説明

飲料用容器の栓体

【課題】栓体を分離分解して洗浄性を高める飲料用容器の栓体において、取り付け状態、分離状態の外観差異が明確に認識できるようにする。
【解決手段】外栓部18の下方から内栓部19を挿脱可能に設ける。外栓部18に内栓部19を固定するため内栓部19に係止部材33、外栓部18の上部開口20に係止受け部28を設ける。内栓部19の係止部材33が外栓部18の上部開口20より上方に露出して着脱自在に係止するように設ける。内向き鍔29と下部外向き鍔32によって、内栓部19を外栓部18へ下方から挿入する際に位置決めできる。係止受け部28の上部に上部外向き鍔27を係止することで、内栓部19の抜け止めを行うことができる。このため、外栓部18より内栓部19を外すことで栓を隅々まで洗うことができる。また、内栓部19が外栓部18に確実に取り付けされたことが栓本体9の外側から目視確認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用容器の栓体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料用容器の栓体として、容器本体の口部に着脱自在に取り付けられる筒状の飲み口部材と、この飲み口部材にヒンジ軸を介して結合されて飲み口部材の上部開口を開閉する蓋体とを備えた液体容器の栓体が知られている(特許文献1)。このような栓体においては、飲み口部材が一体で分解できないので栓体の洗浄を隅々まで行うことができなくなる懸念を有する。
【0003】
このため飲料用容器の栓体を洗浄しやすくするため栓体を分解可能なものとして、飲み口または注ぎ口付きの栓体を、栓カバーに対して下方から着脱するもの(特許文献2〜4)、栓体の下側が下方から着脱するもの(特許文献5,6)、栓体に対して栓上部を上方から着脱するもの(特許文献7〜10)、栓カバーに対して内栓部を上方から着脱するもの(特許文献11、12)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3620042号公報
【特許文献2】特許第3904899号公報
【特許文献3】特開2009−274731号公報
【特許文献4】特開2008−239177号公報
【特許文献5】特許第2735091号公報
【特許文献6】特許第2672258号公報
【特許文献7】特開2003−144338号公報
【特許文献8】特許第3551081号公報
【特許文献9】特開2006−187532号公報
【特許文献10】特開平8−71005号公報
【特許文献11】特許第2611692号公報
【特許文献12】実用新案登録第2568203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献2,4では内、外栓の嵌合、着脱部は、パッキンのような弾性部材で抜け止め、内栓のずれや脱落防止された構造を有している。また特許文献3では弾性部材がない構造であるが、確実にずれ、脱落を回避することができず、例えば容器本体から外れた状態で内、外栓を嵌め合わせた状態で栓蓋を閉めた際にずれ、脱落が発生する。これに対して特許文献2は栓蓋も分離分解する構造であり、また特許文献4は中栓がさらに内、外筒で構成されるため、部品点数が増えて着脱操作が煩雑となり、部品紛失する懸念もある。
【0006】
前記特許文献5,6では、下方から弁体が着脱操作するが、操作により上部外面に露出する外観変化要素がないため、着脱状態や着脱操作完了の確認が上面から視点からは判断しにくく、操作ミスによる着脱不十分や取り付け忘れが発生し、漏れの原因になる。また、確実に嵌合した後はずれ、抜け落ちしない構造となっているが、構造が複雑であり、特に外す際の操作性が簡便明瞭でない問題を有する。
【0007】
前記特許文献7〜10では、上方から栓上部を着脱操作するため、着脱状態や着脱操作完了の確認はしやすいが、弁体は分離できず栓体と一体のままなので、部品分解により液流路が総て開放状態にはならず、部品分解による洗浄性の向上は十分ではない。
【0008】
前記特許文献11,12では、上方から内栓部を着脱操作するため着脱状態や着脱操作完了の確認はしやすいが、弁体は分離できず内栓部と一体のままなので、部品分解により液流路が総て開放状態にはならず、部品分解による洗浄性の向上は十分ではない。
【0009】
