説明

駐輪装置

【課題】設置を容易とするとともに、盗難を防止することができる駐輪装置を提供する。
【解決手段】駐輪した自転車を乗り出す際には、駐輪装置の利用料金を硬化投入口へ投入した後、駐輪時にロック機構付き精算機より抜き取ったロック解除鍵を鍵挿入穴に挿入するとともに、ロック解除鍵を解錠方向に回して解錠操作を行うと(SB2)、ロック板表示に「解除」が表示される(SB3)。このとき、ロック解除鍵による解錠操作によってロック機構のロック板の回動が自在となり、ロック板による車輪の拘束状態が解除されるため、自転車の乗り出しが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車を拘束するロック機能を備えた駐輪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等の駐輪場には、駐輪装置が設けられており、自転車を駐車できるように構成されている。
【0003】
このような駐輪装置を構成する駐輪用ラックには、自転車の車輪を支持する為の支持レールが各駐輪箇所に設けられており、各支持レールに支持された車輪を対応する電動式ロック機構でロックできるように構成されている。各電動式ロック機構は、駐輪場内に設けられた精算機に接続されており、該精算機によって一括管理されている。
【0004】
そして、駐輪した自転車を乗り出す際には、駐輪箇所に設定された駐輪番号を前記精算機に入力するとともに、このとき表示された料金を精算機に投入する。すると、入力した駐輪番号の電動式ロック機構が作動してアンロック状態となり、自転車を乗り出せるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の駐輪装置にあっては、駐輪用ラックに設けられた総ての電動式ロック機構と精算機とをケーブルで接続しなければならず、設置時には、配線に苦労を要する。
【0006】
また、精算機において、駐輪番号を入力して料金を支払うことで、その駐輪番号の電動式ロック機構をアンロック状態にする構造上、料金さえ支払えば誰でもロック状態を解除することができる。このため、自転車を駐輪箇所にロックしたにも関わらず、自転車に鍵を掛けなければならなかった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、設置を容易とするとともに、盗難を防止することができる駐輪装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の駐輪装置にあっては、装置本体の駐輪箇所に駐輪された自転車を拘束するロック装置が各駐輪箇所毎に設けられた駐輪装置において、前記ロック装置に、対応する前記駐輪箇所に配置された自転車を拘束したロック状態及び該ロック状態を解除したアンロック状態を形成するロック機構と、該ロック機構を前記ロック状態にした際に挿入穴から抜き取られ、前記ロック機構を前記アンロック状態にする際に前記挿入穴に挿入される鍵と、前記挿入穴に挿入した前記鍵を解錠操作して前記ロック状態の前記ロック機構を前記アンロック状態にする際に料金を精算した後に前記鍵による前記解錠操作を可能とする料金精算手段と、を設けた。
【0009】
すなわち、装置本体の駐輪箇所に自転車を駐車する際には、対応するロック装置のロック機構によって前記駐輪箇所に配置された自転車を拘束したロック状態を形成するとともに、挿入穴に挿入された鍵を抜き取って保管する。
【0010】
これにより、前記自転車は、装置本体の駐輪箇所に拘束された状態で保持される。
【0011】
一方、前記駐輪箇所に拘束された自転車を取り出す際には、当該駐車装置を使用する為の料金を精算する。このとき、この料金の精算は、当該駐車箇所に設けられたロック装置で行われる。
【0012】
そして、料金を精算した際には、保管しておいた鍵を前記挿入穴に挿入するとともに、当該鍵を解錠操作することによって、前記ロック状態にある前記ロック機構を前記アンロック状態にする。
【0013】
これにより、前記駐輪箇所の自転車は、前記ロック機構による拘束状態が解除され、当該自転車の乗り出しが可能となる。
【0014】
このとき、前記ロック機構による拘束状態を解除する際には、前記鍵が必要となる。このため、前記鍵を持たない他者による自転車の持ち出しが防止される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明の駐輪装置にあっては、駐輪箇所に拘束された自転車を乗り出す際の料金の精算を、当該駐輪箇所に設けられたロック装置で行うことができる。
【0016】
このため、ロック装置が電動式で構成され、各駐輪箇所での精算を駐輪場内に設けられた精算機で一括管理する従来のように、総てのロック装置と精算機とをケーブルで接続するといった配線作業が不要となり、設置が容易となるとともに、設置時の導入コストを抑えることができる。
