説明

駐車場案内システム

【課題】多数の車両を駐車させることが可能な大規模な駐車場であっても、車両が駐車した位置をユーザに通知可能にする。
【解決手段】駐車場内を複数に分割した複数のエリアの位置を特定するエリア情報を複数のRFIDタグ2に格納し、これらRFIDタグ2を駐車場内において車両が走行する通路における複数のエリアに対応する部位に設けた。そして、車載機4のRFIDリーダ8により駐車場のRFIDタグ2内のエリア情報を読み取り、車両が駐車したときに最新のエリア情報を車両の駐車位置情報とし、この駐車位置情報を、車載機4からユーザーが携帯可能な携帯端末5に送信して記憶させ、携帯端末5において表示できるよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常に多数の車両を駐車させることが可能な大規模な駐車場であっても、ほとんど迷うことなく、駐車した位置に戻ることができる駐車場案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
駐車場内において、自分の車両が駐車した位置を通知してくれるシステムとしては、車両に搭載したGPS受信機を利用したシステムや、移動体通信網を利用したシステムが知られている。しかし、これらのシステムの場合、屋内や地下の駐車場の場合、または、移動体通信網が圏外の駐車場の場合、利用することができなかった。
【0003】
また、特許文献1に記載されているシステムの場合、車両にRFIDタグを設け、駐車場の出入り口にRFIDリーダを設け、契約ユーザであるか否かの認証を実行している。更に、上記特許文献1のシステムでは、駐車場内の各駐車スペースにRFIDリーダを設け、駐車スペースに駐車した車両のRFIDタグをRFIDリーダで読み取ることにより、上記駐車スペースに駐車した車両の契約ユーザを検知すると共に、この契約ユーザが駐車した駐車スペースの位置を特定し、該契約ユーザが出入り口に戻ってきたときに駐車した駐車スペースの位置を該契約ユーザに通知する(例えば表示装置に表示する)ように構成している。
【特許文献1】特開2004−199604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のシステムの場合、駐車場内の各駐車スペースにそれぞれRFIDリーダを設置しなければならないので、設置コストが高くなるという問題点があった。また、契約ユーザの車両の位置しか検知することができず、一般ユーザが使用する大規模な駐車場に適用することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、多数の車両を駐車させることが可能な大規模な駐車場であっても、車両が駐車した位置をユーザに通知することができる駐車場案内システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駐車場案内システムは、駐車場内を複数に分割した複数のエリアの位置を特定するエリア情報を格納をするものであって、前記駐車場内において車両が走行する通路における前記複数のエリアに対応する部位に設けられた複数のRFIDタグを備え、車両に設けられ、車両が前記RFIDタグの近くを走行したときに前記RFIDタグ内のエリア情報を読み取るRFIDリーダと、前記RFIDリーダが読み取ったエリア情報を入力して車両が駐車したときに最新のエリア情報を車両の駐車位置情報とする制御装置とを有する車載機を備え、ユーザーが携帯可能なものであって、車両内で前記車載機と接続可能なように構成され、前記車載機から駐車位置情報を受け取って記憶すると共に表示する機能を有する携帯端末を備えて構成されている。
【0007】
上記構成によれば、車両のRFIDリーダにより駐車場のRFIDタグ内のエリア情報を読み取り、車両が駐車したときに最新のエリア情報を車両の駐車位置情報とし、この駐車位置情報を、ユーザーが携帯可能な携帯端末に記憶させるよう構成したので、ユーザーは、駐車位置を知りたい場合、携帯端末に駐車位置情報を表示させて視認すれば良い。そして、この構成の場合、RFIDタグを駐車場の通路における複数のエリアに対応する部位に配設するだけであるから、駐車場側のシステム上のコストはかなり安くすることができる。従って、多数の車両を駐車させることが可能な大規模な駐車場であっても、車両が駐車した位置をユーザに通知することができる。
【0008】
また、上記構成の場合、前記携帯端末は、携帯電話機やPDAで構成されていることが好ましい。更に、前記RFIDタグは、通路における隣接する2つのエリアの境界に配設されていることが良い構成である。
【0009】
