説明

駆動装置および粉粒体処理装置

【課題】簡易な構成で、粉塵などがシリンダ内に侵入することを防止することができる駆動装置、および、その駆動装置を備えた粉粒体処理装置を提供すること。
【解決手段】気力輸送システムの開閉機構部に備えられるエアシリンダ22において、シリンダ25内に進退自在に挿通されるピストンロッド26に、退避位置において開閉機構部のケーシング21内に配置される汚染部分Pと、シリンダ25に対して出入りする出入部分Sとの間に、ピストンロッド26のストローク距離Dより長いスペーサ部分Eを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置、詳しくは、開閉弁などを開閉させるために用いられる駆動装置、および、その駆動装置を備える粉粒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリンダと、シリンダ内にスライド可能に設けられるピストンロッドとを備え、気流によってピストンロッドをスライドさせるエアシリンダを、開閉弁などを駆動させるために用いることが知られている。
【0003】
このようなエアシリンダには、ピストンロッドの汚染を防止するために、ピストンロッドをカバー部材で被覆することが知られている。
【0004】
例えば、シリンダの先端から突出したピストンロッドの突出部に、ピストンロッドの伸縮に伴ってシリンダの外周面に沿って摺動するように、密閉ロッドカバーを設け、ピストンロッドの周囲の空間を密閉し、ピストンロッドを保護する構成が開示されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0005】
また、例えば、シリンダ本体の外周に外嵌装着されるシリンダ側装着部材と、ピストンロッドの先端外周に外嵌装着されるロッド側装着部材と、ピストンロッドの周囲を覆うようにシリンダ側装着部材とロッド側装着部材との間に介装される蛇腹とを備えるピストンロッドが開示されている(例えば、下記特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−208409号公報
【特許文献2】実開平4−68261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、上記した特許文献1に記載の発明によれば、別途、密閉ロッドカバーなどの部材が必要となり、エアシリンダの構成が複雑化する。
【0008】
また、上記した特許文献1に記載の発明によれば、ピストンロッドの伸縮に伴って、密閉ロッドカバーがシリンダの外周面に対して摺動する。
【0009】
そのため、密閉ロッドカバーの外周面が粉塵などにより汚染されている場合には、ピストンロッドの伸縮により、密閉ロッドカバーと、シリンダの外周面との隙間から、密閉ロッドカバー内に粉塵が侵入する場合がある。
【0010】
その場合には、密閉ロッドカバー内に侵入した粉塵がピストンロッドに付着し、ピストンロッドとともにシリンダ内に侵入するという不具合がある。
【0011】
また、上記した特許文献2に記載の発明においても、上記した特許文献1に記載の発明と同様に、別途、密閉ロッドカバーなどの部材が必要となり、エアシリンダの構成が複雑化する。
【0012】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成で、粉塵などがシリンダ内に侵入することを防止することができる駆動装置、および、その駆動装置を備えた粉粒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、駆動装置であって、シリンダと、前記シリンダ内に挿通され、前記シリンダから進出する進出位置と、前記シリンダ内へ退避する退避位置とに進退自在に設けられるロッド部材とを備え、前記ロッド部材は、前記退避位置において汚染領域に配置される汚染部分と、前記シリンダに対して出入りする出入部分と、前記汚染部分と前記出入部分との間に介在され、少なくとも前記ロッド部材の進退距離に相当する長さを有するスペーサ部分とを備え、前記ロッド部材は、前記進出位置において、前記汚染部分、前記スペーサ部分および前記出入部分が前記シリンダから露出され、前記退避位置において、前記汚染部分、前記スペーサ部分が前記シリンダから露出されるとともに、前記出入部分が前記シリンダ内へ退避されることを特徴としている。
【0014】
このような構成によれば、ロッド部材は、進出位置において、汚染部分、スペーサ部分および出入部分がシリンダから露出され、退避位置において、汚染部分、スペーサ部分がシリンダから露出されるとともに、出入部分がシリンダ内へ退避される。
【0015】
そのため、汚染領域に配置される汚染部分をシリンダ内に退避させることなく、ロッド部材を進退させることができる。
【0016】
