説明

駆動特性調整機構

【課題】遮光羽根の作動特性の調整を容易かつ精度よくおこなうこと。
【解決手段】永久磁石からなる回転子101と、回転子101の周面に対向するように脚部を配置したヨークと、を備え、回転子101の回動にともなって当該回転子101に設けられた駆動ピン106を往復動させることによって、当該駆動ピン106に連結された遮光羽根の開閉動作をおこなう駆動機構100の駆動特性調整機構であって、回転子101の回転中心を中心としてヨーク102を回動可能に設け、ヨーク102に対して、当該ヨーク102を所定方向に回動させる付勢力を作用させる突起112と、ヨーク102を所定方向とは反対方向に付勢するとともに、突起112による付勢力に抗してヨーク102を回動させるネジ114およびネジ孔116と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遮光羽根の開閉動作をおこなう駆動機構の駆動特性調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置に設けられるシャッタや絞りなどにおいては、遮光羽根によって形成される絞り開口を開閉するように、当該遮光羽根を動作させることによって露光量を調節するようにしたものがあった。絞り開口を開閉するような遮光羽根の動作は、たとえば当該遮光羽根を動作させる駆動装置における回転子の往復運動によって実現することができる。
【0003】
従来、永久磁石からなる回転子の往復回動によりシャッタ羽根(遮光羽根)の開閉作動をおこなうモータ駆動式シャッタにおいて、回転子の周面に対向する端面が回転子と同心的な円弧面に形成された二つの脚部を有する略U字形のヨークと、少なくとも脚部の一方に卷回されたコイルとからモータの固定子を構成し、当該固定子をヨークの根元部でその一部をシャッタ地板のガイド部に接触させて取り付け、かつ、それらの接触面が回転子と同心的な円弧面となるように形成したカメラ用レンズシャッタの調整機構があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0004】
このようなカメラ用レンズシャッタの調整機構においては、シャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性の調整に際して、ヨークの根元部をシャッタ地板に取り付けている取付手段であるネジを緩め、ピンセットなどの先端でヨークの根元部を側方から押し、回転子と同心的な円弧面上でヨークをずらしつつシャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性を測定し、作動特性が適正となる位置で当該ヨークを固定することによってシャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性を調整するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−114832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術においてシャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性の調整精度を確保するためには、シャッタ羽根(遮光羽根)を実際に動作させながら調整作業をおこなうことが望ましいが、上述した従来の技術では、ヨークと地板とを固定する取付手段を緩めなくては調整作業をおこなうことが難しいという問題があった。このため、上述した従来の技術では、シャッタ羽根(遮光羽根)を動作させながらシャッタ羽根の作動特性を調整することが困難であり、高い調整精度を確保することが難しいという問題があった。
【0007】
具体的には、上述した従来の技術においては、永久磁石を用いているため、少なくともヨークにおいて磁路を形成した場合、当該ヨーク自体に、地板を吸引あるいは地板から反発する方向への力が発生する。このため、ヨークと地板とを固定する取付手段を緩めた状態ではヨークと地板との相対的な位置を安定させることが困難であり、高い調整精度を確保することは難しい。さらに、シャッタ羽根(遮光羽根)を動作させた状態においては、ヨークと地板との相対的な位置を安定させることは一層困難になるため、高い調整精度を確保することは難しい。
【0008】
また、上述した従来の技術においては、シャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性の調整に際して、地板に対してヨークをずらすためには、ピンセットなどの道具を用いてヨークを押すようにしながら作業をおこなうことになる。このため、微調整が困難であり、押しすぎてしまうなどによって地板に対するヨークの位置を精度よく調整することができず、高い調整精度を確保することが難しいという問題があった。
【0009】
さらに、上述した従来の技術においては、地板に対して、ピンセットなどの道具を用いて作業者がヨークを押すことのみによってシャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性を調整するようにしているため、押しすぎてしまった場合には、押しすぎる前の状態に戻すことができない。このため、押しすぎてしまった場合には、地板とヨークとの組み付け作業からやり直すこととなりかねない。このように、上述した従来の技術では、シャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性の調整作業にかかる作業性に劣るという問題があった。
【0010】
近年、撮像装置の小型化にともなって、撮像装置を構成する各部に対して要求される製造精度が高まっている。各部品の製造精度は向上しているものの、撮像装置を構成する各部に対して要求される製造精度が高く、撮像装置を構成する各部の製造に際しての微調整は必須となっている。このような背景から、要求される製造精度を満足しきれない上述した従来の技術では、要求精度に満たない不適合品が発生する割合が高くなり、結果として製造コストが増大してしまうという問題があった。
【0011】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、光学部材の作動特性の調整を容易かつ精度よくおこなうことができる駆動機構の駆動特性調整機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる駆動機構の駆動特性調整機構は、永久磁石からなる回転子と、前記回転子の周面に対向するように脚部を配置したヨークと、を備え、前記回転子の回動にともなって光学部材の往復動作をおこなう駆動機構の駆動特性調整機構であって、前記回転子の回転中心を中心として前記ヨークを回動可能に設け、前記ヨークに対して、当該ヨークを所定方向に回動させる付勢力を作用させる付勢手段と、前記ヨークを前記所定方向とは反対方向に付勢するとともに、前記付勢手段による付勢力に抗して前記ヨークを回動させるヨーク位置調整手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる駆動機構の駆動特性調整機構は、上記の発明において、前記付勢手段は、前記ヨークを支持する地板に一体に設けられ、自身の弾性力によって前記付勢力を作用させることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる駆動機構の駆動特性調整機構は、上記の発明において、前記付勢手段は、一端が前記ヨークを支持する地板に一体に設けられ、他端が前記ヨークの一方の脚部に設けられ、前記一端と他端との間において弾性変形可能に設けられた弾性部材であることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる駆動機構の駆動特性調整機構は、上記の発明において、前記ヨーク位置調整手段は、先端が前記ヨークに当接するネジと螺合された前記ネジを保持するネジ孔とを備え、前記ネジ孔に対する前記ネジの螺合量を調整することにより前記付勢手段による付勢力に抗して前記ヨークを回動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明にかかる駆動機構の駆動特性調整機構によれば、遮光羽根の作動特性の調整を容易かつ精度よくおこなうことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明にかかる実施の形態1の駆動機構の駆動特性調整機構を示す説明図である。
