説明

騒音監視システムおよび騒音監視方法

【課題】コストの低減を図ることができるとともに、管理基準値以上の騒音の音源特定性能に優れる騒音監視システムおよび騒音監視方法を提供することを目的とする。
【解決手段】エリア20内の所定の箇所に配置された複数の騒音源21,22から発生する騒音を検知測定するとともに、各騒音源21,22からの騒音をそれぞれ検知測定可能とする前記エリア20内の少なくとも2ヶ所に配置される検知測定手段と、最大音源となる地点の解析用音圧データを特定する特定手段と、最大音源となる地点の解析用音圧データと、予め設定された管理基準値とを比較判定する比較判定手段と、比較判定結果を出力する出力手段7,8とを備える。これにより、リアルタイムで騒音を監視できるとともに、任意に設定した管理基準値以上の騒音が発生した場合に、複数ある騒音源のうち、どれが原因の騒音源であるかを瞬時に判断できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設工事で生じる騒音を管理値内で監視するための騒音監視システムおよび騒音監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に都市部における建設現場などでは、従来、近隣への情報開示等の意味で、場内の作業予定や作業内容が判る看板を設置したり、仮囲いの一部に覗き窓を付けたり、また、隣接地域の騒音等の環境問題を管理するために、特許文献1に記載のような音源探査用の測定ユニットを設置したりすることが常時行われている。
この特許文献1に記載の測定ユニットは、互いに交わる2つの直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対と、これら2組のマイクロフォン対の作る平面上にない第5のマイクロフォンとからなるマイクロフォン群を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−111183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の測定ユニットでは、騒音源からの騒音を集音・測定し、かつ近隣に対して騒音を発している騒音源を特定するために、少なくとも5つのマイクロフォンを必要としているが、コスト低減を図るために、マイクロフォンの使用数を減らしたいという要望があった。
これに対し、マイクロフォンの使用数を減らすことによって、近隣に対して騒音を発している騒音源の特定する性能を無闇に低下させたくないという要望もある。
このため、マイクロフォンの使用数を減らしてコスト低減を図るだけでなく、優れた音源特定性能を発揮することが可能な技術の開発が望まれていた。
【0005】
本発明の課題は、コストの低減を図ることができるとともに、管理基準値以上の騒音の音源特定性能に優れる騒音監視システムおよび騒音監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、騒音監視システムであって、エリア内の所定の箇所に配置された複数の騒音源から発生する騒音を検知測定するとともに、各騒音源からの騒音をそれぞれ検知測定可能とする前記エリア内の少なくとも2ヶ所に配置される検知測定手段と、
この検知測定手段によって得られた騒音の音圧データを比較して、最大音源となる地点の解析用音圧データを特定する特定手段と、
この特定手段によって特定された最大音源となる地点の解析用音圧データと、予め設定された管理基準値とを比較判定する比較判定手段と、
この比較判定手段によって、特定された最大音源となる地点の解析用音圧データが管理基準値を上回る値であると判定された場合に、この比較判定結果を出力する出力手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の騒音監視システムにおいて、前記検知測定手段によって検知測定された騒音を周波数分析して、卓越する周波数帯からなる音圧データを抽出する抽出手段を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の騒音監視システムにおいて、前記エリアに近隣する地点に配置されるとともに、前記エリア内の複数の騒音源から発生する騒音を検知測定する近隣地点用検知測定手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、騒音監視方法であって、エリア内の所定の箇所に複数の騒音源を配置し、
各騒音源からの騒音をそれぞれ検知測定可能とする前記エリア内の少なくとも2ヶ所に、前記複数の騒音源から発生する騒音を検知測定するための検知測定手段を配置し、
この検知測定手段によって得られた騒音の音圧データを比較して、最大音源となる地点の解析用音圧データを特定手段によって特定し、
この特定手段によって特定された最大音源となる地点の解析用音圧データと、予め設定された管理基準値とを比較判定手段によって比較判定し、
