説明

飲料用容器の減容装置及び飲料用容器の選別装置

【課題】混在している飲料用空き缶と飲料用ペットボトルとを簡単な構成で確実にしかも連続的に選別できる飲料用容器の選別装置を提供する。
【解決手段】軸間距離を固定した一対のタイヤを加圧接触させて回転させ、一方のタイヤの外周部の周方向に複数の係合部材を設け、該加圧接触部に空き缶とペットボトルを供給して空き缶とペットボトルとを圧潰する飲料用容器の減容装置を傾斜配置した振動篩31の上方に配置し、圧潰済みの空き缶とペットボトルとの厚みの差で振動搬送途中で空き缶を篩い落とし、堰部材45により篩落ちない空き缶とペットボトルとを高さ方向の差を利用して選別し、圧潰済みの缶をそのまま通過させ、圧潰済みのペットボトルを堰部材45で振動篩の側方に向けて案内し排出口46、47より排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混在状態の空の飲料用缶とペットボトルを連続的に加圧して押し潰す飲料用容器の減容装置及び減容装置で連続的に減容された飲料用容器である缶とペットボトルを連続的に選別する飲料用容器の選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
資源回収の一つの流れとして、例えば清涼飲料水の自動販売機の傍に設置した資源回収ボックス等から回収した空き缶と空のペットボトル等の回収容器を大きな回収袋に混在状態で詰め、これを一箇所に集め、さらに多数の前記回収袋をトラックに積み込んで次の集積所に集めて缶とペットボトルに選別し、缶についてはスチール缶とアルミ缶に選別する。
【0003】
混在状態の空き缶と空のペットボトル等を機械的に選別する選別装置として、傾斜配置した搬送コンベアの下端側に空き缶とペットボトルと空き瓶を供給し、搬送途中でスチール缶選別機により先ずスチール缶を磁力により吸着選別し、続いてアルミ缶選別機によって搬送コンベアから排出されるアルミ缶に対して渦電流を発生させ、この渦電流による磁界と、搬送コンベアの搬送端部に発生させた磁界とを反発させてアルミ缶を前方に弾きとばして選別する。そして、残った空き瓶と空のペットボトル等は搬送コンベアから落下するが、その間に、送風機からの風により軽量のペットボトルが遠くに飛んで空き瓶と分離し、それぞれの回収シュートに回収される(特許文献1)。
【0004】
この選別装置は、空き缶を圧潰する前にスチール缶とアルミ缶とを選別し、また空き缶と圧潰前のペットボトルとを選別する。
【0005】
空き缶を圧潰して減容積化する減容装置としては、水平方向に回転軸を有する一対の自動車用タイヤを回転自在に軸支し、双方のタイヤの外周面を接触させた状態で一方のタイヤを回転駆動させ、他方のタイヤを従動回転させている。そして、双方のタイヤの加圧接触するニップ部に上方から空き缶を導入すると、空き缶はニップ部にくわえ込まれて圧潰され、扁平状態の空き缶が下方に落下し、上方から連続的に供給された空き缶が連続的に下方に落下する(特許文献2)。
【特許文献1】特開2001−334397号公報
【特許文献2】特開2005−046845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の減容装置は、空き缶を連続的に圧潰するが、回収した空き缶中には飲み残しの飲料が存在することがあり、ニップ部にくわえ込まれて圧潰される際に、飲み残しの飲料が一対のタイヤの外周面に飛び散ってタイヤの外周面を濡らし、空き缶に対する摩擦係数が大幅に低下する。このため、ニップ部に導入される空き缶がタイヤの表面に対してスリップし、一対のタイヤによるくわえ込みができなくなり、空き缶の圧潰ができなくなる。
【0007】
また、ペットボトルはタイヤの外周面に対して摩擦係数が低いためタイヤの外周面が濡れると、より一層ペットボトルのくわえ込みが難しくなる。
【0008】
さらに、特許文献2の減容装置では、ニップ部に空き缶がくわえ込まれたときに一対のタイヤの面間距離を拡開可能とし、ニップ部での缶詰まりを防止しているが、他方のタイヤが従動回転しているため、一対のタイヤの面間距離が拡がりすぎると従動側のタイヤは駆動側のタイヤからの駆動力が得られなくなり、結果としてニップ部にくわえ込まれた空き缶は従動側のタイヤから十分な加圧力が得られなくなり、空き缶を十分に圧潰することができなくなる。
