説明

駆動力伝達装置

【課題】複雑な構成および制御を必要とせず、簡易かつ低コストな構成でオイル温度の変化に起因した伝達トルクのバラつきを抑制することができる駆動力伝達装置を提供する。
【解決手段】オイルが介在するパイロットインナクラッチ板とパイロットアウタクラッチ板、メインインナクラッチ板とメインアウタクラッチ板がそれぞれ摩擦係合することにより、互いに相対回転可能なアウタケースおよびインナシャフト間を結合するクラッチ機構と、磁力により磁気吸引されるアーマチュアと、通電によりアーマチュアを磁気吸引し、クラッチ機構を作動させる電磁コイル26と、電磁コイル26に電流を供給する駆動回路27とを備え、駆動回路27は、電磁コイル26と並列に接続された抵抗器70を有し、抵抗器70は、オイルの温度変化に伴うカップリング伝達トルクの変化を抑制するよう、オイルの温度変化に応じて抵抗値が変化する温度特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動力伝達装置に関し、特に通電された電磁コイルの磁力によりクラッチ機構を作動させる駆動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばフロントエンジン・フロントドライブ形式のいわゆるFF車ベースの4輪駆動車においては、エンジンから発生する駆動力(以下、トルクという)を前輪および後輪に適切に分配して伝達するための駆動力伝達装置が用いられているものがある。この駆動力伝達装置においては、電磁コイルにより作動させたパイロットクラッチの作動力をボールカム機構により増幅してメインクラッチを押圧することにより、摩擦トルクを発生させて、エンジンから発生するトルクを前輪と後輪とに分配して伝達するようになっている。
【0003】
このボールカム機構は、パイロットクラッチ側カム部材とメインクラッチ側カム部材との間の凹部にボールを設け、電磁コイルへの通電によりパイロットクラッチが入力軸と係合し、パイロットクラッチ側カム部材が回転すると、ボールを挟んでメインクラッチ側カム部材がメインクラッチを押圧する構成となっている。これにより、電磁コイルの小さな磁力で、メインクラッチに大きな押圧力を与えることができるようになっている。
【0004】
ところが、このような駆動力伝達装置においては、メインクラッチおよびパイロットクラッチがオイルに浸漬された湿式構造をとるため、メインクラッチの伝達トルクがオイルの粘性抵抗の影響を受ける。オイルの粘性抵抗は、オイル温度に依存し、例えばオイル温度が低くなるほど大きくなり、オイル温度が高くなるほど小さくなるという特性を有する。したがって、メインクラッチの伝達トルクは、オイル温度が低くなると増加し、一方でオイル温度が高くなると低下することとなる。つまり、メインクラッチの伝達トルクは、オイル温度の変化に伴い、バラつきが生ずる。
【0005】
そこで、従来、オイル温度の変化に起因した伝達トルクのバラつきに対応し、最適な伝達トルクを得るようメインクラッチを制御する駆動力伝達装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1に記載の駆動力伝達装置は、伝達トルクを指令するための伝達トルク指令値に基づき電磁石への通電電流を制御することにより、メインクラッチ機構に所望の伝達トルクを発生させる。また、この駆動力伝達装置は、オイル温度と相関関係を有する駆動力伝達装置の温度を検知する温度検知手段を備えており、温度検知手段により検知された駆動力伝達装置の温度に基づき、伝達トルク指令値を補正した伝達トルク補正指令値を算出する。したがって、この駆動力伝達装置は、伝達トルク補正指令値に基づき、電磁石への通電電流を制御することにより、オイル温度に対応する最適な伝達トルクを発生させる。この駆動力伝達装置によれば、オイル温度の変化に応じて最適なトルク伝達を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−340053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の駆動力伝達装置にあっては、オイル温度の変化の影響を排して最適な伝達トルクを発生させるためには、伝達トルク指令値を補正する回路や演算処理が必要である。このため、従来の駆動力伝達装置においては、構成が複雑となるばかりか、制御内容も複雑化するという問題があった。これに伴い、コストも増大するという問題があった。
【0009】