この比較判定手段によって、特定された最大音源となる地点の解析用音圧データが管理基準値を上回る値であると判定された場合に、この比較判定結果を出力手段によって出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リアルタイムで騒音を監視できるとともに、任意に設定した管理基準値以上の騒音が発生した場合に、複数ある騒音源のうち、どれが原因の騒音源であるかを瞬時に判断することができる。
これにより、例えば建設工事現場においては、直ちに騒音を発している建設機械のオペレーターに操作方法を改善させることができるので、騒音を適切に管理することが可能となる。また、騒音のリアルタイムでの常時監視が可能であるため、建設機械等の操作方法の問題なのか、建設機械自体の問題なのかを素早く判断することが可能である。したがって、環境基準法ならびに騒音規制法を遵守するとともに、近隣民家への伝達騒音を管理基準値以下で建設作業を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の騒音監視システムの概要を示す概略図である。
【図2】騒音監視対象エリアを示す概略図である。
【図3】図2とは異なる騒音監視対象エリアを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る騒音監視システムの一例を示す概略図である。
図1において符号1は、システム本体を示す。
このシステム本体1は、エリア20内に適宜配置されるマイクロフォン2と、
このマイクロフォン2に接続される騒音計3と、
騒音計によって測定された騒音の音圧データをアナログからデジタルへと変換するA/D交換ユニット4と、
各種プログラムを処理実行する処理CPU5(Central Processing Unit)と、
図示しないRAM(Random Access Memory)と、
各種データやプログラムが格納される記憶装置6と、
システム本体1内に各種情報を入力するための入力手段(図示せず)と、
エリア20内の複数の騒音源21,22近傍に配置されるとともに、得られた情報を出力するための出力手段7,8と、
システム本体1と外部との間で情報を授受するための通信ユニット9とを備えている。
【0013】
前記マイクロフォン2は、音響信号を電気信号へ変換する電気音響変換器であり、図1および図2に示すように、屋外に設置されるため、防鳥・防雨・防風のためのカバー2aを装着してなる。特に、防風しておくことによって風による雑音を防ぐことができるので好ましい。
【0014】
また、前記騒音計3は、その構成について何ら限定されるものではないが、本実施の形態においては、騒音レベル(LA)および音圧レベル(Lp)を測定でき、JIS規格で規定された普通騒音計が用いられている。
なお、前記マイクロフォン2と騒音計3とは、ケーブルによって接続されている。
また、この騒音計3による騒音計測を、同様のプログラムを用いて、前記処理CPU5によって代わりに行うことも可能となっている。
【0015】
また、前記記憶装置6はハードディスク装置によって構成されており、この記憶装置6には、データ記憶部とプログラム記憶部とを備えている。
データ記憶部には、騒音源21,22の種別(例えば、建設機械など)や位置情報等の騒音源21,22に関する情報を記憶する騒音源情報記憶部や、
検知測定された騒音の音圧データを記憶する音圧データ記憶部、
最大音源となる地点の解析用音圧データ(後述する)を記憶する最大音源地点データ記憶部、
環境基準法および騒音規制法に基づく騒音の管理基準値を記憶する管理基準値記憶部、
最大音源となる地点の解析用音圧データと管理基準値との比較判定結果(後述する)を記憶する比較判定結果記憶部、等の諸情報がデータ化されている。
また、プログラム記憶部には、最大音源となる地点の解析用音圧データを特定するための特定プログラムや、
最大音源となる地点の解析用音圧データと管理基準値との比較判定する比較判定プログラム、
比較判定結果を出力手段7,8によって出力させるための出力プログラム、等が記憶されている。
【0016】
また、前記出力手段7はディスプレイによって構成されている。このディスプレイ7は、前記建設機械21,22のオペレーターから見える位置に設けられていることが好ましく、操縦席にいながら確認できることが望ましい。
【0017】
さらに、前記出力手段8は警報装置によって構成されている。この警報装置8は、光と音とを発するものであり、前記建設機械21,22のオペレーターから見える位置または警報音が聞こえる位置に設けられていることが好ましく、操縦席にいながら確認できることが望ましい。
【0018】
また、前記システム本体1は、前記通信ユニット9を介して、エリア20外や遠隔地に設置された管理者用コンピューター10と接続されている。
この管理者用コンピューター10は、前記エリア20内の音を出力するスピーカー11と、前記システム本体1から送信されてきた情報を印刷するプリンター12とを備えており、リアルタイムで前記エリア20内の音を確認できたり、帳票13を作成できる。
【0019】
