骨固定装置およびモジュラシステム
【課題】 軸部と頭部とが別個の部品として形成された骨固定装置を提供すること。
【解決手段】 骨または脊柱に固定されるべき軸部(2)と、頭部(3)と、軸部(2)をロッドに接続するために頭部(3)を受ける受部(4)とを備える骨固定装置を提供する。軸部(2)と頭部(3)とは別個の部品である。頭部(3)は、円筒状の内面を有するボア(3)と、内面上に設けられたリング状の溝(3)と、頭部(3)の内面から外面(30)まで延在する少なくとも1つのスリット(35)とを含む。軸部(2)は、骨または脊柱に固定される第1部分(21)と、円筒状の外面を有し自由端(27)に隣接する第2部分(23)とを含む。突起(7)が円筒状の外面に設けられ,軸部(2)の円筒状の第2部分(23)が頭部のボア(31)に挿入されると、突起が頭部(3)のリング状の溝(34)に係合する。
【解決手段】 骨または脊柱に固定されるべき軸部(2)と、頭部(3)と、軸部(2)をロッドに接続するために頭部(3)を受ける受部(4)とを備える骨固定装置を提供する。軸部(2)と頭部(3)とは別個の部品である。頭部(3)は、円筒状の内面を有するボア(3)と、内面上に設けられたリング状の溝(3)と、頭部(3)の内面から外面(30)まで延在する少なくとも1つのスリット(35)とを含む。軸部(2)は、骨または脊柱に固定される第1部分(21)と、円筒状の外面を有し自由端(27)に隣接する第2部分(23)とを含む。突起(7)が円筒状の外面に設けられ,軸部(2)の円筒状の第2部分(23)が頭部のボア(31)に挿入されると、突起が頭部(3)のリング状の溝(34)に係合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は骨固定装置に関し、特に、軸部と頭部とが別個の部品として形成された多軸骨固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,835,196号B2は、ねじをロッドに接続するための固定要素について記載している。ねじの軸部と頭部とは別個の部品として形成されている。頭部は球形セグメント状であり、受部に旋回可能に保持されている。一例において、軸部の端部は円筒形状であり、頭部にはスリットが設けられ、円筒状のボアを有し、軸部の円筒状の端部がボアに挿入される。
【0003】
米国特許出願公開第2005/0049588号A1は、脊柱固定ロッドに接続するための多軸骨ねじを開示している。骨ねじの軸部の一端は円錐台形の捕捉構造を有し、捕捉構造は、軸部のねじ切りした端部から離れる方向に直径が大きくなる。保持リングは、円錐形状の中心ボアを有し、これは軸部を受けるために軸部の円錐面に合致する。受部に対する軸部の角度配向は、軸部の端部に作用する脊柱固定ロッドによって固定される。
【0004】
米国特許出願公開第2006/0036252号A1は多軸ねじを開示しており、これはねじを骨に固定するためのねじ切りした軸部を有する。軸部の一端は逆テーパヘッドを有し、拡張した中線から軸部に向かって、および軸部から離れる方向に、先細りになっている。球状の回り継ぎ手は中線よりも小さい開口部を有し、軸部と回転可能に係合するように頭部上にきっちりと嵌められている。
【特許文献1】米国特許第6,835,196号B2
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0049588号A1
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0036252号A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、軸部と頭部とが別個の部品として形成された骨固定装置を提供することであり、軸部と頭部との組立中に簡便かつ信頼性の高い操作を可能にし、組立後軸部を頭部に確実に固定させる。さらに、多様性を有するモジュラシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
当該目的は、請求項1に記載の骨固定装置によって達成される。
本発明のさらなる限定は、従属項に規定される。
【0007】
軸部と頭部とが別個の部品として形成されているため、骨固定装置を使用する際、用途に応じて適切な軸部を選択し、頭部に接続して骨固定装置を形成することができる。特に、長さの異なる軸部を頭部と組合せて設けることができ、在庫保管費用が削減できる。
【0008】
頭部の円筒状のボアと協働する軸部の端部の円筒形状により、軸部を頭部に簡便かつ確実に挿入することが可能となる。頭部にある程度の柔軟性を与える、少なくとも1つのスリットを頭部に設けることによって、挿入の容易性はさらに向上する。組立中に突起が対応する溝に係合することにより、組立て状態において軸部が頭部に確実に保持される。
【0009】
添付の図面を参照すると、実施例の説明から本発明のさらなる特徴および利点が生じるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の実施例
図1から図4を参照して、第1の実施例について説明する。図2の分解図に見られるように、第1の実施例に係る骨固定装置1は、軸部2と、軸部2とは別個に設けられた頭部3と、受部4と、加圧要素5とを備える。さらに、第1の実施例ではリング7が設けられる。これについては以下に詳細に述べる。
【0011】
図4aに見られるように、軸部2は、先端部20と、骨ねじ山22が設けられた第1部分21と、先端部20の反対側の自由端27に隣接する第2部分23とを含み、第2部分23は円筒面を有する。第2部分23は、表面がほぼ平滑である。さらに、第2部分23の外面には円周方向の溝24が設けられている。第2部分23の自由端27は傾斜が付いた形状を有し、自由端27に向かって直径が小さくなる。
【0012】
図3に見られるように、軸部2はさらに同軸ボア25を含む。ボア25は自由端27において開口し、先端部20から所定の距離のところまで延在する。ボア25から第1部分の外面まで延在する横向きの通し孔26を第1部分21に設けることもできる。通し孔26は、骨ねじ山22の頂の間の基部に配置することができる。ボア25と通し孔26とによって、たとえば骨セメントを注入することが可能となり、軸部2の骨における固定が向上する。軸部の自由端27はさらに、捩じ込みツールと係合するための凹部を有する。
【0013】
頭部3はほぼスリーブ形状であり、第1端32と第2端33とを有する。外面30は、球形セグメント状である。円筒状のボア31が設けられ、第1端32から第2端33まで頭部を貫通して延在している。円筒状のボア31のほぼ中心には、円周方向の溝34が設けられている。図3および図4bに見られるように、溝34の断面はほぼ矩形である。
【0014】
