説明

飲酒運転防止装置

【課題】不便さ及び煩わしさが抑制された飲酒運転防止装置を提供する。
【解決手段】飲酒運転防止装置10は、運転席に着座した運転者の呼気が吹き込まれ、呼気中のアルコール濃度を検知してその検知結果Salを出力するアルコールセンサ18を備えるアルコール検知器12と、アルコール検知器12から入力される検知結果Salに基づいて車両1を制御する制御部11とを備える。アルコール検知器12は、呼気が吹き込まれたことを検知して制御部11に吹込検知信号Saを出力する風力センサ14を備える。制御部11は、風力センサ14から吹込検知信号Saが入力されると、アルコールセンサ18を起動させるとともに、エンジンを始動させ、アルコールセンサ18から検知結果Salが入力されると、検知結果Salに基づいて車両1を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の飲酒運転を防止する飲酒運転防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲酒運転を防止するための飲酒運転防止装置が車両に設置されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の飲酒運転防止装置は、ステアリングホイール等に設けられたアルコール検知器が運転席に着座した運転者の呼気中におけるアルコール濃度を検出し、同検出したアルコール濃度に基づいて車両制御装置が車両の発進を不能とする制御を行うものである。詳しくは、車両制御装置は、アルコール検知器が検出したアルコール濃度が予め設定された基準値以上であるときには、エンジンの始動を禁止する。一方、車両制御装置は、アルコール検知器が検出したアルコール濃度が予め設定された基準値未満であるときには、エンジンの始動を許可する。
【特許文献1】特開2007−106277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記の飲酒運転防止装置では、運転者がアルコール検知器に備えられる検知スイッチが操作されてからアルコール濃度を検出し、車両の発進が可能となるまでに相当の時間を要する。具体的には、アルコール検知器の検知スイッチが操作されると、アルコール検知器に内蔵され、呼気中のアルコール濃度を検出するアルコールセンサを所定の温度まで加熱する。アルコールセンサの加熱が終了すると、呼気中のアルコール濃度を検知することができるようになる。すなわち、飲酒運転防止装置は、アルコールセンサの加熱、及びアルコール濃度の検出を経て、エンジンの始動を行うことによって、車両の発進が可能となる。
【0004】
このため、運転者は、車両に乗り込んでからエンジンが始動されるまでの間、エアコンディショナによる冷房や暖房等を作動させることができず不便であるとともに、時間的な拘束を受けることによりアルコール検知作業が煩わしかった。そこで、不便さ及び煩わしさが抑制された飲酒運転防止装置が求められていた。
【0005】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、不便さ及び煩わしさが抑制された飲酒運転防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、運転席に着座した運転者の呼気が吹き込まれ、呼気中のアルコール濃度を検知してその検知結果を出力するアルコールセンサを備えるアルコール検知器と、同アルコール検知器から入力される検知結果に基づいて車両を制御する制御手段とを備える飲酒運転防止装置であって、前記アルコール検知器は、呼気が吹き込まれたことを検知して前記制御手段に吹込検知信号を出力する吹込検知手段を備え、前記制御手段は、前記吹込検知手段から吹込検知信号が入力されると、前記アルコールセンサを起動させるとともに、エンジンを始動させ、同アルコールセンサから検知結果が入力されると、検知結果に基づいて車両を制御することをその要旨としている。
【0007】
