説明

飲食物搬送装置

【課題】飲食物を載置された走行体が、走行レーンの曲線路にて飲食物の安定性を保ちながら移動することができる飲食物搬送装置を提供すること。
【解決手段】少なくとも一部に曲線路10a,11aを有する走行レーン1aと、走行レーン1aに沿って設けられる搬送駆動体15と、飲食物9を載置して走行レーン1aに沿って走行可能な走行体7と、搬送駆動体15と走行体7とを駆動連結する連結手段18,19と、を有し、搬送駆動体15を駆動させることによって走行体7を走行レーン1aに沿って走行させる飲食物搬送装置1であって、連結手段は、走行体7に取り付けられた第1連結手段18と、搬送駆動体15に取り付けられた第2連結手段19と、から構成されており、第1連結手段18と第2連結手段19とのいずれか一方の連結手段は、他方の連結手段に対して追従可能に取付本体で移動すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送駆動体を駆動させることによって走行体を走行レーンに沿って走行させる飲食物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、厨房エリアと配膳人エリアとの間に設けられ、飲食客エリアに飲食物を提供するために搬送面上で飲食物を搬送する注文搬送路(走行レーン)と、注文搬送路の搬送面下に沿って移動可能に設けられている無端状のチェーン(搬送駆動体)と、搬送面上で飲食物を載置してローラーによって移動可能なトレー(走行体)と、を備えており、このトレーは、チェーンから延設されるトレーブラケットによってチェーンから片持ち支持されて連結されるとともに、チェーンを駆動させるとによって、トレーの搬送面上での移動を可能としている飲食物搬送装置がある。このような飲食物搬送装置は、搬送路の途上にトレーが曲がって移動する第1コーナー(曲線路)及び第2コーナー(曲線路)を有しており、これら第1コーナー及び第2コーナーには、ローラーが搬送面から抗力を受けないように、トレーが乗り上がって移動するための支持片が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−44688号公報(第7頁、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の飲食物搬送装置にあっては、搬送路(走行レーン)のコーナー部(曲線路)にてトレー(走行体)が支持片に乗り上がることによって、トレーはトレーブラケットを支点として搬送面に対して所定角度θをなして傾くので、トレーに載置されている飲食物の安定性が損なわれる虞があった。また、コーナー部において、搬送面からの抗力を受けないように磁力で駆動するものがあるが、コーナー部では遠心力を受けるため、駆動連結の確実性に難があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、飲食物を載置された走行体が、走行レーンの曲線路にて飲食物の安定性を保ちながら確実に移動することができる飲食物搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の飲食物搬送装置は、
少なくとも一部に曲線路を有する走行レーンと、該走行レーンに沿って設けられる搬送駆動体と、飲食物を載置して前記走行レーンに沿って走行可能な走行体と、前記搬送駆動体と前記走行体とを駆動連結する連結手段と、を有し、前記搬送駆動体を駆動させることによって前記走行体を前記走行レーンに沿って走行させる飲食物搬送装置であって、
前記連結手段は、前記走行体に取り付けられた第1連結手段と、前記搬送駆動体に取り付けられた第2連結手段と、から構成されており、
前記第1連結手段と前記第2連結手段とのいずれか一方の連結手段は、他方の連結手段に対して追従可能に取付本体で移動することができることを特徴としている。
この特徴によれば、走行レーンの曲線路にて、一方の連結手段に対して他方の連結手段が追従して移動するので、走行体と搬送駆動体との軌跡に相違が生じていても、連結手段のみを移動させることができるので、走行体を曲線路に沿って確実且つ安定して走行させることができる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の飲食物搬送装置は、請求項1に記載の飲食物搬送装置であって、
前記走行レーンを幅方向から挟持し、前記走行体の走行路を規定するガイド手段が、前記走行体の前後2箇所にて水平方向に回動可能に枢支されていることを特徴としている。
