説明

骨盤平面位置特定器及び患者位置決め器

【課題】患者の骨盤平面の信頼性良い取得を容易にする。
【解決手段】外科手術患者の骨盤の平面を決定し、且つ平面をコンピュータに追跡システムを介して入力する装置であって、インデックス・ポイントが、患者位置決めフレーム上の患者係合特徴部により定義される前骨盤平面(APP)と所定の関係に置かれるよう拘束され、事前に、患者が、患者の骨盤の解剖学的特徴が患者位置決めフレーム上の対応の患者係合特徴部と安全な機械的関係に配設される状態で、患者位置決めフレームに対して位置合わせされているものである、複数のインデックス・ポイントの位置を取得する手段と、インデックス・ポイントの取得された位置とAPP及びインデックス・ポイントの所定の関係とに基づく計算によりAPPを定義する手段とを備え、インデックス・ポイントが、APPに対して既知の回転関係を有する座標系を定義する装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年4月2日付けで出願された仮出願No.60/459,695の優先権を主張する。
[発明の背景]
[発明の分野]
本発明は、一般的に整形手術に関し、より詳細にはコンピュータ支援された股関節手術に関する。
【背景技術】
【0002】
[関連技術の説明]
全股関節置換又は関節形成手術は、米国では益々一般的になり、300,000件より多いそのような手術が年間に生じている。手順の多くは、多くの問題のうちの1つのため結局は改訂を必要とする。問題は、摩耗し、劣化し、又は折れることすら起こり得るインプラントを用いることにより生じている。他のケースにおいて、置換された股関節の脱臼が起こることがあり、(不便及び出費は言うまでもなく)極度の痛みを生じさせる。脱臼の発生率は、技術及び材料に対する改良にも拘わらず、ほぼ2−6パーセントに留まっている。
【0003】
手術後の脱臼の発生率は、股関節置換構成要素の向きに関連し、特に骨の解剖学的構造に対する寛骨臼殻(acetabular shell)構成要素の角度の向きに関連する。Lewinnnek他著の「全股関節置換関節形成後の脱臼(Dislocation after total hip−replacement Arthroplasties)」(骨及び関節手術誌(Jounal of Bone and Joint
Surgery)、Vol.60A、No.2、217−220頁(1978年))を参照されたい。インプラントの頭頚部幾何学的形状(head and neck geometry)がまた、1つの要因と考えられる。
【0004】
公表された研究にも拘わらず、典型的な手術は、幾つかの技術の可用性にも拘わらず股関節置換手術をナビゲート(navigate)するいずれの高度な方法を採用していなかった。最も普及している方法は、寛骨臼インパクタ・ツール(acetabular impactor tool)に依拠する方法であり、当該寛骨臼インパクタ・ツールは、ハンドルが平坦で水平の向きに維持される場合寛骨臼殻が所望の角度にあるように予め決定された角度に配置される上記ハンドルを有する。この方法は、手術中における患者の骨盤位置のかなりの動き及び変動を考慮していないで、最悪では、それは、寛骨臼殻を手術台(必ずしも骨盤ではない)と整列させる。DiGioia他への米国特許No.6,205,411(2001年)(及び関連の出願)に記載される高度な方法を含む、より技術的方法が、開発された。上記DiGioiaの方法は、従来の方法を超えた進歩である(その進歩を、DiGioiaは、上記米国特許の「背景」セクションで信頼できるレベルで要約している。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
もっと最近には、Sarin他への米国特許No.6,711,431(2004年3月23日、なお、Kinamed,Inc.に譲渡されている。)は、股関節手術のイメージ・フリーのコンピュータ支援ナビゲーションのための方法、装置及びツールを記載する。その出願に記載された方法は、或る一定の解剖学的ランドマークの位置を特定することにより患者の骨盤平面の取得及び追跡を含む。開示された方法は、放射線像への依存より複雑さ及び費用が少ない。Sarinにより開示された上記方法について、患者の骨盤平面の信頼性良い取得を更に容易にすることが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[発明の概要]
