説明

駆け込み乗車検知装置

【課題】プラットホーム上の乗客の駆け込み乗車を、より確実に検知し、列車の遅延防止、及び、乗客の安全性の向上を図る。
【解決手段】停車した列車のドア付近を検知エリア18とする位置に設けられている複数の検知器12と、夫々の検知器12を制御する制御装置とを含んでおり、各検知器12は、夫々の検知エリア18内の現在の検出データと、直近で保存した検出データとを比較し、人が移動している速度及び方向の判定から、乗客16の列車への駆け込み乗車を検知する。更に、駆け込み乗車検知装置10は、列車への駆け込み乗車を検知した場合に、外部へ警告信号を出力することが可能であり、駆け込み乗車をする乗客16への注意喚起や、列車の乗務員への通知等に、警告信号を発報し、列車の遅延防止や、乗客16の安全性の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆け込み乗車検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、駅のプラットホーム上における列車への駆け込み乗車は、列車の遅延の原因となり、又、乗客の安全性を十分に確保する上でも、軽視できない問題となっている。
そのため、図8に示されるような、列車に駆け込み乗車をする乗客を、監視するような装置が考案されている(特許文献1参照)。この装置では、プラットホーム112上に設置され、列車110の乗降客を撮影する第1のカメラ100と、同じくプラットホーム112上に設置され、プラットホーム112に接続する複数の階段114を撮影する、複数の第2のカメラ102を備えている。更に列車110には、送光器106及び受光器108を介して、第1のカメラ100及び第2のカメラ102で撮影した映像を映す車載モニタ104が搭載されている。又、階段114にいる乗客が駆け込み乗車をする場合に、列車110のドアを閉めると危険な範囲が予め設定されており、この設定範囲内にある階段114のステップに、体重センサが設置されている。この体重センサを利用して、階段114からの乗客の駆け込み乗車を把握し、車載モニタ104に映す映像を自動で切り替え、監視を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−244612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図8に示した方法では、第1のカメラ100と、階段114ごとに設置される複数の第2のカメラ102とで撮影される、複数台分のカメラ映像を、車載モニタ104で確認する必要がある。ここで、体重センサにより、車載モニタ104に映す映像を、自動で切り替えているとしても、複数の階段114に、同時に駆け込み乗車をする乗客がいるような場合には、確認が間に合わないことも想定される。更に、階段114からの駆け込み乗車ではなく、プラットホーム112からの駆け込み乗車については、体重センサによる把握ができず、第1のカメラ100で撮影した映像から車載モニタ104で把握する必要があり、乗務員による確認の負担が増すこととなる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プラットホーム上の乗客の駆け込み乗車を、より確実に検知し、列車の遅延防止、及び、乗客の安全性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)プラットホームに停車した列車の各ドア付近を検知エリアとする検知器と、該検知器を制御する制御装置とを含み、前記検知器は、前記検知エリア内の検出データから、前記プラットホーム上の人の動きを検知し、当該人の動きが、駆け込み乗車として検知されたとき、外部へ警告信号を出力するものである駆け込み乗車検知装置(請求項1)。
【0008】
本項に記載の駆け込み乗車検知装置は、停車した列車のドア付近を検知エリアとする位置に、ドアの開口1つごとに1台ずつ設けられている検知器と、この検知器に接続され、夫々の検知器を制御する制御装置とを構成要素に含んでいる。そして、各検知器は、夫々の検知エリア内の検出データを取り込み後に保存し、更に、直近で保存した検出データと、現在取り込んでいる検出データとを比較し、人が移動している速度及び方向を判定する。そして、検出データから、一定の速度を超えて移動しており、かつ、列車のドアに向かっていると判定された場合に、その乗客は列車への駆け込み乗車をしようとしているものとして検知する。更に、検知器は、乗客の列車への駆け込み乗車を検知した場合に、外部へ警告信号を出力する。そして、駆け込み乗車をする乗客への注意喚起や、列車の乗務員への駆け込み乗車の通知等に、この警告信号を利用し、例えば、別途備えられた、スピーカーからの音声や、警告ランプからの発光等により警告の発報を行う。
【0009】
又、各検知器は、上述した一連の処理動作、つまりは、現在の検出データの取り込みと保存、直近の検出データとの比較、検出データに基づく人の移動速度及び移動方向の判定、及び検出データに基づく乗客の駆け込み乗車の検知、といった処理動作を、列車が停車している間に、夫々の検知器ごとに独立して、繰返し行うものである。
更に、検知器は、停車した列車のドア付近を検知エリアとしていることから、例えば、プラットホームに接続する階段から走ってくる乗客のように、プラットホーム上から視認し難いような場所から、駆け込み乗車をする乗客も、列車のドア付近の検知エリアを通過する時点で、駆け込み乗車であることを検知するものである。
