説明

食器洗浄機

【課題】本発明は、上下動可能なドアの落下防止の対策が施された食器洗浄機を提供する。
【解決手段】食器洗浄機1は、自動でドア7を上下に開閉させるための自動開閉機構40を備えている。この自動開閉機構40は、ドア7を常に開放状態にするように付勢する圧縮バネ23,24と、ドア7を圧縮バネ23,24の付勢力に抗して下降させるドア降下手段Rと、を有している。このドア降下手段Rは、ドア7の上部に設けられたブラケット41に上端が固定されると共に、圧縮バネ23,24の付勢力に抗してドア7を下方に緊張状態で牽引する線形体42と、線形体42の下端が固定されて、線形体42が巻き付けられる巻取り部43と、ブラケット45によって洗浄機本体2の下側部分2bの背面に固定されて、巻き取り部43を所望の速度で正逆回転させるギアドモータ44と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動でドアが開閉自在な食器洗浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開平2002−253463号公報がある。この公報に記載された食器洗浄機は、モータによってドアを自動で開閉可能であり、このモータはブラケットを介して支柱の上端部に固定されている。モータの出力軸にはプーリが固定され、このプーリには、ワイヤが巻き取り自在に連結されている。このワイヤの一端は下方に延出すると共に、ドアの下端部に連結子を介して連結され、ワイヤの他端は、モータのプーリに巻き取り自在に連結されている。そして、モータを正回転させることにより、ワイヤがプーリによって巻き取られてドアが上昇し、モータを逆回転させることにより、ワイヤがプーリから繰り出され、ドアの自重によってドアが下降する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2002−253463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の食器洗浄機にあっては、ドアが上がっている状態で、ワイヤやプーリが何らかの原因で破損した場合、ドアはその自重により自然に落下することになるので、ドアが重い場合、勢い良く落下して、ドアが手やラックに勢い良く衝突する虞がある。
【0005】
本発明は、上下動可能なドアの落下防止の対策が施された食器洗浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ドアを上下動させる自動開閉機構を備えた食器洗浄機において、
自動開閉機構は、
ドアを常に開放状態にするように付勢するバネと、
バネの付勢力に抗してドアを下方に緊張状態で牽引する線形体を有するドア降下手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
この食器洗浄機においては、バネによってドアは常に開放状態に維持され、ドアを降下させて閉める場合には、ドア降下手段によりバネの付勢力に抗してドアを降下させる。このような構成を採用すると、例えば、ドアが上がっている状態で、ドア降下手段の線形体がドアに対して緊張状態になっているので、ドアが自然に降下することが無く、ドアに手やラックが挟まれることがない。また、線形体が何らかの原因で切断された場合でも、バネによってドアは常に開放状態に維持されているので、ドアが自然に降下することが無く、ドアに手やラックが挟まれることがない。このように、バネとドア降下手段の何れか一方の原因に基づいてドアが自重により自然に降下しようとしても、他方が補完作用として働くので、ドアの落下を効果的に防止することができる。
【0008】
また、ドア降下手段は、一端がドアに固定されて、ドアを下方に牽引する線形体と、線形体の他端が固定されて、線形体が巻き付けられる巻取り部と、巻き取り部を回転させるモータと、を備える。
このような構成は、自動開閉機構の簡易化に寄与する。
【0009】
また、モータと巻取り部との間に電磁クラッチが設けられる。
このような構成を採用すると、電磁クラッチを切ることで、モータの無通電時の負荷を解放することができ、モータの影響を無くして、バネによってドアを短時間で上昇させることができる。しかも、モータによりドアを上昇させる制御が必要なくなり、制御回路を簡素化することができる。
【0010】