同構成によれば、アルコール検知器の吹込検知手段は呼気が吹き込まれたことを検知して制御手段に吹込検知信号を出力し、制御手段は吹込検知手段から吹込検知信号が入力されると、アルコールセンサを起動させるとともに、エンジンを始動させる。このため、アルコール検知器に呼気を吹き込むことによって、エンジンを始動させることができ、アルコールセンサによる検知が終了するまでエンジンの始動を待たなくてもよい。また、呼気の吹き込みによってエンジンを始動させるため、運転者がアルコール検知を行う意思があることを確認することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、運転席に着座した運転者の呼気が吹き込まれ、呼気中のアルコール濃度を検知してその検知結果を出力するアルコールセンサを備えるアルコール検知器と、同アルコール検知器から入力される検知結果に基づいて車両を制御する制御手段とを備える飲酒運転防止装置であって、前記アルコール検知器は、呼気が吹き込まれたことを検知して前記アルコールセンサ及び前記制御手段に吹込検知信号を出力する吹込検知手段を備え、前記アルコールセンサは、前記吹込検知手段から吹込検知信号が入力されると、起動するとともに、前記制御手段は、前記吹込検知手段から吹込検知信号が入力されると、エンジンを始動させ、同アルコールセンサから検知結果が入力されると、検知結果に基づいて車両を制御することをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、アルコール検知器の吹込検知手段は呼気が吹き込まれたことを検知してアルコールセンサ及び制御手段に吹込検知信号を出力し、アルコールセンサは吹込検知手段から吹込検知信号が入力されると、起動するとともに、制御手段は吹込検知手段から吹込検知信号が入力されると、エンジンを始動させる。このため、アルコール検知器に呼気を吹き込むことによって、エンジンを始動させることができ、アルコールセンサによる検知が終了するまでエンジンの始動を待たなくてもよい。また、アルコール検知器の操作スイッチではなく、呼気の吹き込みによってエンジンを始動させるため、運転者がアルコール検知を行う意思があることを確認することができる。さらに、アルコールセンサの起動を吹込検知手段からの吹込検知信号によって行うことで、制御手段を介さなくてもよく、起動を速く行うことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の飲酒運転防止装置において、前記アルコール検知器は、吹き込まれた呼気を保存する呼気室と、同呼気室内の呼気を外部へ排出する排出手段とを備え、前記アルコールセンサは、同呼気室内の呼気中のアルコール濃度を検知し、前記制御手段は、前記アルコールセンサから検知結果が入力されると、前記排出手段に室内の呼気を外部へ排出させることをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、アルコール検知器に吹き込まれた呼気は呼気室に保存され、アルコールセンサは同呼気室内の呼気中のアルコール濃度を検知する。このため、アルコール検知器は、アルコールセンサが起動した後に、もう一度呼気が吹き込まれなくても最初に吹き込んだ呼気を検知することで呼気中のアルコール濃度を検知することができる。よって、運転者が再度呼気を吹き込む必要がなく、最初に呼気を吹き込んで待っているだけで検知結果が得られ、運転者が不便さ及び煩わしさを感じることを抑制することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲酒運転防止装置において、運転者が携帯する携帯機との間でIDコードの照合を行い、その照合結果を出力する電子キー制御手段から照合一致の照合結果が前記制御手段へ入力されるとともに、前記吹込検知手段から吹込検知信号が入力された際には、同制御手段はエンジンを始動させることをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、運転者が携帯する携帯機とのIDコードの照合を行い、その照合結果を出力する電子キー制御手段から照合一致の照合結果が制御手段へ入力されるとともに、吹込検知手段から吹込検知信号が入力された際には、制御手段はエンジンを始動させる。このため、運転者が携帯する携帯機と電子キー制御手段とを用いることによりセキュリティを維持しながら、アルコール検知作業の煩わしさを抑制することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲酒運転防止装置において、前記吹込検知手段は、呼気が吹き込まれることによって起電力を発生させる風力センサであることをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、吹込検知手段は、呼気が吹き込まれることによって起電力を発生させる風力センサであるため、呼気の吹き込みにより発生した起電力を信号として制御手段へ出力することにより、発電機の役目を果たし、電力の供給が必要ない。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の飲酒運転防止装置において、前記アルコールセンサから出力された検知結果を記憶する記憶手段を備えることをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、アルコールセンサから出力された検知結果は記憶手段に記憶される。このため、運転者が飲酒運転をしようとしたことが記憶手段に検知結果として記憶されることにより、運転者が飲酒運転をしないようにさせることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、不便さ及び煩わしさが抑制された飲酒運転防止装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図3を参照して説明する。