【図2】この発明にかかる実施の形態1の駆動機構の駆動特性調整機構の一部を示す説明図である。
【図3】この発明にかかる実施の形態1の駆動機構の駆動特性調整機構におけるヨーク102の動作を示す説明図である。
【図4】この発明にかかる実施の形態2の駆動機構の駆動特性調整機構を示す説明図である。
【図5】この発明にかかる実施の形態3の駆動機構の駆動特性調整機構を示す説明図である。
【図6】この発明にかかる実施の形態4の駆動機構の駆動特性調整機構を示す説明図である。
【図7】この発明にかかる実施の形態5の駆動機構の駆動特性調整機構を示す説明図である。
【図8】この発明にかかる実施の形態6の駆動機構の駆動特性調整機構を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる駆動特性調整機構の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
(実施の形態1)
まず、この発明にかかる実施の形態1の駆動機構の駆動特性調整機構について説明する。この発明にかかる実施の形態1の駆動機構の駆動特性調整機構は、たとえば撮像装置あるいはレンズ装置に搭載されるシャッタ機構および絞り機構など、遮光羽根を駆動する駆動機構における遮光羽根の駆動特性を調整する。
【0020】
図1は、この発明にかかる実施の形態1の駆動機構の駆動特性調整機構を示す説明図である。図2は、この発明にかかる実施の形態1の駆動機構の駆動特性調整機構の一部を示す説明図である。図1および図2において、この発明にかかる実施の形態1の駆動特性調整機構は、駆動機構100の近傍に設けられる。
【0021】
駆動機構100は、回転子101およびヨーク102を備え、地板103に設けられている。地板103は、中央に遮光対象とする開口104を備えた環形状をなす板状部材によって実現することができる。駆動機構100は、地板103において、地板103の外周縁と遮光対象とする開口104の外周縁との間に設けられている。
【0022】
地板103は、遮光性を付与する黒色の樹脂材料によって形成されていることが好ましい。具体的には、地板103は、たとえばポリカーボネートなどの樹脂材料を用いて成形することができる。地板103を形成する材料は、ポリカーボネートに限るものではない。
【0023】
駆動機構100における回転子101は、環形状をなし、地板103に設けられた支持突起105が挿入されることによって、地板103に対する位置決めがなされている。回転子101は、永久磁石からなり、支持突起105を中心として、地板103に対して回転可能に設けられている。すなわち支持突起105が、回転子101の回転中心となる。回転子101には、駆動ピン106が設けられている。駆動ピン106は、回転子101に対して一体的に設けられており、回転子101の回転にともなって、所定の角度範囲内で往復(反復)移動する。
【0024】
駆動ピン106は、地板103に設けられている開口104を貫通して、回転子101とは裏面側に突出している。地板103において、回転子101の裏面側には、図示を省略する遮光羽根が設けられている。駆動ピン106は、地板103における回転子101の裏面側において遮光羽根に連結されている。これにより、シャッタ羽根は、回転子101の往復移動にともなって、遮光対象とする開口104を開閉するように動作する。
【0025】
遮光羽根は、たとえば絞り装置において絞り開口を形成する絞り羽根によって実現することができる。この場合、絞り開口によって遮光対象とする開口104が実現される。また、遮光羽根は、たとえばシャッタ装置においてシャッタ開口を形成するシャッタ羽根によって実現してもよい。この場合、シャッタ開口によって遮光対象とする開口104が実現される。
【0026】
この実施の形態1においては、遮光羽根によって、回転子101の回動にともなって往復動作をおこなう光学部材を実現することができる。回転子101の回動にともなって往復動作をおこなう光学部材は、遮光羽根に限るものではない。回転子101の回動にともなって往復動作をおこなう光学部材は、たとえば光路に対する光学フィルタ(IRフィルタなど)の挿し抜き動作、固定絞りの挿し抜き動作など、レンズ装置などにおいて往復動作をおこなうすべての部材によって光学部材を実現することができる。
【0027】
駆動機構100におけるヨーク102は、磁極を構成する2つの脚部107、108を備えた略U字形状からなる。ヨーク102において、磁極を構成する2つの脚部107、108の先端部分は、回転子101の外周を囲むように、回転子101の周面に沿って湾曲した形状をなしている。2つの脚部107、108において回転子101の周面に対向する面は、それぞれ、回転子101と同心の円弧をなすように湾曲している。
【0028】
ヨーク102は、回転子の周面に対向するように配置される脚部を備えていればよく、略U字形状からなる形状に限らない。略U字形状からなるヨーク102に代えて、たとえば略D型形状あるいは略直線形状をなすヨークを用いてもよい。
【0029】
ヨーク102は、2つの脚部107、108における先端部分を回転子101の周面に対向させた状態で、地板103に設けられている。ヨーク102における2つの脚部107、108における先端部分と、回転子101の周面との間には、所定寸法のギャップ109が設けられている。
【0030】
ギャップ109の寸法は、たとえば駆動機構100に要求されるトルクや駆動機構100を構成する各部の形状や材料などによって任意に設定することができる。ギャップ109の寸法の設定方法については、公知の技術であるため説明を省略する。
【0031】
ヨーク102における一方の脚部107には、当該一方の脚部107に巻き付けるようにしてコイル110が設けられている。コイル110には、図示を省略する配線が接続されており、当該配線を介して電流が供給される。電流は、撮像装置が備える絞り装置に対する操作がおこなわれた場合やシャッタ装置におけるレリーズボタンが操作された場合など、撮像装置に対して所定の操作がおこなわれた場合に供給される。
【0032】
駆動機構100においては、コイル110に対して所定方向への電流が供給された場合に、ヨーク102において所定方向への磁路が形成される。すなわち、駆動機構100においては、撮像装置が備える絞り装置に対する操作がおこなわれた場合や撮像装置が備えるシャッタ装置におけるレリーズボタンが操作された場合に、コイル110に対して所定方向への電流が流れる。回転子101は、コイル110に対して所定方向への電流が流れた場合に、回転子101の駆動ピン106に連結された遮光羽根が、遮光対象とする開口104を閉じる方向に回転する。
