説明

骨折治療用インプラント

【課題】骨に装着したままで外部から骨折線の回復状態を確認することが可能な骨折治療用インプラントを提供する。
【解決手段】骨折治療用インプラント11のプレート本体12を、生体親和性の良好な比較的硬質の樹脂により骨折治療部位の形状に適応する形に成形する。このプレート本体12の樹脂は、放射線(エックス線)を透過する性質を有するラジオルーセント素材であり、例えば超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などが望ましい。このプレート本体12には、複数のスクリュー螺入穴13を穿設する。これらのスクリュー螺入穴13は、タッピングスクリューによりセルフタッピングする穴であり、スクリュー谷径より小径の穴である。これらのタッピングスクリューは、生体親和性の良好なチタン合金製またはステンレス鋼製のものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオルーセントの骨折治療用インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
骨折を治療する場合、患部を切開して骨折治療用インプラントを骨に装着して骨を内固定する方法がある。このような骨折治療用インプラントとしては、生体親和性の良好なチタン合金、ステンレス鋼などの金属プレートを、骨折線を跨いで骨表面に当接し、骨折線より一側に位置する金属プレートのスクリュー挿入穴と、他側に位置する金属プレートのスクリュー挿入穴とに、スクリューをそれぞれ挿入して骨に固定することで、金属プレートを介して骨折線の一側部と他側部とを固定するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−210478号公報(第4頁、図1)
【特許文献2】特開2004−223042号公報(第2−3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
骨折線が完全に骨癒合した時期を見計らって、この種の骨折治療用インプラントを取外しているが、骨折線が完全に骨癒合したか否かを早期に確認することは容易でなく、放射線により外部から骨癒合を確認する場合は、放射線を透過させない金属プレートが骨折線の回復状態を確認する上で障害となる。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、骨に装着したままで外部から骨折線の回復状態を確認することが可能な骨折治療用インプラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、ラジオルーセント素材により成形されたプレート本体を具備した骨折治療用インプラントである。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の骨折治療用インプラントにおいて、プレート本体には複数のスクリュー螺入穴が穿設され、スクリュー螺入穴は、タッピングスクリューによりセルフタッピングされるスクリュー外径より小径の穴としたものである。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の骨折治療用インプラントにおいて、プレート本体に同一素材によりリブ状に設けられた補強部を具備したものである。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の骨折治療用インプラントにおけるプレート本体が、カーボン製補強材と、このカーボン製補強材をコーティングする樹脂とを具備したものである。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1または2記載の骨折治療用インプラントにおいて、プレート本体に設けられた金属製補強材を具備したものである。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の骨折治療用インプラントにおける金属製補強材を、プレート本体内に埋設された芯材としたものである。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の骨折治療用インプラントにおける金属製補強材を、プレート本体の周面部に嵌着された枠材としたものである。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の骨折治療用インプラントにおける金属製補強材を、プレート本体の周面に形成された凹溝に嵌着された枠材としたものである。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項7記載の骨折治療用インプラントにおける金属製補強材を、プレート本体の周面に挿入される凸部を備えた枠材としたものである。