上記の問題に鑑みて、本発明は、患者の前骨盤平面の位置を取得する方法と、患者を固定し且つ患者の前骨盤平面の位置を取得する患者位置決め器(装置)との両方を含む。
【0007】
本発明は、部分又は全股関節置換手術をナビゲートする際の使用に適切であり、外科手術患者の骨盤の平面を決定し、且つ当該平面をコンピュータに追跡システムを介して入力する方法において:前記患者を患者位置決めフレームに対して位置合わせするステップであって、前記患者の骨盤の解剖学的特徴が患者位置決めフレーム上の対応の患者係合特徴部と安全な機械的関係に配設される、前記位置合わせするステップと;追跡システムを用いて、複数のインデックス・ポイントの位置を取得するステップであって、前記インデックス・ポイントが患者係合特徴部により定義される前骨盤平面(APP)と所定の関係に置かれるよう拘束される、前記取得するステップと;前記インデックス・ポイントの前記の取得された位置と前記APP及び前記インデックス・ポイントの前記の所定の関係とに基づく計算により骨盤平面を定義するステップと;を備える方法を含む。
【0008】
本発明の装置は、調整可能な背もたれに対して反対側に調整可能に取り付けるよう適合され、且つ患者の骨盤平面の向きを見つけるためのコンピュータ支援された手術での使用に適した患者位置決めフレームを含む。当該フレームは、患者の上前腸骨棘(ASIS)に近接した関係で係合するよう適合された少なくとも1つの上前腸骨棘位置決め特徴部と、前記患者の恥骨結合に近接した関係で係合するよう適合された少なくとも1つの恥骨位置決め特徴部とを備え、そして前記ASIS位置決め特徴部及び恥骨位置決め特徴部が、前骨盤平面(APP)を定義する。この骨盤位置決めフレームは更に、前記ASIS位置決め特徴部及び恥骨位置決め特徴部により定義された前記前骨盤平面(APP)に対して所定の回転関係を維持するよう拘束された1群のインデックス特徴部を備える。
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、当業者に、添付図面を参照した好適な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0009】
[発明の詳細な説明]
本発明は、コンピュータ支援された手術ナビゲーション・システムの文脈で機能するのが好ましく、そのコンピュータ支援された手術ナビゲーション・システムに、本発明は特に良好に、適合される。適切なシステムの例は、米国特許No.6,711,413に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明がコンピュータ支援された股関節手術と関連して用いられる典型的な環境を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明に従って患者位置決めフレームの部分分解された斜視図である。
【図3】図3は、図2に示される位置から90度回転されている患者位置決めフレームの骨盤位置特定部分の別の斜視図である。
【図4】図4は、インデックス特徴部を示す、図2及び図3の患者位置決めフレームのタッチプレートの拡大斜視図である。
【図5】図5は、本発明に従った方法のステップを示すフロー図である。
【図6】図6は、図5に示される方法において骨盤平面を定義するため適切に用いられるより詳細なステップを示す別のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明が動作する好適な環境を提供する従来技術のシステム又は装置20のシステム・レベル・ブロック図を示す。このシステム又は装置20は、一般的に、整形外科手術をナビゲート(誘導)するコンピュータ支援型システムである。医師又は他の専門家22は、患者24の股関節手術(例えば、全股関節置換)を実行する。光学的又は等価の位置特定器又は位置特定システム26は、手術する視野が実質的に位置特定器26の視野28内に含まれるように、患者24の近くに配設される。適切な光学的位置特定器は、商業的に入手可能であり、例えば、カナダ国オンタリオ州ウォータールーのNorthern Digital Inc.から入手可能な「Polaris」である。光学的追跡器又はマーカ30が、手術中に用いられる。マーカ30は、以下で説明されるように、位置特定器26がツール及び解剖学的参照点の位置及び向きを取得するのを可能にする。
