説明

飲料容器

【課題】乳幼児等が飲み易い飲み口部を有すると共に、バッグ等に入れて持ち運び易い飲料容器を提供すること。
【解決手段】飲料を収容するための容器本体2、3と、容器本体に形成される飲料を排出する飲料開口部3bと、飲料開口部から排出される飲料を利用者側に案内するための飲み口部8と、を有し、飲み口部は、飲料を利用者側に提供する位置である使用位置と、飲み口部を待避させる待避位置とに移動可能であって、飲み口部は、使用位置において、飲料開口部から離間する側に配置される飲み口先端部8aを有し、使用位置において、少なくとも、飲み口先端部は、容器本体から突出して形成され、待避位置においては、少なくとも、飲み口先端部が、容器本体内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を内部に収容し得る飲料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、乳幼児等が飲料を飲む際に用いるカップ等の飲料容器は、特許文献1に示すような構成となっていた。
このようなカップには、乳幼児等が飲料を飲み易くするための飲み口部が形成されている。また、この飲み口部は、乳幼児等がカップで飲料を飲む練習をするため、比較的大きく形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3942306号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなカップ等の飲み口部は、飲料が収容されているカップ本体から突出して形成されることになる。
そして、利用者等が、このような飲料容器をバッグ等に入れて持ち運ぶと、この突出した飲み口部がバッグ等内で邪魔となり、取り扱いが不便となるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、乳幼児等が飲み易い飲み口部を有すると共に、バッグ等に入れて持ち運び易い飲料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的は、本発明によれば、飲料を収容するための容器本体と、前記容器本体に形成される前記飲料を排出する飲料開口部と、前記飲料開口部から排出される飲料を利用者側に案内するための飲み口部と、を有し、前記飲み口部は、飲料を利用者側に提供する位置である使用位置と、前記飲み口部を待避させる位置である待避位置とに移動可能であって、前記飲み口部は、前記使用位置において、前記飲料開口部から離間する側に配置される飲み口先端部を有し、前記使用位置において、少なくとも、前記飲み口先端部は、前記容器本体から突出して形成され、前記待避位置においては、少なくとも、前記飲み口先端部が、前記容器本体内に配置されることを特徴とする飲料容器により達成される。
【0007】
前記構成によれば、飲み口部は、使用位置において、少なくとも、その飲み口先端部が、容器本体から突出して形成されると共に、待避位置においては、少なくとも、その飲み口先端部が、容器本体内に配置される構成となっている。
したがって、飲料容器の使用時に、少なくとも、その飲み口部の飲み口先端部が、容器本体から突出して形成されているので、利用者は、その飲み口部を用いて容易に容器本体内の飲料を飲む練習等をすることができる。
一方、飲料容器をバッグ等に入れて持ち運ぶ際は、少なくとも、飲み口部の飲み口先端部を容器本体内に配置することができるので、飲み口部がバッグ等の内部で邪魔になることを防ぐことができる。
【0008】
好ましくは、本発明に係る飲料容器は、少なくとも、前記待避位置における前記飲み口部を覆うことができる蓋部を有することを特徴とする。
【0009】
前記構成によれば、飲み口部の一部が容器本体から突出していても、この突出部分を蓋部で覆うことができ、バッグ等の内部で邪魔になることをより防ぐことができる。
【0010】