その結果、汚染されたロッド部材によってシリンダ内が汚染されることを防止することができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記シリンダにおける前記ロッド部材の進出方向端部に設けられ、前記ロッド部材の軸線方向において、少なくとも前記ロッド部材の進退距離に相当する長さを有し、前記ロッド部材の外周面を被覆するカバー部材を備えることを特徴としている。
【0018】
このような構成によれば、シリンダには、その進出方向端部において、少なくともロッド部材の進退距離に相当する長さを有し、ロッド部材の外周面を被覆するカバー部材が設けられている。
【0019】
そのため、ロッド部材が進出位置に配置されているときには、カバー部材によって、ロッド部材の出入部分を被覆することができる。
【0020】
また、ロッド部材が退避位置に配置されているときには、カバー部材によって、ロッド部材のスペーサ部分を被覆することができる。
【0021】
その結果、ロッド部材の出入部分およびスペーサ部分が汚染されることを防止することができる。
【0022】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記カバー部材は、前記ロッド部材の外周面と間隔を隔てて対向する筒壁と、前記ロッド部材が挿通される挿通穴が形成され、前記筒壁における前記進出方向端部を閉鎖する側壁とを備えていることを特徴としている。
【0023】
このような構成によれば、カバー部材は、ロッド部材の外周面と間隔を隔てて対向する筒壁と、筒壁における進出方向端部を閉鎖する側壁とを備えている。
【0024】
そのため、筒壁と側壁とによって、ロッド部材を被覆することができ、ロッド部材のスペーサ部分および出入部分が汚染されることを確実に防止することができる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、前記シリンダの前記進出方向端部には、前記カバー部材を取り付けるための取付部材が設けられており、前記カバー部材の前記進出方向端部には、前記取付部材と同一の取付部材が設けられていることを特徴としている。
【0026】
このような構成によれば、シリンダの進出方向端部に設けられる取付部材と同一の取付部材が、カバー部材の進出方向端部に設けられている。
【0027】
そのため、対象に取り付けられている既存のシリンダを取り外し、シリンダにカバー部材を取り付けた後、カバー部材の進出方向端部に設けられる取付部材で、再度、対象に取り付けることができる。
【0028】
その結果、既存のシリンダに、容易にカバー部材を取り付けることができる。
【0029】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記カバー部材は、前記カバー部材の内周面と前記ロッド部材の外周面との間に流体を流通させるための流体導入部を備えていることを特徴としている。
【0030】
このような構成によれば、カバー部材の内周面とロッド部材の外周面との間に流体を流通させることができる。
【0031】
そのため、ロッド部材のスペーサ部分における汚染を、流体によって洗浄することができる。
【0032】
また、請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記カバー部材には、貫通穴が形成されており、前記カバー部材は、前記貫通穴を塞ぐ蓋部材を備えていることを特徴としている。
【0033】
このような構成によれば、カバー部材には、貫通穴が形成されている。
【0034】
そのため、蓋部材を取り外して貫通穴を開放すれば、貫通穴を利用して、カバー部材の内部を洗浄することができる。
【0035】
また、請求項7に記載の発明は、粉粒体処理装置であって、粉粒体が通過する粉粒体通過部と、請求項1〜6のいずれか一項に記載の駆動装置とを備え、前記ロッド部材は、前記進出位置において、前記汚染部分が前記粉粒体通過部内に配置されることを特徴としている。
【0036】
このような構成によれば、上記した駆動装置を備え、駆動装置のロッド部材は、進出位置において、その汚染部分が粉粒体通過部内に配置されている。
【0037】
そのため、進出位置において、ロッド部材の汚染部分に粉粒体が付着されたとしても、汚染部分をシリンダ内に退避させることなく、ロッド部材を進退させることができる。
【0038】
その結果、ロッド部材に付着した粉粒体がシリンダ内に侵入することを防止することができる。
【発明の効果】
【0039】
請求項1に記載の発明によれば、汚染されたロッド部材によってシリンダ内が汚染されることを防止することができる。
【0040】
また、請求項2に記載の発明によれば、ロッド部材の出入部分およびスペーサ部分が汚染されることを防止することができる。
【0041】
また、請求項3に記載の発明によれば、筒壁と側壁とによって、ロッド部材を被覆することができ、ロッド部材のスペーサ部分および出入部分が汚染されることを確実に防止することができる。