【0012】
光学的位置特定器26は、ディジタル・コンピュータ32とインターフェースし、そして追跡データをそのディジタル・コンピュータ32に出力し、当該ディジタル・コンピュータ32は、光学的追跡データを受信するにつれその光学的追跡データを解釈する。周知の幾何学的関係を用いて、コンピュータは、マーカ30の実際の位置及び向きの光学的視野、そして更には、マーカ30に対して既知の関係にある機器及び/又は解剖学特徴の位置及び向きを光学的視野から推論するようプログラムされる。例えば、複数の反射球体を
利用する適切な光学的マーカは、カナダ国オンタリオ州トロントのTraxtal Technogiesから入手可能である。LEDのような能動型発光デバイスを備えるマーカがまた、入手可能であり、同様に用いられることができるであろう。典型的マーカは、3又はそれより多い非共線上の構成要素を含み、これは、位置特定器及びコンピュータがそのようなマーカの空間における位置ばかりでなく向き(回転)も決定するのを可能にすることに注目されたい。この能力は、以下で説明される方法で活用される。
【0013】
コンピュータ32はまた、ナビゲーションを容易にするユーザ・フレンドリーなインターフェース(ソフトウエア)を用いてプログラムされることが好ましい。医師又は他の職員は、(例えば、ビデオ・モニタ上で)出力を見ることができ、そして命令をコンピュータ32にI/O装置34を介して入力することができる。なお、当該I/O装置34は、モニタ、キーボード、プリンタ、フット・ペダル、及び従来の「マウス」又は類似のポインティング・デバイスのような他の入力/出力装置を適切に含むことができるであろう。
【0014】
米国特許No.6,711,431(その特許の図3において)はまた、位置探索システムにより追跡可能であり、且つプローブ位置を取得するためコンピュータ32にキューを出しながら、プローブの先端を用いて特徴(features)に触れることにより当該特徴の位置を特定するため用いられることができるハンド・ヘルド・プローブを開示する。プローブの寸法及び幾何学的形状の事前の知識が、上記プローブの先端の位置の容易な計算を可能にする。他のプローブ又は位置特定ツールが、開示されたプローブに加えて又はそれに代わって用いられることができるであろう。
【0015】
前骨盤平面の定義
全股関節形成において、寛骨臼インプラントの向きは、2つの角度測定値、即ち、外転角度(abduction angle)及びバージョン角度(version angle)で表される。これらの角度は、患者の体の前骨盤平面(APP)に対して定義される。従って、股関節形成に関連して、APPを正確に且つ迅速に定義することは、非常に望ましい。APPは、骨盤上の3つの解剖学的ランドマーク、即ち、2つの上前腸骨棘(ASIS)及び恥骨結合により適切に定義される。理論的に、恥骨結節の中点は、APPの実際の第3の点を定義し、実際の実施においては、これは、通常、恥骨結合と見なされる。APPに基づく座標系が、定義され、そして外転角度及びバージョン角度を決定するため用いられる。X軸は、2つのASIS点を接続する線により定義される。恥骨結合をX軸に接続する垂直線は、Y軸を定義し、そしてX軸及びY軸のクロス乗積(外積)がZ軸を定義する。外転は、Z軸の周りの回転として定義され、そしてバージョンは、Y軸の周りの回転として定義される。
【0016】
股関節形成手術は、静止仰臥位状態(仰向き)か又は横臥位位置(手術側を上向きにした横向き)に保持された状態かのいずれかで患者に実施される。仰臥位置で静止している患者に対して、APPを定義するため用いられるランドマークは、手術中に識別及び触診することが比較的容易である。患者の軟部組織(即ち、パンヌス)及び外科手術ドレーピングは、一般に、骨盤ランドマークの正確な触診を妨げない。外部ホルダー(external holder)は、一般に、仰臥位置に静止している患者に対して用いられない。
【0017】