また、ドアの上限位置検出手段は、巻取り部に固定されて、巻取り部の回転に追従する第1のマグネットと、ドアが上限位置のときに第1のマグネットが近接する位置に設けられ、モータの通電をOFFにする第1のリードスイッチと、を有する。
このような構成は、回転可能な巻取り部の有効利用を図って、ドアの上昇停止を行わせることができる。
【0011】
また、ドアの安全検知手段は、線形体の途中に設けられたロードセルであり、ロードセルは、線形体の引張り力の変化を検出し、ロードセルの出力信号の変化に起因してモータを停止させる。
ロードセルを採用すると、検知に利用される素子が外部に露出させられていないので、検知素子に対する汚れの付着がなく、食器洗浄直後にドアを開けたときに発生する高熱の蒸気に検知素子が晒されることがなく、検知素子の誤動作、腐食、ショートによる故障が発生し難い。しかも、ロードセルは、シンプルな構造であって検知精度の向上に寄与する。
【0012】
また、線形体は、ドア側の第1の線形部と、巻取り部側の第2の線形部と、で二分割され、ドアの安全検知手段は、第1の線形部と第2の線形部とを連結すると共に、第1の線形部の遊端が挿通され、第2の線形部の遊端が固定された枠体と、枠体内に収容されて、第1の線形部の遊端を第2の線形部に向けて付勢する圧縮バネと、枠体内に配置され、第1の線形体の遊端で最端に固定された第2のマグネットと、圧縮バネの圧縮時に第2のマグネットが近接する位置で枠体に固定され、モータの通電をOFFにする第2のリードスイッチと、を有する。
ドアに手や物が挟まったことを検知するための安全検知手段にこのような構成を採用すると、ドアに手や物が挟まってドアが停止するまでの間、ドア降下手段によって手や物に加わるドア降下力を、安全検知手段の圧縮バネにより緩和させることができる。
【0013】
また、ドアの閉鎖検知手段は、ドアの下端に固定された第3のマグネットと、ドアの最下位置で第3のマグネットが近接する位置で、ドアの下方で洗浄機本体に固定された第3のリードスイッチと、を有し、第2のリードスイッチと第3のリードスイッチとがONのとき、又は、ロードセルの出力信号が変化し且つ第3のリードスイッチがONのとき、ドアが完全に閉じたと判断する。
ドアが問題無く閉じきったときであっても、ドアに手などが挟まったときであっても、何れの場合であっても安全検知手段によってモータが停止するが、閉鎖検知手段を併用することで、ドアが問題無く閉じて、ドアが完全な閉鎖状態になっている即ちドアが半開き状態になっていないことを判断できる。この判断は、利用者にドア閉鎖を知らせるためのランプ制御や洗浄工程制御などに利用することができる。なお、ドアが半開き状態で洗浄工程が開始されると、洗浄液が周囲に飛び散ることになり好ましくない。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上下動可能なドアの落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る食器洗浄機の一実施形態を示す側面図である。
【図2】ドアが開いた状態の食器洗浄機を示す側面図である。
【図3】上限位置検出手段を示す概略図である。
【図4】モータとスプロケットとの間に電磁クラッチが設けられた概略図である。
【図5】安全検知手段の第1の例を示す断面図である。
【図6】安全検知手段の第2の例を示す断面図である。
【図7】安全検知手段の第3の例を示す断面図である。
【図8】第1の変形例に係るドア降下手段を適用した食器洗浄機の側面図及び背面図である。
【図9】第2の変形例に係るドア降下手段を適用した食器洗浄機の側面図及び背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る食器洗浄機の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1及び図2に示されるように、食器洗浄機1は、ステンレス製の洗浄機本体2を有している。この洗浄機本体2は、洗浄室3が設けられた上側部分2aと、機械室4が設けられた下側部分2bとに仕切られている。さらに、洗浄機本体2の背面側における両コーナ部には、上側部分2aと下側部分2bとに渡って上下方向に延びる支柱6が配置されている。
【0018】