解決しようとする問題点は、栓体を分離分解して洗浄性を高め、さらに栓体を分離分解する操作が簡便かつ確実に行うことができ、目視性、操作感を向上し、また、取り付け状態、分離状態の外観差異が明確に認識でき、取り付け不十分や付け忘れの等の操作ミスを防止し、しかも取り付け状態を確実に保持し、ずれや抜け落ちを防止する点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の飲料用容器の栓体は、容器本体の口部に着脱自在に取り付けられる栓本体と、この栓本体に開閉自在に設けられる蓋体を備え、前記栓本体は前記容器本体の口部に装着すると共に上部開口を有する外栓部と、この外栓部の上部開口に下方から着脱自在に被着される液通孔を有する内栓部を備え、この内栓部に係止部材、前記外栓部の上部開口に係止受け部を設け、前記内栓部の係止部材が前記外栓部の前記上部開口より上方に露出して着脱自在に係止することを特徴とする。
【0011】
請求項2の飲料用容器の栓体は、請求項1において、前記外栓部の上部開口を内向き鍔とし、前記内栓部の外周に前記外栓部の内向き鍔の下部に係止可能な下部外向き鍔を設けると共に、前記内栓部の係止部材に前記外栓部の係止受け部の上部に係止可能な上部外向き鍔を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項3の飲料用容器の栓体は、請求項1又は2において、前記内栓部の係止部材は内向きに進退可能に設けられ、前記内栓部を前記外栓部に着脱する際に、前記係止部材が前記係止受け部に対して内向きに進退することで係止或いは係止解除することを特徴とする。
【0013】
請求項4の飲料用容器の栓体は、請求項1〜3のいずれか1項において、前記内栓部の係止部材は、この内栓部の下部外向き鍔の下方位置に回動可能に軸支され、前記上部外向き鍔の上方に操作部を設け、この操作部が前記外栓部の上部開口より上方に露出するように前記内栓部が前記外部栓に係止することを特徴とする。
【0014】
請求項5の飲料用容器の栓体は、請求項4において、前記内栓部と前記係止部材との間に、この係止部材を外方へ付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項6の飲料用容器の栓体は、請求項1〜5のいずれか1項において、前記内栓部を前記外栓部に装着する際に、相対的に嵌合することで位置合せとなる位置決め突起と位置決め受け部のうち一方を前記内栓部に設けると共に、他方を前記外栓部に設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項7の飲料用容器の栓体は、請求項1〜6のいずれか1項において、前記蓋体が前記栓本体を閉じた状態において、前記蓋体に前記内栓部の係止部材が内方へ進退することを防止する障壁部を設けたことを特徴とする。
【0017】
請求項8の飲料用容器の栓体は、請求項1〜7のいずれか1項において、前記内栓部の前方上面に飲み口又は注ぎ口を設け、前記飲み口又は注ぎ口の末端に前記係止部材の上部を収容する凹部を設け、前記飲み口又は注ぎ口に連設する位置に前記係止部材の上部を配置し、前記凹部の上端を覆う方向へ突出する係止部材内向き鍔を前記係止部材に設けると共に、前記凹部の上端と前記係止部材内向き鍔を、前記飲み口又は注ぎ口側に向けて上昇するように傾斜させて配置したことを特徴とする。
【0018】
請求項9の飲料用容器の栓体は、請求項1〜8のいずれか1項において、前記係止部材は前記内栓部の両脇に互いに対向して設けられる一対のフック部材であり、前記係止受け部は前記フック部材に対向して前記栓本体の両脇に互いに対向して一対設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、栓本体は、外栓部と、この外栓部に着脱自在に設けられる内栓部とを備えており、内栓部を外すことで栓体を隅々まで洗うことができる。そして内栓部の係止部材が外栓部の上部開口より上方に露出して着脱自在に係止するため、内栓部が外栓部に確実に取り付けされたことが目視確認でき、取り付け不十分や取り付け忘れによる漏れ等の問題を回避できる。
【0020】
請求項2の発明によれば、内栓部、外栓部に各々設けた下部外向き鍔部、内向き鍔部が相互に当接することにより、内栓部を外栓部へ下方から装着する際に確実に目指す位置まで押し込み、係止することができ、また、容器本体の内圧上昇時に内栓部が上向きの圧力を受けた場合も外栓部の外側へ離脱するようなことはなく、取り付け状態を確実に保持し、ずれや抜け落ちを防止できる。