さらに、長手方向のスリット35が頭部3に設けられ、第1端32から第2端33まで延在している。本実施例では、第1端32から第2端33まで延在するスリット35を1つだけ示しているが、スリットは第1端32から第2端33まで連続して延在する必要はない。第1端32または第2端33から始まり、それぞれの他方端から所定の距離のところまで延在するスリットを1つ設けてもよい。代替案として、たとえば、第1端32から始まり、第2端33から所定の距離のところまで、および、第2端33から始まり、第1端32から所定の距離のところまで、交互に延在するスリットをいくつか設けてもよい。頭部3のスリットは、頭部3に弾性を与えるよう機能する。以下に述べるように若干寸法が大きい軸部も挿入できるようにし、また、固定要素による最終的な固定後に確実に留められるようにするためである。
【0015】
リング7は止め輪として設けられ、図4cに見られるようにほぼ円形であり、間隙70を有する。リング7は断面がほぼ矩形であり、軸部2の第2部分23上の溝24と、頭部3の円筒状のボア31の溝34とに嵌合するような形状である。間隙70により、リング7はある程度柔軟性を有している。すなわち、その直径はある程度拡大したり縮小したりすることができる。
【0016】
図2および図3に見られるように、受部4はほぼ円筒形状であり、第1端40と、第2端41と、長手方向の軸Zとを有する。同軸ボア42は、第1端40から第2端41まで受部4を貫通して延在している。長手方向のボア42の形状は、第1端40に向かって先細りになっており、頭部3の外面30を収容するための座部43が形成されている。座部はたとえば、球状、円錐状または別の先細り形状を有する。さらに、ほぼU字型の凹部44が受部4内に第2端41に隣接して形成され、2つの自由脚部45および46が形成され、ボア42に対してほぼ垂直に延在するチャネルが構成されて、ロッド60を受ける。
自由脚部45および46の内面には、第2端41に隣接して内側ねじ山47が設けられ、固定要素61が捩じ込まれて、U字型の凹部内にロッド60を固定する。本実施例では、内側ねじ山47は、長手方向の軸に垂直に配置されたねじ山側面を有する平坦なねじ山として設計されているが、ねじ山は他のいかなる適切なねじ山形状であってもよい。
【0017】
さらに図2に示すように、加圧要素5はほぼ円筒形状であり、受部4の同軸ボア42に挿入でき、かつボア内を摺動できるような大きさである。加圧要素5の上側には凹部52が設けられる。凹部52は中空の円筒形のセグメント状であり、その直径は受部4のU字型凹部44の底部の直径にほぼ相当する。加圧要素5の下側51には、中空の球形セグメント状の凹部(図示せず)が設けられ、その直径は頭部3の外径にほぼ相当する。加圧要素5において、その円筒軸に対して同軸にボア53が設けられる。これは中で捩じ込みツールを案内できるようにするためである。使用の際には、図1に見られるように、長手方向のボア42内に加圧要素5が配置され、中空の円筒形のセグメント状凹部52がU字型凹部44と揃うようにする。
【0018】
図5を参照して、第1の実施例に係る骨固定装置1の動作について説明する。
動作の際、まず軸部2を捩じ込みツールと係合させることによって、骨または脊柱に捩じ込むことができる。
【0019】
受部4と、頭部3と、リング7と、加圧要素5とは、予め組立てた状態で供することができる。予め組立てた状態では、リング7は頭部3の円筒状のボア31に挿入され、リング状の溝34に置かれる。さらに、頭部3は受部4の長手方向のボア42内に配置されて座部43上に載せられ、受部4に対して旋回可能となっている。加圧要素5は、受部4の長手方向のボア42内に配置されて、下側51の凹部が頭部3の外面30と対面し、かつ中空の円筒形のセグメント状凹部52がU字型凹部44と揃うようにする。この組立状態において、間隙70によって得られる柔軟性によって、リング7を直径が大きくなるようにさらに広げることができる。また、スリット35によって、頭部3を直径が大きくなるようにさらに広げることができる。
【0020】
軸部2の第2部分23を頭部3の円筒状のボア31内に案内することによって、受部4と、頭部3と、リング7と、加圧要素5とを組立てたものを軸部2に接続することができる。軸部2の上部の自由端27の先細り形状によって、挿入が容易になる。挿入中、リング7が軸部の第2部分23の溝24にきっちりと嵌るまで、頭部3とリング7とが軸部の第2部分23によって若干広げられる。この状態において、リング7は、軸部2の端部の溝24および頭部3の溝34にある。その結果、リング7が頭部3の溝34に形状固定されて係合することによって、軸部2が頭部3から後退しなくなる。
【0021】
軸部2の第2部分23の円筒形状により、軸部2を頭部3に容易かつ簡便に挿入することができる。軸部2の溝24に配置されたリング7によって形成される突起により、軸部2が頭部3に形状固定されることで確実に固定される。
【0022】
軸部2を頭部3に挿入した後でも、受部4の円筒軸Zに対する軸部2の角度配向を変えることができる。動作に際して、ロッドをU字型凹部44に配置して、加圧要素5の中空の円筒形状のセグメント状凹部52に置く。内側ねじ山47と協働することによって、固定要素を脚部45および46の間に捩じ込むことができる。固定要素はロッドに圧力をかけ、その結果ロッドが加圧要素5に圧力をかける。結果として、加圧要素5が頭部3に当接し、受部4に対する頭部3の角度配向が固定される。さらに、頭部3は先細り形状の座部43に当接するため、頭部3が若干圧縮され、軸部2の頭部3への接続がさらに強化される。
【0023】
頭部3のスリットにより、頭部3はある程度弾性を有する。したがって、若干寸法の大きい第2部分23を有する軸部2を頭部3に接続することができる。さらに、固定要素を締付けた際に、この弾性によって軸部2を頭部3に確実に留めることができる。
【0024】
軸部2を頭部3に接続する前に、まず骨または脊柱に捩じ込むと上述したが、代替的に、軸部2をまず頭部3と受部とに接続して固定装置をあらかじめ組み立てた状態にして、その後軸部2を骨または脊柱に捩じ込んでもよい。この捩じ込みは、受部4の長手方向のボア42と加圧要素5のボア53とを通って、軸部2の長手方向のボア25内の構造に捩じ込みツールを案内することによって行われる。したがって、可変性が確保される。
【0025】
第2の実施例
図6から図9を参照して、第2の実施例を説明する。第2の実施例は、軸部および頭部の構造が第1の実施例と異なる。受部4および加圧要素5は第1の実施例と同一であり、ここでは説明しない。図6から図9では、受部4および加圧要素5を省略する。
【0026】
第2の実施例に係る軸部102は、骨ねじ山122が設けられた第1部分121と、第1の直径の円筒状の外面を有する第2部分123とを含み、表面はほぼ平滑である。図8および図9に示すように、軸部102は、第1の実施例の軸部のように長手方向のボアを含んでいない。捩じ込みツールと係合するための凹部126が自由端127に設けられている。第1の実施例のように、軸部102の自由端127は傾斜した形状であり、軸部102の頭部103への挿入が容易である。