【0042】
また、請求項4に記載の発明によれば、既存のシリンダに、容易にカバー部材を取り付けることができる。
【0043】
また、請求項5に記載の発明によれば、ロッド部材のスペーサ部分における汚染を、流体によって洗浄することができる。
【0044】
また、請求項6に記載の発明によれば、蓋部材を取り外して貫通穴を開放すれば、貫通穴を利用して、カバー部材の内部を洗浄することができる。
【0045】
また、請求項7に記載の発明によれば、ロッド部材に付着した粉粒体がシリンダ内に侵入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態としての気力輸送システムの概略構成図である。
【図2】図1に示す気力輸送システムの開閉機構部に備えられるエアシリンダを示す側断面図であって、(a)は、ピストンロッドが退避位置に配置されている状態を示し、(b)は、ピストンロッドが進出位置に配置されている状態を示す。
【図3】本発明の第2実施形態としての貯留ホッパの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態としての気力輸送システムの概略構成図である。図2は、図1に示す気力輸送システムの開閉機構部に備えられるエアシリンダを示す側断面図であって、(a)は、ピストンロッドが退避位置に配置されている状態を示し、(b)は、ピストンロッドが進出位置に配置されている状態を示す。
【0048】
気力輸送システム1(粉粒体処理装置の一例)は、図1に示すように、材料タンク2、供給ライン3、貯留槽4、吸引ライン5、吸引ブロワ6および排出ライン9を備えている。気力輸送システム1は、材料タンク2内に貯留されている樹脂ペレットなどの粉粒体を、目的に応じて、乾燥機(図示せず)や成形機(図示せず)などに輸送するためのシステムである。
【0049】
材料タンク2には、粉粒体が貯蔵されている。
【0050】
供給ライン3は、材料タンク2に貯蔵されている粉粒体を、材料タンク2から貯留槽4へ輸送するための輸送ラインであり、開閉機構部7(粉粒体通過部の一例)と、第1供給ライン10と、第2供給ライン11とを備えている。
【0051】
開閉機構部7は、後で詳述するが、供給ライン3の途中に設けられており、材料の通過を許容する開状態と、材料の通過を遮断する閉状態とに切り替えられる。
【0052】
第1供給ライン10は、供給ライン3のうち、開閉機構部7よりも輸送方向上流側に設けられる配管であり、その輸送方向上流側端部が、材料タンク2に接続され、その輸送方向下流側端部が、開閉機構部7に接続されている。
【0053】
第2供給ライン11は、供給ライン3のうち、開閉機構部7よりも輸送方向下流側に設けられる配管であり、その輸送方向上流側端部が、開閉機構部7に接続され、その輸送方向下流側端部が、貯留槽4の側壁に接続されている。
【0054】
貯留槽4は、材料タンク2からの粉粒体を一時的に貯留するために設けられており、略円筒形状の上側部分と、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成されている。また、貯留槽4の上壁内側には、吸引ライン5の輸送方向上流側端部を囲むように、パンチングメタルプレートなどからなるフィルタ8が設けられている。
【0055】
吸引ライン5は、貯留槽4から吸引ブロワ6へ排気するための配管であり、その排気方向上流側端部が、貯留槽4の上壁に接続され、その排気方向下流側端部が、吸引ブロワ6に接続されている。
【0056】
吸引ブロワ6は、供給ライン3、貯留槽4および吸引ライン5内を吸引して、材料タンク2から吸引ブロワ6へ向かう気流を発生させる。
【0057】
排出ライン9は、貯留槽4に貯留された粉粒体を排出するための配管であり、その排出方向上流側端部が、貯留槽4の鉛直方向下端部に接続され、その排出方向下流側端部が、目的に応じて、乾燥機(図示せず)や成形機(図示せず)などに接続される。なお、排出ライン9の上流側端部には、開閉弁(図示せず)が設けられている。
【0058】
開閉機構部7は、ケーシング21およびエアシリンダ22(駆動装置の一例)を備えている。
【0059】
ケーシング21は、側断面視略台形状の略ボックス形状に形成されており、側断面視略矩形状の上側部分と、側断面視略直角三角形状の下側部分とが連続するように形成されている。
【0060】
ケーシング21の上側部分には、第1供給ライン10の輸送方向下流側端部が接続されるとともに、図2(a)に示すように、第1供給ライン10の輸送方向下流側端部が挿入される開閉穴37が形成されている。開閉穴37は、パッキン23(後述)の外径よりもわずかに小径である。
【0061】
また、ケーシング21の上側部分には、第1供給ライン10の輸送方向下流側端部に対向するように、ケーシング側挿通穴24が形成されている。
