説明

飲料製造装置

【課題】カップ内での飲料製造中において、カップを外界から隔離する開閉扉の着脱が容易で、簡単に清掃することができる飲料製造装置を提供する。
【解決手段】
本発明の飲料製造装置は、カップ15を保持するカップホルダ13と、回転刃を有する回転シャフト19と、回転シャフト19を回転させるためのモータ17と、回転シャフト19を上下移動させるための移動機構と、カップ15の載置されている箇所を外界から遮断するための開閉扉43とを備えている。開閉扉43は移動機構によって回転シャフト19の上下移動とともに連動して上下移動可能とされており、開閉扉43は該開閉扉43の開閉とともに上下移動する固定治具19に抜き差し可能に把持されており、開閉扉43が最下端に到達したときに開閉扉43の下端を所定位置で停止させる停止部46が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップに氷や濃縮ジュースや水等の飲料用原料を入れ、混合粉砕して飲料を製造する飲料製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カップに水や濃縮ジュース等の飲料用液体と、野菜や果物や氷等の飲料用固形物とを入れ、切削刃の付いた回転翼によって混合粉砕する飲料製造装置が知られている(例えば特許文献1)。このタイプの飲料製造装置では、特別な容器を用いることなく、カップ内において飲料を製造するため、製造後にカップホルダからカップを取り外し、そのまま飲用に供することができるという利点がある。
【0003】
図10は、上記飲料製造装置の具体例であり、カップ100を保持するカップホルダ101と、該カップホルダ101に保持されたカップ100を覆うキャップ102と、該キャップ102を貫通し、下端に切削刃のついた回転翼103を有する回転シャフト104と、該回転シャフト104を回転させる図示しないモータとを有している。
【0004】
この装置により、飲料を製造する場合には、カップ100内に氷や野菜や果実等の飲料用固形物と、水や濃縮ジュース等の飲料用液体とを入れてカップホルダ101に保持させ、回転翼103をカップ100内に挿入しつつキャップ102をカップ100に被せる。そして、モータを駆動させて回転翼103を回転させる。これにより飲料用固形物が回転翼103によって細かく切削されるとともに、飲料用液体と混合され、ジュースやソフトアイスドリンク等の飲料が製造される。このため、顧客の好みに応じて1杯づつ異なる飲料を提供することができる。
この装置においては、安全性や衛生上の問題から、カップ内での飲料製造中において、カップを外界から隔離する開閉扉を設けた装置も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−301919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の飲料製造装置では、カップを外界から隔離するための開閉扉を設けた場合、開閉扉の内側が汚れるおそれがあり、このため開閉扉を清掃する必要がある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたもので、カップ内での飲料製造中において、カップを外界から隔離する開閉扉の着脱が容易で、簡単に清掃することができる飲料製造装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面の飲料製造装置は、
飲料用原料を入れたカップを置くための基台と、該カップ内の飲料用原料を撹拌するための回転翼を有する回転シャフトと、該回転シャフトを回転させるための回転機構と、該回転シャフトを上下移動させるための移動機構と、該カップの載置されている箇所を外界から遮断するための開閉扉と、を備えた飲料製造装置であって、
前記開閉扉は前記移動機構によって前記回転シャフトの上下移動とともに連動して上下移動可能とされており、前記開閉扉は該開閉扉の開閉とともに上下移動する固定治具に抜き差し可能に把持されており、該開閉扉が最下端に到達したときに該開閉扉の下端を所定位置で停止させる停止部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の飲料製造装置では、開閉扉が固定治具に抜き差し可能に把持されているため、開閉扉を固定治具から外して洗浄できる。このため、開閉扉の両面を容易に洗浄することができ、衛生的である。また、洗浄が終わった開閉扉を停止部に置き、固定治具を下げれば、開閉扉が自動的に固定治具に把持される。このため、開閉扉の取り付けを極めて容易に行うことができる。さらには、開閉扉が移動機構によって回転シャフトの上下移動とともに連動して上下移動するため、回転シャフトを下げてカップ内の飲料用原料を撹拌するときに、開閉扉が連動して下がり、カップの載置されている箇所が外界から遮断される。このため、回転シャフトに触れて怪我をするなどの事故を防ぐことができ、安全性に優れるとともに、回転シャフトなどに付着していた飲料用原料等が外部まで飛び散ることがなく、衛生的である。
