説明

飲料カートリッジ受容部開閉機構を有する飲料調合器

開状態及び閉状態を採りうる第1及び第2部分並びにアクチュエータを備える飲料調合システムを提供する。第1及び第2部分の内側にはカートリッジ受容部があり、そこには飲料を淹れるためのカートリッジ、例えばシングルサーブ用の使い捨てカートリッジを入れる。アクチュエータには第1連結部材を、第1部分若しくは第2部分(又はそれらを支持するフレーム)には第2連結部材をそれぞれ固定配設し、両連結部材を物理的に接触させる。アクチュエータを作動させると第1及び第2連結部材が相対運動し、第1及び第2部分の状態が開状態閉状態間で切り替わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料調合(beverage forming)システム、例えばシングルサーブコーヒー抽出器のように使い捨て型飲料カートリッジを使用するものに関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、飲料調合システムの中には使い捨て型飲料カートリッジを用いて飲料を淹れるものがある。例えば特許文献1に記載の成分抽出装置は、コーヒー等の飲料を1杯ずつ淹れるのに適している。この装置は、支持用枢軸を介し第1支持部材に第2支持部材を可枢動連結し、その第2支持部材に更に操作レバーを可枢動連結し、更にトラクションアームの一端を連結用枢軸を介して操作レバーに、また他端を第1支持部材にそれぞれ可枢動連結した構成を有している。従って、そのレバーの枢軸を中心に操作レバーを回動させると、操作レバーとトラクションアームの働きによって、第1及び第2支持部材の状態が開状態閉状態間で切り替わる。
【0003】
【特許文献1】米国特許第6698332号明細書
【特許文献2】米国特許第7165488号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0002913号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0124736号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0182248号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0132891号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2005/0106288号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2005/0235834号明細書
【特許文献9】米国特許第4581239号明細書
【特許文献10】米国特許第4644855号明細書
【特許文献11】米国特許第4738378号明細書
【特許文献12】米国特許第5272960号明細書
【特許文献13】米国特許第6009792号明細書
【特許文献14】米国特許第6047630号明細書
【特許文献15】米国特許第6050175号明細書
【特許文献16】米国特許第6490966号明細書
【特許文献17】米国特許第6584888号明細書
【特許文献18】米国特許第6725762号明細書
【特許文献19】米国特許第6748850号明細書
【特許文献20】米国特許第6763759号明細書
【特許文献21】米国特許第6799503号明細書
【特許文献22】米国特許第6857352号明細書
【特許文献23】米国特許第6904840号明細書
【特許文献24】米国特許第5649472号明細書
【特許文献25】米国特許第3007392号明細書
【特許文献26】米国特許第5794519号明細書
【特許文献27】米国特許第6655260号明細書
【特許文献28】米国特許第6857353号明細書
【特許文献29】国際公開第96/08990号パンフレット
【特許文献30】欧州特許第1559351号明細書
【特許文献31】欧州特許第1688072号明細書
【特許文献32】欧州特許第0151252号明細書
【特許文献33】欧州特許出願公開第0870457号明細書(A1)
【特許文献34】国際公開第01/30218号パンフレット(A1)
【特許文献35】国際公開第94/02059号パンフレット
