説明

駐車場空きスペース管理システム及びそのシステムを構成する車載装置

【課題】駐車スペースの状態をより信頼性高く判別できる駐車場空きスペース管理システムを提供すること。
【解決手段】駐車場空きスペース管理システムSYSは、駐車スペースに存在する車両Y〜Zが出力する車両操作情報を取得する車両操作情報取得手段C10と、その車両操作情報に基づいてその駐車スペースの状態を判別する駐車スペース状態判別手段C11と、を備える。車両操作情報には、ナビゲーション操作、サイドブレーキ操作、ブレーキ操作又はシフト操作に関する情報が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場空きスペース管理システム及びそのシステムを構成する車載装置に関し、特に、駐車場に存在する車両が出力する操作情報に基づいてその駐車場にある駐車スペースの状態を判別する駐車場空きスペース管理システム及びそのシステムを構成する車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車スペースの状態として「満」、「空」の他に「出庫予定」を定義しながら、駐車スペース毎にその状態を判別して表示する装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この装置は、超音波センサにより各駐車スペースにおける車両の存在を判別し、更に、各駐車スペースへ駐車していた車両のエンジンの回転音やドアの開閉音をマイクロホンで検出してその車両が出庫しようとしているか否かを判別する。
【0004】
また、この装置は、その判別結果を大型表示板に表示させ、駐車場を利用しようとする者の利便性を向上させる。
【特許文献1】特開平9−171594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、駐車スペース毎に設置されるマイクロホンで車両のエンジン音やドア開閉音を検出しようとするので、駐車スペースにいない車両のエンジン音やドア開閉音を駐車スペース内の車両のものと誤って検出してしまう場合があり、その判別結果の信頼性に問題がある。
【0006】
上述の点に鑑み、本発明は、駐車スペースの状態をより信頼性高く判別できる駐車場空きスペース管理システム及びそのシステムを構成する車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係る駐車場空きスペース管理システムは、駐車場内に存在する車両が出力する車両操作情報を取得する車両操作情報取得手段と、前記車両操作情報に基づいて駐車スペースの状態を判別する駐車スペース状態判別手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、第二の発明は、第一の発明に係る駐車場空きスペース管理システムであって、前記車両操作情報は、ナビゲーション操作、サイドブレーキ操作、ブレーキ操作又はシフト操作に関する情報を含むことを特徴とする。
【0009】
また、第三の発明は、第一又は第二の発明に係る駐車場空きスペース管理システムであって、前記駐車スペース状態判別手段は、前記車両操作情報に基づいて前記車両が出庫する可能性を導出し、該可能性に応じて前記駐車スペースの状態を判別することを特徴とする。
【0010】
また、第四の発明は、第一乃至第三の何れかの発明に係る駐車場空きスペース管理システムであって、前記駐車スペース状態判別手段による判別結果を駐車スペース毎に複数段階で区別して表示させる駐車スペース状態表示手段を更に備えることを特徴とする。
【0011】
また、第五の発明は、第四の発明に係る駐車場空きスペース管理システムであって、前記駐車スペース状態表示手段は、前記駐車スペース状態判別手段による判別結果を駐車スペース毎に色分けして表示させることを特徴とする。
【0012】
また、第六の発明に係る車載装置は、駐車場内に存在する車両が出力する車両操作情報を取得する操作情報取得手段と前記車両操作情報に基づいて駐車スペースの状態を判別する駐車スペース状態判別手段とを備える駐車場空きスペース管理システムに車両操作情報を送信する車両操作情報送信手段と、前記駐車場空きスペース管理システムが有する駐車スペースの状態に関する情報を取得する駐車スペース情報取得手段と、前記駐車スペース情報取得手段が取得した情報を駐車スペース毎に複数段階で区別して表示させる駐車スペース状態表示手段と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