この特徴によれば、走行体にガイド手段が前後2箇所で水平方向に枢支されているので、走行レーンの曲線路においても、走行レーンに沿って確実に走行体を走行させることができる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の飲食物搬送装置は、請求項1または2に記載の飲食物搬送装置であって、
前記第1連結手段及び第2連結手段は、前記走行体と前記搬送駆動体とにそれぞれ設けられた磁性体であることを特徴としている。
この特徴によれば、走行体と搬送駆動体とは、磁性体による磁力によって連結されるので、例えば、搬送駆動体の駆動を走行体に伝達するためのブラケット等を、走行体と搬送駆動体との間に直接連結する必要が無いため、搬送路の長手方向に亘ってブラケット等を移動させるためのスリット等を形成する必要が無い。
【0009】
本発明の請求項4に記載の飲食物搬送装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載の飲食物搬送装置であって、
前記走行体は、前記搬送駆動体に対して垂直方向に配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、走行体の幅方向に搬送駆動体が配置されていないので、走行レーンの幅寸法を短く形成することができる。
【0010】
本発明の請求項5に記載の飲食物搬送装置は、請求項2ないし4のいずれかに記載の飲食物搬送装置であって、
前記ガイド手段には、前記走行レーンを走行するための走行輪が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、走行時に発生する走行体の水平まわりの揺動を抑えることができるので、走行体をより安定して走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1における飲食物搬送装置の全体像を示す平面図である。
【図2】注文搬送路の一部破断平面図である。
【図3】走行体の分解斜視図である。
【図4】注文搬送路の直線路における走行体を示す側面図である。
【図5】注文搬送路の直線路における走行体を示す平面図である。
【図6】図2におけるA−A断面図である。
【図7】図2におけるB−B断面図である。
【図8】注文搬送路の第1コーナーにおける走行体を示す平面図である。
【図9】実施例2における走行体を示す斜視図である。
【図10】実施例2における走行体の使用状態を示す飲食物搬送装置の断面図である。
【図11】(a)は、実施例3における走行体を示す平面図であり、(b)は、図11(a)におけるC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る飲食物搬送装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1に係る飲食物搬送装置につき、図1から図8を参照して説明する。尚、本実施例では、走行体が厨房エリアから飲食客エリアに向けて注文搬送路上を走行する方向を走行体の進行方向正面側として説明する。先ず図1の符号1は、本発明の適用された飲食物搬送装置である。この飲食物搬送装置1は、例えば、回転寿司店等にて、厨房部店員C1,C2等が飲食物としての寿司を調理する厨房エリアCと飲食客が飲食を行う飲食客エリアAとに亘って設けられている、本発明における走行レーンとしての注文搬送路1a,1b,2を備えている。
【0014】
これら注文搬送路1a,1b,2の周囲には、飲食客エリアAのテーブルT1,T2,T3,T4に沿う形で平面視略ロ型に構成された無端状の循環搬送路5が設置されている。循環搬送路5には、無端回動するクレセントチェーンコンベア4が備えられており、このクレセントチェーンコンベア4上に飲食物が載置された飲食物皿6は、クレセントチェーンコンベア4の駆動により循環搬送されるようになっている。
【0015】
このように循環搬送路5が設置されている回転寿司店等において、各飲食客は、循環搬送路5上を循環搬送される飲食物を取り出して飲食することができるようになっているとともに、循環搬送路5上を循環搬送してない飲食物を食したいときは、店員または図示しない注文装置等を介して個別に注文することができるようになっている。
【0016】
そして、個別に注文した飲食物は、厨房エリアCにて調理された後に厨房エリアC内に配設された注文搬送路1a,1b,2のいずれかに投入されて、注文客の客席付近まで搬送されるようになっている。
【0017】
具体的には、飲食客エリアAの客から注文を受けると、隔壁Wで隔れた厨房エリアCの厨房部店員C1,C2等が調理台8a,8bにて注文飲食物9を調理し、飲食物皿6に載置した後に、後述するように、注文搬送路1a,1b,2上の搬送面3を往復移動自在に設けられた走行体7に、注文飲食物9を載置した飲食物皿6を載置する(図6参照)。