【0010】
なお、ここで用いられる検知器には、例えば、距離画像センサ等の画像処理センサが挙げられる。検知器として距離画像センサを用いることとすれば、検出データの取り込み処理動作として、まず距離画像センサから、夫々の検知エリア全域を走査するように光を投射し、この光が検知エリア内の人に反射され、再び距離画像センサに戻るまでの時間を計測する。そして、計測した時間から、距離画像センサから検知エリア内の人への距離を求め、検知エリア内の距離画像データを取得し、この距離画像データを検出データとして取り込むこととなる。更に、この距離画像データの取得を、設定された時間単位ごとに行うことにより、検知エリア内の人の移動距離や移動方向を検出し、その後の処理動作は上述した内容と同様になるため、乗客の列車への駆け込み乗車を検知するものとなる。
【0011】
(2)上記(1)項において、前記検知エリアは、列車のドアから遠い安全エリアと、列車のドアに近い警告エリアとに区分けされている駆け込み乗車検知装置(請求項2)。
本項に記載の駆け込み乗車検知装置は、検知器の検知エリアを、2つの領域に区分けし、列車のドアから遠い領域を安全エリアに設定し、列車のドアに近い領域を警告エリアに設定する。そして、検知器は、安全エリア内に居る人のうちで、移動している速度及び方向から、駆け込み乗車をする可能性のある人の見当づけを行い、その見当づけをされた人が、そのまま警告エリアに進入した場合に、駆け込み乗車であるということを検知する。ここで、見当づけを行った人については、警告エリアに進入したことのみを以って、駆け込み乗車を検知する。そのため、検知エリアを区分けして、駆け込み乗車をする可能性のある人の見当づけを行っていない場合と比較して、駆け込み乗車を検知してから、その乗客が列車のドアに到達するまでの時間が長くなるので、駆け込み乗車の早期検出を図るものとなる。
又、安全エリア内で、駆け込み乗車をする可能性があると見当づけをされた人に対し、警告エリアに進入した後にも、駆け込み乗車をする可能性があるかの判定を行い、再度、駆け込み乗車をする可能性があると判定された場合のみ、駆け込み乗車を検知するものとしてもよい。この場合には、警告エリアに進入した後にも駆け込み乗車か否かの監視を行うこととなるので、駆け込み乗車の検知の精度を高めることにもなる。
【0012】
(3)上記(2)項において、前記安全エリアと前記警告エリアとの境界位置は、可変である駆け込み乗車検知装置(請求項3)。
本項に記載の駆け込み乗車検知装置は、検知器が、安全エリア内で、移動速度が所定速度よりも速く、かつ、列車のドアに向かっている、といった条件に基づき、駆け込み乗車をする可能性のある人との見当づけがされる場合に、安全エリアと警告エリアの境界位置を、安全エリアを狭め、警告エリアを広げるように変更する。そして、検知器は、見当づけをされた人が、そのまま警告エリアに進入した場合には、駆け込み乗車であるということを検知し、そのまま警告エリアに進入しない場合には、変更した境界位置を元の位置に戻す。そのため、境界位置を変更しない場合と比較して、見当づけを行った人が、警告エリアに進入するまでの時間が短縮されるので、その分だけ、駆け込み乗車の更なる早期検出を図るものとなる。
【0013】
(4)上記(2)(3)項において、前記安全エリアは、プラットホームに停車した列車の各ドアの開口部を外すようにして、前記警告エリアを囲う領域に配置されている駆け込み乗車検知装置(請求項4)。
本項に記載の駆け込み乗車検知装置は、安全エリアが、プラットホームに停車した列車の、各ドアの開口部を外すようにして、警告エリアを囲う領域に配置されていることから、プラットホーム上の様々な方向から列車のドアに向かって来る人に対し、安全エリア内で、駆け込み乗車をする可能性のある人の見当づけを行うことになる。このため、あらゆる角度からの駆け込み乗車を、早期に検知するものとなる。
【0014】
(5)上記(1)から(4)項において、前記検知器は、支障物センサと信号処理装置とで構成されている駆け込み乗車検知装置(請求項5)。
本項に記載の駆け込み乗車検知装置は、検知器が、支障物センサと信号処理装置とで構成されていることにより、検知器が行う複数の処理動作を、夫々の装置の特徴を生かして、効率良く分担して行うものである。具体的には、検出データの取り込みは、支障物センサが行い、検出データの比較、検出データに基づく人の移動速度及び移動方向の判定、検出データに基づく乗客の駆け込み乗車の検知、安全エリアから警告エリアへの進入の判定、及び安全エリアと警告エリアの境界位置の変更、といった処理動作は、信号処理装置で行うものである。
【0015】
(6)上記(1)から(5)項において、前記検知器は、列車の到着に応じて作動する駆け込み乗車検知装置(請求項6)。
本項に記載の駆け込み乗車検知装置は、検知器が、列車のプラットホームへの到着に応じて作動をすることから、列車がプラットホームに停車していない間は、検出データの取り込み、検出データの比較、検出データに基づく人の移動速度及び移動方向の判定、検出データに基づく乗客の駆け込み乗車の検知、安全エリアから警告エリアへの進入の判定、及び安全エリアと警告エリアの境界位置の変更、といった処理動作を行わないこととなる。よって、データの保存手段の記憶容量の軽減や、無駄な消費電力を抑えるものである。