本発明は、上述のような従来の問題に鑑みてなされたもので、複雑な構成および制御を必要とせず、簡易かつ低コストな構成でオイル温度の変化に起因した伝達トルクのバラつきを抑制することができる駆動力伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る駆動力伝達装置は、上記目的達成のため、(1)オイルが介在する複数のクラッチ板が摩擦係合することにより、互いに相対回転可能な二つの回転部材間を結合するクラッチ機構と、磁力により磁気吸引されるアーマチュアと、通電により前記アーマチュアを磁気吸引し、前記クラッチ機構を作動させる電磁コイルと、前記電磁コイルに電流を供給する駆動回路と、を備え、前記駆動回路は、前記電磁コイルと並列に接続された抵抗器を有し、前記抵抗器は、前記オイルの温度変化に伴う前記二つの回転部材間の伝達トルクの変化を抑制するよう、前記オイルの温度変化に応じて抵抗値が変化する温度特性を有するよう構成される。
【0011】
この構成により、本発明に係る駆動力伝達装置は、電磁コイルと並列に接続された抵抗器がオイルの温度変化に伴う二つの回転部材間の伝達トルクの変化を抑制するよう、オイルの温度変化に応じて抵抗値が変化する温度特性を有する。このため、本発明に係る駆動力伝達装置は、例えばオイルの温度上昇により伝達トルクが低下した場合には、抵抗器の抵抗値が大きくなり、電磁コイルに流れる電流が増加する。これにより、電磁コイルの吸引力が大きくなり、伝達トルクの低下を抑制することができる。一方で、オイルの温度低下により伝達トルクが増大した場合には、抵抗器の抵抗値が小さくなり、電磁コイルに流れる電流が減少する。これにより、電磁コイルの吸引力が小さくなり、伝達トルクの増大が抑制される。
【0012】
このように、本発明に係る駆動力伝達装置は、伝達トルクを補正する回路や演算処理等の複雑な構成および制御を必要とせず、簡易かつ低コストな構成でオイルの温度変化に起因した伝達トルクのバラつきを抑制することができる。
【0013】
また、本発明に係る駆動力伝達装置は、上記(1)に記載の駆動力伝達装置において、(2)前記オイルの温度変化に対する前記抵抗器の温度変化が前記電磁コイルの温度変化に対する前記抵抗器の温度変化より大きい箇所に、前記抵抗器を配置する構成を有する。
【0014】
この構成により、本発明に係る駆動力伝達装置は、オイルの温度変化に対する抵抗器の温度変化が電磁コイルの温度変化に対する抵抗器の温度変化より大きい箇所に抵抗器を配置するため、抵抗器の温度変化に対する電磁コイルの発熱の影響を抑制することができる。このため、本発明に係る駆動力伝達装置は、オイルの温度変化に対して抵抗器の抵抗値が変化するため、オイルの温度変化に起因した伝達トルクのバラつきをより抑制することができる。
【0015】
また、本発明に係る駆動力伝達装置は、上記(1)または(2)に記載の駆動力伝達装置において、(3)前記電磁コイルを前記クラッチ機構と隣接するよう配置し、前記電磁コイルを挟んで前記クラッチ機構と反対側に前記電磁コイルの熱伝導を抑制する熱伝導抑制部材を設け、前記抵抗器を前記熱伝導抑制部材に取り付けた構成を有する。
【0016】
この構成により、本発明に係る駆動力伝達装置は、電磁コイルを挟んでクラッチ機構と反対側に設けた熱伝導抑制部材に抵抗器を取り付けたので、電磁コイルの熱が抵抗器に伝わることを抑制することができる。
【0017】
また、本発明に係る駆動力伝達装置は、上記(3)に記載の駆動力伝達装置において、(4)前記熱伝導抑制部材は、前記電磁コイルに電流を供給する給電ケーブルと前記電磁コイルとを接続する接続端子を被覆する端子ホルダであり、前記抵抗器は、前記端子ホルダとモールド成形により一体とされる構成を有する。
【0018】
この構成により、本発明に係る駆動力伝達装置は、抵抗器がモールド成形された端子ホルダと一体化されるので、既存の給電ケーブルと取り纏め易く、抵抗器の追加による配策の煩わしさがないとともに、その取り扱いが容易であるという利点を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複雑な構成および制御を必要とせず、簡易かつ低コストな構成でオイル温度の変化に起因した伝達トルクのバラつきを抑制することができる駆動力伝達装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子制御カップリング装置を備えた車両の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電子制御カップリング装置の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るボール・カム機構の概略図であって、(a)は、ボール・カム機構の簡易拡大図であり、(b)は、ボール・カム機構の非作動時を示し、(c)は、ボール・カム機構の作動時を示す。
【図4】本発明の実施の形態に係る駆動回路の概略図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるカップリング伝達トルクの温度特性を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態に係る抵抗器の温度特性とカップリング伝達トルクの温度特性との関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置について、図面を参照して説明する。本実施の形態では、本発明に係る駆動力伝達装置を4輪駆動車の電子制御カップリング装置に適用した例について説明する。
