説明

駐車領域自動可変型駐車補助システム及びその方法

【課題】駐車時の乗客の体格を把握し、駐車壁面と車両との距離を可変にできる駐車領域自動可変型駐車補助システム及びその方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る駐車領域自動可変型駐車補助システムは、駐車時の車両の乗客の体格を感知する乗客体格感知部200と、前記乗客の体格に応じて駐車場の壁面と車両との駐車後の距離を設定したあと駐車軌跡を算出する制御部600と、前記制御部により制御され、前記算出された駐車軌跡に沿って車両の操向を自動制御する自動操向部500とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車領域自動可変型駐車補助システム及びその方法に係り、さらに詳しくは、乗客の体格に応じて駐車領域を可変にして駐車補助を行う駐車領域自動可変型駐車補助システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車操向補助システム(SPAS:Smart Parking Assist System)は、超音波センサーとスマートホイールセンサーを用いて駐車空間を探索し、駐車位置までの駐車経路を生成してステアリングを制御するシステムであり、運転者はステアリングホイールを操作する必要がなく、前進及び後進の制御とブレーキの操作だけで自動駐車することができるように制御するシステムである。
即ち、駐車空間のある方向を超音波でスキャンして空間を探索し、駐車空間が存在する地域を通過するとき、超音波スキャンを介した駐車空間の幅と、スマートホイールセンサーを介した駐車空間の幅と長さを測定することができる。
【0003】
このように測定された駐車空間の幅と長さから駐車が可能な地域か確認することができ、駐車可能地域と確認されると、適当な目標駐車位置を決めた後、現在の位置から目標駐車位置への駐車経路を生成し、生成された駐車経路を追従するように操向角を制御し、目標駐車位置への駐車を試みることになる。
駐車補助時、周囲の車両に比べ自車が突出する場合は、駐車美観不良、及び駐車状態における事故の危険が増大するので、縁石又は壁面に近く駐車できるように駐車するのが好ましい。
【0004】
そこで、現在の駐車操向補助システムは、乗客の搭乗可否及び体格と関係なく、縁石又は壁面を基準に車両から一定距離を維持するように駐車領域を算定している。しかし、車両を縁石又は壁面から一定距離を維持して駐車する場合、体格が大きい乗客の場合、乗降車時に空間の狭小に伴う不便を感じることになり、乗客が搭乗しない場合も一定距離を維持するので、駐車空間の浪費をもたらす問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−179253号公報
【特許文献2】特開2001−262857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、駐車時の乗客の体格を把握し、駐車壁面と車両との距離を可変にできる駐車領域自動可変型駐車補助システム及びその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る駐車領域自動可変型駐車補助システムは、駐車時の車両の乗客の体格を感知する乗客体格感知部と、前記乗客の体格に応じて駐車場の壁面と車両との駐車後の距離を設定したあと駐車軌跡を算出する制御部と、前記制御部により制御され前記算出された駐車軌跡に沿って車両の操向を自動制御する自動操向部とを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る駐車領域自動可変型駐車補助システムは、駐車時の車両の乗客の体重を感知する乗客体格感知部と、前記乗客の体重に応じて駐車場の壁面と車両との駐車後の距離を設定したあと駐車軌跡を算出する制御部と、前記制御部により制御され前記算出された駐車軌跡に沿って車両の操向を自動制御する自動操向部とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る駐車領域自動可変型駐車補助方法は、車両に搭乗した乗客の体格を感知する過程と、前記車両に搭乗した乗客の体格に応じて駐車場の壁面と車両との駐車後の距離を設定する過程と、前記設定された駐車後の距離に応じて駐車軌跡を算出する過程と、前記算出された駐車軌跡に沿って駐車補助を行う過程とを含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