【0021】
請求項3の発明によれば、内栓部の係止部材は外栓部の上部開口より上方に露出した状態で内向きに進退可能に設けられているため、容易に係止部材の着脱状況が目視確認でき、取り付け不十分や取り付け忘れによる漏れ等を回避できる。
【0022】
請求項4の発明によれば、内栓部の係止部材は、下方で軸支されると共に操作部を設け、操作部が外栓部の上部開口より上方に露出するため、より確実に操作することが可能であり、また操作位置を目視確認しやすいため操作方法が解らないといった心配もなくなる。
【0023】
請求項5の発明によれば、係止部材が付勢手段で外側方向へ付勢されているため、より確実に係止状態を維持できると共に、装着する際の外側方向へ付勢による操作感を確実に与えることができる。
【0024】
請求項6の発明によれば、内栓部、外栓部間に位置決め手段を設けたことにより、確実に装着方向を目視確認できると共に、確実に正当な位置、方向で操作を実施することができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、外蓋体に障壁部を設けたことにより、内栓部の係止部材が内方へ倒れて係止が解除されることが防止できるため、飲料用容器、ひいては栓体の落下、振動等で係止が解除されて内栓部がずれたり脱落して漏れるようなことを防止できる。
【0026】
請求項8の発明によれば、凹部の上端と係止部材内向き鍔を、飲み口または注ぎ口側へ向けて上昇するように傾斜させて配置したことにより、容器本体を傾けて飲料を注ぐ、飲むなどの際に、吐出飲料の液面が凹部上端を越えてしまい、境目から飲料が内部へ浸入してしまうことを防ぐことができる。
【0027】
請求項9の発明によれば、係止部材、係止受け部をそれぞれ両脇に一対となるように配置したことで、外栓部に対して内栓部を安定した状態で着脱操作を完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例1を示す全体斜視図である。
【図2】同上方から見た容器本体と栓体との分解斜視図である。
【図3】同斜め下方から見た容器本体、外栓部、内栓部の分解斜視図である。
【図4】同斜め上方から見た容器本体、外栓部、内栓部の分解斜視図である。
【図5】同栓本体の底面図である。
【図6】同縦断面図である。
【図7】同要部の断面図である。
【図8】同要部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0030】
以下、本発明を金属製二重断熱構造の飲料用容器の栓体に適用した実施例1を図1〜8に基づいて説明する。片手で持てる大きさの飲料用容器1は、断熱構造の容器本体2と、該容器本体2の上部の容器口部3に着脱可能に装着される栓体4とで構成されている。容器本体2は、上部を開口した金属製の内容器5及び外容器6の上端同士を一体に接合したもので、内容器5、外容器6間に真空断熱構造の断熱部7を有している。また、容器本体2の容器口部3の外周には、栓体4を螺着する第1の雄螺子部8が形成されている。
【0031】
栓体4は、容器口部3に着脱自在に取り付けられる平面が円形の栓本体9と、栓本体9を開閉する蓋体10とを備えており、栓本体9と蓋体10はそれらの後部に設けられた蓋開閉用ヒンジ軸11により回動自在に連結している。また栓本体9と蓋体10はそれらの前部に揺動自在に設けられたストッパー部材12と、そのストッパー受け部13との係止により蓋体10を閉蓋状態に係止できるようになっている。さらに、ストッパー部材12側に回動自在に設けられたU字型ロック部材14と、蓋体10に設けられるロック受け部15により係止状態にあるストッパー部材12、ストッパー受け部13との係止をロックできるようになっている。
【0032】
このように構成された栓体4は、ロック部材14とロック受け部15とのロック状態を解除して、ストッパー部材12の下部を内側へ押すと、ストッパー部材12はストッパー受け部13との係止が解除され、蓋体10は、蓋開閉用ヒンジ軸11まわりの弾性部材である弾性リング11Aの付勢力にて上方に回動して開き、栓本体9の前側、すなわち栓本体9の縦方向の仮想した中心軸線17を中心としたとき蓋開閉用ヒンジ軸11と反対側にある飲み口16に唇をつけて飲料用容器1を傾けることにより、容器本体2内の飲料を直接飲むことができる。
【0033】