【0062】
ケーシング側挿通穴24は、スペーサ部材27(後述)のスペーサ側ねじ部40(後述)の直径よりもわずかに大径な略円形状に貫通形成されている。
【0063】
エアシリンダ22は、図2(a)に示すように、シリンダ25、スペーサ部材27(カバー部材の一例)およびピストンロッド26(ロッド部材の一例)を備えている。
【0064】
シリンダ25は、筒部材28、第1キャップ部材29、第2キャップ部材30を備えている。
【0065】
筒部材28は、略円筒形状に形成されている。
【0066】
第1キャップ部材29は、筒部材28と中心軸線を共有し、筒部材28の外径と略同径で、軸方向一端部が閉鎖された略円筒形状に形成されている。また、第1キャップ部材29は、筒部材28の軸方向一端部を閉鎖するように、筒部材28の軸方向一端部に連結されている。
【0067】
また、第1キャップ部材29には、第1気流通路32、シリンダ側ねじ部33(取付部材の一例)およびシリンダ側挿通穴31が形成されている。
【0068】
第1気流通路32は、第1キャップ部材29の周壁を貫通するように、第1キャップ部材29の径方向に沿って延びる略円筒形状に形成されている。
【0069】
シリンダ側ねじ部33は、筒部材28と中心軸線を共有し、第1キャップ部材29の軸方向一方側壁から軸方向一方へ向かって延び、第1キャップ部材29より小径の略円柱形状に形成され、その外周面には、ねじ山が形成されている。また、シリンダ側ねじ部33の内周面には、Oリングからなるシール部材38が設けられている。なお、シール部材38は、ピストンロッド26の外周面に対して、粉塵の通過を規制しながら、外気の通過を許容するように外嵌されている。
【0070】
シリンダ側挿通穴31は、筒部材28と中心軸線を共有し、第1キャップ部材29の側壁およびシリンダ側ねじ部33を貫通するように、筒部材28の軸方向に沿う略円筒形状に形成されている。また、シリンダ側挿通穴31の直径は、ピストンロッド26の直径よりもわずかに大径である。
【0071】
第2キャップ部材30は、筒部材28と中心軸線を共有し、筒部材28の外径と略同径で、軸方向他端部が閉鎖された略円筒形状に形成されている。また、第2キャップ部材30は、筒部材28の軸方向他端部を閉鎖するように、筒部材28の軸方向他端部に連結されている。
【0072】
また、第2キャップ部材30には、第2気流通路34が形成されている。
【0073】
第2気流通路34は、第2キャップ部材30の周壁を貫通するように、第2キャップ部材30の径方向に沿って延びる略円筒形状に形成されている。
【0074】
スペーサ部材27は、筒部材28と中心軸線を共有し、軸方向一端部が閉鎖された略円筒形状に形成されている。つまり、スペーサ部材27は、筒部材28の軸方向に沿って延びる筒壁35と、筒壁35における軸方向一端部を閉鎖する軸方向一方側壁36とを備えている。筒壁35の軸方向他端部には、その内周面において、第1キャップ部材29のシリンダ側ねじ部33に螺合可能なねじ溝が形成されている。
【0075】
また、スペーサ部材27の軸方向長さは、ピストンロッド26のストローク距離D(進退距離)よりも長く設定されている。また、スペーサ部材27の内径は、シリンダ側ねじ部33の外径と略同径に形成されている。また、スペーサ部材27の外径は、特に限定されないが、第1キャップ部材29の外径よりもやや大径に形成されている。
【0076】
また、スペーサ部材27には、3つの貫通穴39、スペーサ側ねじ部40(取付部材の一例)およびスペーサ側挿通穴41(挿通穴の一例)が設けられている。
【0077】
各貫通穴39は、それぞれ、スペーサ部材27の筒壁35を貫通するように、スペーサ部材27の径方向に沿って延びる略円筒形状に形成され、その内周面には、ねじ山が形成されている。
【0078】
また、各貫通穴39は、3つのうち1つが、スペーサ部材27の軸方向他端部に配置されており、残りの2つが、スペーサ部材27の径方向に互いに対向配置されるように、スペーサ部材27の軸方向一端部に配置されている。スペーサ部材27の軸方向他端部に配置される貫通穴39には、略円筒形状の通気管44が螺合されており、スペーサ部材27の軸方向一端部に配置される各貫通穴39には、それぞれ、略円柱形状の蓋部材43が螺合されている。
【0079】
これにより、スペーサ部材27の軸方向他端部に配置される貫通穴39は、通気管44を介して大気開放されており、スペーサ部材27の軸方向一端部に配置される各貫通穴39は、蓋部材43により閉鎖されている。つまり、スペーサ部材27の軸方向他端部に配置される貫通穴39、および、通気管44は、スペーサ部材27内に空気を流通させるための流体導入部として機能する。
【0080】