横臥位置に保持されている患者に対して、手術中の骨盤ランドマークの識別及び触診は、軟部組織、外科手術ドレーピング、及び既存の患者ホルダーの存在により困難にされる。同側ASIS(手術側と同じ側)は、通常、手術中に識別し触診することが容易であるが、しかし反対側ASIS(手術側に対して反対側)及び恥骨結合は、正確に識別し触診するのが困難である。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態を示す。患者を横臥位置で保持するため、本発明は、背もたれアセンブリ200を含む。背もたれアセンブリ200は、横臥位置に位置決めされた患者の背中に対してしっかりと適合するため摺動により調整する調整可能な背もたれ202を含む。従来のものであることができる背もたれ202は、水平の調整ロッド204に固定される。当該水平の調整ロッド204は、垂直の調整ロッド206に対して摺動可能であり且つそれに固定可能である。水平の調整ロッド204の摺動可能な調整は、ネジ・アセンブリ208をロックすることにより固定可能である。アセンブリ全体は、垂直の調整ロッド206を取り付けることにより(好ましくは、クラーク式ソケット(しかし、他の手段も用いることができる。)によりレールに摺動可能に装着することにより)手術台(図示せず)に固定されることができる。
【0019】
図から明らかなように、垂直及び水平の調整ロッド206及び204は、回転式の調整を可能にして患者をより良好に固定するため円筒形であることが好ましい。
骨盤ロケータ・アセンブリ212がまた、患者が背もたれアセンブリ200と骨盤ロケータ・アセンブリ212との間に配置されるように背もたれアセンブリ200と反対の位置に示されている。骨盤ロケータ・アセンブリ212は、2つの垂直の延伸部材214及び216を含み、それら2つの垂直の延伸部材214及び216は、摺動可能に調整可能であるが、しかし骨盤幅調整用固定ネジを締め付けることによりロック可能である。水平の延伸部材220及び222は、垂直の延伸部材214及び216に装着され、そして患者に向かって水平に延長する。(この文脈において用いられるように、「水平」及び「垂直」は、図2の参照系においてのみ意味を有する。仰向けの患者に用いられる場合は、それらの方向は、交換されるであろう。)各水平の延伸部材220及び222の端部に、(2つの)ASISを表面上に係合することにより患者に押しつけそして患者を固定するよう意図されたASISパッド(223a及び223b)がある。骨盤調整延伸部材224は、垂直の延伸部材214及び216に対して実質的に垂直に且つ摺動可能に取り付けられる。骨盤調整延伸部材224は、患者の恥骨寸法に関して調整を可能にするよう摺動可能に取り付けられる。調整後に、これら摺動部材は、ロック用ネジ226によりロック可能である。水平の恥骨伸長部材228は、恥骨調整部材に装着され、そして患者に向かって前方に伸長し、恥骨ロケータ230で終端する。恥骨ロケータ230は、恥骨結合にしっかりと係合するよう設けられているが、しかし過度の不快さを防止するため当てものがされていることが好ましい。
【0020】
構成要素214から230は、一括して支持アセンブリ232と定義する。支持アセンブリ232全体は、水平の調整ロッド234上に取り付けられている。ロック用ネジ236は、締め付けられたとき、支持アセンブリ232を水平の調整ロッド234に固定する。緩められたとき、ロック用ネジ236は、水平の調整ロッド234の軸の周りの回転調整を可能にする。
【0021】
支持アセンブリ232全体は、水平の調整ロッド234を、垂直の調整ロッド238上に取り付けられたヨーク240を通るよう挿入することにより垂直の調整ロッド238に取り付けられることができる。水平の調整ロッド234を摺動可能な調整を行い、水平の調整ロッド234は、ネジ・アセンブリ244をロックすることによりロック可能である。垂直の調整ロッド238は、手術台(図示せず)に取り付け可能である。
【0022】
背もたれアセンブリ200と同様に、調整ロッド238及び234は、2つの軸(水平及び垂直)の周りの回転調整を可能にするため円筒形であることが好ましい。
支持アセンブリ232は、ロック用ネジ・アセンブリ244を緩めることにより垂直の調整ロッド238から取り外され、次いで水平の調整ロッド234をヨーク240から取り外すことができる。この支持アセンブリ232を取り外す能力は、以下で説明されるように、ロケータ230を患者の骨盤に対して調整することを容易にする。
【0023】