【0017】
一方、料金を精算してロック機構による自転車の拘束状態を解除する際には、自転車を駐車したときに挿入穴から抜き取った鍵が必要となる。
【0018】
このため、精算機に駐輪番号を入力して料金を支払うだけで、その駐輪番号の電動式ロック機構をアンロック状態にしてしまう従来と比較して、前述した鍵を持たない他者による自転車の持ち出しを防止することができる。
【0019】
したがって、自転車に鍵を掛けておかなくとも、駐輪箇所に拘束した状態で盗難を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態を図面に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる駐輪装置1を示す図であり、該駐輪装置1は、スーパーマーケット等の駐輪場2に設けられている。
【0021】
この駐輪装置1は、装置本体11を構成する駐輪用ラック12を備えてなり、該駐輪用ラック12は、並行に横設された駐輪ラック固定レール13,13と、両駐輪ラック固定レール13,13に架橋された複数の支持レール14,・・・とを備えている。隣接する支持レール14,14は、駐輪対象となる自転車15の幅寸法に応じた所定間隔をおいて設けられており、各支持レール14,・・・は、自転車15を駐輪する駐輪箇所16,・・・に設定されている。前記各支持レール14,・・・は、例えば上方に開口した断面U字状に形成されており、このU字溝17に自転車15の車輪18を挿入した状態で、当該自転車15を当該支持レール14に沿って移動できるように構成されている。
【0022】
前記各支持レール14,・・・の先端部には、図1及び図2に示すように、ロック装置としてのロック機構付き精算機21,・・・が設けられており、このロック機構付き精算機21は、前記支持レール14の左側部に固定された精算機本体22と、該精算機本体22にロック機構固定金具23を介して固定されたロック機構24とによって構成されている(図2参照)。
【0023】
このロック機構24は、図3にも示すように、前記精算機本体22に設けられたロック解除錠31と、該ロック解除錠31に連動するメカ機構32と、該メカ機構32の動作に従って長さ方向に移動するガイド33,33に支持されたストッパー制御板34と、前記精算機本体22に回転軸35を介して回動自在に支持されたロック板36とを備えており、該ロック板36は、その自由端部が当該精算機本体22より前記支持レール14上に延出するように構成されている(図1参照)。前記ロック板36の基端には、ストッパー37が突設されており、該ストッパー37と前記精算機本体22との間には、コイルスプリング38が張設され回転力が付与されている。
【0024】
前記ストッパー制御板34は、図3の(a)に示したように、前記ロック解除錠31がロック状態のときに基端が前記メカ機構32の操作レバー41で押されることによって、その先端が前記ロック板36の基端に当接するように構成されており、この当接状態において、前記コイルスプリング38によって回転が付与された前記ロック板36の車輪挿入方向への回動は許容する一方、車輪引出への回動を阻止できるように構成されている。
【0025】
また、前記ストッパー制御板34は、図3の(b)に示したように、前記ロック解除錠31がアンロック状態のときに、前記メカ機構32の前記操作レバー41が前記ロック板36の基端から離間するように構成されており、この離間状態において、前記ロック板36の回動が自在となるように構成されている。
【0026】
これにより、図1に示したように、自転車15の車輪18が前記支持レール14に沿って進入してきた際には、前記ロック機構24より前記支持レール14上に延出した前記ロック板36が前記車輪18のスポーク51,・・・間に自動的に挿入されるとともに、この挿入状態において当該ロック板36の回動が阻止されることによって、前記自転車15を当該支持レール14が設けられた駐輪箇所16に拘束したロック状態を形成できるように構成されており、所定の解除操作を行うことによって、図3の(b)に示したように、前記ロック板36の回動を許容して前記自転車15の乗り出しを自在とするアンロック状態を形成できるように構成されている。
【0027】
前記精算機本体22は、矩形ボックス状に形成されており、該精算機本体22の右下には、鍵挿入穴101が設けられいる。該鍵挿入穴101には、前記ロック機構24を前記アンロック状態にする際にロック解除鍵102が挿入されるように構成されており、前記ロック機構24が前記ロック状態となった際には、当該鍵挿入穴101から前記ロック解除鍵102を抜き取れるように構成されている。