また、洗浄機本体2の上側部分2aには、洗浄室3の開閉を行うために下方が開放された箱型のドア7が設けられている。このドア7は、ステンレスからなる一対の支柱6により上下方向に案内されると共に、前方で水平方向に延在するハンドル8によって上下動させることができる。このハンドル8の両端には左右一対の回動アーム10の先端が固定され、各回動アーム10はドア7の側面7aに沿って斜めに配置されている。
【0019】
そして、ハンドル8の回動運動に対してドア7を上下運動させる必要があるので、回動アーム10には、ドア7の側面7aに沿って配置されたリンク部16の上端が回動自在に連結され、リンク部16の下端は、軸ピン16aを介してドア7の側面7aに連結されている。なお、洗浄機本体2の底面の四隅には脚部9が取り付けられており、食器洗浄機1の安定した設置が可能になっている。
【0020】
前述した洗浄室3内には、ラックレール(図示せず)が着脱自在に配置されており、このラックレール上に、飲食後の食器類が並べられたラック(図示せず)が載置される。更に、洗浄室3内の上部には、放射状に延びる3本のアームを有する上側洗浄ノズル12と、一直線状に延びる2本のアームを有する上側濯ぎノズル13とが同一軸線上で回転自在に設置されている。同様に、洗浄室3内の下部には、下側洗浄ノズル14と下側濯ぎノズル15とが同一軸線上で回転自在に設置されている。
【0021】
さらに、矩形パイプ状の支柱6内には、ドア7の開閉に利用するための圧縮バネ23,24が装填されている。圧縮バネ23,24は、バネユニット20の一部として支柱6内に収容され、このバネユニット20は、ドア7の側面7aに沿って配置された回動アーム10の基端側で連結されている。
【0022】
バネユニット20は、上下方向に延在して、回動アーム10の基端に上端部が連結されたロッド28と、上下方向に延在してロッド28が貫通する圧縮バネ23,24と、支柱6内に挿入されると共に支柱6に対してネジにより固定された取付け部材22と、上下方向に延在して、2本一組をなす圧縮バネ23,24を収容するガイドシリンダ27とから主として構成されている。
【0023】
圧縮バネ23の上端は、バネ受け部25を介してガイドシリンダ27の上端部に押し当てられている。圧縮バネ24の下端は、ロッド28の下端に設けられたロッド受け部26を介して支持されている。そして、上下一対の圧縮バネ23と圧縮バネ24との間にはスペーサ29が配置されている。また、圧縮バネ23,24が収容されたガイドシリンダ27の下端は、取付け部材22に軸ピン31を介して軸支されている。
【0024】
さらに、ロッド28の上端側には雄ネジ部28aが形成され、雄ネジ部28aは、筒状の雌ネジ部材32に螺着され、これによって、製品の組立て後や設置後に、利用者のニーズに応じたバネ圧調整が容易になる。また、この雌ネジ部材32は、回動アーム10の基端側に位置するアームジョイント部10aに軸部(図示せず)を介して揺動自在に取り付けられている。さらに、アームジョイント部10aは、軸ピン33によってアームホルダ34に回動自在に取り付けられている。このアームホルダ34は、ネジによって取付け部材22に固定されている。従って、軸ピン33を中心に回動アーム10を回動させることができる。
【0025】
このような食器洗浄機1にあって、圧縮バネ23,24は、ドア7が常に開く方向で付勢し、このバネ力は、ドア7を一番下げた状態でハンドル8から手を離すと、ドア7が低速で上昇する程度に設定されている。
【0026】
更に、食器洗浄機1は、自動でドア7を上下に開閉させるための自動開閉機構40を備えている。この自動開閉機構40は、ドア7を常に開放状態にするように付勢する圧縮バネ23,24と、ドア7を圧縮バネ23,24の付勢力に抗して下降させるドア降下手段Rと、を有している。このドア降下手段Rは、ドア7の上部に設けられたブラケット41に上端が固定されると共に、圧縮バネ23,24の付勢力に抗してドア7を下方に緊張状態で牽引する線形体42と、線形体42の下端が固定されて、線形体42が巻き付けられる巻取り部43と、ブラケット45によって洗浄機本体2の下側部分2bの背面に固定されて、巻き取り部43を所望の速度で正逆回転させるギアドモータ44と、を備えている。
【0027】
この巻取り部43は、スプロケットであり、線形体42は、たるみ防止のためのシャフト(第1の線形部)42aと、スプロケット43に噛合させるためのチェーン(第2の線形部)42bと、からなる。また、スプロケット43の周長は、少なくともドア7の移動距離より長くする必要がある。なお、チェーン42bに代えてロープを利用した場合、巻取り部43にはプーリが利用されることになる。