さらに栓本体9は、上下方向に設けられる中心軸線17を中心としたとき、その外側に配置され蓋開閉用ヒンジ軸11、ストッパー部材12が設けられる外栓部18と、外栓部18の内側に着脱自在に配置される内栓部19を備える。外栓部18は中心軸線17を中心として容器口部3の外側に配置される略円筒形状であって、中心軸線17に沿って平面円形の上部開口20が貫通しており、外栓部18の内周下部に第1の雌螺子部21が設けられ、この第1の雌螺子部21が容器口部3に形成した第1の雄螺子部8に螺着することで、外栓部18、ひいては栓体4は容器本体2に装着できるようになっている。
【0034】
そして内栓部19は上部開口20の下方から外栓部18に挿入して上部開口20から突設した略有底筒状をなしており、底面22の前部に液通孔23、後部には空気孔24がそれぞれ上下方向に連通するように貫通しており、また底面22の周縁の前部、左右両側部さらに後部より一体的に飲み口16を形成した周壁25を立ち上げる。周壁25はストッパー部材12側、すなわち前側を蓋開閉用ヒンジ軸11、すなわち後側より高くして形成しており、飲み口16は、その周壁25の前部に最上位に形成されており、そして周壁25の高さは左右両側において後部に向かうにしたがって次第に低く形成している。また、内栓部19の下部外周に容器口部3の内周に密着するパッキン26を設けている。
【0035】
そして、内栓部19を外栓部18に固定するために内栓部19の周壁25の左右外側のそれぞれの一部に上部外向き鍔27を設けると共に、外栓部18の上部開口20の左右にそれぞれ上部外向き鍔27が係止可能な係止受け部28が設けられている。
【0036】
また、外栓部18の上部開口20の縁を僅かに内側に突設して内向き鍔29が、後部の外側向きに切り欠いた第1の位置決め受け部30を除いて全周に形成されている。内向き鍔29の中心軸線17を中心とした第1の直径Aと、内栓部19の周壁25外周の中心軸線17を中心とした第2の直径Bとは、同じか第2の直径Bが小さく形成されて、下方から周壁25を内向き鍔29に挿入できるようになっている。さらに、係止受け部28は内向き鍔29における上面の左右部位をわずかに凹設した段部により係止受け部28が設けられており、この係止受け部28には内側が低くなるように左右外側段差部28Aと前後段差部28B,28Cが形成されており、さらに係止受け部28の下方内側面には下方に向かうに従って中心軸線17より遠ざかるように形成して挿入時の上部外向き鍔27を案内するためのテーパ面31が形成されている。
【0037】
内栓部19の外周における上下方向の中間部に中心軸線17を中心とした平面視円形の下部外向き鍔32が設けられると共に、この下部外向き鍔32とパッキン26との中間部には、中心軸線17を中心として外側を開口した上部外向き鍔27を設けた係止部材33の取付溝34が周設されている。
【0038】
内栓部19の左右に設けられる係止部材33は、内向き鍔部29の左右の一部分に係止するようなフック部材からなり、内栓部19に対して後述する付勢手段39に抗して揺動可能に設けられており、下部横向き部35と、この下部横向き部35の外側端に上向きに設けた縦向き部36と、この縦向き部36の上端外側面に設ける上部外向き鍔27と、この上部外向き鍔27の上方に連設し上部開口20より上方に露出する操作部37を備えており、操作部37の上端には内側向きの係止部材内向き鍔38が設けられている。この係止部材33は内栓部19に対して後述する付勢手段39に抗して揺動可能に設けられている。
【0039】
そして上部外向き鍔27は下部より上部が外側、すなわち中心軸線17を中心としたとき下部側の半径Cより上部側の半径Dが大きく形成されている。また、縦向き部36及び縦向き部36に連設する内側面は周壁25の左右部位と間隔をおいて縦向きに配置されていると共に、係止部材内向き鍔38は周壁25の上端面を覆うように設けられている。実施例では周壁25及び下部外向き鍔32のそれぞれの左右部位の外側面に外側を開口するように平面が凹状の縦溝状凹部40が形成されていると共に、この縦溝状凹部40の外側面に、縦向き部36及びその上部に有る操作部37が第1の間隔Eをおいて設けられている。また、実施例では周壁25の左右の上端面、すなわち飲み口16の末端に上方を開口するように側面が浅溝状の横溝状凹部41が形成されていると共に、この横溝状凹部41に第2の間隔Fをおいて係止部材内向き鍔38が収容されていることで、係止部材内向き鍔38の下側にある横溝状凹部41により操作部37が内方へやや進行したとき規制できるようになっている。横溝状凹部41はその後部より前部側、すなわち飲み口16側が高くなるように傾斜して形成されている。すなわち横溝状凹部41は飲み口16側に向けて上昇するように傾斜して配置している。尚、係止部材内向き鍔38の先端面は平面視で周壁25の内側面と同一平面状に配置されていると共に、係止部材内向き鍔38の上端面は、横溝状凹部41を除いた周壁25の上端面と同一平面状になるように、後部より前部側が高くなるように傾斜している。