【0027】
円周方向に延在する突起107が、第2部分123上に形成されている。突起107は、第2部分123と一体に形成されている。
【0028】
第1の実施例と同様に、頭部103はほぼスリーブ形状である。外面130は球形のセグメント状であり、円筒状のボア131が設けられている。円筒状のボア131のほぼ中央には、円周方向の溝134が設けられている。
【0029】
さらに、複数の長手方向のスリット135が頭部103に設けられ、第1端132から始まり、第2端133から所定の距離のところまで、および第2端133から始まり、第1端132から所定の距離のところまで、交互に延在する。このスリット135の構造により、第1端132の領域および第2端133の領域において頭部103が均一に柔軟となる。
【0030】
第2の実施例の動作は、第1の実施例と同様である。軸部102の自由端127が頭部103の円筒状のボア131に挿入されると、円形の突起107の導入によって頭部103の直径が大きくなる。突起107が円筒状のボア131のリング状の溝134に達すると、頭部103が弾力的に収縮して、突起107が溝134内に入り、軸部102が円筒状のボア131から後退しなくなる。骨固定装置全体を組み立てると、第1の実施例と同様、加圧要素5によって伝えられる圧力によって、軸部102の頭部103への固定がさらに向上する。
【0031】
第1の実施例によれば、軸部2の第2部分23の円筒状の外面から突出する突起がリング7によって形成され、リング7は軸部2の溝24内に配置される。第2の実施例でも同様に、円形の突起107によって、軸部102の第2部分123の円筒状の外面から突出する突起が形成される。この突起107は第2部分123と一体に形成される。いずれの場合でも、第2部分23、123の外面の円筒形状によって、軸部2、102を頭部3、103の円筒状のボア31、131に容易かつ簡便に挿入することができる。さらに、いずれの場合でも、軸部2、102は不用意に後退しないように突起7、107によって固
定されている。突起7、107は、頭部3、103に設けられた溝34、134と係合する第2部分23、123の外面から突出する。スリット35、135によってそれぞれの頭部3、103が柔軟になり、さらに挿入が容易になる。
【0032】
第3の実施例
図10および図11に第3の実施例を示す。第3の実施例は、頭部および加圧要素の構造が第1のおよび第2の実施例と異なる。その他の構造は第1のおよび第2の実施例と同様であり、ここでは説明しない。
【0033】
第1のおよび第2の実施例に係る骨固定装置は、軸部2、102および受部4のいわゆる多軸接続を供する。これに対し、第3の実施例に係る骨固定装置は、軸部202および受部4の単軸接続を供する。軸部202は第1の実施例の軸部2と同様に構成され、第1部分221と、自由端227に隣接する円筒状の第2部分223と、溝224とを含むが、長手方向のボアと通し孔とを含まない。
【0034】
図10に示すように、第3の実施例においては、頭部および加圧要素は別個の部品としてではなく、頭部203として一体に形成されている。頭部203はほぼ円筒形状であり、円筒状の外面230を有し、受部4の長手方向のボア42に挿入できる大きさである。頭部203の外径は、第1端203aにおいて球状に先細りとなっている。反対側の第2端203bは、第1の実施例の加圧要素5の上側50と同様に形成されている。すなわち、円筒状の凹部252が第2端203bに形成されている。複数のスリット235が、第1端203aから始まり、第2端203bから所定の距離のところまで延在している。スリット235によって、頭部203が柔軟になる。代替的に、スリット235を1つだけ設けてもよい。
【0035】
頭部203は、第1の実施例の頭部3と同様に、円筒状のボア231とリング状の溝234とを有する。
【0036】
第3の実施例に係る組立は、第1の実施例と同様である。動作の際、頭部203が受部4の長手方向のボア42に挿入される。止め輪7が第2部分223の溝224に配置される。次に、軸部202の円筒状の第2部分223が頭部203の円筒状のボア231に挿入され、頭部203はスリット235によって与えられる柔軟性によって若干広がる。軸部202は、止め輪7が頭部203に設けられたリング状の溝234に対面するまで挿入され、その後頭部203の柔軟性によって止め輪7が溝234に係合する。その結果、軸部202が頭部203から後退しなくなる。
【0037】
ロッド60を挿入した後に固定要素61が挿入され、ロッド60を受部4に固定する。固定要素61を締め付ける間、頭部203の第2端203bに圧力がかかる。頭部203は受部4の第1端40に当接される。長手方向のボア42の先細り形状と頭部203に設けられたスリット235とによって頭部203が圧縮され、軸部202が頭部203内に確実に固定される。
【0038】
代替的な動作方法においては、まず止め輪を頭部203のリング状の溝234に配置し、その後軸部202を挿入してもよい。
【0039】
さらなる変形例
多軸骨固定装置のさらなる変形例において、軸部は第1の実施例の軸部2と同様に形成され、第2部分23の円筒状の外面に溝24を設ける。第1の実施例に対し、リング7は省略され、頭部3の円筒状のボア31における溝34の代わりに、円筒状のボア31よりも直径が小さいリング状の突起を円筒状のボア31内に一体に形成する。軸部2を円筒状
のボア31に挿入すると、このリング状の突起が軸部2の溝24と係合する。
【0040】
その結果、第1のおよび第2の実施例について説明したのと同様の接続が得られる。この構造は、第3の実施例に示した単軸接続にも適用できる。
【0041】
第1のおよび第3の実施例におけるリング7は、ボア31、231の円筒状の内面に設けられた突起を形成すると考えられる。リング7によって形成される突起は、軸2、202上に設けられた溝24、224と係合する。
【0042】
頭部に設けられた溝と協働する第2の実施例に係る突起107の構造は、第3の実施例に係る単軸接続に適用することができる。
【0043】
上記の実施例では、多軸骨固定装置におけるロッドの固定および軸部の角度配向を単一の固定要素によって行なうと述べたが、ロッドと頭部とを別個に固定するために2つの固定要素を設けることも可能である。代替的には、外側ナットによって固定要素を形成してもよい。この外側ナットは、受部の自由端に設けられた外側ねじ山に捩じ込まれる。
【0044】
上述の実施例では、加圧要素は上面に溝を有している。しかし、加圧要素に平坦な上面を設けることも可能である。
【0045】
さらなる変形例が可能である。たとえば、第2の実施例に係る頭部の特徴を第1の実施例に係る軸部と組合せてもよく、またその逆も同様である。
【0046】