【0028】
この食器洗浄機1においては、ドア7を上昇させる場合には、ギアドモータ44を正転させながら、スプロケット43に巻き付いたチェーン42bを徐々に繰り出しながら、圧縮バネ23,24の付勢力によってドア7を徐々に上昇させる。また、ドア7を下降させる場合には、ギアドモータ44を逆転させながら、スプロケット43にチェーン42bを徐々に巻き付けながら、圧縮バネ23,24の付勢力に抗してドア7を徐々に降下させる。
【0029】
このような構成を採用すると、図2に示されるように、例えば、ドア7が上がっている状態で、ドア降下手段Rの線形体42がドア7に対して緊張状態になっているので、ドア7が自然に降下することが無く、ドア7に手やラックが挟まれることがない。また、線形体42が何らかの原因で切断された場合でも、圧縮バネ23,24によってドア7は常に開放状態に維持されているので、ドア7が自然に降下することが無く、ドア7に手やラックが挟まれることがない。このように、圧縮バネ23,24とドア降下手段Rの何れか一方の原因に基づいてドア7が自重により自然に降下しようとしても、他方が補完作用として働くので、ドア7の落下を効果的に防止することができる。
【0030】
また、図3に示されるように、ドア7が完全に開いた状態でギアドモータ44を停止させるための上限位置検出手段Lは、巻取り部43の円形側面43aに固定されて、巻取り部43の回転に追従する第1のマグネット47と、ドア7が上限位置のときに第1のマグネット47が近接する位置に設けられ、ギアドモータ44の通電をOFFにする第1のリードスイッチ48と、を有する。このリードスイッチ48は、図示しないブラケットにより洗浄機本体2の下側部分2bの背面に取り付けられ、リードスイッチ48のリード線は、ギアドモータ44の制御部に接続されている。
【0031】
また、図1及び図2に示されるように、ドア7が完全に閉じたときにギアドモータ44を停止させるための閉鎖検知手段Pは、ドア7の下端に固定された第3のマグネット91と、ドア7の最下位置で第3のマグネット91が近接する位置で、ドア7の下方で洗浄機本体2に固定された第3のリードスイッチ92と、を有している。ドア7が完全に閉じると、第3のマグネット91が第3のリードスイッチ92に最接近して、第3のリードスイッチ92からの信号によって、ギアドモータ44を停止させる。
【0032】
また、図4に示されるように、ギアドモータ44と巻取り部43との間に電磁クラッチ49が設けられてもよい。このような構成を採用すると、電磁クラッチ49を切ることで、ギアドモータ44の無通電時の負荷を解放することができ、圧縮バネ23,24によってドア7を短時間で上昇させることができる。しかも、ギアドモータ44によりドア7を上昇させる制御が必要なくなり、制御回路を簡素化することができる。
【0033】
次に、ドア7に手や物(例えばラック)が挟まったことを検知するための種々の安全検知手段50,60,70について説明する。
【0034】
図5に示されるように、たるみ防止のためのシャフト42aの途中には、ドア7用の安全検知手段としてロードセル50が取り付けられている。このロードセル50は、シャフト42aの引張り力の変化を検出するために、ギアドモータ44の駆動に同期して通電させられている。そして、ドア7の下降時にドア7に手や物(例えばラック)が挟まると、シャフト42aを介してロードセル50の出力信号に変化が起こり、この変化に基づいて制御部でギアドモータ44を停止させ、ドア7による手や物(例えばラック)の損傷を回避させる。
【0035】
ロードセル50を採用すると、検知に利用される素子50aが外部に露出させられていないので、検知素子50aに対する汚れの付着がなく、食器洗浄直後にドアを開けたときに発生する高熱の蒸気に検知素子50aが晒されることがなく、検知素子50aの誤動作、腐食、ショートによる故障が発生し難い。しかも、ロードセル50は、シンプルな構造であって検知精度の向上に寄与する。
【0036】
