説明

餃子様食品及びその製造法

【課題】 入具合を餃子の皮で包んだ新規な食品を得ることを目的とし、加えて、中の具材が一体感のある特有のソフトな食感を有し、この状態は室温に冷めても損なわれない新規な食品を得る。
【解決手段】 餅様食品及びチーズを含む具材を澱粉を主体とした穀粉をこねて薄く延ばした皮の内部にくるんだことを特徴とするもの。この食品は、細かくした餅様食品と細かくしたチーズとの混合物を含んでいる具材を澱粉を主体とした穀粉をこねて薄く延ばした皮の内部にくるんで得られる。また、好ましくは具材にピューレ材を更に含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、餅様食品及びチーズを餃子の皮の内部にくるんだ餃子様食品及びその製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
餃子は小麦粉に水を加えて薄くのばしてつくった皮に、肉やエビなどでつくった具材(あん)を載せ、包み込んで煮たり、焼いたりした食べ物である。中国の河北で食べられる餃子は主食を兼ねたものが多く、皮は厚めにして茹でて食べる水餃子が主流であり、焼き餃子はあまり食べられない。一方、日本で食べられる餃子は、戦後満州を経由して流入してきたものが主流である。日本の餃子の特徴としては、水餃子は少なく薄目の皮を使った焼き餃子が主流である。
【0003】
この日本の餃子については、現在では、変わり餃子として種々のバリエーションが存在する。また、餃子のチルド食品、冷凍食品も豊富に流通し、これらをまかなうために機械による衛生的で大量に製造することのできる餃子の製造装置も種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平5−7098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、餃子は画一的な味となりがちであるが、現代人の多様化する嗜好に合わせて種々の新製品としての変わり餃子が生まれるが、その新製品に応じた新たな製造装置を創造するが、その新製品の衰退と共にその製造装置は無用の長物となる。
【0005】
本発明は、具合を餃子の皮で包んだ新規な食品を得ることを目的とし、加えて、中の具材が一体感のある特有のソフトな食感を有し、この状態は室温に冷めても損なわれない新規な食品を得ることを目的とする。更に、この新規な食品を得ることのできる製造法を得ることを目的とし、製造に際して従来から使用されている餃子の製造装置での具材の変更のみで製造可能な製造法を得ることを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明に係る餃子様食品は、餅様食品及びチーズを含む具材を澱粉を主体とした穀粉をこねて薄く延ばした皮の内部にくるんだことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載された発明に係る餃子様食品は、請求項1に記載の具材として、ピューレ材を更に含み、
前記具材の餅様食品、チーズ及びピューレ材が略均一に混ざり合っていることを特徴とするものである。
【0008】
なお、好ましい態様としてのピューレ材がマッシュポテトであることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載された発明に係る餃子様食品の製造法は、餅様食品及びチーズを含む具材を澱粉を主体とした穀粉をこねて薄く延ばした皮の内部にくるんだ餃子様食品の製造法において、
前記具材が、細かくした餅様食品と細かくしたチーズとの混合物を含んでいることを特徴とする方法である。
【0010】
請求項4に記載された発明に係る餃子様食品の製造法は、請求項3に記載の具材が、細かくした餅様食品と細かくしたチーズとに加えて、ピューレ材を更に含んだ混合物であることを特徴とする方法である。
【0011】
なお、好ましい態様としてのピューレ材がマッシュポテトであることを特徴とする方法である。