【0010】
本発明の第2の局面の飲料製造装置は、停止部には前記開閉扉の下端を所定位置に案内する溝が設けられていることとした。こうであれば、開閉扉の下端を溝に嵌めるだけで開閉扉が所定の位置にセットされ、開閉扉の扉固定治具への取付を確実かつ容易に行うことができるとともに、開閉扉の正常な開閉動作を保持することができる。
さらに、本発明の第3の局面の飲料製造装置は、溝の両端には開閉扉の下端を前記溝の長手方向における所定の位置に案内する案内斜面が設けられていることとした。こうであれば、開閉扉の載置を溝幅の方向のみならず、溝の長手方向についても精密に行うことができる。
【0011】
本発明の第4の局面の飲料製造装置は、前記カップの開口部を覆うためのキャップを備え、前記回転シャフトは該キャップを貫通しており、該キャップは前記移動機構によって該回転シャフトとともに上下移動することにより該開口部の開閉が可能とされているとした。
こうであれば、カップ内の飲料用原料が回転翼によって撹拌される際にカップの開口部がキャップで覆われるため、カップ周辺を汚すおそれが少なく、衛生的であるとともに、回転翼で怪我をするおそれもなく安全である。
なお、第4の局面においては、回転翼には切削用の刃が設けられているものであってもよい。こうであれば、カップ内の飲料用原料(例えば野菜や果実や氷等)を切削することができ、野菜ジュースや果物ジュースやソフトアイスドリンクを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の飲料製造装置の斜視図である。
【図2】実施例1の飲料製造装置のカップ及びカップホルダ周辺を示す一部断面図である。
【図3】実施例1の飲料製造装置におけるカップホルダを固定するための扉固定治具の平面図である。
【図4】実施例1の飲料製造装置の断面図であるである。
【図5】開閉扉43が固定治具に把持された状態の斜視図である。
【図6】開閉扉43が固定治具に把持された状態の断面図である。
【図7】実施例1の飲料製造装置の使用中の各局面での状態を示す断面図である。
【図8】実施例1において開閉扉43の扉固定板44への取付工程を示す斜視図である。
【図9】実施例1に係る停止部46の変形例を示す一部断面図である。
【図10】従来の飲料製造装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した飲料製造装置について図面を参照しつつ詳述する。
(実施例1)
図1は実施例1の飲料製造装置1の外観を示す。この飲料製造装置1は、喫茶店やコンビニエンスストア等に設置され、客の求めにしたがって好みのソフトアイス飲料を提供するためのものであり、縦長略直方体容器状のハウジング3を備えている。ハウジング3の前面パネル5には後述するモータ17を駆動するための電源スイッチ7が設けられており、前面パネル5の下方は開口部9が設けられている。開口部9の下端は基台11が奥に向かって延在している。基台11の手前側中央にはカップホルダ13が固定されており、カップホルダ13内にカップ15が収容されている。
【0014】
図2に示すように、カップホルダ13は無底筒状であり、下端から上方に向かって円筒状に延在する円筒部13aと、円筒部13aの上端から上方に向かって拡径するように延在する拡径部13bとからなる。カップ15は拡径部13bの内側面に密着するように保持されている。カップ15の下端は有底円筒状に突出する台座15aが設けられており、台座15aはカップホルダ13の下端よりも下方に突出しているが、基台11からは僅かに隙間が空いた状態とされている。
また、カップホルダ13の下端には、径外方向に突出する凸部13c、13dが互いに向かい合わせに対面する位置で2箇所に設けられており、基台11の上に設けられたリング状のカップホルダ固定治具14に嵌められている。すなわち、図3に示すように、カップホルダ固定治具14には、カップホルダ13の凸部13c、13dと整合する位置に、凹部14a、14bが設けられており、さらに、凹部14a、14bから右回り方向に案内溝14c、14dが設けられている。そして、カップホルダ13の凸部13c、13dを凹部14a、14bに挿入し、右方向にまわすことにより凸部13c、13dが案内溝14c、14dに嵌り、固定されるようになっている。