る駐車領域自動可変型駐車補助方法は、車両に搭乗した乗客の体重を感知する過程と、前記車両に搭乗した乗客の体重に応じて駐車場の壁面と車両との駐車後の距離を設定する過程と、前記設定された駐車後の距離に応じて駐車軌跡を算出する過程と、前記算出された駐車軌跡に沿って駐車補助を行う過程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、乗客の体格に応じて駐車領域を自動可変することにより乗客の利便性を増大させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る駐車領域自動可変型駐車補助システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示した乗客体格感知部(カメラ又は超音波センサー)の取付け位置を例示する図である。
【図3】図1に示した乗客体格感知部(カメラ又は超音波センサー)による乗客撮影領域又は感知領域を表す図である。
【図4】図1に示した乗客体格感知部(カメラ又は超音波センサー)による撮影結果又は感知結果を介し乗客体格測定方法を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係る駐車領域自動可変型駐車補助方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態等を図面を参照して詳しく説明する。
本明細書で開示した交通手段又はそれと類似する用語は、スポーツ機能車両(SUV)、バス、トラック、多様な商業車両を含む乗用自動車、多様なボートと船舶を含むウォータークラフト(watercraft)、エアクラフト(aircraft)等々のようなモーター車両、ハイブリッド(hybrid)車両、電気車両、プラグインハイブリッド電気車両、水素(hydrogen−powered)車両、その他の異なる燃料を用いる車両(例えば、石油外の燃料を用いる車両)などを含む。特に、前述のハイブリッド車両は、2つ又はそれ以上の資源(例えば、ガソリンと電気エネルギーの両方とも用いる車両)を用いた車両である。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る駐車領域自動可変型駐車補助システムの構成を示す図であり、障害物感知部100、乗客体格感知部200、クラスター300、スピーカー400、自動操向部500、制御部600、作動スイッチ700を備える。
障害物感知部100は、車両の駐車空間内の壁面との距離を感知する。このため、障害物感知部100は超音波センサーなどで具現され、車両の前方、側傍、後方に備えられる。
【0015】
乗客体格感知部200は、車両に搭乗した乗客の体格を感知し、乗客体格感知結果を制御部600に伝達する。このため、乗客体格感知部200はカメラ、超音波センサー、ODS(Occupant Detection System)などで具現される。乗客体格感知部200がカメラ又は超音波センサーの場合、図2に示すように、室内ルームランプ周辺(A)などに取り付けられ、図3に示すように、運転席又は助手席の乗客を撮影又は感知する。
クラスター300は、駐車空間画面、駐車空間探索完了画面及び駐車状況画面などを表示する。
【0016】
スピーカー400は、駐車モード進入又は駐車空間探索完了時の効果音を出力し、衝突などの危険時に警報音を出力する。
自動操向部500は、制御部600により制御され車両の自動操向を行う。この時、自動操向部500はMDPS(Motor Driven Power Steering)を含む。
制御部600は、乗客体格感知部200により感知された乗客の体格モードに従い駐車壁面と車両との間の距離を自動設定し、駐車軌跡を算出して操向角を演算する。
【0017】
乗客体格感知部200がカメラ又は超音波センサーの場合、図4に示すように、撮影又は感知された結果データを介し運転席又は助手席に位置した乗客の胸幅(B)、座高(C)などを分析し、乗客の体格モードを算出する。乗客の体格モードは乗客無しモード、普通体格モード、大きい体格モード、非常に大きい体格モードに区分され、乗客無しモードでは駐車壁面と車両との間の距離を200mm、普通体格モードでは400mm、大きい体格モードでは600mm、非常に大きい体格モードでは800mmに設定する。
【0018】
乗客体格感知部200がODSの場合、乗客の体重に応じた乗客の体格モードを区分し、体格モードに応じた駐車壁面と車両との間の距離を下記表1のように設定する。
