説明

飲料供給装置

【課題】飲料原料を攪拌羽根により攪拌して調理する飲料供給装置において、その攪拌羽根を確実に設定した回転数になるように制御し、原料の溶け残り等の攪拌不足を防止する。
【解決手段】飲料攪拌装置20により調理した飲料を容器に注ぎ出す飲料供給装置1であって、飲料攪拌装置20は、飲料原料と湯水を攪拌、混合する攪拌容器12と、その内部の攪拌羽根15と、攪拌羽根15を駆動するPWM制御可能な攪拌モータ13と、その攪拌モータ制御手段21と、を備え、攪拌モータ制御手段21は、攪拌モータ13の回転数設定手段26と、その回転数を制御するPWM制御手段23と、その回転数を実測する回転数実測手段27と、設定された回転数と実測された回転数を比較する回転比較手段28と、を備え、PWM制御手段23は、回転比較手段の比較結果に基づいて、攪拌モータ13の回転数が設定された回転数となるように、供給する電圧の通電率を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料の原料と湯水を攪拌、混合して飲料を調理する飲料攪拌装置を備えた飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の飲料供給装置としては、先に公開された特開2008−217056号公報(特許文献1)に記載されるような飲料提供装置が知られている。この特許文献1に記載される飲料提供装置は、飲料の原料と湯水を攪拌、混合して飲料を調理するミキシングボールを備えるものであって、その飲料を攪拌するための攪拌羽根を回転駆動する攪拌モータの回転速度(回転数)を、マニュアル設定できると共に、調理する飲料の量に応じて自動でその回転速度を設定する自動モードに設定することができるものである。そして、自動モードが設定されている場合は、ミキシングボールにおいて攪拌、混合されて調理される飲料の量が少ないほど攪拌モータの回転速度が速くなるように設定され、また飲料の調理量が多いほど攪拌モータの回転速度が遅くなるように設定される。これによれば、ミキシングボール内で攪拌羽根を回転させて飲料を攪拌、混合して調理する際に、ミキシングボールの容量に対して飲料の調理量が比較的に多い場合は、攪拌羽根の回転速度を遅くして、ミキシングボールの内壁面に沿って水面が上昇するのを抑制し、これにより飲料がミキシングボールの上部から溢れ出すのを防止し、また、ミキシングボールの容量に対して飲料の調理量が比較的に少ない場合は、攪拌羽根の回転速度を速くして攪拌、混合し、短時間で飲料を調理することができる。すなわち、ミキシングボールの容量や飲料の調理量などに対応して、攪拌モータの回転速度の適切に設定でき、ミキシングボール内の飲料を適切に攪拌できるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−217056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載される飲料提供装置において、攪拌モータの回転速度を制御する場合は、直流モータである攪拌モータに供給する電圧をパルス化し、その通電期間と通電休止期間との割合である通電率(デューティ比)を変化させ、その平均電圧を変化させることにより、回転速度を制御(PWM(Pulse Width Modulation)制御)している。なお、この通電率は、攪拌モータにおいて所定の回転速度を出力するために必要な通電率が予め定められていて、従来の飲料提供装置において攪拌モータを目標とする回転速度で回転させるとき、この回転速度に対応して定められた通電率に基づいて、その回転速度に対応する通電率が制御手段により設定されて、攪拌モータが回転駆動される。
【0005】
しかしながら、このように回転駆動される従来の攪拌モータは、その通電率を制御して結果的に出力される回転速度を設定するものであるから、供給される電圧の変動や、各飲料の粘性の相違等から生じる負荷変動等により、その実際の回転速度が設定させた回転速度にならず、飲料の原料の溶け残り等の攪拌不足が発生する問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に対応するため、飲料の原料と湯水を攪拌羽根により攪拌、混合して飲料を調理する飲料攪拌装置において、その攪拌羽根を回転駆動する攪拌モータの回転速度を、確実に設定した回転速度になるように制御し、飲料の原料の溶け残り等の攪拌不足を防止することができる飲料攪拌装置を備えた飲料提供装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、飲料攪拌装置により調理した飲料をカップ等の容器に注ぎ出す飲料供給装置であって、前記飲料攪拌装置は、飲料の原料と湯水を攪拌、混合する攪拌容器と、前記攪拌容器内に設けられた攪拌羽根と、前記攪拌羽根を回転駆動するPWM制御可能な攪拌モータと、前記攪拌モータを制御する攪拌モータ制御手段と、を備え、前記攪拌モータ制御手段は、前記攪拌モータの回転数を設定する回転数設定手段と、前記攪拌モータの回転数を制御するPWM制御手段と、前記攪拌モータの回転数を実測する回転数実測手段と、前記回転数設定手段により設定された回転数と前記回転数実測手段により実測された回転数を比較する回転比較手段と、を備え、前記PWM制御手段は、前記回転比較手段の比較結果に基づいて、前記攪拌モータの回転数が設定された回転数となるように、前記攪拌モータに供給する電圧の通電率を制御するものである。