好ましくは、本発明に係る飲料容器の前記飲料開口部を通して、飲料が排出されるのを阻止する閉塞位置と、飲料の排出を許容する非閉塞位置とに移動可能な閉塞部を有し、前記閉塞部を前記非閉塞位置に移動させる強制移動部を備え、前記強制移動部は、前記飲み口部が少なくとも、前記使用位置に配置されたときに,前記閉塞部を前記非閉塞位置に配置させる構成となっていることを特徴とする。
【0011】
前記構成によれば、閉塞部は、飲み口部の使用位置への移動に伴って、非閉塞位置に配置されることになるので、利用者は飲み口部を使用位置へ移動するだけで、同時に飲料開口部を開状態にすることができ、円滑に飲料を飲むことができる。
【0012】
好ましくは、本発明に係る飲料容器の前記飲み口部が前記使用位置に配置されたときに、前記飲み口部が前記容器本体に固定される構成となっていることを特徴とする。
【0013】
前記構成によれば、飲み口部が不必要な動きをすることを未然に防止することができる。このため、利用者は、安定して配置されている飲み口部を用いて、飲料を飲む練習等を行うことができる。
特に、閉塞部を非閉塞位置に配置したときは、飲料開口部を確実に開状態に維持させることができる。
【0014】
好ましくは、本発明に係る飲料容器の前記閉塞部が前記閉塞位置に配置されるように付勢され、前記強制移動部によって前記非閉塞位置に移動させられる構成となっていることを特徴とする。
【0015】
前記構成によれば、利用者が例えば、飲み口部を使用位置から待避位置方向へ移動させると、閉塞部が閉塞位置に付勢力によって移動し、飲料開口部を閉塞する。
したがって、利用者が飲料容器の使用後、飲み口部を待避位置に配置するだけで、飲料開口部も閉塞されるので、飲料開口部の閉め忘れ等による飲料の漏出等を未然に防ぐことができる。
【0016】
好ましくは、本発明に係る飲料容器の前記容器本体は、飲料を収容し得るとともに、開口である本体開口を有する本体部と、前記本体開口を覆うと共に、前記飲料開口部を有する中蓋部を有し、前記中蓋部には、少なくとも、前記飲み口先端部を収容し得る飲み口収容部が形成され、前記飲料開口部は、前記使用位置に配置された前記飲み口部に対応した位置に形成され、前記飲み口収容部は、前記待避位置に配置された前記飲み口部に対応した位置に形成されていることを特徴とする。
【0017】
前記構成によれば、中蓋部に飲料開口、飲み口部及び飲み口収容部等が形成され、本体部側には形成されていないため、従来の本体部に中蓋部を取り付けるだけで、容易に飲み易く、使い易い飲料容器とすることができる。また、中蓋部を取り外すと、かかる複雑な構成がない、本体部の本体開口が現出するので、利用者や保護者等が飲料を本体部に入れ易い構成ともなっている。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、乳幼児等が飲み易い飲み口部を有すると共に、バッグ等に入れて持ち運び易い飲料容器を提供できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係るトレーニングコップ(学習用飲料コップ)を示す概略図である。
【図2】図1の上蓋が開いた状態の中蓋と上蓋の構成を示す概略斜視図である。
【図3】図1の中蓋と上蓋の構成を示す概略分解斜視図である。
【図4】閉まった状態の上蓋及び中蓋等の配置状態を示す概略断面図である。
【図5】開いた状態の上蓋及び中蓋等の配置状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0021】
図1に示すように、飲料容器である、例えばトレーニングコップ1は、乳幼児等が飲料を飲む練習等をするためのコップである。
トレーニングコップ1は、図1に示すように、乳幼児等が飲む飲料を収容するための容器本体の本体部である、例えばコップ本体2を有すると共に、このコップ本体2の本体開口2aを覆うように配置される中蓋部である中蓋3を有している。
【0022】