【0033】
また、駆動機構100においては、撮像装置が備える絞り装置に対する操作がおこなわれた場合や撮像装置が備えるシャッタ装置におけるレリーズボタンが操作されてから所定時間が経過した場合に、コイル110に対して所定方向とは逆方向への電流が流れる。そして、コイル110に対して所定方向とは逆方向への電流が供給された場合、ヨーク102においては、所定方向とは反対方向の磁路が形成される。回転子101は、コイル110に対して所定方向とは逆方向への電流が流れた場合に、回転子101の駆動ピン106に連結された遮光羽根が、遮光対象とする開口104を開放する方向に回転する。
【0034】
地板103には、壁部111と突起112とが設けられている。壁部111および突起112は、地板103に一体に設けられている。具体的には、たとえば壁部111および突起112を備えた地板103は、樹脂材料を用いた射出成形などによって形成することができる。地板103における壁部111は、ヨーク102における一方の脚部107の外側の形状に沿って円弧状に湾曲した形状をなしている。これにより壁部111は、回転子101と同心の円弧をなすように湾曲している。
【0035】
地板103における突起112は、地板103に載置されたヨーク102に対して、壁部111とは反対側から当接するように設けられている。突起112は、地板103へのヨーク102の取り付けに際して、地板103に載置されたヨーク102の外周面よりも壁部111側にせり出した形状とされている。
【0036】
これにより、突起112は、地板103に載置されたヨーク102の外周面に当接し、ヨーク102に当接することによって壁部111から離反する方向に変形する。突起112は、壁部111から離反する方向に変形した状態において、自身の復元力によって、ヨーク102に対して当該ヨーク102を壁部111に押しつけるような付勢力を作用させる。
【0037】
ヨーク102における根元部分のうち、地板103における遮光対象とする開口104の縁側となる位置には、当接面113が設けられている。上記の突起112は、先端を当接面113に当接させることによってヨーク102に対して当該ヨーク102を壁部111に押しつけるような付勢力を作用させる。突起112の先端は、当接面113に対して点接触するように円形あるいは球形とされていることが好ましい。
【0038】
また、ヨーク102における根元部分のうち、地板103の外周側となる位置に設けられた突起102aは、ネジ114の先端が当接されている。ネジ114は、地板103に設けられた支持部115に設けられたネジ孔116に螺合されている。ネジ114の先端部は、当該ネジ114がネジ孔116に対して締める方向に螺合された場合にヨーク102に当接する方向に移動し、ヨーク102を突起112および壁部111に当接する方向に付勢する。この実施の形態においては、ネジ114およびネジ孔116によって、ヨーク位置調整手段を実現することができる。
【0039】
(駆動特性調整機構におけるヨーク102の動作)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の駆動機構100の駆動特性調整機構におけるヨーク102の動作について説明する。図3は、この発明にかかる実施の形態1の駆動機構100の駆動特性調整機構におけるヨーク102の動作を示す説明図である。
【0040】
図3において、ネジ孔116に対して締める方向(矢印201を参照)にネジ114を螺合させた場合、ネジ114は、ネジ114の先端がヨーク102に当接する方向(矢印202を参照)へ移動する。そして、ネジ孔116に対して締める方向(矢印201を参照)にネジ114を螺合させた場合、ヨーク102は、突起112および壁部111に当接する方向に当接する方向に付勢され、支持突起105を中心として、地板103に対して、矢印A方向に回転する。このとき、突起112に対しては、ヨーク102によって矢印203方向の付勢力が作用している。
【0041】
ネジ114の先端部は、ネジ孔116に対してネジ114を緩める方向に回転させた場合に、ヨーク102から離反する方向へ移動する。ヨーク102に対しては、突起112や壁部111の復元力によって、支持突起105を中心として、ヨーク102の根元部分における地板103の外周側となる位置を、ネジ114の先端部に当接させる方向への付勢力が作用している。この付勢力によって、ネジ孔116に対してネジ114を緩める方向に回転させた場合、ヨーク102は、支持突起105を中心として矢印B方向に回転する。
【0042】
(駆動特性の調整作業)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の駆動機構100の駆動特性調整機構を用いた、駆動機構100における駆動特性の調整作業について説明する。この発明にかかる実施の形態1の駆動機構100の駆動特性調整機構を用いた、駆動機構100における駆動特性の調整作業は、回転子101を地板103に取り付けるとともにヨーク102を地板103に載置した状態、すなわち駆動機構100を地板103に取り付けた状態でおこなう。
【0043】
調整作業に際しては、駆動機構100を取り付けた状態の地板103を、駆動機構100の駆動特性の調整に用いる所定の測定装置にセットする。駆動機構100の駆動特性の調整に用いる所定の測定装置については、公知の技術であるため説明を省略する。
【0044】
つぎに、駆動機構100を取り付けた状態の地板103を所定の測定装置にセットした状態で、コイル110に電流を供給し、駆動機構100を動作させながら、地板103の側方からドライバなどの工具を差し込み、ネジ114を回転させる。ネジ孔116に対してネジ114が締まる方向に回転すると、ヨーク102はネジ114の先端部によって押されて、支持突起105を中心として図3における矢印A方向に回転する。
【0045】
シャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性は、ヨーク102が支持突起105を中心として回転することによって変動する。すなわち、この実施の形態1の駆動機構100においては、支持突起105を中心として、図3における矢印A方向にヨーク102を回転させることによって、シャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性を調整することができる。
【0046】
ネジ孔116に対してネジ114が締まる方向に当該ネジ114を回転させると、地板103の外周側におけるヨーク102の端部がネジ114の先端部によって押され、ヨーク102における他方の脚部が壁部111に沿った状態で、支持突起105を中心として回転する。調整作業をおこなう作業者は、所定の測定装置における測定結果を確認しながら、ネジ孔116に対してネジ114が締まる方向に当該ネジ114を回転させる。
【0047】
そして、調整作業をおこなう作業者は、測定結果にしたがって、駆動機構100の駆動特性が適正な状態となった場合にネジ114の回転を停止する。これにより、駆動機構100の駆動特性が適正な状態で、地板103に対するヨーク102の位置すなわち地板103に対する駆動機構100の位置を固定することができる。
【0048】