【0014】
請求項10記載の発明は、請求項7記載の骨折治療用インプラントにおける金属製補強材を、プレート本体の周面部に一側面から他側面にわたって嵌着された枠材としたものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、骨折治療用インプラントを骨に装着したままで、ラジオルーセント素材のプレート本体を透過した放射線により、外部から骨折部位の回復状態を確認することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、タッピングスクリューによりそのスクリュー外径より小径のスクリュー螺入穴にねじ穴を加工形成しながら、このタッピングスクリューによりプレート本体を骨に固定するので、スクリュー螺入穴にねじ穴加工をする手間が省け、タッピングスクリューとプレート本体の十分な結合力が期待でき、さらに、タッピングスクリューを必要に応じた任意の方向へねじ込むことができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、リブ状に設けられた補強部によりプレート本体の強度を向上できるとともにラジオルーセントを確保できる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、カーボン製補強材によりプレート本体の強度を向上できるとともにラジオルーセントを確保でき、かつカーボン製補強材をコーティングした樹脂によりカーボンを樹脂内に封じ込むことができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、金属製補強材によりプレート本体の十分な強度を確保できる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、プレート本体内に埋設された芯材により、プレート本体の強度を向上できるとともに、芯材以外のプレート本体によりラジオルーセントを確保できる。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、プレート本体の周面部に嵌着された枠材によりプレート本体の強度を向上できるとともに、枠材内のプレート本体によりラジオルーセントを確保できる。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、プレート本体の周面に形成された凹溝に枠材を嵌着することで、枠材の全幅をプレート本体の厚み以下に抑えつつ、枠材をプレート本体の周面部に確実に嵌着できる。
【0023】
請求項9記載の発明によれば、プレート本体の周面に挿入される凸部により、枠材をプレート本体の周面部に確実に固定できる。
【0024】
請求項10記載の発明によれば、プレート本体の周面部に一側面から他側面にわたって嵌着された枠材は、曲げ力および捩り力に対抗する強度があり、プレート本体に作用する曲げ力および捩り力に抗する十分な強度を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を、図1乃至図3に示された第1実施の形態、図4および図5に示された第2実施の形態、図6乃至図8に示された第3実施の形態、図9に示された第4実施の形態、図10および図11に示された第5実施の形態、図12および図13に示された第5実施の形態の変形例、図14乃至図16に示された第6実施の形態、図17および図18に示された第7実施の形態、図19および図20に示された第8実施の形態、図21および図22に示された第9実施の形態、図23に示された第9実施の形態の変形例、図24および図25に示された第10実施の形態、図26に示された第10実施の形態の変形例を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
先ず、図1乃至図3に示された第1実施の形態を説明する。
【0027】
図1および図2に示された骨折治療用インプラント11は、プレート本体12が、生体親和性の良好な比較的硬質の樹脂により骨折治療部位の形状に適応する形に成形されている。このプレート本体12の樹脂は、放射線(エックス線)を透過する性質を有するラジオルーセント素材であり、例えば超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などが望ましい。
【0028】
また、このプレート本体12には、複数のスクリュー螺入穴13が穿設されている。これらのスクリュー螺入穴13は、図3に示されるようなタッピングスクリュー14によりセルフタッピングされる穴であり、タッピングスクリュー14のスクリュー外径より小径、望ましくはスクリュー谷径より小径の穴である。これらのタッピングスクリュー14は、生体親和性の良好なチタン合金製またはステンレス鋼製のものを用いる。