【特許文献36】国際公開第98/20782号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここに、本発明の一実施形態は、(使い捨て型の)飲料カートリッジを用いて茶、コーヒーその他の飲料を淹れる飲料調合システムにて、カートリッジ受容部を形成する第1及び第2部分の状態を、そのカートリッジ受容部内に飲料カートリッジを装填できる開状態と、装填された飲料カートリッジを用い飲料を淹れることができる閉状態と、の間で切り替えるための機構であって、アクチュエータを作動させると相対運動し第1及び第2部分の状態を開状態閉状態間で切り替えるよう構成された第1及び第2連結部材を備える。アクチュエータは例えばハンドル、第1及び第2連結部材は例えばカム及びカムフォロワとする。第1連結部材は例えばハンドルに対し固定配設し、第1連結部材は例えばハンドルに対し固定配設し、そして第2連結部材は例えばフレームに対し固定配設する。こうして第1及び第2連結部材により実現される第1第2部分開閉機構は比較的簡素なものになる。例えば、第1及び第2部分の挙動制御に必要な部材の点数が少ないので製造手順が簡素になり、コストが低減され、組立対象部品点数が削減される等の効果が生じる。また、第1及び第2連結部材をそれぞれ本システムのハンドル及びフレーム(同順)と一体に形成することができるため、第1第2部分開閉機構への部品付加を避けることができる。
【0005】
本発明の他の実施形態に係る飲料調合システムは、カートリッジ受容部を形成する第1及び第2部分と、第1及び第2位置を採りうる可動なアクチュエータと、第1及び第2部分を支持するフレームと、相互接触している第1及び第2連結部材と、を備える。第1及び第2部分は、そのうち一方又は双方を他方に対して動かすことで開状態閉状態間で切り替えうるよう構成する。開状態とはカートリッジ受容部内に飲料カートリッジを送り込める状態のことであり、閉状態とは飲料カートリッジを第1及び第2部分で少なくとも部分的にくるむ状態のことである。第1連結部材は、アクチュエータを作動させると第2連結部材に対して動くようアクチュエータに対し固定配設しておく。第2連結部材は、フレーム、第1部分又は第2部分に対し固定配設しておく。この構成では、第2連結部材に対するアクチュエータ及び第1連結部材の動きに伴い、第1及び第2部分の状態が開状態閉状態間で切り替わる。第1及び第2部分の状態切替は、第1部分のみの動き、第2部分のみの動き、或いは第1,第2両部分の動きのいずれで実現してもよい。
【0006】
本発明の他の実施形態に係る飲料調合システムは、蓋となる部分を有する第1部分と、カートリッジ受容部を有する第2部分と、第1及び第2位置を採りうる可動なハンドルと、第1及び第2部分を支持するフレーム(省略も可能)と、カム及びカムフォロワと、を備える。第1及び第2部分は、そのうち一方又は双方を他方に対して動かすことでその状態を開状態閉状態間で切り替えられるよう構成する。開状態とはカートリッジ受容部に飲料カートリッジを置ける状態のことであり、閉状態とは飲料カートリッジを蓋とカートリッジ受容部とで少なくとも部分的にくるむ状態のことである。カム及びカムフォロワのうち一方は、ハンドルが動くとカムフォロワがカムに沿って動くよう、ハンドルに対し固定配設する。他方は、カムに対するカムフォロワの動きによって第1及び第2部分が相対運動するよう、フレーム、第1部分又は第2部分に連結させる。この構成では、ハンドルの動きによってカム及びカムフォロワの相対運動が生じ、ひいては第1及び第2部分の状態が開状態閉状態間で切り替わる。
【0007】
本発明の他の実施形態に係る飲料調合システムは、蓋となる部分を有する第1部分と、カートリッジ受容部として機能する第2部分と、第1及び第2部分を支持するフレーム手段と、相互接触する第1及び第2部材で第1及び第2部分を連動させその状態を開状態閉状態間で切り替える手段と、第1部材に対し固定配設されておりフレーム手段、第1部分又は第2部分に対し固定配設されている第2部材に対し第1部材を動かすアクチュエータ手段と、を備える。第1及び第2部分は、そのうち一方又は双方を他方に対して動かすことでその状態を開状態閉状態間で切り替えうるよう構成する。開状態とはカートリッジ受容部に飲料カートリッジを置ける状態のことであり、閉状態とは飲料カートリッジを蓋とカートリッジ受容部で少なくとも部分的にくるむ状態のことである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の諸実施形態について別紙図面を参照して説明する。この説明と別紙特許請求の範囲を参照することで、上述のものを含め本発明の特徴事項について好適に理解することができよう。各図中、同様の部材には同一の参照符号を付してある。
【0009】
なお、以下の説明では本発明の構成について図示実施形態を参照して説明するが、図示実施形態以外に本発明の実施形態がないわけではなく、図面ではむしろ本発明の実施形態が数例わかるに過ぎない。従って、本発明の構成を図示実施形態に限定して狭く解釈すべきではない。更に、本発明の特徴的構成はそれ単独でも有用であるし、特徴的構成同士を適宜組み合わせても有用である。
【0010】