一方、調整作業に際して、調整作業をおこなう作業者が、駆動機構100の駆動特性が適正な状態を通り越すまで、ネジ孔116に対して締まる方向にネジ114を回転させてしまった場合、当該作業者は、ネジ114を反対方向すなわちネジ孔116に対して緩む方向に回転させる。ヨーク102に対しては、突起112や壁部111の復元力によって、支持突起105を中心として、ヨーク102の根元部分における地板103の外周側となる位置を、ネジ114の先端部に当接させる方向への付勢力が作用しているため、ネジ孔116に対してネジ114を緩める方向に回転させた場合、ヨーク102は、支持突起105を中心として矢印B方向に回転する。
【0049】
調整作業をおこなう作業者は、所定の測定装置における測定結果を確認しながら、ネジ孔116に対してネジ114が緩む方向に当該ネジ114を回転させる。そして、調整作業をおこなう作業者は、測定結果にしたがって、駆動機構100の駆動特性が適正な状態となった場合にネジ114の回転を停止する。
【0050】
これにより、駆動機構100の駆動特性が適正な状態を通り越すまでネジ114を回転させてしまった場合にも、駆動機構100の駆動特性が適正な状態で、地板103に対するヨーク102の位置すなわち地板103に対する駆動機構100の位置を固定することができる。
【0051】
さらに、調整作業に際して、ネジ孔116に対して緩む方向に回転させているネジ114を、駆動機構100の駆動特性が適正な状態を通り越すまで回転させてしまった場合、作業者は、ふたたび、ネジ孔116に対してネジ114が締まる方向に当該ネジ114を回転させる。このように、この実施の形態1の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、所定の測定装置における測定結果を確認しながら、駆動機構100の駆動特性が適正な状態となるまで、ネジ孔116に対して締まる方向あるいはネジ孔116に対して緩む方向に、何回でもネジ114を回転方向を変えながら調整することができる。
【0052】
このように、この実施の形態1の駆動機構100においては、支持部115に対するネジ114の螺合量を調整することによって、支持突起105を中心としてヨーク102を両方向(矢印A方向およびB方向)に回転させる。これにより、この実施の形態1の駆動機構100においては、支持部115に対するネジ114の螺合量を調整し、支持突起105を中心としてヨーク102を回転させることによって、地板103に対するヨーク102の位置を調整することができる。そして、地板103に対するヨーク102の位置を調整することによって、シャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性を調整することができる。
【0053】
以上説明したように、この実施の形態1の駆動機構100の駆動特性調整機構は、略U字形状をなすヨーク102の2つの脚部107、108の間に設けられた回転子101を備え、回転子101の回動にともなって当該回転子101に設けられた駆動ピン106を往復動させることによって、当該駆動ピン106に連結された遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の開閉動作をおこなう駆動機構100の駆動特性調整機構であって、回転子101の回転中心を中心としてヨーク102を回動可能に設け、ヨーク102に対して、当該ヨーク102を所定方向(図3における矢印B方向)に回動させる付勢力を作用させる付勢手段としての突起112と、ヨーク102を所定方向とは反対方向(図3における矢印A方向)に付勢するとともに、突起112による付勢力に抗してヨーク102を回動させるヨーク位置調整手段としてのネジ114およびネジ孔116と、を備えたことを特徴としている。
【0054】
この実施の形態1の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、ヨーク102の位置が安定している状態で遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性を測定することができるので、正確な測定結果を得ることができる。そして、正確な測定結果に基づいて遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性を調整することにより、遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性の調整を精度よくおこなうことができる。
【0055】
また、この実施の形態1の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、地板103にヨーク102を取り付けた状態で、地板103の側方からドライバなどを挿入してネジ114を回転させることができるので、遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性の調整を容易におこなうことができる。
【0056】
このように、この実施の形態1の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、ヨーク102を地板103に取り付けた状態のまま、ヨーク102の位置を調整することができ、また、ヨーク102の位置が安定している状態で遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性を精度よく測定することができるので、遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性の調整を容易かつ精度よくおこなうことができる。
【0057】
また、この実施の形態1の駆動機構100の駆動特性調整機構は、突起112が、ヨーク102を支持する地板103に一体に設けられ、突起112自身の弾性力によって付勢力を作用させることを特徴としている。
【0058】
この実施の形態1の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、部品点数の増加を抑え、組み立て工数の増加を抑えつつ、ヨーク102の位置が安定している状態を実現することができるので、簡易な構成によって、遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性の調整を容易かつ精度よくおこなうことができる。
【0059】
また、この実施の形態1の駆動機構100の駆動特性調整機構は、ネジ114およびネジ孔116によってヨーク位置調整手段を実現することを特徴としている。この実施の形態の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、簡易な構成によって、遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性の調整を容易かつ精度よくおこなうことができる。
【0060】
(実施の形態2)
つぎに、この発明にかかる実施の形態2の駆動機構100の駆動特性調整機構について説明する。この発明にかかる実施の形態2の駆動機構100の駆動特性調整機構は、たとえば撮像装置あるいはレンズ装置に搭載されるシャッタ機構および絞り機構など、遮光羽根を駆動する駆動機構100における遮光羽根の駆動特性を調整する。実施の形態2においては、上述した実施の形態1と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
【0061】
図4は、この発明にかかる実施の形態2の駆動機構100の駆動特性調整機構を示す説明図である。図4において、この発明にかかる実施の形態2の駆動機構100の駆動特性調整機構は、第2のネジ401を備えている。第2のネジ401は、第2の支持部402に設けられた第2のネジ孔403に螺合されている。この実施の形態においては、第2のネジ401および第2のねじ孔403によって、ヨーク位置調整手段を実現することができる。
