説明

食器洗い組成物

本発明は、洗浄剤組成物、その調製、洗浄方法およびキャリア中での洗浄剤の保持力を強化するための方法に関する。より具体的には、本発明は、食器の手洗いにおける使用のための洗浄剤組成物に関する。本発明の目的は、希釈されるときに、キャリア中での洗浄剤(界面活性剤)の強化された保持力を洗浄剤組成物に与えることである。希釈増粘界面活性剤系によって、改良された経済的な希釈増粘系を得ることができることが今発見された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物、その調製、洗浄方法およびキャリア中での洗浄剤の保持力を強化するための方法に関する。より具体的には、本発明は、食器の手洗いにおける使用のための洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
希釈時に増粘性を提供する家庭用液体洗浄製品は、以下の参照文献に詳細を示すように、当技術分野で知られている。
【0003】
US5,922,664は、電解による塩析に対する抵抗性が異なる少なくとも2種の陰イオン界面活性剤とアルカリ金属クエン酸塩の混合物のミセル分散物を含む組成物を記載している。希釈時の到達粘度は、1,400mPasを超えない。
【0004】
EP314,232は、(a)アミン、アミンオキシド、ベタインまたは第四級アンモニウム化合物から選択される主要界面活性剤、好ましくはアミンオキシド、(b)例えば、エタノール、メタノールまたはトリエタノールアミンなどのハイドロトロープ共同界面活性剤化合物、および(c)例えば、無機酸、中性塩またはアルカリなどの水イオン性非界面活性剤化合物の組成物について言及している。
【0005】
WO96/32464は、スポンジおよび電解質濃度に基づく水増粘性界面活性剤組成物を含むキットを開示している。この文書は、また、開示されている組成物の粘度分布も示しており、この粘度分布中の粘度の最高点は1,685mPasに達していて、この粘度の最高点は初期粘度620mPasより2.7倍高いだけである。
【0006】
要するに、従来技術の文書は、希釈時に高い粘度に到達でき、食器の手洗いに類似する状況における使用を改良する単純な組成物を教示している。
【0007】
同時係属出願PCT/EP2006/007038において、界面活性剤混合物および電解質に基づく希釈増粘系が、開示されている。
【0008】
しかしながら、従来技術の組成物は、キャリア中での強化された保持力および/または高い希釈率であっても希釈時の高粘度を有する洗浄剤組成物を得ることなど、本発明によって解決される技術的および/または経済的な問題点を提示している。キャリア中での保持力を強化することによって、組成物の放出が制御できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,922,664号明細書
【特許文献2】欧州特許第314,232号明細書
【特許文献3】国際公開第96/32464号パンフレット
【特許文献4】PCT/欧州特許出願公開第2006/007038号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、希釈されるときに、キャリア中での洗浄剤(界面活性剤など)の強化された保持力を洗浄剤組成物に与えることである。
【0011】
本発明の他の目的は、使用時の消費率が低い、したがって、従来技術の組成物よりよい結果がもたらされ、使用に際してより経済的であり、環境にやさしい組成物を提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、キャリア中での洗浄剤の強化された保持力を提供することであり、それによって、キャリアに補充するのに費やされる時間を減少させ、その結果、使用の際洗浄剤組成物が速くより効率的になる。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、洗浄剤組成物のための容器のより合理的な使用を可能にすることである。
【0014】
希釈増粘界面活性剤系によって、改良された経済的な希釈増粘系を得ることができることが、今驚きをもって発見された。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
したがって、本発明は、
−アルキルエーテル硫酸塩(0−4EO)40−85重量%、
−直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩0.01−50重量%および
−ベタイン0.01−55重量%
を含む希釈増粘界面活性剤系5−50重量%を有する希釈増粘水性液体洗浄剤組成物を提供する。
【0016】
本発明は、さらに、
−本発明による組成物とキャリアを接触させるステップ、
−水によってキャリアと組成物の組合せを処理するステップおよび
−キャリアによって表面の洗浄作業を実施するステップ
を含む硬質表面を洗浄する方法を提供する。
【0017】
本発明は、さらに、
