説明

食肉類加工品の製造方法及び製造装置

【課題】ジュール加熱とマイクロ波加熱を組み合わせた食肉類加工原料の成形方法により得られる成形された原料食肉類に対して、更に成形加工を行う工程が追加されたことを特徴とする食肉類加工品の製造方法を提供する。
【解決手段】以下の(A)〜(D)工程を含む食肉類加工品の製造方法:(A) 略円筒状の搬送管に原料食肉類を圧送しつつ、ジュール加熱により該原料食肉類をタンパク質変性温度以下の温度まで予備加熱する工程、(B) マイクロ波加熱によって上記予備加熱された原料食肉類の表面側に保形性を付与する程度にタンパク質変性層を形成する工程、(C) B工程で得られた保形性が付与された原料食肉類の長手方向に切り込みを入れる工程、及び(D) C工程で得られた原料食肉類をマイクロ波加熱によって全体的に加熱固化する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料食肉類を内部加熱により固化して得られる食肉類加工品の製造方法及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
焼豚、ハム、ソーセージ、魚肉等の食肉類加工製品は、原料食肉類を塩漬け及び熟成の後、一定の大きさに分割し、糸、ネット、紙、プラスチックフィルム、金属製リテーナ、プラスチック製トレー等の成形具を用いて成形した後、加熱処理等を行って最終的な製品を得るようにしていた。
【0003】
しかしながら、原料食肉類を成形した後も成形具を付けたまま加熱等の加工処理を行った場合には、糸、ネット等の成形具は廃棄されるので資源の無駄となり、再使用可能な金属製リテーナ等の成形具は洗浄が必要となる等の問題があった。
【0004】
そこで、原料食肉類をタンパク質変性により固化させて原料食肉類自身に保形力を付与する方法、すなわちバッチ単位で加熱して原料食肉類を保形処理するバッチ式ジュール加熱法やマイクロ波加熱により原料食肉類を保形処理するマイクロ波加熱法が提案された。しかしながら、これらの方法には加熱処理に多大な時間と労力が必要となること、保形力が弱く成形不良が生じやすい等の問題があった。
【0005】
これらの問題を解決するため、特許文献1では、ジュール加熱とマイクロ波加熱の各加熱特性を有効に利用することにより、成形された原料食肉類の表面のタンパク質変性層を厚くして保形力を高めることができる原料食肉類の成形方法及びその成形装置について開示されている。
【0006】
特許文献1の原料食肉類の成形方法によれば、原料食肉類をジュール加熱によってタンパク質変性温度以下の温度まで予備加熱した後、マイクロ波加熱を行うので、成形された原料食肉類の表面側には、マイクロ波加熱のみで得られるタンパク質変性層よりも厚いタンパク質変性層が形成されて保形力を向上させている。また、特許文献1の成形装置によれば、原料食肉類を成形管内を圧送しながらジュール加熱によってタンパク質変性温度以下の温度まで予備加熱し、原料食肉類の表面側をマイクロ波加熱によって加熱してタンパク質変性層を形成することにより、保形力の高い成形原料食肉類を連続して製造することができ、大量生産が可能になっている。
【0007】
しかしながら、特許文献1には原料食肉類にマイクロ波加熱を行った後、更なる成形加工を行うことについては記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3709479号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記特許文献1の食肉類加工原料の成形方法により得られる成形された原料食肉類に対して、更に成形加工を行う工程が追加されたことを特徴とする食肉類加工品の製造方法、及び食肉類加工品の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記特許文献1の食肉類加工原料の成形方法により得られる成形された原料食肉類を、長手方向に切り込みを入れ、マイクロ波照射することによって、魚を開いたような形状を作成でき、鰻や穴子の白焼き状態を実現できるという知見を得た。本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次の食肉類加工品の製造方法、及び食肉類加工品の製造装置を提供すものである。
項1.以下の(A)〜(D)工程を含む食肉類加工品の製造方法:
(A) 略円筒状の搬送管に原料食肉類を圧送しつつ、ジュール加熱により該原料食肉類をタンパク質変性温度以下の温度まで予備加熱する工程、