【0062】
第2の支持部402は、地板103に一体的に設けられている。第2の支持部402は、壁部111に連続して設けられている。第2のネジ401の先端は、ヨーク102における一方の脚部107(コイル110が設けられている側の脚部)の先端に当接している。
【0063】
ヨーク102における根元部分のうち、地板103における遮光対象とする開口104の縁側となる位置には、上記の実施の形態1における突起112に代えて、第1の付勢部材404が設けられている。この実施の形態2においては、第1の付勢部材404によって、付勢手段を実現することができる。
【0064】
この第1の付勢部材404は、地板103における遮光対象とする開口104側からヨーク102に当接し、当該ヨーク102を遮光対象とする開口104の縁側から地板103の外周側に向かって付勢している。すなわち、第1の付勢部材404は、ヨーク102に対して矢印C方向の付勢力を作用させている。
【0065】
また、ヨーク102における根元部分のうち、地板103の外周側となる位置には、上記の実施の形態1におけるネジ114、支持部115およびネジ孔116に代えて、第2の付勢部材405が設けられている。この実施の形態においては、第2の付勢部材405によって、付勢手段を実現することができる。
【0066】
この第2の付勢部材405は、地板103の外周側から支持突起105側に向かってヨーク102を付勢している。すなわち、第2の付勢部材405は、ヨーク102に対して矢印D方向の付勢力を作用させている。
【0067】
第1の付勢部材404および第2の付勢部材405によって、ヨーク102は、当該ヨーク102における一方の脚部107の先端が、第2のネジ401の先端に当接する方向に付勢されている。これにより、ヨーク102は、支持突起105を中心として矢印B方向に付勢されている。
【0068】
(駆動特性の調整作業)
つぎに、この発明にかかる実施の形態2の駆動機構100の駆動特性調整機構を用いた、駆動機構100における駆動特性の調整作業について説明する。この発明にかかる実施の形態2の駆動機構100の駆動特性調整機構を用いた、駆動機構100における駆動特性の調整作業は、駆動機構100を取り付けた状態の地板103を所定の測定装置にセットした状態で、コイル110に電流を供給し、駆動機構100を動作させながら、地板103の側方からドライバなどの工具を差し込み、第2のネジ401を回転させる。
【0069】
第2のネジ孔403に対して第2のネジ401が締まる方向に回転すると、ヨーク102における一方の脚部107の先端が第2のネジ401の先端部によって押されて、支持突起105を中心として図4における矢印A方向に回転する。シャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性は、ヨーク102が支持突起105を中心として回転することによって変動するため、この実施の形態2の駆動機構100においては、支持突起105を中心として矢印A方向にヨーク102を回転させることによって、シャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性を調整することができる。
【0070】
調整作業をおこなう作業者は、所定の測定装置における測定結果を確認しながら、第2のネジ孔403に対して第2のネジ401が締まる方向に当該第2のネジ401を回転させる。そして、調整作業をおこなう作業者は、測定結果にしたがって、駆動機構100の駆動特性が適正な状態となった場合にネジ114の回転を停止する。これにより、駆動機構100の駆動特性が適正な状態で、地板103に対するヨーク102の位置すなわち地板103に対する駆動機構100の位置を固定することができる。
【0071】
一方、調整作業に際して、調整作業をおこなう作業者が、駆動機構100の駆動特性が適正な状態を通り越すまで、第2のネジ孔403に対して締まる方向に第2のネジ401を回転させてしまった場合、当該作業者は、第2のネジ401を反対方向すなわち第2のネジ孔403に対して緩む方向に回転させる。
【0072】
ヨーク102に対しては、第1の付勢部材404および第2の付勢部材405によって、支持突起105を中心としてヨーク102を、図4における矢印B方向に回転させる付勢力が作用しているため、第2のネジ孔403に対して第2のネジ401を緩める方向に回転させた場合、ヨーク102は、支持突起105を中心として矢印B方向に回転する。
【0073】
調整作業をおこなう作業者は、所定の測定装置における測定結果を確認しながら、第2のネジ孔403に対して第2のネジ401が緩む方向に当該第2のネジ401を回転させる。そして、調整作業をおこなう作業者は、測定結果にしたがって、駆動機構100の駆動特性が適正な状態となった場合に第2のネジ401の回転を停止する。
【0074】
これにより、駆動機構100の駆動特性が適正な状態を通り越すまで第2のネジ401を回転させてしまった場合にも、駆動機構100の駆動特性が適正な状態で、地板103に対するヨーク102の位置すなわち地板103に対する駆動機構100の位置を固定することができる。
【0075】
さらに、調整作業に際して、第2のネジ孔403に対して緩む方向に回転させている第2のネジ401を、駆動機構100の駆動特性が適正な状態を通り越すまで回転させてしまった場合、作業者は、ふたたび、第2のネジ孔403に対して第2のネジ401が締まる方向に当該第2のネジ401を回転させる。
【0076】
このように、この実施の形態2の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、所定の測定装置における測定結果を確認しながら、駆動機構100の駆動特性が適正な状態となるまで、第2のネジ孔403に対して締まる方向あるいは第2のネジ孔403に対して緩む方向に、何回でも第2のネジ401を回転方向を変えながら調整することができる。
【0077】
このように、この実施の形態2の駆動機構100においては、第2のネジ孔403に対する第2のネジ401の螺合量を調整することによって、支持突起105を中心としてヨーク102を両方向(矢印A方向およびB方向)に回転させることができる。
【0078】
これにより、この実施の形態2の駆動機構100においては、第2のネジ孔403に対する第2のネジ401の螺合量を調整し、支持突起105を中心としてヨーク102を回転させることによって、地板103に対するヨーク102の位置を調整することができる。そして、地板103に対するヨーク102の位置を調整することによって、シャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性を調整することができる。
【0079】
以上説明したように、この実施の形態2の駆動機構100の駆動特性調整機構は、略U字形状をなすヨーク102の2つの脚部107、108の間に設けられた回転子101を備え、回転子101の回動にともなって当該回転子101に設けられた駆動ピン106を往復動させることによって、当該駆動ピン106に連結された遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の開閉動作をおこなう駆動機構100の駆動特性調整機構であって、回転子101の回転中心を中心としてヨーク102を回動可能に設け、ヨーク102に対して、当該ヨーク102を所定方向(図4における矢印B方向)に回動させる付勢力を作用させる付勢手段としての第1の付勢部材404および第2の付勢部材405と、ヨーク102を所定方向とは反対方向(図4における矢印A方向)に付勢するとともに、第1の付勢部材404および第2の付勢部材405による付勢力に抗してヨーク102を回動させるヨーク位置調整手段として第2のネジ401および第2のネジ孔403と、を備えたことを特徴としている。