【0022】
図1に示すように、車両1は、フロントエンジン・フロントドライブ形式を基本とし、前輪2輪駆動と4輪駆動とを自動的に切り替える、いわゆるパートタイム4輪駆動車(パートタイム4WD)である。車両1は、駆動力伝達装置としての電子制御カップリング装置2と、駆動力源としてのエンジン11と、トランスアクスル12と、トランスファ13と、プロペラシャフト14と、リヤディファレンシャル16と、左右前輪17L、17Rと、左右後輪18L、18Rと、を備えている。さらに、車両1は、車両1全体を制御するための車両用電子制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)100を備えている。
【0023】
電子制御カップリング装置2は、プロペラシャフト14とリヤディファレンシャル16との間に配置され、前端部においてプロペラシャフト14に結合され、後端部においてリヤディファレンシャル16のリヤデフピニオン15に結合されている。
【0024】
ECU100は、運転状態に応じて電子制御カップリング装置2を制御し、左右前輪17L、17Rを駆動輪とする前輪2輪駆動と、左右前輪17L、17Rおよび左右後輪18L、18Rを駆動輪とする4輪駆動とを自動的に切り替える。電子制御カップリング装置2は、左右前輪17L、17Rと左右後輪18L、18Rとのトルクの分配比率を100:0から50:50の間で切り替え可能である。
【0025】
左右前輪17L、17Rは、トランスアクスル12に収納されているフロントディファレンシャル10を介してトランスアクスル12に結合されている。左右前輪17L、17Rは、フロントディファレンシャル10を介して伝達されたトルクで駆動されるようになっている。プロペラシャフト14は、トランスファ13および電子制御カップリング装置2に結合されている。左右後輪18L、18Rは、リヤディファレンシャル16に結合されている。上記のように構成した車両1においては、エンジン11が発生したトルクは、トランスアクスル12によって車両1の走行状態に応じた変速比で、回転速度が変換されるようになっている。
【0026】
トランスファ13は、トランスアクスル12から出力されたトルクを直角に変更して、トランスアクスル12から出力されたトルクをプロペラシャフト14に伝達するようになっている。プロペラシャフト14に伝達されたトルクは、電子制御カップリング装置2、リヤディファレンシャル16を介して、左右後輪18L、18Rに伝達されるようになっている。
【0027】
ECU100は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)、固定されたデータの記憶を行うROM(Read Only Memory)、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、書き換え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROM(登録商標:Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)および入出力インターフェース回路(I/F)を備え、車両1の制御を統括するようになっている。
【0028】
また、ECU100は、図示しない各種センサと接続されている。ECU100は、各種センサから出力された検出信号により、エンジン11から発生されるトルクや車速等を検出し、電子制御カップリング装置2を制御するようになっている。
【0029】
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る電子制御カップリング装置2について、詳細に説明する。
【0030】
図2に示すように、電子制御カップリング装置2は、アウタケース21と、インナシャフト22と、リヤカバー23と、クラッチ機構24と、アーマチュア25と、電磁コイル26と、駆動回路27(図4参照)とを備えている。ここで、アウタケース21とインナシャフト22とリヤカバー23とで画成された空間には、オイルが満たされている。
【0031】
アウタケース21は、プロペラシャフト14に直結されるとともに、軸受19aを介してハウジング20に回転可能に支持されている。ハウジング20は、電磁コイル26に接続される給電ケーブル26aを保持している。ハウジング20は、図示していないが、車両1の車体に固定されている。給電ケーブル26aは、電磁コイル26に電流を供給するものである。
【0032】
インナシャフト22は、アウタケース21内にアウタケース21と同軸で、かつリヤデフピニオン15に直結されている。インナシャフト22は、軸受19bを介してアウタケース21に対して相対回転可能に支持されている。また、インナシャフト22は、パイロットクラッチ側カム部材31を回転可能に支持している。
