説明

駆動トルクの小さい発電機

【課題】 永久磁石を使用した三相交流同期発電機に於いて、従来の構造の電機子や界磁極では銅線損失や鉄心損失、磁気損失など種々の損失が多く、駆動トルクに対する発電出力、つまり効率であるがこれ以上の向上は不可能である。
本発明は、従来の同期発電機に比べ極めて高効率な同期発電機を実現するものである。
【解決手段】 電機子の構造を従来の三相一体型ではなく、三つに分離して三相それぞれの電機子とする。 各電機子磁極の位置は三相電力を発生させるため各相間にずれを作る。
又、界磁極を形成するセグメント磁石は、特殊な形状にして、駆動トルクの減少をはかる。
これにより、駆動トルクか゜小さくて済む高効率の発電機が実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転する鉄製ドラムの内壁に永久磁石を取付け界磁極とし、その内側に固定した電機子を配する、三相交流同期発電機の高効率化にちついてである。
【背景技術】
【0002】
従来からある永久磁石を使用した三相交流同期発電機は、駆動トルクに対して発電出力、すなはち効率は80%程度であり、それ以上の高効率化は不可能であった。
その原因は、従来からある発電機の電機子の構造及び界磁極を形成するセグメント磁石の形状によるものである。
【0003】
従来からある三相交流同期発電機の電機子は、円形状の硅素鋼板の中心にシャフトを取付ける穴を設け、外周にコイルを装着するスリットを設けたものを積層にして、三相一体の、磁極鉄心を形成している。
【0004】
この磁極鉄心のスリットには、三相分のコイルが装着されていて、、三相発電であるからそれぞれの相のコイルは、スリットを二カ所ずつ飛び越えて装着する、いわゆる分布巻き方式になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来からある前記の電機子の分布巻きは、界磁極から受ける磁力の電力変換効率が極めて悪く、高速回転で出力電力を確保している。
その原因は、電機子の一相目のコイルを装着した磁極が、界磁極の定位置で強い磁力をを受ける時、磁極に他の二相分のスリットがあり、それををまたぐ形になるのでロスがあり、磁力の電力変換効率を悪くしている。
【0006】
さらに、前記の磁極鉄心は、界磁極を形成しているセグメント磁石は長方形で、中心軸と並行になる様に組み立てられている。
磁極鉄心のスリットをこれと並行にすると、回転時にはコッキングが発生、起動時に大きなトルクが必要など不具合があり、磁極鉄心にスキューをつけて、起動時や回転の動作を滑らかにしているが、これが、更に磁力の電力変換効率を悪くしている。
【0007】
又、前記の磁極鉄心は、磁力の必要なコイルの中心部分以外の体積が大きく、磁極が界磁極より磁力を受ける時、磁極以外の部分まで磁力が分散し、磁極の磁力を弱めてしまう、いわゆる鉄心損失であり、高効率化を妨げている。
【0008】
さらに、前記の電機子は、コイルを装着するスリットのスペースが少ないので、コイルの電線が、必要最大電流ぎりぎりの断面積のものしか装着出来ず、銅線損失を増加させていて、高効率化を妨げている。
【課題を解決する為の手段】
【0009】
本発明は、前記電機子による高効率化妨げの解決として、三相一体の磁極鉄心を一相ごごとに分散し、軸に対して直列に取付け、それぞれの相の磁極にはコイルを装着直し、直列に結線するいわゆる集中巻きにする。
各相の電機子の磁極の位置は、中心軸に対して同一ではなく各相間ある角度ずらして取付けてある。
その各相電機子磁極間の角度のずれは、電機子が12極の場合、一周360°÷12極=30°夫々の相の磁極間は30°、本機は三相であるから 30°÷3=10°各相間の磁極の差は10°となり、本電機子の各相磁極間は10°ずらしてある。
【0010】
又、界磁極のセグメント磁石であるが、従来の界磁極は長方形のセグメント磁石を中心軸と並行に取り付けてあるが、本発明はセグメント磁石を三列配し、各相単独の界磁極を形成している。
各相に配した界磁極の位置は、各相にずれはなく、中心軸に対して平行に一直線であり、隣り合う極は異極を配している。
【0011】
セグメント磁石の形状は、平面から見て特殊な台形状である。
界磁極が回転する時、セグメント磁石に磁極が侵入する側面を中心軸と平行に、、磁極が遠ざかる側面を中心軸に対して斜めにしてある。
【発明の効果】
【0012】
前記構造の電機子及び界磁極を実現し作動すると、従来の発電機に比べ、少ないトルクで駆動する発電機が実現するが、それは次の動作理由による。
前記の様に、三相に分割した電機子の磁極の位置がずれている為に、一相目の磁極が界磁極の安定した位置にある時、三相目の磁極は次の界磁極に近ずいていて、界磁極の磁力を受け引きつけられようとしている。
此の吸引力が、外部からの駆動力により、一相目の電機子の磁極が界磁極より離れようとするのを助ける働きをするのであり、各相順次この動作が続き、駆動トルクが小さくても作動する発電機が実現する。
【0013】
又、セグメント磁石の形状が特殊なので、更に駆動トルクが少なくて済む。
その理由は、セグメント磁石が前記の様な形状になっているので、電機子の磁極が界磁極の安定位置から離れやすくなっている。つまり、従来の電機子磁極鉄心のスキューと同じ効果がある。
これにより、更に駆動トルクの小さい、つまり発電効率の良い発電機が実現する。
【発明を実現するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基ずき詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の発電機の正面図である。 図2は、本発明の発電機の側面断面図であり、図3は界磁極を形成する外側のドラムと、内側の電機子の位置関係を示す図である。図4は、セグメント磁石の形状である。
【0016】
図1に示す様に、回転するドラム1の内壁にセグメント磁石2を取付け界磁極とし、その内側に固定した電機子3を配している。
電機子3の各磁極4にはコイル5が装着してあり、電機子3は固定したシャフト6に取付けられている。
【0017】
図2は、本発電機の側面から見た断面図である。
電機子3は、一相目3a、二相目3b、三相目3cと各相に別れている。各相の磁極鉄心には、コイル5a、5b、5cを装着している。
各電機子は固定シャフト6に取付けてあり、ドラム1は、駆動シャフト7にかかるトルクにより、回転する。
【0018】
図3は、界磁極を形成するセグメント磁石と、各相電機子磁極の位置関係を示す、外側ドラムを透視した図である。
各相の界磁極を形成するセグメント磁石2a、2b、2cは、中心軸と同一の一直線に並んでいて、各相の電機子3a、3b、3cの磁極は10ずつずらしてある。
【0019】
図4は、セグメント磁石の斜視図である。