【0040】
また、前記取付溝34の下面に係止部材33の回動支持部となる取付用突起42が上向きに設けられており、さらに、取付用突起42の前後を跨ぐように係止部材33の縦向き部36下部が二股に設けられて、取付用突起42と縦向き部36の下部間に横向きとなって前後方向に設けられた揺動用ヒンジ軸43が介在して、取付用突起42と係止部材33の下部は揺動可能に連結し、内栓部19の係止部材33は内向きに進退可能に設けられている。そして、縦向き部36と取付溝34との間に、ゴム材からなる付勢手段39が介在しており、この付勢手段39によって縦向き部36は揺動用ヒンジ軸43を中心として常時外側に回動するように付勢されている。尚、付勢手段39はゴム材やバネ材などの弾性部材によって形成されている。
【0041】
さらに、下部横向き部35が取付溝34の上面に係止することで、下部横向き部35、ひいては係止部材33が揺動用ヒンジ軸43を中心として外側への回動が阻止されるようになっている。
【0042】
尚、縦向き部36が縦溝状凹部40に当接するか或いは当接近くにあるときのように縦向き部36が内側に回動しているときに、周壁25は上部開口20へ下方から上方に嵌入できると共に、操作部37が係止受け部28へ同様に嵌入できるようになっており、そして下部外向き鍔32の上面が内向き鍔29の下面に係止することで上方への抜けを阻止できると共に、上部外向き鍔27が係止受け部28に係止することで、内栓部19が外栓部18より下方に抜け落ちないようになっている。したがって、図8に示すように下部外向き鍔32から係止受け部28までの上下方向の第3の間隔Gは、下部外向き鍔32の厚みと内向き鍔29の厚みとを加えたものに、係止受け部28の凹み厚さHを引いたものと同じに形成されている。
【0043】
外栓部18と内栓部19を嵌合した際に、位置合せするものとして、内向き鍔29の後部に形成された第1の位置決め受け部30に係止する第1の位置決め突起44が周壁25の後部及びその近傍の下部外向き鍔32に一体に設けられている。また、下部外向き鍔32における第1の位置決め突起44の左右両側に第2の位置決め受け部45が設けられると共に、この第2の位置決め受け部45に係止可能な第2の位置決め突起46が内向き鍔29における第1の位置決め受け部30の左右両側の下面に形成されている。さらに、下部外向き鍔32における前部に第3の位置決め受け部47が設けられると共に、この第3の位置決め受け部47に係止可能な第3の位置決め突起48が内向き鍔29の前部の下面に形成されている。
【0044】
蓋体10は、栓体4の上部開口20を覆う蓋部49と、蓋部49の下方に係止部材33が内方へ進退することを防止する障壁部50を介して設けられる蓋下部51とを有し、蓋下部51にはシール部材52が備えられている。障壁部50は蓋部49の下面に下方へ向けて突設した台部53の左右側面によって形成されるものであって、閉蓋時に障壁部50は係止部材内向き鍔38の内側の先端に近接或いは当接するように対向できるようになっている。また、シール部材52は、内栓部19の底面22に当接するシール本体54に、液通孔23を上方から密閉する流入側シール部55と、空気孔24を上方から密閉する空気孔シール部56を一体形成したものである。
【0045】
次に前記構成についてその作用を説明する。外栓部18に内栓部19が固定されている状態では、縦向き部36が付勢手段39により揺動用ヒンジ軸43を中心として外側に回動するように付勢されて、下部外向き鍔32の上面が内向き鍔29の下面に係止していると共に、内向き鍔29の上面に形成された係止受け部28に上部外向き鍔27の下面が係止することで、内栓部19は上下方向を規制されて抜け止めがなされている。また、第1の位置決め突起44と第1の位置決め受け部30、第2の位置決め突起46と第2の位置決め受け部45、第3の位置決め突起48と第3の位置決め受け部47により、中心軸線17を中心とした内栓部19の回り止めがなされている。