【0033】
リヤカバー23は、インナシャフト22が貫通するよう構成されている。リヤカバー23は、磁性体である外周部23aと、同じく磁性体である内周部23bとを含んで構成されている。
【0034】
リヤカバー23の外周部23aには、環状溝23dが形成されている。この環状溝23dには、Oリング28が挿入される。これにより、リヤカバー23は、アウタケース21に液密状態で嵌合固定される。
【0035】
リヤカバー23の内周部23bには、環状溝23eが形成されている。この環状溝23eには、Xリング29が挿入される。これにより、インナシャフト22は、リヤカバー23に対して液密状態で相対的に回転できるようになっている。
【0036】
また、リヤカバー23は、後方に開口した円筒状の凹部23fを有する。この凹部23fには、同心円状の電磁コイル26およびヨーク30が配置される。電磁コイル26およびヨーク30は、ハウジング20とともに車両1の車体に固定されている。リヤカバー23は、軸受19cを介してヨーク30に回転可能に結合されている。
【0037】
本実施の形態におけるアウタケース21およびインナシャフト22は、それぞれ本発明に係る回転部材を構成する。
【0038】
クラッチ機構24は、パイロットクラッチ40と、メインクラッチ50と、ボール・カム機構60とを備えている。
【0039】
パイロットクラッチ40は、パイロットインナクラッチ板41と、パイロットアウタクラッチ板42とを有している。パイロットインナクラッチ板41は、パイロットクラッチ側カム部材31の外周部にスプライン結合され、パイロットクラッチ側カム部材31に対して軸方向に移動可能、かつ一体回転可能に構成されている。パイロットアウタクラッチ板42は、アウタケース21の内周部にスプライン結合され、アウタケース21に対して軸方向に移動可能、かつ一体回転可能に構成されている。パイロットインナクラッチ板41とパイロットアウタクラッチ板42は、軸線方向に交互に配置されている。また、これらパイロットインナクラッチ板41とパイロットアウタクラッチ板42との間には、オイルが介在されている。
【0040】
このように構成されたパイロットクラッチ40は、パイロットインナクラッチ板41とパイロットアウタクラッチ板42とを摩擦係合および解放するよう作動し、アウタケース21とパイロットクラッチ側カム部材31との間のトルクの伝達と非伝達を行うようになっている。
【0041】
メインクラッチ50は、軸線方向に交互に配置されたメインインナクラッチ板51とメインアウタクラッチ板52とを有している。これらメインインナクラッチ板51とメインアウタクラッチ板52との間には、オイルが介在されている。
【0042】
メインインナクラッチ板51は、インナシャフト22の外周部にスプライン結合され、インナシャフト22に対して軸方向に移動可能、かつ一体回転可能に構成されている。メインアウタクラッチ板52は、アウタケース21の内周部にスプライン結合され、アウタケース21に対して軸方向に移動可能、かつ一体回転可能に構成されている。
【0043】
このように構成されたメインクラッチ50は、メインインナクラッチ板51とメインアウタクラッチ板52とを摩擦係合および解放するよう作動し、アウタケース21とインナシャフト22との間のトルクの伝達と非伝達を行うようになっている。ここで、アウタケース21とインナシャフト22との間で伝達されるトルクをカップリング伝達トルクという。このカップリング伝達トルクは、本発明における伝達トルクに相当する。
【0044】
本実施の形態におけるパイロットインナクラッチ板41、パイロットアウタクラッチ板42、メインインナクラッチ板51およびメインアウタクラッチ板52は、本発明に係るクラッチ板を構成する。
【0045】
ボール・カム機構60は、パイロットクラッチ側カム部材31と、このパイロットクラッチ側カム部材31に対向するメインクラッチ側カム部材34と、パイロットクラッチ側カム部材31およびメインクラッチ側カム部材34間に保持されたカムボール36とを有している。
【0046】
パイロットクラッチ側カム部材31は、インナシャフト22に回転可能に支持されている。メインクラッチ側カム部材34は、インナシャフト22にスプライン結合され、インナシャフト22に対して軸方向に移動可能、かつ一体回転可能に構成されている。
【0047】
図3(a)に示すように、パイロットクラッチ側カム部材31およびメインクラッチ側カム部材34には、それぞれ円弧状の凹部が形成されており、これらの凹部にカムボール36が配置されている。パイロットクラッチ側カム部材31とメインクラッチ側カム部材34とは、カムボール36を介してボールカム結合されており、パイロットクラッチ側カム部材31のトルクをメインクラッチ側カム部材34によるメインクラッチ50の作動力に変換するようになっている。
【0048】
