を送信しない。
【0016】
探索部(32)は、水位検出部(31)からの電気伝導度の数値を示す信号を受け取り、受け取った電気伝導度に対応する塩分濃度を記録部(33)から探索する。
探索された塩分濃度は、表示手段(4)へ送られる。
【0017】
表示手段(4)は、処理手段(3)で算出された塩分濃度を表示する。この表示手段(4)は、実際の塩分濃度の数値をデジタル表示してもよいが、図5で示される如く、塩分濃度を多段階に分割して濃度区分を作成し、算出された塩分濃度に応じて該濃度区分により多段階表示を行うことが好ましい。
この図5で示される表示手段(4)の一実施例では、塩分濃度に応じて発光する表示部(41)が設けられており、この表示部(41)は、複数の発光部(42)が一列に配列されている。この表示部(41)は、10個の発光部(42)からなり、塩分濃度を10段階に分割して表示することができる。この表示部(41)は、発光する発光部(42)の数に応じて塩分濃度の高低が示され、図5では塩分濃度が高くなればなるほど発光する発光部(42)の数が増加するとともに、その増加に応じて右側に位置する発光部(42)が発光するようになる。
尚、図5で示される表示部(41)は、塩分濃度が1%の場合に、10番目の発光部(42)が発光するように設定することができる。この設定は、特に限定されるものではなく、目標塩分濃度が約0.5〜0.6%の場合であれば、発光部中心付近で目標塩分濃度の0.5〜0.6%を示すように設定される。
また、一列に並ぶ複数の発光部(42)の真中にある発光部(42)(中心に位置する発光部(42))が目標塩分濃度に設定され、この目標塩分濃度に対してどの程度薄いか又は濃いかを、中心に位置する発光部(42)から隣接する発光部(42)の発光数に応じて表示することもできる。尚、この目標塩分濃度は使用者によって適宜調整されるように設定されることが好ましい。
図6では、最大塩分濃度が2種類に設定される場合を示している。このように、最大塩分濃度を設定し、複数の発光部(42)の発光により塩分濃度を確認することができるので、使用者は目視することによって容易に塩分濃度を認識することができる。
【0018】
表示手段(4)は、本調理器(1)が塩分濃度を検出中であることを表示する作動表示部(43)を設けることが好ましい。
この作動表示部(43)は、発光部(42)と同様に、発光体によって構成されている。
尚、この表示手段(4)は、使用者にとって、作業中に目視し易い場所に設けられる必要があるが、特に限定されるものではない。
【0019】
警報手段(5)は、水位検出部(31)に於いて、算出電気伝導度が所定電気伝導度以下(未満)の場合に、この水位検出部(31)から制御信号が送信されて、警報が発せられる。
この警報手段(5)が行う警報は、使用者に通知し知らしめることができれば、視覚的及び/又は聴覚的に行われる方法全てを採用することができる。具体的には、アラーム音を発信したり、上記する表示手段(4)にこの警報を示す表示部(図示せず)を設けたりすることによって、実現することができる。
【0020】
本発明の茹で湯調理器(1)は、調理槽(11)内に収容される茹で湯の温度を沸点に維持する加熱手段(6)を有している。この加熱手段(6)を有することによって、本調理器(1)の調理槽(11)内に収容される茹で湯は、絶えず沸点近傍の温度(沸騰した状態)に維持することができる。このように調理槽(11)内の茹で湯の温度を沸点近傍(沸騰した状態)で維持させることによって、調理槽(11)内の茹で湯を常時一定温度で維持させることができ、調理槽(11)内の茹で湯を温度調整を行うことなく、一定に維持することができる。
以上が本発明に係る茹で調理器の構成の説明である。
【0021】
次に、本発明の茹で調理器(1)の動作について説明する。
図7(a)は、本発明の一実施形態を示す正面図であり、図7(b)は一実施形態の斜視図である。この実施形態では、2つの調理槽(11)が設けられているとともに、第1電極(21)と温度センサ(6)が設けられている。水位検出部(31)に設定される所定電気伝導度が、5μS/cmに設定される。
また、表示手段(4)が調理器(1)の後方壁面に使用者に見易い位置に取り付けられている。表示手段(4)の表示部(41)は最大塩分濃度が約1%となるように設定され、第1電極(21)が有する所定間隔(d)は、茹で調理を行う食品に応じて、調理槽(11)の底部(12)から一定間隔(所定間隔(d))を有して設定されている。この一定間隔は、例えば、パスタを茹でる場合であれば、調理槽(11)に収容されるパスタを茹で上げるために必要な最低限の水量を検出することができるように設定される。
更に、この実施形態では、調理槽(11)内に、麺類を茹でる際に収容する収容網(図示せず)が設けられおり、更に、この収容網は調理槽(11)の茹で湯内に配置されてから所定時間経過後に、自動的に茹で湯から取り出される取り出し機構を備えている。
尚、使用者には、この調理槽(11)の容積と、塩分濃度1%がどの程度の塩分分量(重量)であるのかを通知しておくことが好ましい。
【0022】
まず、調理槽(11)に水分と塩分を適宜収容し、所定温度となるまで加熱する。このとき、調理槽(11)内の茹で湯は、加熱手段(6)により沸騰状態が維持されていることになる。
水が所定温度(沸騰状態)になると、第1電極(21)及び第2電極(22)が茹で湯の電流値を測定する(S1)。電流値が測定されると、この電流値と電圧値から電気伝導度が算出される(S2)。
次に、電気伝導度が算出されると、水位検出部(31)へ算出された電気伝導度(算出電気伝導度)が送られる。