【0080】
この実施の形態2の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、ヨーク102の位置が安定している状態で遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性を測定することができるので、正確な測定結果を得ることができる。そして、正確な測定結果に基づいて遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性を調整することにより、遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性の調整を精度よくおこなうことができる。
【0081】
また、この実施の形態2の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、地板103にヨーク102を取り付けた状態で、地板103の側方からドライバなどを挿入して第2のネジ401を回転させることができるので、遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性の調整を容易におこなうことができる。
【0082】
このように、この実施の形態2の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、ヨーク102を地板103に取り付けた状態のまま、ヨーク102の位置を調整することができ、また、ヨーク102の位置が安定している状態で遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性を精度よく測定することができるので、遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性の調整を容易かつ精度よくおこなうことができる。
【0083】
また、この実施の形態2の駆動機構100の駆動特性調整機構は、第2のネジ401および第2のネジ孔403によってヨーク位置調整手段を実現することを特徴としている。この実施の形態の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、簡易な構成によって、遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性の調整を容易かつ精度よくおこなうことができる。
【0084】
(実施の形態3)
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の駆動機構100の駆動特性調整機構について説明する。この発明にかかる実施の形態3の駆動機構100の駆動特性調整機構は、たとえば撮像装置あるいはレンズ装置に搭載されるシャッタ機構および絞り機構など、遮光羽根を駆動する駆動機構100における遮光羽根の駆動特性を調整する。実施の形態2においては、上述した実施の形態1および実施の形態2と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
【0085】
図5は、この発明にかかる実施の形態3の駆動機構100の駆動特性調整機構を示す説明図である。図5において、この発明にかかる実施の形態3の駆動機構100の駆動特性調整機構は、上記の実施の形態2における第2のネジ401および第2のネジ孔403に代えて、コイルバネ501を備えている。
【0086】
コイルバネ501は、一端が地板103に設けられた突起502に係合され、他端がヨーク102における一方の脚部107(コイル110が設けられている側の脚部)の先端に係合されている。コイルバネ501は、圧縮型バネ(引っ張りバネ)であり、ヨーク102に対して、当該ヨーク102を支持突起105を中心として矢印B方向に回転させる方向の付勢力を作用させている。この実施の形態においては、コイルバネ501によって付勢手段を実現することができる。
【0087】
また、駆動特性調整機構は、上記の実施の形態2における第1の付勢部材404および第2の付勢部材405に代えて、ネジ114および支持部115に設けられたネジ孔116を備えている。すなわち、この発明にかかる実施の形態3の駆動機構100の駆動特性調整機構は、上記の実施の形態1におけるネジ114および支持部115に設けられたネジ孔116と同様のネジ114および支持部115に設けられたネジ孔116を備えている。
【0088】
(駆動特性の調整作業)
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の駆動機構100の駆動特性調整機構を用いた、駆動機構100における駆動特性の調整作業について説明する。この発明にかかる実施の形態3の駆動機構100の駆動特性調整機構を用いた、駆動機構100における駆動特性の調整作業は、駆動機構100を取り付けた状態の地板103を所定の測定装置にセットした状態で、コイル110に電流を供給し、駆動機構100を動作させながら、地板103の側方からドライバなどの工具を差し込み、ネジ114を回転させる。
【0089】
ネジ孔116に対してネジ114が締まる方向に回転すると、ヨーク102はネジ114の先端部によって押されて、支持突起105を中心として図5における矢印A方向に回転する。シャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性は、ヨーク102が支持突起105を中心として回転することによって変動するため、この実施の形態3の駆動機構100においては、支持突起105を中心として矢印A方向にヨーク102を回転させることによって、シャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性を調整することができる。
【0090】
ネジ孔116に対してネジ114が締まる方向に当該ネジ114を回転させると、地板103の外周側におけるヨーク102の端部がネジ114の先端部によって押され、ヨーク102における他方の脚部108が壁部111に沿った状態で、支持突起105を中心として回転する。調整作業をおこなう作業者は、所定の測定装置における測定結果を確認しながら、ネジ孔116に対してネジ114が締まる方向に当該ネジ114を回転させる。
【0091】
そして、調整作業をおこなう作業者は、測定結果にしたがって、駆動機構100の駆動特性が適正な状態となった場合にネジ114の回転を停止する。これにより、駆動機構100の駆動特性が適正な状態で、地板103に対するヨーク102の位置すなわち地板103に対する駆動機構100の位置を固定することができる。
【0092】
一方、調整作業に際して、調整作業をおこなう作業者が、駆動機構100の駆動特性が適正な状態を通り越すまで、ネジ孔116に対して締まる方向にネジ114を回転させてしまった場合、当該作業者は、ネジ114を反対方向すなわちネジ孔116に対して緩む方向に回転させる。ヨーク102に対しては、コイルバネ501によって、支持突起105を中心としてヨーク102を矢印B方向に回転させる付勢力が作用されているため、ネジ孔116に対してネジ114を緩める方向に回転させた場合、ヨーク102は、支持突起105を中心として矢印B方向に回転する。