【0009】
また、特許文献2の減容装置は、空き缶を圧潰対象の飲料用容器としているが、本発明はこの構成の減容装置でペットボトルを圧潰しようとしたが、ペットボトルは空き缶に比べて潰れ難いため、一対のタイヤの面間距離が大きく拡開し、ペットボトルの圧潰がより一層難しくなる。また、ペットボトルはタイヤとの摩擦係数が缶に比べて小さいこと等によりタイヤの外周面が濡れていると、ペットボトルはニップ部によるくわえ込みがより一層難しくなった。
【0010】
一方、空き缶と空のペットボトルが混在した状態でこれらを選別する特許文献1の選別装置では、通風装置および磁界発生装置等を必要とし、選別装置が全体に大型化し、また複雑化および高価格化する。
【0011】
すなわち、特許文献1の選別装置では、減容化前の空き缶と空のペットボトルとを選別し、それぞれ選別したスチール缶、アルミ缶、空のペットボトルを個々に減容化するか、あるいは、特許文献2の減容装置のように空き缶のみを減容化し、ペットボトルの減容化は行わないものと考えられる。
【0012】
本発明の目的は、ニップ部を提供する加圧面が水などで濡れても混在状態で供給される空の飲料用缶およびペットボトルを連続的に圧潰して確実に減容化できる飲料用容器の減容装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明者は、空の飲料用缶およびペットボトルを選別対象とし、これらの飲料用容器を減容化すると、空き缶は厚みの薄い扁平状態となるのに対し、空の飲料用ペットボトルは扁平状態になるものの空き缶のように完全に塑性変形せず、ある程度の厚みまで復元することを見出し、飲料用空き缶と飲料用ペットボトルは圧潰前では外径に大きな差はないが圧潰化後では厚みに大きな相違が発生することに着目し、本発明の選別装置を為すに至ったものである。
【0014】
すなわち、本発明の他の目的は、混在している飲料用空き缶と飲料用ペットボトルとを簡単な構成で確実にしかも連続的に選別できる飲料用容器の選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的を実現する飲料用容器の減容装置の構成は、水平方向に回転軸をそれぞれ有し、該回転軸の軸間距離を固定し、外周面を互いに加圧接触させた一対の回転体と、前記一対の回転体を加圧接触部で上方から下方に向かってそれぞれ独立して回転駆動させる駆動手段と、前記回転する一対の回転体の加圧接触部に上方から投入された飲料用の空容器を加圧して押し潰し、該加圧接触部から落下排出させる飲料用容器の減容装置であって、前記一対の回転体は、回転体本体の外周に弾性体を設け、一方の回転体には投入される容器と係合する係合部材を前記弾性体の表面よりも外方に突出して設けたことを特徴とする。
【0016】
前記係合部材は、回転軸方向に延びる棒状部材を周方向に適当間隔を有して配置したことを特徴とする。
【0017】
前記一対の回転体は、弾性体に自動車用のタイヤを用いたことを特徴とする。
【0018】
本発明の目的を実現する飲料用容器の選別装置の構成は、傾斜配置した振動篩を有し、前記振動篩の傾斜上端側に配置した飲料用容器の減容装置により圧潰されて減容化された状態の飲料用容器である缶とペットボトルが供給される飲料用容器の選別装置であって、前記振動篩は、振動搬送される容器の搬送面に形成された圧潰された飲料用缶が通過できるが圧潰されたペットボトルが通過できないサイズの篩目を備えた篩部と、前記振動篩の傾斜下端側に配置され、前記篩目から落下しなかった圧潰済みの缶を通過させるが圧潰されたペットボトルは通過させない通過高さに設定され、振動搬送される不通過のペットボトルを振動篩の側方に向けて案内する堰部材と、前記篩目を通過して落下する圧潰された缶を受ける缶受部と、前記堰部材により側方に向けて案内された圧潰済みのペットボトルを振動篩から排出する排出口と、を有することを特徴とする。
【0019】
前記振動篩は、傾斜方向を振動方向として加振装置により振動されることを特徴とする。
【0020】
前記振動篩は、箱形状の篩本体の底面に形成した開口部に振動搬送方向に延びる搬送ガイドバーを振動搬送方向と直交する幅方向に前記篩目の間隔を有して複数本並設して前記篩部を形成したことを特徴とする。
【0021】