(B) マイクロ波加熱によって上記予備加熱された原料食肉類の表面側に保形性を付与する程度にタンパク質変性層を形成する工程、
(C) B工程で得られた保形性が付与された原料食肉類の長手方向に切り込みを入れる工程、及び
(D) C工程で得られた原料食肉類をマイクロ波加熱によって全体的に加熱固化する工程。
項2.前記原料食肉類が食肉のあらびき又は練り身である、項1に記載の製造方法。
項3.食肉類加工品の製造装置であって、
原料食肉類を成形する略円筒状の搬送管と、
上記原料食肉類を搬送管内を連続的に圧送する圧送手段と、
電気絶縁性の上記搬送管に取り付けられ、上記原料食肉類への通電に基づくジュール熱によって、連続圧送下に通過する原料食肉類を予備加熱するジュール加熱手段と、
上記搬送管を覆うハウジングに取り付けられ、上記搬送管内を連続圧送される予備加熱された原料食肉類の表面側にマイクロ波加熱によって保形性付与に必要な程度にタンパク質変性層を形成するマイクロ波加熱手段と、
保形性が付与された原料食肉類の長手方向に切り込みを入れる手段と、
切り込みを入れられた原料食肉類をマイクロ波加熱によって全体的に加熱固化するマイクロ波加熱手段と
を備えたことを特徴とする食肉類加工品の製造装置。
項4.前記原料食肉類が食肉のあらびき又は練り身である、項3に記載の製造装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の食肉類加工品の製造方法及び製造装置によれば、鶏肉や豚肉等の食肉類を用いて鰻、穴子の白焼き、魚の開き等の自然な外観を有した加工食品を連続して大量生産することが可能になる。また、この加工食品を更にタレを付けて焼くことで、鰻や穴子の蒲焼きの外観を有した加工食品とすることもできる。
【0012】
本発明の製造方法により製造された食肉類加工品は、食肉類が原料となっているため、魚臭さが無く、魚が苦手な人であっても食することが可能である。また、本発明の食肉類加工品は、厚さが薄くなっているので熱が通りやすく加熱しやすく、このような形状は日本古来の飯の上に載せて食べる形式の食事には適しているものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】保形性が付与された原料食肉類に切り込みを入れる工程を表す図である。(I)原料食肉類の外周部がマイクロ波加熱でタンパク質変性しているが、中央部は未変性状態となっている (II) 原料食肉類のタンパク質変性層の一箇所を完全に切断するように切り込みを入れている (III)切断後、マイクロ波加熱することで魚を開いたような形状(鰻や穴子の白焼き状態)が作製されている
【図2】保形性が付与された原料食肉類の長手方向に切り込みを入れる工程を表す図である。
【図3】本発明の食肉類加工品の製造に用いられる分割器の側面図である。
【図4】本発明の食肉類加工品の製造に用いられる分割器の裏面図である。
【図5】本発明の製造方法により作成される鰻の蒲焼きの外観を有した食肉類加工品の斜視図である。
【図6】本発明の製造方法により作成される鰻の蒲焼きの外観を有した食肉類加工品の断面図である。
【図7】本発明の食肉類加工品の製造装置の正面図である。
【図8】本発明の原料食肉類のマイクロ波加熱手段の一部破断した側面図である。
【図9】本発明の食肉類加工品の製造に用いられるリング状電極付き搬送管の斜視図である。
【図10】本発明の食肉類加工品の製造に用いられる板状電極付き搬送管の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の食肉類加工品の製造方法、及び食肉類加工品の製造装置について詳細に説明する。
【0015】
食肉類加工品の製造方法
本発明の食肉類加工品の製造方法は以下の(A)〜(D)工程を含むことを特徴とする:
(A) 略円筒状の搬送管に原料食肉類を圧送しつつ、ジュール加熱により該原料食肉類をタンパク質変性温度以下の温度まで予備加熱する工程、
(B) マイクロ波加熱によって上記予備加熱された原料食肉類の表面側に保形性を付与する程度にタンパク質変性層を形成する工程、
(C) B工程で得られた保形性が付与された原料食肉類の長手方向に切り込みを入れる工程、及び
(D) C工程で得られた原料食肉類をマイクロ波加熱によって全体的に加熱固化する工程。
【0016】
以下、各工程について説明する。
【0017】
・A工程
A工程では、略円筒状の搬送管に原料食肉類を圧送しつつ、ジュール加熱により該原料食肉類をタンパク質変性温度以下の温度まで予備加熱する。
【0018】
