説明

駆動制御装置。

【課題】モニタリングするユーザが目視による「ずれ」を認識できない映像を維持しながらレンズを定期的なメンテナンスために動かすことができる仕組みを提供すること。
【解決手段】フォーカスレンズの駆動およびアイリスの駆動を制御する駆動制御装置が、ピントを変更すべく指示し、指示された時点よりもピントがずれる方向にフォーカスレンズを駆動し、かつフォーカスレンズの駆動によるピントのずれを補正する方向にアイリスを駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
駆動制御装置及び制御方法とプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
不審船や石油コンビナート、発電所等の拠点を監視する監視カメラのレンズは屋外の過酷な条件に設置される。このような監視カメラ用レンズにおいて、長時間「ズーム」や「フォーカス」を動作させないとモータのグリスが離油および固化してしまい、動作させたい場合にモータのブラシが固化した部位に乗り上げてしまい、「ズーム」や「フォーカス」が動かなくなる不具合が発生する。
【0003】
グリスの固化等に起因する動作不具合を回避するためには、モータのメンテナンスのために「フォーカス」、「ズーム」用のモータを定期的に1往復回転させる必要がある。
【0004】
この不具合対策として、1日1回モータを1回転させる事でモータのグリスをならす(攪拌する)事で固化を抑止するソフトウエアが存在する。このソフトウエアは制御マイコンにより24時間をカウントし、24時間毎に「フォーカス」、「ズーム」に対しモータを1回転させる機能になっている。1回転させたまま終了すると「フォーカス」、「ズーム」の位置が変わってしまうので1回転後は逆方向に1回転戻す動作を実施する。
【0005】
図1は、固化を抑止する当該ソフトウエアを使用し、「フォーカス」、「ズーム」用のモータを定期的に1往復回転させる場合に従来におけるフォーカス、ズームの位置関係を示した図である。
横軸は時間を表し、縦軸はフォーカスおよびズームの位置情報(電圧値)である。フォーカスとズームの動作方向と動作タイミングを表している。
【0006】
クリーニング動作が開始されると、まずフォーカスが動作する。フォーカス位置センサの情報を参照して、フォーカスレンズが所定位置まで動作するとフォーカスレンズを停止し、往路動作が終了する。この位置はフォーカスモータが1回転回った位置に相当する。
【0007】
次にフォーカスレンズを元の位置に戻すため、フォーカスモータを逆方向に動作させる。フォーカス位置センサの情報を参照してフォーカスレンズが元の位置に戻ったらフォーカスモータを停止させフォーカスのクリーニング動作が終了する。
【0008】
フォーカスのクリーニング動作が終了すると、次にズームが動作する。ズーム位置センサの情報を参照して、ズームレンズが所定位置まで動作するとズームレンズを停止し、往路動作が終了する。この位置はズームモータが1回転回った位置に相当する。
【0009】
次にズームレンズを元の位置に戻すため、ズームモータを逆方向に動作させる。ズーム位置センサの情報を参照してズームレンズが元の位置に戻ったらズームモータを停止させズームのクリーニング動作が終了する。
【0010】
この時、フォーカスモータ動作中はピントずれ現象が発生し、フォーカシングレンズ群が前後する事に起因してバリエーターに写り込む映像の大きさが変わるため、ピントずれ現象の他に画角の変化も発生してしまう。ズームモータ動作中は画角が変化する現象が発生する。
撮影映像を補正する方法としては以下のような技術が開示されている。
【0011】
先行文献1においては、ズーム、絞り、エクステンダーが変動してもベストピントを維持するために、ズーム位置、絞り値、エクステンダー位置の1つの変化による焦点の変動量を予め求め、予め求めた焦点の変動量を相殺するようにマスターレンズの位置を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10−186209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
定点監視といったように、カメラのレンズ位置が固定され、ピントや画角が決まった状態でレンズを動かさず長期的に使用するカメラにおいて、長期的に固定状態によるレンズモータの固着を防止するためには、撮影を停止しレンズモータをメンテナンスするか、撮影を継続しながら定期的にレンズモータを動作させる必要があるが、図1の方式のように撮影を継続しながらレンズを動作させた場合には、撮影中の映像に影響を与えてしまい、モニタリングするユーザが目視で「ずれ」が認識できるため、映像を見たものは不快に感じるといった問題が発生する。