水位検出部(31)は、算出電気伝導度と所定電気伝導度(5μS/cm)と比較を行う(S3)。このとき、算出電気伝導度が所定電気伝導度よりも小さい(又は以下)であると検出した場合には、調理槽(11)に収容される茹で湯の水位が充分でないと判断され、警報手段(5)へ制御信号が送られる(S4)。
警報手段(5)がこの制御信号を受信すると、警報手段(5)はサイレンのような聴覚的通知方法及び/又はランプを点灯させるような視覚的通知方法によって使用者にこの旨を通知する(S5)。
使用者は、茹で湯(又は水)を調理槽(11)へ供給する(S6)。
【0023】
水位検出部(31)が、算出電気伝導度が所定電気伝導度以上(又はより大きい)であると検出した場合には、調理を行うための茹で湯の水量が充分であると判断され、この電気伝導度は、探索部(32)へ送られる(S7)。
探索部(32)は、受信した電気伝導度に対応する塩分濃度を記録部(33)より探索し、該当する塩分濃度の数値を示す信号を表示手段(4)へ送信する(S8)。
表示手段(4)は、この塩分濃度の数値を示す信号を受信し、この塩分濃度に対応する発光部(42)を発光させる(S9)。
使用者は、発光する発光部(42)の数を目視して塩分濃度を認識することができる。例えば、表示部(41)の発光部(42)が、左から2番目までが発光している場合には、約0.2%であることが解る。
使用者は、表示される表示部(41)の発光部(42)を目視して塩分濃度を認識し、塩分濃度が低ければ塩分を調理槽(11)内に供給する(S10)。
尚、塩分濃度が調整されると、使用者は、適宜食品を収容網に収容して、調理槽(11)で調理を行う。この場合、自動的に収容網を茹で湯に浸してから所定時間経過後に引き上げられるので、使用者は表示手段(4)による塩分表示と食品を入れる収容網に注意を払うだけでよい。
また、本調理器(1)は、上記の如く、調理槽(11)内の茹で湯の塩分濃度を連続的に測定して表示することができ、使用者は絶えず塩分濃度を監視し続けることができるとともに、茹で湯の温度が一定に維持されているので、茹で湯温度を気にする必要がない。
【0024】
本発明は、第1電極(21)及び第2電極(22)を利用して、調理槽(11)内の電気伝導度を測定するが、これらの第1及び第2電極(21,22)を簡単に茹で調理器(1)から取り外しを行うことができるので、容易に保守・管理を行うことができる。特に、第2電極(22)が調理槽(11)であるので、調理槽(11)を洗浄すると自動的に第2電極(22)を清掃することになり、極めて効率がよい。
更に、本発明の茹で調理器(1)は絶えず、塩分濃度を正確に且つ確実に表示することができるので、茹で調理器(11)は長時間使用による誤作動が生じることなく、使用し続けることができる。
以上が本発明の説明である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る食品茹で調理器の概略構成図を示す。
【図2】本発明に係る測定手段を示す図であり、(a)は第1電極及び第2電極の配置を示し、(b)は第1電極の概略断面図であり、(c)は第2電極の概略断面図である。
【図3】本発明に係る調理槽の水位の変化を示す。
【図4】本発明に係る処理手段の概略構成図を示す。
【図5】本発明に係る表示手段の一実施形態を示す。
【図6】表示部の発光部が発光する場合に於ける設定の2種類のパターンを示す。
【図7】本発明の一実施形態を示す図であり,(a)は正面図であり、(b)は斜視図である。
【図8】本発明の茹で調理器を使用する場合のフローチャートを示す。
【符号の説明】
【0026】
1・・・・・茹で調理器
2・・・・・測定手段
21・・・・第1電極
22・・・・第2電極
3・・・・・処理手段
4・・・・・表示手段
5・・・・・警報手段
6・・・・・加熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を収容する調理槽を備える食品茹で調理器であって、
前記調理槽内の茹で湯の電気伝導度を測定する測定手段と、
前記測定手段で測定された電気伝導度に基づいて塩分濃度を算出する処理手段と、
前記処理手段で算出された塩分濃度を表示する表示手段とからなることを特徴とする食品茹で調理器。
【請求項2】
前記測定手段が、第1電極と第2電極を有し、
前記第1電極は、前記調理槽の内側表面から所定間隔を有して配置され、
前記第2電極は、金属導体で加工される前記調理槽の内側表面であることを特徴とする請求項1記載の食品茹で調理器。
【請求項3】
前記処理手段は、前記測定手段により測定された前記電気伝導度が所定電気伝導度以下の場合に信号を発信する警報手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品茹で調理器。
【請求項4】
前記表示手段が、前記処理手段で算出された前記塩分濃度に応じた数だけ発光する複数の発光部よりなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の食品茹で調理器。
【請求項5】
前記調理槽内に収容される茹で湯の温度を沸点近傍に維持する加熱手段を備えてなる請求項1記載の食品茹で調理器。
【請求項6】
前記第1電極及び第2電極が、同一素材で形成されていることを特徴とする請求項2記載の食品茹で調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−130086(P2006−130086A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322849(P2004−322849)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(591174553)ニチワ電機株式会社 (28)
【Fターム(参考)】