原料食肉類に使用する肉の種類としては、例えば鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉等やこれらを混合したものが挙げられ、原料食肉類には、好ましくはこれらの肉をあらびきや練り身にしたものを使用する。原料食肉類は、食品に一般的に用いられる安定剤、酸味料、pH調整剤、香料、着色料、酸化防止剤等の添加材料を所定の割合で含んでいてもよく、また味付けがされたものであってもよい。
【0019】
略円筒状の搬送管に原料食肉類を圧送することで、原料食肉類を略円筒状に成形することができる。略円筒状とは、断面が真円のものも含み、断面が楕円形である場合、短軸に対する長軸の長さの比は、例えば鰻の蒲焼きや穴子の蒲焼きであれば、1より大きく2以下であることが好ましい。断面が真円である場合、直径は好ましくは10〜100 mm、より好ましくは30〜50 mmである。断面が楕円形状である場合は、長径は好ましくは20〜100 mm、より好ましくは30〜60 mmであり、短径は好ましくは10〜80 mm、より好ましくは20〜40 mmである。このように略円筒状にすることで以下のC工程で切り込みを入れた際に、魚を開いたような形状とすることができる。
【0020】
ジュール加熱とは、原料食肉類が搬送管を通過するときに原料食肉類に電流を流して、原料食肉類を自己発熱させることである。ジュール加熱は、原料食肉類全体をタンパク質変性温度以下の温度まで加熱できる条件で行えばよく、予備加熱の温度は使用する原料食肉類のタンパク質変性温度により適宜選択する。
【0021】
・B工程
B工程では、マイクロ波加熱によって上記予備加熱された原料食肉類の表面側に保形性を付与する程度にタンパク質変性層を形成する。
【0022】
マイクロ波加熱により、予備加熱された原料食肉類の表層が加熱され、原料食肉類の表層部のタンパク質が変性し固化する。その際、マイクロ波が原料食肉類の各方面から当たるようにすることで、原料食肉類の外側にムラが無いように固める。マイクロ波の照射量や照射時間は、上記タンパク質変性層を形成できる範囲で適宜設定する。
【0023】
このようにして得られた原料食肉類のタンパク質変性層は型崩れしない厚みになる。すなわち、ジュール加熱で原料食肉類を予備加熱して原料全体の温度を上げた後にマイクロ波を浸透させるので、原料食肉類の表面から比較的深い部位までタンパク質変性温度にすることができる。したがって、原料食肉類の表層部となるタンパク質変性層を厚くでき、原料食肉類の保形力を高めることができる。
【0024】
このように、ジュール加熱は通電加熱であるために原料食肉類の内部までエネルギーが伝わり、マイクロ波加熱のマイクロ波は原料食肉類の内部まで浸透しないというそれぞれの加熱特性に着目し、これらを有効に利用することにより、径が30mm以上の大きなブロック状の食肉類の原料食肉類の成形も可能となる。
【0025】
・C工程
C工程では、B工程で得られた保形性が付与された原料食肉類の長手方向に切り込みを入れる。
【0026】
B工程で得られた保形性が付与された原料食肉類は、外側については固められているが、中央部はタンパク質が変性しておらず固化していない。そのため、図1に示すように、保形性が付与された原料食肉類のタンパク質変性層の一箇所を切断することで、保形性が付与された原料食肉類を開くことができる。その際、切り込みを入れられた食肉類がスムーズに開くようにする工程があることが好ましい。本工程の具体例としては、例えば、図2に示す工程が挙げられる。図2の分割器10の側面図が図3、裏面図が図4である。
【0027】
この切り込みを入れる際に用いる器具は、タンパク質変性層を切断できる器具であれば特に限定されない。
【0028】
・D工程
D工程では、C工程で得られた原料食肉類をマイクロ波加熱によって全体的に加熱固化する。
【0029】
マイクロ波の照射量や照射時間は、タンパク質の未変性部分を固化できる範囲で適宜設定する。
【0030】
本工程で、原料食肉類のタンパク質未変性部分をマイクロ波加熱によって固化させることにより、魚を開いたような形状を形成でき、鰻や穴子の白焼き状態を実現できる。これに更にタレを付けて焼くことで、図5及び6に示すような鰻の蒲焼きや穴子の蒲焼きの外観を有した加工食品とすることもできる。また、タレを内添することで、タレ付け工程を省略することができる。また、C工程のタンパク質変性層の切断の方法を調節等することにより、ホッケ、アジ、さんま等の各種魚の開きの形状を形成することも可能である。
【0031】
このようにして製造される食肉類加工品は、食肉類を主原料としているため、魚臭さが無く、魚が苦手な人であっても食することが可能である。