【表1】

【0019】
本発明では、0〜10kgの乗客の場合、『乗客無しモード』に判断する例を開示しているが、乗客の体重をさらに細分化し、3〜10kgの乗客の場合は愛玩犬、乳児又は幼児であると判断し、愛玩犬、乳児又は幼児を抱いて降りるようにする場合を考慮するため、『非常に大きい体格モード』に該当するように具現することもできる。
さらに、乗客体格感知部200がカメラ又は超音波センサーの場合は、制御部600は乗客の体重と関わりなく、図4に示すように、胸幅と座高情報を分析して体格モードを判断する。
作動スイッチ700は、駐車操向補助システム動作のためのオン/オフスイッチである。
【0020】
以下、図5を参照して、本発明の実施形態に係る駐車領域自動可変型駐車補助方法を説明する。
先ず、制御部600は、作動スイッチ700のオン/オフ動作に従い駐車モードが選択されたか判断する(S101)。
過程S101の判断結果駐車モードが選択されると、制御部600は、運転席方向モードで駐車すべきか助手席方向モードで駐車すべきかを判断する(S102)。
助手席方向モードで駐車する場合、乗客体格感知部200が助手席の乗客体格情報を感知して制御部600が乗客体格モードを判断し(S103)、運転席方向モードで駐車する場合、乗客体格感知部200が運転席の乗客体格情報を感知して制御部600が乗客体格モードを判断する(S104)。
【0021】
乗客体格感知部200は乗客を撮影又は超音波感知を行い、制御部600は撮影又は超音波感知結果データから乗客の胸幅及び座高を分析して乗客の体格モードを判断する。一方、乗客体格感知部200がODSの場合は、乗客の体重を感知して制御部600に伝達し、制御部600は体重別に乗客体格モードを判断する。
前記判断の結果、乗客体格モードが乗客無しモードの場合(S105)、制御部600は車両と壁面との駐車後の距離を200mmに設定する(S106)。
乗客体格モードが普通体格モードの場合(S107)、制御部600は車両と壁面との駐車後の距離を400mmに設定する(S108)。
【0022】
乗客体格モードが大きい体格モードの場合(S109)、制御部600は車両と壁面との駐車後の距離を600mmに設定する(S110)。
乗客体格モードが大きい体格モードでない場合は非常に大きい体格モードであると判断し、制御部600は車両と壁面との駐車後の距離を800mmに設定する(S111)。
その後、制御部600は駐車空間を探索し、設定された壁面との距離情報を利用して駐車軌跡を算出する(S112)。
ここに、クラスター300は駐車空間探索完了画面を表示し(S113)、自動操向部500を制御して操向を自動制御することにより駐車を行う(S114)。
【0023】
図5には、運転席又は助手席に座った乗客の体格を考慮した駐車領域可変方法を示しているが、本発明は、運転席又は助手席だけでなく後座席の右側又は左側の乗客にも適用される。
さらに、図5には、乗客体格モードを判断して壁面と車両との駐車後の距離を設定する例を示しているが、乗客体格モードを判断せず、乗客の体重別に壁面と車両との駐車後の距離を設定することができる。
【0024】
例えば、乗客の体重が10kg以下の場合は壁面と車両との駐車後の距離を200mmに設定し、乗客の体重が11kg以上で70kg未満の場合は壁面と車両との駐車後の距離を400mmに設定し、乗客の体重が70kg以上で90kg未満の場合は壁面と車両との駐車後の距離を600mmに設定し、乗客の体重が90kg以上の場合は壁面と車両との駐車後の距離を800mmに設定することができる。このように、本発明は、駐車時の乗客の体格又は体重に応じた駐車領域を自動可変することにより、駐車後の乗客の乗下車時に壁面から十分な空間を確保することができるようにして、乗客の利便性を増大させることができる。
【0025】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。

【符号の説明】
【0026】
100:障害物感知部
200:乗客体格感知部
300:クラスター

400:スピーカー
500:自動操向部
600:制御部
700:作動スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車時の車両の乗客の体格を感知する乗客体格感知部と、
前記乗客の体格に応じて駐車場の壁面と車両との駐車後の距離を設定したあと駐車軌跡を算出する制御部と、