【0012】
請求項5に記載された発明に係る餃子様食品の製造法は、請求項3又は4に記載の餅様食品が、餅米を主体とした混練物を凍結処理した後に破砕して細かくしたものであることを特徴とする方法である。
【0013】
なお、好ましい態様としては、具材を皮の内部にくるんだ後に、一次加熱して餅様食品とチーズとを溶融させる工程を含むことを特徴とする方法である。
【0014】
請求項6に記載された発明に係る餃子様食品の製造法は、請求項3〜5の何れか1項に記載の餃子様食品を喫食前に油ちょうする工程をさらに備えたことを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上説明した通り、具合を餃子の皮で包んだ新規な食品を得ることができ、加えて、中の具材が一体感のある特有のソフトな食感を有し、この状態は室温に冷めても損なわれない。更に、この新規な食品を得ることのできる製造法を得ることができ、製造に際して従来から使用されている餃子の製造装置での具材の変更のみで製造可能な製造法を得ることができる等の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明においては、餅様食品及びチーズを含む具材を澱粉を主体とした穀粉をこねて薄く延ばした皮の内部にくるんだ新規な食品である。好ましい具材としては、餅様食品及びチーズにピューレ材を更に含み、餅様食品、チーズ及びピューレ材が略均一に混ざり合っているものである。このため、本発明の餃子様食品は、従来にない新規な食感、即ち、中の具材は餅、チーズが溶けピューレ材と一体感のある特有のソフトで餅状の食感を有するものとなる。
【0017】
本発明で用いる澱粉を主体とした穀粉とは、こねて薄く延ばして皮とすることができ、その皮の内部に具材をくるむことができるものであればよい。例えば、通常の餃子の皮に使用している小麦粉の他にも、そば粉、米粉、トウモロコシ粉、馬鈴薯澱粉粉等を単独で又は1種以上を混ぜ合わせて使用することができる。尚、薄くのばして皮とする際に穀粉以外にも風味付けや味付けのための、スパイス、調味料等の混入も含む。
【0018】
本発明で用いる餅様食品は、餅米を主体とした食品であり、好ましくは、餅米とうるち米とを混合した食品である。餅米とうるち米との比率については、8:2を基本として、7:3〜9:1の範囲まで可能である。餅米とうるち米とを蒸して搗いて餅状としてもよいが、餅米粉とうるち米粉とを熱湯で混ぜ合わせて捏ねるのが簡便に作製できる。
【0019】
本発明で用いるチーズは、ナチュラルチーズ又はプロセスチーズであればよく、より好ましくは加熱されると溶融するものが選ばれる。例えば、ナチュラルチーズでは、モッツァレラチーズ等のフレッシュタイプのチーズ、カマンベールチーズ等の白カビタイプのチーズ、ゴルゴンゾーラ等の青カビタイプのチーズ、タレッジオ等のウォッシュタイプのチーズ、ヴァランセ等のシェーブルタイプのチーズ、ゴーダ等のセミハードタイプのチーズ、エメンタール等のハードタイプのチーズが挙げられる。また、プロセスチーズでは、加熱されると溶融するタイプのものであればよい。
【0020】
本発明のピューレ材とは、野菜・果物・肉・魚などを生のまま、または充分に加熱してから裏ごししてしっとりさせたものを指す。また、しっとり感の足りない場合には、スープ等の液体又はクリーム状のものと混ぜ合わせてよりしっとりとさせたものを含む。例えば、タマネギ、人参、ジャガイモ等をスープ等でよく煮てこれをミキサーで破砕したものが挙げられる。より好ましくは、ジャガイモをすりつぶしたマッシュポテトが挙げられる。
【0021】
本発明でピューレ材として好ましくは具材に添加されるマッシュポテトは、茹でた又は蒸かしたジャガイモをすりつぶし、牛乳やバター等を加えて滑らかに仕上げたものであり、市販の水か牛乳を加えて戻すだけで食べられる乾燥させた粉状のマッシュポテトを用いることもできる。また、具材として添加されるマッシュポテト自体にスパイス等を混入してもよい。餅米とうるち米とマッシュポテトとを混合し、熱によってそれらを融合することにより、ソフトな感触が室温に冷めても損なわれず、ソフトな餅感を有するものとなる。