【0029】
次に、この第1実施の形態が奏する作用効果を説明する。
【0030】
図3に示されるように、プレート本体12を、骨15の骨折線16を跨いで骨表面に当接し、骨折線16より一側に位置するプレート本体12のスクリュー螺入穴13と、他側に位置するプレート本体12のスクリュー螺入穴13とに、タッピングスクリュー14をそれぞれ螺入して骨15に固定することで、プレート本体12を介して骨折線16の一側部と他側部とを固定する。
【0031】
タッピングスクリュー14は、より軟質の樹脂で成形されたプレート本体12のスクリュー谷径より小径のスクリュー螺入穴13にねじ穴を加工形成しながら、プレート本体12を骨に固定する。これにより、スクリュー螺入穴13に予めねじ穴加工が施されている場合と比較して、ねじ穴加工をする手間が省け、タッピングスクリュー14とプレート本体12の十分な結合力が期待でき、さらに、タッピングスクリュー14を必要に応じた任意の方向へねじ込むことができる。
【0032】
この骨折治療用インプラント11は、骨に装着したままで、ラジオルーセント素材のプレート本体12を透過した放射線により、外部から骨折部位の骨癒合などの回復状態を確認することができる。
【0033】
なお、図1乃至図3に示された実施の形態では、所定位置に複数のスクリュー螺入穴13が穿設されているが、スクリュー螺入穴13が設けられていないラジオルーセント素材で成形されたプレート本体12の任意箇所に対してタッピングスクリュー14を直接ねじ込むようにしても良い。
【0034】
次に、図4および図5に示された第2実施の形態を説明する。
【0035】
図4および図5に示された骨折治療用インプラント21は、放射線(エックス線)を透過する性質を有するラジオルーセント素材としての超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの樹脂により成形されたプレート本体12に、複数のスクリュー螺入穴13が穿設され、また、これらのスクリュー螺入穴13は、チタン合金製またはステンレス鋼製のタッピングスクリュー(図示せず)によりセルフタッピングされるスクリュー外径より小径、望ましくはスクリュー谷径より小径の穴である点は、図1および図2に示されたものと同様であるが、プレート本体12に同一素材によりリブ状に補強部22が設けられている点で異なる。
【0036】
すなわち、プレート本体12の周縁部に沿って上記樹脂によりリブ状の補強部22aが一体成形され、さらに、スクリュー螺入穴13が設けられていない中間部にもリブ状の補強部22bが一体成形されている。
【0037】
そして、リブ状の補強部22が設けられていない薄肉に樹脂成形されたプレート本体12のスクリュー谷径より小径のスクリュー螺入穴13に、タッピングスクリューにより、ねじ穴を加工形成しながら、このタッピングスクリューによりプレート本体12を骨に固定するので、スクリュー螺入穴13にねじ穴加工をする手間が省け、タッピングスクリューとプレート本体12の十分な結合力が期待でき、さらに、タッピングスクリューを必要に応じた任意の方向へねじ込むことができる。
【0038】
また、この実施の形態によれば、リブ状に設けられた補強部22によりプレート本体12の曲げ強度および捩り強度を向上できるとともにラジオルーセントを確保でき、骨折治療用インプラント21を骨に装着したままで、ラジオルーセント素材のプレート本体12および補強部22を透過した放射線により、外部から骨折部位の回復状態を確認することができる。
【0039】
次に、図6乃至図8に示された第3実施の形態を説明する。
【0040】
図6および図7に示された骨折治療用インプラント31は、放射線(エックス線)を透過する性質を有するラジオルーセント素材としてのカーボン製補強材32を中心に構成されており、このカーボン製補強材32において、スクリュー螺入穴13が形成される領域33は中空状に設けられ、このカーボン製補強材32の外周面部、表面部、裏面部、スクリュー螺入穴13が形成される領域33に、ラジオルーセント素材としての超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの樹脂34を多重成型によりコーティングまたは充填することにより、プレート本体12が成形されている。
【0041】
また、プレート本体12の樹脂成形された上記領域33には、複数のスクリュー螺入穴13がそれぞれ穿設されている。これらのスクリュー螺入穴13は、図8に示されるようにチタン合金製またはステンレス鋼製のタッピングスクリュー14によりセルフタッピングされるスクリュー外径より小径、望ましくはスクリュー谷径より小径の穴である。