以上のように構成されたクラッチ機構24は、オイルが介在するパイロットインナクラッチ板41とパイロットアウタクラッチ板42、メインインナクラッチ板51とメインアウタクラッチ板52のそれぞれが摩擦係合することにより、互いに相対回転可能なアウタケース21およびインナシャフト22間を結合するようになっている。
【0049】
図2に示すように、アーマチュア25は、パイロットクラッチ40とメインクラッチ50の間に配置されるとともに、アウタケース21の内周部にスプライン結合されている。したがって、アーマチュア25は、アウタケース21に対して軸方向に移動可能、かつ一体回転可能に構成されている。また、アーマチュア25は、電磁コイル26が発生させる磁力により磁気吸引されるようになっている。
【0050】
電磁コイル26は、クラッチ機構24と軸線方向に隣接するように配置されている。具体的には、電磁コイル26は、リヤカバー23の凹部23fに配置され、通電によりアーマチュア25を磁気吸引し、クラッチ機構24を作動させるようになっている。電磁コイル26が通電状態にあるときには、ヨーク30、リヤカバー23の外周部23a、アーマチュア25およびリヤカバー23の内周部23bに磁束回路が形成され、アーマチュア25が磁気吸引されるようになっている。電磁コイル26への通電により、パイロットクラッチ40が作動するようになっている。
【0051】
図4に示すように、駆動回路27は、電磁コイル26に電流を供給する回路であり、ECU100を介してバッテリ101に接続されている。駆動回路27は、電磁コイル26と並列に接続された抵抗器70を有する。ECU100には、電磁コイル26に流れる電流(以下、この電流を通電電流という)を制御する例えばバイポーラトランジスタやMOSFET等のトランジスタ102が設けられている。また、駆動回路27等を保護するため、バッテリ101とトランジスタ102との間には、ヒューズ103が接続されている。ヒューズ103は、定格以上の大電流が駆動回路27をはじめとする種々の回路に流れることを防止する。
【0052】
抵抗器70は、アウタケース21とインナシャフト22とリヤカバー23(図2参照)とで画成された空間に収容されているオイル(以下、単にオイルという)の温度変化に伴うカップリング伝達トルクの変化を抑制するよう、オイルの温度変化に応じて抵抗値が変化する温度特性を有する。具体的な抵抗器70の温度特性は、後述する作用において説明するが、抵抗器70の温度が上昇するほど抵抗値が大きくなり、抵抗器70の温度が低下するほど抵抗値が小さくなる温度特性である。
【0053】
抵抗器70としては、例えば炭素や金属、あるいは金属や金属酸化物とガラスを混合し、アルミナ基板などに高温で焼結させたメタルグレーズ等を素材とするものを用いることができる。その他、温度変化に対して抵抗値の変化が大きいサーミスタ等の感温抵抗器を用いることも可能である。
【0054】
図2に示すように、抵抗器70は、電磁コイル26に電流を供給する給電ケーブル26aと電磁コイル26とを接続する接続端子を被覆する端子ホルダ71に取り付けられている。具体的には、抵抗器70は、例えば樹脂製の端子ホルダ71とモールド成形により一体とされている。すなわち、抵抗器70は端子ホルダ71に内包された状態で配置される。なお、抵抗器70は、端子ホルダ71の電磁コイル側の側面と反対の側面(図2中、右側面)に内包せずに取り付けてもよい。
【0055】
端子ホルダ71は、電磁コイル26を挟んでクラッチ機構24と反対側(図2中、右側)に配置されている。また、端子ホルダ71は、熱伝導性の低い樹脂等により構成されており、電磁コイル26の熱伝導を抑制するようになっている。本実施の形態における端子ホルダ71は、本発明に係る熱伝導抑制部材を構成する。
【0056】
このように、抵抗器70は、端子ホルダ71と一体化されているため、電磁コイル26の発熱の影響を受けにくい。ここで、抵抗器70の周囲温度、すなわち雰囲気温度は、オイルの温度(以下、オイル温度という)と近似している。したがって、オイル温度が変化すると、抵抗器70の温度も同じく変化するようになっている。よって、本実施の形態における抵抗器70は、電磁コイル26の温度変化に対しては温度変化が小さく、オイル温度の変化に対しては温度変化が大きくなる。つまり、本実施の形態における抵抗器70は、オイルの温度変化に対する抵抗器70の温度変化が電磁コイル26の温度変化に対する抵抗器70の温度変化より大きい箇所に配置される。
【0057】
次に、図2および図3(a)〜図3(c)を参照して、電子制御カップリング装置2の動作について説明する。なお、図3(b)および図3(c)は、それぞれ図3(a)におけるA−A断面図である。
【0058】
電磁コイル26が非通電状態であるときは、アーマチュア25は、電磁コイル26により磁気吸引されないので、アウタケース21、パイロットインナクラッチ板41およびパイロットアウタクラッチ板42が非摩擦係合している状態となる。すなわち、パイロットクラッチ40は解放状態となる。このため、アウタケース21のトルクは、パイロットクラッチ側カム部材31に伝達されないので、メインクラッチ50も解放状態となる。したがって、アウタケース21のトルクは、インナシャフト22に伝達されない。