【0016】
(7)上記(1)から(6)項において、前記検知器は、前記プラットホームの屋根に設けられている駆け込み乗車検知装置(請求項7)。
本項に記載の駆け込み乗車検知装置は、検知器が、プラットホームの屋根に設けられていることで、この検知器が設置されているプラットホームに停車した列車への駆け込み乗車を、列車のドアの上方から検知するものとなる。
ここで、例えば、各検知器の制御を行う制御装置が、検知器を取り付けたプラットホームの屋根がある駅構内ではなく、プラットホームに停車する各列車に設けられている場合において、各検知器と制御装置との通信を行う手段は、無線の通信手段であればよく、例えば、従来技術と同様に、送光器と受光器を用いてもよい。
【0017】
(8)上記(1)から(6)項において、前記検知器は、列車のドア上部に設けられている駆け込み乗車検知装置(請求項8)。
本項に記載の駆け込み乗車検知装置は、検知器が、列車のドア上部に設けられていることで、この検知器が設置されている列車が停車する、全てのプラットホームにおいて、この列車への駆け込み乗車を検知するものとなる。特に、列車の新造時に検知器を取り付けることとすれば、既存の列車に検知器を取り付ける場合と比較し、合理的に安価に取り付けができる。
ここで、例えば、各検知器の制御を行う制御装置が、検知器を取り付けた列車上ではなく、各駅構内に設けられている場合において、各検知器と制御装置との通信を行う手段は、無線の通信手段であればよく、例えば、従来技術と同様に、送光器と受光器を用いてもよい。
【0018】
(9)上記(1)から(8)項において、前記警告信号が、音声信号として出力される駆け込み乗車検知装置(請求項9)。
本項に記載の駆け込み乗車検知装置は、外部へ出力する警告信号が、音声信号であることにより、例えば、制御装置に別途備えられたスピーカーから、乗務員や駅員に対し、音声で駆け込み乗車を伝えるものであったり、又、各検知器に別途備えられたスピーカーから、駆け込み乗車を検知された乗客に対し、その場で音声による注意喚起等を行うものとなる。
【0019】
(10)上記(1)から(8)項において、前記警告信号が、列車のドア及びホームドアの少なくとも一方の、強制開閉動作指令として出力される駆け込み乗車検知装置(請求項10)。
本項に記載の駆け込み乗車検知装置は、外部へ出力する警告信号が、列車のドアやホームドアの強制開閉動作指令として出力されることにより、検知器が駆け込み乗車を検知した際に、列車のドアやホームドアの動作を、強制的に制限するものとなる。例えば、検知器が駆け込み乗車を検知した際に、列車のドアやホームドアが閉動作をしている場合、列車のドアやホームドアの閉動作を一時的に停止させたり、若しくは閉動作から開動作に切り替えることにより、乗客が列車のドアやホームドアへ衝突することを、未然に防止するものとなる。
更に、検知器が駆け込み乗車を検知した際に、列車のドアやホームドアが全開状態の場合、列車のドアやホームドアの閉動作の開始を一時的に制限することにより、乗客が列車のドアやホームドアへ衝突することを、未然に防止するものとなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明はこのように構成したので、プラットホーム上の乗客の駆け込み乗車を、より確実に検知し、列車の遅延防止、及び、乗客の安全性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る、駆け込み乗車検知装置を設置した、鉄道のプラットホームを示す模式図である。
【図2】図1に示される駆け込み乗車検知装置の構成を、模式的に示したブロック図である。
【図3】図1に示される駆け込み乗車検知装置の、駆け込み乗車の基本的な検出方法を示しており、(a)は、検知エリア付近の模式図であり、(b)は、フローチャートである。
【図4】図1に示される駆け込み乗車検知装置の、駆け込み乗車検出の様々な態様を示した、複数の検知エリア付近の模式図である。
【図5】図1に示される駆け込み乗車検知装置の、駆け込み乗車の応用的な検出方法を示しており、(a)は、検知エリア付近の模式図であり、(b)は、フローチャートである。
【図6】図1に示される駆け込み乗車検知装置の、駆け込み乗車の別の応用的な検出方法を示しており、(a)は、検知エリア付近の模式図であり、(b)は、フローチャートである。
【図7】図1に示される駆け込み乗車検知装置の、駆け込み乗車の更に別の応用的な検出方法を示した、検知エリア付近の模式図である。
【図8】従来の駆け込み乗車を監視する装置を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
【0023】
図1に示されるように、本発明の実施の形態に係る駆け込み乗車検知装置10は、プラットホーム112に設置されている屋根14の、プラットホーム112側の面に、プラットホーム112上を検知する方向に向かって、複数の検知器12が設置されている。この検知器12は、プラットホーム112に停車した列車(図8の符号110参照)の、夫々のドア付近に、列車のドア開口と同じ数量だけ設置されている。又、一編成の車両数に変動がある場合は、最長編成に対応した数量が設置される。一方、検知器12は、列車の全ての車両の全てのドアと同じ数量を設置することなく、例えば、駆け込み乗車があまり発生しないと考えられる、プラットホーム112に接続する階段から遠い場所に停車する、列車の車両のドア付近には、対応する検知器12を設置せずに、費用の削減を図る、といった形態も、適宜採用可能である。そして、各検知器12は、プラットホーム112上の、夫々に対応するドア開口付近を検知エリア18としており、検知エリア18内の乗客16の駆け込み乗車を検知するものである。なお、検知エリア18の例として、4〜5m四方の四角形等が挙げられる。