スペーサ側ねじ部40は、スペーサ部材27の軸方向一方側壁36から軸方向一方へ向かって延び、シリンダ側ねじ部33と同一形状に形成されている。つまり、スペーサ側ねじ部40は、筒部材28と中心軸線を共有し、シリンダ側ねじ部33と同径の略円柱形状に形成され、その外周面には、シリンダ側ねじ部33と同じねじ山が形成されている。また、スペーサ側ねじ部40の内周面にも、Oリングからなるシール部材38が設けられている。なお、スペーサ側ねじ部40のシール部材38も、ピストンロッド26の外周面に対して、粉塵の通過を規制しながら、外気の通過を許容するように外嵌されている。
【0081】
スペーサ側挿通穴41は、筒部材28と中心軸線を共有し、スペーサ部材27の軸方向一方側壁36およびスペーサ側ねじ部40を貫通する略円筒形状に形成されている。また、スペーサ側挿通穴41の直径は、シリンダ側挿通穴31と略同径である。
【0082】
そして、スペーサ部材27は、その軸方向他端部の内周面のねじ溝に、シリンダ側ねじ部33のねじ山が螺合されることにより、第1キャップ部材29に接続されている。また、スペーサ部材27は、スペーサ側ねじ部40において、開閉機構部7のケーシング側挿通穴24に挿通され、開閉機構部7の内側からスペーサ側ねじ部40にナット42が螺合されることにより、開閉機構部7に接続されている。
【0083】
ピストンロッド26は、筒部材28の軸方向に延び、互いに螺合されたシリンダ25およびスペーサ部材27の軸方向長さよりも長尺に形成されている。
【0084】
ピストンロッド26は、軸方向一端部が、第1キャップ部材29のシリンダ側挿通穴31、および、スペーサ部材27のスペーサ側挿通穴41に挿通されて、スペーサ部材27の軸方向一端部から突出されるように、シリンダ25およびスペーサ部材27内にスライド可能に設けられている。また、ピストンロッド26の外周面は、スペーサ部材27の筒壁35の内周面と間隔を隔てて対向している。
【0085】
また、ピストンロッド26の軸方向一端部には、パッキン23が設けられている。
【0086】
パッキン23は、第1供給ライン10の輸送方向下流側端部を密閉するように、第1供給ライン10の輸送方向下流側端部よりも大径な略円板形状に形成され、ピストンロッド26の軸方向一端部に固定されている。また、パッキン23は、開位置(後述)において、第1供給ライン10の輸送方向下流側端部を開放するように、第1供給ライン10の輸送方向下流側端部から離間され、第1供給ライン10の輸送方向下流側端部に対向配置されている。
【0087】
また、エアシリンダ22には、気力供給ライン51が接続されている。
【0088】
気力供給ライン51は、電磁弁52、第1気力供給ライン53、第2気力供給ライン54および第3気力供給ライン55を備えており、エアコンプレッサからの圧縮空気をエアシリンダ22に供給する。
【0089】
電磁弁52は、気力供給ライン51の途中に設けられており、圧縮空気を第2気力供給ライン54へ供給する第1位置と、圧縮空気を第3気力供給ライン55へ供給する第2位置とに切り替えられる。
【0090】
第1気力供給ライン53は、圧縮空気の供給方向(以下、単に供給方向とする)上流側端部がエアコンプレッサ(図示せず)に接続され、供給方向下流側端部が電磁弁52に接続されている。
【0091】
第2気力供給ライン54は、供給方向上流側端部が電磁弁52に接続され、供給方向下流側端部が第2キャップ部材30の第2気流通路34に接続されている。
【0092】
第3気力供給ライン55は、供給方向上流側端部が電磁弁52に接続され、供給方向下流側端部が第1キャップ部材29の第1気流通路32に接続されている。
【0093】
次いで、開閉機構部7の開閉動作について、図1および図2を参照しながら説明する。なお、開閉機構部7は、通常、第1供給ライン10の輸送方向下流側端部を閉鎖する閉状態(図1参照)となっている。また、排出ライン9は、図示しない開閉弁により、閉鎖されている。
【0094】
開閉機構部7が閉状態のときには、電磁弁52は、第1位置に配置されている。
【0095】
これにより、エアコンプレッサ(図示せず)からの圧縮空気は、第2気力供給ライン54、および、第2キャップ部材30の第2気流通路34を介して、筒部材28の軸方向他端部に供給される。
【0096】
これにより、ピストンロッド26は、圧縮空気によって軸方向一方へ向かって押圧され、シリンダ25から軸方向一方へ進出されて、進出位置に配置される(図2(b)参照。)。
【0097】
そして、ピストンロッド26に連結されているパッキン23は、第1供給ライン10の輸送方向下流側端部を閉鎖する閉位置に配置される。
【0098】
次いで、吸引ブロワ6を作動させると、吸引ライン5を介して、貯留槽4、第2供給ライン11および開閉機構部7内の空気が吸引される。
【0099】
すると、開閉機構部7のケーシング21内の気圧が低下し、通気管44、および、スペーサ部材27とピストンロッド26との間(詳しくは、筒壁35とピストンロッド26との間、軸方向一方側壁36とピストンロッド26との間、および、スペーサ側ねじ部40とピストンロッド26との間)を順次通過するように、ケーシング21内に外気(流体の一例)が流入する。