同軸ボアを含むまたは含まない、かつ異なる種類の骨ねじ山を有する、異なる種類の軸部を設けて、モジュラシステムを形成することができる。このようなシステムにおいて、フックを設けてもよい。さらに、異なる種類の頭部を設けて、それぞれの用途に応じて軸部と組合せてもよい。このように、用途が多様なモジュラシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】組立状態における第1の実施例に係る骨固定装置の斜視図である。
【図2】図1の骨固定装置の分解図である。
【図3】図1の骨固定装置の断面図である。
【図4】図4aは第1の実施例に係る軸部の図である。図4bは第1の実施例に係る頭部の図である。図4cは第1の実施例に係る止め輪の図である。
【図5】第1の実施例に係る骨固定装置の組立を示す斜視図である。
【図6】第2の実施例に係る軸部および頭部の斜視図である。
【図7】図6の実施例の分解図である。
【図8】組立状態における図6の実施例の上部断面図である。
【図9】第2の実施例に係る軸部および頭部の分解断面図である。
【図10】第3の実施例の分解図である。
【図11】組立状態における第3の実施例の上部断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 骨固定装置、2 軸部、3 頭部、4 受部、5 加圧要素、7 突起、42 同軸ボア、45,46 自由脚部、47 内側ねじ山。
【技術分野】
【0001】
本発明は骨固定装置に関し、特に、軸部と頭部とが別個の部品として形成された多軸骨固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,835,196号B2は、ねじをロッドに接続するための固定要素について記載している。ねじの軸部と頭部とは別個の部品として形成されている。頭部は球形セグメント状であり、受部に旋回可能に保持されている。一例において、軸部の端部は円筒形状であり、頭部にはスリットが設けられ、円筒状のボアを有し、軸部の円筒状の端部がボアに挿入される。
【0003】
米国特許出願公開第2005/0049588号A1は、脊柱固定ロッドに接続するための多軸骨ねじを開示している。骨ねじの軸部の一端は円錐台形の捕捉構造を有し、捕捉構造は、軸部のねじ切りした端部から離れる方向に直径が大きくなる。保持リングは、円錐形状の中心ボアを有し、これは軸部を受けるために軸部の円錐面に合致する。受部に対する軸部の角度配向は、軸部の端部に作用する脊柱固定ロッドによって固定される。
【0004】
米国特許出願公開第2006/0036252号A1は多軸ねじを開示しており、これはねじを骨に固定するためのねじ切りした軸部を有する。軸部の一端は逆テーパヘッドを有し、拡張した中線から軸部に向かって、および軸部から離れる方向に、先細りになっている。球状の回り継ぎ手は中線よりも小さい開口部を有し、軸部と回転可能に係合するように頭部上にきっちりと嵌められている。
【特許文献1】米国特許第6,835,196号B2
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0049588号A1
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0036252号A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、軸部と頭部とが別個の部品として形成された骨固定装置を提供することであり、軸部と頭部との組立中に簡便かつ信頼性の高い操作を可能にし、組立後軸部を頭部に確実に固定させる。さらに、多様性を有するモジュラシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
当該目的は、請求項1に記載の骨固定装置によって達成される。
本発明のさらなる限定は、従属項に規定される。
【0007】
軸部と頭部とが別個の部品として形成されているため、骨固定装置を使用する際、用途に応じて適切な軸部を選択し、頭部に接続して骨固定装置を形成することができる。特に、長さの異なる軸部を頭部と組合せて設けることができ、在庫保管費用が削減できる。
【0008】
頭部の円筒状のボアと協働する軸部の端部の円筒形状により、軸部を頭部に簡便かつ確実に挿入することが可能となる。頭部にある程度の柔軟性を与える、少なくとも1つのスリットを頭部に設けることによって、挿入の容易性はさらに向上する。組立中に突起が対応する溝に係合することにより、組立て状態において軸部が頭部に確実に保持される。
【0009】
添付の図面を参照すると、実施例の説明から本発明のさらなる特徴および利点が生じるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の実施例
図1から図4を参照して、第1の実施例について説明する。図2の分解図に見られるように、第1の実施例に係る骨固定装置1は、軸部2と、軸部2とは別個に設けられた頭部3と、受部4と、加圧要素5とを備える。さらに、第1の実施例ではリング7が設けられる。これについては以下に詳細に述べる。
【0011】
図4aに見られるように、軸部2は、先端部20と、骨ねじ山22が設けられた第1部分21と、先端部20の反対側の自由端27に隣接する第2部分23とを含み、第2部分23は円筒面を有する。第2部分23は、表面がほぼ平滑である。さらに、第2部分23の外面には円周方向の溝24が設けられている。第2部分23の自由端27は傾斜が付いた形状を有し、自由端27に向かって直径が小さくなる。
【0012】
図3に見られるように、軸部2はさらに同軸ボア25を含む。ボア25は自由端27において開口し、先端部20から所定の距離のところまで延在する。ボア25から第1部分の外面まで延在する横向きの通し孔26を第1部分21に設けることもできる。通し孔26は、骨ねじ山22の頂の間の基部に配置することができる。ボア25と通し孔26とによって、たとえば骨セメントを注入することが可能となり、軸部2の骨における固定が向上する。軸部の自由端27はさらに、捩じ込みツールと係合するための凹部を有する。
【0013】
頭部3はほぼスリーブ形状であり、第1端32と第2端33とを有する。外面30は、球形セグメント状である。円筒状のボア31が設けられ、第1端32から第2端33まで頭部を貫通して延在している。円筒状のボア31のほぼ中心には、円周方向の溝34が設けられている。図3および図4bに見られるように、溝34の断面はほぼ矩形である。
【0014】
さらに、長手方向のスリット35が頭部3に設けられ、第1端32から第2端33まで延在している。本実施例では、第1端32から第2端33まで延在するスリット35を1つだけ示しているが、スリットは第1端32から第2端33まで連続して延在する必要はない。第1端32または第2端33から始まり、それぞれの他方端から所定の距離のところまで延在するスリットを1つ設けてもよい。代替案として、たとえば、第1端32から始まり、第2端33から所定の距離のところまで、および、第2端33から始まり、第1端32から所定の距離のところまで、交互に延在するスリットをいくつか設けてもよい。頭部3のスリットは、頭部3に弾性を与えるよう機能する。以下に述べるように若干寸法が大きい軸部も挿入できるようにし、また、固定要素による最終的な固定後に確実に留められるようにするためである。