【0024】
図2には、本発明の実施の形態に係る駆け込み乗車検知装置10の構成を、ブロック図で示している。図示によれば、駆け込み乗車検知装置10は、複数の検知器12と、複数の検知器12に接続された制御装置24により構成されており、更に、夫々の検知器12は、支障物センサ20と、信号処理装置22とで構成されている。ここで、本発明の実施の形態に係る支障物センサ20の例として、距離画像センサや、3Dセンサ等の画像処理センサが挙げられる。
又、図2に記載されているLは、列車の車両1両分の長さを示している。そのため、図2で示されている駆け込み乗車検知装置10の例では、Lで示す範囲に4つの検知器12が記載されていることから、車両1両につき、4つのドアが設けられている列車に対応するものである。更に、図2の例では、制御装置24と、列車の車両1両分の検知器12が示されているが、列車が複数の車両で構成されている場合には、列車の車両の数だけ、Lで示す範囲内にある列車の車両1両分の装置の構成を、図2で示すブロック図に連続させるようにして、接続する態様となる。
【0025】
ここで、図2で示している、駆け込み乗車検知装置10を構成する各装置ごとの、処理動作の分担例について説明をする。まず、検知器12の動作のうち、検出データの取り込みは、支障物センサ20が行い、検出データの比較、検出データに基づく人の移動速度及び移動方向の判定、検出データに基づく乗客16の駆け込み乗車の検知、安全エリア28から警告エリア30への進入の判定、及び安全エリア28と警告エリア30の境界位置の変更、といった処理動作は、信号処理装置22が行うものとする。
又、制御装置24は、接続されている全ての検知器12の制御を行い、例えば、検知器12が検出データの取り込みを行う時間の間隔を、全ての検知器12に対し、一括で変更するような場合には、制御装置24から変更を行うものとする。更に、制御装置24は、接続されている複数の検知器12の情報を集め、統計を取るものとしてもよい。例えば、制御装置24は、上述の信号処理装置22の処理動作の一部を分担して、駆け込み乗車を検知したという情報を、各検知器12から集め、検知した時間や車両の情報等と一緒に、蓄積してデータ化するものとすれば、このデータを、駆け込み乗車発生の傾向の把握に利用することができる。
又、駆け込み乗車検知装置10が出力する外部への警告信号が、音声信号であるような場合には、図2では示されていないが、この音声信号は、別途検知器12や制御装置24に備えられた、スピーカーから出力されるものとする。
【0026】
ここで、本発明の実施の形態に係る駆け込み乗車検知装置10の、駆け込み乗車の基本的な検出方法の手順について、図3(b)で示すフローチャートの流れに沿って、図3(a)で示す模式図を参照しながら説明をする。なお、図3で示す例では、検知器12を構成する支障物センサ20として、画像処理センサを用いている。又、信号処理装置22、制御装置24には、コンピュータ等の電子演算器が用いられる。
S100:プラットホーム112に列車110(図8参照)が到着すると、駆け込み乗車検知装置10の画像処理センサ20が作動する。列車110の到着の検知は、例えば、プラットホ−ム112の端部に、列車センサ等を設置することで行うことができる。
S110:画像処理センサ20が、検知エリア18内の、現在の画像データの取り込みを行い、信号処理装置22で、保存を行い、現在の画像データと直近に保存された画像データとを比較する。画像データの取り込みのタイミングは、通常は一定であり、例えば、画像処理センサ20で、このタイミング値を保持し、必要に応じてタイミング値の変更ができるものとしてもよい。ここで、画像処理センサ20の作動直後のように、直近の画像データが、信号処理装置22に保存されていない場合には、画像処理センサ20は、次の画像データの取り込みを行う。
【0027】
S120:信号処理装置22は、上記S110の画像データの比較結果に基づいて、単位時間当たり、ここでは、直近と現在の画像データの取り込み時刻の間に、乗客16の移動した距離から、乗客16が走っているか否かの判定を行う。乗客16が走っていないと判定された場合(No)は、上記S110へと移行し、乗客16が走っていると判定された場合(Yes)は、S130へ移行する。
S130:信号処理装置22は、上記S110の画像データの比較結果に基づいて、乗客16の移動した方向から、乗客16が列車110のドア26に向かっているか否かの判定を行う。例えば、直近と現在の画像データ上での乗客16の座標変化から、その移動方向を把握する。そして、乗客16が列車110のドア26に向かっていないと判定された場合(No)は、上記S110へと移行する。一方、乗客16が列車110のドア26に向かっていると判定された場合(Yes)は、乗客16は駆け込み乗車をすると検知され、S140へ移行する。