交差する様な角度にしてある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】 本発明の実施の形態を示す、正面図である。
【図2】 本発明の実施の形態を示す、側面の断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態を示す、界磁極と電機子磁極の位置関係の図である。
【図4】 本発明の実施の形態を示す、セグメント磁石の斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1、ドラム(アウターローター)
2、セグメント磁石
2a、セグメント磁石(一相目)
2b、セグメント磁石(二相目)
2c、セグメント磁石(三相目)
3、電機子
3a、電機子(一相目)
3b、電機子(二相目)
3c、電機子(三相目)
4、磁極
5、コイル
5a、コイル(一相目)
5b、コイル(二相目)
5c、コイル(三相目)
6、固定シャフト
7、駆動シャフト
8、ドラム回転方向
9、磁極中心線(一相目)、界磁極中心線
10、磁極中心線(二相目)
11、磁極中心線(三相目)
12、界磁極中心線
13、セグメント磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石を使用した三相交流同期発電機の電機子に於いて、三相一体でなく三つに分離して各相それぞれの電機子とし、各相電機子磁極の位置に間隔をおいて三相交流を発生させ、その磁極の位置が原因となり駆動トルクが小さくてすむ電機子。
【請求項2】
上記発電機の界磁極を形成するセグメント磁石は各相単独にし、その形状は電機子側か見て平行四辺形ではなく一辺が中心線と平行で、反対の辺は中心線と交わる斜線の角度になっている(二等辺台形)もの。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−24398(P2011−24398A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181912(P2009−181912)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(300084281)
【Fターム(参考)】