前記缶受部は、前記振動篩の下方に配置され、該振動篩の傾斜下端から落下排出された圧潰済みの空き缶を受けることを特徴とする。
【0022】
前記飲料用容器の減容装置は、上記した構成の減容装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明による飲料用容器の減容装置によれば、飲料用容器である飲料用の空き缶と空のペットボトルとを連続的に圧潰でき、容器内の液体によって回転体の弾性体部が濡れても係合部材により確実に一対の回転体が加圧接触するニップ部にくわえ込ませることができ、容器詰まり等を発生させることなく連続して大量の飲料用の空き缶と空のペットボトルを圧潰処理することができる。
【0024】
また、本発明による飲料用容器の選別装置によれば、圧潰済みの空き缶と空のペットボトルとを傾斜上端から傾斜下方に向かって振動篩上を移動させるだけで、両者の圧潰後における幅と高さの差を利用して、空き缶と空のペットボトルとを選別できるので、簡単な構成で高速度での選別ができ、大量の空き缶と空のペットボトルとを連続的に選別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0026】
第1実施形態
図1、図2は本発明による飲料用容器の減容装置の第1実施形態を示し、図1は正面図、図2は図1の平面図で、図1および図2は共に外側の二点鎖線のカバーを外した状態を示す。
【0027】
図1および図2において、水平方向に回転軸1aを有する第1回転体1と、回転体1と同様に水平方向に回転軸2aを有する第2回転体2との外周面を加圧接触状態で装置本体3に取り付けている。装置本体3の軸受台4には、第1回転体1の回転軸1aを回転自在に軸支する軸受5と、第2回転体2の回転軸2aを回転自在に軸支する軸受6とが不図示のボルトにより固定されて軸間距離Lを一定とし、第1回転体1と第2回転体2との加圧接触部であるニップ部7に飲料用容器であるアルミ,スチール製の空き缶Cおよび空のペットボトルPが上方のホッパー8から落下供給される。
【0028】
第1回転体1と第2回転体2とは、モータと減速機構により構成される別々の駆動装置により回転駆動され、第1駆動装置9により回転駆動される第1回転体1は図1に示すように時計回り方向に回転され、第2駆動装置10により回転駆動される第2回転体2は反時計回り方向に回転される。そして、ニップ部7において、第1回転体1と第2回転体2は下向きに回転し、上方から落下供給される空き缶Cと空のペットボトルPとを下方に向けて圧潰しながら排出する。
【0029】
第1回転体1と第2回転体2は、共に金属製の円筒形状に形成された回転体本体1b、2bの外周にゴム製の円筒状の弾性体1c、2cを装着した構成とし、弾性体1cと弾性体2cの外周面を加圧接触させている。また、第1回転体1と第2回転体2は、空き缶Cおよび空のペットボトルPが縦方向および横方向のいずれの姿勢であってもニップ部7で確実に圧潰できる幅を有し、本実施形態では第1回転体1と第2回転体2を自動車用タイヤとしており、回転体本体1b、2bをホイール、弾性体1c、2cをゴムタイヤとしている。
【0030】
また、第1回転体1の弾性体(タイヤ)1cの外周面には、タイヤ1cの幅方向に棒状に形成した金属製の係合部材11を差し渡すと共に、この係合部材11を周方向に沿って間隔を有して複数本配置している。なお、タイヤ1cの外周両端部に、帯状の締付バンド12を締付け固定し、この一対の締付バンド12上に係合部材11の両端部を溶接等で固定している。
【0031】
これらの係合部材11は、上方から落下供給される空き缶Cおよび空のペットボトルPと係合することにより、係合した空き缶Cおよび空のペットボトルPをニップ部7に向けて確実に導入させる。空き缶Cおよび空のペットボトルP内に液体の内容物が残っていると、ニップ部7に落下供給される際、あるいはニップ部7で圧潰される際にタイヤ1cの表面をこの液体で濡らすことがあり、タイヤ1cの表面の摩擦係数が低下し、タイヤ1cの表面の摩擦力だけで空き缶Cおよび空のペットボトルPをニップ部7に導入できなくなり、ニップ部7の入り口で例えば空き缶Cが留まり、上方から連続供給される空き缶Cおよび空のペットボトルPが滞積し、連続した圧潰と排出ができなくなる。しかし、タイヤ1cの外周にこのタイヤ1cの表面よりも外方に突出して係合部材11を設けているので、上記した摩擦係数の低下に影響されることなく連続供給される空き缶Cおよび空のペットボトルPを確実にニップ部7に導入して圧潰し、圧潰された空き缶C1および空のペットボトルP1が扁平状態で下方に排出することができる。