【0093】
調整作業をおこなう作業者は、所定の測定装置における測定結果を確認しながら、ネジ孔116に対してネジ114が緩む方向に当該ネジ114を回転させる。そして、調整作業をおこなう作業者は、測定結果にしたがって、駆動機構100の駆動特性が適正な状態となった場合にネジ114の回転を停止する。これにより、駆動機構100の駆動特性が適正な状態を通り越すまでネジ114を回転させてしまった場合にも、駆動機構100の駆動特性が適正な状態で、地板103に対するヨーク102の位置すなわち地板103に対する駆動機構100の位置を固定することができる。
【0094】
さらに、調整作業に際して、ネジ孔116に対して緩む方向に回転させているネジ114を、駆動機構100の駆動特性が適正な状態を通り越すまで回転させてしまった場合、作業者は、ふたたび、ネジ孔116に対してネジ114が締まる方向に当該ネジ114を回転させる。
【0095】
このように、この実施の形態3の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、所定の測定装置における測定結果を確認しながら、駆動機構100の駆動特性が適正な状態となるまで、ネジ孔116に対して締まる方向あるいはネジ孔116に対して緩む方向に、何回でもネジ114の回転方向を変えながら回転させて、調整することができる。
【0096】
このように、この実施の形態3の駆動機構100においては、ネジ孔116に対するネジ114の螺合量を調整することによって、支持突起105を中心としてヨーク102を両方向(矢印A方向およびB方向)に回転させることができる。
【0097】
これにより、この実施の形態3の駆動機構100においては、ネジ孔116に対するネジ114の螺合量を調整し、支持突起105を中心としてヨーク102を回転させることによって、地板103に対するヨーク102の位置を調整することができる。そして、地板103に対するヨーク102の位置を調整することによって、シャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性を調整することができる。
【0098】
以上説明したように、この実施の形態3の駆動機構100の駆動特性調整機構は、略U字形状をなすヨーク102の2つの脚部107、108の間に設けられた回転子101を備え、回転子101の回動にともなって当該回転子101に設けられた駆動ピン106を往復動させることによって、当該駆動ピン106に連結された遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の開閉動作をおこなう駆動機構100の駆動特性調整機構であって、回転子101の回転中心を中心としてヨーク102を回動可能に設け、ヨーク102に対して、当該ヨーク102を所定方向(図5における矢印B方向)に回動させる付勢力を作用させる付勢手段としてのコイルバネ501と、ヨーク102を所定方向とは反対方向(図5における矢印A方向)に付勢するとともに、コイルバネ501による付勢力に抗してヨーク102を回動させるヨーク位置調整手段としてのネジ114およびネジ孔116と、を備えたことを特徴としている。
【0099】
この実施の形態3の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、ヨーク102の位置が安定している状態で遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性を測定することができるので、正確な測定結果を得ることができる。そして、正確な測定結果に基づいて遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性を調整することにより、遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性の調整を精度よくおこなうことができる。
【0100】
また、この実施の形態3の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、地板103にヨーク102を取り付けた状態で、地板103の側方からドライバなどを挿入してネジ114を回転させることができるので、遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性の調整を容易におこなうことができる。
【0101】
このように、この実施の形態3の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、ヨーク102を地板103に取り付けた状態のまま、ヨーク102の位置を調整することができ、また、ヨーク102の位置が安定している状態で遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性を精度よく測定することができるので、遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性の調整を容易かつ精度よくおこなうことができる。
【0102】
また、この実施の形態3の駆動機構100の駆動特性調整機構は、一端がヨーク102を支持する地板103に係止され、他端がヨーク102の一方の脚部107に設けられ、一端と他端との間において弾性変形可能に設けられた弾性部材であるコイルバネ501によって付勢手段を実現することを特徴としている。
【0103】
この実施の形態3の駆動機構100の駆動特性調整機構によれば、簡易な構成によって、遮光羽根(絞り羽根、シャッタ羽根など)の作動特性の調整を容易かつ精度よくおこなうことができる。
【0104】
(実施の形態4)
つぎに、この発明にかかる実施の形態4の駆動機構100の駆動特性調整機構について説明する。この発明にかかる実施の形態4の駆動機構100の駆動特性調整機構は、たとえば撮像装置あるいはレンズ装置に搭載されるシャッタ機構および絞り機構など、遮光羽根を駆動する駆動機構100における遮光羽根の駆動特性を調整する。実施の形態4においては、上述した実施の形態1、2、3と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
【0105】
図6は、この発明にかかる実施の形態4の駆動機構100の駆動特性調整機構を示す説明図である。図6において、この発明にかかる実施の形態4の駆動機構100の駆動特性調整機構は、上記の第1の実施の形態と比較して、地板103における壁部111の形状が異なっている。この発明にかかる実施の形態4の駆動機構100の駆動特性調整機構の地板103における壁部601は、回転子101がなす円弧と同心円弧よりも、回転子101側にせり出している。
【0106】
このような壁部601の形状により、ヨーク102が支持突起105を中心として地板103に対して回転した場合、回転にともなって、かつ回転方向に応じて、ヨーク102における2つの脚部107、108のいずれか一方が、回転子101に接近するように変形する。
【0107】
ヨーク102が支持突起105を中心として矢印A方向に回転した場合、ヨーク102は、当該ヨーク102における他方の脚部(コイル110が設けられていない方の脚部)の先端が回転子101に接近するように変形する。ヨーク102が支持突起105を中心として矢印B方向に回転した場合、ヨーク102は、当該ヨーク102における一方の脚部107(コイル110が設けられている方の脚部108)の先端が回転子101に接近するように変形する。