【0015】
リング7は止め輪として設けられ、図4cに見られるようにほぼ円形であり、間隙70を有する。リング7は断面がほぼ矩形であり、軸部2の第2部分23上の溝24と、頭部3の円筒状のボア31の溝34とに嵌合するような形状である。間隙70により、リング7はある程度柔軟性を有している。すなわち、その直径はある程度拡大したり縮小したりすることができる。
【0016】
図2および図3に見られるように、受部4はほぼ円筒形状であり、第1端40と、第2端41と、長手方向の軸Zとを有する。同軸ボア42は、第1端40から第2端41まで受部4を貫通して延在している。長手方向のボア42の形状は、第1端40に向かって先細りになっており、頭部3の外面30を収容するための座部43が形成されている。座部はたとえば、球状、円錐状または別の先細り形状を有する。さらに、ほぼU字型の凹部44が受部4内に第2端41に隣接して形成され、2つの自由脚部45および46が形成され、ボア42に対してほぼ垂直に延在するチャネルが構成されて、ロッド60を受ける。
自由脚部45および46の内面には、第2端41に隣接して内側ねじ山47が設けられ、固定要素61が捩じ込まれて、U字型の凹部内にロッド60を固定する。本実施例では、内側ねじ山47は、長手方向の軸に垂直に配置されたねじ山側面を有する平坦なねじ山として設計されているが、ねじ山は他のいかなる適切なねじ山形状であってもよい。
【0017】
さらに図2に示すように、加圧要素5はほぼ円筒形状であり、受部4の同軸ボア42に挿入でき、かつボア内を摺動できるような大きさである。加圧要素5の上側には凹部52が設けられる。凹部52は中空の円筒形のセグメント状であり、その直径は受部4のU字型凹部44の底部の直径にほぼ相当する。加圧要素5の下側51には、中空の球形セグメント状の凹部(図示せず)が設けられ、その直径は頭部3の外径にほぼ相当する。加圧要素5において、その円筒軸に対して同軸にボア53が設けられる。これは中で捩じ込みツールを案内できるようにするためである。使用の際には、図1に見られるように、長手方向のボア42内に加圧要素5が配置され、中空の円筒形のセグメント状凹部52がU字型凹部44と揃うようにする。
【0018】
図5を参照して、第1の実施例に係る骨固定装置1の動作について説明する。
動作の際、まず軸部2を捩じ込みツールと係合させることによって、骨または脊柱に捩じ込むことができる。
【0019】
受部4と、頭部3と、リング7と、加圧要素5とは、予め組立てた状態で供することができる。予め組立てた状態では、リング7は頭部3の円筒状のボア31に挿入され、リング状の溝34に置かれる。さらに、頭部3は受部4の長手方向のボア42内に配置されて座部43上に載せられ、受部4に対して旋回可能となっている。加圧要素5は、受部4の長手方向のボア42内に配置されて、下側51の凹部が頭部3の外面30と対面し、かつ中空の円筒形のセグメント状凹部52がU字型凹部44と揃うようにする。この組立状態において、間隙70によって得られる柔軟性によって、リング7を直径が大きくなるようにさらに広げることができる。また、スリット35によって、頭部3を直径が大きくなるようにさらに広げることができる。
【0020】
軸部2の第2部分23を頭部3の円筒状のボア31内に案内することによって、受部4と、頭部3と、リング7と、加圧要素5とを組立てたものを軸部2に接続することができる。軸部2の上部の自由端27の先細り形状によって、挿入が容易になる。挿入中、リング7が軸部の第2部分23の溝24にきっちりと嵌るまで、頭部3とリング7とが軸部の第2部分23によって若干広げられる。この状態において、リング7は、軸部2の端部の溝24および頭部3の溝34にある。その結果、リング7が頭部3の溝34に形状固定されて係合することによって、軸部2が頭部3から後退しなくなる。
【0021】
軸部2の第2部分23の円筒形状により、軸部2を頭部3に容易かつ簡便に挿入することができる。軸部2の溝24に配置されたリング7によって形成される突起により、軸部2が頭部3に形状固定されることで確実に固定される。
【0022】
軸部2を頭部3に挿入した後でも、受部4の円筒軸Zに対する軸部2の角度配向を変えることができる。動作に際して、ロッドをU字型凹部44に配置して、加圧要素5の中空の円筒形状のセグメント状凹部52に置く。内側ねじ山47と協働することによって、固定要素を脚部45および46の間に捩じ込むことができる。固定要素はロッドに圧力をかけ、その結果ロッドが加圧要素5に圧力をかける。結果として、加圧要素5が頭部3に当接し、受部4に対する頭部3の角度配向が固定される。さらに、頭部3は先細り形状の座部43に当接するため、頭部3が若干圧縮され、軸部2の頭部3への接続がさらに強化される。
【0023】
頭部3のスリットにより、頭部3はある程度弾性を有する。したがって、若干寸法の大きい第2部分23を有する軸部2を頭部3に接続することができる。さらに、固定要素を締付けた際に、この弾性によって軸部2を頭部3に確実に留めることができる。
【0024】
軸部2を頭部3に接続する前に、まず骨または脊柱に捩じ込むと上述したが、代替的に、軸部2をまず頭部3と受部とに接続して固定装置をあらかじめ組み立てた状態にして、その後軸部2を骨または脊柱に捩じ込んでもよい。この捩じ込みは、受部4の長手方向のボア42と加圧要素5のボア53とを通って、軸部2の長手方向のボア25内の構造に捩じ込みツールを案内することによって行われる。したがって、可変性が確保される。
【0025】
第2の実施例
図6から図9を参照して、第2の実施例を説明する。第2の実施例は、軸部および頭部の構造が第1の実施例と異なる。受部4および加圧要素5は第1の実施例と同一であり、ここでは説明しない。図6から図9では、受部4および加圧要素5を省略する。
【0026】
第2の実施例に係る軸部102は、骨ねじ山122が設けられた第1部分121と、第1の直径の円筒状の外面を有する第2部分123とを含み、表面はほぼ平滑である。図8および図9に示すように、軸部102は、第1の実施例の軸部のように長手方向のボアを含んでいない。捩じ込みツールと係合するための凹部126が自由端127に設けられている。第1の実施例のように、軸部102の自由端127は傾斜した形状であり、軸部102の頭部103への挿入が容易である。
【0027】
円周方向に延在する突起107が、第2部分123上に形成されている。突起107は、第2部分123と一体に形成されている。
【0028】
第1の実施例と同様に、頭部103はほぼスリーブ形状である。外面130は球形のセグメント状であり、円筒状のボア131が設けられている。円筒状のボア131のほぼ中央には、円周方向の溝134が設けられている。