【0032】
また、第1回転体1と第2回転体2との軸間距離Lを固定しているので、ニップ部7に空き缶Cおよび空のペットボトルPがくわえ込まれると、第1回転体1のタイヤ1cと第2回転体2のタイヤ2cとが弾性変形する。タイヤは硬いので弾性変形が小さく、タイヤで構成されるニップ部7内で空き缶Cと空のペットボトルPを薄く圧潰することができる。その際、軸間距離Lは変化しないので、タイヤ1cとタイヤ2cとの弾性変形に伴う復元力が空き缶Cと空のペットボトルPの圧潰力として作用する。
【0033】
一方、第1回転体1と第2回転体2はそれぞれ独立して第1駆動装置9と第2駆動装置10で駆動されるので、ニップ部7にくわえ込まれた空き缶Cおよび空のペットボトルPに圧潰力が両方の回転体から付与されることになる。そして、従来のように、両方の回転体をギアなどで連結し、一方の回転体の回転力を該ギアを介して他方の回転体に伝達しようとする構成を有し、双方の回転体の軸間距離を可変とする構成であっては、ニップ部に弾性変形がし難いペットボトルをくわえ込ませた場合、軸間距離が拡がり上記したギア連結が外れてしまい、他方の回転体への駆動力伝達ができなくなるが、本実施形態ではこのようなことが生じない。
【0034】
第1駆動装置9および第2駆動装置10は、出力軸に小径スプロケット9a、10a固定され、また回転軸1a、2aには大径スプロケット1d、2dがそれぞれ固定されている。そして、小径スプロケット9aと大径スプロケット1dに、また小径スプロケット10aと大径スプロケット2dにそれぞれをチェーン9b、10bが掛け回され、第1駆動装置9および第2駆動装置10の駆動力をさらに減速して第1回転体1と第2回転体2に伝達している。
【0035】
第1回転体1および第2回転体2、第1駆動装置9および第2駆動装置10は外装カバー13により覆われており、前面に設けたドア13aを開くことで第1回転体1および第2回転体2およびその周辺のメインテナンスを行えるようにしている。
【0036】
なお、本実施形態の飲料用容器の減容装置によって圧潰されて容積が減じられた圧潰後の空き缶C1と空のペットボトルP1とは、圧潰後の厚みに大きな差が生じる。
【0037】
空き缶Cはアルミ、スチール製であることから、圧潰されると圧潰時の厚みから復元することはなく、圧潰後の厚みはニップ部7のニップ圧等で決定される厚み(t1)となる。
【0038】
これに対し、空のペットボトルPは、ニップ部7で空き缶Cと同様に一旦は空き缶Cと同程度の厚みまで圧潰されるが、材質がPETであることより、元の直径まで戻ることはないが圧潰後の空き缶厚み(t1)に比べて数倍程度の厚み(t2)まで復元する。
【0039】
ホッパー8に連続投入された空き缶Cと空のペットボトルPは、ニップ部7に落下供給され、ニップ部7で圧潰され、厚みt1に圧潰された空き缶C1と、圧潰後の空き缶C2の厚み(t1)よりも数倍程度の厚みに復元した圧潰後の空のペットボトルP1が飲料用容器の減容装置から排出される。
【0040】
なお、飲料用容器の減容装置からの排出方向は、減容装置の真下だけでなく、ニップ部7の下部に傾斜板を配置し、ニップ部7から落下排出される圧潰後の空き缶C1と圧潰後のペットボトルP1の向きをこの傾斜板で横方向に向きを変えて排出するようにしてもよい。
【0041】
また、第1回転体1の外周に設けた係合部材11は第1回転体1の幅方向に差し渡した棒状の部材としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、タイヤに取り付けるスノーチェーンのようなものであってもよい。さらに、第1回転体1と第2回転体2として自動車用タイヤを例示しているが、円筒状の回転体本体1b、2bの外周に係合部材である突起部を適当間隔を有して周方向に設け、この突起部の間にゴムなどの弾性体、特に自動車用のタイヤと同程度の硬さを有するゴムを取り付け、このゴムの表面より前記突起部を外方に突出させるようにしてもよい。
第2実施形態
図3は本発明の第2実施形態を示す。
【0042】