この中蓋3とカップ本体2の本体開口2aとは、一方側に設けられている雄ねじと、他方側に設けられている雌ねじとを締める方向に移動させることで、中蓋3がコップ本体2に固定されると共に、これらのネジを緩める方向に移動させることで、中蓋3をコップ本体2から取り外すことが可能な構成となっている。
すなわち、トレーニングコップ1の利用者等は、コップ本体2の本体開口2a側から飲料をコップ本体2内に収容させた後に、中蓋3をネジで固定することで、本体開口2a側を中蓋3で確実に覆うことができる構成となっている。
【0023】
中蓋3には、図1に示すように,内部の飲料を飲む乳幼児等が、その手でつかみ、保持するためのハンドル3aが、例えば、2つ両側に形成されている。この2つのハンドル3a、3aは、それぞれ、乳幼児等がつかみ易いように、コップ本体2から離間する方向に突出するように、やや湾曲した形状となっている。
また、中蓋3の図1において上側には、後で詳述する蓋部である例えば、上蓋4が開閉可能に配置されている。
【0024】
図2及び図3に示すように、中蓋3には、コップ本体2と連通している飲料開口部である、例えば中蓋開口3bが形成されている。また、この中蓋開口3bの縁に沿って、図2等に示す例えば、枠状の中蓋開口用パッキン3cが配置されている。なお、中蓋開口用パッキン3cは、柔軟な材質から形成されている。
また、上蓋4は、図2及び図3に示すように、その内側に凹状の空間が形成されている上蓋本体4c(上蓋本体4cの具体的形状については後述)を有し、上蓋本体4cの基部側には、上蓋側接続部4dが形成されている。
この上蓋側接続部4dに対応する中蓋3には、中蓋側接続部3hが形成され、これら上蓋側接続部4dと中蓋側接続部3hとにより、回動可能なヒンジが形成されている。
すなわち、上蓋4は、このヒンジにより中蓋3に近接又は離間する方向に回動可能な構成となっている。
【0025】
また、上蓋本体4cの先端側には、上蓋4を中蓋3に固定するための上蓋側固定片4eが、この上蓋本体4cから略L字状に折り曲げるようにして形成されている。
この上蓋側固定片4eには、矩形の貫通孔である上蓋側固定用開口4aが形成されていると共に、上蓋4の上蓋側固定用開口4aの近傍である上蓋4の先端には利用者が上蓋4を操作するために保持する上蓋側摘み4bが形成されている。
【0026】
一方、中蓋3には、図2及び図3に示すように、その側面に中蓋側固定用凸部3dが突出して形成されている。このため、利用者が上蓋4を中蓋3側に移動させて閉状態とするときは、上蓋4の上蓋側摘み4bを保持して、上蓋4をヒンジを介して、中蓋3に近接する方向に移動させて、上蓋本体4cを中蓋3上に配置させ、閉状態とすると同時に、上蓋側固定用開口4a内に中蓋側固定用凸部3dを配置させるように操作する。
これにより、上蓋4は、中蓋3に固定され、容易に上蓋4が開くことを防ぐことができる。そして、例えば、利用者がバッグ等の中に、上蓋4を閉めて、トレーニングコップ1を入れ、移動するときでも、バッグ等内で上蓋4が開くという事態の発生を未然に防止することができる。
【0027】
また、図2及び図3に示すように、中蓋3には、飲み口ユニット5が配置されている。
図2乃至図5に示すように、飲み口ユニット5は、ベースとなるユニット基部9を有している。
また、このユニット基部9には、揺動軸7が形成され、この揺動軸7を中心に飲み口ユニット5が、揺動する構成となっている。
また、中蓋3には、この揺動軸7を揺動可能に軸支する揺動軸保持部3eが形成されている。
このように、飲み口ユニット5は、この揺動軸7を中心に図5の矢印R1方向に揺動可能な構成となっている。
【0028】
ユニット基部9は、板状部材により形成され、図4及び図5等に示すように、ユニット基部9を、その側面側(図4等で示す方向)から見ると全体が略L字状に形成されている。また、ユニット基部9の揺動軸7側には、飲み口部である例えば、飲み口本体8が取り付けられている。