【0059】
一方、電磁コイル26が通電されたときは、電磁コイル26が発生する磁力は、ヨーク30、リヤカバー23の外周部23aおよびリヤカバー23の内周部23bを介して、アーマチュア25に作用される。このため、アーマチュア25は、電磁コイル26の方向(図2の右方向)に磁気吸引される。アーマチュア25の磁気吸引により、アウタケース21、パイロットアウタクラッチ板42およびパイロットインナクラッチ板41が互いに摩擦係合して、パイロットクラッチ40が摩擦係合状態になる。
【0060】
アウタケース21が回転している場合、パイロットクラッチ40が摩擦係合状態になると、アウタケース21のトルクがパイロットクラッチ側カム部材31に伝達され、パイロットクラッチ側カム部材31が回転する。このとき、まだメインクラッチ側カム部材34が回転していないので、パイロットクラッチ側カム部材31とメインクラッチ側カム部材34の間で回転速度差が発生する。これにより、パイロットクラッチ側カム部材31とメインクラッチ側カム部材34の間に挟持されているカムボール36は、メインクラッチ側カム部材34の凹部のカム面に沿って移動する。この移動に伴い、カムボール36は、パイロットクラッチ側カム部材31とメインクラッチ側カム部材34の間の間隔を押し広げる(この力が、図3(c)および以下に示すように、メインクラッチ押付け力となる)。
【0061】
このため、メインクラッチ側カム部材34がパイロットクラッチ側カム部材31から離隔する方向(図2の左方向)に移動し、メインインナクラッチ板51とメインアウタクラッチ板52が互いに摩擦係合する。これにより、メインクラッチ50が摩擦係合状態となる。この結果、アウタケース21のトルクがインナシャフト22に伝達され、インナシャフト22が回転する。
【0062】
次に、図4〜図6を参照して、本実施の形態における抵抗器70の作用について説明する。
【0063】
まず、図5を用いて、抵抗器70を接続していない従来の電子制御カップリング装置のカップリング伝達トルク(以下、従来のカップリング伝達トルクという)の温度特性について述べる。図5に示すグラフは、従来のカップリング伝達トルクの温度特性を示すものである。
【0064】
図5に示すように、従来のカップリング伝達トルク(N・m)は、オイル温度t(℃)を基準として、オイル温度(℃)が低下するほど基準となるカップリング伝達トルクT(N・m)に対して増加し、オイル温度(℃)が上昇するほどカップリング伝達トルクT(N・m)に対して低下する温度特性となっている。前者は、オイル温度(℃)が低下するほどオイルの粘性抵抗が大きくなり、メインインナクラッチ板51とメインアウタクラッチ板52の間、およびパイロットインナクラッチ板41とパイロットアウタクラッチ板42の間に生ずるいわゆる引きずりトルクが増大することに起因する。後者は、オイル温度(℃)が上昇するほどオイルの粘性抵抗が小さくなり、メインインナクラッチ板51とメインアウタクラッチ板52の間、およびパイロットインナクラッチ板41とパイロットアウタクラッチ板42の間に生ずるいわゆる引きずりトルクが減少することに起因する。ここで、オイル温度t(℃)は、例えば車両の定常走行中におけるオイル温度(≠0℃)である。また、カップリング伝達トルクT(N・m)は、左右前輪17L、17Rと左右後輪18L、18Rとのトルクの分配比率に応じて要求されるカップリング伝達トルク(N・m)である。
【0065】
このように、従来のカップリング伝達トルク(N・m)は、オイル温度(℃)の変化により一定とならない、すなわちバラつきが生ずるという不具合があった。つまり、従来の電子制御カップリング装置では、オイル温度(℃)の変化があると、基準となるカップリング伝達トルクT(N・m)を得ることが困難となる。
【0066】
そこで、本実施の形態では、抵抗器70を電磁コイル26と並列に接続し、抵抗器70の抵抗値(Ω)の変化によって電磁コイル26の通電電流(A)を変化させるようにした。抵抗器70の温度特性は、抵抗器70の温度(℃)が上昇するほど抵抗値(Ω)が大きくなり、抵抗器70の温度(℃)が低下するほど抵抗値(Ω)が小さくなる温度特性である。なお、抵抗器70の温度変化は、雰囲気温度(℃)を通じてオイル温度(℃)の変化に依存する。
【0067】
したがって、図4に示す駆動回路27においては、抵抗器70の抵抗値(Ω)が小さくなると電磁コイル26の通電電流(A)が減少する。このため、電磁コイル26の磁力が小さくなり、これに伴ってカップリング伝達トルク(N・m)が減少する。これにより、図5に示すように、カップリング伝達トルクT(N・m)に対して上昇するカップリング伝達トルク(N・m)をカップリング伝達トルクT(N・m)に近づけることが可能となる。
【0068】