さらに、前記システム本体1は、前記通信ユニット9を介してリモコン14と接続されており、このリモコン14を用いてエリア20外からシステム本体1の各種プログラムを実行できるようになっている。また、このリモコン14に、光と音とを発する機能を持たせることによって、前記出力装置8と同様の警報装置として用いることも可能となっている。
【0020】
なお、前記マイクロフォン2および出力手段7,8を除く、システム本体1の各構成要素は、前記エリア20内に配置されていてもよいし、前記エリア20外の、例えば作業員詰所等のような場所に配置されていてもよい。
また、前記マイクロフォン2および出力手段7,8を除く、システム本体1の各構成要素は、一つの装置として、まとめて一つの筐体内に設けられていてもよいし、一つの筐体内に設けられていなくてもよい。
【0021】
また、前記エリア20は、図2に示すように、本実施の形態においては建設工事現場であり、騒音源21,22はそれぞれ建設機械とされている。
なお、本実施の形態においてエリア20は建設工事現場とされているが、これに限られるものではなく、適宜変更可能であり、同様に前記騒音源21,22も、建設機械に限られるものではない。
【0022】
また、このエリア20は、例えば該エリア20を仮想的に複数のブロックに区画するなどして、騒音源21,22の位置情報を把握しやすいように構成されている。
この場合、このエリア20内を区画して構成された複数のブロックの位置情報は、入力手段で入力することによって、前記システム本体1の記憶装置6に予め格納されている。
【0023】
そして、前記騒音源21,22である建設機械は、前記エリア20内の所定の箇所に配置されており、前記エリア20内における建設機械21,22の設置箇所情報は、入力手段で入力することによって、前記システム本体1の記憶装置6に予め格納されている。
前記エリア20を仮想的に複数のブロックに区画した場合は、前記建設機械21,22が、どのブロックの箇所に配置されているかを事前に入力し、前記記憶装置6に格納しておく。
【0024】
ここで、本実施の形態の騒音監視システムは、前記マイクロフォン2および騒音計3による騒音の検知・測定と、前記システム本体1内に記憶された各データを用いる各種プログラムの実行とによって構成されている。
すなわち、本実施の形態の騒音監視システムは、エリア20内の所定の箇所に配置された複数の騒音源21,22から発生する騒音を検知測定するとともに、各騒音源21,22からの騒音をそれぞれ検知測定可能とする前記エリア20内の少なくとも2ヶ所に配置される検知測定手段と、
この検知測定手段によって得られた騒音の音圧データを比較して、最大音源となる地点の解析用音圧データを特定する特定手段と、
この特定手段によって特定された最大音源となる地点の解析用音圧データと、予め設定された管理基準値とを比較判定する比較判定手段と、
この比較判定手段によって、特定された最大音源となる地点の解析用音圧データが管理基準値を上回る値であると判定された場合に、この比較判定結果を出力する出力手段7,8とを備えている。
【0025】
前記検知測定手段は、少なくとも前記マイクロフォン2によって構成されている。
そして、このマイクロフォン2は、上述のように、各騒音源21,22からの騒音をそれぞれ検知測定可能とする前記エリア20内の少なくとも2ヶ所に配置されている。
つまり、これらマイクロフォン2,2は、該マイクロフォン2,2を、前記エリア20内の少なくとも2ヶ所に配置し、これらマイクロフォン2,2の配置箇所から前記騒音源21,22を見た際に、これら騒音源21,22を障害物によって妨げられずに見ることができるような位置に配置されている。
【0026】
また、前記特定手段は、導き出された解析用音圧データを用い、前記記憶装置6に格納された特定プログラムに従って、前記処理CPU5によって実行されるものである。
つまり、特定プログラムは、得られた騒音の音圧データのうち、波形の振幅が最も大きいものを特定するものであり、例えば遅延和ビームフォーミング法に基づく解析方法によって構成されている。
この遅延和ビームフォーミング法に基づく解析方法について説明する。
すなわち、それぞれのマイクロフォン2,2で得られた音圧データの位相差(時間差)は、騒音源21,22とマイクロフォン2,2との間の距離に依存している。例えば図2に示す騒音源21から一方のマイクロフォン2までの騒音の到達時間と、騒音源21から他方のマイクロフォン2までの騒音の到達時間とでは若干の時間差があり、それは、騒音源21からの各マイクロフォン2,2までの距離に依存している。
このため、前記マイクロフォン2,2から得られた音圧データを各騒音源21,22の配置箇所から伝達したと仮定し、それぞれのマイクロフォン2,2から得られた音圧データを、仮定した位相差を考慮して重ね合わせた場合、騒音源21,22と仮定した同位相化された(距離間隔が正しい)場合に音圧が大きくなり、位相差がある(距離間隔が正しくない)場合に音圧が小さくなる、というものである。つまり、同位相の信号同士は強め合う性質であることに起因するものである。
【0027】