【0014】
本願発明は、モニタリングするユーザが目視による「ずれ」を認識できない映像を維持しながらレンズを定期的なメンテナンスために動かすことができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明は、ピントを調整するフォーカスレンズの駆動および光量を調整するアイリスの駆動を制御する駆動制御装置であって、前記ピントを変更すべく指示する第1の指示手段と、前記指示により、前記指示された時点よりもピントがずれる方向に前記フォーカスレンズを駆動し、かつ前記フォーカスレンズの駆動によるピントのずれを補正する方向に前記アイリスを駆動する第1の制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、前記第1の制御手段による前記フォーカスレンズの駆動を所定の位置で停止するフォーカス停止手段と、前記第1の制御手段による前記アイリスの駆動を所定の位置で停止するアイリス停止手段と、をさらに備え、前記アイリス停止手段は、前記フォーカス停止手段が停止する前に停止し、所定の時間、停止を保持することを特徴とする。
【0017】
また、前記フォーカス停止手段が停止した場合に、前記フォーカスレンズを再駆動すべく再駆動指示する第2の指示手段と、前記再駆動指示により、前記指示された時点のピントに戻る方向に前記フォーカスレンズを駆動する第2の制御手段と、前記第2の制御手段が前記フォーカスレンズを再駆動したあとに、前記補正する方向の反転方向に前記アイリスを再駆動する第3の制御手段と、をさらに備えることを特徴とする。
また、前記ピントがずれる方向は至近方向であり、前記ピントのずれを補正する方向は前記アイリスを閉じる方向であることを特徴とする。
【0018】
また、前記駆動制御装置は、画角を調整するズームレンズの駆動をさらに制御し、前記指示により前記フォーカスレンズが駆動した場合に、前記フォーカスレンズの駆動による画角のずれを補正する方向に前記ズームレンズを駆動する第4の制御手段と、をさらに備えることを特徴とする。
また、前記画角のずれを補正する方向は、広角方向であることを特徴とする。
【0019】
また、前記駆動制御装置は、フランジバックを調整するリレーレンズの駆動をさらに制御し、前記指示により前記フォーカスレンズが駆動した場合に、前記フォーカスレンズの駆動による前記ピントのずれを補正する方向に前記リレーレンズを駆動する第5の制御手段と、をさらに備えることを特徴とする。
また、前記リレーレンズが駆動するピントのずれを補正する方向は無限方向であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本願発明により、モニタリングするユーザが目視による「ずれ」を認識できない映像を維持しながらレンズを定期的なメンテナンスために動かすことができる仕組みを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】固化を抑止する従来技術である。
【図2】レンズの内部構成を示すハードウエア構成図である。
【図3】カメラシステムの構成を示すハードウエア構成図である。
【図4】フォーカス、ズーム、アイリス、フランジバックの位置を表した図である。
【図5】プリセット制御処理プログラム(クリーニング制御処理プログラム)の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】プリセット制御処理プログラム(クリーニング制御処理プログラム)の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図2を説明する。
図2は、本願発明におけるレンズの内部構成を示すハードウエア構成図である。
【0023】
100は、フォーカシングレンズ群(4枚のレンズ)であり、被写体にピントを合わせるために前後する光学ユニットで、至近の場合この光学ユニットが被写体側に移動し、無限の場合この光学ユニットが撮像素子(CCD)側に移動する。これによりピント合わせを実施する。
【0024】
101はバリエーター(3枚のレンズ)であり、像の大きさを変えるために前後する光学ユニットで、広角の場合この光学ユニットが被写体側に移動し、望遠の場合この光学ユニットが撮像素子(CCD)側に移動する。これにより撮影サイズを可変させる。
【0025】
102は、コンペンセーター(2枚のレンズ)で、101が前後する際に発生するピントのズレを補正するため、101バリエーターの位置に応じて前後する。これにより101のバリエーターを前後させてもピントぼけが発生しない。
101と102はズームモータが駆動する場合に連動して動くので、101及び102