一方で、抵抗器70の抵抗値(Ω)が大きくなると電磁コイル26の通電電流(A)が増加する。このため、電磁コイル26の磁力が大きくなり、これに伴ってカップリング伝達トルク(N・m)が増大する。これにより、図5に示すように、カップリング伝達トルクT(N・m)に対して低下するカップリング伝達トルク(N・m)をカップリング伝達トルクT(N・m)に近づけることが可能となる。
【0069】
次に、図4および図6を用いて、これまで述べた抵抗器70の温度特性とカップリング伝達トルクの温度特性との関係を説明する。
【0070】
まず、図4に示すように、電磁コイル26の抵抗値をR(Ω)、抵抗器70の抵抗値をR(Ω)、駆動回路27に流れる電流をi(A)、電磁コイル26の通電電流をi(A)、抵抗器70に流れる電流をi(A)とする。このとき、i(A)=i(A)+i(A)、i(A)=R(Ω)/R(Ω)×i(A)の関係式が成立する。これら関係式からも示されるように、抵抗値R(Ω)が大きくなると、通電電流i(A)は増加し、抵抗値R(Ω)が小さくなると、通電電流i(A)は減少する。
【0071】
このような抵抗値R(Ω)と通電電流i(A)の関係から、抵抗器70の温度特性とカップリング伝達トルクの温度特性との関係を表にまとめると、図6に示す通りとなる。図6中、ΔR(t)は、抵抗器70の温度変化に応じた抵抗値(Ω)の変化量を示す。
【0072】
図6に示すように、オイル温度(℃)の常温時は、抵抗値R(Ω)と抵抗値R(Ω)とが同一であり、このときの電流i(A)および通電電流i(A)が基準となる。また、カップリング伝達トルク(N・m)は、図5に示す基準のカップリング伝達トルクT(N・m)となる。ここで、上記常温時とは、オイル温度(℃)が図5に示すオイル温度t(℃)であるときを指す。
【0073】
一方、オイル温度(℃)の低温時は、抵抗器70の温度低下により常温時と比べて抵抗値R(Ω)が小さくなる。このため、抵抗値R(Ω)が、小さくなった後の抵抗値R(=R−ΔR(t))(Ω)よりも大きくなる。この結果、電流i(A)が増加し、通電電流i(A)が減少するため、カップリング伝達トルク(N・m)が低下する。これにより、オイルの粘性抵抗が大きいために図5に示すように増大するカップリング伝達トルク(N・m)を基準のカップリング伝達トルクT(N・m)に近づけることができる。ここで、上記低温時とは、オイル温度(℃)が図5に示すオイル温度t(℃)よりも低温域側にあるときを指す。
【0074】
他方、オイル温度(℃)の高温時は、抵抗器70の温度上昇により常温時と比べて抵抗値R(Ω)が大きくなる。このため、抵抗値R(Ω)が、大きくなった後の抵抗値R(=R+ΔR(t))(Ω)よりも小さくなる。この結果、電流i(A)が減少し、通電電流i(A)が増加するため、カップリング伝達トルク(N・m)が増大する。これにより、オイルの粘性抵抗が小さいために図5に示すように低下するカップリング伝達トルク(N・m)を基準のカップリング伝達トルクT(N・m)に近づけることができる。ここで、上記高温時とは、オイル温度(℃)が図5に示すオイル温度t(℃)よりも高温域側にあるときを指す。
【0075】
以上のように、本実施の形態に係る電子制御カップリング装置2は、電磁コイル26と並列に接続された抵抗器70がオイルの温度変化に伴うアウタケース21およびインナシャフト22間のカップリング伝達トルクの変化を抑制するよう、オイルの温度変化に応じて抵抗値Rが変化する温度特性を有する。このため、本実施の形態に係る電子制御カップリング装置2は、例えばオイルの温度上昇によりカップリング伝達トルクが低下した場合には、抵抗器70の抵抗値Rが大きくなり、電磁コイル26の通電電流が増加する。これにより、電磁コイル26の吸引力が大きくなり、カップリング伝達トルクの低下を抑制することができる。一方で、オイルの温度低下によりカップリング伝達トルクが増大した場合には、抵抗器70の抵抗値Rが小さくなり、電磁コイル26の通電電流が減少する。これにより、電磁コイル26の吸引力が小さくなり、カップリング伝達トルクの増大が抑制される。
【0076】
このように、本実施の形態に係る電子制御カップリング装置2は、カップリング伝達トルクを補正する回路や演算処理等の複雑な構成および制御を必要とせず、簡易かつ低コストな構成でオイルの温度変化に起因したカップリング伝達トルクのバラつきを抑制することができる。
【0077】
また、従来のようにサーミスタ等の温度検知手段の検知結果に基づき、ECUによりカップリング伝達トルクを補正する場合には、複雑な回路や演算処理が必要であることは上述した通りであるが、サーミスタの温度検知の精度保証が高温側あるいは低温側のいずれかに限定され得るため、高温側および低温側の両者で正確なカップリング伝達トルクの補正を行うことが困難となるおそれがある。本実施の形態に係る電子制御カップリング装置2は、そもそも温度検知手段自体が不要であるので、上記のような不具合も生じない。
【0078】