【0032】
食肉類加工品の製造装置
本発明の食肉類加工品の製造装置は、
原料食肉類を成形する略円筒状の搬送管と、
上記原料食肉類を搬送管内を連続的に圧送する圧送手段と、
電気絶縁性の上記搬送管に取り付けられ、上記原料食肉類への通電に基づくジュール熱によって、連続圧送下に通過する原料食肉類を予備加熱するジュール加熱手段と、
上記搬送管を覆うハウジングに取り付けられ、上記搬送管内を連続圧送される予備加熱された原料食肉類の表面側にマイクロ波加熱によって保形性付与に必要な程度にタンパク質変性層を形成するマイクロ波加熱手段と、
保形性が付与された原料食肉類の長手方向に切り込みを入れる手段と
切り込みを入れられた原料食肉類をマイクロ波加熱によって全体的に加熱固化するマイクロ波加熱手段とを備えたことを特徴としている。
【0033】
図7のように、食肉類加工品の製造装置1は、原料食肉類の搬送管2と、搬送管2の上流側に位置するジュール加熱手段3と、搬送管2に設けられるマイクロ波加熱手段4と、原料食肉類をジュール加熱手段3の上流側から下流側に向けて圧送するミートポンプ5とを備えている。
【0034】
この食肉類加工品の製造装置1は、以下に述べるように好ましくは食肉のあらびきや練り身である原料食肉類を略円筒状に成形すると共に内部加熱により原料食肉類の表面側をタンパク質変性させて固化し、切り込みを入れ、加熱固化し、かつ、この食肉類加工品の製造を連続的に行えるようになっている。
【0035】
ここで、略円筒状とは、断面が真円のものも含み、断面が楕円形である場合、内面の短軸に対する長軸の長さの比は、例えば鰻の蒲焼きや穴子の蒲焼きを作製するのであれば、1より大きく2以下であることが好ましい。断面が真円である場合、内面の直径は好ましくは10〜100 mm、より好ましくは30〜50 mmである。断面が楕円形状である場合は、内面の長径は好ましくは20〜100 mm、より好ましくは30〜60 mmであり、内面の短径は好ましくは10〜80 mm、より好ましくは20〜40 mmである。
【0036】
ジュール加熱手段3は、図9に示すように、一定周波数の交流電源に接続されたリング状電極7を搬送管2aに取り付けて構成され、原料食肉類が搬送管2aの電極7間を通過するときに原料食肉類に電流が流れて原料食肉類を自己発熱させるものである。
【0037】
ジュール加熱手段3は、図10のように、相互に対抗した位置で搬送管2aの軸線方向に沿って延びる板状電極7Aを使用しても良い。搬送管2aの材質については、電気絶縁性を有する種々の合成樹脂やセラミックスを使用することができる。また、搬送管2a内において電極の内面には、少なくとも電極間の通電を妨げない程度の導電性を有する合成樹脂等の保護層を設けてもよい。
【0038】
ジュール加熱手段3の加熱条件は、原料食肉類全体がタンパク質変性温度以下の温度まで予備加熱できるように設定されている。なお、予備加熱の温度制御は、ジュール加熱後の原料食肉類の温度を温度センサで検出し、この検出温度に基づいてジュール加熱手段3を制御することにより行う。
【0039】
図7及び図8のように、マイクロ波加熱手段4は、搬送管2の外周をハウジング8で覆って搬送管2の外周とハウジング8との間に空間を形成すると共に、ハウジング8にマイクロ波を発生させるマグネトロン9を取り付けて構成されている。
【0040】
搬送管2の基端はミートポンプ5の原料食肉類吐出口に接続され、加熱搬送管2の先端は図7に示すベルトコンベア11に開口している。図2のように、分割器10は、保形性が付与された原料食肉類の長手方向に切り込みを入れる位置に取り付けられている。図3及び図4のように、分割器10には、切り込みを入れられた原料食肉類がスムーズに開くためのガイドが取り付けられていても良い。
【0041】
図7のように、マイクロ波加熱手段4aは、ベルトコンベア11の外周をハウジング8で覆ってベルトコンベア11の外周とハウジング8との間に空間を形成すると共に、ハウジング8にマイクロ波を発生させるマグネトロン9を取り付けて構成されている。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。しかし、本発明はこれら実験例になんら限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は、特に断らない限り、「重量部」を示す。
【0043】
実施例1
皮なし鶏ムネ肉と豚脂肪を異物除去した後、以下のように味付けした。
【0044】