【0042】
そして、図8に示されるようにタッピングスクリュー14により、より軟質の樹脂で成形されたプレート本体12のスクリュー谷径より小径のスクリュー螺入穴13にねじ穴を加工形成しながら、このタッピングスクリュー14によりプレート本体12を骨に固定するので、スクリュー螺入穴13にねじ穴加工をする手間が省け、タッピングスクリュー14とプレート本体12の十分な結合力が期待でき、さらに、タッピングスクリュー14を必要に応じた任意の方向へねじ込むことができる。このとき、タッピングスクリュー14は、カーボン製補強材32と接触しない。
【0043】
また、この実施の形態によれば、カーボン製補強材32によりプレート本体12の曲げ強度および捩り強度を向上できるとともにラジオルーセントを確保でき、骨折治療用インプラント31を骨に装着したままで、ラジオルーセント素材のプレート本体12を透過した放射線により、外部から骨癒合などの骨折部位の回復状態を確認することができる。また、カーボン製補強材32をコーティングした樹脂34によりカーボンを樹脂34内に封じ込むことができ、この状態は、タッピングスクリュー14のねじ込み後も保たれる。
【0044】
次に、図9に示された第4実施の形態を説明する。
【0045】
図9に示された骨折治療用インプラント41は、放射線(エックス線)を透過する性質を有するラジオルーセント素材としての超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの樹脂により成形されたプレート本体12内に、チタン合金などの金属製補強材またはカーボン製補強材としての複数の芯材42が埋設され、樹脂内に封じ込められている。また、プレート本体12には、これらの芯材42を避けるようにして複数のスクリュー螺入穴13が、タッピングスクリュー(図示せず)のスクリュー外径より小径、望ましくはスクリュー谷径より小径に穿設されている。
【0046】
そして、タッピングスクリューにより、より軟質に樹脂成形されたプレート本体12の小径のスクリュー螺入穴13にねじ穴を加工形成しながら、このタッピングスクリューによりプレート本体12を骨に固定するので、スクリュー螺入穴13にねじ穴加工をする手間が省け、タッピングスクリューとプレート本体12の十分な結合力が期待でき、さらに、タッピングスクリューを必要に応じた任意の方向へねじ込むことができる。
【0047】
また、この実施の形態によれば、プレート本体12内に埋設された複数の芯材42により、プレート本体12の曲げ強度および捩り強度を向上できるとともに、プレート本体12によりラジオルーセントを確保でき、この骨折治療用インプラント41を骨に装着したままで、ラジオルーセント素材のプレート本体12を透過した放射線により、外部から骨折部位の回復状態を確認することができる。
【0048】
次に、図10および図11に示された第5実施の形態を説明する。
【0049】
この図10に示された骨折治療用インプラント51は、放射線(エックス線)を透過する性質を有するラジオルーセント素材としての超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの樹脂により成形されたプレート本体12に、チタン合金またはステンレス鋼により形成された金属製補強材としての芯材52および枠材53が設けられ、また、プレート本体12には、タッピングスクリュー(図示せず)によりセルフタッピングされるスクリュー外径より小径、望ましくはスクリュー谷径より小径の複数のスクリュー螺入穴13が穿設されている。
【0050】
芯材52は、プレート本体12内の長手方向に埋設され、枠材53は、図11に示されるように丸形断面のものが、プレート本体12の頭部の周面に形成された凹溝54に嵌着され、これらの芯材52と枠材53は一体化されている。
【0051】
そして、タッピングスクリューにより、より軟質の樹脂成形されたプレート本体12の小径のスクリュー螺入穴13にねじ穴を加工形成しながら、このタッピングスクリューによりプレート本体12を骨に固定するので、スクリュー螺入穴13にねじ穴加工をする手間が省け、タッピングスクリューとプレート本体12の十分な結合力が期待でき、さらに、タッピングスクリューを必要に応じた任意の方向へねじ込むことができる。
【0052】
また、この実施の形態によれば、プレート本体12内に埋設された芯材52と、プレート本体12の周面部に嵌着された枠材53により、プレート本体12の曲げ強度および捩り強度を向上できるとともに、芯材52以外のプレート本体12および枠材53内のプレート本体12によりラジオルーセントを確保でき、骨折治療用インプラント51を骨に装着したままで、ラジオルーセント素材のプレート本体12を透過した放射線により、外部から骨折部位の回復状態を確認することができる。