また、前記比較判定手段は、特定された最大音源となる地点の解析用音圧データと、前記記憶装置6に格納された管理基準値データとを用い、同じく記憶装置6に格納された比較判定プログラムに従って、前記処理CPU5によって実行されるものである。
つまり、比較判定プログラムは、特定された最大音源となる地点の解析用音圧データが管理基準値を上回るか、下回るかを、双方の値を比較して判定するものである。
【0028】
前記出力手段7,8は、上述のように前記ディスプレイ7および警報装置8から構成されており、比較判定結果を用い、記憶装置6に格納された出力プログラムに従って、前記処理CPU5によって実行されるものである。
【0029】
以上のような騒音監視システムによれば、リアルタイムで騒音を監視できるとともに、任意に設定した管理基準値以上の騒音が発生した場合に、複数ある騒音源のうち、どれが原因の騒音源であるかを瞬時に判断することができる。
【0030】
また、以上のような騒音監視システムによる騒音監視方法は、以下の通りである。
まず、図2に示すように、エリア20内の所定の箇所に複数の騒音源21,22を配置する。本実施の形態では、前記エリア20を複数のブロックに区画して、任意のブロックに騒音源21,22を配置する。
【0031】
続いて、各騒音源21,22からの騒音をそれぞれ検知測定可能とする前記エリア20内の少なくとも2ヶ所に、前記複数の騒音源21,22から発生する騒音を検知測定するためのマイクロフォン3を配置する(検知特定手段)。
【0032】
続いて、前記検知測定手段によって騒音の検知測定を始める。
そして、この検知測定手段によって得られた騒音の音圧データを比較して、これら解析用音圧データのうち、波形の振幅が最も大きい、最大音源となる地点の解析用音圧データを、特定プログラムを用いて特定する(特定手段)。
なお、前記検知測定手段によって得られた騒音の音圧データを比較して、最大音源となる地点の解析用音圧データを特定する特定プログラムは、上述の遅延和ビームフォーミング法によって行うものとする。
【0033】
続いて、この特定手段によって特定された最大音源となる地点の解析用音圧データと、予め設定された管理基準値とを、比較判定プログラムを用いて比較判定する(比較判定手段)。
ここで、特定された最大音源となる地点の解析用音圧データが管理基準値を上回る場合は、次の手順へと進行するが、下回る場合は、次の手順へと進行せずに、この段階で手順終了となる。
【0034】
そして、この比較判定手段によって、特定された最大音源となる地点の解析用音圧データが管理基準値を上回る値であると判定された場合には、この比較判定結果を出力手段によって出力する。すなわち、前記ディスプレイ7に、騒音が管理基準値を上回っている旨のメッセージを出力したり、警報装置8によって視覚的および聴覚的に、騒音が管理基準値を上回っている旨を伝達する。
このようにして、前記エリア20内における騒音の監視を行うことができる。
【0035】
なお、比較判定手段については、検知測定手段によって騒音を検知測定した段階で、管理基準値とを直接比較してもよいものとする。
【0036】
以上のような騒音監視方法によれば、リアルタイムで騒音を監視できるとともに、任意に設定した管理基準値以上の騒音が発生した場合に、複数ある騒音源のうち、どれが原因の騒音源であるかを瞬時に判断することができる。
【0037】
なお、上述のように、本実施の形態のマイクロフォン2,2は、該マイクロフォン2,2を、前記エリア20内の少なくとも2ヶ所に配置し、これらマイクロフォン2,2の配置箇所から前記騒音源21,22を見た際に、これら騒音源21,22を障害物によって妨げられずに見ることができるような位置に配置されていなければならない、とされている。
ところが、図3に示すように、エリア30内に複数の騒音源31,32が配置されており、これら騒音源31,32の間に障害物33が設けられている場合がある。また、このような場合に、上述のように2ヶ所にマイクロフォン2を配置しただけでは、当該マイクロフォン2,2から騒音源31,32を見た際に、前記障害物33によって妨げられてしまう場合がある。
このような状態で騒音を検知測定しようとしても、回折等の物理現象により、音源特定の精度を望むことは困難であるため、図3に示すように、マイクロフォン2の数(配置箇所)を追加することが好適である。
すなわち、図3中において上から1番目のマイクロフォン2(便宜上、マイクロフォンAとする)と、上から2番目のマイクロフォン2(マイクロフォンB)との他に、下から1番目のマイクロフォン2(マイクロフォンC)を追加する。
これによって、このマイクロフォンCからは、前記障害物33に妨げられることなく、前記騒音源31を見ることができるとともに、前記障害物33に妨げられることなく、前記騒音源32を見ることができる。したがって、各騒音源31,32からの騒音をそれぞれ検知測定可能とする前記エリア30内の少なくとも2ヶ所に配置される、という条件を満たすことができる。
【0038】
また、前記騒音監視システムは、上述のような検知測定手段や特定手段をはじめとする各手段の他に、例えば、前記検知測定手段によって検知測定された騒音を周波数分析して、卓越する周波数帯からなる音圧データを抽出する抽出手段を備えていてもよい。