S140:駆け込み乗車検知装置10の、検知器12又は制御装置24が、外部へ警告信号の出力を行う。
【0028】
続いて、図4で示す模式図を参照して、本発明の実施の形態において、駆け込み乗車の基本的な検出方法(図3参照)を用いた場合の、駆け込み乗車検知の様々な態様について、より詳しく説明する。
まず、人16aは、検知エリア18内において立ち止まっているため、直近と現在の画像データの比較において、位置が不変であることから、駆け込み乗車検知の対象外となる。又、人16bは、列車110のドア26から離れた場所を、列車110のドア26とは異なる方向に向かって歩いて、若しくは走っており、列車110に乗らない可能性がある。そのため、直近と現在の画像データの比較において、人16bの座標変化の方向が、列車110のドア26には向かないことから、駆け込み乗車検知の対象外となる。次に、人16cは、列車110のドア26の近くを歩いているが、列車110のドア26の方向に向かっていないため、直近と現在の画像データの比較において、人16cの座標変化の方向が、列車110のドア26には向かないことから、駆け込み乗車検知の対象外となる。これらに対して、人16dは、列車110のドア26から離れた場所にいるが、列車110のドア26の方向に向かって走っており、駆け込み乗車をする可能性がある。そのため、直近と現在の画像データの比較において、人16dの座標変化の方向が、列車110のドア26に向いており、かつ、座標変化の距離が、設定値よりも大きくなる場合は、駆け込み乗車検知の対象となる。ここでの設定値とは、人が走っていると認識するための設定値であり、例えば、検知器12の信号処理装置22が、この設定値を保持するものとしてもよい。
【0029】
次に、本発明の実施の形態に係る駆け込み乗車検知装置10の、駆け込み乗車の応用的な検出方法の手順について、図5(b)で示すフローチャートの流れに沿って、図5(a)で示す模式図を参照しながら説明をする。なお、図5に示す例では、検知エリア18が、安全エリア28と警告エリア30に区分けされており、又、検知器12を構成する支障物センサ20として、画像処理センサを用いている。又、信号処理装置22、制御装置24には、コンピュータ等の電子演算器が用いられる。
S200:プラットホーム112に列車110(図8参照)が到着すると、駆け込み乗車検知装置10の画像処理センサ20が作動する。
S210:画像処理センサ20が、安全エリア28内及び警告エリア30内の、現在の画像データの取り込みを行い、信号処理装置22で、保存を行い、現在の画像データと直近に保存された画像データとを比較する。ここで、画像処理センサ20の作動直後のように、直近の画像データが、信号処理装置22に保存されていない場合には、画像処理センサ20は、次の画像データの取り込みを行う。
【0030】
S220:信号処理装置22は、上記S210の画像データの比較結果に基づいて、乗客16の移動した距離から、安全エリア28内で、乗客16が走っているか否かの判定を行う。乗客16が走っていないと判定された場合(No)は、上記S210へと移行し、乗客16が走っていると判定された場合(Yes)は、S230へ移行する。
S230:信号処理装置22は、上記S210の画像データの比較結果に基づいて、乗客16の移動した方向から、安全エリア28内で、乗客16が列車110のドア26に向かっているか否かの判定を行う。乗客16が列車110のドア26に向かっていないと判定された場合(No)は、上記S210へと移行する。一方、乗客16が列車110のドア26に向かっていると判定された場合(Yes)は、乗客16は駆け込み乗車をする可能性があるとの見当づけをされ、S240へ移行する。
S240:信号処理装置22は、駆け込み乗車をする可能性があると見当づけをされた乗客16が、安全エリア28から警告エリア30に移動したか否かの判定を、その後においても継続的に取得される画像データの比較に基づき行う。安全エリア28から警告エリア30に移動していないと判定された場合(No)は、上記S210へと移行する。一方、安全エリア28から警告エリア30に移動したと判定された場合(Yes)は、乗客16は駆け込み乗車をすると検知され、S250へ移行する。
S250:駆け込み乗車検知装置10の、検知器12又は制御装置24が、外部へ警告信号の出力を行う。
【0031】
続いて、本発明の実施の形態に係る駆け込み乗車検知装置10の、駆け込み乗車の更に別の応用的な検出方法の手順について、図6(b)で示すフローチャートの流れに沿って、図6(a)で示す模式図を参照しながら説明をする。なお、図6(a)では、検知エリア18が、安全エリア28と警告エリア30に区分けされており、更に、安全エリア28と警告エリア30の境界位置が、可変となっている例を示している。そして、左側の図が境界位置変更前の区分け設定を、右側の図が境界位置変更後の区分け設定を示している。又、図6で示す例においても、検知器12を構成する支障物センサ20として、画像処理センサを用いている。又、信号処理装置22、制御装置24には、コンピュータ等の電子演算器が用いられる。
【0032】
S300:プラットホーム112に列車110(図8参照)が到着すると、駆け込み乗車検知装置10の画像処理センサ20が作動する。