【0046】
次に前記公正についてその作用を説明する。ロック部材14、ロック受け部15間のロック状態を解除し、ストッパー部材12を操作してストッパー受け部13との係止を解除することで、蓋体10は弾性リング11Aの弾性力によって開蓋し、そして蓋体10を開いた状態で飲料用容器1を傾けることで、収容されている飲料が液通孔23から飲み口16に至る液通路57を解して吐出されて飲み口16より飲むことができるようになっている。この際、飲み口16が真下ではなく飲み口16が多少傾いていても液通孔23を通って排出された飲料は底部の左右にも配置されている周壁25に案内されて脇からこぼれることなく飲み口16側に導くことができる。
【0047】
そして、洗浄などのために容器本体2より取り外した栓体4を内栓部19と外栓部18に分解するには、開蓋状態で栓体4の左右において内向き鍔29の上方に突設している左右一対の操作部37を目視した後に、この一対の操作部37を指で摘み、そして摘んだ一対の操作部37を付勢手段39に抗して内側に押圧する。これら一対の操作部37の内側への押圧によって係止部材内向き鍔38は横溝状凹部41に当接して回動が停止する。そして、この押圧によって上部外向き鍔27及び縦向き部36は揺動用ヒンジ軸43を中心として内側に回動することで、上部外向き鍔27が縦溝状凹部40に収容されて、上部外向き鍔27は係止受け部28との係止状態が解除される。
【0048】
次に、操作部37を内側に押圧した状態で、さらに操作部37を下方に押圧することにより、内向き鍔29と下部外向き鍔32との係止が解除されて、内栓部19を外栓部18より下方に抜け出して分解を行うことができる。このようにして分解した内栓部19、外栓部18をそれぞれ洗浄する。
【0049】
洗浄した内栓部19、外栓部18を組み立てる場合は、第1の位置決め受け部30に第1の位置決め突起44を、第2の位置決め突起46に第2の位置決め受け部45を、第3の位置決め突起48に第3の位置決め受け部47を対向するように、外栓部18の下方に内栓部19を配置する。次に外栓部18の上部開口20に内栓部19の周壁25を挿入する。この際、テーパ面31に操作部37の外側面が摺動され、さらにテーパ面31に上部外向き鍔27が摺動すると、テーパ面31によって上部外向き鍔27は内側に押圧されて係止部材33は揺動用ヒンジ軸43を中心として内側に回動して、上部外向き鍔27は係止受け部28を通り抜けて上方に至る。この際、付勢手段39は縦向き部36によって押圧されて圧縮される。
【0050】
このように上部外向き鍔27が係止受け部28を通り抜けて、第1の位置決め受け部30と第1の位置決め突起44、第2の位置決め突起46と第2の位置決め受け部45、第3の位置決め突起48と第3の位置決め受け部47がそれぞれ係合することで、外栓部18に対する内栓部19の、回り止めが図れる。同時に、縦向き部36による押圧が解除され圧縮されていた付勢手段39が復元することで、係止部材33が上部外向き鍔27と共に外側に回動し、係止受け部28の上面に上部外向き鍔27の下面が係止して外栓部18に対する内栓部19の抜け止めが図れる。さらに、上部外向き鍔27の下面が係止受け部28の上面に係止すると同時に、内向き鍔29の下面に下部外向き鍔32の上面が係止して外栓部18に対する内栓部19の突き抜け止めが図れる。
【0051】
このように外栓部18に内栓部19が正確に取り付けられた状態では、操作部37の係止部材内向き鍔38の傾斜している上端面の前後端は、周壁25における縦溝状凹部40の前後端に連続するように配置され、また係止部材内向き鍔38の内側先端面は周壁25の内側面および横溝状凹部41の内端と面一状に配置されることで、操作部37は周壁25と一体感があるように目視されるようになっている。
【0052】
したがって、上端面の前後端が縦溝状凹部40の前後端に連続していないように目視されたり、また、係止部材内向き鍔38の内側先端面が周壁25の内側面と面一状に目視されない場合には、内栓部19が外栓部18に正しく取り付けられていない状態となっている。