−アルキルエーテル硫酸塩(0−4EO)40−85重量%、
−直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩0.01−50重量%、
−ベタイン0.01−55重量%
を含み合計100%になる希釈増粘界面活性剤系を提供する。
【0018】
本発明は、また、食器洗い組成物における本発明の希釈増粘界面活性剤系の使用も提供する。
【0019】
これらならびにその他の態様、特徴および長所は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読むことで、当業者にとって明白となる。疑念を避けるために、本発明の1つの態様のいかなる特徴も、本発明のその他のいかなる態様においても利用することができる。以下の記載において挙げられている例は、本発明を明確にするように意図されており、これらの例それ自体に本発明を限定することは意図されていないことが、特筆される。同様に、全てのパーセンテージは、別途指示がない限り、重量/重量パーセンテージである。「xからyまで」という形式で表現される数字の範囲は、xおよびyを含むと理解される。ある特定の特徴のために、複数の好ましい範囲が、「xからyまで」という形式で記載されるとき、異なる終点を結ぶ全ての範囲もまた意図されていると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の希釈増粘界面活性剤系の三角図である。斜線部分は、本発明の希釈増粘界面活性剤系の3つの成分の好ましい濃度を示している。三角図中の一点鎖線は、一点鎖線の下/右側の構造化液体と一点鎖線の上/左側の非構造化液体とのおよその境界を示している。両面矢印は、効果対コストを示している。希釈増粘効果は斜線部分のあらゆる部分で得られるが、効果およびコストは右方向にむかって上昇する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明は、希釈増粘界面活性剤系およびこれを使用する洗浄剤組成物を提供する。
【0022】
最適な洗浄剤組成物は、濃縮された形態において(すなわち、ビンの中で)低い粘度を有し、スポンジなどの洗浄用具上で希釈されるとき高い粘度を有する。最終的に、この組成物は、表面への適用により放出される。
【0023】
希釈増粘界面活性剤系
増粘界面活性剤は、濃縮された形態において低い粘度を有する界面活性剤系を提供し、最高粘度(粘度の最高点)まで希釈するときには粘度が上昇し、さらに希釈するときには粘度が低下する。
【0024】
希釈増粘界面活性剤系は、0−4個のEO基で場合によってエトキシル化されているアルキルエーテル硫酸塩(AES)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)およびベタインを含む。本明細書中以下に示すとおり、市場に応じて、低価格または高級希釈増粘系が選ばれてもよい。
【0025】
希釈増粘界面活性剤系は、好ましくは、構造化液体ではない。この組成物は澄んで透明であることも、また、好まれる。濁った不透明な組成物は、好ましくない。
【0026】
アルキルエーテル硫酸塩
本明細書中で定義されているアルキルエーテル硫酸塩は、0から25モルのアルキレンオキシドを有するC−C18アルキルエーテル硫酸(したがって、C−C18アルキル硫酸塩も含む)のアルカリ金属、アンモニウムまたはアルカノールアンモニウムの塩である。アルキルエーテル硫酸塩は、直鎖でもよく、また分枝でもよい。アルキルエーテル硫酸塩の一般的な例は、ラウリルエーテル硫酸塩であり、好ましくはラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。
【0027】
アルキルエーテル硫酸塩は、希釈増粘界面活性剤系中に、少なくとも40重量%の濃度で存在し、好ましくは少なくとも50重量%で存在し、より好ましくは少なくとも55重量%であるが、85%以下、好ましくは70%以下で存在する。
【0028】
ベタイン
ベタインは、両性イオン性界面活性剤類である。好ましいベタインは、(ドデシルジメチルアンモニウム)酢酸塩(ラウリルベタイン)、(テトラデシルジメチルアンモニウム)酢酸塩(ミリスチルベタイン)、(ココジメチルアンモニウム)酢酸塩(ココナツベタイン)、(オレイルジメチルアンモニウム)酢酸塩(オレイルベタイン)、(ドデシルオキシメチルジメチルアンモニウム)酢酸塩、(ココアミドプロピルジメチルアンモニウム)酢酸塩(ココアミドプロピルベタインまたはCAPBとしても知られている。)などのカルボキシベタインであり、(ドデシルジメチルスルホニウム)酢酸塩および3−(ココジメチルスルホニウム)−1−プロパンスルホン酸塩などのスルホニウムベタイン、ならびに4−(トリメチルホスホニウム)−1−ヘキサデカンスルホン酸塩、3−(ドデシルジメチルホスホニウム)−1−プロパンスルホン酸塩、2−(ドデシルジメチルホスホニウム)−1−エタン硫酸塩などのホスホニウムベタインならびにこれらの混合物である。
【0029】