S310:画像処理センサ20が、安全エリア28内及び警告エリア30内の、現在の画像データの取り込みを行い、信号処理装置22で、保存を行い、現在の画像データと直近に保存された画像データとを比較する。ここで、画像処理センサ20の作動直後のように、直近の画像データが、信号処理装置22に保存されていない場合には、画像処理センサ20は、次の画像データの取り込みを行う。
S320:信号処理装置22は、上記S310の画像データの比較結果に基づいて、乗客16の移動した距離から、安全エリア28内で、乗客16が走っているか否かの判定を行う。乗客16が走っていないと判定された場合(No)は、上記S310へと移行し、乗客16が走っていると判定された場合(Yes)は、S330へ移行する。
S330:信号処理装置22は、上記S310の画像データの比較結果に基づいて、乗客16の移動した方向から、安全エリア28内で、乗客16が列車110のドア26に向かっているか否かの判定を行う。乗客16が列車110のドア26に向かっていないと判定された場合(No)は、上記S310へと移行する。一方、乗客16が列車110のドア26に向かっていると判定された場合(Yes)は、乗客16は駆け込み乗車をする可能性があるとの見当づけをされ、S340へ移行する。
【0033】
S340:信号処理装置22が、安全エリア28と警告エリア30のしきい値(以下、「閾値」という。)を変更し、安全エリア28と警告エリア30の境界位置を、図6(a)の左図から右図のごとく、安全エリア28を狭め、警告エリア30を広げる位置に変更した後、S350へ移行する。ここでの閾値とは、安全エリア28と警告エリア30の境界位置、例えば、画像中に設定された所定の座標を、閾値として定義しているものであり、この閾値を変えることにより、安全エリア28と警告エリア30の境界位置が変更されるものである。具体的には、安全エリア28と警告エリア30の境界位置が、プラットホーム112の線路側端部と反対方向に移動する。
S350:信号処理装置22は、上記S340で変更した閾値に基づいて、駆け込み乗車をする可能性があると見当づけをされた乗客16が、安全エリア28から警告エリア30に移動したか否かの判定を、その後においても継続的に取得される画像データの比較に基づき行う。そして、安全エリア28から警告エリア30に移動していないと判定された場合(No)は、S370へと移行する。一方、安全エリア28から警告エリア30に移動したと判定された場合(Yes)は、乗客16は駆け込み乗車をすると検知され、S360へ移行する。
S360:駆け込み乗車検知装置10の、検知器12又は制御装置24が、外部へ警告信号の出力を行う。
S370:信号処理装置22が、上記S340で変更した閾値を、元の値に戻す。すなわち、安全エリア28と警告エリア30の境界位置を、元の位置に戻した後、S310へ移行する。
【0034】
更に、図7では、駆け込み乗車の更に別の応用的な検出方法を示している。図示によれば、検知エリア18は、安全エリア28と警告エリア30に区分けされているが、図5及び図6で示したような応用的な検出方法とは異なり、プラットホーム112に停車した列車110(図8参照)のドア26の開口部を外すようにして、警告エリア30を囲う領域に、安全エリア28が設定されている。そのため、図示のように、乗客16が斜めの角度、又は列車110の長手方向と並行な方向から駆け込み乗車をする際にも、安全エリア28内で、駆け込み乗車をする可能性の見当づけを行い、見当づけをされた乗客16が、そのまま警告エリア30に移動した場合には、その乗客16は駆け込み乗車をすると検知することも可能となる。この場合の、安全エリア28と警告エリア30とにおける処理動作は、図5に示されるS200〜S250と同様である。又、図6のごとく、安全エリア28と警告エリア30との境界位置を、可変とすることも可能である。
【0035】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、駆け込み乗車検知装置10は、図1及び図2に示すように、停車した列車110のドア26付近を検知エリア18とする位置に、ドア26の開口1つごとに1台ずつ設けられている検知器12と、この検知器12に接続され、夫々の検知器12を制御する制御装置24とを構成要素に含んでいる。そして、図3(a)及び図3(b)に示すように、各検知器12は、夫々の検知エリア18内の検出データを取り込み後に保存し、更に、直近で保存した検出データと、現在取り込んでいる検出データとを比較し、人が移動している速度及び方向を判定する。そして、検出データから、一定の速度を超えて移動しており、かつ、列車110のドア26に向かっていると判定された場合に、その乗客16は列車110への駆け込み乗車をしようとしているものとして検知する。更に、検知器12は、乗客16の列車110への駆け込み乗車を検知した場合に、外部へ警告信号を出力する。そして、駆け込み乗車をする乗客16への注意喚起や、列車110の乗務員への駆け込み乗車の通知等に、この警告信号を利用することができ、例えば、別途備えられた、スピーカーからの音声や、警告ランプからの発光等により警告の発報を行うことができるので、列車110の遅延防止や、乗客16の安全性の向上を図ることができる。なお、プラットホーム112に、ホームドアが設置されていることとすれば、本発明の実施の形態に係る駆け込み乗車検知装置10との併用により、乗客16の安全性の、より一層の向上が期待できる。