図1に飲料調合システム100の側面を示す。このシステム100では、様々な種類の飲料、例えば茶、コーヒーその他の煎じ出し型飲料や液状若しくは粉状の濃縮物からの還元飲料等を淹れることができるが、ここでは本システム100を用いてコーヒーや茶を淹れる場合について説明する。このシステム100でそうした飲料を淹れる際には、まず当業界で既知の如く飲料カートリッジ1を装填し、そのカートリッジ1で生成した飲料をカップその他の適当な容器2で受けるようにする。カートリッジ1は、第1部分3及び第2部分4によって本システム100内に形成されているカートリッジ受容部に、手動又は自動で装填する。カートリッジ受容部は、例えば、その中にカートリッジ1を置けるような形状の部分を第2部分4に設けること又は第2部分4自体をそのような形状にすることによって形成する。カートリッジ1を装填したら、ハンドル5その他のアクチュエータの手動操作又は自動作動で第1部分3及び第2部分4を閉状態にし、カートリッジ1を少なくとも部分的に包み込む。図示例の場合は、ハンドル5を図中反時計回り方向に回したとき第2部分4が時計回り方向に回りまた第1部分3が反時計回り方向に回るという態で連動させ、第1部分3及び第2部分4を相対運動させることによって、第1部分3を第2部分4に嵌め合わせる。ただ、後述の通り、アクチュエータの作動に応じ第1部分3や第2部分4を動かす機構は様々な仕組みを採りうる。例えば、システム100のフレーム6例えばハウジングに対し第2部分4を不動、第1部分3を可動にしてもよいし、フレーム6に対し第1部分3を不動、第2部分4を可動にしてもよい。そのいずれでも、第1部分3及び第2部分4を閉状態にすることができる。
【0011】
この飲料調合システム100は、第1部分3及び第2部分4を閉状態にするとカートリッジ1で飲料を淹れられる状態になる。具体的には、第1部分3に設けられている1本又は複数本の注入針7等が刺さってカートリッジ1の注入側に孔が開き、カートリッジ1内に液体例えば熱湯を注入できる状態になる一方、第2部分4に設けられている1本又は複数本の抽出針43(図2参照)等が刺さってカートリッジ1の抽出側に孔が開き、液体の注入で生成される目的の飲料又はその原液を、その孔からカートリッジ外に出せる状態になる。抽出側に孔を開けるのに代えて、カートリッジ1の底部を透液性にする、カートリッジ1内への液体の加圧注入に応じてカートリッジ1の底部が開くようにする等、他の構造を採ることもできる。また、カートリッジ1は、サチェット(sachet)、ポッド、カプセル、コンテナ等の周知形態をはじめ当業界で既知の様々な形態にすることができる。例えば、レギュラーコーヒーの粉等の飲料原料を非透液性カバーでくるんだ構造にしてもよいし、更には原料への液注で生成した飲料を濾過して容器2側に出すフィルタ入りの構造にしてもよい。本件技術分野にて習熟を積まれた方々(いわゆる当業者)にはご理解頂けるように、例えば飲料原料をその両側から透液性濾紙層で挟み込んでポッド状にし、生じた飲料がその濾紙層で濾過されるカートリッジにすることもできる。
【0012】
本発明を実施するに当たっては、例えば、手動ハンドル、モータシャフト、ピニオンギア等を使用したアクチュエータに第1連結部材を固定配設し、その第1連結部材に対し第2連結部材を物理的に接触させ、更にその第2連結部材をその飲料調合システムのフレーム、第1部分又は第2部分に対し固定配設する。図1のシステム100にその種の実施形態を組み込んだ例を図2〜図5に示す。この実施形態では、フレーム6に第1枢軸31を介して第1部分3を可枢動装着し、その第1部分3にハンドル枢軸51を介してハンドル5を可枢動装着してある。また、ハンドル5には第1連結部材52を固定配設し、その第1連結部材52の一部であるカムフォロワ53をカム61に嵌めてある。カム61はスロット、グルーブ等の構造であり、例えばその種の構造を有する第2連結部材9をフレーム6に固定配設することによってフレーム6に設けてある。従って、ハンドル枢軸51を中心にしてハンドル5を回すと、その枢軸51を中心に第1連結部材52が回動し、カムフォロワ53がカム61内で動くので、フレーム6及び第2部分4に対しまた第1枢軸31を中心にして第1部分3が回動する。この第1部分3は、その一端が第1部分3にまた他端がフレーム6にそれぞれ固定されたバネ66等、適当な部材を用いて開方向に付勢しておくとよい。カム61は、ハンドル5を回すとカムフォロワ53がカム61に沿って摺動するよう構成しておく。この動きは、開状態と閉状態の中間状態におけるハンドル5即ちアクチュエータの位置を示す図3や、開状態におけるそれを示す図4から、読み取ることができる。また、第1連結部材52はハンドル5等のアクチュエータに対して動かさないのであるから両者を一体化しても差し支えない。例えば、両者を同じ型で一体成形する、両者を個別に形成し溶接、接着剤その他の締結手段で事後固定する等の手段で、両者を適宜一体化させる。カム61をフレーム6に設けるには、例えば両者を同じ型で一体成形してもよいし、前者を別途準備して後者に固定してもよい。更に、本実施形態では直状スロットにしてあるが、カム61は湾曲スロット等様々な構成にすることができる。