を合わせたものがズームレンズである。
【0026】
103は、絞り(アイリス)で、光量を調整するために開閉する機構である。被写体が明るい場合は103絞りを閉じ方向に制御し、被写体が暗い場合103絞りを開方向に制御することで画面の明るさを調整する。
【0027】
104はリレーレンズ(5枚のレンズ)で、本光学系に結像された映像を撮像素子(CCD)にリレーする光学部材である。フランジバックモータ(リレーレンズ駆動モータ)により、リレーレンズが駆動する。
105は色分解プリズムで、レンズを通して得た映像情報を赤、緑、青に分ける。これら赤、緑、青に対しそれぞれ撮像素子(CCD)が配置されている。
【0028】
106はフランジバック調整機能であり、レンズのマウントとカメラのCCDまでの距離を104リレーレンズを前後させる事でレンズのマウントとカメラのマウントの距離を所定値内に抑える。この106フランジバックは手動で実施するタイプが一般的だが、監視用途のように屋外の鉄塔に設置している場合を考慮してモータを搭載し、104リレーレンズを前後させる動作を遠隔地からリモート操作可能な機種が存在する。
図3を説明する。
図3は、本願発明におけるカメラシステムの構成を示すハードウエア構成図である。
1はフォーカス機能、ズーム機能、フランジバック機能を備えたレンズ部である。
2はCCD等の撮影素子からなる撮像素子部である。
3はカメラ装置の映像信号を出力する信号処理部である。
5はピントを調整するフォーカスレンズを移動させるためのフォーカスレンズの駆動モータである。
6は画角を調整するズームレンズを移動させるためのズームレンズの駆動モータである。
7は光量を調整する絞りを開閉するためのアイリスの駆動モータである。
8はフランジ位置(フランジバック)を調整するためのフランジバックモータ(リレーレンズの駆動モータ)である。
9、10、11および12は各モータの移動及び回転位置(停止位置)をそれぞれ検出する位置センサである。
13、14、15および16は各モータをそれぞれ駆動するモータ駆動回路である。
【0029】
17は各モータ制御、プリセットデータの読み出し、操作キーの読み込みなどレンズシステム全体を制御するマイクロコンピュータ(マイコン)である。マイコン17はCPU、ROM(外部メモリ)、RAMなどを内蔵する。ROM(外部メモリ)には後述する図5及び図6のプリセット制御処理プログラム(クリーニング制御処理プログラム)が格納されている。
19はレンズのズーム、フォーカス、アイリス等を動作させる操作部である。
20は映像を生成し、その映像を外部に出力するカメラ装置である。
図4を説明する。
【0030】
図4は、本願発明におけるフォーカス、ズーム、アイリス、フランジバックの位置を表した図である。横軸は時間を表し、縦軸は「フォーカス」「ズーム」「アイリス」「フランジバック」の位置情報(電圧値)である。
【0031】
この図はフォーカス、ズーム、アイリス、フランジバックの動作方向と動作タイミングを表している。クリーニング動作が開始されると、フォーカス、ズーム、アイリス、フランジバックは同時に駆動しフォーカスは至近方向に、ズームは広角方向に、アイリスは閉じ方向に、フランジバックは無限方向に動作する。
【0032】
これらが同時にかつ方向性を持たせる事によってフォーカス駆動時のフォーカスぼけ現象に対し、アイリスを閉じ方向に動作させ、かつフランジバックを逆方向に動作させる事で映像の変化を抑圧する。同時にフォーカス駆動時の画角が変化してしまう現象に対し、ズームを逆方向に動作させる事で映像の変化を抑圧する。
【0033】
クリーニング動作の往路終了についてはフォーカスモータならびにズームモータが1回転分に相当する位置で終了する。終了タイミングをフォーカス、ズーム、アイリス、フランジバックを同時に停止させる事で画面上の変化を抑圧する。
【0034】
クリーニング動作の往路動作が終了したら、フォーカス、ズーム、アイリス、フランジバックの位置を元の位置に戻す動作を実施する。今度もフォーカス、ズーム、アイリス、フランジバックは同時に駆動しフォーカスは無限方向に、ズームは望遠方向に、アイリスは開方向に、フランジバックは至近方向に動作する。
【0035】
これらが同時にかつ方向性を持たせる事によってフォーカス駆動時におけるフォーカスボケ現象に対し、フランジバックを逆方向に動作させる事で映像の変化を抑圧する。同時にフォーカス駆動時に画角が変化してしまう現象に対し、ズームを逆方向に動作させる事で映像の変化を抑圧する。
【0036】
クリーニング動作の復路終了についてはフォーカスモータ、ズームモータ、アイリスモータ、フランジバックモータが元の位置に戻る事を確認し終了する。終了タイミングをフォーカス、ズーム、アイリス、フランジバックを同時に停止させる事で画面上の変化を抑圧する。以上でクリーニング動作が終了する。