上述の手段により、本発明は、駐車スペースの状態をより信頼性高く判別できる駐車場空きスペース管理システム及びそのシステムを構成する車載装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明に係る駐車場空きスペース管理システムを示す概略図であり、駐車場空きスペース管理システムSYSは、駐車場に併設された管理センタCを有し、管理センタCは、駐車場に出入りする車両V、W、X、Y、Zとの間で無線通信を行う。
【0016】
なお、無線通信は、例えば、携帯電話周波数、又は、ETC(Electronic Toll Collection system)等で使用される特定小電力無線周波数等を用いて実現される。
【0017】
また、車両Vは、駐車場に進入しようとしている車両であり、車両W〜Zは、既に駐車場内に入っている車両である。
【0018】
図2は、管理センタCに設置される固定装置C100の構成例を示すブロック図であり、固定装置C100は、制御部C1、通信部C2及び表示部C3を有する。
【0019】
また、固定装置C100は、広域通信網やインターネット等に接続され、電気通信回線を通じて自身が管理する情報を配信することができる。
【0020】
なお、固定装置C100は、自身が管理する情報を無差別に配信するばかりでなく、特定の車両からの問い合わせに応じてその特定の車両に対してのみ情報を返信するようにしてもよい。一台分の空きスペースに関する情報を多数の車両に通知してしまうことが無いようにし、伝達する情報の信頼性をより高めるためである。
【0021】
制御部C1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータであって、例えば、車両操作情報取得手段C10、駐車スペース状態判別手段C11及び駐車スペース状態表示手段C12のそれぞれに対応するプログラムをROMに記憶しながら、各手段に対応する処理をCPUに実行させる。
【0022】
通信部C2は、車両との間の通信を制御するための装置であり、例えば、駐車場内の柱等に設置され、駐車場内又は駐車場付近に存在する車両が発信する信号を受信できるようにし、また、駐車場内又は駐車場付近に存在する車両に対して信号を送信できるようにする。
【0023】
また、通信部C2は、駐車場内の複数個所に設置され、各通信部C2が受信する信号の受信強度や受信方向の違いから、情報を発信する車両の位置を制御部C1が特定できるようにしてもよい。
【0024】
表示部C3は、固定装置C100が管理する情報を表示するための装置であり、例えば、駐車場入口に設置される大型表示装置等に駐車スペースの状況を表示する。
【0025】
次に、制御部C1が有する各種手段について説明する。
【0026】
車両操作情報取得手段C10は、駐車場内に存在する車両が出力する車両操作情報を取得するための手段であり、例えば、所定の車両操作が行われる度に車両が発信する車両操作情報を受信できるよう通信部C2を受信可能状態にする。
【0027】
「所定の車両操作」は、駐車スペースの利用に関する運転者の意図を判別するために有用な操作をいい、例えば、ドアロックの施解錠、イグニッション操作、アクセルペダル若しくはブレーキペダルの踏み込み操作、サイドブレーキ(使用若しくは解除)操作、エアコン操作、シフト位置の変更操作、又は、ナビゲーション装置への目的地入力操作等がある。
【0028】
例えば、ドアロックが解錠され、駐車車両のイグニッションスイッチがオンにされ、エアコンが作動され、目的地入力が行われ、サイドブレーキが解除され、シフト位置が「D(ドライブ)レンジ」にセットされ、アクセルペダルが踏み込まれるといった一連の操作が進行するにつれて、制御部C1は、運転者の出庫の意図が徐々に明確になっているものと判断できる。
【0029】
また、車両操作情報取得手段C10は、通信部C2を介して受信した車両操作情報の受信方向、信号強度等に基づいてその車両操作情報を発信した車両の位置を特定するようにしてもよい。
【0030】