前記制御部により制御され、前記算出された駐車軌跡に沿って車両の操向を自動制御する自動操向部と
を含むことを特徴とする駐車領域自動可変型駐車補助システム。
【請求項2】
前記乗客体格感知部は、カメラ又は超音波センサーであることを特徴とする請求項1に記載の駐車領域自動可変型駐車補助システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記乗客体格感知部による結果データから乗客の胸幅情報又は座高情報の少なくとも一つを利用して、乗客の体格モードを判断することを特徴とする請求項1に記載の駐車領域自動可変型駐車補助システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記乗客の体格モードを乗客無しモード、普通体格モード、大きい体格モード、非常に大きい体格モードに区分し、前記乗客の体格モード別に駐車場の壁面と車両との間の駐車後の距離を設定することを特徴とする請求項3に記載の駐車領域自動可変型駐車補助システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記乗客の体格が大きいほど、駐車場の壁面と車両との間の駐車後の距離を広く設定することを特徴とする請求項3に記載の駐車領域自動可変型駐車補助システム。
【請求項6】
駐車時の車両の乗客の体重を感知する乗客体格感知部と、
前記乗客の体重に応じて駐車場壁面と車両との駐車後の距離を設定したあと駐車軌跡を算出する制御部と、
前記制御部により制御され、前記算出された駐車軌跡に沿って車両の操向を自動制御する自動操向部と
を含むことを特徴とする駐車領域自動可変型駐車補助システム。
【請求項7】
前記乗客体格感知部は、
乗客の体重を感知するODSであることを特徴とする請求項6に記載の駐車領域自動可変型駐車補助システム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記乗客の体重が重いほど、駐車場の壁面と車両との間の駐車後の距離を広く設定することを特徴とする請求項6に記載の駐車領域自動可変型駐車補助システム。
【請求項9】
車両の前方、側傍、後方の障害物を感知する障害物感知部と、
前記駐車軌跡を画面に表示するクラスターと
をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の駐車領域自動可変型駐車補助システム。
【請求項10】
車両に搭乗した乗客の体格を感知する過程と、
前記車両に搭乗した乗客の体格に応じて駐車場の壁面と車両との駐車後の距離を設定する過程と、
前記設定された駐車後の距離に沿って駐車軌跡を算出する過程と、
前記算出された駐車軌跡に沿って駐車補助を行う過程と
を含むことを特徴とする駐車領域自動可変型駐車補助方法。
【請求項11】
前記車両に搭乗した乗客の体格を感知する過程は、
車両に搭乗した乗客を撮影又は超音波感知する過程と、
前記撮影又は超音波感知結果に従い乗客の体格を判断する過程と
を含むことを特徴とする請求項10に記載の駐車領域自動可変型駐車補助方法。
【請求項12】
前記撮影又は超音波感知結果から座高情報又は胸幅情報の少なくとも一つを利用して、前記乗客の体格を判断することを特徴とする請求項11に記載の駐車領域自動可変型駐車補助方法。
【請求項13】
駐車時に運転席方向モードで駐車すべきか、助手席方向モードで駐車すべきかを判断する過程と、
前記運転席方向モードで駐車する場合は運転席方向の乗客の体格を感知し、前記助手席方向モードで駐車する場合は助手席方向の乗客の体格を感知する過程と
をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の駐車領域自動可変型駐車補助方法。
【請求項14】
車両に搭乗した乗客の体重を感知する過程と、
前記車両に搭乗した乗客の体重に応じて駐車場の壁面と車両との駐車後の距離を設定する過程と、
前記設定された駐車後の距離に応じて駐車軌跡を算出する過程と、
前記算出された駐車軌跡に沿って駐車補助を行う過程と
を含むことを特徴とする駐車領域自動可変型駐車補助方法。
【請求項15】
前記駐車後の距離を設定する過程は、
前記乗客の体重が重いほど、前記駐車後の距離を広く設定することを特徴とする請求項14に記載の駐車領域自動可変型駐車補助方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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