ベタインは、希釈増粘界面活性剤系中に、少なくとも0.01%の濃度で存在し、好ましくは少なくとも5%で存在し、高級希釈増粘組成物については、さらに、少なくとも10%であるが、55%以下、好ましくは35%以下で存在するまたは低価格希釈増粘組成物について、さらに、20%以下で存在する。
【0030】
LAS
希釈増粘剤の第3の成分は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)である。LASは、希釈増粘界面活性剤系中に濃度0.01−50重量%で存在する。高級希釈増粘効果を得るために、0.1−35重量%のLAS濃度が好ましい。より低価格で優れた希釈増粘効果を有する経済的な組成物を得るために、25−45重量%の濃度が好ましい。高級な効果と価格とのバランスは、LAS15−25重量%の中間域で得られる。
【0031】
水性液体洗浄剤組成物
本発明による水性液体洗浄剤組成物は、本発明の希釈増粘界面活性剤系を、濃度5−50重量%含み、好ましくは少なくとも10重量%含み、より好ましくは少なくとも15重量%含み、さらにより好ましくは少なくとも20重量%含み、最も好ましくは25重量%含むが、好ましくは40重量%以下、より好ましくは35重量%以下、最も好ましくは30重量%以下含む。
【0032】
洗浄剤組成物中で使用されるとき、希釈増粘界面活性剤系は、高い希釈で(0%方向で)低い粘度を示すばかりでなく、高い濃度でも(100%方向で)低い粘度を示すが、粘度の最高点はその間のどこかにあることを示す洗浄剤組成物の粘度分布になる。この分布は通常ベル状の曲線形をしている。
【0033】
本発明の希釈増粘界面活性剤系は、曲線形を形成し、液体洗浄剤組成物における使用に非常に適している。しかしながら、組成物の多用途性を向上させるために、濃度に応じて、最高点の位置に影響を及ぼすことができることが好ましい。すなわち、濃度スケール上の最高点の位置に影響を及ぼすことができることが好ましい。好ましくは、希釈された組成物の最高粘度は、希釈剤(水など)中の界面活性剤系濃度30%から70%の間で到達され、より好ましくは、希釈剤中の界面活性剤系濃度30%から50%の間で到達される。さらに、最高粘度は、初期粘度の少なくとも5倍であり、好ましくは少なくとも10倍であることが好ましい。
【0034】
したがって、水性液体洗浄剤組成物は、さらに、粘度調節剤を含んでよい。濃縮された形態における低い粘度は、組成物がスポンジなどのキャリアに容易に浸透するのに役立つ。好ましくは、希釈されていない組成物は、1500mPas以下の粘度を有し、より好ましくは800−1250mPasの粘度を有する。ここでの粘度は、MVIIスピンドルの21s−1でHaake VT550/VT500粘度計を使用して、25℃で求められる。
【0035】
電解質
濃度スケール上の最高点の位置に影響を及ぼすために、すなわち、高い濃度と低い濃度との間で最高点を動かすために、本発明の洗浄剤組成物は、電解質を含むことができる。
【0036】
電解質は、(陰イオン界面活性剤以外の)水溶性の有機塩および無機塩であり、ここで、陽イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびこれらの混合物から選択され、陰イオンは、塩化物、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、硝酸塩およびこれらの混合物から選択される。特に有用なのは、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよびアンモニウムの塩化物および/または硫酸塩である。
【0037】
好ましくは、電解質は、洗浄剤組成物中に、0−7.5重量%の濃度で存在し、より好ましくは2.5−5重量%で存在し、さらに好ましくは3−4重量%で存在する。
【0038】
粘度変更剤
濃度スケール上の最高点の位置を動かすことなく、洗浄剤組成物の粘度に影響を及ぼすために、粘度変更剤が添加されてもよい。
【0039】
粘度変更剤の適切な1つの類は、非イオン界面活性剤の類である。非イオン界面活性剤は、濃度スケール上の最高点を動かすことなく、濃縮洗浄剤組成物の粘度を低下させる。
【0040】
本発明の非イオンは、好ましくは、少なくともHLB値(親水性/親油性バランス)8をもち、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくともHLB値12をもつが、好ましくは16以下である。
【0041】
適切な非イオン界面活性剤は、非イオン界面活性剤を生成するため、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ポリエチレンオキシドまたはポリエチレングリコールなどの親水性アルキレンオキシドとの縮合に使用できる自由反応性水素を有する官能基をもつ疎水性アルキル、アルケニルまたはアルキル芳香族化合物の縮合生成物を含む。このような官能基の例は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、メルカプト基、アミノ基またはアミド基を含む。