【0053】
さらに、プレート本体12の周面に形成された凹溝54に枠材53を嵌着することで、枠材53の全幅をプレート本体12の厚み以下に抑えつつ、枠材53をプレート本体12の周面部に確実に嵌着できる。
【0054】
図12は、上記第5実施の形態の第1変形例を示し、プレート本体12の周面部に、側面部12aより段部12bを介して内側に半円状凸部12cが突出形成され、この半円状凸部12cに円弧状断面の枠材53が嵌着されている。このプレート本体12の周面部に嵌着された円弧状断面の枠材53によりプレート本体12の曲げ強度および捩り強度を向上できるとともに、プレート本体12と枠材53の表面は面一に形成されて段差がないので、装着感を向上できる。
【0055】
図13は、上記第5実施の形態の第2変形例を示し、プレート本体12の周面部にコ字形断面の枠材53が嵌着されている。この枠材53は、枠材本体部55の両側に直角に一体成形された一側板部56と他側板部57とが、プレート本体12の一側面と他側面とに密着するように嵌着されている。このプレート本体12の周面部に嵌着されたコ字形断面の枠材53によりプレート本体12の曲げ強度および捩り強度を向上できる。
【0056】
次に、図14乃至図16に示された第6実施の形態を説明する。
【0057】
図14に示された骨折治療用インプラント61は、放射線(エックス線)を透過する性質を有するラジオルーセント素材としての超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの樹脂により成形されたプレート本体12の周面部に、全周にわたって金属製補強材としての枠材62が嵌着され、また、プレート本体12には、タッピングスクリュー(図示せず)によりセルフタッピングされるスクリュー外径より小径、望ましくはスクリュー谷径より小径の複数のスクリュー螺入穴13が穿設されている。
【0058】
枠材62は、チタン合金(6−4チタンなど)またはステンレス鋼(SUS316Lなど)により形成された円形断面線材の両端が、図15に示されるように平坦に潰されて重合され、ねじ63で連結されたものである。この枠材62は、図16に示されるようにプレート本体12の周面に形成されたU形断面の凹溝64に嵌着されている。
【0059】
そして、タッピングスクリューにより、より軟質の樹脂で成形されたプレート本体12のスクリュー谷径より小径のスクリュー螺入穴13にねじ穴を加工形成しながら、このタッピングスクリューによりプレート本体12を骨に固定するので、スクリュー螺入穴13にねじ穴加工をする手間が省け、タッピングスクリューとプレート本体12の十分な結合力が期待でき、さらに、タッピングスクリューを必要に応じた任意の方向へねじ込むことができる。
【0060】
また、この実施の形態によれば、プレート本体12の周面部に嵌着された枠材62によりプレート本体12の曲げ強度および捩り強度を向上できるとともに、枠材62内のプレート本体12によりラジオルーセントを確保でき、骨折治療用インプラント61を骨に装着したままで、ラジオルーセント素材のプレート本体12を透過した放射線により、外部から骨折部位の回復状態を確認することができる。
【0061】
さらに、プレート本体12の周面に形成された凹溝64に枠材62を嵌着することで、枠材62の全幅をプレート本体12の厚み以下に抑えつつ、枠材62をプレート本体12の周面部に確実に嵌着できる。
【0062】
次に、図17および図18に示された第7実施の形態を説明する。
【0063】
図17に示された骨折治療用インプラント71は、放射線(エックス線)を透過する性質を有するラジオルーセント素材としての超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの樹脂により成形されたプレート本体12の周面部に金属製補強材としての枠材72が嵌着され、また、プレート本体12には、タッピングスクリュー(図示せず)によりセルフタッピングされるスクリュー外径より小径、望ましくはスクリュー谷径より小径の複数のスクリュー螺入穴13が穿設されている。
【0064】
枠材72は、図18に示されるようにチタン合金(6−4チタンなど)またはステンレス鋼(SUS316Lなど)により形成された帯材73の内側に沿って凸部74を備え、この凸部74が、プレート本体12の周面に形成された凹溝75に挿入され嵌着されている。帯材73の一端および他端は、図17に示されるように重合され、ねじ76で連結されている。
【0065】
そして、タッピングスクリューにより、より軟質の樹脂成形されたプレート本体12の小径のスクリュー螺入穴13にねじ穴を加工形成しながら、このタッピングスクリューによりプレート本体12を骨に固定するので、スクリュー螺入穴13にねじ穴加工をする手間が省け、タッピングスクリューとプレート本体12の十分な結合力が期待でき、さらに、タッピングスクリューを必要に応じた任意の方向へねじ込むことができる。