【0100】
次いで、電磁弁52を第2位置に切り替える。
【0101】
電磁弁52を第2位置に切り替えると、エアコンプレッサ(図示せず)からの圧縮空気は、第3気力供給ライン55、および、第1キャップ部材29の第1気流通路32を介して、筒部材28の軸方向一端部に供給される。
【0102】
これにより、ピストンロッド26は、圧縮空気によって軸方向他方へ向かって押圧され、ピストンロッド26の軸方向他端部がシリンダ25内に退避されて、退避位置に配置される(図2(a)参照。)。
【0103】
また、ピストンロッド26に連結されているパッキン23は、第1供給ライン10の輸送方向下流側端部を開放する開位置に配置される。
【0104】
このとき、ピストンロッド26のうち、ピストンロッド26が進出位置に配置されているときにシリンダ25から進出され、ピストンロッド26が退避位置に配置されたときにシリンダ25内に退避される部分が、シリンダ25に対して出入する出入部分Sである。
【0105】
出入部分Sの長さは、すなわち、ピストンロッド26のストローク距離Dに相当する。
【0106】
これにより、開閉機構部7は、第1供給ライン10の輸送方向下流側端部を開放する開状態となり、材料タンク2から、供給ライン3(第1供給ライン10、開閉機構部7および第2供給ライン11)を介して貯留槽4へ向かう気流が発生する。
【0107】
これにより、材料タンク2から、供給ライン3を介して貯留槽4へ、粉粒体が気力輸送される。
【0108】
このとき、開閉機構部7のケーシング21内では、輸送途中の粉粒体の通過により、粉塵が発生する。つまり、ケーシング21内は、粉塵の付着による汚染が発生する汚染領域となる。また、開閉機構部7の開状態において、ピストンロッド26のケーシング21内に突出している部分は、汚染領域に配置される汚染部分Pとなる。
【0109】
また、開閉機構部7の開状態において、ピストンロッド26のうち、スペーサ部材27内に配置されている部分が、汚染部分Pと出入部分Sとの間に介在されるスペーサ部分Eである。
【0110】
つまり、スペーサ部分Eは、スペーサ部材27と同様に、ピストンロッド26のストローク距離Dよりも長く設定されている。
【0111】
次いで、貯留槽4内に所定量の粉粒体が輸送されると、開閉機構部7を、再び閉状態にする。
【0112】
すると、ピストンロッド26が軸方向一方へ進出することにより、ピストンロッド26のスペーサ部分Eが、ストローク距離Dに相当する分、ケーシング21内(汚染領域内)へ進出される。
【0113】
そして、開閉機構部7が再び閉状態になった後、吸引ブロワ6を停止させて、排出ライン9の開閉弁(図示せず)を開放すれば、排出ライン9を介して、乾燥機(図示せず)や成形機(図示せず)などに粉粒体を輸送することができる。
【0114】
また、開閉機構部7の閉状態において、ケーシング21内に進出されるピストンロッド26のスペーサ部分Eには、ケーシング21内の粉塵が付着する場合がある。
【0115】
ピストンロッド26のスペーサ部分Eに付着された粉塵は、通気管44、および、スペーサ部材27とピストンロッド26との間を通過する外気により、吹き飛ばされる。
【0116】
ここで、スペーサ部分Eに付着した粉塵のうち、外気により吹き飛ばされなかった粉塵は、再度のピストンロッド26の退避に伴って、スペーサ部材27内に侵入する場合がある。
【0117】
この場合においても、ピストンロッド26のスペーサ部分Eは、ストローク距離Dよりも長く、しかも、シリンダ25内に退避されないため、スペーサ部分Eに付着した粉塵が、シリンダ25内に侵入することが防止される。
【0118】
なお、スペーサ部材27内に侵入した粉塵は、スペーサ部材27の貫通穴39に螺合されている蓋部材43を取り外し、各貫通穴39から、空気などの気体、または、水や有機溶媒などの液体を流し込んで、スペーサ部材27の内部を洗浄することにより、除去することができる。
【0119】
このエアシリンダ22および気力輸送システム1によれば、図2に示すように、ピストンロッド26は、進出位置において、汚染部分P、スペーサ部分Eおよび出入部分Sがシリンダ25から露出され、退避位置において、汚染部分P、スペーサ部分Eがシリンダ25から露出されるとともに、出入部分Sがシリンダ25内へ退避される。
【0120】
そのため、ケーシング21内に配置される汚染部分Pをシリンダ内に退避させることなく、ピストンロッド26を進退させることができる。
【0121】
その結果、汚染されたピストンロッド26によってシリンダ25内が汚染されることを防止することができる。
【0122】