【0018】
次いで、走行体7に載置された注文飲食物9は、注文搬送路1a,1b,2によって配膳人エリアBに搬送される。このとき、注文搬送路1a,1bによって搬送された注文飲食物9は、それぞれG1,G2,G3エリアとG5エリアとの飲食客によって直接注文搬送路1a,1b上から取り上げられるようになっており、注文搬送路2によって搬送された注文飲食物9は、配膳部店員H1の元へと搬送され、配膳部店員H1により客へ手渡しされるようになっている。
【0019】
注文飲食物9を搬送した走行体7は、厨房エリアCから配膳人エリアBに向けて延設された注文搬送路1a,1b,2を介して、元来た搬送面3上を通り厨房エリアCへと戻っていく。つまり、走行体7は、それぞれ独立した搬送路として構成される注文搬送路1a,1b,2上の搬送面3上を、配膳人エリアBと厨房エリアCとの間で往復動自在に設けられている。
【0020】
次に、これら3本の注文搬送路1a,1b,2について説明する。図1に示されるように、注文搬送路1a,1b,2は、厨房エリアC側から隔壁Wに形成された図示しない開口を貫通して飲食客エリアA側に向けて、ともに直線状に延設されている。厨房エリアC内において、注文搬送路2は中央に配置されるとともに、この左右側に注文搬送路1a,1bがそれぞれ近接配置されている。
【0021】
つまり、これら3本の注文搬送路1a,1b,2が互いに近接配置されることで、調理した注文飲食物を複数の注文搬送路のいずれにでも、1箇所から効率よく投入できるようになっている。
【0022】
一方、平面視ロ型の配膳人エリアB内において、注文搬送路2は、この配膳人エリアBを2分割するように中央に配設される。注文搬送路1a,1bは、隔壁W付近において中央の注文搬送路2から左右にそれぞれ離間する方向に屈曲した後に循環搬送路5の内側近傍まで直線状に延設されている。更に、注文搬送路1a,1bは、循環搬送路5の内側方付近からG4エリアに向けて屈曲した後に循環搬送路5に沿うようにそれぞれ延設されている。
【0023】
つまり、注文搬送路1aは、隔壁W付近に本発明の曲線路を構成する第1コーナー10a(右カーブ)及び第2コーナー11a(左カーブ)がそれぞれ形成されており、注文搬送路1bは、隔壁W付近に本発明の曲線路を構成する第1コーナー10b(左カーブ)及び第2コーナー11b(右カーブ)がそれぞれ形成されている。
【0024】
また、注文搬送路1a,1bの厨房エリアCから第1コーナー10a,10bまでの区間と、第1コーナー10a,10bから第2コーナー11a,11bまでの区間と、第2コーナー11a,11bからG4エリアに向けて延設されている区間とは、前述のように直線状の直線路12a,12bにそれぞれ形成されている。
【0025】
次に、これら注文搬送路1a,1b,2及び走行体7について図2〜図8に基づいて詳述する。尚、注文搬送路1a,1b,2は、それぞれ搬送路の形状は異なるが、走行体7を走行させるための構造は全て同一であるため、以下においては注文搬送路1aについてのみ説明し、他の注文搬送路1b、2の説明は省略する。更に、注文搬送路1aのコーナー10a,11aと注文搬送路1bのコーナー10b,11bにおける走行体7の説明は、後述する第1磁性体18の移動方向が反対となるだけなので、注文搬送路1aの第1コーナー10aのみで行う。
【0026】
先ず、走行体7を走行させる注文搬送路1aの構造を説明する。図2に示すように、注文搬送路1aの搬送面3下における厨房エリアC側の端部には、図示しない駆動モータ等によって水平方向に回動する駆動部スプロケット13が設けられているとともに、配膳人エリアB側の端部には、テンション部スプロケット14が設けられている。
【0027】
これら両端部に配設される駆動部スプロケット13及びテンション部スプロケット14に、本発明の搬送駆動体としての駆動ベルト15が掛け渡されており、駆動部スプロケット13の回動により駆動ベルト15が駆動するようになっている。尚、このテンション部スプロケット14には、駆動ベルト15にテンションを与えるためのテンション調整部16が備えられている。
【0028】
この駆動ベルト15は無端状に形成されており、注文搬送路1aの走行体7が走行する搬送面3下を、搬送面3に沿って移動可能に設けられている。また、駆動ベルト15の1箇所には、図6及び図7に示すように、略L字形状に形成されたベルトブラケット17が取り付けられている。
【0029】