【0066】
また、この実施の形態によれば、プレート本体12の周面部に嵌着された枠材72によりプレート本体12の曲げ強度および捩り強度を向上できるとともに、枠材72内のプレート本体12によりラジオルーセントを確保でき、骨折治療用インプラント71を骨に装着したままで、ラジオルーセント素材のプレート本体12を透過した放射線により、外部から骨折部位の回復状態を確認することができる。
【0067】
さらに、プレート本体12の周面に形成された凹溝75に枠材72を嵌着することで、枠材72の全幅をプレート本体12の厚み以下に抑えつつ、枠材72をプレート本体12の周面部に確実に嵌着できるとともに、プレート本体12の周面に挿入される凸部74により、枠材72をプレート本体12の周面部に確実に固定できる。
【0068】
次に、図19および図20に示された第8実施の形態を説明する。
【0069】
図19に示された骨折治療用インプラント81は、放射線(エックス線)を透過する性質を有するラジオルーセント素材としての超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの樹脂により成形されたプレート本体12の周面部に、金属製補強材としての枠材82が嵌着され、また、プレート本体12には、タッピングスクリュー(図示せず)によりセルフタッピングされるスクリュー外径より小径、望ましくはスクリュー谷径より小径の複数のスクリュー螺入穴13が穿設されている。
【0070】
枠材82は、図20に示されるようにチタン合金(6−4チタンなど)またはステンレス鋼(SUS316Lなど)により形成された帯材83の内側に複数の凸部84を一体に備え、これらの凸部84が、プレート本体12の周面に挿入されている。帯材83の両端は、図19に示されるように重合され、ねじ85で連結されている。
【0071】
そして、タッピングスクリューにより、より軟質の樹脂成形されたプレート本体12の小径のスクリュー螺入穴13にねじ穴を加工形成しながら、このタッピングスクリューによりプレート本体12を骨に固定するので、スクリュー螺入穴13にねじ穴加工をする手間が省け、タッピングスクリューとプレート本体12の十分な結合力が期待でき、さらに、タッピングスクリューを必要に応じた任意の方向へねじ込むことができる。
【0072】
また、この実施の形態によれば、プレート本体12の周面部に嵌着された枠材82によりプレート本体12の曲げ強度および捩り強度を向上できるとともに、枠材82内のプレート本体12によりラジオルーセントを確保でき、骨折治療用インプラント81を骨に装着したままで、ラジオルーセント素材のプレート本体12を透過した放射線により、外部から骨折部位の回復状態を確認することができる。
【0073】
さらに、プレート本体12の周面に挿入される凸部84により、枠材82をプレート本体12の周面部に確実に固定できる。
【0074】
次に、図21および図22に示された第9実施の形態を説明する。
【0075】
図21に示された骨折治療用インプラント91は、放射線(エックス線)を透過する性質を有するラジオルーセント素材としての超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの樹脂により成形されたプレート本体12の周面部に、金属製補強材としての枠材92が嵌着され、また、プレート本体12には、タッピングスクリュー(図示せず)によりセルフタッピングされるスクリュー外径より小径、望ましくはスクリュー谷径より小径の複数のスクリュー螺入穴13が穿設されている。
【0076】
枠材92は、チタン合金(6−4チタンなど)またはステンレス鋼(SUS316Lなど)により、図22に示されるようにコ字形断面に成形され、枠材本体部93の両側に直角に一体成形された一側板部94と他側板部95とが、プレート本体12の周面部に一側面から他側面にわたって嵌着されている。
【0077】
そして、タッピングスクリューにより、より軟質の樹脂成形されたプレート本体12の小径のスクリュー螺入穴13にねじ穴を加工形成しながら、このタッピングスクリューによりプレート本体12を骨に固定するので、スクリュー螺入穴13にねじ穴加工をする手間が省け、タッピングスクリューとプレート本体12の十分な結合力が期待でき、さらに、タッピングスクリューを必要に応じた任意の方向へねじ込むことができる。
【0078】