更に、車両操作情報取得手段C10は、各車両の状態を時系列で把握できるようにするため、各車両が発信する車両操作信号に各車両の識別番号を含めさせるようにし、その識別番号毎に車両操作情報の履歴を記録、管理するようにしてもよい。
【0031】
なお、車両操作情報取得手段C10は、識別番号を利用できない場合には、受信方向、信号強度等に基づいて特定した車両位置毎に車両操作情報の履歴を記録、管理するようにしてもよい。
【0032】
駐車スペース状態判別手段C11は、駐車スペースの状態を判別するための手段であり、例えば、車両操作情報取得手段C10が取得した車両操作情報に基づいて駐車スペースの状態を判別する。
【0033】
「駐車スペースの状態」には、駐車スペースが占有されていないことを示す「空き」状態、及び、駐車スペースが既に占有されていることを示す「使用」状態があり、更に、「空きの可能性(大)」又は「使用の可能性(大)」といった、「空き」状態と「使用」状態との間の中間状態を示す複数段階の状態がある。
【0034】
駐車スペース状態判別手段C11は、例えば、特定の駐車スペースに駐車中の車両でイグニッションがオンされた場合にその特定の駐車スペースの状態を「空きの可能性(中)」とし、更にサイドブレーキが解除された場合に、その特定の駐車スペースの状態を「空きの可能性(大)」とし、更にアクセルペダルが踏み込まれた場合に、その特定の駐車スペースの状態を「空き」とする。
【0035】
また、駐車スペース状態判別手段C11は、特定の駐車スペース付近を移動する車両がシフト位置を「R(後退)」レンジに設定した場合に、その特定の駐車スペースの状態を「使用の可能性(中)」とし、更にアクセルペダルが踏み込まれた場合に、その特定の駐車スペースの状態を「使用の可能性(大)」とし、更にサイドブレーキが使用された場合に、その特定の駐車スペースの状態を「使用」とするようにしてもよい。
【0036】
また、駐車スペース状態判別手段C11は、「空き」状態の駐車スペースの数に相当する台数の車両が駐車場に進入した場合に、駐車場内の全ての駐車スペースの状態を「使用の可能性(中)」とするようにしてもよい。
【0037】
なお、駐車スペース状態判別手段C11は、車両操作情報に基づいて、駐車車両が出庫する(駐車スペースから退出することを意味する。)可能性や駐車スペース付近を徐行する車両がその駐車スペースに駐車する可能性を数値化し、駐車スペースの状態をより詳細に区別できるようにしたり、或いは、推奨する駐車スペースの順位等の付加的な情報を生成するようにしたりしてもよい。なお、図3は、車両操作内容と出庫の可能性又は駐車の可能性との間の対応関係の一例を示す表である。
【0038】
駐車スペース状態表示手段C12は、駐車スペースの状態を表示させるための手段であり、例えば、駐車スペース状態判別手段C11による判別結果を表示部C3に表示させる。
【0039】
駐車スペース状態表示手段C12は、各駐車スペースの状態を閲覧者が一見して区別できるようそれらの状態を色分けして表示させたり(例えば、「空き」状態を「白」、「使用」状態を「赤」、「空きの可能性(大)」状態を「青」、「空きの可能性(中)」状態を「黄」等で表示させる。)、或いは、グラフィック表示させたりする(例えば、「空き」状態を「◎」、「使用」状態を「×」、「空きの可能性(大)」状態を「○」、「空きの可能性(中)」状態を「△」等で表示させる。)。
【0040】
なお、駐車スペース状態表示手段C12は、駐車場入口に設置された大型表示装置に駐車スペースの状態を表示させる他、駐車スペースの状態を広域通信網やインターネットを介して配信するようにしてもよい。
【0041】
次に、図4を参照しながら、車両操作情報を発信する車両に搭載される車載装置について説明する。
【0042】
図4は、車両Vに搭載される車載装置V100の構成例を示すブロック図であり、車載装置V100は、制御部V1、通信部V2及び表示部V3を備え、ブレーキペダルV50、サイドブレーキレバーV51、シフトレバーV52、アクセルペダルV53、又は、測位部V54からの出力信号を受信しながら、通信部V2を介してそれらの出力信号に対応する車両操作情報を管理センタCに送信する。なお、車両W〜Zは、それぞれ車載装置V100と同様の装置を搭載しているものとする。
【0043】