支持アセンブリ232が垂直の調整ロッド238から取り外されるときに見えるように当該支持アセンブリ232が図3に示されている。
図2に戻って参照すると、「タッチプレート(touchplate)」250が、局所座標系を定義するため用いられる3個の接触点252a、252b及び252cを有するよう示されている。タッチプレート250は、当該タッチプレート250と恥骨及びASISロケータ(223a、223b及び230)との間の所定の角度関係を維持するように支持アセンブリ232に固定される(そして、脱着可能であることが好ましい)。
【0024】
図4は、タッチプレートをより詳細に示す。3個の接触点252a−252c(「インデックス特徴部(index features)」)は、突出したポスト280の特徴部により定義される。インデックス特徴部は、例えば、米国特許No.6,711,431の図3に示されるように、追跡可能なプローブの既知のポインタを係合するため、形成され又は機械加工されることが好ましい。インデックス特徴部は、剛性板250上に取り付けられ、当該剛性板250は、切り欠き部284を(好ましくは正方形の)部材(図2における参照番号214)と係合することにより支持アセンブリ232に取り付け可能である。ロック用ネジが、剛性板250を固定することが好ましい。取り付けの他の手段を用いることができるであろう。
【0025】
タッチプレート・アセンブリと支持骨盤及び恥骨ロケータとの間の関係が、当該支持骨盤ロケータ及び支持恥骨ロケータのいずれの調整にも拘わらず、十分に定義され、そして予測可能のままであることに注意されたい。更に詳細に説明すると、インデックス特徴部により定義された座標系は、ASISロケータ(223a及び223b)及び恥骨結合ロケータ230により定義されるように前骨盤平面(APP)に対する所定の既知の回転関係にある。しかしながら、或る実施形態においては、インデックス特徴部座標系がAPPに関して回転しない限り、当該インデックス特徴部座標系の原点の任意の平行移動(translation)を可能にすることを許容し得る。図4のタッチプレートは、そのタッチプレートのスロットが矩形支持部材と係合する方法であるので、APPと共同して回転するようタッチプレートを拘束する。他の実施形態が可能であり、それには、タッチプレートが更に並進関係に並びに回転関係に固定されているままであるよう拘束される実施形態が含まれ、そして、大部分の応用に対しては、既知の所定の関係を維持するよう回転関係を拘束することが十分である。より複雑な連結機構を用いて、インデックス・ポイントを拘束して、APPとの予測可能な所定の関係で移動することができるであろう。そのような変形がまた、本発明の範囲内である。
【0026】
タッチプレートの局所座標系は、所定の既知の変換によりAPP座標系を定義する。従って、ベクトルは、ASISロケータ及び恥骨結合ロケータを含む平面の向きを定義するタッチプレートの局所座標系で定義される。恥骨ロケータ・アセンブリの全ての自由度を通じて、タッチプレートは、(ASISロケータ及び恥骨ロケータにより定義されるように)骨盤平面との既知の回転関係を維持する。
【0027】
接触点が、図4に示されるように正確に接触点であるよう要求されないで、むしろ3個のLED等のように、問題としている接触点に対して所定の既知の関係を有するいずれのマーカ/特徴部であることができることに注目すべきである。一実施形態において、インデックス特徴部は、追跡可能プローブ上の相補プローブ先端部と係合するよう適合されたくぼみ(indentations)のような、ポスト280におけるくぼみにより強調される。しかしながら、突起、マーク、ポスト、又は他のランドマークのような他のインデックス特徴を用いることができるであろう。
【0028】
骨盤平面の位置を特定する方法
3個の接触点の位置は、図4のタッチプレートに対して固定された座標系の向きを定義する。そしてまた、タッチプレートの局所座標系は、ASISファインダ(finders)及び恥骨ファインダが、タッチプレートの局所座標軸に対して固定された既知の位置に配置されるので、前骨盤平面(APP)を定義する。ASISファインダは、X軸に沿って調整し得て、そして恥骨結合ロケータは、Y軸に沿って調整し得るが、しかしAPP座標系は、この調整により回転されない。従って、タッチプレートの局所座標系は、所定の既知の変換によりAPP座標系を定義する。
【0029】