【0013】
図5に、図2に示した実施形態の頂面を示す。第1及び第2連結部材の個数は一組でもよいが本実施形態では二組使用しており、またそれらを図示の如く第1部分3を挟んで配設してある。このような配置にしたのは、第1枢軸31周りでフレーム6に対し回動させるときに第1部分3に作用する力をうまくバランスさせるためである。本実施形態では、更に、それら第1連結部材52間にバー54を渡しており、他方でフレーム6にはノッチ81付きバネ鋼板等によるロック器8を固定してある。これは、図2〜図4に示した要領でアクチュエータ例えばハンドル5を閉位置にしたとき、バー54がロック器8に当接し戻止され、ハンドル5が閉位置でロックされるようにするためである。但し、この当接は可解放当接であり、ハンドル5に適当な力を加えること、例えば閉位置からハンドル5を持ち上げることで、バー54・ロック器8間ロックを解除できる。また、ロック器8を形成しているバネ鋼板はフレーム6に対する固定部から第2部分4側中空部内へと長く延びており、その先端即ちノッチ81形成部位の近傍にはフレーム6の一部分62が当接して下支えしている。従って、ハンドル5を開位置から閉位置に動かすと、まずノッチ81からやや外れた個所にバー54がロック器8に当接してロック器8が下向きに撓む。この撓みによって生じる若干の抵抗に逆らいハンドル5を更に閉方向に動かすと、バー54がノッチ81に嵌る結果ロック器8の先端が上向きに跳ね戻り、ノッチ81とバー54が弾性当接した状態になる。
【0014】
なお、図2〜図5に示したロック器8はハンドル5を所望位置でロックする手段の一例に過ぎず、ハンドル5等のアクチュエータの位置を閉位置、開位置その他の位置で戻止乃至ロックする手段としてはそれ以外の様々な手段も使用できる。例えば、図示の実施形態で使用しているバー64に代わり球状突起乃至ピンを第1連結部材52の側面に取り付ける一方、それに対応する窪みをフレーム6の側壁に形成し、アクチュエータ例えばハンドル5を閉位置にしたとき、開位置にしたとき又はその双方のケースで、その突起が対応する窪みに嵌り込むようにしてもよい。球状突起乃至ピンと側壁の窪みの接触は弾性当接であるので、ハンドル5を随意にロックさせまた随意に動かすことができる。また例えば、バネ装荷型捕捉部材等の部材をカム61に設け、ハンドル5が閉位置にあるとき等にカムフォロワ53がカム61に対し所望位置に保たれるようにしてもよい。そして、ロック器8は、ハンドル5を動かしたいときユーザがロックをはずせるよう構成するとよい。例えば、ユーザがアンロックボタンを押すとハンドル5を動かせる状態になるように構成する。但し、いわゆる当業者ならば他の構成も想到しうる。
【0015】
図2〜図4に示した実施形態は、更に、第1部分3が動くと第2部分4がフレーム6に対して動くよう第1部分3と第2部分4を連動させる部材を備えている。即ち、第1部分3に設けたアーム32上のピン33を、第2部分4に設けたグルーブ42にはめ込んである。図2〜図4から読み取れるように、第1部分3を上向きに枢動させるとグルーブ42内でピン33が動き、その動きによって第2部分4が第2枢軸41を中心に且つフレーム6に対して枢動する。従って、アクチュエータ例えばハンドル5を作動させると、第1部分3がフレーム6に対して動くだけでなく、第2部分4もフレーム6に対して動くこととなる。ただ、こうして第2部分4を連動させる必要はなく、両者の一体形成等により第2部分4をフレーム6に対し不動にしてもよいことや、ユーザによる第2手段4その他の手動操作等の他手段で第2部分4を動かすようにしてもよいことも、ご理解頂きたい。同様に、第1部分3を動かすことも本発明に採り必須ではなく、ハンドル5等のアクチュエータが作動すると第1部分3ではなく第2部分4が動き第1部分3はフレーム6に対して不動な状態を保つように第1,第2部材間を連結してもよい。フレーム6に対する第1部分3のみの動き、第2部分4のみの動き、そして第1部分3及び第2部分4双方の動きのいずれも、本願でいう第1及び第2部分の相対運動乃至相対運動性に該当する。
【0016】
更に、第2連結部材9をフレーム6に対して固定配設することも必須ではなく、その代わりに第2連結部材9を第1部分3や第2部分4に設けてもよいこともご理解頂きたい。例えば、フレーム6に固定配設されているハンドル枢軸51を中心にハンドル5等のアクチュエータを枢動させると第1連結部材52が動き、それに伴い第1部分3又は第2部分4がフレーム6に対し動くよう、カム61例えばカムスロットを第1部分3又は第2部分4に設けることもできる。即ち、第2連結部材の固定先はフレーム、第1部分及び第2部分のいずれでもよい。