一方、図3に示すように、ユニット基部9の揺動軸7から離間する方向の先端側に、略L字状に屈曲して形成される固定用突片9cが形成され、この固定用突片9cには、開口である固定用基部開口9bが形成されている。この固定用基部開口9bについては、後述する。
この飲み口本体8は、図3に示すように、飲料を排出させる開口である飲み口本体側開口8fが形成されており、ユニット基部9には、この飲み口本体開口8fに対応する開口である飲料用基部開口9aが形成されている。
また、飲み口本体8は、図5に示すように、飲み口本体開口8f(図3参照)から上方に突出するバリア部8b、8bと、このバリア部8b、8bの間に設けられ、飲み口本体開口の周縁部から連続するように一体に設けられて、外側に向かって徐々に上昇する傾斜面8cを有している。
【0029】
この傾斜面8cの先端側には、図5に示すように、利用者の口腔内に飲料を直接導入すする飲み口先端部である飲み口先端8aが形成されている。
さらに、バリア部8b、8bの飲み口先端8a側は、図5に示すように、徐々に傾斜する段部とされており、この段部の頂点の箇所は、位置決め部8dとされている。
この位置決め部8dは、母親等の介助者や利用者である乳幼児が、トレーニングコップ1の飲み口先端8aを飲料を飲むトレーニングを行う際に口腔内に差し入れるときに、必要以上に深く入らないように位置決めするための手段となっている。
【0030】
また、飲み口本体開口に対応して配置されている中蓋開口3bは、図3等に示すように、中蓋3の端部側に偏心(偏倚)して配置され、これに対応して飲み口本体8が中蓋3の端部側に偏心して配置されるため、利用者が飲み口本体8を用いて飲料を飲み易い構成となっている。
飲み口ユニット5が、以上のように構成されているため、飲み口ユニット5が、図5に示す矢印R1の方向に移動すると、その移動に伴って、飲み口本体8の中蓋3上における位置も変更するようになっている。
【0031】
したがって、図5に示すように、飲み口ユニット5を揺動させ、飲み口ユニット5を中蓋3上の飲料を利用者側に提供する位置である使用位置(図5に示す位置)に配置させると、飲み口本体8の飲み口本体側開口8b、ユニット基部9の飲料用基部開口9aが、中蓋開口3bに対応した位置に配置される。
このため、利用者は、コップ本体2内の飲料を中蓋開口3b、飲料用基部開口9a及び飲み口本体側開口8fを介して、直接、自己の口腔内に導くことができる構成となっている。
また、このとき、飲み口本体8の飲み口先端部である飲み口先端8aが、中蓋3から突出して配置される。
【0032】
一方、図4及び図5に示すように、中蓋3における揺動軸保持部3eを挟んで、中蓋開口3bとは反対側の中蓋3上の飲み口本体8を待避させる位置である待避位置(図4で飲み口本体8等が配置されている位置であり、図4の揺動軸保持部3eの右側)には、図4等に示すように、少なくとも、飲み口本体8の飲み口先端8aを収容可能な飲み口収容部3fが形成されている。
なお、飲み口収容部3fは、図1のコップ本体2側に突出するように中蓋3に凹状に形成された凹部となっている。
したがって、図5の矢印R1の方向の内、右側に飲み口ユニット5が移動すると、やがて、飲み口本体8の少なくとも、飲み口先端8aが、中蓋3の飲み口収容部3f内に収容されることになる。
【0033】
このように、本実施の形態では、飲み口ユニット5を矢印R1の方向に揺動させることで、飲む口本体8を、中蓋3上の使用位置又は待避位置に配置されることができる。すなわち、飲み口本体8を、図5に示す使用位置に配置すると、飲み口本体8が中蓋3から突出して配置され、利用者が飲料を飲みやすい構成となる。
一方、飲み口本体8を待避位置に配置すると、少なくとも、飲み口先端8aは、中蓋3に形成された飲み口収容部3f内に配置されるため、飲み口先端8a等が中蓋3から突出することがないので、利用者がバッグ等に入れて持ち運んでも、飲み口先端8a等が邪魔になることがなく、取り扱い易いトレーニングコップ1となる。
【0034】