図5を説明する。
【0037】
図5は、図4で説明した動作を実行する本願発明におけるモータグリスの固化を防止するモータのプリセット制御処理プログラム(クリーニング制御処理プログラム)の処理手順を示すフローチャートである。
【0038】
ステップS101では、マイクロコンピュータ17は、前回のクリーニング動作から24時間経過しているか否かを確認する。経過していると(クリーニング往路開始である)と判定した場合はステップS102に進む。経過していない(クリーニング往路開始でない)と判定した場合は何もしないで終了する。
【0039】
ステップS102では、前回のクリーニング動作から24時間経過している場合、フォーカスモータならびにズームモータに使用されているグリスの固化を防止するためクリーニング動作を実施するために、マイクロコンピュータ17は、現時点のピントを変更すべく指示する(第1の指示手段)。
【0040】
マイクロコンピュータ17は、ピントの変更指示により、ピントの変更が指示された時点よりもピントがずれる方向(至近方向)にフォーカスレンズ(フォーカスモータ)を駆動し、かつフォーカスレンズ(フォーカスモータ)の駆動によるピントのずれを補正する方向(閉じ方向)にアイリス(アイリスモータ)を駆動する(第1の制御手段)。
【0041】
アイリスを絞る(閉じる)事で被写界深度が深くなる。被写界深度が深くなるとピントが合う領域が広がるため、ピントのぼけが目立ちにくくなる。すなわちフォーカスモータを回転させる際に発生するピントのぼけに対し、アイリスを同時にかつピントのぼけが目立たない閉じ方向に動作させる事で、フォーカスモータ動作中のピントずれ現象を抑圧する効果がある。
【0042】
さらに、異なるアイリスの絞り量を予め設定し、ピントの変更が指示された時点のフォーカスレンズの位置が所定の位置よりも望遠側であれば、小さいアイリスの絞り量を選択し、ピントの変更が指示された時点のフォーカスレンズの位置が所定の位置よりも広角側であれば、大きいアイリスの絞り量を選択することで、アイリスの絞り量を選択することも可能である。
【0043】
さらに、フォーカスレンズを駆動しピントがずれ始めた直後にアイリスを閉じ(絞り)る場合に、被写界深度を早めに深くする(アイリスの駆動速度が速い場合)と、映像の明るさが早く変化するがピントのぼけが目立ちにくくなる。被写界深度を遅めに深くする(アイリスの駆動速度が遅い場合)と、映像の明るさは遅く変化するがピントのぼけが目立ちやすくなる。
【0044】
さらに、マイクロコンピュータ17は、ピントの変更指示により、フォーカスレンズが駆動した場合に、フォーカスレンズの駆動による画角のずれを補正する方向(広角方向)にズームレンズを駆動する(第4の制御手段)。
【0045】
さらに、マイクロコンピュータ17は、ピントの変更指示により、フォーカスレンズが駆動した場合に、フォーカスレンズの駆動によるピントのずれを補正(無限方向)する方向にリレーレンズを駆動する(第5の制御手段)。
【0046】
またフランジバックをモータで動作させる機能がない場合のレンズに対し、フォーカス動作中に発生するピントぼけ現象に対し、フランジバック機能を使用せずにアイリスモータのみの動作で対応する事も可能である。
【0047】
ステップS103では、マイクロコンピュータ17は、つづいてフォーカスレンズの位置センサ9を参照して、現在のフォーカスレンズ位置情報を参照し、目標位置(所定の位置)に到達したか否かを確認する。
【0048】
ステップS104では、この目標位置はフォーカスモータの1回転分に相当する。フォーカス位置が目標位置まで到達していない場合、何もせずにフォーカスモータの動作は継続して実施。フォーカス位置が目標位置まで到達した場合、フォーカスモータの往路動作が終了したと判断し、マイクロコンピュータ17は、ステップS102によるフォーカスレンズ(フォーカスモータ)の駆動を所定の位置で停止する(フォーカス停止手段)。
【0049】
マイクロコンピュータ17は、フォーカスレンズ(フォーカスモータ)の停止が完了すると同時に、フォーカスレンズ(フォーカスモータ)を再駆動すべく再駆動指示する(第2の指示手段)。
【0050】
ステップS105では、マイクロコンピュータ17は、つづいてアイリスの位置センサ11を参照して、現在のアイリス位置情報を参照し、目標位置(所定の位置)に到達したか否かを確認する。
【0051】
ステップS106では、マイクロコンピュータ17は、アイリス位置が目標位置まで到達していない場合、何もせずにアイリスモータの動作は継続して実施。アイリス位置が目標位置まで到達した場合、アイリスモータの往路動作が終了したと判断し、マイクロコンピュータ17は、ステップS102によるアイリス(アイリスモータ)の駆動を所定の位置で停止し、所定の時間、停止を保持する(アイリス停止手段)。