図3は飲料用容器の選別装置を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は(b)のAーA矢視断面図である。
【0043】
本実施形態の飲料用容器の選別装置30は、傾斜配置した振動篩31により構成し、圧潰した空き缶C1と圧潰した空のペットボトルP1とを被選別対象とし、振動篩31の傾斜上端側に上方から圧潰した空き缶C1と圧潰した空のペットボトルP1とを連続的に落下供給する。
【0044】
ボックス型に形成された振動篩31は、支持フレーム32に左右両側で前後2箇所にそれぞれ配置したリンク部材33を介して揺動自在に傾斜姿勢で吊り下げられている。振動篩31は、支持フレーム32の前部に取り付けた揺動駆動装置34により傾斜方向に沿って前後に揺動されて傾斜方向に振動する。揺動駆動装置34は、電動モータ等から構成される回転駆動部35の回転力を駆動ベルト36を介してクランク機構37の回転軸37aに固定のプーリー37bに伝達する。クランク機構37のクランクピン37cは連結ロッド38を介して振動篩31に連結され、クランク機構37の回転により連結ロッド38を介して振動篩31を振動させる。
【0045】
振動篩31は、図3(b)に示すように、底面39の傾斜上端部側に開口部40が形成され、傾斜下端部側に床面部41が形成されている。開口部40には、間隔Wを篩目のサイズとして細幅の棒状部材42を幅方向に配置した篩部43が取り付けられている。
【0046】
篩部43を構成する棒状部材42は振動篩の振動方向に沿って配置されており、篩目のサイズである棒状部材42の間隔Wは、圧潰された空き缶C1の厚みt1よりも広いが、圧潰後に復元した空のペットボトルP1の厚みt2よりも狭いサイズとしている。
【0047】
したがって、振動篩31の傾斜上端側に落下供給された圧潰済みの空き缶C1と空のペットボトルP1は、篩部43上に落下し、振動篩31に加わる傾斜方向に沿った振動により傾斜下方に向けて移動する。その際、圧潰済みの空き缶C1は篩部43上で振動し、隣接する棒状部材42で構成される間隔Wの篩目から落下する。ここで、圧潰済みの空き缶C1の供給時における落下姿勢によっては篩目を直接通過する場合もあり、棒状部材42上を滑落する途中で姿勢が変わって篩目を通過する場合もあれば、そのまま棒状部材42上を滑落して床面部31まで到達する場合もある。勿論、圧潰済みの空のペットボトルP1は篩部43でふるい落とされることなく床面部31まで棒状部材42上を滑落する。
【0048】
振動篩31の下方には、篩部43を通過して落下する空き缶C1を受ける箱状の缶受部44が振動篩31と同じ傾斜角度で一体的に固定され、傾斜下端側が略振動篩31の傾斜下端位置まで延びており、篩部43で選別されて缶受部44に落下排出された圧潰済みの空き缶C1は、チェーンコンベア、ベルとコンベア等で構成される空き缶搬送用の搬送コンベアCV1に排出される。
【0049】
振動篩31の床面部41には、床面から高さHの位置に堰部材45が取り付けられている。堰部材45が取り付けられる床面からの高さHは、圧潰済みの空き缶C1が床面部41を滑ってこの堰部材45をすり抜けることができるが、圧潰済みのペットボトルP1がすり抜けるのを阻止する高さに設定されている。
【0050】
本実施形態において、堰部材45は、例えばアングル部材により形成され、図3(b)に示すように、振動篩31の床面部41の上方に左右に振り分けるようにして2つ設け、これら2つの堰部材45の先端をつき合わせている。篩部43の棒状部材42上を滑落して床面部41に到達した圧潰済みの空のペットボトルP1は、堰部材45に案内され、傾斜下方に見て右側の排出口46または左側の排出口47から排出される。
【0051】
この左右の排出口46、47は振動篩31の側板48、49にそれぞれ形成され、傾斜している堰部材45の側方に形成されているので、床面部41を振動方向に滑落する圧潰済みの空き缶C1はこの排出口46、47からは排出されることなく振動篩31の傾斜下端から落下して排出される。そして、振動篩31の傾斜下端から落下する圧潰済みの空き缶C1は缶受部44の排出端部上に落下するので、缶受部44に排出された圧潰済みの空き缶Cと、篩部43を不通過の圧潰済みの空き缶C1とが合流する。
【0052】