図1に示されるように、車両1は、飲酒運転防止装置10と、運転者が携帯する携帯機2との無線通信により予め登録されたIDコードの照合を行う電子キー制御手段としての電子キー制御部20とを備えている。さらに、車両1は、予め設けられるナビゲーションシステムの表示画面やテレビ画面からなる表示装置21と、エンジンの始動制御を行うエンジン制御装置22と、シフト装置の操作制御を行うシフト制御装置23とを備えている。これら、電子キー制御部20、表示装置21、エンジン制御装置22、及びシフト制御装置23は、制御部11へ接続されている。
【0020】
飲酒運転防止装置10は、運転者の呼気中におけるアルコール濃度を検知するアルコール検知器12と、同アルコール検知器12が検出したアルコール濃度に基づいて車両1に設けられる車載装置を制御する制御手段としての制御部11と、アルコール検知器12の検知結果を記憶する記憶手段としての記憶部30とを備えている。
【0021】
図2に示されるように、アルコール検知器12には吹き込み口13が設けられている。そして、吹き込み口13から吹き込まれた呼気が通過する通路19は、アルコール検知器12本体を貫通している。通路19には、呼気の吹き込みによって起電力が発生し、同起電力を吹込検知信号Saとして制御部11へ出力する吹込検知手段としての風力センサ14が設けられ、同通路19には、呼気を保存する呼気室15が設けられている。呼気室15の入口には吸入弁16が設けられ、呼気室15の出口には排出手段としての排出弁17が設けられている。これらの開弁及び閉弁は、制御部11から開弁信号So及び閉弁信号Scが出力されることによって行う。呼気室15の内部には、吹き込まれた呼気中のアルコール濃度を検出し、その検出データを検知結果Salとして制御部11へ出力するアルコールセンサ18が設けられている。アルコールセンサ18には、図示しない加熱用のヒータが内蔵され、アルコール検知を行うことができる所定温度までアルコールセンサ18が加熱されるとアルコール検知を行うことができるようになる。また、風力センサ14には、図示しないエンコーダが設けられ、呼気の流量を計測し、呼気が所定量通過すると、制御部11へ通過信号を出力する。
【0022】
図1に示されるように、制御部11は、飲酒運転となるアルコール濃度の法定の規定値を記憶するメモリ11aを備えている。制御部11は、アルコール検知器12のアルコールセンサ18から検知結果Salが入力されると、検知結果Salに含まれるアルコール濃度に基づいて車両1の制御を行う。ここで、制御部11は、車両1の制御として、エンジン制御装置22に対して制御信号を出力する。すなわち、制御部11は、アルコールセンサ18が検出したアルコール濃度がメモリ11aに記憶された飲酒運転となる法定の規定値(ここでは、0.15mg/l)以上である場合には、エンジン制御装置22へエンジンを停止させる旨の停止信号Setを出力する。一方、制御部11は、アルコールセンサ18が検出したアルコール濃度が飲酒運転となる法定の規定値未満である場合には、エンジン制御装置22へエンジンを駆動させる旨の継続信号Sekを出力する。なお、制御部11は、アルコールセンサ18から入力された検知結果Salに基づく表示信号を表示装置21へ出力し、表示装置21に検出されたアルコール濃度を表示させるようにしてもよい。
【0023】
制御部11は、通常時には、吸入弁16を開弁させているとともに、排出弁17を閉弁させている。制御部11は、所定量の呼気が呼気室15に吹き込まれると、吸入弁16を閉弁させる。そして、制御部11は、アルコール検知が終了すると、排出弁17を開弁させ、呼気を排出させる。呼気の排出が終わると、吸入弁16を開弁させるとともに、排出弁17を閉弁させる。
【0024】
電子キー制御部20は、運転者が携帯する携帯機2と無線通信を行うことにより予め登録されたIDコードの照合を行う。電子キー制御部20は、ID照合が一致した場合には、制御部11へエンジン始動を許可する旨の許可信号Sidを出力する。
【0025】