【0028】
前記鍵挿入穴101の上部には、駐輪料金を精算する際にコインを投入する為の硬化投入口111が設けられており、該硬化投入口111に硬化を投入して駐輪料金の精算を行うことによって、前記ロック状態の前記ロック機構24を前記アンロック状態にする為の前記ロック解除鍵102による解錠操作を行えるように構成されている。
【0029】
前記硬化投入口111の左側部には、ロック板表示部112が設けられており、前記ロック板36による車輪18の施錠及び解除が示されるように構成されている。これにより、当該ロック板表示部112によって、前記ロック板36が前記車輪18を拘束した前記ロック状態のときに「施錠」と表示するとともに、前記車輪18の移動を許容した前記アンロック状態のときに「解除」と表示するように構成されている。
【0030】
このロック板表示部112の下部には、管理者用鍵穴121が設けられており、該管理者用鍵穴121には、当該駐輪装置1を管理する管理者が所有する図外の管理者用解除鍵を挿入できるように構成されている。これにより、例えば前記ロック解除鍵102を無くした場合であっても、前記管理者用解除鍵を使用することによって、前記ロック状態にある前記ロック機構24を前記アンロック状態にできるように構成されている。
【0031】
この精算機本体22の下部には、集金ボックス131が設けられている。該集金ボックス131は、引き出し形状に形成されており、当該集金ボックス131には、前記硬化投入口111から投入された硬化が収容されるよう構成されている。この集金ボックス131の前面には、集金ボックス開閉鍵穴132が設けられており、該集金ボックス開閉鍵穴132には、図外の集金ボックス鍵を抜き差しできるよう構成されている。
【0032】
これにより、前記集金ボックス鍵によって、前記集金ボックス131の手前側への引き出しを禁止したロック状態と、前記集金ボックス131の手前側への引き出しを自在とするアンロック状態とを選択的に形成できるように構成されており、前記管理者が保管した前記集金ボックス開閉鍵を使用することにって、前記集金ボックス131に収容された硬化を回収できるように構成されている。
【0033】
以上の構成に係る本実施の形態において、前記駐輪装置1を使用する際の動作を、図4及び図5に示すフローチャートに従って説明する。
【0034】
すなわち、前記駐輪装置1に自転車15を駐輪する際には、駐輪用ラック12の各駐輪箇所16に設けられた前記支持レール14に空きがあるか否かを確認する。このとき、自転車15が駐輪されていない支持レール14に対応したロック機構付き精算機21において、前記ロック板表示部112には、前記アンロック状態を示す「解除」が表示されている(S1)。
【0035】
そして、この空いた支持レール14のU字溝17に自転車15の前輪を載せるとともに(S2)、この前輪を当該支持レール14に沿って前進させることにより、当該自転車15の車輪18によって前記ロック板36を押す(S3)。
【0036】
このとき、前記支持レール14上には、前記ロック機構24からのロック板36が車輪挿入方向へ水平に回動自在に延出しており、前記自転車15の車輪18が前記支持レール14に沿って進入してきた際には、前記ロック板36が前記車輪18のスポーク51,51間に自動的に挿入されることとなるので、前記ロック板36が前輪のタイヤ内輪に掛かったか否かを判断する(S4)。前記ロック板36が前輪のタイヤ内輪に掛かっていない場合には、前記自転車15の前進を継続する一方(S3)、前記ロック板36が前輪のタイヤ内輪に掛かり、当該ロック板36の回動が前記ロック機構24によって阻止され、前記自転車15が当該支持レール14が設けられた駐輪箇所16に拘束されたロック状態となった際には、前記ロック板表示部112に前記ロック状態を示す「施錠」が表示される。
【0037】
このとき、前記鍵挿入穴101に挿入された前記ロック解除鍵102は、抜き取れるように構成されている。このため、前記自転車15を駐輪した利用者は、前記鍵挿入穴101から前記ロック解除鍵102を抜き取るとともに(S5)、この前記ロック解除鍵102を保管して買い物等に出掛ける。
【0038】
この状態において、前記自転車15は、前記車輪18が前記ロック板36によって固定され、前記装置本体11の駐輪箇所16に拘束された状態で保持される。
【0039】
一方、前記駐輪装置1に駐輪した自転車15を乗り出す際には、図5に示したように、前記駐輪用ラック12の駐輪箇所16に駐輪された自転車15が自分の自転車15であることを確認する(SB1)。そして、当該駐輪装置1の利用料金を硬化投入口111へ投入した後、駐輪時に当該ロック機構付き精算機21より抜き取って保管していたロック解除鍵102を鍵挿入穴101に挿入するとともに、当該ロック解除鍵102を解錠方向に回して解錠操作を行う(SB2)。このとき、この料金の精算は、各駐車箇所に設けられた前記ロック機構付き精算機21で行われる。