また、本発明の他の駐車場案内システムは、駐車場内における車両が駐車する各駐車スペースの位置を特定する駐車スペース情報を格納をするものであって、前記駐車スペース内にそれぞれ設けられた複数のRFIDタグを備え、車両に設けられ、車両が前記RFIDタグの近くを走行したときに前記RFIDタグ内の駐車スペース情報を読み取るRFIDリーダと、前記RFIDリーダが読み取った駐車スペース情報を入力して車両が駐車したときに最新の駐車スペース情報を車両の駐車位置情報とする制御装置とを有する車載機を備え、ユーザーが携帯可能なものであって、車両内で前記車載機と接続可能なように構成され、前記車載機から駐車位置情報を受け取って記憶すると共に表示する機能を有する携帯端末を備えて構成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例について、図面を参照しながら説明する。まず、図1は、本実施例の駐車場案内システム1の全体構成を概略的に示すブロック図である。駐車場案内システム1は、駐車場の通路に埋設された複数(多数)のRFIDタグ2と、車両3(図2参照)に設けられた車載機4と、ユーザーが携帯可能なものであって車両3内で車載機4と接続可能なように構成された携帯端末5とから構成されている。
【0011】
RFIDタグ2は、駐車場内を複数のエリアに分割したときに、これら複数のエリアの位置を特定するエリア情報を格納している。例えば、駐車場が図3に示すような形態である場合、この駐車場は12個のエリアA〜Lに分割されている。尚、上記駐車場において、格子状の細長い形状の帯は通路6であり、各エリアA〜L内には通路6に臨むように駐車スペース7(一部だけ図示)が多数設けられている。駐車スペース7内には、車両3が1台ずつ駐車可能である。
【0012】
そして、RFIDタグ2は、駐車場内において車両が走行する通路における複数のエリアA〜Lに対応する部位、具体的には、通路6における隣接する2つのエリアの境界に配設されており、配設(埋設)位置を小さい丸で示す。RFIDタグ2に記憶されているエリア情報としては、停車したエリアを表わす文字情報、例えば「エリア−A」がテキストデータで記憶されている。
【0013】
また、エリア情報として、「エリア−A」という文字情報の他に、例えば駐車場の名前として「XXパーキング北駐車場」という文字情報をテキストデータで追加して記憶させるように構成しても良い。更に、エリア情報として、図4に示すような、駐車場の全体と駐車したエリア(例えばエリア−G)を示す図(地図)の画像データを記憶させるように構成しても良い。
【0014】
更にまた、駐車場が立体駐車場である場合、エリア情報として、「エリア−A」という文字情報の他に、駐車場の名前として「XXパーキング北駐車場」という文字情報と、立体駐車場の階数を示す例えば「5F」という文字情報とをテキストデータで追加して記憶させるように構成しても良い。
【0015】
車載機4は、図1に示すように、RFIDリーダ8と、制御部9と、記憶部10と、一時記憶部11と、外部I/O部12とを備えて構成されている。RFIDリーダ8は、図2に示すように、車両3が通路に埋設されたRFIDタグ2の近く(上方)を走行したときに、車両3に設けられたアンテナ13を介してRFIDタグ2と通信し、その内部のエリア情報を読み取るように構成されている。読み取ったエリア情報は、制御部9に与えられるようになっている。
【0016】
制御部9は、CPUで構成されており、車載機4全体を制御する機能を有している。記憶部10は、フラッシュメモリ等で構成されており、制御プログラムや各種のデータを記憶している。一時記憶部11は、RAM等のメモリで構成されており、種々のデータを一時的に記憶する。この構成の場合、制御部9と、記憶部10と、一時記憶部11とから制御装置が構成されている。
【0017】
制御部9は、RFIDリーダ8からエリア情報を受け取って一時記憶部11内に順次記憶する。この場合、古いエリア情報の上に最新のエリア情報が上書きされるように構成されている。また、制御部9は、車両3のACC信号出力部14からACC信号を外部I/O部12を介して受け取るように構成されており、このACC信号がOFFになったこと(即ち、エンジンOFF)を検知したときに、車両3が駐車したと判断するように構成されている。そして、制御部9は、車両3が駐車したと判断したときに、一時記憶部11内の最新のエリア情報を車両3の駐車位置情報として設定し、記憶部10(または一時記憶部11)内に記憶するように構成されている。
【0018】
尚、車載機4には、車両3のバッテリー15から直接的に電源回路(図示しない)を介して電源が供給されている。これにより、車載機4は、エンジンOFF時にも、動作可能なようになっている。また、車載機4は、エンジンOFFした後は、例えば設置時間経過後に、通常運転状態から待機状態(省電力状態)に自動的に移行するように構成されている。