味付けは鶏ムネ肉60部と豚脂肪10部を8mm目でチョッパーでミンチ状にしたものに、全卵5部、食塩1部、砂糖2部、本みりん2部、アスコルビン酸ナトリウム0.02部、グルタミン酸ナトリウム0.6部及び水19.38部を加え、混練して生地を作成した。
【0045】
作成した生地をジュール加熱装置で50V5Aで生地温度が40℃に均一に加熱されるまで加熱を行った。ジュール加熱後マイクロ波加熱で表面外周部が7mm程度加熱変性するようにマイクロ波を全方向から照射した。加熱の筒は直径30mmの真円状のものを使用した。
【0046】
表面が7mm程度固化し、中央部16mm程度がタンパク質未変性な筒状のものに長手方向に底部7mmを切らないように切れ込みを入れ、鰻の開いた形状を形成した。形成後、全体にマイクロ波を照射し、外周部を加熱固化した。加熱固化したものを長さ12cmに定長で切断した。切断したものを炭火で両面を返しながら中心温度が70℃になるまで焼き、鰻の白焼状の食品を作成した。
【0047】
冷却後フライパンにて市販の鰻のたれで絡め焼いて鰻の蒲焼状の食肉製品を作成した。
完成した製品を温めた飯の上に載せて食した。魚の臭いのない蒲焼風の食感を有していた。
【0048】
実施例2
豚もも肉(表面脂肪7mm)と豚脂肪を異物除去した後、以下のように味付けした。
【0049】
味付けは豚もも肉60部と豚脂肪10部を16mm目でチョッパーでミンチ状にしたものに、乾燥卵白末2部、食塩1部、砂糖2部、本みりん2部、アスコルビン酸ナトリウム0.02部、グルタミン酸ナトリウム0.6部、ピロリン酸ナトリウム0.2部及び水22.18部を加え、混練して生地を作成した。
【0050】
作成した生地をジュール加熱装置にて50V5Aで生地温度が40℃に均一に加熱されるまで加熱を行った。ジュール加熱後マイクロ波加熱で表面外周部が7mm程度加熱変性するようにマイクロ波を全方向から照射した。加熱の筒は長径40mm短径20mmの楕円状のものを使用した。
【0051】
表面が7mm程度固化し、中央部26mm程度がタンパク質未変性な楕円筒状のものに長手方向に底部7mmを切らないように切れ込みを入れ、ホッケの開いた形状を形成した。形成後、全体にマイクロ波を照射し、外周部を加熱固化した。加熱固化したものを長さ15cmに定長で切断した。切断したものを湿度80%の温度100℃の熱風で中心温度が70℃になるまで乾燥し、ホッケの開き状の食品を作成した。冷却後、ガスコンロにて焼いた。
【0052】
完成した製品を食した。魚の臭いのないホッケのひらき風の食感を有していた。
【符号の説明】
【0053】
2 搬送管
3 ジュール加熱手段
4 マイクロ波加熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)〜(D)工程を含む食肉類加工品の製造方法:
(A) 略円筒状の搬送管に原料食肉類を圧送しつつ、ジュール加熱により該原料食肉類をタンパク質変性温度以下の温度まで予備加熱する工程、
(B) マイクロ波加熱によって上記予備加熱された原料食肉類の表面側に保形性を付与する程度にタンパク質変性層を形成する工程、
(C) B工程で得られた保形性が付与された原料食肉類の長手方向に切り込みを入れる工程、及び
(D) C工程で得られた原料食肉類をマイクロ波加熱によって全体的に加熱固化する工程。
【請求項2】
前記原料食肉類が食肉のあらびき又は練り身である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
食肉類加工品の製造装置であって、
原料食肉類を成形する略円筒状の搬送管と、
上記原料食肉類を搬送管内を連続的に圧送する圧送手段と、
電気絶縁性の上記搬送管に取り付けられ、上記原料食肉類への通電に基づくジュール熱によって、連続圧送下に通過する原料食肉類を予備加熱するジュール加熱手段と、
上記搬送管を覆うハウジングに取り付けられ、上記搬送管内を連続圧送される予備加熱された原料食肉類の表面側にマイクロ波加熱によって保形性付与に必要な程度にタンパク質変性層を形成するマイクロ波加熱手段と、
保形性が付与された原料食肉類の長手方向に切り込みを入れる手段と、
切り込みを入れられた原料食肉類をマイクロ波加熱によって全体的に加熱固化するマイクロ波加熱手段とを備えたことを特徴とする食肉類加工品の製造装置。
【請求項4】
前記原料食肉類が食肉のあらびき又は練り身である、請求項3に記載の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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