制御部V1は、固定装置C100における制御部C1と同様、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータであって、例えば、車両操作情報送信手段V10、駐車スペース情報取得手段V11及び駐車スペース状態表示手段V12のそれぞれに対応するプログラムをROMに記憶しながら、各手段に対応する処理をCPUに実行させる。
【0044】
通信部V2は、固定装置C100との間の通信を制御するための装置であり、例えば、ETCを介して車両Vが駐車場に進入したことを制御部V1が検知した場合に、固定装置C100への信号発信ができるよう制御部V1によって起動させられ、車両Vが駐車場を退出したことを制御部V1が検知した場合に、固定装置C100への信号発信を中止するよう制御部V1によって停止させられる。
【0045】
車両操作信号の無用な発信を防止するようにしながらも、駐車場内においては確実に車両操作信号を固定装置C100に伝達できるようにするためである。
【0046】
また、通信部V2は、固定装置C100が発信する信号を受信すべく常時受信待機状態となるように起動されてもよく、所定の信号の送信を求める問い合わせ信号を固定装置C100に向けて送信した後に固定装置C100が送信する信号を受信すべく所定期間に亘って受信待機状態となるように起動されてもよい。
【0047】
表示部V3は、各種情報を表示するために車室内に設置される装置であり、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイであって、ナビゲーション装置の一部を構成するものであってもよい。
【0048】
ブレーキペダルV50、サイドブレーキレバーV51、シフトレバーV52、及び、アクセルペダルV53は、車両操作信号を送信する対象となる車両操作装置の例である。
【0049】
測位部V54は、車両の位置を測定するための装置であり、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機によりGPSアンテナを介してGPS衛星が出力するGPS信号を受信し、受信した信号に基づいて車両位置(緯度、経度、高度)を導出する。
【0050】
車両Vは、測位部V54を介して導出した車両位置を固定装置C100に伝え、車両Vが利用する駐車スペースを固定装置C100に特定させるようにしてもよい。
【0051】
次に、制御部V1が有する各種手段について説明する。
【0052】
車両操作情報送信手段V10は、車両操作情報を固定装置C100に送信する手段であり、各車両操作装置の出力に基づいて各車両操作装置における操作の内容を表す信号を生成し、各車両操作装置の操作が行われる度に、対応する信号を固定装置C100に向けて送信する。
【0053】
また、車両操作情報送信手段V10は、固定装置C100が車両Vを特定できるよう、車両Vを識別する識別番号を、生成信号に付加するようにしてもよい。
【0054】
駐車スペース情報取得手段V11は、車両周辺の駐車場における駐車スペースの状態に関する情報(以下、「駐車スペース情報」とする。)を取得するための手段であり、例えば、固定装置C100が所定範囲内(例えば、半径500メートル内)に向かって周期的(例えば1分間隔)に発信する駐車スペース情報を通信部V2で受信することにより取得する。
【0055】
また、駐車スペース情報取得手段V11は、広域通信網やインターネット等を介して固定装置C100が配信する駐車スペース情報を無線で受信するようにしてもよい。
【0056】
また、駐車スペース情報取得手段V11は、駐車スペース情報の送信を固定装置C100に依頼するための問い合わせ信号を通信部V2から発信させ、その問い合わせ信号に応じて固定装置C100が送信する駐車スペース情報を受信するようにしてもよい。
【0057】
駐車スペース状態表示手段V12は、取得した駐車スペース情報に基づいて駐車スペースの状態を表示部V3に表示させるための手段であり、例えば、固定装置C100における駐車スペース状態表示手段C12と同様、各駐車スペースの状態を搭乗者が一見して区別できるようそれらの状態を色分けして表示させたり(例えば、「空き」状態を「白」、「使用」状態を「赤」、「空きの可能性(大)」状態を「青」、「空きの可能性(中)」状態を「黄」等で表示させる。)、或いは、グラフィック表示させたりする(例えば、「空き」状態を「◎」、「使用」状態を「×」、「空きの可能性(大)」状態を「○」、「空きの可能性(中)」状態を「△」等で表示させる。)。