また、利用者が飲み口ユニット5を揺動させ、飲み口本体8を、図5の使用位置に配置すると、図3に示す固定用基部開口9bが、図3の中蓋側固定用凸部3dと係合する位置に配置される。
したがって、図4及び図5に示すように、飲み口ユニット5の固定用基部開口9bを中蓋側固定用凸部3dに係合させ、固定することで、飲み口本体8も中蓋3上で固定されることになる。このため、利用者は安定して配置されている飲み口本体8から飲料を飲むことができ、飲み易い構成となっている。
【0035】
また、図3及び図4に示すように、飲み口本体8が中蓋3上の待避位置に配置されたときは、上蓋4は、この飲み口ユニット5及び中蓋開口3bを覆うように配置され、上述のように、中蓋3に固定される。
したがって、利用者が、図1及び図4のように、上蓋4を閉めて、トレーニングコップ1をバッグ等に入れても、バッグ等内で飲み口本体8等が突出等して邪魔になることがなく、使い易いトレーニングコップ1となる。
【0036】
また、図3乃至図5に示すように、中蓋3の中蓋開口3bの図において下側(中蓋3のコップ本体2と対向する側)には、この中蓋開口3bを閉塞させ又は閉塞させないための閉塞ユニット10が中蓋3に取り付けられている。
この閉塞ユニット10は、図3等に示すように、中蓋開口3bを覆うことにより閉塞できる閉塞部である例えば、閉塞板11を有している。
したがって、閉塞板11を中蓋開口3bに当接させた場合、閉塞板11が、中蓋開口用パッキン3cと当接するため、より効果的に中蓋開口3bを閉塞することができる構成となっている。
【0037】
また、この閉塞板11は、図4及び図5に示すように、図5の矢印R2に沿って揺動可能となっている。すなわち、図4のように、閉塞板11を中蓋開口3bを閉塞する閉塞位置に配置させ、又は、図5のように閉塞板11を中蓋開口3bを閉塞しない非閉塞位置に配置させることができる構成となっている。
具体的には、図4及び図5に示すように、中蓋3の図において下側には、閉塞ユニット10を揺動可能に保持する閉塞ユニット保持部3gが設けられている。
一方、閉塞ユニット10は、図3に示すように、閉塞板11を支持する閉塞板支持部12を有し、この閉塞板支持部12には、閉塞ユニット揺動軸14が設けられ、中蓋3の閉塞ユニット保持部3gは、閉塞ユニット揺動軸14を揺動可能に保持することで、閉塞板11の矢印R2方向の揺動を可能にする構成となっている。すなわち、閉塞板支持部12は、閉塞ユニット揺動軸14を支点に揺動するシーソー構造となっているため、閉塞板11が、矢印R2方向に移動する。
【0038】
また、図3乃至図5に示すように、閉塞ユニット10は、バネ性のある弾性部材13を有し、この弾性部材13は、閉塞板支持部12と中蓋3との間に挟み込むように配置されている。
このため、図5に示すように、閉塞板支持部12を閉塞ユニット揺動軸14を支点として閉塞板11の非閉塞位置に揺動させようとすると、閉塞板支持部12が、弾性部材13を押しつぶす方向に移動しようとする。すると、弾性部材13には、この押しつぶす方向の力に対抗する力である付勢力が発生し、閉塞板11を、閉塞位置に留めよう作用することになる。
したがって、利用者がコップ本体2内に飲料を収容し、中蓋3を配置させ、飲み口本体8を待避位置に配置した状態、すなわち、図4の状態では、中蓋3の中蓋開口3bは、閉塞され、コップ本体2内の飲料が漏れない状態となっている。
【0039】
ところで、図2乃至図5に示すように、飲み口ユニット5のユニット基部9には、飲み口ユニット5が移動して、飲み口本体8が使用位置に配置させられたときに、図5に示すように、閉塞板11を、その付勢力に逆らって、閉塞位置から非閉塞位置へ強制的に移動させる強制移動部である例えば、強制移動片8eが形成されている。
したがって、利用者がトレーニングコップ1を使用する際に、飲み口本体8を図5の使用位置に配置すると、自動的に中蓋開口3bが非閉塞状態となり、利用者は、コップ本体2内の飲料を飲むことができることになる。