【0019】
また、制御部9は、外部I/O部12を介して携帯端末5(の外部I/O部16)と接続可能なように構成されている。この場合、車載機4の外部I/O部12と、携帯端末5の外部I/O部16は、無線通信機能(例えばBluetooth(登録商標)等の通信規格の通信機能)を有しており、車両3内に携帯端末5を持ち込むだけで車載機4との間でデータ通信が可能な構成となっている。
【0020】
携帯端末5は、制御部17と、記憶部18と、一時記憶部19と、外部I/O部16と、表示部20とを備えて構成されている。この携帯端末5は、例えば携帯電話機やPDA等で構成されている。制御部17は、CPUで構成されており、携帯端末5全体を制御する機能を有している。記憶部18は、フラッシュメモリ等で構成されており、制御プログラムや各種のデータを記憶している。一時記憶部19は、RAM等のメモリで構成されており、種々のデータを一時的に記憶する。
【0021】
上記制御部17は、車載機4から駐車位置情報を受け取って記憶部18(や一時記憶部19)に記憶すると共に、携帯端末5に設けられた各種の操作スイッチ(図示しない)の操作に応じて上記記憶している駐車位置情報を表示部20に表示するように構成されている。
【0022】
次に、上記した構成の駐車場案内システム1の動作について、図5に従って説明する。まず、図5に示すように、車両3のエンジンがON 、即ち、ACC信号がONすると、このACC信号を受けて、車載機4は待機状態から通常の運転状態へ移行する。そして、車載機4は、携帯端末5との間の無線接続(即ち、Bluetooth規格の接続)確立シーケンスを実行し、携帯端末5との間の無線接続を完了する。続いて、車載機4は、RFIDリーダ8からRFIDタグ2を読み取るための電波の送出を開始する。この読み取り電波の送出は、設定間隔で繰り返し実行されるように構成されている。
【0023】
このような状態で、車両3が駐車場(図3参照)内に入り、図2に示すように、車両3が通路6に埋設されているRFIDタグ2の上方(近く)を走行すると、図5に示すように、車載機4のRFIDリーダ8から読み取り電波がRFIDタグ2へ送られる。すると、RFIDタグ2から格納しているエリア情報がRFIDリーダ8へ送信される。これによって、RFIDリーダ8によりRFIDタグ2内のエリア情報が読み取られる。
【0024】
続いて、車載機4において、RFIDリーダ8により読み取られたエリア情報は、一時記憶部11内に記憶(保存)される。この後も、読み取り電波が設定間隔で繰り返し送出されるので、読み取り範囲内にRFIDタグ2が存在すると、上述した読み取り動作が繰り返し実行される。即ち、車両3が駐車場内の通路6を走行し、埋設されているRFIDタグ2の上方を通過する毎に、そのRFIDタグ2の読み取り動作が実行されるように構成されている。
【0025】
この後、駐車場内の所望の駐車スペース7内に停車して(尚、この時点までに、上記駐車スペース7が存在するエリアのエリア情報がRFIDタグ2から読み込まれ車載機4内に記憶されている)、エンジンをOFF操作すると、車両3からOFFのACC信号が車載機4に与えられる。
【0026】
すると、車載機4は、上記OFFのACC信号を受けて、車両3の駐車が完了したと判断し、最新のエリア情報を車両3の駐車位置情報とする。この場合、車載機4においては、一時記憶部11に記憶されているRFIDタグ2の最新の読み取り情報(RFID情報)、即ち、エリア情報を、車両の駐車位置情報として記憶部10内に記憶(保存)させる。
【0027】
そして、車載機4は、上記駐車位置情報を携帯端末5へ送信(出力)する。すると、携帯端末5は、上記駐車位置情報を受信して、記憶部18(または一時記憶部19)内に記憶させると共に、駐車位置情報を受信完了した旨を車載機4へ応答するように構成されている。続いて、車載機4は、携帯端末5との間の無線接続(即ち、Bluetooth規格の接続)を切断する処理を実行する。そして、この後は、車載機4は、通常運転状態から待機状態へ移行(遷移)するように構成されている。
【0028】
さて、ユーザーが車両3から降車するときには、携帯端末5を所持して降りる。この後、ユーザーが、用事を済ませ、駐車場に戻ってきたときにおいて、車両3の駐車位置を知りたいときには、ユーザーは、携帯端末5の各種の操作スイッチを操作して、その表示部20に駐車位置情報(エリア情報)を表示させれば良い。これにより、ユーザーは、車両3を駐車したエリアがわかるから、そのエリアへ歩いて行くことができる。そして、上記エリアへ達すると、ユーザーは、そのエリア全体を目で視認することにより、自分の車両3を簡単に見つけることが可能である。
【0029】