このベルトブラケット17の上端部は、搬送面3の左右幅方向中央の下方に配置されている。更に、このベルトブラケット17の上端部には、本発明における第2連結手段としての第2磁性体19が固着されている。この第2磁性体19は、例えば、強磁性を有する金属や永久磁石等であることが望ましい。
【0030】
図2と図6及び図7に示すように、駆動ベルト15は、直線路12a下では、搬送方向に複数設けられたアイドラー20aに摺動自在にガイドされているとともに、第1コーナー10a及び第2コーナー11aでは、第1コーナー10a及び第2コーナー11aと同曲率で複数並設されたアイドラー20bにそれぞれ摺動自在にガイドされている。
【0031】
これらアイドラー20a,20bは、それぞれ水平方向に回動可能に枢支されており、駆動ベルト15との摺接による騒音の発生が抑制されるようになっている。また、直線路12a下には、駆動ベルト15がアイドラー20a,20a間からの脱落を防止するためのベルトガイド21が設けられている。
【0032】
更に、注文搬送路1aの搬送面3の幅方向中央には、その長手方向の略全長に亘ってレール部22が突設されている。具体的には、搬送面3は、アルミやステンレス等の金属材の板材の上面によって構成されており、レール部22は、この板材を押圧形成することによって形成されるので、レール部22が形成された板材の下面側には、下方に向かって開口する断面視下向きコ字状の搬送溝23が形成されている。
【0033】
この搬送溝23内には、前述した第2磁性体19が配置され、この第2磁性体19は、駆動ベルト15が駆動することにより、搬送溝23内を注文搬送路1aの略全長に亘って移動するようになっている。
【0034】
図3に示すように、走行体7は、搬送面3上を走行する台車部24と、この台車部24に上方から取り付けられ、注文飲食物9が載置された飲食物皿6を載置するためのトレー部25と、から構成されている。このトレー部25の上面には、飲食物皿6を載置するための載置凹部25aが形成されており、この載置凹部25aに飲食物皿6を載置することによって、飲食物皿6をトレー部25から脱落しないよう保持できるようになっている。
【0035】
台車部24は、トレー部25が取り付けられる基台部26と、この基台部26の前端部と後端部との2箇所に取り付けられたローラブラケット27と、から主に構成されている。これらローラブラケット27は、図4及び図5に示すように、平面視で幅方向に長い長方形状に形成された水平板27aと、この水平板27aの左右端部から下方に向けて延設された垂直板27bと、から構成される下向コ字形状に形成されている。
【0036】
両垂直板27bの外側面には、走行体7が搬送面3上を走行するための本発明における走行輪としての荷重ローラ28が枢支されている。また、両垂直板27b間には、2つの本発明における回転体としての軌道ローラ29が、台車部24に対して水平方向に回動自在に枢支されている。具体的には、これら軌道ローラ29は、水平板27aと両垂直板27bとの間で囲まれた空間内で左右方向に線対称となるように枢支されている。
【0037】
更に、両軌道ローラ29間の幅寸法は、搬送面3のレール部22の左右幅寸法と略同一もしくは若干離れて配置されており、走行体7が搬送面3上に配置されることで、両軌道ローラ29は走行体7の前部及び後部でレール部22に当接若しくは近接配置され、レール部22を幅方向から挟持するようになっている。
【0038】
このように、走行体7の前端部と後端部とで軌道ローラ29がレール部22を幅方向から挟持することによって、走行体7の搬送面3上での走行路が規定されるばかりか、走行体7の幅方向の揺動を防ぐことができる。つまり、これらローラブラケット27と軌道ローラ29とは、本発明におけるガイド手段を構成している。
【0039】
尚、図5に示すように、これらローラブラケット27は台車部24の前端部と後端部において、台車部24を幅方向に2分割する中心線L上に設けられた2本の枢支軸30によって水平方向に回動自在に枢支されている。更に尚、この中心線Lは、走行体7が注文搬送路1aの直線路12aを走行中には、注文搬送路1aの幅方向中央であるレール部22の上方に位置するようになっている。
【0040】
また、基台部26の平面視略中央には、幅方向を向いて台車部24を上下方向に貫通する長孔31が穿設されている。長孔31の前後には、基台部26の上面から幅方向を向くガイド片32が設けられている。これらガイド片32は、長孔31と平行に配置されており、長孔31と略同一の幅寸法に形成されている。
【0041】