また、このとき、図5に示すように、飲み口ユニット5の固定用基部開口9bを中蓋側固定用凸部3dに係合させると、閉塞板11を非閉塞位置に確実に維持されることができる。利用者はより確実にコップ本体2内の飲料を飲むことができる。
【0040】
また、本実施の形態では、図2に示すように、上蓋4が中蓋3に対して回動して開いた状態となったときに、その状態を維持するために、図示しない係合凸部と係合凹部がヒンジ(上蓋側接続部4dと中蓋側接続部3h)に設けられている。
したがって、これら係合凸部と係合凹部が相互に係合することで、上蓋4を開状態に維持することができる。そして、利用者がコップ本体2内の飲料を飲むためにトレーニングコップ1を傾けても、上蓋4の予期しない移動を未然に防ぐことができる構成となっている。
【0041】
また、その後、利用者が飲料の摂取を終え、トレーニングコップ1をバッグ等にしまうために、飲み口本体8を図4の待避位置に配置すれば、飲み口ユニット5と共に強制移動片8eも移動し、閉塞板11を押圧することがなくなる。このため、中蓋開口3bは、閉塞板11の弾性部材13の付勢力によって、自動的に閉塞状態となる。
また、本実施の形態では、上述のように、飲み口ユニット5の固定用基部開口9bを中蓋側固定用凸部3dに係合させ、固定することで、強制移動片8eによって閉塞板11を押圧した状態を維持できる構成となっている。
【0042】
したがって、利用者は、飲料を飲んだ後、飲み口本体8を移動させるだけで、コップ本体2内の飲料が移動中にバッグ等内で漏れ出すことを未然に防ぐことができる。
すなわち、飲み口ユニット5の固定用基部開口9bが中蓋側固定用凸部3dに係合されていない場合には、閉塞ユニット10の付勢力によって中蓋開口3bを閉塞した状態となる。したがって、例え上蓋4をきちんと閉めていなくても、固定用基部開口9bと中蓋側固定用凸部3dとの係合が解除されているだけで、漏れ防止を図ることができる。
また、本実施の形態では、飲み口本体8が図4の待避位置にある場合、すなわち、閉塞板11が中蓋開口3bを閉塞している場合だけ、上蓋4を閉めることができる構成となっており、それ以外の位置では、上蓋4が飲み口本体8等に当接して閉めることができない構成となっている。
したがって、利用者が飲み口本体8を待避位置以外に配置した状態で、誤ってトレーニングコップ1をバッグ等内に収容させる事態の発生を未然に防止することができる。
また、飲料を飲まないときには、飲み口ユニット5を上蓋4により覆うことができるので、バッグ等に収容させても、飲み口ユニット5を衛生に保つことができる。
【0043】
また、本実施の形態では、飲み口ユニット5や閉塞ユニット10等の機構が中蓋3側に設けられているので、従来から存在するコップ本体2に中蓋3を取り付けるだけで、容易に使い易いトレーニングコップ1とすることができる。
また、中蓋3をコップ本体2から取り外すと、飲み口ユニット5等の機構のないコップ本体2とすることができるので、利用者がコップ本体2に飲料を入れ易い構成となっている。さらに、コップ本体2の清掃等がし易い構成ともなっており、衛生的なトレーニングコップ1となる。
【0044】
また、本実施の形態では、図4に示すように、上蓋4には、深さの異なる2つ凹部が形成されている。具体的には、深さの浅い第1凹部4fと、第1凹部4fより深い第2凹部4gである。第1凹部4fは、図4に示すように、ユニット基部9に形成された強制移動片8eを覆うことができる程度の深さを有し、第2凹部4gは、ユニット基部9に形成された固定用突片9cを覆うことができる程度の深さを有している。
したがって、利用者が上蓋4を閉めた場合でも、上蓋4の突出は、図1に示すように、必要最小限度となり、バッグ等内でトレーニングコップ1が必要以上の体積を占有することがなく、使い勝手の良いトレーニングコップ1となっている。
【符号の説明】
【0045】