【0052】
ここで、重要なのは図4に示すように、ステップS102によるアイリス(アイリスモータ)の駆動の停止は、ステップS102によるフォーカスレンズ(フォーカスモータ)の駆動が停止する前に停止することである。
【0053】
ステップS107では、マイクロコンピュータ17は、つづいてズームレンズの位置センサ10を参照して、現在のズームレンズ位置情報を参照し、目標位置(所定の位置)に到達したか否かを確認する。
【0054】
ステップS108では、マイクロコンピュータ17は、この目標位置はズームモータの1回転分に相当する。ズーム位置が目標位置まで到達していない場合、何もせずにズームモータの動作は継続して実施。ズーム位置が目標位置まで到達した場合、ズームモータの往路動作が終了したと判断し、ズームモータを停止する。さらに図4に示すようにズームモータは、ステップS104のフォーカスレンズ(フォーカスモータ)停止と同期して停止する。
【0055】
ステップS109では、マイクロコンピュータ17は、つづいてフランジバックの位置センサ12を参照して、現在のフランジバック位置情報を参照し、目標位置(所定の位置)に到達したか否かを確認する。
【0056】
ステップS110では、マイクロコンピュータ17は、フランジバック位置が目標位置まで到達していない場合、何もせずにフランジバックモータの動作は継続して実施。フランジバック位置が目標位置まで到達した場合、フランジバックモータの往路動作が終了したと判断し、フランジバックモータを停止する。さらに図4に示すようにフランジバックモータは、ステップS104のフォーカスレンズ(フォーカスモータ)停止と同期して停止する。
【0057】
ステップS111では、マイクロコンピュータ17は、ズーム、フォーカス、アイリス、フランジバックの位置が目標位置に移動した場合、往路動作が終了したと判断する。ズーム、フォーカス、アイリス、フランジバックの位置が目標位置に移動していない場合、往路動作中と判断し、ステップS103に戻る。
図6を説明する。
【0058】
図6は、図4で説明した動作を実行する本願発明におけるモータグリスの固化を防止するモータのプリセット制御処理プログラム(クリーニング制御処理プログラム)の処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
ステップS201では、つづいて復路側動作を実施する。マイクロコンピュータ17は、ステップS104での再駆動指示により、ステップS102で指示された時点のピントに戻る方向(無限方向)にフォーカスレンズ(フォーカスモータ)を駆動する(第2の制御手段)。
【0060】
ここで、重要なのは図4に示すように、フォーカスレンズを再駆動したあとに、ステップS102で補正した方向の、反転方向(開ける方向)にアイリス(アイリスモータ)を再駆動する(第3の制御手段)ことである。
【0061】
フォーカスレンズを再駆動するとともにステップS102で補正した方向の、反転方向(開ける方向)にアイリス(アイリスモータ)を再駆動してしまうと、被写界深度が短期間で浅くなってしまうので、フォーカスレンズを再駆動したあとにアイリス(アイリスモータ)を再駆動する場合と比べて、復路側動作時のピントのぼけが目立ちやすくなる。
フォーカスレンズを再駆動するとともにズームモータは望遠側に再駆動させる。
フォーカスレンズを再駆動するとともにフランジバックモータを至近側に再駆動させる。
【0062】
ステップS202では、マイクロコンピュータ17は、つづいてフォーカスレンズの位置センサ9を参照して、現在のフォーカスレンズ位置情報を参照し、ピントの変更が指示された時点の元の位置(所定の位置)に到達したか否かを確認する。
【0063】
ステップS203では、マイクロコンピュータ17は、フォーカス位置が元の位置まで到達していない場合、何もせずにフォーカスモータの動作は継続して実施。フォーカス位置が元の位置まで到達した場合、フォーカスモータの復路動作が終了したと判断し、フォーカスモータを停止する。
【0064】
ステップS204では、マイクロコンピュータ17は、つづいてアイリスの位置センサ11を参照して、現在のアイリス位置情報を参照し、ピントの変更が指示された時点の元の位置に到達したか否かを確認する。
【0065】
ステップS205では、マイクロコンピュータ17は、アイリス位置が元の位置まで到達していない場合、何もせずにアイリスモータの動作は継続して実施。アイリス位置が元の位置まで到達した場合、アイリスモータの復路動作が終了したと判断し、アイリスモータを停止する。