【0058】
図5は、表示部V3における表示画面の一例であり、測位部V54の出力に基づいて車両位置アイコンRを表示し、かつ、固定装置C100から送信される駐車スペース情報に基づいて駐車スペースP1〜P8のそれぞれの状態を区別させながら表示する。なお、図5の表示内容は、図1の状態に対応するものとする。
【0059】
白色で塗りつぶされた駐車スペースP1、P2、P6及びP8は、「空き」状態を示し、斜線パターンが付された駐車スペースP3は、「使用の可能性(大)」の状態を示し、黒で塗りつぶされた駐車スペースP4及びP5は、「使用」状態を示し、また、縦線パターンが付された駐車スペースP7は、「空きの可能性(中)」の状態を示す。
【0060】
次に、図6を参照しながら、車両Vの駐車時に固定装置C100が駐車スペース情報を更新する処理(以下、「駐車スペース情報更新処理(駐車時)」とする。)について説明する。なお、図6は、駐車スペース情報更新処理(駐車時)の流れを示すフローチャートであり、固定装置C100は、駐車スペース情報更新処理(駐車時)を繰り返し実行するものとする。
【0061】
最初に、固定装置C100は、車両操作情報取得手段C10により通信部C2を作動させ、駐車場内に進入した車両Vが発信する車両操作情報を受信できるようにし、車両Vのシフト位置が「Pレンジ」にセットされたことを表す車両操作情報が車両Vから送信されるのを監視する(ステップS1)。
【0062】
車両Vのシフト位置が「Pレンジ」にセットされたことを表す車両操作情報を受信しない場合(ステップS1のNO)、固定装置C100は、この監視を継続させる。
【0063】
車両Vのシフト位置が「Pレンジ」にセットされたことを表す車両操作情報を受信すると(ステップS1のYES)、固定装置C100は、受信した車両操作情報に含まれる車両Vの識別番号及び位置情報により車両V及び車両Vが駐車しようとする駐車スペース(以下、「対応駐車スペース」とする。)を特定する(ステップS2)。
【0064】
これにより、固定装置C100は、対応駐車スペースと車両Vとを関連付けながら車両Vの車両操作情報をROM等に時系列で記録することが可能となり、車両操作情報の履歴は、車両Vにおける操作の進行(前後関係)を把握したり、車両Vが出庫する際にその対応駐車スペースを迅速に特定したりする上で有用となる。
【0065】
その後、固定装置C100は、駐車スペース状態判別手段C11により、ROM等に予め格納されたルックアップテーブル(例えば、図3参照。)を参照し、受信した車両操作情報が表す操作内容に対応する駐車の可能性(例えば、30%)を取得し、対応駐車スペースの状態を「空き」から「使用の可能性(中)」に変更する(ステップS3)。
【0066】
その後、固定装置C100は、車両Vのサイドブレーキが作動されたことを表す車両操作情報が車両Vから送信されるのを監視する(ステップS4)。
【0067】
車両Vのサイドブレーキが作動されたことを表す車両操作情報を受信しない場合(ステップS4のNO)、固定装置C100は、この監視を継続させる。
【0068】
車両Vのサイドブレーキが作動されたことを表す車両操作情報を受信すると(ステップS4のYES)、固定装置C100は、受信した車両操作情報が表す操作内容に対応する駐車の可能性(例えば、60%)を取得し、対応駐車スペースの状態を「使用の可能性(中)」から「使用の可能性(大)」に変更する(ステップS5)。
【0069】
その後、上述と同様に、固定装置C100は、車両Vのドアロックが施錠されたことを表す車両操作情報が車両Vから送信されるのを監視する(ステップS6)。
【0070】
車両Vのドアロックが施錠されたことを表す車両操作情報を受信しない場合(ステップS6のNO)、固定装置C100は、この監視を継続させる。
【0071】
車両Vのドアロックが施錠されたことを表す車両操作情報を受信すると(ステップS6のYES)、固定装置C100は、受信した車両操作情報が表す操作内容に対応する駐車の可能性(例えば、100%)を取得し、対応駐車スペースの状態を「使用の可能性(大)」から「使用」に変更して駐車スペース情報更新処理(駐車時)を終了させる(ステップS7)。