【0042】
市販の非イオン界面活性剤の有用な疎水性物質の例は、C−C18アルキル脂肪アルコール、C−C14アルキルフェノール、C−C18アルキル脂肪酸、C−C18アルキルメルカプタン、C−C18アルキル脂肪族アミン、C−C18アルキルアミドおよびC−C18アルキル脂肪アルカノールアミドを含む。このような物質のポリオキシアルキレン縮合生成物は、1から30個のアルキレンオキシド基、好ましくは5から約20個のアルキレンオキシド基、さらに好ましくは8から約12個のアルキレンオキシド基を含んでいてよい。したがって、適切なエトキシル化脂肪アルコールは、エトキシル化セチルアルコール、エトキシル化ケトステアリルアルコール、エトキシル化イソトリデシルアルコール、エトキシル化ラウリンアルコール、エトキシル化オレイルアルコールおよびこれらの混合物から選択されてよい。
【0043】
代替方法として、プロピレングリコール、エトキシル化グリセロールおよび/またはエタノールの群からの化合物は、粘度変更剤として使用されることができる。最も好ましいプロピレングリコールは、MPG(モノプロピレングリコール)である。好ましいエトキシル化グリセロールは、3−15個のエチレンオキシド(EO)基を有し、より好ましくは5−10個のエチレンオキシド基を有する。
【0044】
代替方法として、この粘度低下効果は、その他の短鎖有機アルコールの添加によって得ることができる。これらの溶媒は、非イオン界面活性剤と同じ粘度低下効果を有するが、「揮発性有機化合物」と考えられるので、好ましくない。揮発性有機化合物は、本発明の文脈において、好ましくない。
【0045】
このように、非イオン界面活性剤は、洗剤の特性も有しているので、本発明の洗浄剤組成物において好まれる。
【0046】
その他の洗浄剤組成物において一般的に使用される成分は、ハイドロトロープ剤である。ハイドロトロープ剤は、本発明による希釈増粘効果を弱める。クメンスルホン酸ナトリウム(SCS)、キシレンスルホン酸ナトリウム(SXS)、陰イオンハイドロトロープ剤およびポリエチレングリコールなどのハイドロトロープ剤を避けることが、好ましい。
【0047】
一般的に、粘度変更剤は、濃度スケール全体に対する組成物の粘度を低下させる。粘度変更剤は、洗浄剤組成物中に0−5%の濃度で場合によって存在し、好ましくは0.1−2%の濃度で場合によって存在し、より好ましくは0.5−1.5%の濃度で場合によって存在する。
【0048】
追加的な界面活性剤
組成物は、追加的に界面活性剤を含むことができる。しかしながら、そのような界面活性剤は、組成物の希釈増粘作用に全く影響を及ぼすことができないか、限定的な影響しか及ぼすことができない。好ましくは、前記の追加的な界面活性剤は、濃度スケール上で10%超最高点を動かさないし、20%超最高粘度を低下または上昇させない。本発明の洗浄剤組成物は、さらに、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤およびこれらの組合せから選択されるものを含むことができる。陽イオン界面活性剤は好ましくない。
【0049】
適切な追加的な界面活性剤は、「Surface Active Agents」、第1巻、SchwartzおよびPerry、Interscience、1949年、第2巻、Schwartz、PerryおよびBerch、Interscience、1958年、の中に記載されており、Manufacturing Confectioners Company発行、「McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents」の最新号の中に記載されており、または「Tenside−Taschenbuch」、H.Stache、第2版、Carl Hauser Verlag、1981年、の中に記載されている。
【0050】
任意の成分
本発明の組成物は、香料、保存料および着色料などのその他の成分を場合によって含む。特に、着色料は、吸収キャリア中に組成物の存在を示すのに有用である。有用な着色料の例は、ブルーFDC(Cl:42090)、パテントブルー(Cl:42051)、ブルーABL80(Cl:61585)、レッドプンゾNo7(Cl:16255)、レッドプリカラーアレ14(Cl:14720)、イエロータルトラジンCl 14190、キノリンイエロー47005、ブリリアントブラック28440、サンセットイエローCl 15985およびこれらの混合物である。
【0051】
本発明は、また、本発明による洗浄剤組成物を使用して、家庭内の表面を洗浄するための方法、特に硬質表面を洗浄するための方法も開示する。本発明の洗浄方法には、既知の方法より有利な点がいくつかある。
【0052】
一態様において、この方法は、洗浄剤組成物の消費をより少なくする、したがって、より経済的であり、環境にやさしい。
【0053】
本発明の洗浄方法は、
i)本発明の組成物とキャリアを接触させるステップ、
ii)水によってキャリアと組成物の組合せを処理するステップおよび