以上のように、前記実施例では外栓部18の下方から内栓部19を挿脱可能に設け、外栓部18より内栓部19を外すことで栓を隅々まで洗うことができ、また外栓部18に内栓部19を固定するため内栓部19に係止部材33、外栓部18の上部開口20に係止受け部28を設け、そして内栓部19の操作部37が外栓部18の上部開口20より上方に露出して着脱自在に係止するため、内栓部19が外栓部18に確実に取り付けされたことが栓本体9の外側から目視確認できる。
【0053】
また、相互に当接する内栓部19のほぼ全周に設けた下部外向き鍔32、外栓部18のほぼ全周に設けた内向き鍔29によって、内栓部19を外栓部18へ下方から挿入する際に確実に目指す位置まで押し込み止め位置決めして、内栓部19の突き抜けをすることができる。そして、係止受け部28の上部に上部外向き鍔27を係止することで、内栓部19の下方への抜け止めを図ると共に、内栓部19を外栓部18に対して固定状態とすることができる。
【0054】
さらに、内栓部19の操作部37は外栓部18の上部開口20より上方に露出した状態で内外方向に進退可能に設けられているため、操作部37が外側にあるときは内栓部19が正しく取り付けられており、一方操作部37が内側にあるときは内栓部19が正しく取り付けられていないことを、操作部37の内側位置か外側位置かの目視によって内栓部19が外栓部18に対して正確に取り付けられているか、いないかを確認できる。
【0055】
また、内栓部19の係止部材33は、下方に設けられる揺動用ヒンジ軸43を介して回動自在に設けると共に操作部37を設けて、操作部37を回動操作するようにしたことで、より確実に操作することができ、また操作部37が外栓部18の上部開口20より上方に露出しているため、操作位置を目視確認しやすくなる。しかも、左右一対に設けられる操作部37は周壁25の縦溝状凹部40を介して外周側に配置されているので、左右一対の操作部37を一対の指により挟んで両者間を付勢手段39に抗して狭めることで簡単に操作でき、また操作部37は周壁25の外周側に配置されているので、周壁25によって阻害されて目視確認できにくくなるようなことはないと共に、周壁25の内周面はなだらかな面で形成されることで従来と同様に排出する液体の流れを妨げるような凹凸などが形成されることはない。
【0056】
さらに、付勢手段39によって上部外向き鍔27部は常時外側に付勢されているので、上部外向き鍔27と係止受け部28との係止状態が保持される。また、操作部37を内側に押圧して内栓部19を外栓部18に挿入し、操作部37から指を離すだけで上部外向き鍔27が係止受け部28に自動的に係止できるので、係止のための操作をワンタッチで行うことができる。
【0057】
また、第1の位置決め突起44と第1の位置決め受け部30、第2の位置決め突起46と第2の位置決め受け部45、第3の位置決め突起48と第3の位置決め受け部47のように、内栓部19、外栓部18間に位置決め手段を設けたことにより、確実に装着方向を目視確認できると共に、中心軸線17を中心とした回り止めを図ることができる。
【0058】
さらに、操作部37の上部に周壁25の上端を乗り越えて周壁25の内周と同一面状又は内周より内側に突設した係止部材内向き鍔38に、閉蓋時に係止部材内向き鍔38の内側先端に対向して当接又は近接する障壁部50を蓋体10に設けたことにより、操作部37の過度な内側への回動を阻止することで、飲料用容器1、ひいては栓体4の落下などにより操作部37が不用意に移動して内栓部19が外栓部18より抜け出るようなことを阻止できると共に、このような障壁部50を設けても開蓋時における係止部材の目視確認を阻害するようなことはない。
【0059】
また、横溝状凹部41、係止部材内向き鍔38の上端面はその後部より前部側、すなわち飲み口16側が高くなるように傾斜していることにより、容器本体を傾けて飲むなどの際に、吐出飲料の液面が横溝状凹部41の上端を越えてしまうようなことを防ぐことができる。
【0060】
しかも、係止部材33、係止受け部28をそれぞれ左右に両脇に一対となるように配置したことで、外栓部18に対して内栓部19を左右両側で支持できるようになり、外栓部18に対して内栓部19を安定した状態で取り付けすることができる。
【実施例2】
【0061】
実施例2は、周壁によって実施例1のような飲み口ではなく円筒形などの注ぎ口を形成したり、さらに内向き鍔、下部外向き鍔を実施例1のようにほぼ全周ではなく、断続的に設けるようにしてもよい。このようなものであっても実施例1と同様な作用効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように本発明に係る飲料用容器の栓体は、各種の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0063】