【0072】
次に、図7を参照しながら、車両Vの出庫時に固定装置C100が駐車スペース情報を更新する処理(以下、「駐車スペース情報更新処理(出庫時)」とする。)について説明する。なお、図7は、駐車スペース情報更新処理(出庫時)の流れを示すフローチャートであり、固定装置C100は、駐車スペース情報更新処理(出庫時)を繰り返し実行するものとする。
【0073】
最初に、車両Vのイグニッションがオンされたことを表す車両操作情報を受信すると(ステップS11のYES)、固定装置C100は、受信した車両操作情報に含まれる車両Vの識別番号及び位置情報により車両V及び車両Vが駐車している対応駐車スペースを特定する(ステップS12)。なお、車両Vが駐車する際の車両操作情報の履歴は、固定装置C100によって既に記録されているので、識別番号のみに基づいて対応駐車スペースを特定することもできる。
【0074】
その後、固定装置C100は、駐車スペース状態判別手段C11により、受信した車両操作情報が表す操作内容に対応する駐車の可能性(例えば、30%)を取得し、対応駐車スペースの状態を「使用」から「空きの可能性(中)」に変更する(ステップS13)。
【0075】
その後、車両Vのサイドブレーキが解除されたことを表す車両操作情報を受信すると(ステップS14のYES)、固定装置C100は、対応駐車スペースの状態を「空きの可能性(中)」から「空きの可能性(大)」に変更する(ステップS15)。
【0076】
更に、車両VのアクセルペダルV53が踏み込まれたことを表す車両操作情報を受信すると(ステップS16のYES)、固定装置C100は、対応駐車スペースの状態を「空きの可能性(大)」から「空き」に変更して駐車スペース情報更新処理(出庫時)を終了させる(ステップS17)。
【0077】
また、固定装置C100は、この時点において、車両Vに関する車両操作情報の履歴を消去するようにしてもよい。出庫した車両の情報を保持する必要はないからである。
【0078】
なお、駐車スペース情報更新処理(駐車時)と駐車スペース情報更新処理(出庫時)とを別々に説明したが、駐車場空きスペース管理システムSYSは、これらの処理を複数の車両に対して同時並行的に実行することができる。
【0079】
以上の構成により、駐車場空きスペース管理システムSYSは、駐車スペースの状態をより信頼性高く判別できるので、混雑している大規模駐車場で駐車スペースを探す車両の運転者に適切な駐車スペースを提示することができる。
【0080】
また、駐車場空きスペース管理システムSYSは、無線通信を利用して車両操作情報を取得しながら各駐車スペースの状態を判別するので、駐車スペース毎に各種検知装置(マイクロホン、接近センサ、重量センサ等、駐車スペースにおける車両の存在を検知するための装置をいう。)を設置する必要もない。
【0081】
但し、駐車場空きスペース管理システムSYSは、駐車スペース毎に各種検知装置を設置することを排除するものではなく、各種検知装置を併用するようにしてもよい。駐車スペースの状態をさらに信頼性高く判別できるようにするためである。
【0082】
また、車載装置V100は、固定装置C100から取得した駐車スペース情報と車両Vに搭載されたナビゲーション装置とを協働させて車両Vを適切な駐車スペースに誘導するようにしてもよい。
【0083】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0084】
例えば、上述の実施例において、駐車場空きスペース管理システムSYSは、複数の駐車スペースの複数段階から成る状態を一見して区別できるように表示させるが、一つの最適な駐車スペースに関する情報のみを表示させるようにしたり、所定の状態(例えば、「空きの可能性(大)」)にある駐車スペースのみを強調表示させたり、それらの情報を音声出力させるようにしたりしてもよい。
【0085】
また、駐車場空きスペース管理システムSYSは、混雑している大規模駐車場で駐車スペースを探す車両の運転者に適切な駐車スペースを提示するが、自身が保有する駐車スペース情報を利用しながら、固定装置C100から所定範囲内(例えば、半径500メートル内)に存在する車両による無線通信を介した駐車スペースの使用予約を受け付けるようにしてもよい。
【0086】