また、このエアシリンダ22および気力輸送システム1によれば、図2に示すように、シリンダ25には、その軸方向一端部において、ピストンロッド26のストローク距離Dよりも長く、ピストンロッド26の外周面を被覆するスペーサ部材27が設けられている。
【0123】
そのため、ピストンロッド26が進出位置に配置されているときに、スペーサ部材27によって、ピストンロッド26の出入部分Sを被覆することができる。
【0124】
また、ピストンロッド26が退避位置に配置されているときに、スペーサ部材27によって、ピストンロッド26のスペーサ部分Eを被覆することができる。
【0125】
その結果、ピストンロッド26の出入部分Sおよびスペーサ部分Eが汚染されることを防止することができる。
【0126】
また、このエアシリンダ22および気力輸送システム1によれば、図2に示すように、スペーサ部材27は、ピストンロッド26の外周面と間隔を隔てて対向する筒壁35と、筒壁35における軸方向一端部を閉鎖する軸方向一方側壁36とを備えている。
【0127】
そのため、筒壁35と軸方向一方側壁36とによって、ピストンロッド26を被覆することができ、ピストンロッド26のスペーサ部分Eおよび出入部分Sが汚染されることを確実に防止することができる。
【0128】
また、このエアシリンダ22および気力輸送システム1によれば、シリンダ25の軸方向一端部に設けられるシリンダ側ねじ部33と同一形状のスペーサ側ねじ部40が、スペーサ部材27の軸方向一端部に設けられている。
【0129】
そのため、開閉機構部7のケーシング21に取り付けられている既存のシリンダ25を取り外し、シリンダ25にスペーサ部材27を取り付けた後、スペーサ部材27の軸方向一端部に設けられるスペーサ側ねじ部40で、再度、開閉機構部7のケーシング21に取り付けることができる。
【0130】
その結果、既存のシリンダ25に、容易にスペーサ部材27を取り付けることができる。
【0131】
また、このエアシリンダ22および気力輸送システム1によれば、スペーサ部材27の内周面とピストンロッド26の外周面との間に外気を流通させることができる。
【0132】
そのため、ピストンロッド26のスペーサ部分Eにおける汚染を、外気によって洗浄することができる。
【0133】
また、このエアシリンダ22および気力輸送システム1によれば、スペーサ部材27には、貫通穴39が形成されている。
【0134】
そのため、蓋部材43を取り外して貫通穴39を開放すれば、貫通穴39を利用して、スペーサ部材27の内部を洗浄することができる。
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態としての貯留ホッパの概略構成図である。なお、図3において、上記した図1と同様の構成には、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0135】
上記した第1実施形態では、粉粒体を貯留槽4へ輸送するための供給ライン3に設けられる開閉機構部7に、エアシリンダ22を設けたが、第2実施形態では、図3に示すように、貯留ホッパ61(粉粒体処理装置の一例)の開閉機構部62(粉粒体通過部の一例)にエアシリンダ22を設けることもできる。
【0136】
貯留ホッパ61は、粉粒体を貯留するためのホッパであって、貯留部63と、開閉機構部62とを備えている。
【0137】
貯留部63は、略円筒形状の上側部分と、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成されている。また、貯留部63は、鉛直方向下端部に、粉粒体を排出するための排出管64を備えている。
【0138】
排出管64は、貯留部63の下側部分から鉛直方向下方に向かって延びる略円筒形状(直管)に形成されている。
【0139】
開閉機構部62は、貯留部63の下方に設けられ、ケーシング66と、排出弁65と、エアシリンダ22(駆動装置の一例)とを備えている。
【0140】
ケーシング66は、上下が開放されるボックス状に形成され、その上端部は、貯留部63の下側部分に接続されている。
【0141】
また、ケーシング66には、排出弁65に対向するように、ケーシング側挿通穴67が形成されている。
【0142】
ケーシング側挿通穴67は、スペーサ部材27のスペーサ側ねじ部40の直径よりもわずかに大径な略円形状に貫通形成されている。
【0143】
排出弁65は、排出管64の下端部を被覆可能な略平板形状に形成され、その上端部において、排出管64に揺動可能に設けられている。
【0144】
エアシリンダ22は、ピストンロッド26の軸方向一端部において、排出弁65に連結されている。また、エアシリンダ22は、スペーサ部材27のスペーサ側ねじ部40において、ケーシング66のケーシング側挿通穴67に挿通され、ケーシング66の内側からスペーサ側ねじ部40にナット42が螺合されることにより、ケーシング66に接続されている。
【0145】