そして、前後のガイド片32間には、平面視略正方形状の摺動片33が配置されている。この摺動片33の四辺は、前後のガイド片32間の前後寸法と略同一寸法に形成されており、前後を両ガイド片32にガイドされることによって長孔31上を幅方向に摺動可能となっている。
【0042】
この摺動片33の下面には、本発明における第1連結手段としての第1磁性体18が取り付けられている。これら搬送面3の下方に配置された第2磁性体19と走行体7に取り付けられた第1磁性体18とは、どちらか一方を強磁性の金属によって構成し、他方を永久磁石等で構成してもよく、また、両方を永久磁石等で構成してもよい。更に、両方を永久磁石で構成する場合には、互いに異なる磁極を搬送面3を挟んで対向配置させる。
【0043】
尚、ベルトブラケット17の上端部には、上面が搬送面3に構成されている板材の下面に当接するガイドローラ34が、幅方向に一対となって設けられている。これらガイドローラ34は、搬送面3を挟んで対向配置された第1磁性体18及び第2磁性体19が互いの磁力によって引き合うことによって、駆動ベルト15が第1磁性体18の方へ移動することを防いでいる。
【0044】
第1磁性体18は、摺動片33が長孔31上で幅方向に摺動することによって、長孔31内で幅方向に移動可能となっている。尚、第1磁性体18の幅方向への移動範囲は、第1磁性体18が長孔31の内壁の左右端に当接することで規制されている。そして、これら長孔31と摺動片33とは、トレー部25を台車部24に取り付ける際に、前後のガイド片32間にトレー部25を下方から支持する支持板35が取り付けられることによって、図5に示すように、台車部24の平面視から隠蔽されている。
【0045】
このように、注文搬送路1aと走行体7とを構成することによって駆動ベルト15を駆動させると、磁力によって第2磁性体19に駆動連結された第1磁性体18が取り付けられている走行体7が注文搬送路1aに沿って搬送面3上を走行することができるようになっている。
【0046】
次に、搬送面3上を走行している走行体7の動作について説明する。先ず、図5に示すように、注文搬送路1aの直線路12aにおいては、第1磁性体18は、搬送溝23内を移動する第2磁性体19に対向配置されているため、前後の枢支軸30を結ぶ中心線L上である長孔31の略中央に配置されている。
【0047】
そして、図8に示すように、走行体7が第1コーナー10aに侵入すると、走行体7の走行方向前方側のローラブラケット27から第1コーナー10aのレール部22の形状に沿って回動を開始することで、ローラブラケット27は大きく枢支軸30を中心として回動し、軌道ローラ29はレール部22に沿って第1コーナ10aを移動する。
【0048】
走行体7が第1コーナー10aを移動する際には、走行体7の走行方向前方側のローラブラケット27と、走行体7の走行方向後方側のローラブラケット27との揺動回動量とが異なることによって走行体7に内輪差が発生するため、走行体7の中心線Lは、第2磁性体19の移動経路(図8中2点鎖線)よりも第1コーナー10aの内側を移動する。
【0049】
このとき、第1磁性体18は、磁力によって第2磁性体19と駆動連結されているため、第1コーナー10aの内側に中心線Lをずらして移動する走行体7に対して、長孔31内を第1コーナー10aの外側に向かって相対移動し、第2磁性体19との対向配置を維持する。つまり、第1磁性体18は、第2磁性体19に対して走行体7にて追従可能に移動するようになっている。
【0050】
尚、走行体7が第1コーナー10aから再び直線路12aに進入するときには、走行体7の中心線Lがレール部22の中央上方に位置するように走行体7が移動するため、第1磁性体18は長孔31内を長孔31の略中央に向かって相対移動する。
【0051】
前述したように、走行体7に取り付けられた第1磁性体18が第2磁性体19に対して追従可能に移動するので、第2磁性体19と第1磁性体18との間が常に駆動連結されている状態を保ち、走行体7と駆動ベルト15の移動する軌跡に相違があっても走行体7を安定して走行させることができる。
【0052】
以上、本実施例1における飲食物搬送装置1にあっては、連結手段は、走行体7に取り付けられた第1磁性体18と、駆動ベルト15に取り付けられた第2磁性体19と、から構成されており、第1磁性体18と第2磁性体19とのいずれか一方の磁性体18,19は、他方の磁性体19,18に対して追従可能に取付本体で移動することができるので、注文搬送路1aの第1コーナー10a及び第2コーナー11aにて、一方の磁性体18,19に対して他方の磁性体19,18が追従して移動するので、走行体7と駆動ベルト15との軌跡に相違が生じていても、第1コーナー10a及び第2コーナー11aにおいて、例えば、遠心力によりスムーズ且つ応答性よく走行体7を第1コーナー10a及び第2コーナー11aに沿って安定且つ確実に走行させることができる。