この場合、駐車場空きスペース管理システムSYSは、その車両が実際に駐車スペースに駐車するまでの間であって、予約を受け付けた時刻から所定時間(例えば、5分間)の間、所定の駐車スペースの状態を「使用の可能性(大)」とするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係る駐車場空きスペース管理システムを示す概略図である。
【図2】管理センタに設置される固定装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】車両操作内容と出庫の可能性又は駐車の可能性との間の対応関係の一例を示す表である。
【図4】本発明に係る車載装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】車両に搭載される表示部における表示画面の一例である。
【図6】駐車スペース情報更新処理(駐車時)の流れを示すフローチャートである。
【図7】駐車スペース情報更新処理(出庫時)の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
C 管理センタ
C1、V1 制御部
C2、V2 通信部
C3、V3 表示部
C10 車両操作情報取得手段
C11 駐車スペース状態判別手段
C12、V12 駐車スペース状態表示手段
C100 固定装置
P1〜P8 駐車スペース
R 車両位置アイコン
V10 車両操作情報送信手段
V11 駐車スペース情報取得手段
V50 ブレーキペダル
V51 サイドブレーキレバー
V52 シフトレバー
V53 アクセルペダル
V54 測位部
V100 車載装置
V、W、X、Y、Z 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場内に存在する車両が出力する車両操作情報を取得する車両操作情報取得手段と、
前記車両操作情報に基づいて駐車スペースの状態を判別する駐車スペース状態判別手段と、
を備えることを特徴とする駐車場空きスペース管理システム。
【請求項2】
前記車両操作情報は、ナビゲーション操作、サイドブレーキ操作、ブレーキ操作又はシフト操作に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車場空きスペース管理システム。
【請求項3】
前記駐車スペース状態判別手段は、前記車両操作情報に基づいて前記車両が出庫する可能性を導出し、該可能性に応じて前記駐車スペースの状態を判別する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の駐車場空きスペース管理システム。
【請求項4】
前記駐車スペース状態判別手段による判別結果を駐車スペース毎に複数段階で区別して表示させる駐車スペース状態表示手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の駐車場空きスペース管理システム。
【請求項5】
前記駐車スペース状態表示手段は、前記駐車スペース状態判別手段による判別結果を駐車スペース毎に色分けして表示させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の駐車場空きスペース管理システム。
【請求項6】
駐車場内に存在する車両が出力する車両操作情報を取得する操作情報取得手段と前記車両操作情報に基づいて駐車スペースの状態を判別する駐車スペース状態判別手段とを備える駐車場空きスペース管理システムに車両操作情報を送信する車両操作情報送信手段と、
前記駐車場空きスペース管理システムが有する駐車スペースの状態に関する情報を取得する駐車スペース情報取得手段と、
前記駐車スペース情報取得手段が取得した情報を駐車スペース毎に複数段階で区別して表示させる駐車スペース状態表示手段と、
を備えることを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−110312(P2009−110312A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282422(P2007−282422)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】