そして、エアシリンダ22のピストンロッド26は、上記した第1実施形態と同様に、進出位置(点線)と退避位置(実線)とに進退され、排出弁65を、排出管64の下端部を閉鎖する閉位置と、排出管64の下端部を開放する開位置とに移動させる。
【0146】
第2実施形態においても、上記した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(その他の変形例)
上記した実施形態では、駆動装置を、ピストンロッド26を圧縮空気で進退させるエアシリンダ22として説明したが、ピストンロッド26を進退させる方法は特に限定されず、例えば、ピストンロッド26を油圧で進退させる公知の油圧シリンダ、例えば、ピストンロッド26をモータで進退させる公知の電動シリンダに、スペーサ部材27を装着し、駆動装置とすることもできる。
【0147】
また、上記した実施形態では、開閉機構部7にエアシリンダ22を設けたが、例えば、エアシリンダ22は、ピストンロッド26の軸方向一端部に接続された対象物の位置(軸方向位置)を調節する用途にも用いることができる。
【0148】
この場合、ピストンロッド26の進出位置は、ピストンロッド26が最も進出した位置(以下、最大進出位置とする。)に対して、軸方向他方側(すなわち、退避位置から最大進出位置への途中位置)であってもよい。
【符号の説明】
【0149】
1 気力輸送システム(粉粒体処理装置)
7 開閉機構部(粉粒体通過部)
22 エアシリンダ(駆動装置)
25 シリンダ
26 ピストンロッド(ロッド部材)
27 スペーサ部材(カバー部材)
33 シリンダ側ねじ部(取付部材)
35 筒壁
36 側壁
39 貫通穴
40 スペーサ側ねじ部(取付部材)
41 スペーサ側挿通穴(挿通穴)
43 蓋部材
44 通気管(流体導入部)
61 貯留ホッパ(粉粒体処理装置)
62 開閉機構部(粉粒体通過部)
P 汚染部分
S 出入部分
E スペーサ部分
D ストローク距離(進退距離)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、
前記シリンダ内に挿通され、前記シリンダから進出する進出位置と、前記シリンダ内へ退避する退避位置とに進退自在に設けられるロッド部材とを備え、
前記ロッド部材は、
前記退避位置において汚染領域に配置される汚染部分と、
前記シリンダに対して出入りする出入部分と、
前記汚染部分と前記出入部分との間に介在され、少なくとも前記ロッド部材の進退距離に相当する長さを有するスペーサ部分とを備え、
前記ロッド部材は、
前記進出位置において、前記汚染部分、前記スペーサ部分および前記出入部分が前記シリンダから露出され、
前記退避位置において、前記汚染部分、前記スペーサ部分が前記シリンダから露出されるとともに、前記出入部分が前記シリンダ内へ退避されることを特徴とする、駆動装置。
【請求項2】
前記シリンダにおける前記ロッド部材の進出方向端部に設けられ、前記ロッド部材の軸線方向において、少なくとも前記ロッド部材の進退距離に相当する長さを有し、前記ロッド部材の外周面を被覆するカバー部材を備えることを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、
前記ロッド部材の外周面と間隔を隔てて対向する筒壁と、
前記ロッド部材が挿通される挿通穴が形成され、前記筒壁における前記進出方向端部を閉鎖する側壁と
を備えていることを特徴とする、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記シリンダの前記進出方向端部には、前記カバー部材を取り付けるための取付部材が設けられており、
前記カバー部材の前記進出方向端部には、前記取付部材と同一の取付部材が設けられていることを特徴とする、請求項2または3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記カバー部材の内周面と前記ロッド部材の外周面との間に流体を流通させるための流体導入部を備えていることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記カバー部材には、貫通穴が形成されており、
前記カバー部材は、前記貫通穴を塞ぐ蓋部材を備えていることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
粉粒体が通過する粉粒体通過部と、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の駆動装置と
を備え、
前記ロッド部材は、前記進出位置において、前記汚染部分が前記粉粒体通過部内に配置されることを特徴とする、粉粒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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