図6に示されるように、他の安全検知手段60は、シャフト42aとチェーン42bとを連結すると共に、シャフト42aの遊端が挿通され、チェーン42bの上端が固定された枠体61と、枠体61内に収容されて、シャフト42aの下端をチェーン42bに向けて付勢する圧縮バネ62と、枠体61内に配置され、シャフト42aの最下端に固定された第2のマグネット63と、圧縮バネ62の圧縮時に第2のマグネット63が近接する位置で枠体61に固定され、ギアドモータ44の通電をOFFにする第2のリードスイッチ64と、を有する。
【0037】
筒状をなす枠体61の下端には、連結ピン65によってチェーン42bが固定され、枠体61の上端には、シャフト42aが貫通するキャップ部66が固定されている。また、シャフト42aの下端には、バネ受け皿67が固定され、このバネ受け皿67に第2のマグネット63が固定されている。そして、枠体61の上端とバネ受け皿67との間に圧縮バネ62が配置されている。この圧縮バネ62のバネ力は、ドア7を降下させるのに必要な荷重より若干強く設定されているので、ドア7を下降させるためにチェーン42bを矢印A方向に牽引している場合であっても、枠体61内でマグネット63は下方に押しやられている(図6(a)参照)。
【0038】
ドア7に手や物が挟まってドア7が停止するまでの間、ギアドモータ44の駆動によりチェーン42bはドア7を下方に牽引しようとするが、このとき、チェーン42bにより枠体61が下に引っ張られ、これに伴って圧縮バネ62が縮む(図6(b)参照)。これにより、チェーン42bの牽引力がシャフト42aに伝わり難くなり、手や物に加わるドア降下力を圧縮バネ62により緩和させることができる。
【0039】
図6に示される更に他の安全検知手段70について説明する。なお、図6に示された安全検知手段60と同等の構成部分には、同一符合を付し、重複した説明は省略する。
【0040】
安全検知手段70にあって、筒状をなす枠体71には、その長手方向における略中央に第2のリードスイッチ64が固定されている。従って、第2のマグネット63の移動の途中で第2のリードスイッチ64をON状態にすることができる。図7(b)に示されるように、リードスイッチ64がON状態であっても、圧縮バネ62は完全に縮んでおらず、シャフト42aは、更に予備ストロークSを有することになる。従って、ギアドモータ44は、給電停止後もブレーキ機構付きで無い限りドア7を急停止させることができないが、このような予備ストロークSをもたせることで、慣性によって巻取り部43が回ってもドア7による手や物(例えばラック)の損傷を回避させる。
【0041】
ここで、前述した安全検知手段50,60,70を利用する場合、ドア7が問題無く閉じきったときであっても、ドア7に手などが挟まったときであっても、何れの場合であっても安全検知手段50,60,70によってギアドモータ44が停止する。そこで、前述した閉鎖検知手段Pを併用することで、第2のリードスイッチ64と第3のリードスイッチ92とがONのとき、又は、ロードセル50の出力信号が変化し且つ第3のリードスイッチ92がONのとき、ドア7が完全に閉じたと判断する。このような制御は、ドア7が問題無く閉じて、ドア7が完全な閉鎖状態になっている即ちドア7が半開き状態になっていないことを、利用者に知らせるためのランプ制御や洗浄工程制御などに利用することができる。なお、ドア7が半開き状態で洗浄工程が開始されると、洗浄液が周囲に飛び散ることになり好ましくない。
【0042】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0043】
図8に示されるように、ギアドモータ44は、誤動作、腐食、ショートによる故障の発生を防止するために、洗浄機本体2の下側部分2b内に収容してもよい。これに伴って、巻取り部43の一部を、洗浄機本体2の背面に形成された切欠き部80から露出させる。このタイプの食器洗浄機では、上限位置検出手段Lのリードスイッチ48を洗浄機本体2の下側部分2b内に配置させることができ、リードスイッチ48の誤動作、腐食、ショートによる故障が発生し難い。
【0044】
図9に示されるように、ギアドモータ44は、誤動作、腐食、ショートによる故障の発生を防止するために、洗浄機本体2の下側部分2b内に収容してもよい。これに伴って、ギアドモータ44の回転軸44aの先端を、洗浄機本体2の背面から露出させる。このような構成によって、巻取り部43を洗浄機本体2の背面に沿って配置させることができ、食器洗浄機の設置スペースを小さくすることができる。
【0045】