iii)キャリアによって表面の洗浄作業を実施するステップ
を含む。
【0054】
代替方法として、好ましさは低い方法ではあるが、組成物が吸収キャリアに添加される前に、水をその吸収キャリアに加えることができる。
【0055】
洗浄作業の典型的なものは、表面から土、油脂または埃を除去するのを助けるために、表面に吸収キャリアを押し付け、円形運動によってまたはその他の任意の方法で、こする作業である。皿の表面および陶器類が、特に、本発明の組成物によって洗浄されうる家庭用表面の例である。
【0056】
有用な吸収キャリアまたは多孔質のキャリアが知られており、例えば、スポンジ(天然、ポリマー、スチールなど)、研磨パッド、布などの、液体を蓄えることができる空洞を有するキャリアが特に知られている。組成物は、該洗浄方法においてスポンジ上につけられるのに特に適している。
【0057】
水の量と本発明による洗浄方法において使用される洗浄剤組成物の量との割合は、好ましくは約0.5から約5までであり、より好ましくは約0.5−4であり、最も好ましくは約3.5までである。
【0058】
本発明は、さらに、
a)界面活性剤の溶液を提供するステップ、
b)粘度変更剤の溶液を提供するステップ、
c)界面活性剤溶液を粘度変更剤溶液と混合するステップ
を含む、キャリア中への洗浄剤の保持力を強化するための方法を提供する。
【0059】
適用方法および使用
洗浄剤組成物を食器の手洗いに適用するために、そのような組成物は、好ましくは、最初は低い粘度をもち、希釈剤をある量添加して初めて粘度が上昇する。これによって、多孔質のキャリア(例えばスポンジ)の孔を通じて組成物の浸透がおこり、一方それと同時に、より長い間キャリア中に組成物を保持させる。本発明の組成物が作用する選択的な方法は、(最小粘度と最大粘度との間の)粘度上昇率と(最大粘度と最終粘度との間の)粘度低下率との間の有利なバランスをもたらすばかりでなく、低い初期粘度、最大粘度および最終粘度の間の有利なバランスももたらす。
【0060】
好ましい実施形態において、本発明の洗浄剤組成物は、希釈増粘界面活性剤系、粘度変更剤およびその他の任意の成分を含み、
−キャリア中に容易に浸透するための低い初期粘度、
−前記キャリア中へ浸透後、希釈するときの粘度増加(その結果、洗浄剤組成物はキャリア中により長くとどまり、したがって繰り返しすすいだ後ですら強化された効果を提供する。)、
−希釈のとき、洗浄剤組成物は、安定した透明なジェルになること、
−制御され、持続的な界面活性剤の放出
を提供する。
【0061】
他の態様において、表面のための、特に硬質表面のための洗浄方法が提供され、その方法は、従来から知られてきた洗浄方法よりよりよい結果をもたらし経済的である。
【0062】
また他の態様において、スポンジおよびそれと同様のものなどのキャリア中での洗浄剤の保持力を強化するための方法が提供されている。
【0063】
本発明は、
−1種または複数の界面活性剤、
−1種または複数の粘度変更剤
を含む希釈増粘水性液体洗浄剤組成物を提供する。
【0064】
より具体的には、本発明は、
−1種または複数の界面活性剤、
−少なくとも1種の粘度変更剤としての電解質
を含む希釈増粘水性液体洗浄剤組成物を提供する。
【0065】
本発明は次に、以下の非限定的実施例によって例示される。
【0066】
実施例
これらの実施例は、従来技術と比べた本発明の組成物の効果を示す。
【実施例1】
【0067】
実施例1において、本発明による組成物の制御された放出が、市販の製品と比較されている。
【0068】
本発明による組成物は、下記の表に示されている。
【0069】
【表1】

【0070】
試験された市販製品は、Dixan(ヘンケルから、2006年2月27日イタリアにて購入)、Fairy(プロクター&ギャンブルから、2005年9月1日英国にて購入)、Sole(レキットベンキザーから、2006年4月12日イタリアにて購入)およびLast(ボルトンマニトバから、2006年4月20日イタリアにて購入)である。組成物の分析については、下記の表を参照せよ。
【0071】
【表2】

【0072】
物質の活性投与量を求めるために、これらの組成物の1つの1gを、食器洗いに適する湿ったスポンジ上へ直接つけた。次に、スポンジに水50mlを加え、スポンジを絞って水を集める方法により、脱塩水50mlの一定分量でスポンジをすすいだ。これは、洗剤がスポンジから放出されなくなるまで、水50mlの一定分量で複数回繰り返された。
【0073】
集められた水は、放出された洗剤製品の濃度を求めるために、分析された。および、残りの活性部分の量が、各回のすすぎにおいて測定された洗剤製品量を、最初の量から引いて、スポンジ上の残量を計算することにより、算出された。その結果は、下記の表に示されている。
【0074】
【表3】

【0075】
上記の表の結果から明白にわかるように、本発明の組成物は、より多いすすぎ回数の間、はるかに制御された活性放出をする。
【実施例2】
【0076】