この関係を意識して、本発明の装置を用いてAPPを見つける方法が、図5に示されている。
最初に、ステップ502において、支持アセンブリ212は、患者の骨盤ロケータに嵌合するよう調整される。特に、医師は、2つのASISロケータを、患者の左及び右のASISと好ましくは経皮的でしかし安全且つ密接に係合する状態に調整する。次いで、医師は、支持アセンブリ212を調整して、恥骨結合を恥骨ロケータ230と係合させる。このステップは、患者が仰向けの間に実行することができ、そして本発明の一実施形態においては、患者が仰臥位置で特に実行される。このステップは、術前に、更に予備的な診療所訪問中にすら実行されることができる。
【0030】
本発明は、ASISロケータと恥骨ロケータとの経皮的係合を用いて患者を固定するよう十分に適合されている。しかしながら、本装置及び方法は、針のような穿通性ロケータを用いるよう変更されることができるであろう。経皮的係合は、容易さ、単純性、そして患者の外傷を低減するため、多くの実施形態において好ましい。
【0031】
次に、患者が手術の準備をされた後でステップ504において、支持アセンブリ212が、手術台に取り付けられる。
次に、ステップ506において、患者は、手術台上で、支持アセンブリ212に近接して横臥(横向きの)位置に位置決めされる。次いで、背中支持アセンブリが、加えられて、患者を背中支持アセンブリと上記支持アセンブリとの間にサンドウィッチ状に挟み、ASIS及び恥骨が当該支持アセンブリに適切に係合される。支持アセンブリ及び背中支持アセンブリが、手術台上での患者の最小限の摺動でもって患者を収容するため調整ロッド(水平及び垂直)を摺動及び回転させることにより調整されることができることに注目されたい。
【0032】
次に、ステップ508において、光学的位置特定システムのような位置特定システムを用いて、タッチプレート上の3個の接触点の位置を取得する。光学的追跡システム及び接触プローブが、米国特許No.6,711,431に記載されているように用いられることが好ましい。
【0033】
図6は、タッチプレート及び(光学的)位置特定アセンブリを用いて、骨盤平面を取得するより詳細なステップを示す。最初に、ステップ600において、幾何学的関係は、接触点とASISロケータ及び恥骨ロケータとの間で事前定義される。支持システムが、ロケータのいずれの調整にも拘わらず、骨盤ロケータに対するタッチプレートの相対的向きを維持することに注目されたい。従って、タッチプレートの3個の接触点は、1つの座標系を定義し、ASISロケータ及び恥骨ロケータは、1つの平面(APP)を定義し、APPの向きは、タッチプレート座標系で定義され、パラメータ(モデル化されている)のディジタル化された数学的組(集合)へ低減され、そして後の参照のためディジタル・コンピュータに記憶される。APPの向きは、そのAPPに対して垂直のベクトルにより、又はAPPに位置する2つの直交ベクトルとして表されることができることが適切である。所定の記憶された関係は、相対的である。
【0034】
次のステップは、患者が手術台上で横臥位置に患者位置決め器に係合された後で実行される。ステップ602、604及び606において、(手術室座標系における)位置特定システムに対するプローブの位置を取得するためコンピュータにキューを出し(cue)ながら手動プローブで各接触点に適切に接触することにより、各接触点の位置が、ディジタル・コンピュータに入力される。各接触点の位置は、米国特許No.6,711,431及びそこに引用されている文献に記載される手段により(3次元で)計算される。次いで、これらの位置を用いて、(手術室参照系を定義する追跡システムに対する)タッチプレート・アセンブリのリアルタイムの向きを計算する。
【0035】
タッチプレートの取得された向きが与えられたとすると、コンピュータは、次に、患者のAPPの向きを計算する(ステップ608)。これは、(ステップ600から)既知であるAPPとタッチプレートとの相対的関係を補償する変換を適用することにより行われる。
【0036】