【0017】
図6及び図7に本発明の他の実施形態を示す。本実施形態は図2〜図5に示した実施形態と似ているが、第1,第2連結部材間の連携形態に違いがある。具体的には、ハンドル5等のアクチュエータが閉位置にあるときの第1,第2連結部材間接触位置が、本実施形態では第1部分の第1枢軸よりハンドル枢軸に近い位置にあるので、第1部分3についての“中心越え”ロック機構が形成される。この機構は、ハンドルを動かしていないのに第1部分3が不意に開いてしまうことを防ぐのに役立つ。こうした機構は高圧環境、即ちカートリッジ1への液体又は蒸気の注入等の処理の際に高圧を使用し所望の飲料を淹れる環境で有益である。
【0018】
図6及び図7に示した通り、本実施形態では、第1枢軸31を介しフレーム6に可枢動装着されている第1部分3上にアーム38があり、そのアーム38に対しアクチュエータ例えばハンドル5がハンドル枢軸51を介し可枢動装着されているので、ハンドル5を持ち上げて例えば図7中の反時計回り方向に回し、ハンドル枢軸51を中心に且つ第1部分3に対して動かすことができる。更に、そのハンドル5の両端には、相対向するよう第1連結部材52が設けられており、その第1連結部材52上にはカムフォロワ53(図ではピン)があり、そのカムフォロワ53は第2連結部材の一部たるカム61に嵌っており、そしてその第2連結部材はフレーム6に対し固定配設されている。従って、ハンドル5を持ち上げると各カムフォロワ53が対応するカム61内で動き、ハンドル枢軸51が図7中の経路511に沿って移動し、第1部分3が第1枢軸31を中心に回動する。即ち、本実施形態の動作も、第1部分3と第2部分4の間に相対運動が発生する点で、図2〜図5に示した実施形態のそれと共通している。
【0019】
ただ、両実施形態間には、アクチュエータたるハンドル5が閉位置にあるときの動作に違いがある。即ち、図7に示した実施形態では、閉位置にあるハンドル5が閉方向に付勢されハンドル枢軸51を中心に時計回り方向に回ろうとするよう、各カムフォロワ53及びその連携先カム61を構成することにより、ハンドル5が操作されていないのに第1部分3が第1枢軸31を中心にして開方向に回ってしまうおそれが少ない。第1部分3が閉状態にロックされた状態は、ハンドル5を操作して開方向に動かすまで続く。しかも、その効果を得るのに特に機構を付加する必要もない。本実施形態にてそうしたロック効果が得られるのは、カム61からカムフォロワ53に下向きに作用する力(カム61及びカムフォロワ53の噛み合いによりカム61のスロット壁に直交する方向に作用する力)の作用線531が、ハンドル5を閉位置にするとハンドル枢軸51の右側にくるためである。カム61からカムフォロワ53に対しこの位置で力が作用するとハンドル5が時計回り方向に付勢され、第1部分3に対するハンドル5の位置がロックされる。また、ハンドル5を持ち上げると作用線531の位置がハンドル枢軸51の左側に移るので、ハンドル5を持ち上げることで第1部分3を開状態にすることができる。
【0020】
図6及び図7に示した実施形態は、更に、第2部分4に接する側に向くよう第1部分3上に設けられたバネ装荷プレート36を備えている。図示の通り、このプレート36には、第1部分3からプレート36が脱落しないようその頂部にマッシュルームヘッド等を設けたガイドピン34が固定配設されており、それらのガイドピン34には、プレート36を下方即ち第2部分4方向に付勢するバネ34が装着されている。従って、第1部分3が第2部分4から離れているときには、このプレート36は第1部分3から下方に張り出し、カートリッジ1に熱湯その他の液体を注入する部材例えば注入針7を少なくとも部分的に遮蔽乃至掩蔽している。この状態から第1部分3を閉状態に近づけていくと、プレート36はある位置で第2部分4或いはその内部のカートリッジ受容部内のカートリッジ1に接触する。バネ35からプレート36に作用する力が十分強ければ、その力によってカートリッジ1が第2部分4内に押し込まれ、抽出針43等の部材によるカートリッジ底部への穿孔等が生じる。更に、その接触先の第2部分4によって、プレート36がバネ36からの力に逆らい上方即ち第1部分3方向へと付勢されるので、アクチュエータ例えばハンドル5が閉方向に向かっている(或いは現に閉位置にある)ときには、その動きに逆らう上向きの力が第1部分3に作用する。第1部分3に上向きの力が作用しているので、ユーザはハンドル5を閉位置近くまで押し下げたときに操作抵抗を感じ、また更に押し下げハンドル5を閉位置でロックするに当たり作用線531がハンドル枢軸51の前方(図7では右側)に移るとき軽いスナップ感乃至ロック感を受ける。なお、このハンドルロック動作は他の形態、例えばフレーム6上に(バネ66に類する)弾性部材を設け、閉状態又はそれに近い状態の第1部分3に対しその弾性部材で上向きの力を加える形態や、ねじりバネによって第1枢軸31周りで第1部分3にモーメントを作用させる形態等でも、実現することができる。