【0022】
本発明の具材としては、前述の餅様食品及びチーズ以外の具材を含んでもよい。また、好ましくは、食塩、マヨネーズ、砂糖、旨味調味料等の調味料で所望の味付けにする。尚、ピューレ材としてしっとり感が少ない場合には、マヨネーズ等の液状・クリーム状の調味料を添加してよりしっとり感を向上させてもよい。
【0023】
本発明の餃子様食品は、細かくした餅様食品と細かくしたチーズとが混合された具材を澱粉を主体とした穀粉をこねて薄く延ばした皮の内部にくるむことにより製造される。特に、具材が、細かくした餅様食品と細かくしたチーズとに加えて、マッシュポテト等のピューレ材を更に含んだ混合物であるものでは、製造に際して従来から使用されている餃子の製造装置での具材の変更のみで製造可能な製造法を得ることができる利点を有する。
【0024】
本発明での細かくした餅様食品と、細かくしたチーズと、マッシュポテト等のピューレ材との配合比率は、従来から使用されている餃子の製造装置で用いる従来の具材のと同程度のしっとりした状態を得られる配合とする。ピューレ材としてマッシュポテトを使用した場合には、例えば、細かくした餅様食品:細かくしたチーズ:マッシュポテト=5:3:2程度とすることにより、従来から使用されている餃子の製造装置での具材の変更のみで製造可能な製造法を得ることができる。
【0025】
尚、具材中に添加される調味料においても、マヨネーズ等の液状・クリーム状の調味料についても、ピュレ材と共に具材をしっとりとさせるため、重要であるため、好ましくは、細かくした餅様食品と、細かくしたチーズと、マッシュポテト等のピューレ材との配合比率を変更して調整する。
【0026】
本発明の細かくした餅様食品としては、喫食時やその前の一次加熱によって柔らかくなった際に細かくしたチーズや他の具材と一体感のある特有のソフトで餅状の食感を得るために、細かくする。好ましくは、1〜3mm程度、より好ましくは2mm程度の大きさとする。また、細かくしたチーズについても、同様に、喫食時やその前の一次加熱によって柔らかくなった際に細かくした餅様食品や他の具材と一体感のある特有のソフトで餅状の食感を得るために、細かくする。好ましくは、1〜3mm程度、より好ましくは2mm程度の大きさとする。
【0027】
また、細かくした餅様食品及び細かくしたチーズの他として、より好ましくはピューレ材としてのマッシュポテトを具材として含むものでは、これらをよく混合することにより、具材の物性が一般の餃子の具材に近いものとなり、従来から使用されている餃子の製造装置での具材の変更のみで製造可能となる。
【0028】
本発明の細かくした餅様食品の製造は、搗いた柔らかい餅を細かく成形して作製してもよいが、好ましくは、餅米を主体とした混練物を凍結処理して餅を硬く尚且つ組織にヒビの入った状態として破砕しやすい状態とした後に破砕機で破砕して細かくするのが簡便に作製することができる。その一例としては、捏ねられた餅を−18℃以下で急速凍結し、10℃で2日間放置することで解凍した後、−18℃の冷蔵庫で1日放置し緩慢凍結し、その後、餅を室温で解凍し、破砕機にかけて1〜3mm程度の大きさにする。
【0029】
具材を皮の内部にくるんだ本発明の餃子様食品は、加熱して喫食される。その加熱方法としては、焼き餃子風にしてもよいが、より好ましくは、油ちょうして揚げ餃子風にすることにより、表面の皮がパリパリの状態となり、尚且つ、内部の具材は餅、チーズが溶けマッシュポテトと一体感のある特有のソフトで餅状の食感を有するものとなる。
【0030】
本発明の餃子様食品は、喫食前の油ちょうは各家庭等で行った方が、揚げたてのうまさを堪能できるため、油ちょう前段階で流通・販売される方がよい。そのため、具材を皮の内部にくるんだ状態で冷凍し、冷凍食品として流通・販売してもよいが、チルド食品として流通・販売されるためには、具材を皮の内部にくるんだ後に、一次加熱して餅様食品とチーズとを溶融させる工程を含む方がよい。