これによれば、前記攪拌モータを、設定された回転数で確実に回転することができる。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の飲料供給留装置において、前記回転数実測手段は、前記攪拌モータの電流検出回路を備え、それによって検出される電流の波形から回転数を測定するものである。これによれば、前記攪拌モータの実際の回転数を正確に測定することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように請求項1に係る発明によれば、攪拌モータを、設定された回転数で確実に回転することができるから、飲料の原料の溶け残り等の攪拌不足を防止することができる飲料攪拌装置を備えた飲料提供装置を提供することができる。
【0010】
また、請求項2に係る発明によれば、攪拌モータの実際の回転数を正確に測定することができるから、それに基づいて攪拌モータの回転数を設定回転数に制御することができる。すなわち、飲料の原料の溶け残り等の攪拌不足を、確実に防止することができる飲料攪拌装置を備えた飲料提供装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る飲料供給装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る飲料供給装置において、飲料攪拌装置を構成する攪拌モータを制御する攪拌モータ制御手段の要部構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は、本発明の実施形態に係る飲料供給装置において、飲料攪拌装置を構成する攪拌モータの電流を示す電流波形図、(b)は、その攪拌モータの電流を閾値を基にパルス変換した状態を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る飲料供給装置において、飲料攪拌装置を制御するための回転数実測手段の制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態の飲料供給装置について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る飲料供給装置1を示す概略構成図である。図において、2は飲料の粉末原料供給手段であって、3は種類別に飲料の粉末原料を収容する原料容器、4は原料容器3に収容される粉末原料をそれぞれ必要量吐出する原料吐出モータである。5は湯水供給手段であって、6は湯を貯蔵する湯貯蔵タンク、7は冷水を貯蔵する冷水貯蔵タンク、8は湯貯蔵タンク6内の湯を開口することにより後述するミキシングボール(攪拌容器)12に供給する湯電磁弁、9は冷水貯蔵タンク7内の冷水を同様にミキシングボール12に供給する冷水電磁弁である。ミキシングボール12は、原料容器3から原料吐出モータ4により原料吐出シュータ10を介して供給される粉末原料と、湯貯蔵タンク6から湯電磁弁8を介して供給される湯と、冷水貯蔵タンク7から冷水電磁弁9を介して供給される冷水とを撹拌モータ13により回転駆動される撹拌羽根15によって撹拌、混合して飲料を調理し、これをカップ等の販売容器17に注出するものである。また、11はミキシングボール12内の飲料が溢れ出さないように所定の水位を超えた飲料を外方に排出する飲料排出パイプである。なお、飲料排出パイプ11から排出された飲料は紙コップ等の販売容器(容器)17に導かれて販売される。16は紙カップ等の販売容器17を収納し、飲料販売の際に載置台18上にこれを供給する販売容器収納装置である。ここで、販売容器収納装置16は複数の異なるサイズの紙コップ等の販売容器を収納し、飲料販売時に指定されたサイズの販売容器を載置台18上に供給するものである。なお、ミキシングボール12においては、販売容器17のサイズに合わせた量の飲料が調理される。
【0013】
図2は、このように構成される本実施形態の飲料供給装置1において、飲料の原料と湯水を攪拌、混合して飲料を調理する飲料攪拌装置20(図1参照)を構成する攪拌モータ13を制御するための攪拌モータ制御手段21の要部構成を示すブロック図である。
【0014】
図に示すように、この攪拌モータ13は、これを制御するPWM制御部(PWM制御手段)23により出力部24を介してその回転数が制御されるようになっている。ここで、記憶部25には、攪拌モータ13に供給する電圧の基準となる通電率(以後、PWM値と呼ぶ)とそれに対応して出力される基準回転数、およびPWM値の変化に対する回転数の増減率等が記憶されている。また、回転数設定手段26は、この飲料攪拌装置20で調理する飲料の種類や調理する量に応じて、攪拌羽根15を回転駆動する攪拌モータ13の回転数を設定する。回転数実測手段27は、攪拌モータ13の実際の回転数を実測する。回転比較手段28は、回転数実測手段27で実測された攪拌モータ13の回転数と、回転数設定手段26で設定された設定回転数を比較し、その結果をPWM制御部23に通知する。そして、PWM制御部23は、回転比較手段28により通知された回転数比較結果に基づいて、攪拌モータ13の実回転数が設定回転数に追従するようにPWM値を増減させて攪拌モータ13を制御する。例えば、攪拌モータ13を始動するときは、攪拌モータの実回転数は「0」であるから、記憶部に記憶される設定回転数に対応するPWM値を適用して、PWM制御部23は攪拌モータ13を制御する。そして、攪拌モータ13が回転した後は、PWM制御部23は、攪拌モータ13の実回転数と設定回転数の差に相当する分のPWM値を記憶部25に記憶される基準データから算出し、これに基づいてPWM値を増減させて攪拌モータ13を制御する。これによって、攪拌モータ13を設定された回転数で確実に回転させることができる。