【0021】
また、図2〜図5に示した実施形態と同じく図6及び図7に示した実施形態でも、第2部分4を第2枢軸41周りで回動させることができる。この枢動動作は例えば手動操作で行う。具体的には、ユーザによる手動操作等でアクチュエータたるハンドル5を持ち上げて開位置にし、次いでやはり手動操作で第2部分4を前傾させて図4と同様の姿勢にすることで、第2部分4やその中のカートリッジ受容部に容易にアクセス可能な状態にする。また、図2〜図5に示した連結機構と同様の機構等で第2部分4を動かすようにしてもよいし、第2部分4をフレーム6に固定してしまってもよい。
【0022】
図6及び図7に示した実施形態は、更にカートリッジ取り出し機能を有している。これは、手動操作や第1部分3・第2部分4間連動機構の動作等で、第2枢軸41を中心に第2部分4を前傾させる際に、カートリッジ1をより取り出しやすくする機能である。図7に示すように、第2部分4内のカートリッジ受容部44をその枢軸45を介し第2部分4に可枢動装着し、その受容部44を図示しないバネその他の部材によって時計回り方向に常時付勢してあるので、受容部44が図7に示す位置にある状態で第2部分4を前傾させると、フレーム6に取り付けたピック65と受容部枢軸45上のタブとの引っかかりにより受容部44が引き留められて第2部分4に対し反時計回り方向に回り、カートリッジ1が受容部44から分離する。第2部分4を更に急角に前傾させると、ピック65が枢軸45からはずれて受容部44が解放されるので、バネ付勢等によって受容部44が時計回り方向に回り、第2部分4に対し図7に示した角度まで戻る。なお、こうしたカートリッジ取り出し機能は他の形態で実現することもできるし、その機能自体を省略することもできる。後者の場合、ユーザが手動でカートリッジを取り出す操作等が必要になろう。
【0023】
図8に本発明の他の実施形態におけるカム61の構成、特にハンドル操作時にユーザが感じる非円滑感を抑えられるよう変形した構成を示す。本実施形態におけるカム61はスロット状であり、そのスロットの一部は片持ち梁部分611によって形成されている。この片持ち梁部分611はカム61の前寄り端に位置しており、カムフォロワ53から下向きに適当な力が加わったとき、例えばハンドル5が閉方向に強く押され図8中のハンドル枢軸51を中心に反時計回りの方向に回ったときや、第1部分3を開状態にするためハンドル5が手早く引き上げられたときに撓むよう、構成されている。片持ち梁部分611が撓むので、第1部分3のダンプ動作やハンドル5の挙動の“ぴくぴく”乃至“かちかち”感が減り、閉状態間際の区間で第1部分3がより円滑に動くようになる。また、図8に示すようにカムフォロワ53をローラ状の部材等で構成するとカムフォロワ53とカム61の間の摩擦が減る。更に、ロック器8に倣い皿状部分乃至窪みを片持ち梁部分611に設けることで、その移動経路上の特定点でカムフォロワ53を捕捉すること、例えばハンドル5が閉位置にあるとき捕捉することができる。即ち、カムフォロワ53が嵌るこうした窪みを設けることによって、ハンドル5を所望の一個所又は複数個所で戻止乃至ロックする機構を形成することができる。
【0024】
図9及び図10に本発明の更に他の実施形態を示す。この実施形態は図2〜図5及び図6〜図7に示した各実施形態と類似しているが、ハンドル5に対する中心越えロック機構に違いがある。まず、本実施形態におけるカム61は、フレーム6とは別体に形成されフレーム6に固定される部材例えば第2連結部材9に形成されている。例えば、金属板にスロットを形成し、その金属板を1個又は複数個の締結具でフレーム6に装着することによって、スロット状のカム61が配置されている。また、図2〜図5に示した実施形態に倣い、カム61や第1枢軸31用マウントをフレーム6の一部として形成する形態でカム61を設けてもかまわない。本実施形態で重要なのは、中心越えハンドルロック機構が形成されるようスロット61及びカムフォロワ53が工夫されていること、即ちハンドル5が閉位置にあるときカム61からカムフォロワ53への力(図10では概ね右下向きに働く力)の作用線531がハンドル枢軸51の上を通って右側に抜けるよう、カム61及びカムフォロワ53が構成されていることである。具体的には、カム61を直線状にし全体として後傾させることで、カム61からカムフォロワ53に加わる力の作用線531を、例えばそのカム61のスロット壁に対して直交させている。