【0108】
このように、この実施の形態4の駆動機構100の駆動特性調整機構においては、ヨーク102を回転させることによって回転子101とヨーク102との間に形成されるギャップ109を調整することができる。これによって、ギャップ109の大きさを、最適な磁力となるように調整することができる。そして、地板103に対するヨーク102の位置とともに、ギャップ109の大きさを調整して磁力を調整することによって、シャッタ羽根(遮光羽根)の作動特性を、より精度よく調整することができる。
【0109】
(実施の形態5)
つぎに、この発明にかかる実施の形態5の駆動機構100の駆動特性調整機構について説明する。この発明にかかる実施の形態5の駆動機構100の駆動特性調整機構は、たとえば撮像装置あるいはレンズ装置に搭載されるシャッタ機構および絞り機構など、遮光羽根を駆動する駆動機構100における遮光羽根の駆動特性を調整する。実施の形態5においては、上述した実施の形態1、2、3、4と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
【0110】
図7は、この発明にかかる実施の形態5の駆動機構100の駆動特性調整機構を示す説明図である。図7において、この発明にかかる実施の形態5の駆動機構100の駆動特性調整機構は、上述した実施の形態1、2、3、4におけるヨーク102とは異なり、略D型形状をなすヨーク701を備えている。地板103に設けられた突起112は、地板103に螺合されるネジ702によってヨーク701に加えられる付勢力に抗して当該ヨーク701を付勢している。
【0111】
駆動機構100を取り付けた状態の地板103を所定の測定装置にセットした状態で、コイル110に電流を供給し、ネジ702を締める方向(矢印703を参照)に螺合させた場合、ネジ702は、ネジ702の先端がヨーク701に当接する方向(矢印704を参照)へ移動する。そして、支持突起105を中心として、地板103に対して、矢印A方向に回転する。
【0112】
駆動機構100を取り付けた状態の地板103を所定の測定装置にセットした状態で、コイル110に電流を供給し、ネジ702を緩める方向に回転させた場合、ネジ702は、ネジ702の先端がヨーク701から離反する方向へ移動する。そして、支持突起105を中心として、地板103に対して、矢印B方向に回転する。
【0113】
調整作業をおこなう作業者は、測定結果にしたがって、駆動機構100の駆動特性が適正な状態となった場合にネジ702の回転を停止する。これにより、駆動機構100の駆動特性が適正な状態で、地板103に対するヨーク102の位置すなわち地板103に対する駆動機構100の位置を固定することができる。
【0114】
(実施の形態6)
つぎに、この発明にかかる実施の形態6の駆動機構100の駆動特性調整機構について説明する。この発明にかかる実施の形態6の駆動機構100の駆動特性調整機構は、たとえば撮像装置あるいはレンズ装置に搭載されるシャッタ機構および絞り機構など、遮光羽根を駆動する駆動機構100における遮光羽根の駆動特性を調整する。実施の形態6においては、上述した実施の形態1、2、3、4、5と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
【0115】
図8は、この発明にかかる実施の形態6の駆動機構100の駆動特性調整機構を示す説明図である。図8において、この発明にかかる実施の形態6の駆動機構100の駆動特性調整機構は、上述した実施の形態1、2、3、4、5におけるヨーク102、701とは異なり、略直線形状をなすヨーク801を備えている。地板103に設けられた突起112は、地板103に螺合されるネジ802によってヨーク801に加えられる付勢力に抗して当該ヨーク801を付勢している。
【0116】
駆動機構100を取り付けた状態の地板103を所定の測定装置にセットした状態で、コイル110に電流を供給し、ネジ802を締める方向(矢印803を参照)に螺合させた場合、ネジ802は、ネジ802の先端がヨーク801に当接する方向(矢印804を参照)へ移動する。そして、支持突起105を中心として、地板103に対して、矢印A方向に回転する。
【0117】
駆動機構100を取り付けた状態の地板103を所定の測定装置にセットした状態で、コイル110に電流を供給し、ネジ802を緩める方向に回転させた場合、ネジ802は、ネジ802の先端がヨーク801から離反する方向へ移動する。そして、支持突起105を中心として、地板103に対して、矢印B方向に回転する。
【0118】
調整作業をおこなう作業者は、測定結果にしたがって、駆動機構100の駆動特性が適正な状態となった場合にネジ802の回転を停止する。これにより、駆動機構100の駆動特性が適正な状態で、地板103に対するヨーク102の位置すなわち地板103に対する駆動機構100の位置を固定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上のように、この発明にかかる駆動機構の駆動特性調整機構は、遮光羽根の開閉動作をおこなう駆動機構の駆動特性調整機構に有用であり、特に、動作に際して高い性能が要求される遮光羽根の開閉動作をおこなう駆動機構の駆動特性調整機構に適している。
【符号の説明】
【0120】
100 駆動機構
101 回転子
102 ヨーク
103 地板
105 支持突起
106 駆動ピン
107、108 脚部
109 ギャップ
110 コイル
111 壁部
112 突起
114 ネジ
116 ネジ孔
401 第2のネジ
403 第2のネジ孔
404 第1の付勢部材
405 第2の付勢部材
501 コイルバネ
701 ヨーク
702 ネジ
801 ヨーク
802 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石からなる回転子と、
前記回転子の周面に対向するように脚部を配置したヨークと、を備え、
前記回転子の回動にともなって光学部材の往復動作をおこなう駆動機構の駆動特性調整機構であって、
前記回転子の回転中心を中心として前記ヨークを回動可能に設け、
前記ヨークに対して、当該ヨークを所定方向に回動させる付勢力を作用させる付勢手段と、
前記ヨークを前記所定方向とは反対方向に付勢するとともに、前記付勢手段による付勢力に抗して前記ヨークを回動させるヨーク位置調整手段と、
を備えたことを特徴とする駆動機構の駆動特性調整機構。
【請求項2】
前記付勢手段は、前記ヨークを支持する地板に一体に設けられ、自身の弾性力によって前記付勢力を作用させることを特徴とする請求項1に記載の駆動機構の駆動特性調整機構。
【請求項3】
前記付勢手段は、一端が前記ヨークを支持する地板に一体に設けられ、他端が前記ヨークの一方の脚部に設けられ、前記一端と他端との間において弾性変形可能に設けられた弾性部材であることを特徴とする請求項1に記載の駆動機構の駆動特性調整機構。
【請求項4】
前記ヨーク位置調整手段は、先端が前記ヨークに当接するネジと螺合された前記ネジを保持するネジ孔とを備え、前記ネジ孔に対する前記ネジの螺合量を調整することにより前記付勢手段による付勢力に抗して前記ヨークを回動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の駆動機構の駆動特性調整機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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