尚、駐車場を複数に分解した各エリアの大きさは、各エリアにユーザーが到達したときに、各エリア内のすべての駐車スペースに駐車している車両3のほぼすべてをユーザーが視認することが可能な程度の大きさになっている。
【0030】
このような構成の本実施例によれば、車両3のRFIDリーダ8により駐車場のRFIDタグ2内のエリア情報を読み取り、車両3が駐車したときに最新のエリア情報を車両3の駐車位置情報とし、この駐車位置情報を、ユーザーが携帯可能な携帯端末5に記憶させるよう構成したので、ユーザーは、駐車位置を知りたい場合、携帯端末5の表示部20に駐車位置情報を表示させて視認すれば良い。そして、この構成の場合、RFIDタグ2を駐車場の通路6における複数のエリアに対応する部位に配設(埋設)するだけであるから、従来構成に比べて、駐車場側のシステム上のコストをかなり安くすることができる。従って、多数の車両を駐車させることが可能な大規模な駐車場であっても、駐車場の設備に大きなコストを掛ける必要がなくなり、しかも、車両が駐車した位置をユーザに通知することができる。
【0031】
尚、上記実施例においては、RFIDタグ2を駐車場の通路6において複数のエリアに対応するように配設したが、これに代えて、RFIDタグ2を駐車場の各駐車スペース7にそれぞれ対応させて配設するように構成しても良い。この構成の場合、RFIDタグ2に格納する情報は、駐車場の多数の駐車スペース7の各位置を特定する情報(駐車スペース情報、例えばエリア情報と駐車スペース7のシーケンス番号の情報等)である。尚、上述した以外の構成は、上記実施例とほぼ同じ構成となっている。
【0032】
また、上記構成の場合、RFIDタグ2の配設個数はかなり多くなるが、RFIDタグ2のコストが低いので、全体としてそれほどコストが高くなることもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施例を示す駐車場案内システムのブロック図
【図2】車両の車載機により通路のRFIDタグを読み取る動作を説明する図
【図3】駐車場及びRFIDタグを示す図
【図4】駐車場及び駐車したエリアを示す図
【図5】駐車場案内システムの動作を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0034】
図面中、1は駐車場案内システム、2はRFIDタグ、3は車両、4は車載機、5は携帯端末、6は通路、7は駐車スペース、8はRFIDリーダ、9は制御部、13はアンテナ、17は制御部、20は表示部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場内を複数に分割した複数のエリアの位置を特定するエリア情報を格納をするものであって、前記駐車場内において車両が走行する通路における前記複数のエリアに対応する部位に設けられた複数のRFIDタグと、
車両に設けられ、車両が前記RFIDタグの近くを走行したときに前記RFIDタグ内のエリア情報を読み取るRFIDリーダと、前記RFIDリーダが読み取ったエリア情報を入力して車両が駐車したときに最新のエリア情報を車両の駐車位置情報とする制御装置とを有する車載機と、
ユーザーが携帯可能なものであって、車両内で前記車載機と接続可能なように構成され、前記車載機から駐車位置情報を受け取って記憶すると共に表示する機能を有する携帯端末とを備えてなる駐車場案内システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、携帯電話機やPDAで構成されていることを特徴とする請求項1記載の駐車場案内システム。
【請求項3】
前記RFIDタグは、通路における隣接する2つのエリアの境界に配設されていることを特徴とする請求項1または2記載の駐車場案内システム。
【請求項4】
駐車場内における車両が駐車する各駐車スペースの位置を特定する駐車スペース情報を格納をするものであって、前記駐車スペース内にそれぞれ設けられた複数のRFIDタグと、
車両に設けられ、車両が前記RFIDタグの近くを走行したときに前記RFIDタグ内の駐車スペース情報を読み取るRFIDリーダと、前記RFIDリーダが読み取った駐車スペース情報を入力して車両が駐車したときに最新の駐車スペース情報を車両の駐車位置情報とする制御装置とを有する車載機と、
ユーザーが携帯可能なものであって、車両内で前記車載機と接続可能なように構成され、前記車載機から駐車位置情報を受け取って記憶すると共に表示する機能を有する携帯端末とを備えてなる駐車場案内システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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