【0053】
また、注文搬送路1aを幅方向から挟持し、走行体7の走行路を規定する軌道ローラ29を備えたローラブラケット27が、走行体7の前後2箇所にて水平方向に回動可能に枢支されているので、注文搬送路1aの第1コーナー10a及び第2コーナー11aにおいても、注文搬送路1aに沿って確実に走行体7を走行させることができる。
【0054】
また、第1連結手段及び第2連結手段は、走行体7と駆動ベルト15とにそれぞれ設けられた第1磁性体18及び第2磁性体19であるので、走行体7と駆動ベルト15とは、第1磁性体18と第2磁性体19とによる磁力によって連結されるので、例えば、駆動ベルト15の駆動を走行体7に伝達するためのブラケット等を、走行体7と駆動ベルト15との間に直接連結する必要が無いため、注文搬送路1aの長手方向に亘ってブラケット等を移動させるためのスリット等を形成する必要が無い。
【0055】
また、走行体7は、駆動ベルト15に対して垂直方向に配置されているので、走行体7の幅方向に駆動ベルト15が配置されていないので、注文搬送路1aの幅寸法を短く形成することができる。
【0056】
また、ローラブラケット27には、注文搬送路1aを走行するための荷重ローラ28が設けられているので、走行時に発生する走行体7の水平周りの揺動を抑えることができるので、走行体7をより安定して走行させることができる。
【実施例2】
【0057】
次に、実施例2に係る飲食物搬送装置につき、図9及び図10を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0058】
実施例1における飲食物搬送装置1は、走行体7に注文搬送路1aの搬送面3上を走行させたが、例えば、図9に示すように、走行体36の基台部37の前端部及び後端部から下方に向けて吊持片38を延設させて、この前後の吊持片38間にトレー部39を取り付ける。そして、図10に示すように、実施例1とは上下逆転した構成の注文搬送路40に走行体36を走行可能に取り付け、トレー部39を吊持して注文飲食物9を搬送できるようにしてもよく、このようにした場合でも、実施例1と同様の作用・効果が得られる。
【0059】
尚、この場合には、ローラブラケット27を垂直板27bが水平板27aの左右端部から上方に向けて延設された上向きコ字形状に形成して取り付けるとともに、注文搬送路40の左右端部から荷重ローラ28が係合するとともに走行可能な搬送面41aを有する搬送ブラケット41を取り付ける必要がある。加えて、第2磁性体19は基台部37の上方に配置されているため、第1磁性体18は、摺動片33の上面に配置される。
【実施例3】
【0060】
次に、実施例3に係る飲食物搬送装置につき、図11を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0061】
実施例1における飲食物搬送装置1は、走行体7の前後で軌道ローラ29によってレール部22を幅方向から挟持させ、走行体7にレール部22に沿って注文搬送路1aの搬送面3上を走行させたが、例えば、図11(a)及び図11(b)に示すように、搬送面3を平坦に形成し、平面視丸皿状に形成された走行体42をこの搬送面3上を走行させるようにしてもよい。
【0062】
この場合、走行体42の底面には搬送面3上を走行するためのボールキャスター43を複数(本実施例では3つ)取り付けることによって、走行体42と搬送面3間に生じる摩擦を抑制しながら第1コーナー10aを曲がることができるようになっている。
【0063】
更に、走行体42の底部の略中央に下方に向けて開口する平面視円形状の孔部44を穿設し、この孔部44内に第1磁性体18を配置する。第1磁性体18は孔部44内でバネ45によって水平方向の四方から支持されており、これらバネ45の弾性力によって孔部44内を移動可能となっている。
【0064】
上述のように走行体42を構成することによって、走行体42が幅方向略中央を走行する直線路12aから第1コーナー10aに進入すると、走行体42に遠心力がはたらくことによって、走行体42は第1コーナー10aの外側を移動する。このとき、第1磁性体18は、孔部44内で第1コーナー10aの内側に向かって走行体42に対して相対移動し、第2磁性体19との対向配置を維持する。
【0065】
尚、走行体42が第1コーナー10aから直線路12aに進入することによって走行体42に遠心力がはたらかなくなると、走行体42は、孔部44内のバネ45の復元力によって幅方向略中央に引き戻されるようになっている。