制御部11は、電子キー制御部20から許可信号Sidが入力されるとともに、風力センサ14から吹込検知信号Saが入力されると、エンジン制御装置22へエンジンを始動させる旨の始動信号Ssを出力する。
【0026】
エンジン制御装置22は、制御部11からエンジンを始動させる旨の始動信号Ssが入力されると、エンジンを始動させる。なお、エンジン制御装置22は、制御部11から継続信号Sekが入力される場合には、エンジンを継続して駆動させる。また、エンジン制御装置22は、制御部11から停止信号Setが入力される場合には、エンジンを停止させる。
【0027】
図示しない読み取り装置を接続することによって、記憶部30に記憶された検知結果Salを読み出すことができ、飲酒をした状態でアルコール検知を行ったことがあれば、飲酒運転をしようとしたことが明らかになるようになっている。
【0028】
次に、前述のように構成された飲酒運転防止装置10の動作態様について図3を参照して説明する。
通常状態として、アルコール検知器12の吸入弁16は開弁されているとともに、排出弁17は閉弁されている。
【0029】
まず、運転者が携帯機2を携帯して、車両1に乗り込むと、電子キー制御部20が携帯機2とIDコードの照合を行う(ステップS1)。ステップS1において、電子キー制御部20は、ID照合が一致した場合には、エンジンの始動を許可する旨の許可信号Sidを制御部11へ出力する(ステップS2)。運転者がアルコール検知器12の吹き込み口13に対して呼気を吹き込む(ステップS3)と、風力センサ14は、呼気の吹き込みにより起電力が発生し、起電力を吹込検知信号Saとして制御部11へ出力する(ステップS4)。吹き込み口13から吹き込まれた呼気は、吸入弁16を通過して呼気室15に保存される。そして、制御部11は、エンコーダから通過信号が入力されると、所定量の呼気が吹き込まれたと判断して、吸入弁16を閉弁させて呼気を保存する。
【0030】
制御部11は、電子キー制御部20から許可信号Sid及び風力センサ14から吹込検知信号Saが入力されると、アルコールセンサ18を起動させる起動信号Skをアルコールセンサ18へ出力する(ステップS5)。また、エンジンを始動させる始動信号Ssをエンジン制御装置22へ出力する(ステップS6)。エンジン制御装置22は、制御部11から始動信号Ssが入力されると、エンジンを始動させる(ステップS7)。なお、エンジンが駆動されているので、アルコール検知前であってもエアコンディショナの冷房や暖房等を作動させることができる。
【0031】
アルコールセンサ18は、制御部11から起動信号Skが入力されると、起動するとともに、ヒータによりアルコール検知を行うことができる所定温度までアルコールセンサ18の加熱を行う(ステップS8)。そして、アルコールセンサ18が所定温度まで加熱される(ステップS9)と、呼気室15に保存された呼気中のアルコール濃度を検知する(ステップS10)。そして、アルコールセンサ18は、ステップS9において検知された検出データを検知結果Salとして制御部11へ出力する(ステップS11)。排出弁17を開弁することにより呼気室15内の呼気を排出する。呼気の排出が終わると、吸入弁16を開弁するとともに、排出弁17を閉弁する。
【0032】
制御部11は、アルコールセンサ18から検知結果Salが入力されると、アルコールセンサ18が検出したアルコール濃度がメモリ11aに記憶された飲酒運転となる法定の規定値未満であるか否か判定する(ステップS12)。制御部11は、アルコールセンサ18が検出したアルコール濃度が規定値未満である場合(ステップS12:YES)には、エンジン制御装置22へエンジンを運転させる旨の継続信号Sekを出力する。一方、制御部11は、アルコールセンサ18が検出したアルコール濃度が規定値以上である場合(ステップS12:NO)には、エンジン制御装置22へエンジンを停止させる旨の停止信号Setを出力する。エンジン制御装置22は、制御部11から停止信号Setが入力されると、エンジンを停止させる(ステップS13)。
【0033】
制御部11は、アルコールセンサ18から入力された検知結果Salを記憶部30へ出力する(ステップS14)。記憶部30は、制御部11から入力された検知結果Salを記憶する(ステップS15)。
【0034】
以上により飲酒運転防止装置10は、アルコール検知及びアルコール検知に基づく車両1の制御を行う。
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
【0035】