【0036】
又、各検知器12は、上述した一連の処理動作、つまりは、現在の検出データの取り込みと保存、直近の検出データとの比較、検出データに基づく人の移動速度及び移動方向の判定、及び検出データに基づく乗客16の駆け込み乗車の検知、といった処理動作を、列車110が停車している間に、夫々の検知器12ごとに独立して、繰返し行うものである。そのため、列車110の1箇所のドア26に向かって、複数の乗客16が、連続して駆け込み乗車をするような場合や、列車110の複数箇所のドア26に向かって、複数の乗客16が、同時に駆け込み乗車をするような場合にも、駆け込み乗車の検知漏れがなく、確実に検知することができる。
更に、検知器12は、停車した列車110のドア26付近を検知エリア18としていることから、例えば、プラットホーム112に接続する階段114から走ってくる乗客16のように、プラットホーム112上から視認し難いような場所から、駆け込み乗車をする乗客16も、列車110のドア26付近の検知エリア18を通過する時点で、駆け込み乗車であることを検知するので、このような乗客16の駆け込み乗車も、確実に検知することができる。
【0037】
又、図5(a)及び図5(b)に示すように、検知器12の検知エリア18を、2つの領域に区分けし、列車110のドア26から遠い領域を安全エリア28に設定し、列車110のドア26に近い領域を警告エリア30に設定することとしてもよい。そして、検知器12は、安全エリア28内に居る人のうちで、移動している速度及び方向から、駆け込み乗車をする可能性のある人の見当づけを行い、その見当づけをされた人が、そのまま警告エリア30に進入した場合に、駆け込み乗車であるということを検知する。ここで、見当づけを行った人については、警告エリア30に進入したことのみを以って、駆け込み乗車を検知することができる。そのため、検知エリア18を区分けして、駆け込み乗車をする可能性のある人の見当づけを行っていない場合と比較して、駆け込み乗車を検知してから、その乗客16が列車110のドア26に到達するまでの時間が長くなるので、駆け込み乗車を早期に検知することができ、列車110遅延防止や、乗客16の安全性の向上を図ることができる。
又、安全エリア28内で、駆け込み乗車をする可能性があると見当づけをされた人に対し、警告エリア30に進入した後にも、駆け込み乗車をする可能性があるかの判定を行い、再度、駆け込み乗車をする可能性があると判定された場合のみ、駆け込み乗車を検知するものとしてもよい。この場合には、警告エリア30に進入した後にも駆け込み乗車か否かの監視を行うこととなるので、駆け込み乗車の検知の精度を高めることができる。
【0038】
更に、図6(a)及び図6(b)に示すように、検知器12が、安全エリア28内で、移動速度が所定速度よりも速く、かつ、列車110のドア26に向かっている、といった条件に基づき、駆け込み乗車をする可能性のある人との見当づけがされる場合に、安全エリア28と警告エリア30の境界位置を、安全エリア28を狭め、警告エリア30を広げるように変更する。そして、検知器12は、見当づけをされた人が、そのまま警告エリア30に進入した場合には、駆け込み乗車であるということを検知し、そのまま警告エリア30に進入しない場合には、変更した境界位置を元の位置に戻す。そのため、境界位置を変更しない場合と比較して、見当づけを行った人が、警告エリア30に進入するまでの時間が短縮されるので、その分だけ、駆け込み乗車を更に早期に検知することができ、列車110の遅延防止や、乗客16の安全性の更なる向上を図ることができる。
【0039】
又、図7に示すように、安全エリア28が、プラットホーム112に停車した列車110の、各ドア26の開口部を外すようにして、警告エリア30を囲う領域に配置されていることから、プラットホーム112上の様々な方向から列車110のドア26に向かって来る人に対し、安全エリア28内で、駆け込み乗車をする可能性のある人の見当づけを行うことになる。このため、あらゆる角度からの駆け込み乗車を、確実に、かつ、早期に検知することができる。
【0040】
又、検知器12が、支障物センサ20と信号処理装置22とで構成されていることにより、検知器12が行う複数の処理動作を、夫々の装置の特徴を生かして、効率良く分担して行うものであるため、駆け込み乗車の検知を、効率良く行うことができる。
【0041】
又、検知器12が、列車110のプラットホーム112への到着に応じて作動をすることから、列車110がプラットホーム112に停車していない間は、検出データの取り込み、検出データの比較、検出データに基づく人の移動速度及び移動方向の判定、検出データに基づく乗客16の駆け込み乗車の検知、安全エリア28から警告エリア30への進入の判定、及び安全エリア28と警告エリア30の境界位置の変更、といった処理動作を行わないことになる。よって、データの保存手段の記憶容量の軽減に繋がり、更に、無駄な消費電力を抑え、節電に貢献するものとなる。
【0042】
更に、検知器12が、プラットホーム112の屋根14に設けられていることで、この検知器12が設置されているプラットホーム112に停車した列車110への駆け込み乗車を、列車110のドア26の上方から検知するものとなり、列車110の遅延防止や、乗客16の安全性の向上に繋がる。
【0043】