任意であるが、しかし最も好ましくは、患者位置決め器の能力は更に、追跡可能な目標を骨盤上に配置し、且つリアルタイムで患者の骨盤を追跡することを継続することにより活用される(オプションのステップ610)。更に骨盤を追跡するため用いられる動的追跡技術は、他の所に記載されているが、しかし一般的に、患者のAPPの初期の取得に依拠する。患者のAPPの初期の位置は、前述したように本発明の使用により容易に取得することができる。その後、骨盤追跡器が、例えば、患者の骨盤に任意の角度で骨ネジにより追跡可能な目標を取り付けることにより装着されることができることは任意である。次いで、追跡可能な目標とAPPとの間の任意の角度が、計算され、そして変換を計算するため用いられる。ひとたび計算されると、患者は、(手術中に)位置特定器から解放されることができ、そしてAPPは、骨盤追跡器によりリアルタイムで追跡されることができる。しかしながら、大部分のケースで、外科医は、安定性を維持するため、患者が手術全体にわたりその位置に固定されたままであることを好むかも知れない。
【0037】
本発明の幾つかの例示的実施形態が示されそして説明されたが、多数の変形及び代替実施形態が、当業者に想起されるであろう。そのような変形及び代替実施形態が、意図され、そして特許請求の範囲で定義されるように本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなしに行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分又は全股関節置換手術をナビゲートする際の使用に適切であり、外科手術患者の骨盤の平面を決定し、且つ当該平面をコンピュータに追跡システムを介して入力する装置であって、
追跡システムを用いて、複数のインデックス・ポイントの位置を取得する手段であって、前記インデックス・ポイントが、患者位置決めフレーム上の患者係合特徴部により定義される前骨盤平面(APP)と所定の関係に置かれるよう拘束され、事前に、前記患者が、前記患者の骨盤の解剖学的特徴が前記患者位置決めフレーム上の対応の患者係合特徴部と安全な機械的関係に配設される状態で、患者位置決めフレームに対して位置合わせされているものである、前記取得する手段と、
前記インデックス・ポイントの前記の取得された位置と前記APP及び前記インデックス・ポイントの前記の所定の関係とに基づく計算により前記APPを定義する手段と
を備え
前記インデックス・ポイントが、前記APPに対して既知の回転関係を有する座標系を定義する装置。
【請求項2】
前記患者係合特徴部が、
上前腸骨棘(ASIS)を係合するよう適合された少なくとも1つの特徴部と、
患者を恥骨結合に近接して係合するよう適合された特徴部と
を備える請求項1記載の装置。
【請求項3】
追跡システムを用いて、複数のインデックス・ポイントの位置を取得する前記手段が、追跡可能なプローブを含む請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記インデックス・ポイントが、少なくとも3つのインデックス・ポイントを備え、
前記インデックス・ポイントの3つが、1つの平面を定義する
請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記患者位置決めフレームが、手術台から引き離されている調整可能部分を備え、
当該調整可能部分が、当該患者位置決めフレームを、前記患者に対して位置合わせするように調整される、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記位置決めフレームの調整可能部分が、前記患者が立位位置か又は仰臥位置かにあるときに、前記患者位置決めフレームを、前記患者に対して位置合わせ可能である、
請求項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−50786(P2011−50786A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281117(P2010−281117)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【分割の表示】特願2006−509569(P2006−509569)の分割
【原出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(504308486)キナメッド・インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】