また、この実施の形態によれば、プレート本体12の周面部に嵌着された枠材92によりプレート本体12の曲げ強度および捩り強度を向上できるとともに、枠材92内のプレート本体12によりラジオルーセントを確保でき、この骨折治療用インプラント91を骨に装着したままで、ラジオルーセント素材のプレート本体12を透過した放射線により、外部から骨折部位の回復状態を確認することができる。
【0079】
さらに、枠材92は、枠材本体部93に対し一側板部94と他側板部95とを直角に形成して、プレート本体12の周面部に一側面から他側面にわたって嵌着した構造により、曲げ力および捩れ力に対抗する強度があり、プレート本体12に作用する曲げ力および捩れ力に抗する十分な曲げ強度および捩り強度を確保できる。
【0080】
図23は、上記第9実施の形態の変形例を示し、プレート本体12の周面部に、側面部12aより段部12bを介して内側に凸部12cが突出形成され、この凸部12cに凹形断面の枠材92が嵌着されている。このプレート本体12の周面部に嵌着された凹形断面の枠材92は、プレート本体12の曲げ強度および捩り強度を向上できるとともに、プレート本体12と枠材92の表面は面一に形成されて段差がないので、装着感を向上できる。
【0081】
次に、図24および図25に示された第10実施の形態を説明する。
【0082】
図24に示された骨折治療用インプラント101は、放射線(エックス線)を透過する性質を有するラジオルーセント素材としての超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの樹脂により成形されたプレート本体12の周面部に、金属製補強材としての枠材102が嵌着され、また、プレート本体12には、タッピングスクリュー(図示せず)によりセルフタッピングされるスクリュー外径より小径、望ましくはスクリュー谷径より小径の複数のスクリュー螺入穴13が穿設されている。
【0083】
枠材102は、チタン合金(6−4チタンなど)またはステンレス鋼(SUS316Lなど)により、図25に示されるようにU字形断面に成形され、弧状本体部103の両側に一体成形された一側板部104と他側板部105とが、プレート本体12の周面部に一側面から他側面にわたって嵌着されている。
【0084】
そして、タッピングスクリューにより、より軟質の樹脂成形されたプレート本体12の小径のスクリュー螺入穴13にねじ穴を加工形成しながら、このタッピングスクリューによりプレート本体12を骨に固定するので、スクリュー螺入穴13にねじ穴加工をする手間が省け、タッピングスクリューとプレート本体12の十分な結合力が期待でき、さらに、タッピングスクリューを必要に応じた任意の方向へねじ込むことができる。
【0085】
また、この実施の形態によれば、プレート本体12の周面部に嵌着された枠材102によりプレート本体12の曲げ強度および捩り強度を向上できるとともに、枠材102内のプレート本体12によりラジオルーセントを確保でき、骨折治療用インプラントを骨に装着したままで、ラジオルーセント素材のプレート本体12を透過した放射線により、外部から骨折部位の回復状態を確認することができる。
【0086】
さらに、枠材102は、弧状本体部103に対し一側板部104と他側板部105とをU形に形成して、プレート本体12の周面部に一側面から他側面にわたって嵌着した構造により、曲げ力および捩れ力に対抗する強度があり、プレート本体12に作用する曲げ力および捩れ力に抗する十分な曲げ強度および捩り強度を確保できる。
【0087】
図26は、上記第10実施の形態の変形例を示し、プレート本体12の周面部に、側面部12aより段部12bを介して内側に凸部12cが突出形成され、この凸部12cにほぼU形断面の枠材102の凹溝部106が嵌着されている。このプレート本体12の凸部12cに密着嵌合された枠材102は、プレート本体12の曲げ強度および捩り強度を向上できるとともに、プレート本体12と枠材102の表面は面一に形成されて段差がないので、装着感を向上できる。
【0088】
なお、図14乃至図16に示された第6実施の形態、図17および図18に示された第7実施の形態、図19および図20に示された第8実施の形態、図21および図22に示された第9実施の形態、図24および図25に示された第10実施の形態は、枠材62,72,82,92,102を成形型として、その内部に樹脂によりプレート本体12を成形するようにしても良い。この場合は、枠材62,72,82,92,102を後から装着する場合より、製造が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明に係る骨折治療用インプラントの第1実施の形態を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】同上第1実施の形態のねじ固定例を示す断面図である。