【0015】
図4は飲料製造装置1の断面図である。カップホルダ13の上方には、モータ17と、モータの軸に接続された回転シャフト19と、回転シャフトの下端にネジ22によって取り付けられた回転刃21とが設けられている(回転刃21が請求項1における回転翼である)。モータ17は上端がL字状に曲げられたラック23の一端に固定されており、ラック23にはピニオン25が噛み合わされている。ピニオン25の軸25aの一端はハウジング3の側面から突出しており、操作レバー27が取り付けられている。ラック23はスライド盤41に固定されており、スライド盤41は垂直方向に固定されたスライドレール42上を上下に摺動可能とされている。なお、スライド盤41及びスライドレール42と開口9(図1参照)側から見て左右対称の位置に図示しない同様のスライド盤及びスライドレールが設けられている。
【0016】
また、図1に示す開口部9には、上下移動する開閉扉43が設けられており、図5及び図6に示すように、開閉扉43の上端は扉固定板44と板ばね45a、45bとの間に挿入されて板ばね45a、45bの付勢力によって抜き差し可能に固定されている。扉固定板44と板ばね45a、45bとが固定治具である。扉固定板44の上端左右は直角に折れ曲がった支持竿44a、44bが奥行き方向に延在しており、支持竿44a、44bの後端にはネジ孔44c、44d、44e、44fが開けられ、図4に示すスライド盤41及び左右対称位置にある図示しない同様のスライド盤にネジ止めされている。また、開閉扉43の真下の位置の基台11上には、開閉扉43が下げられた場合に開閉扉43の下端が挿入可能な溝46aを有する停止部46が設けられている。
【0017】
また、回転シャフト19には、回転刃21の上側の位置にキャップ支持部材29がネジ止めされている。このキャップ支持部材29によって、キャップ31が保持されている。キャップ31の上にバネホルダ33が配置されている。バネホルダ33は凹部33aを有しており、この凹部33aにコイルバネ35が保持されている。回転シャフト19は、コイルバネ35の軸心を貫通し、さらにキャップ31及びバネホルダ33を貫通している。回転シャフト19は、キャップ31の中心を貫通して延在している。回転シャフト19の上端にはバネ押え部材37が装着されている。
【0018】
<使用方法>
以上のように構成された実施例1の飲料製造装置の使用方法について説明する。
図7Aに示すように、操作レバー27を手動で引き上げることにより、ピニオン25が回転してラック23を上方に押し上げ、これによりラック23に接続されているスライド盤41がスライドレール42上を上方に摺動し、スライド盤41にネジ止めされた扉固定板44が開閉扉43とともに上昇する。また、ラック23に接続されているモータ17が回転シャフト19、コイルバネ35、バネホルダ33、及びキャップ31とともに上昇し、上側の待機位置に配置される。そして濃縮飲料、水及びブロック氷を所定量入れたカップ15をカップホルダ13に挿入した状態で、図3に示すカップホルダ13の凸部13c、13dを、図4に示す凹部14a、14bに挿入し、右方向にまわすことにより凸部13c、13dを案内溝14c、14dに嵌めて固定する(図2参照)。そして、図1に示す操作ボタン7を押してON状態とする。
【0019】
次に、操作レバー27を手動で下げる。これにより図7Bに示すように、ピニオン25が回転してラック23を下方に下げ、ラック23に接続されているスライド盤41がスライドレール42上を下方へ摺動し、スライド盤41にネジ止めされた扉固定板44が開閉扉43とともに下降する。また、ラック23に接続されているモータ17、回転シャフト19、コイルバネ35、バネホルダ33及びキャップ31が下がり、キャップ31がカップ15の上端に当接した状態となる。このとき、コイルバネ35は圧縮されていない。
【0020】
そして、さらに操作レバー27を下げると、開閉扉43がさらに下がり、開閉扉43の下端が停止部46の溝46aに嵌り、カップ15の載置されている箇所が外界から遮断される。また、回転シャフト19は下降を続けるが、キャップ31及びバネホルダ33は、カップ15の上に保持される。そして、回転シャフト19の下降に伴い、バネ押え部材37も下降するため、図7Cに示すように、バネホルダ33とバネ押え部材37との間の距離が短くなり、コイルバネ35が圧縮され、その圧縮力によってバネホルダ33は下方に押し付けられる。そして、さらには押し付け力によって、キャップ31は、カップ15の上端に押し付けられ、カップ15を密閉状態にされるとともに、図示しないマイクロスイッチがON状態となり、モータ17が自動的に駆動し、回転シャフト19及び回転刃21が回転し、カップ15内の液体は、氷と共に回転し、切削刃に当たった氷が切削される。こうして、氷は切削されて細かくなるとともに、回転刃の回転運動によって濃縮飲料と混合されソフトアイス飲料が出来上がる。