従って、ハンドル5が回されないまま閉状態の第1部分3に上向きの力が加わっても、それに逆らう力がカム61からカムフォロワ53ひいてはその固定先たるハンドル5に加わり、図10でいえば時計回り方向に回るようハンドル5が付勢されるため、ハンドル5が閉状態に保たれる。また、第1部分3を開状態に切り替えるにはハンドル5を持ち上げればよく、そのための操作及び動作は図6〜図7に示した実施形態と同様である。即ち、第1部分3を開状態に切り替えるには、ハンドル5を持ち上げて線531を移動させ、ハンドル枢軸51の下を通って左側に抜ける位置にすればよい。また、本実施形態では、第1連結部材52それぞれにアームを2個ずつ設け、その第1連結部材52に対応するカム61を当該2個のアームで挟み込み、そのカム61のスロットを通してそれら2個のアーム間にピンを渡し、そのピンを以てカムフォロワ53としている。こうすることで、ハンドル5及び第1連結部材52を第1部分3に対し例えば1本のロッドで実装することができる。
【0025】
なお、上述した各実施形態では、アクチュエータたるハンドルを第1部分に可枢動装着し、ハンドルを動かすと第1部分がフレームに対して動くようにしてあるが、本発明はそれとは別の仕組みで実施することもできる。例えば、手動操作型のハンドルではなく動力駆動型のアクチュエータを使用し、押しボタン操作、飲料調合手順終了といった入力、条件等に応じアクチュエータを稼働させることで、第1部分及び第2部分を相対運動させるようにしてもよい。また、第1及び第2連結部材をカムとそれに当接するカムフォロワの組合せにする必要もなく、他種部材によって第1及び第2連結部材を実現すること、例えば一対のギアで実現することやラック(直状ラックでも湾曲ラックでも可)とピニオンの組合せで実現することも可能である。更に、アクチュエータを第1部分に可枢動装着する必要もなく、フレーム、第1部分若しくは第2部分又はそれらのうち何個かに可動装着すること、例えば可枢動装着、可摺動装着その他の可動形態で装着することもできる。加うるに、第1部分をフレームに対して可動にする必要もないので、第1部分をフレームに対して不動に保つ一方第2部分を可動にすることも可能である。更には、第1及び第2部分を支持するフレームがない形態で本発明を実施すること、即ち第1及び第2部分を支持する関与部材抜きで第1部分と第2部分を連結しそれらを相対運動させることもできる。そして、上述の諸実施形態では、下側にある第2部分にカートリッジ受容部を設け、第1部分に設けた蓋でそれを覆うようにしているが、第1部分にカートリッジ受容部を設ける構成や、第1部分と第2部分の協働でカートリッジ受容部を形成する構成にすることもできる。加えて、第1及び第2部分を上下に並べて配置する必要もなく、それらを互いに横並びに配置すること等も可能である。
【0026】
そして、いわゆる当業者であれば、本発明の実施形態(群)に関する以上の説明を参照することで、本発明の変形、改造、改良等に該当するものを様々にまた速やかに想到することができよう。そうした変形、改造、改良等も本発明の一形態であり、本発明の思想及び技術的範囲に含まれるものとする。即ち、本願明細書及び図面に示した構成は単なる例であるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】飲料カートリッジ装填途中の飲料調合システムの側面図である。
【図2】一実施形態に係る飲料調合システム、特に第1第2部分閉状態を示す図である。
【図3】第1第2部分半開状態を示す図である。
【図4】第1第2部分開状態を示す図である。
【図5】図2〜図4に示した実施形態の頂面図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
【図7】図6に示した実施形態の側面図である。
【図8】一実施形態における可動部分付きカムを例示する図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図10】図9に示した実施形態の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ受容部を形成する第1及び第2部分であって、そのうち一方又は双方を他方に対して動かすことで、カートリッジ受容部内に飲料カートリッジを送り込める開状態及び飲料カートリッジを少なくとも部分的にくるむ閉状態にすることが可能な第1及び第2部分と、
第1及び第2位置を採りうる可動なアクチュエータと、
第1及び第2部分を支持するフレームと、
相互接触している第1及び第2連結部材であって、アクチュエータを作動させると第2連結部材に対して動くよう第1連結部材がアクチュエータに対し固定されており、また第2連結部材がフレーム、第1部分又は第2部分に対し固定されている第1及び第2連結部材と、