さらに図4に示すようにアイリスモータは、ステップS203のフォーカスレンズ(フォーカスモータ)停止と同期して停止する。
【0066】
ステップS206では、マイクロコンピュータ17は、つづいてズームレンズの位置センサ10を参照して、現在のズームレンズ位置情報を参照し、ピントの変更が指示された時点の元の位置に到達したか否かを確認する。
【0067】
ステップS207では、マイクロコンピュータ17は、ズーム位置が元の位置まで到達していない場合、何もせずにズームモータの動作は継続して実施。ズーム位置が元の位置まで到達した場合、ズームモータの復路動作が終了したと判断し、ズームモータを停止する。さらに図4に示すようにズームモータは、ステップS203のフォーカスレンズ(フォーカスモータ)停止と同期して停止する。
【0068】
ステップS208では、マイクロコンピュータ17は、つづいてフランジバックの位置センサ12を参照して、現在のフランジバック位置情報を参照し、ピントの変更が指示された時点の元の位置に到達したか否かを確認する。
【0069】
ステップS209では、マイクロコンピュータ17は、フランジバック位置が元の位置まで到達していない場合、何もせずにフランジバックモータの動作は継続して実施。フランジバック位置が元の位置まで到達した場合、フランジバックモータの復路動作が終了したと判断し、フランジバックモータを停止する。さらに図4に示すようにフランジバックモータは、ステップS203のフォーカスレンズ(フォーカスモータ)停止と同期して停止する。
【0070】
ステップS210では、マイクロコンピュータ17は、ズーム、フォーカス、アイリス、フランジバックの位置が元の位置に移動していない場合、ステップS202に戻る。ズーム、フォーカス、アイリス、フランジバックの位置が元の位置に移動した場合、復路動作が終了したと判定。これによりクリーニング動作が終了したと判断し終了する。
【0071】
また、本願発明におけるプリセット制御処理プログラム(クリーニング制御処理プログラム)は、図5〜図6に示すフローチャートの処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムであり、本願発明の記憶媒体は図5〜図6の処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムとして、マイクロコンピュータ17の外部メモリ411に記憶されている。
【0072】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムを読出し実行することによっても、本願発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0073】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本願発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0074】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,DVD−ROM,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROM,EEPROM,シリコンディスク等を用いることができる。
【0075】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0076】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0077】
また、本願発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本願発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本願発明を達成するためのプログラムを格納した記録媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本願発明の効果を享受することが可能となる。
【0078】
さらに、本願発明を達成するためのプログラムをネットワーク上のサーバ,データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本願発明の効果を享受することが可能となる。
なお、上述した各実施形態およびその変形例を組み合わせた構成も全て本願発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
17 マイクロコンピュータ(駆動制御装置)
100 フォーカスレンズ
101 ズームレンズ(バリエーター)