【0021】
そして、操作レバー27を上げる。これにより、ピニオン25が回転してラック23を上方に押し上げ、スライド盤41がスライドレール42上を上方に摺動し、扉固定板44が開閉扉43とともに上昇する。また、モータ17、回転シャフト19、コイルバネ35、バネホルダ33、及び、キャップ31が上がるとともに、キャップ31がカップ15の上端から離れ、マイクロスイッチがOFF状態となり、モータ17、回転シャフト19及び回転刃21が停止する。
そして、カップホルダ13をカップ15とともに手で持って左方向に回し、図2に示すカップホルダ13の凸部13c、13dがカップホルダ固定治具14の凹部14a、14bの位置に合せ、上方に引き上げることによって、カップ15をカップホルダ13ごと取り出す。
【0022】
<開閉扉43の脱着方法>
操作レバー27を上げて開閉扉43を上昇させてから、開閉扉43を手で持ち、下方に少しずつ移動させて扉固定板44から取り外す(図8A参照)。こうして取り外した開閉扉43を洗浄し、乾燥させた後、停止部46の溝46aに開閉扉43を嵌める(図8B参照)。そして開閉扉43の上端が扉固定板44と板バネ45a、45bとの間に挿入されるように手で調節しつつ、操作レバー27を最後まで下げる(図8C参照)。こうして、開閉扉43が扉固定板44と板ばね45a、45bとの間に挿入され固定される。
【0023】
なお、停止部46の変形例として、図9に示すように、溝46aの一端あるいは両端に長手方向における所定の位置に案内する案内斜面46bを設けてもよい。こうであれば、開閉扉43の載置を溝幅の方向のみならず、溝の長手方向についても精密に行うことができる。
【0024】
この発明は、上記発明の実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0025】
1…飲料製造装置
15…カップ
13…カップホルダ
14…カップホルダ固定治具
19…回転シャフト
21…回転刃(回転翼)
31…キャップ
17…モータ(回転機構)
44、45a、45b…固定治具(44…扉固定板、45a、45b…板ばね)
23、25、27、41、42…移動機構(23…ラック、25…ピニオン、27…操作レバー、41…スライド盤、42…スライドレール)
43…開閉扉
46…停止部
46a…溝
46b…案内斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料用原料を入れたカップを置くための基台と、該カップ内の飲料用原料を撹拌するための回転翼を有する回転シャフトと、該回転シャフトを回転させるための回転機構と、該回転シャフトを上下移動させるための移動機構と、該カップの載置されている箇所を外界から遮断するための開閉扉と、を備えた飲料製造装置であって、
前記開閉扉は前記移動機構によって前記回転シャフトの上下移動とともに連動して上下移動可能とされており、前記開閉扉は該開閉扉の開閉とともに上下移動する固定治具に抜き差し可能に把持されており、該開閉扉が最下端に到達したときに該開閉扉の下端を所定位置で停止させる停止部が設けられていることを特徴とする飲料製造装置。
【請求項2】
前記停止部には前記開閉扉の下端を所定位置に案内する溝が設けられていることを特徴とする請求項1記載の飲料製造装置。
【請求項3】
前記溝の両端には前記開閉扉の下端を前記溝の長手方向における所定の位置に案内する案内斜面が設けられていることを特徴とする請求項2記載の飲料製造装置。
【請求項4】
前記カップの開口部を覆うためのキャップを備え、前記回転シャフトは該キャップを貫通しており、該キャップは前記移動機構によって該回転シャフトとともに上下移動することにより該開口部の開閉が可能とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の飲料製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−94439(P2013−94439A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240138(P2011−240138)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000213231)株式会社中部コーポレーション (35)
【Fターム(参考)】