【0015】
次に、攪拌モータ13の回転数を実測する回転数実測手段27について説明する。図3(a)は、本発明の実施形態の攪拌モータ13に流れる電流の波形を示す電流波形図である。図に示すように、この攪拌モータ13を流れる電流は、それを構成するコアに巻回されたコイル(図示なし)の相変化により、その回転数に応じた周期で脈動する。図4は、この攪拌モータ13に流れる電流の特性を利用して、その回転数を測定する回転数実測手段27の制御構成を示すブロック図である。図に示すように、この回路においては、脈動する電流の突出部分が検出できるように適宜に電流の閾値(図3(a)参照)が設定され、その閾値に対応する電圧V1を超える部分の電圧についてマイコン32内のコンパレータ31によりパルス変換(図3(b)参照)し、その単位時間あたりのパルス数をパルス・カウンター34により計数して攪拌モータ13の回転数を測定する。これによれば、実際の攪拌モータ13の電流波形に基づいて、その実際の回転数を正確に測定することができる。
【0016】
以上のように、本発明の実施形態の飲料供給装置1において、飲料の原料と湯水を攪拌、混合して飲料を調理する飲料攪拌装置20は、飲料の原料と湯水を攪拌、混合するミキシングボール12と、その内部の攪拌羽根15と、攪拌羽根15を回転駆動するPWM制御可能な攪拌モータ13と、攪拌モータ13を制御する攪拌モータ制御手段21と、を備え、さらに攪拌モータ制御手段21は、攪拌モータ13の回転数を設定する回転数設定手段26と、攪拌モータ13の回転数を制御するPWM制御部23と、攪拌モータ13の回転数を実測する回転数実測手段27と、回転数設定手段26により設定された回転数と回転数実測手段27により実測された回転数を比較する回転比較手段28と、を備え、PWM制御部23は、回転比較手段28の比較結果に基づいて、攪拌モータ13の回転数が設定された回転数となるように、攪拌モータ13に供給する電圧の通電率を制御する。そして、これにより攪拌モータ13を設定された回転数で確実に回転することができるから、ミキシングボール12内において、飲料の原料の溶け残り等の攪拌不足を防止することができる。
【0017】
また、攪拌モータ13の回転速度を実測する回転数実測手段27は、攪拌モータ13の電流検出回路を備え、それによって検出される電流の波形から回転数を測定するものであるから、攪拌モータ13の実際の回転数を正確に測定することができる。すなわち、これに基づいて、攪拌モータ13の回転数を設定回転数に制御することができるから、飲料の原料の溶け残り等の攪拌不足を、確実に防止することができる飲料攪拌装置20を備えた飲料提供装置1を提供することができる。
【0018】
なお、本発明は、言うまでもなく本実施の形態に示す装置にのみ限定されず、その趣旨の包含する範囲で応用変更が可能である。例えば、ミキシングボール12や攪拌羽根15等の形状や配置構成、攪拌モータ制御手段21の制御構成等は、本発明を実施する飲料供給装置の態様、構成に応じて適宜に設定されるものである。
【符号の説明】
【0019】
1 飲料供給装置
12 ミキシングボール(攪拌容器)
13 攪拌モータ
15 攪拌羽根
17 販売容器(容器)
20 飲料攪拌装置
21 攪拌モータ制御手段
23 PWM制御部(PWM制御手段)
26 回転数設定手段
27 回転数実測手段
28 回転比較手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料攪拌装置により調理した飲料をカップ等の容器に注ぎ出す飲料供給装置であって、前記飲料攪拌装置は、飲料の原料と湯水を攪拌、混合する攪拌容器と、前記攪拌容器内に設けられた攪拌羽根と、前記攪拌羽根を回転駆動するPWM制御可能な攪拌モータと、前記攪拌モータを制御する攪拌モータ制御手段と、を備え、前記攪拌モータ制御手段は、前記攪拌モータの回転数を設定する回転数設定手段と、前記攪拌モータの回転数を制御するPWM制御手段と、前記攪拌モータの回転数を実測する回転数実測手段と、前記回転数設定手段により設定された回転数と前記回転数実測手段により実測された回転数を比較する回転比較手段と、を備え、前記PWM制御手段は、前記回転比較手段の比較結果に基づいて、前記攪拌モータの回転数が設定された回転数となるように、前記攪拌モータに供給する電圧の通電率を制御することを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記回転数実測手段は、前記攪拌モータの電流検出回路を備え、それによって検出される電流の波形から回転数を測定することを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−162241(P2011−162241A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28742(P2010−28742)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】