(1)アルコール検知器12は呼気が吹き込まれたことを検知して制御部11に吹込検知信号Saを出力する風力センサ14を備え、制御部11は風力センサ14から吹込検知信号Saが入力されると、アルコールセンサ18を起動させるとともに、エンジン制御装置22を介してエンジンを始動させる。このため、アルコール検知器12に呼気を吹き込むことによって、エンジンを始動させることができ、アルコールセンサ18による検知が終了するまでエンジンの始動を待たなくてもよい。よって、不便さ及び煩わしさを抑制することができる。また、呼気の吹き込みによってエンジンを始動させるため、運転者がアルコール検知を行う意思があることを確認することができる。
【0036】
(2)アルコール検知器12は吹き込まれた呼気は呼気室15に保存され、アルコールセンサ18は呼気室15内の呼気中のアルコール濃度を検知する。このため、アルコール検知器12は、アルコールセンサ18が起動した後に、もう一度呼気が吹き込まれなくても最初に吹き込んだ呼気を検知することで呼気中のアルコール濃度を検知することができる。よって、運転者が再度呼気を吹き込む必要がなく、最初に呼気を吹き込んで待っているだけで検知結果が得られ、運転者が不便さ及び煩わしさを感じることを抑制することができる。
【0037】
(3)運転者が携帯する携帯機2とのIDコードの照合を行い、その照合結果を出力する電子キー制御部20から照合一致の照合結果として許可信号Sidが制御部11へ入力されるとともに、風力センサ14から吹込検知信号Saが入力された際には、制御部11はエンジン制御装置22を介してエンジンを始動させる。このため、運転者が携帯する携帯機2と電子キー制御部20とを用いることによりセキュリティを維持しながら、アルコール検知作業の煩わしさを抑制することができる。
【0038】
(4)呼気が吹き込まれることによって起電力を発生させる風力センサを用いたため、呼気の吹き込みにより発生した起電力を信号として制御部11へ出力することにより、発電機の役目を果たし、電力の供給が必要ない。
【0039】
(5)アルコールセンサ18から出力された検知結果Salは記憶部30に記憶される。このため、運転者が飲酒運転をしようとしたことが記憶部30に検知結果として記憶されることにより、運転者が飲酒運転をしないようにさせることができる。
【0040】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態では、制御部11は、起動信号Skを出力した(ステップS5)後に始動信号Ssを出力する(ステップS6)ようにしたが、始動信号Ssを出力した後に起動信号Skを出力するようにしてもよい。また、起動信号Sk及び始動信号Ssを同時に出力するようにしてもよい。
【0041】
・上記実施形態では、制御部11が車両1の制御として、エンジン制御装置22に対して制御信号を出力するようにした。しかしながら、制御部11が車両1の制御として、シフト制御装置23に対して制御信号を出力するようにしてもよい。すなわち、制御部11は、アルコールセンサ18が検出したアルコール濃度がメモリ11aに記憶された飲酒運転となる法定の規定値(ここでは、0.15mg/l)以上である場合には、シフト制御装置23へシフト操作を禁止する旨の禁止信号を出力する。一方、制御部11は、アルコールセンサ18が検出したアルコール濃度が飲酒運転となる法定の規定値未満である場合には、シフト制御装置23へシフト操作を可能とする旨の許可信号を出力する。このようにすれば、エンジンを停止させずに、車両1の走行を不能とできるため、運転者が例えば冬場に凍えることがない。
【0042】
・上記実施形態では、制御部11が車両1の制御として、エンジン制御装置22に対して制御信号を出力するようにした。しかしながら、制御部11が車両1の制御として、図示しない警報装置を制御して、警告音等を発生させるようにしてもよい。
【0043】
・上記実施形態では、記憶部30にアルコールセンサ18の検知結果を記憶するようにしたが、検知結果を記憶することによる抑止効果が必要でなければ、記憶部30を省略してもよい。
【0044】
・上記実施形態では、吹込検知手段として吹き込みによって起電力が発生する風力センサ14を用いたが、吹込検知を行うことができる流量センサ等の他のものを用いてもよい。
【0045】
・上記実施形態では、運転者が携帯する携帯機との無線通信によってIDコードの照合が一致したらエンジンの始動を行うようにしたが、メカニカルキーによる機械的な照合が一致したらエンジンの始動を行うようにしてもよい。例えば、メカニカルキーが車両のキーシリンダーに挿入され、「ON」の位置まで回動されていれば、アルコール検知器が呼気の吹き込みを検知してエンジンの始動を行うようにする。
【0046】