102 ズームレンズ(コンペンセーター)
103 アイリス
104 リレーレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピントを調整するフォーカスレンズの駆動および光量を調整するアイリスの駆動を制御する駆動制御装置であって、
前記ピントを変更すべく指示する第1の指示手段と、
前記指示により、前記指示された時点よりもピントがずれる方向に前記フォーカスレンズを駆動し、かつ前記フォーカスレンズの駆動によるピントのずれを補正する方向に前記アイリスを駆動する第1の制御手段と、
を備えることを特徴とする駆動制御装置。
【請求項2】
前記第1の制御手段による前記フォーカスレンズの駆動を所定の位置で停止するフォーカス停止手段と、
前記第1の制御手段による前記アイリスの駆動を所定の位置で停止するアイリス停止手段と、
をさらに備え、
前記アイリス停止手段は、前記フォーカス停止手段が停止する前に停止し、所定の時間、停止を保持することを特徴とする請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項3】
前記フォーカス停止手段が停止した場合に、前記フォーカスレンズを再駆動すべく再駆動指示する第2の指示手段と、
前記再駆動指示により、前記指示された時点のピントに戻る方向に前記フォーカスレンズを駆動する第2の制御手段と、
前記第2の制御手段が前記フォーカスレンズを再駆動したあとに、前記補正する方向の反転方向に前記アイリスを再駆動する第3の制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の駆動制御装置。
【請求項4】
前記ピントがずれる方向は至近方向であり、前記ピントのずれを補正する方向は前記アイリスを閉じる方向であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の駆動制御装置。
【請求項5】
前記駆動制御装置は、画角を調整するズームレンズの駆動をさらに制御し、
前記指示により前記フォーカスレンズが駆動した場合に、前記フォーカスレンズの駆動による画角のずれを補正する方向に前記ズームレンズを駆動する第4の制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の駆動制御装置。
【請求項6】
前記画角のずれを補正する方向は、広角方向であることを特徴とする請求項5に記載の駆動制御装置。
【請求項7】
前記駆動制御装置は、フランジバックを調整するリレーレンズの駆動をさらに制御し、
前記指示により前記フォーカスレンズが駆動した場合に、前記フォーカスレンズの駆動による前記ピントのずれを補正する方向に前記リレーレンズを駆動する第5の制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の駆動制御装置。
【請求項8】
前記リレーレンズが駆動するピントのずれを補正する方向は無限方向であることを特徴とする請求項7に記載の駆動制御装置。
【請求項9】
ピントを調整するフォーカスレンズの駆動および光量を調整するアイリスの駆動を制御する駆動制御装置の制御方法であって、
前記駆動制御装置の第1の指示手段が、前記ピントを変更すべく指示する第1の指示工程と、
前記駆動制御装置の第1の制御工程が、前記指示により、前記指示された時点よりもピントがずれる方向に前記フォーカスレンズを駆動し、かつ前記フォーカスレンズの駆動によるピントのずれを補正する方向に前記アイリスを駆動する第1の制御工程と、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
ピントを調整するフォーカスレンズの駆動および光量を調整するアイリスの駆動を制御する駆動制御装置で読み取り実行可能なプログラムであって、
前記駆動制御装置を、
前記ピントを変更すべく指示する第1の指示手段と、
前記指示により、前記指示された時点よりもピントがずれる方向に前記フォーカスレンズを駆動し、かつ前記フォーカスレンズの駆動によるピントのずれを補正する方向に前記アイリスを駆動する第1の制御手段と、
して機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−252255(P2012−252255A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126127(P2011−126127)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(390002761)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】