【0040】
すると、当該ロック機構付き精算機21において、前記ロック板表示部112には、前記アンロック状態を示す「解除」が表示されるので、この「解除」の表示を確認する(SB3)。
【0041】
このとき、前記ロック解除鍵102による解錠操作によって、前記ロック機構24より延出した前記ロック板36の回動が自在となり、当該ロック板36による前記車輪18の拘束状態が解除されるため、当該駐輪箇所16の自転車15の乗り出しが可能となる。このため、当該駐輪箇所16に駐輪された自転車15を前記支持レール14に沿って後退させる(SB4)。
【0042】
このとき、前記ロック機構24による拘束状態を解除する際には、前記ロック解除鍵102が必要となる。このため、前記ロック解除鍵102を持たない他者による自転車15の持ち出しが防止される。
【0043】
そして、自転車15の車輪18が前記ロック板36を通過したか否かを確認し(SB5)、前記車輪18が前記ロック板36を通過していない場合には、前記自転車15を前記支持レール14に沿って後退させる一方(SB4)、自転車15の車輪18が前記ロック板36を通過し該ロック板36による拘束が開放された際には、前記支持レール14から前記車輪18を降ろすことによって出庫が完了する(SB6)。
【0044】
以上説明したように、前記駐輪箇所16に拘束された自転車15を乗り出す際の料金の精算を、当該駐輪箇所16に設けられたロック機構付き精算機21で行うことができる。
【0045】
このため、ロック装置が電動式で構成され、各駐輪箇所16,・・・での精算を駐輪場2内に設けられた精算機で一括管理する従来のように、総てのロック装置と精算機とをケーブルで接続するといった配線作業が不要となり、設置が容易となるとともに、設置時の導入コストを抑えることができる。
【0046】
一方、料金を精算して前記ロック機構24による自転車15の拘束状態を解除する際には、自転車15を駐車したときに鍵挿入穴101から抜き取った前記ロック解除鍵102が必要となる。
【0047】
このため、精算機に駐輪番号を入力して料金を支払うだけで、その駐輪番号の電動式ロック機構をアンロック状態にしてしまう従来と比較して、前述したロック解除鍵102を持たない他者による自転車15の持ち出しを防止することができる。
【0048】
したがって、自転車15に鍵を掛けておかなくとも、前記駐輪箇所16に拘束した状態で盗難を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態を示す模式図である。
【図2】同実施の形態のロック機構付き精算機を示す説明図である。
【図3】同実施の形態のロック機構を示す図であり、(a)はロック状態を示す図、(b)はアンロック状態を示す図である。
【図4】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】図4に続く動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 駐輪装置
11 装置本体
12 駐輪用ラック
15 自転車
16 駐輪箇所
18 車輪
21 ロック機構付き精算機
24 ロック機構
36 ロック板
101 鍵挿入穴
102 ロック解除鍵
111 硬貨投入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の駐輪箇所に駐輪された自転車を拘束するロック装置が各駐輪箇所毎に設けられた駐輪装置において、
前記ロック装置に、
対応する前記駐輪箇所に配置された自転車を拘束したロック状態及び該ロック状態を解除したアンロック状態を形成するロック機構と、
該ロック機構を前記ロック状態にした際に挿入穴から抜き取られ、前記ロック機構を前記アンロック状態にする際に前記挿入穴に挿入される鍵と、
前記挿入穴に挿入した前記鍵を解錠操作して前記ロック状態の前記ロック機構を前記アンロック状態にする際に料金を精算した後に前記鍵による前記解錠操作を可能とする料金精算手段と、
を設けたことを特徴とする駐輪装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−46694(P2008−46694A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219075(P2006−219075)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000210964)中央電子株式会社 (81)
【Fターム(参考)】