・上記実施形態では、呼気を呼気室に保存するようにしたが、呼気室をなくして、運転者にアルコールセンサが加熱された後に呼気を再度吹き込んでもらうようにしてもよい。このようにすれば、呼気室を形成する必要がなくなるとともに、吸入弁及び排出弁を設ける必要がなく、簡易な構成とすることができる。
【0047】
・上記実施形態では、風力センサ14から制御部11へ吹込検知信号Saが入力されると、制御部11がアルコールセンサ18へ起動信号Skを出力するようにしたが、風力センサ14からアルコールセンサ18へ起動信号Skを直接出力するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】飲酒運転防止装置の構成を示すブロック図。
【図2】アルコール検知器の断面図。
【図3】飲酒運転防止装置の動作態様を示すシーケンスチャート。
【符号の説明】
【0049】
1…車両、2…携帯機、10…飲酒運転防止装置、11…制御部、11a…メモリ、12…アルコール検知器、13…吹き込み口、14…風力センサ、15…呼気室、16…吸入弁、17…排出弁、18…アルコールセンサ、20…電子キー制御部、21…表示装置、22…エンジン制御装置、23…シフト制御装置、30…記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席に着座した運転者の呼気が吹き込まれ、呼気中のアルコール濃度を検知してその検知結果を出力するアルコールセンサを備えるアルコール検知器と、同アルコール検知器から入力される検知結果に基づいて車両を制御する制御手段とを備える飲酒運転防止装置であって、
前記アルコール検知器は、呼気が吹き込まれたことを検知して前記制御手段に吹込検知信号を出力する吹込検知手段を備え、
前記制御手段は、前記吹込検知手段から吹込検知信号が入力されると、前記アルコールセンサを起動させるとともに、エンジンを始動させ、同アルコールセンサから検知結果が入力されると、検知結果に基づいて車両を制御する
ことを特徴とする飲酒運転防止装置。
【請求項2】
運転席に着座した運転者の呼気が吹き込まれ、呼気中のアルコール濃度を検知してその検知結果を出力するアルコールセンサを備えるアルコール検知器と、同アルコール検知器から入力される検知結果に基づいて車両を制御する制御手段とを備える飲酒運転防止装置であって、
前記アルコール検知器は、呼気が吹き込まれたことを検知して前記アルコールセンサ及び前記制御手段に吹込検知信号を出力する吹込検知手段を備え、
前記アルコールセンサは、前記吹込検知手段から吹込検知信号が入力されると、起動するとともに、前記制御手段は、前記吹込検知手段から吹込検知信号が入力されると、エンジンを始動させ、同アルコールセンサから検知結果が入力されると、検知結果に基づいて車両を制御する
ことを特徴とする飲酒運転防止装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の飲酒運転防止装置において、
前記アルコール検知器は、吹き込まれた呼気を保存する呼気室と、同呼気室内の呼気を外部へ排出する排出手段とを備え、
前記アルコールセンサは、同呼気室内の呼気中のアルコール濃度を検知し、
前記制御手段は、前記アルコールセンサから検知結果が入力されると、前記排出手段に室内の呼気を外部へ排出させる
ことを特徴とする飲酒運転防止装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲酒運転防止装置において、
運転者が携帯する携帯機との間でIDコードの照合を行い、その照合結果を出力する電子キー制御手段から照合一致の照合結果が前記制御手段へ入力されるとともに、前記吹込検知手段から吹込検知信号が入力された際には、同制御手段はエンジンを始動させる
ことを特徴とする飲酒運転防止装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲酒運転防止装置において、
前記吹込検知手段は、呼気が吹き込まれることによって起電力を発生させる風力センサである
ことを特徴とする飲酒運転防止装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の飲酒運転防止装置において、
前記アルコールセンサから出力された検知結果を記憶する記憶手段を備える
ことを特徴とする飲酒運転防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−143438(P2009−143438A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323572(P2007−323572)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】