【0066】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0067】
例えば、前記各実施例では、飲食物を寿司として説明したが、これに限定されるものではなく、種々の飲食物を適用可能である。
【0068】
また、前記各実施例では、飲食物搬送装置1を飲食客が注文した注文飲食物9を搬送する装置として説明したが、予め調理した飲食物を厨房エリアCと飲食客エリアAとで循環搬送させる循環搬送装置であってもよい。
【0069】
また、前記各実施例では、連結手段を磁性体として説明したが、ガイド手段を備えた走行体によりレール部に沿って走行する場合においては、磁性体による連結で走行するものでなく、注文搬送路の略全長に亘ってスリットを形成し、駆動ベルトからスリットを介して走行体に棒状のピン等を連結手段として用いてもよく、この場合もピンは走行体に対して可動に支持されている。
【0070】
また、前記実施例1では、基台部26の長孔31内で第1磁性体18を幅方向に移動可能に取り付け、駆動ベルト15に取り付けられたベルトブラケット17の上端部に第2磁性体19を固着することで、第1磁性体18が第2磁性体19に追従可能に移動するようにしたが、第1磁性体18を基台部26に固着し、第2磁性体19をベルトブラケット17の上端部で幅方向に移動可能に取り付けることによって、第2磁性体19が第1磁性体18を追従可能に移動するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 飲食物搬送装置
1a,1b,2 注文搬送路(走行レーン)
3 搬送面
7 走行体
9 注文飲食物
10a,10b 第1コーナー(曲線路)
11a,11b 第2コーナー(曲線路)
12a,12b 直線路
15 駆動ベルト(搬送駆動体)
18 第1磁性体(第1連結手段)
19 第2磁性体(第1連結手段)
22 レール部
24 台車部
25 トレー部
26 基台部
27 ローラブラケット(ガイド手段)
28 荷重ローラ
29 軌道ローラ(回転体,ガイド手段)
31 長孔
34 ガイドローラ
36 走行体
37 基台部
38 吊持片
39 トレー部
40 注文搬送路
41a 搬送面
42 走行体
43 ボールキャスター
44 孔部
45 バネ
L 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に曲線路を有する走行レーンと、該走行レーンに沿って設けられる搬送駆動体と、飲食物を載置して前記走行レーンに沿って走行可能な走行体と、前記搬送駆動体と前記走行体とを駆動連結する連結手段と、を有し、前記搬送駆動体を駆動させることによって前記走行体を前記走行レーンに沿って走行させる飲食物搬送装置であって、
前記連結手段は、前記走行体に取り付けられた第1連結手段と、前記搬送駆動体に取り付けられた第2連結手段と、から構成されており、
前記第1連結手段と前記第2連結手段とのいずれか一方の連結手段は、他方の連結手段に対して追従可能に取付本体で移動することができることを特徴とする飲食物搬送装置。
【請求項2】
前記走行レーンを幅方向から挟持し、前記走行体の走行路を規定するガイド手段が、前記走行体の前後2箇所にて水平方向に回動可能に枢支されていることを特徴とする請求項1に記載の飲食物搬送装置。
【請求項3】
前記第1連結手段及び第2連結手段は、前記走行体と前記搬送駆動体とにそれぞれ設けられた磁性体であることを特徴とすることを特徴とする請求項1または2に記載の飲食物搬送装置。
【請求項4】
前記走行体は、前記搬送駆動体に対して垂直方向に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の飲食物搬送装置。
【請求項5】
前記ガイド手段には、前記走行レーンを走行するための走行輪が設けられていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の飲食物搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−162199(P2010−162199A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7637(P2009−7637)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(390010319)株式会社石野製作所 (85)
【Fターム(参考)】