すなわち、騒音源となる建設機械21,22の周波数特性がわかっていれば、卓越する周波数帯を抽出した段階で、各騒音の音圧データをある程度分離することが可能である。さらに、卓越する周波数帯だけの音圧データを用い、前記特定プログラムに従って、前記処理CPU5によって実行することで解析用音圧データを導き出すようにすれば、音源特定性能をより向上させることができる。
【0039】
また、前記騒音監視システムは、図2に示すように、前記エリア20に近隣する地点23に配置されるとともに、前記エリア20内の複数の騒音源21,22から発生する騒音を検知測定する近隣地点用検知測定手段を備えていてもよい。
これにより、前記エリア20内の騒音より近隣する地点23の騒音が小さく、かつ、近隣する地点23の騒音が管理基準値を上回る場合だけ音源を特定することも可能となる。
なお、前記近隣地点用検知測定手段は、前記マイクロフォン2および騒音計3によって構成されており、前記エリア20内の騒音計3と同じく、前記A/D交換ユニットに接続されている。
【0040】
本実施の形態によれば、リアルタイムで騒音を監視できるとともに、任意に設定した管理基準値以上の騒音が発生した場合に、複数ある騒音源21,22(31,32)のうち、どれが原因の騒音源であるかを瞬時に判断することができる。
これにより、建設工事現場であるエリア20(30)においては、直ちに騒音を発している建設機械21,22(31,32)のオペレーターに操作方法を改善させることができるので、騒音を適切に管理することが可能となる。また、騒音のリアルタイムでの常時監視が可能であるため、建設機械21,22(31,32)等の操作方法の問題なのか、建設機械21,22(31,32)自体の問題なのかを素早く判断することが可能である。したがって、環境基準法ならびに騒音規制法を遵守するとともに、近隣民家への伝達騒音を管理基準値以下で建設作業を実施することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 システム本体
2 マイクロフォン
3 騒音計
4 A/D交換ユニット
5 処理CPU
6 記憶装置
7 ディスプレイ(出力手段)
8 警報装置(出力手段)
9 通信ユニット
20 エリア
21 騒音源
22 騒音源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリア内の所定の箇所に配置された複数の騒音源から発生する騒音を検知測定するとともに、各騒音源からの騒音をそれぞれ検知測定可能とする前記エリア内の少なくとも2ヶ所に配置される検知測定手段と、
この検知測定手段によって得られた騒音の音圧データを比較して、最大音源となる地点の解析用音圧データを特定する特定手段と、
この特定手段によって特定された最大音源となる地点の解析用音圧データと、予め設定された管理基準値とを比較判定する比較判定手段と、
この比較判定手段によって、特定された最大音源となる地点の解析用音圧データが管理基準値を上回る値であると判定された場合に、この比較判定結果を出力する出力手段とを備えていることを特徴とする騒音監視システム。
【請求項2】
前記検知測定手段によって検知測定された騒音を周波数分析して、卓越する周波数帯からなる音圧データを抽出する抽出手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の騒音監視システム。
【請求項3】
前記エリアに近隣する地点に配置されるとともに、前記エリア内の複数の騒音源から発生する騒音を検知測定する近隣地点用検知測定手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の騒音監視システム。
【請求項4】
エリア内の所定の箇所に複数の騒音源を配置し、
各騒音源からの騒音をそれぞれ検知測定可能とする前記エリア内の少なくとも2ヶ所に、前記複数の騒音源から発生する騒音を検知測定するための検知測定手段を配置し、
この検知測定手段によって得られた騒音の音圧データを比較して、最大音源となる地点の解析用音圧データを特定手段によって特定し、
この特定手段によって特定された最大音源となる地点の解析用音圧データと、予め設定された管理基準値とを比較判定手段によって比較判定し、
この比較判定手段によって、特定された最大音源となる地点の解析用音圧データが管理基準値を上回る値であると判定された場合に、この比較判定結果を出力手段によって出力することを特徴とする騒音監視方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−13030(P2011−13030A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155905(P2009−155905)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000195971)西松建設株式会社 (329)
【Fターム(参考)】