一方、堰部材45により振動篩31の傾斜下端への移動が阻止された圧潰済みの空のペットボトルP1は、堰部材45により案内されて側板48、49に向かい、圧潰済みの空のペットボトルP1のみが排出口46、47から排出され、圧潰済みの空き缶C1と選別される。
【0053】
本実施形態では、2つの堰部材45をV字状に配置し、振動篩31の傾斜上方から下方に移動してきた圧潰済みの空のペットボトルP1を左右の堰部材45で左右に振り分け、左右の排出口46、47から排出するようにしているが、一つの堰部材45を左右の側板48と49の間に斜めに配置し、一方の側板方向に圧潰済みの空のペットボトルP1を堰部材45に沿って移動させ、当該一方の側板に設けた排出口から圧潰済みの空のペットボトルP1を排出するようにしてもよい。
【0054】
本実施形態では、左右の側板48、49の排出口46、47から側方にペットボトル用の受台50、51を水平方向に延出させている。また、受台50、51を囲むようにして下方向に延びるダクト52、53を設け、さらに左側のダクト53は缶受部44の下を横切って右側のダクト52の下部に接続され、左右のダクトを通った圧潰済みの空のペットボトルP1を右側のダクト52の下端部で一箇所に集合した圧潰済みの空のペットボトルP1はチェーンコンベア、ベルとコンベア等で構成される空のペットボトル搬送用の搬送コンベアCV2に排出される。
【0055】
本実施形態の選別装置30では、予め圧潰した空き缶C1と空のペットボトルP1とを選別対象とし、圧潰後の厚みに差が生じることを利用し、振動篩31の篩部43で幅方向における厚みの差により圧潰厚さの薄い空き缶C1を圧潰厚さの厚い空のペットボトルと選別するようにしているので、連続的に供給される空き缶とペットボトルとの被選別対象を高速度で選別することができることとなる。篩部43で供給する全ての空き缶C1を選別できればよいが、ペットボトルP1と共に篩い分けされずに篩部43を通過する空き缶C1が存在するので、さらに下流側に設けた堰部材45で今度は圧潰後の空き缶C1と圧潰後の空のペットボトルP1の高さ方向の差で両者を選別するようにしている。この場合も、連続的に選別が行えるので、空き缶とペットボトルとの選別を高速度で行えることになる。
【0056】
このように、傾斜上端から傾斜下方に向かって移動させるだけで、圧潰後における幅と高さの差を利用して、空き缶と空のペットボトルとを選別できるので、簡単な構成で高速度での選別ができ、大量の空き缶と空のペットボトルとを連続的に選別することができる。そして、選別された圧潰後の空き缶から、アルミ缶とスチール缶との選別は、例えば電磁石などを用いることで簡単に行える。
【0057】
すなわち、従来では圧潰前に空き缶と空のペットボトルとを選別するため、構成が複雑化するが、本発明では圧潰後の空き缶と空のペットボトルとを選別するため、簡単な構成で選別することができ、また大量の被選別対象を短時間に選別できることになる。
【0058】
なお、左右にそれぞれ設けたペットボトル用の受台50、51に排出された圧潰済みの空のペットボトルP1を左右独立して集積する場合には、受台50、51に例えば上記した搬送コンベアCV2を配置するようにしてもよい。
【0059】
また、図1に示す飲料用容器の減容装置を本実施形態の飲料用容器の選別装置30の上方に配置する場合、図4(a)に示すように減容装置60を振動篩31の傾斜上端側の真上に配置すると、選別装置30の周囲のスペースを有効に利用でき、図4(b)に示すように、減容装置60を振動篩31の傾斜上端側の側方に配置する場合には、減容装置60の高さを低くすることができ、減容装置60への空き缶Cと空のペットボトルPの供給が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明による飲料用容器の減容装置の実施形態を示す正面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】本発明による飲料用容器の選別装置の実施形態を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は(b)のAーA矢視断面図である。
【図4】(a)、(b)は図3の選別装置に図1の減容装置を取り付けた状態を示す図。
【符号の説明】
【0061】
C 空き缶 C1 圧潰後の空き缶