を備え、第2連結部材に対するアクチュエータ及び第1連結部材の動きに伴い第1及び第2部分の状態が開状態閉状態間で切り替わる飲料調合システム。
【請求項2】
請求項1記載の飲料調合システムであって、アクチュエータが、第1部分に可枢動装着されたハンドルを有する飲料調合システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の飲料調合システムであって、第1及び第2連結部材がカム及びカムフォロワを有する飲料調合システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項記載の飲料調合システムであって、第2連結部材がフレームに対し固定の飲料調合システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項記載の飲料調合システムであって、第1又は第2部分がフレームに対し固定の飲料調合システム。
【請求項6】
請求項1記載の飲料調合システムであって、アクチュエータがハンドルを、第1連結部材がハンドルに対し固定のカムフォロワを、そして第2連結部材がフレームに対し固定のカムスロットを、それぞれ有する飲料調合システム。
【請求項7】
請求項6記載の飲料調合システムであって、ハンドルがハンドル枢軸を介し第1部分に、また第1部分が第1枢軸を介しフレームに、それぞれ可枢動装着されており、第1部分に対しハンドルを回動させるとカムフォロワがカムスロットに対し動いて第1部分がフレームに対し枢動する飲料調合システム。
【請求項8】
請求項7記載の飲料調合システムであって、第1部分の動きに応じ第2部分がフレームに対し動くよう第1及び第2部分を連動させる部材を備える飲料調合システム。
【請求項9】
請求項8記載の飲料調合システムであって、第2部分が第2枢軸を介しフレームに可枢動装着された飲料調合システム。
【請求項10】
請求項9記載の飲料調合システムであって、ハンドルを第1位置にすることで第1及び第2部分を閉状態にすると、第1枢軸よりもハンドル枢軸に近い場所で、カムフォロワがカムスロットに当接する飲料調合システム。
【請求項11】
請求項7記載の飲料調合システムであって、ハンドルを第1位置にしたときハンドルの一部に可解放当接するロック器を備える飲料調合システム。
【請求項12】
請求項1記載の飲料調合システムであって、アクチュエータが、ハンドル枢軸を介し第1部分に可枢動装着されたハンドルを有し、第1部分が、第1枢軸を介しフレームに可枢動装着されており、更に、ハンドルを第1位置にすることで第1及び第2部分を閉状態にすると、第1枢軸よりもハンドル枢軸に近い場所で、第1連結部材が第2連結部材に当接する飲料調合システム。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項記載の飲料調合システムであって、第1及び第2部分が、その状態を開状態閉状態間で切り替える動作でカートリッジ受容部内の飲料カートリッジに穿孔する部材を、それぞれ少なくとも1個有する飲料調合システム。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項記載の飲料調合システムであって、第1部分が第2部分に被さる蓋、第2部分がカートリッジ受容部をそれぞれ有し、第1及び第2部分が閉状態のとき蓋及びカートリッジ受容部によって飲料カートリッジが少なくとも部分的にくるまれる飲料調合システム。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項記載の飲料調合システムであって、第1部分第2部分間にあり第1及び第2部分を開方向に付勢する部材を備える飲料調合システム。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項記載の飲料調合システムであって、アクチュエータに対する中心越えロック機構を形成するよう第1及び第2連結部材が構成された飲料調合システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−531132(P2009−531132A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502856(P2009−502856)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/006914
【国際公開番号】WO2007/111884
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(500430109)コリグ インク (15)
【Fターム(参考)】