【0029】
さらに、複数の長手方向のスリット135が頭部103に設けられ、第1端132から始まり、第2端133から所定の距離のところまで、および第2端133から始まり、第1端132から所定の距離のところまで、交互に延在する。このスリット135の構造により、第1端132の領域および第2端133の領域において頭部103が均一に柔軟となる。
【0030】
第2の実施例の動作は、第1の実施例と同様である。軸部102の自由端127が頭部103の円筒状のボア131に挿入されると、円形の突起107の導入によって頭部103の直径が大きくなる。突起107が円筒状のボア131のリング状の溝134に達すると、頭部103が弾力的に収縮して、突起107が溝134内に入り、軸部102が円筒状のボア131から後退しなくなる。骨固定装置全体を組み立てると、第1の実施例と同様、加圧要素5によって伝えられる圧力によって、軸部102の頭部103への固定がさらに向上する。
【0031】
第1の実施例によれば、軸部2の第2部分23の円筒状の外面から突出する突起がリング7によって形成され、リング7は軸部2の溝24内に配置される。第2の実施例でも同様に、円形の突起107によって、軸部102の第2部分123の円筒状の外面から突出する突起が形成される。この突起107は第2部分123と一体に形成される。いずれの場合でも、第2部分23、123の外面の円筒形状によって、軸部2、102を頭部3、103の円筒状のボア31、131に容易かつ簡便に挿入することができる。さらに、いずれの場合でも、軸部2、102は不用意に後退しないように突起7、107によって固
定されている。突起7、107は、頭部3、103に設けられた溝34、134と係合する第2部分23、123の外面から突出する。スリット35、135によってそれぞれの頭部3、103が柔軟になり、さらに挿入が容易になる。
【0032】
第3の実施例
図10および図11に第3の実施例を示す。第3の実施例は、頭部および加圧要素の構造が第1のおよび第2の実施例と異なる。その他の構造は第1のおよび第2の実施例と同様であり、ここでは説明しない。
【0033】
第1のおよび第2の実施例に係る骨固定装置は、軸部2、102および受部4のいわゆる多軸接続を供する。これに対し、第3の実施例に係る骨固定装置は、軸部202および受部4の単軸接続を供する。軸部202は第1の実施例の軸部2と同様に構成され、第1部分221と、自由端227に隣接する円筒状の第2部分223と、溝224とを含むが、長手方向のボアと通し孔とを含まない。
【0034】
図10に示すように、第3の実施例においては、頭部および加圧要素は別個の部品としてではなく、頭部203として一体に形成されている。頭部203はほぼ円筒形状であり、円筒状の外面230を有し、受部4の長手方向のボア42に挿入できる大きさである。頭部203の外径は、第1端203aにおいて球状に先細りとなっている。反対側の第2端203bは、第1の実施例の加圧要素5の上側50と同様に形成されている。すなわち、円筒状の凹部252が第2端203bに形成されている。複数のスリット235が、第1端203aから始まり、第2端203bから所定の距離のところまで延在している。スリット235によって、頭部203が柔軟になる。代替的に、スリット235を1つだけ設けてもよい。
【0035】
頭部203は、第1の実施例の頭部3と同様に、円筒状のボア231とリング状の溝234とを有する。
【0036】
第3の実施例に係る組立は、第1の実施例と同様である。動作の際、頭部203が受部4の長手方向のボア42に挿入される。止め輪7が第2部分223の溝224に配置される。次に、軸部202の円筒状の第2部分223が頭部203の円筒状のボア231に挿入され、頭部203はスリット235によって与えられる柔軟性によって若干広がる。軸部202は、止め輪7が頭部203に設けられたリング状の溝234に対面するまで挿入され、その後頭部203の柔軟性によって止め輪7が溝234に係合する。その結果、軸部202が頭部203から後退しなくなる。
【0037】
ロッド60を挿入した後に固定要素61が挿入され、ロッド60を受部4に固定する。固定要素61を締め付ける間、頭部203の第2端203bに圧力がかかる。頭部203は受部4の第1端40に当接される。長手方向のボア42の先細り形状と頭部203に設けられたスリット235とによって頭部203が圧縮され、軸部202が頭部203内に確実に固定される。
【0038】
代替的な動作方法においては、まず止め輪を頭部203のリング状の溝234に配置し、その後軸部202を挿入してもよい。
【0039】
さらなる変形例
多軸骨固定装置のさらなる変形例において、軸部は第1の実施例の軸部2と同様に形成され、第2部分23の円筒状の外面に溝24を設ける。第1の実施例に対し、リング7は省略され、頭部3の円筒状のボア31における溝34の代わりに、円筒状のボア31よりも直径が小さいリング状の突起を円筒状のボア31内に一体に形成する。軸部2を円筒状
のボア31に挿入すると、このリング状の突起が軸部2の溝24と係合する。
【0040】
その結果、第1のおよび第2の実施例について説明したのと同様の接続が得られる。この構造は、第3の実施例に示した単軸接続にも適用できる。
【0041】
第1のおよび第3の実施例におけるリング7は、ボア31、231の円筒状の内面に設けられた突起を形成すると考えられる。リング7によって形成される突起は、軸2、202上に設けられた溝24、224と係合する。
【0042】
頭部に設けられた溝と協働する第2の実施例に係る突起107の構造は、第3の実施例に係る単軸接続に適用することができる。
【0043】
上記の実施例では、多軸骨固定装置におけるロッドの固定および軸部の角度配向を単一の固定要素によって行なうと述べたが、ロッドと頭部とを別個に固定するために2つの固定要素を設けることも可能である。代替的には、外側ナットによって固定要素を形成してもよい。この外側ナットは、受部の自由端に設けられた外側ねじ山に捩じ込まれる。
【0044】
上述の実施例では、加圧要素は上面に溝を有している。しかし、加圧要素に平坦な上面を設けることも可能である。
【0045】
さらなる変形例が可能である。たとえば、第2の実施例に係る頭部の特徴を第1の実施例に係る軸部と組合せてもよく、またその逆も同様である。
【0046】
同軸ボアを含むまたは含まない、かつ異なる種類の骨ねじ山を有する、異なる種類の軸部を設けて、モジュラシステムを形成することができる。このようなシステムにおいて、フックを設けてもよい。さらに、異なる種類の頭部を設けて、それぞれの用途に応じて軸部と組合せてもよい。このように、用途が多様なモジュラシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】組立状態における第1の実施例に係る骨固定装置の斜視図である。