P 空のペットボトル P1 圧潰後の空のペットボトル
CV1、CV2 搬送コンベア
1 第1回転体
1a 回転軸 1b 回転体本体 1c 弾性体
2 第2回転体
2a 回転軸 2b 回転体本体 2c 弾性体
3 装置本体
4 軸受台
5、6 軸受
7 ニップ部
8 ホッパー
9 第1駆動装置
9a 小径スプロケット
10 第2駆動装置
10a 小径スプロケット
11 係合部材
12 締付バンド
13 外装カバー
13a ドア
30 飲料用容器の選別装置
31 振動篩
32 支持フレーム
33 リンク部材
34 揺動駆動装置
35 回転駆動部
36 駆動ベルト
37 クランク機構
38 連結ロッド
39 底面
40 開口部
41 床面部
42 棒状部材
43 篩部
44 缶受部
45 堰部材
46、47 排出口
48、49 側板
50、51 ペットボトル用の受台
52、53 ダクト
60 減容装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に回転軸をそれぞれ有し、該回転軸の軸間距離を固定し、外周面を互いに加圧接触させた一対の回転体と、
前記一対の回転体を加圧接触部で上方から下方に向かってそれぞれ独立して回転駆動させる駆動手段と、
前記回転する一対の回転体の加圧接触部に上方から投入された飲料用の空容器を加圧して押し潰し、該加圧接触部から落下排出させる飲料用容器の減容装置であって、
前記一対の回転体は、回転体本体の外周に弾性体を設け、一方の回転体には投入される容器と係合する係合部材を前記弾性体の表面よりも外方に突出して設けたことを特徴とする飲料用容器の減容装置。
【請求項2】
前記係合部材は、回転軸方向に延びる棒状部材を周方向に適当間隔を有して配置したことを特徴とする請求項1に記載の飲料用容器の減容装置。
【請求項3】
前記一対の回転体は、弾性体に自動車用のタイヤを用いたことを特徴とする請求項1または2に記載の飲料用容器の減容装置。
【請求項4】
傾斜配置した振動篩を有し、前記振動篩の傾斜上端側に配置した飲料用容器の減容装置により圧潰されて減容化された状態の飲料用容器である缶とペットボトルが供給される飲料用容器の選別装置であって、
前記振動篩は、振動搬送される容器の搬送面に形成された圧潰された飲料用缶が通過できるが圧潰されたペットボトルが通過できないサイズの篩目を備えた篩部と、
前記振動篩の傾斜下端側に配置され、前記篩目から落下しなかった圧潰済みの缶を通過させるが圧潰されたペットボトルは通過させない通過高さに設定され、振動搬送される不通過のペットボトルを振動篩の側方に向けて案内する堰部材と、
前記篩目を通過して落下する圧潰された缶を受ける缶受部と、
前記堰部材により側方に向けて案内された圧潰済みのペットボトルを振動篩から排出する排出口と、
を有することを特徴とする飲料用容器の選別装置。
【請求項5】
前記振動篩は、傾斜方向を振動方向として加振装置により振動されることを特徴とする請求項4に記載の飲料用容器の選別装置。
【請求項6】
前記振動篩は、箱形状の篩本体の底面に形成した開口部に振動搬送方向に延びる搬送ガイドバーを振動搬送方向と直交する幅方向に前記篩目の間隔を有して複数本並設して前記篩部を形成したことを特徴とする請求項4または5に記載の飲料用容器の選別装置。
【請求項7】
前記缶受部は、前記振動篩の下方に配置され、該振動篩の傾斜下端から落下排出された圧潰済みの空き缶を受けることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の飲料用容器の選別装置。
【請求項8】
前記飲料用容器の減容装置は、請求項1から3のいずれかに記載の減容装置であることを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載の飲料用容器の選別装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−82965(P2009−82965A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257949(P2007−257949)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(507325622)
【Fターム(参考)】