一方、検知器12を、列車110のドア26上部に設けることとすれば、この検知器12が設置されている列車110が停車する、全てのプラットホーム112において、この列車110への駆け込み乗車を検知するものとなり、列車110の遅延防止や、乗客16の安全性の向上に繋がるものとなる。特に、列車110の新造時に検知器12を取り付けることとすれば、既存の列車110に検知器12を取り付ける場合と比較し、合理的に安価に取り付けができる。
【0044】
なお、外部へ出力する警告信号が、音声信号であることにより、例えば、制御装置24に別途備えられたスピーカーから、乗務員や駅員に対し、音声で駆け込み乗車を伝えるものであったり、又、各検知器12に別途備えられたスピーカーから、駆け込み乗車を検知された乗客16に対し、その場で音声による注意喚起等を行うことができるため、列車110の遅延防止や、乗客16の安全性の向上に、効果が期待できるものとなる。
【0045】
又、外部へ出力する警告信号が、列車110のドア26やホームドアの強制開閉動作指令として出力されることとすれば、検知器12が駆け込み乗車を検知した際に、列車110のドア26やホームドアの動作を、強制的に制限するものとなる。例えば、検知器12が駆け込み乗車を検知した際に、列車110のドア26やホームドアが閉動作をしている場合、列車110のドア26やホームドアの閉動作を一時的に停止させたり、若しくは閉動作から開動作に切り替えることにより、乗客16が列車110のドア26やホームドアへ衝突することを、未然に防止することが可能となり、乗客16の安全性の向上や、列車110の遅延防止に繋がるものとなる。
更に、検知器12が駆け込み乗車を検知した際に、列車110のドア26やホームドアが全開状態の場合、列車110のドア26やホームドアの閉動作の開始を一時的に制限することにより、乗客16が列車110のドア26やホームドアへ衝突することを、未然に防止することが可能となり、この場合においても、乗客16の安全性の向上や、列車110の遅延防止に繋がるものとなる。
【符号の説明】
【0046】
10:駆け込み乗車検知装置、12:検知器、14:屋根、16:乗客、18:検知エリア、20:支障物センサ(画像処理センサ)、22:信号処理装置、26:ドア、28:安全エリア、30:警告エリア、110:列車、112:プラットホーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームに停車した列車の各ドア付近を検知エリアとする検知器と、該検知器を制御する制御装置とを含み、
前記検知器は、前記検知エリア内の検出データから、前記プラットホーム上の人の動きを検知し、
当該人の動きが、駆け込み乗車として検知されたとき、外部へ警告信号を出力するものであることを特徴とする駆け込み乗車検知装置。
【請求項2】
前記検知エリアは、列車のドアから遠い安全エリアと、列車のドアに近い警告エリアとに区分けされていることを特徴とする請求項1記載の駆け込み乗車検知装置。
【請求項3】
前記安全エリアと前記警告エリアとの境界位置は、可変であることを特徴とする請求項2記載の駆け込み乗車検知装置。
【請求項4】
前記安全エリアは、プラットホームに停車した列車の各ドアの開口部を外すようにして、前記警告エリアを囲う領域に配置されていることを特徴とする請求項2又は3記載の駆け込み乗車検知装置。
【請求項5】
前記検知器は、支障物センサと信号処理装置とで構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の駆け込み乗車検知装置。
【請求項6】
前記検知器は、列車の到着に応じて作動することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の駆け込み乗車検知装置。
【請求項7】
前記検知器は、前記プラットホームの屋根に設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の駆け込み乗車検知装置。
【請求項8】
前記検知器は、列車のドア上部に設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の駆け込み乗車検知装置。
【請求項9】
前記警告信号が、音声信号として出力されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の駆け込み乗車検知装置。
【請求項10】
前記警告信号が、列車のドア及びホームドアの少なくとも一方の、強制開閉動作指令として出力されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の駆け込み乗車検知装置。

【図2】
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【図8】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−52738(P2013−52738A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191715(P2011−191715)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(712004783)株式会社総合車両製作所 (40)
【Fターム(参考)】