2 容器本体
3 口部
4 栓体
9 栓本体
10 蓋体
16 飲み口
18 外栓部
19 内栓部
20 上部開口
23 液通孔
27 上部外向き鍔
28 係止受け部
29 内向き鍔
32 下部外向き鍔
33 係止部材
37 操作部
38 係止部材内向き鍔
39 付勢手段
41 凹部
50 障壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に着脱自在に取り付けられる栓本体と、この栓本体に開閉自在に設けられる蓋体を備え、前記栓本体は前記容器本体の口部に装着すると共に上部開口を有する外栓部と、この外栓部の上部開口に下方から着脱自在に被着される液通孔を有する内栓部を備え、この内栓部に係止部材、前記外栓部の上部開口に係止受け部を設け、前記内栓部の係止部材が前記外栓部の前記上部開口より上方に露出して着脱自在に係止することを特徴とする飲料用容器の栓体。
【請求項2】
前記外栓部の上部開口を内向き鍔とし、前記内栓部の外周に前記外栓部の内向き鍔の下部に係止可能な下部外向き鍔を設けると共に、前記内栓部の係止部材に前記外栓部の係止受け部の上部に係止可能な上部外向き鍔を設けたことを特徴とする請求項1記載の飲料用容器の栓体。
【請求項3】
前記内栓部の係止部材は内向きに進退可能に設けられ、前記内栓部を前記外栓部に着脱する際に、前記係止部材が前記係止受け部に対して内向きに進退することで係止或いは係止解除することを特徴とする請求項1又は2記載の飲料用容器の栓体。
【請求項4】
前記内栓部の係止部材は、この内栓部の下部外向き鍔の下方位置に回動可能に軸支され、前記上部外向き鍔の上方に操作部を設け、この操作部が前記外栓部の上部開口より上方に露出するように前記内栓部が前記外部栓に係止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料用容器の栓体。
【請求項5】
前記内栓部と前記係止部材との間に、この係止部材を外方へ付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項4記載の飲料用容器の栓体。
【請求項6】
前記内栓部を前記外栓部に装着する際に、相対的に嵌合することで位置合せとなる位置決め突起と位置決め受け部のうち一方を前記内栓部に設けると共に、他方を前記外栓部に設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の飲料用容器の栓体。
【請求項7】
前記蓋体が前記栓本体を閉じた状態において、前記蓋体に前記内栓部の係止部材が内方へ進退することを防止する障壁部を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の飲料用容器の栓体。
【請求項8】
前記内栓部の前方上面に飲み口又は注ぎ口を設け、前記飲み口又は注ぎ口の末端に前記係止部材の上部を収容する凹部を設け、前記飲み口又は注ぎ口に連設する位置に前記係止部材の上部を配置し、前記凹部の上端を覆う方向へ突出する係止部材内向き鍔を前記係止部材に設けると共に、前記凹部の上端と前記係止部材内向き鍔を、前記飲み口又は注ぎ口側に向けて上昇するように傾斜させて配置したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の飲料用容器の栓体。
【請求項9】
前記係止部材は前記内栓部の両脇に互いに対向して設けられる一対のフック部材であり、前記係止受け部は前記フック部材に対向して前記栓本体の両脇に互いに対向して一対設けられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の飲料用容器の栓体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−206741(P2012−206741A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72757(P2011−72757)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(591261602)サーモス株式会社 (76)
【Fターム(参考)】