また、図示しないが、ドア7に付勢力を与える圧縮バネ23,24に代えて、例えば特開平7−313425号公報に記載された食器洗浄機のように、引張りバネの適用も可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…食器洗浄機、2…洗浄機本体、7…ドア、23,24…バネ、40…自動開閉機構、42…線形体、42a…シャフト(第1の線形部)、42b…チェーン(第2の線形部)、43…スプロケット(巻取り部)、44…ギアドモータ(モータ)、47…第1のマグネット、48…第1のリードスイッチ、49…電磁クラッチ、50…ロードセル(安全検知手段)、60,70…安全検知手段、61,71…枠体、62…圧縮バネ、63…第2のマグネット、64…第2のリードスイッチ、91…第3のマグネット、92…第3のリードスイッチ、L…上限位置検出手段、P…閉鎖検知手段、R…ドア降下手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアを上下動させる自動開閉機構を備えた食器洗浄機において、
前記自動開閉機構は、
前記ドアを常に開放状態にするように付勢するバネと、
前記バネの付勢力に抗して前記ドアを下方に緊張状態で牽引する線形体を有するドア降下手段と、を有することを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前記ドア降下手段は、
一端が前記ドアに固定されて、前記ドアを下方に牽引する前記線形体と、
前記線形体の他端が固定されて、前記線形体が巻き付けられる巻取り部と、
前記巻き取り部を回転させるモータと、を備えたことを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
【請求項3】
前記モータと前記巻取り部との間に電磁クラッチが設けられたことを特徴とする請求項2に記載の食器洗浄機。
【請求項4】
前記ドアの上限位置検出手段は、
前記巻取り部に固定されて、前記巻取り部の回転に追従する第1のマグネットと、
前記ドアが上限位置のときに前記第1のマグネットが近接する位置に設けられ、前記モータの通電をOFFにする第1のリードスイッチと、を有することを特徴とする請求項2に記載の食器洗浄機。
【請求項5】
前記ドアの安全検知手段は、前記線形体の途中に設けられたロードセルであり、前記ロードセルは、前記線形体の引張り力の変化を検出し、前記ロードセルの出力信号の変化に起因して前記モータを停止させることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の食器洗浄機。
【請求項6】
前記線形体は、前記ドア側の第1の線形部と、前記巻取り部側の第2の線形部と、で二分割され、
前記ドアの安全検知手段は、
前記第1の線形部と前記第2の線形部とを連結すると共に、前記第1の線形部の遊端が挿通され、前記第2の線形部の遊端が固定された枠体と、
前記枠体内に収容されて、前記第1の線形部の前記遊端を前記第2の線形部に向けて付勢する圧縮バネと、
前記枠体内に配置され、前記第1の線形体の前記遊端で最端に固定された第2のマグネットと、
前記圧縮バネの圧縮時に前記第2のマグネットが近接する位置で前記枠体に固定され、前記モータの通電をOFFにする第2のリードスイッチと、を有することを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の食器洗浄機。
【請求項7】
前記ドアの閉鎖検知手段は、
前記ドアの下端に固定された第3のマグネットと、
前記ドアの最下位置で前記第3のマグネットが近接する位置で、前記ドアの下方で洗浄機本体に固定された第3のリードスイッチと、を有し、
前記第2のリードスイッチと前記第3のリードスイッチとがONのとき、又は、前記ロードセルの出力信号が変化し且つ前記第3のリードスイッチがONのとき、前記ドアが完全に閉じたと判断することを特徴とする請求項5又は6記載の食器洗浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−27630(P2013−27630A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167124(P2011−167124)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】