1・・・トレーニングコップ、2・・・コップ本体、2a・・・本体開口、3・・・中蓋、3a・・・ハンドル、3b・・・中蓋開口、3c・・・中蓋開口用パッキン、3d・・・中蓋側固定用凸部、3e・・・揺動軸保持部、3f・・・飲み口収容部、3g・・・閉塞ユニット保持部、3h・・・中蓋側接続部、4・・・上蓋、4a・・・上蓋側固定用開口、4b・・・上蓋側摘み、4c・・・上蓋本体、4d・・・上蓋側接続部、4e・・・上蓋側固定片、4f・・・第1凹部、4g・・・第2凹部、5・・・飲み口ユニット、7・・・揺動軸、8・・・飲み口本体、8a・・・飲み口先端、8b・・・バリア部、8c・・・傾斜面、8d・・・位置決め部、8e・・・強制移動片、9・・・ユニット基部、9a・・・飲料用基部開口、9b・・・固定用基部開口、9c・・・固定用突片、10・・・閉塞ユニット、11・・・閉塞板、11a・・・パッキン、12・・・閉塞板支持部、13・・・弾性部材、14・・・閉塞ユニット揺動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を収容するための容器本体と、
前記容器本体に形成される、前記飲料を排出する飲料開口部と、
前記飲料開口部から排出される飲料を利用者側に案内するための飲み口部と、を有し、
前記飲み口部は、飲料を利用者側に提供する位置である使用位置と、前記飲み口部を待避させる位置である待避位置とに移動可能であって、
前記飲み口部は、前記使用位置において、前記飲料開口部から離間する側に配置される飲み口先端部を有し、
前記使用位置において、少なくとも、前記飲み口先端部は、前記容器本体から突出して形成され、
前記待避位置においては、少なくとも、前記飲み口先端部が、前記容器本体内に配置されることを特徴とする飲料容器。
【請求項2】
少なくとも、前記待避位置における前記飲み口部を覆うことができる蓋部を有することを特徴とする請求項1に記載の飲料容器。
【請求項3】
前記飲料開口部を通して、飲料が排出されるのを阻止する閉塞位置と、飲料の排出を許容する非閉塞位置とに移動可能な閉塞部を有し、
前記閉塞部を前記非閉塞位置に移動させる強制移動部を備え、
前記強制移動部は、前記飲み口部が少なくとも、前記使用位置に配置されたときに,前記閉塞部を前記非閉塞位置に配置させる構成となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飲料容器。
【請求項4】
前記飲み口部が前記使用位置に配置されたときに、前記飲み口部が前記容器本体に固定される構成となっていることを特徴とする請求項3に記載の飲料容器。
【請求項5】
前記閉塞部が前記閉塞位置に配置されるように付勢され、前記強制移動部によって前記非閉塞位置に移動させられる構成となっていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の飲料容器。
【請求項6】
前記容器本体は、飲料を収容し得るとともに、開口である本体開口を有する本体部と、
前記本体開口を覆うと共に、前記飲料開口部を有する中蓋部を有し、
前記中蓋部には、少なくとも、前記飲み口先端部を収容し得る飲み口収容部が形成され、
前記飲料開口部は、前記使用位置に配置された前記飲み口部に対応した位置に形成され、前記飲み口収容部は、前記待避位置に配置された前記飲み口部に対応した位置に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の飲料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−249681(P2012−249681A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122465(P2011−122465)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000112288)ピジョン株式会社 (144)
【Fターム(参考)】