【図4】本発明に係る骨折治療用インプラントの第2実施の形態を示す平面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】本発明に係る骨折治療用インプラントの第3実施の形態を示す平断面図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】同上第3実施の形態のねじ固定例を示す断面図である。
【図9】本発明に係る骨折治療用インプラントの第4実施の形態を示す一部破断の平面図である。
【図10】本発明に係る骨折治療用インプラントの第5実施の形態を示す一部破断の平面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】同上第5実施の形態の第1変形例を示す断面図である。
【図13】同上第5実施の形態の第2変形例を示す断面図である。
【図14】本発明に係る骨折治療用インプラントの第6実施の形態を示す一部破断の平面図である。
【図15】図14のXV−XV線断面図である。
【図16】図15のXVI−XVI線断面図である。
【図17】本発明に係る骨折治療用インプラントの第7実施の形態を示す一部破断の平面図である。
【図18】図17のXVIII−XVIII線断面図である。
【図19】本発明に係る骨折治療用インプラントの第8実施の形態を示す一部破断の平面図である。
【図20】図19のXX−XX線断面図である。
【図21】本発明に係る骨折治療用インプラントの第9実施の形態を示す一部破断の平面図である。
【図22】図21のXXII−XXII線断面図である。
【図23】同上第9実施の形態の変形例を示す断面図である。
【図24】本発明に係る骨折治療用インプラントの第10実施の形態を示す一部破断の平面図である。
【図25】図24のXXV−XXV線断面図である。
【図26】同上第10実施の形態の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0090】
12 プレート本体
13 スクリュー螺入穴
14 タッピングスクリュー
22 補強部
32 カーボン製補強材
34 樹脂
42 金属製補強材またはカーボン製補強材としての芯材
52 金属製補強材としての芯材
53 金属製補強材としての枠材
54 凹溝
62 金属製補強材としての枠材
64 凹溝
72 金属製補強材としての枠材
74 凸部
75 凹溝
82 金属製補強材としての枠材
84 凸部
92 金属製補強材としての枠材
102 金属製補強材としての枠材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジオルーセント素材により成形されたプレート本体
を具備したことを特徴とする骨折治療用インプラント。
【請求項2】
プレート本体には複数のスクリュー螺入穴が穿設され、
スクリュー螺入穴は、タッピングスクリューによりセルフタッピングされるスクリュー外径より小径の穴である
ことを特徴とする請求項1記載の骨折治療用インプラント。
【請求項3】
プレート本体に同一素材によりリブ状に設けられた補強部
を具備したことを特徴とする請求項1または2記載の骨折治療用インプラント。
【請求項4】
プレート本体は、
カーボン製補強材と、
このカーボン製補強材をコーティングする樹脂と
を具備したことを特徴とする請求項1または2記載の骨折治療用インプラント。
【請求項5】
プレート本体に設けられた金属製補強材
を具備したことを特徴とする請求項1または2記載の骨折治療用インプラント。
【請求項6】
金属製補強材は、プレート本体内に埋設された芯材である
ことを特徴とする請求項5記載の骨折治療用インプラント。
【請求項7】
金属製補強材は、プレート本体の周面部に嵌着された枠材である
ことを特徴とする請求項5記載の骨折治療用インプラント。
【請求項8】
金属製補強材は、プレート本体の周面に形成された凹溝に嵌着された枠材である
ことを特徴とする請求項7記載の骨折治療用インプラント。
【請求項9】
金属製補強材は、プレート本体の周面に挿入される凸部を備えた枠材である
ことを特徴とする請求項7記載の骨折治療用インプラント。
【請求項10】
金属製補強材は、プレート本体の周面部に一側面から他側面にわたって嵌着された枠材である
ことを特徴とする請求項7記載の骨折治療用インプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2007−21001(P2007−21001A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209952(P2005−209952)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(595120806)株式会社エム・イー・システム (6)
【Fターム(参考)】