また、本実施の形態に係る電子制御カップリング装置2は、オイルの温度変化に対する抵抗器70の温度変化が電磁コイル26の温度変化に対する抵抗器70の温度変化より大きい箇所に抵抗器70を配置するため、抵抗器70の温度変化に対する電磁コイル26の発熱の影響を抑制することができる。このため、本実施の形態に係る電子制御カップリング装置2は、オイルの温度変化に対して抵抗器70の抵抗値Rが変化するため、オイルの温度変化に起因したカップリング伝達トルクのバラつきをより抑制することができる。
【0079】
また、本実施の形態に係る電子制御カップリング装置2は、電磁コイル26を挟んでクラッチ機構24と反対側に設けた端子ホルダ71に抵抗器70を取り付けたので、電磁コイル26の熱が抵抗器70に伝わることを抑制することができる。
【0080】
さらに、本実施の形態に係る電子制御カップリング装置2は、抵抗器70がモールド成形された端子ホルダ71と一体化されるので、既存の給電ケーブル26aと取り纏め易く、抵抗器70の追加による配策の煩わしさがないとともに、その取り扱いが容易であるという利点を有する。
【0081】
なお、本実施の形態においては、電子制御カップリング装置2をパートタイム4輪駆動車の前後輪のトルク分配を制御する装置として用いたが、これに限らず、例えば車両走行中に、車輪とプロペラシャフト等の動力伝達部材との間の動力伝達を遮断可能な断続装置に適用してもよい。この場合、例えば車輪とプロペラシャフトとの間の動力伝達を遮断した遮断状態から動力伝達を接続する接続状態に移行する際のカップリング伝達トルクのバラつきを抑制することができる。
【0082】
また、本実施の形態では、図6において常温時の抵抗値R(Ω)と抵抗値R(Ω)が同一となるような抵抗器70を用いた例について説明したが、これに限らず、抵抗器70は、カップリング伝達トルクの温度特性に応じた最適な抵抗値(Ω)を有するものを選択するのが好ましい。すなわち、抵抗器70は、オイル温度(℃)の変化によりバラつくカップリング伝達トルクが一定となるよう電磁コイル26の通電電流を変化させることが可能な抵抗値(Ω)を有するのが好ましく、必ずしも常温時において電磁コイル26の抵抗値(Ω)と同一の抵抗値(Ω)を有するものを用いなくともよい。
【0083】
以上説明したように、本発明に係る駆動力伝達装置は、複雑な構成および制御を必要とせず、簡易かつ低コストな構成でオイル温度の変化に起因した伝達トルクのバラつきを抑制することができ、通電された電磁コイルの磁力によりクラッチ機構を作動させる駆動力伝達装置に有用である。
【符号の説明】
【0084】
2 電子制御カップリング装置(駆動力伝達装置)
21 アウタケース(回転部材)
22 インナシャフト(回転部材)
24 クラッチ機構
25 アーマチュア
26 電磁コイル
26a 給電ケーブル
27 駆動回路
40 パイロットクラッチ
41 パイロットインナクラッチ板(クラッチ板)
42 パイロットアウタクラッチ板(クラッチ板)
50 メインクラッチ
51 メインインナクラッチ板(クラッチ板)
52 メインアウタクラッチ板(クラッチ板)
60 ボール・カム機構
70 抵抗器
71 端子ホルダ(熱伝導抑制部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルが介在する複数のクラッチ板が摩擦係合することにより、互いに相対回転可能な二つの回転部材間を結合するクラッチ機構と、
磁力により磁気吸引されるアーマチュアと、
通電により前記アーマチュアを磁気吸引し、前記クラッチ機構を作動させる電磁コイルと、
前記電磁コイルに電流を供給する駆動回路と、を備え、
前記駆動回路は、前記電磁コイルと並列に接続された抵抗器を有し、
前記抵抗器は、前記オイルの温度変化に伴う前記二つの回転部材間の伝達トルクの変化を抑制するよう、前記オイルの温度変化に応じて抵抗値が変化する温度特性を有することを特徴とする駆動力伝達装置。
【請求項2】
前記オイルの温度変化に対する前記抵抗器の温度変化が前記電磁コイルの温度変化に対する前記抵抗器の温度変化より大きい箇所に、前記抵抗器を配置することを特徴とする請求項1に記載の駆動力伝達装置。
【請求項3】
前記電磁コイルを前記クラッチ機構と隣接するよう配置し、
前記電磁コイルを挟んで前記クラッチ機構と反対側に前記電磁コイルの熱伝導を抑制する熱伝導抑制部材を設け、
前記抵抗器を前記熱伝導抑制部材に取り付けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の駆動力伝達装置。
【請求項4】
前記熱伝導抑制部材は、前記電磁コイルに電流を供給する給電ケーブルと前記電磁コイルとを接続する接続端子を被覆する端子ホルダであり、
前記抵抗器は、前記端子ホルダとモールド成形により一体とされることを特徴とする請求項3に記載の駆動力伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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