実施例2において、本発明によるいくつかの組成物の粘度分布が示されている。
【0077】
この実施例の組成物は、下記の表に示されている。
【0078】
【表4】

【0079】
下記の表において、製品の粘度は、異なる希釈で示されている。この表において、100%は、希釈されていない純製品を表し、一方、他のパーセンテージは、水中の製品のパーセンテージである。
【0080】
【表5】

【0081】
これら結果は、製品の粘度は、非希釈形態では比較的低く、また、約30%まで希釈されたときも低いが、純組成物と組成物の高い希釈形態との間の粘度は非常に高いことを、明白に示している。
【実施例3】
【0082】
実施例3において、組成物の制御された放出のときの追加の粘度変更剤(MPG、組成物10)の効果は、追加の粘度変更剤のない同様の組成物(組成物9)および市販の食器手洗い液(Lux Lemon)と比較され、示されている。これらの組成物は、下記の表に示されている。
【0083】
【表6】

【0084】
製品放出が、実施例1において与えられている方法で試験された。放出の結果は、下記の表に示されている。
【0085】
【表7】

【0086】
上記の表における結果から明白にわかるように、追加の粘度変更剤の入っている組成物は、非常に多くのすすぎ回の間、さらに制御された活性放出を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アルキルエーテル硫酸塩(0−4EO)40−85重量%、
(b)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩0.01−50重量%および
(c)ベタイン0.01−55重量%
を含む希釈増粘界面活性剤系5−50重量%を有する希釈増粘水性液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
さらに、電解質0−7.5%を含む、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
さらに、非イオン界面活性剤、プロピレングリコール、エトキシル化グリセロールおよび/またはエタノールから選択される粘度変更剤0−5%を含む、請求項1または2のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
電解質が、アルカリ金属、アルカリ土類またはアンモニウムの塩化物、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、硝酸塩およびこれらの混合物である、請求項2から3のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
電解質が、硫酸マグネシウムである、請求項4に記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
アルキルエーテル硫酸塩が、1−4個のEO基を有するC10−C18アルキルエーテル硫酸塩である、請求項1から5のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
ベタインが、C10−C18アルキルアミドプロピルベタインである、請求項1から6のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
初期粘度が、1500mPas以下であり、30−70%に希釈時の粘度が、初期粘度の少なくとも5倍の最高粘度に到達する、請求項1から7のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項9】
(a)請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物とキャリアを接触させるステップ、
(b)水によってキャリアと組成物の組合せを処理するステップおよび
(c)キャリアによって表面の洗浄作業を実施するステップ
を含む硬質表面を洗浄する方法。
【請求項10】
(a)アルキルエーテル硫酸塩(0−4EO)40−85重量%、
(b)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩0.01−50重量%、
(c)ベタイン0.01−55重量%
を含む希釈増粘界面活性剤系。
【請求項11】
食器洗い組成物における、請求項10に記載の希釈増粘界面活性剤系の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−513624(P2010−513624A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541965(P2009−541965)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063531
【国際公開番号】WO2008/074667
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】