【0031】
一次加熱を行った製品であっても、一次加熱を行わない製品であっても油ちょう加熱することで餃子の皮で包含した餅様食品及びチーズが溶解し、好ましいピューレ材としてのマッシュポテトと混ざり合うことで特有の食感を有するものとなる。また、外部の皮のパリパリ感との対比により今までにない食感、風味を有する新規食品となる。
【実施例】
【0032】
図1は本発明の新規な餃子様食品の一実施例の製造工程を示す工程図である。図に示すとおり、先ず餅米粉とうるち米粉とを8:2の割合で混ぜ、それに熱水を加えて餅状とした。餅のくっつき防止のため、餅の周りにコーンスターチを適量添加し、所定のサイズに成形した後、−18℃以下で急速凍結した。
【0033】
急速凍結した餅を10℃で2日間放置することで解凍し、その後、−18℃の冷蔵庫で1日放置し緩慢凍結した。緩慢凍結した餅を室温で解凍し、細断機にかけて1〜3mm程度の大きさにした。この細断して小粒状にした餅と、予め小片にしたチーズ(2mm程度)と、マッシュポテトとを攪拌機で混合し、これにマヨネーズ、食塩、砂糖、旨味調味料を添加してさらに撹拌した。
【0034】
また、マヨネーズ等の液状・クリーム状の調味料についても、ピュレ材と共に具材をしっとりとさせるため、重要である。餅と、チーズと、マッシュポテトと、マヨネーズとの配合については、具材をしっとりさせる範囲で変更可能であるが、例えば、餅:チーズ:マッシュポテト:マヨネーズ=4.5:3.1:2.1:0.3とすることにより、得られた具材はしっとりとして、従来の餃子製造の製造ラインに具材のみを変更することにより充分稼働するものであった。
【0035】
餃子製造装置(トーア工業社製)を用いて、所定量の混合物を餃子の皮に包含し、餃子状に成形した。餃子状に成形したものを蒸し加熱(一次加熱)し、その後、5℃まで冷却した。この状態で、餃子の皮に包含されている混合物の餅、チーズは違和感なくマッシュポテトと融合していた。冷却した餃子を所定の個数トレーに入れ、包装して製品とした。
【0036】
これを温度180℃の食用油で揚げることで、餃子の皮はパリパリした状態となり、中の具材は餅、チーズが溶けマッシュポテトと一体感のある特有のソフトで餅状の食感を有するものとなった。尚、この状態は、温度が20℃に低減しても損なわれず、ソフトな餅感を有していた。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の新規な餃子様食品の一実施例の製造工程を示す工程図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
餅様食品及びチーズを含む具材を澱粉を主体とした穀粉をこねて薄く延ばした皮の内部にくるんだことを特徴とする餃子様食品。
【請求項2】
前記具材として、ピューレ材を更に含み、
前記具材の餅様食品、チーズ及びピューレ材が略均一に混ざり合っていることを特徴とする請求項1に記載の餃子様食品。
【請求項3】
餅様食品及びチーズを含む具材を澱粉を主体とした穀粉をこねて薄く延ばした皮の内部にくるんだ餃子様食品の製造法において、
前記具材が、細かくした餅様食品と細かくしたチーズとの混合物を含んでいることを特徴とする餃子様食品の製造法。
【請求項4】
前記具材が、細かくした餅様食品と細かくしたチーズとに加えて、ピューレ材を更に含んだ混合物であることを特徴とする請求項3に記載の餃子様食品の製造法。
【請求項5】
前記餅様食品が、餅米を主体とした混練物を凍結処理した後に破砕して細かくしたものであることを特徴とする請求項3又は4に記載の餃子様食品の製造法。
【請求項6】
前記餃子様食品を喫食前に油ちょうする工程をさらに備えたことを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の餃子様食品の製造法。

【図1】
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