【図2】図1の骨固定装置の分解図である。
【図3】図1の骨固定装置の断面図である。
【図4】図4aは第1の実施例に係る軸部の図である。図4bは第1の実施例に係る頭部の図である。図4cは第1の実施例に係る止め輪の図である。
【図5】第1の実施例に係る骨固定装置の組立を示す斜視図である。
【図6】第2の実施例に係る軸部および頭部の斜視図である。
【図7】図6の実施例の分解図である。
【図8】組立状態における図6の実施例の上部断面図である。
【図9】第2の実施例に係る軸部および頭部の分解断面図である。
【図10】第3の実施例の分解図である。
【図11】組立状態における第3の実施例の上部断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 骨固定装置、2 軸部、3 頭部、4 受部、5 加圧要素、7 突起、42 同軸ボア、45,46 自由脚部、47 内側ねじ山。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨固定装置であって、
骨または脊柱に固定されるべき軸部(2,102,202)と、
頭部(3,103,203)と、
軸部(2,102,202)をロッドに接続するために頭部(3,103,203)を受ける受部(4)とを備え、
前記軸部(2,102,202)および頭部(3,103,203)は別個の部品であり、
頭部(3,103,203)は、円筒状の内面を有するボア(31,131)と、内面に設けられたリング状の溝(34,134,234)と、内面から頭部(3,103,203)の外面(30,130,230)まで延在する少なくとも1つのスリット(35,135,235)とを含み、
軸部(2,102,202)は、骨または脊柱に固定される第1部分(21,121,221)と、円筒状の外面を有し自由端(27,127,227)に隣接する第2部分(23,123,223)とを含み、
突起(7,107)が円筒状の外面に設けられ、軸部(2,102,202)の円筒状の第2部分(23,123,223)が頭部のボア(31,131,231)に挿入されると、突起が頭部(3,103,203)のリング状の溝(34,134,234)に係合する、骨固定装置。
【請求項2】
軸部(2,102,202)の円筒状の外面上の突起(7,107)はリング状である、請求項1に記載の骨固定装置。
【請求項3】
突起(107)は、軸部(2,102,202)の円筒状の第2部分(123)と一体に形成される、請求項1または2に記載の骨固定装置。
【請求項4】
突起(7)は、第2部分(23,223)の円筒状の外面に設けられたリング状の溝(24,224)に配置されたリングによって形成される、請求項1または2に記載の骨固定装置。
【請求項5】
骨固定装置であって、
骨または脊柱に固定されるべき軸部(2,202)と、
頭部(3,103,203)と、
軸部(2,202)をロッドに接続するために前記頭部(3,103,203)を受ける受部(4)とを備え、
軸部(2,202)および頭部(3,103,203)は別個の部品であり、
頭部(3,103,203)は、円筒状の内面を有するボア(31,131,231)と、内面に設けられた突起(7)と、内面から頭部(3,103,203)の外面(30,130,230)まで延在する少なくとも1つのスリット(35,135,235)とを含み、
軸部(2,202)は、骨または脊柱に固定される第1部分(21,221)と、自由端(27,227)に隣接し円筒状の外面を有する第2部分(23,223)とを含み、
リング状の溝(24,224)が円筒状の外面に設けられ、軸部(2,202)の円筒状の第2部分(23,223)が頭部(3,103,203)のボア(31,131,231)に挿入されると、リング状の溝が頭部の突起(7)に係合する、骨固定装置。
【請求項6】
頭部(3,103,203)の円筒状の内面の突起(7)はリング状である、請求項5に記載の骨固定装置。
【請求項7】
突起は頭部と一体に形成される、請求項5または6に記載の骨固定装置。
【請求項8】
突起は、頭部のボア(31,131,231)の円筒状の内面に設けられたリング状の溝(34,134,234)に配置されるリング(7)によって形成される、請求項5または6に記載の骨固定装置。
【請求項9】
頭部(30,130)の外面はほぼ球形セグメント形状である、請求項1から8のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項10】
ボア(31,131,231)は、第1端(32,132,203a)から第2端(33,133,203b)まで頭部(3,103,203)を貫通する、請求項1から9のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項11】
少なくとも1つのスリット(35,135)は、頭部(3,103)の第1端(32,132)から第2端(33,133)まで延在する、請求項1から10のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項12】
いくつかのスリット(135)が頭部(103)に設けられ、第1端(132)から始まり、第2端(133)から所定の距離のところまで、および第2端(133)から始まり、第1端(132)から所定の距離のところまで、それぞれ交互に延在する、請求項1から11のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項13】
長手方向のボア(42)は第1端(40)から第2端(41)まで受部を貫通し、長手方向のボアは先細り形状であって第2端(41)に隣接し、頭部(3,103,203)を収容するための座部(43)を形成する、請求項1から12のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項14】
加圧要素(5)は長手方向のボア(42)内に配置され、受部(4)に対する軸部(2)の角度配向を固定する、請求項1から13のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項15】
U字型の凹部(44)は受部(4)内に第1端(40)に隣接して形成され、長手方向のボア(42)にほぼ垂直に延在し、2つの自由脚部(45,46)が形成され、ロッドを受けるためのチャネルを形成する、請求項1から14のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項16】
複数の異なる軸部(2,102,202)および/または複数の異なる頭部(3,103,203)が設けられた、請求項1から15のいずれか1項に記載の骨固定装置を備える、モジュラシステム。
【請求項1】
骨固定装置であって、
骨または脊柱に固定されるべき軸部(2,102,202)と、
頭部(3,103,203)と、
軸部(2,102,202)をロッドに接続するために頭部(3,103,203)を受ける受部(4)とを備え、
前記軸部(2,102,202)および頭部(3,103,203)は別個の部品であり、
頭部(3,103,203)は、円筒状の内面を有するボア(31,131)と、内面に設けられたリング状の溝(34,134,234)と、内面から頭部(3,103,203)の外面(30,130,230)まで延在する少なくとも1つのスリット(35,135,235)とを含み、
軸部(2,102,202)は、骨または脊柱に固定される第1部分(21,121,221)と、円筒状の外面を有し自由端(27,127,227)に隣接する第2部分(23,123,223)とを含み、
突起(7,107)が円筒状の外面に設けられ、軸部(2,102,202)の円筒状の第2部分(23,123,223)が頭部のボア(31,131,231)に挿入されると、突起が頭部(3,103,203)のリング状の溝(34,134,234)に係合する、骨固定装置。
【請求項2】
軸部(2,102,202)の円筒状の外面上の突起(7,107)はリング状である、請求項1に記載の骨固定装置。
【請求項3】
突起(107)は、軸部(2,102,202)の円筒状の第2部分(123)と一体に形成される、請求項1または2に記載の骨固定装置。
【請求項4】
突起(7)は、第2部分(23,223)の円筒状の外面に設けられたリング状の溝(24,224)に配置されたリングによって形成される、請求項1または2に記載の骨固定装置。
【請求項5】
骨固定装置であって、
骨または脊柱に固定されるべき軸部(2,202)と、
頭部(3,103,203)と、
軸部(2,202)をロッドに接続するために前記頭部(3,103,203)を受ける受部(4)とを備え、
軸部(2,202)および頭部(3,103,203)は別個の部品であり、
頭部(3,103,203)は、円筒状の内面を有するボア(31,131,231)と、内面に設けられた突起(7)と、内面から頭部(3,103,203)の外面(30,130,230)まで延在する少なくとも1つのスリット(35,135,235)とを含み、
軸部(2,202)は、骨または脊柱に固定される第1部分(21,221)と、自由端(27,227)に隣接し円筒状の外面を有する第2部分(23,223)とを含み、
リング状の溝(24,224)が円筒状の外面に設けられ、軸部(2,202)の円筒状の第2部分(23,223)が頭部(3,103,203)のボア(31,131,231)に挿入されると、リング状の溝が頭部の突起(7)に係合する、骨固定装置。
【請求項6】
頭部(3,103,203)の円筒状の内面の突起(7)はリング状である、請求項5に記載の骨固定装置。
【請求項7】
突起は頭部と一体に形成される、請求項5または6に記載の骨固定装置。
【請求項8】
突起は、頭部のボア(31,131,231)の円筒状の内面に設けられたリング状の溝(34,134,234)に配置されるリング(7)によって形成される、請求項5または6に記載の骨固定装置。
【請求項9】
頭部(30,130)の外面はほぼ球形セグメント形状である、請求項1から8のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項10】
ボア(31,131,231)は、第1端(32,132,203a)から第2端(33,133,203b)まで頭部(3,103,203)を貫通する、請求項1から9のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項11】
少なくとも1つのスリット(35,135)は、頭部(3,103)の第1端(32,132)から第2端(33,133)まで延在する、請求項1から10のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項12】
いくつかのスリット(135)が頭部(103)に設けられ、第1端(132)から始まり、第2端(133)から所定の距離のところまで、および第2端(133)から始まり、第1端(132)から所定の距離のところまで、それぞれ交互に延在する、請求項1から11のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項13】
長手方向のボア(42)は第1端(40)から第2端(41)まで受部を貫通し、長手方向のボアは先細り形状であって第2端(41)に隣接し、頭部(3,103,203)を収容するための座部(43)を形成する、請求項1から12のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項14】
加圧要素(5)は長手方向のボア(42)内に配置され、受部(4)に対する軸部(2)の角度配向を固定する、請求項1から13のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項15】
U字型の凹部(44)は受部(4)内に第1端(40)に隣接して形成され、長手方向のボア(42)にほぼ垂直に延在し、2つの自由脚部(45,46)が形成され、ロッドを受けるためのチャネルを形成する、請求項1から14のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項16】
複数の異なる軸部(2,102,202)および/または複数の異なる頭部(3,103,203)が設けられた、請求項1から15のいずれか1項に記載の骨固定装置を備える、モジュラシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−126082(P2008−126082A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299470(P2007−299470)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(592232384)ビーダーマン・モテーク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクタ・ハフツング (57)
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN MOTECH GMBH
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(592232384)ビーダーマン・モテーク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクタ・ハフツング (57)
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN MOTECH GMBH
【Fターム(参考)】
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