説明

骨盤押圧パッド及び骨盤押圧パッド付き骨盤矯正ベルト

【課題】 骨盤矯正ベルトの緊締により生じる体背部への押圧力を骨盤に効果的に伝えて、骨盤の歪みによる姿勢の悪化を改善するとともに、確実に骨盤に配置することができ、巻着時にずれにくく最適な装着位置に維持することが可能な骨盤押圧パット及び骨盤押圧パット付き骨盤矯正ベルトを得る。
【解決手段】 骨盤回りに弾性力をもって巻き付けられるベルト本体に装着され、所定の厚みを備えた弾性材で形成された押圧体からなる骨盤押圧パッドであって、押圧体1は、略台形状をなし、台形状の底面4をベルト装着面5とし、台形状の頂面6を仙骨を押圧する仙骨押圧面部2とし、頂面6の両側にある傾斜面7を腸骨を押圧する腸骨押圧面部3とし、そして、押圧体1にあっては、その中央部位を、台形状の底面4から頂面6に渡って硬質弾性材で形成して仙骨強押圧部位9とし、仙骨強押圧部位9以外を軟質弾性材で形成して軟押圧部位10とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨盤回りに弾性力をもって巻き付けられるベルト本体に装着される骨盤押圧パッド及び骨盤押圧パッド付き骨盤矯正ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、腰痛、肩こり、首こり、背中の痛みなど様々な不快な症状の原因の一つとして骨盤の歪みが指摘されており、なかでも運動不足による筋肉の弱体化や悪い姿勢の多い生活習慣により骨盤が開いて後ろに傾斜する骨盤の歪みが指摘されている。
【0003】
骨盤は、仙骨とその左右の腸骨によって構成されており、仙骨と左右の腸骨は仙腸関節で結ばれている。骨盤の中心に位置する仙骨の上には、側方から見てゆったりとしたS字カーブを描く彎曲をなす脊柱が積み上げられている。この脊柱の彎曲は、一般的に「生理的彎曲」と呼ばれており、骨盤が開いて後ろに傾斜すると、脊柱の生理的彎曲が崩れていわゆる猫背の悪い姿勢になってしまう。このような悪い姿勢は、一部の筋肉や脊柱に大きな負担がかかり腰痛、肩こり、首こり、背中の痛みなどの不快な症状を引き起こす原因となる。
【0004】
このような骨盤の歪みによる姿勢の悪化を改善するものとして、仙骨の左右にある腸骨を押圧することにより、後ろに傾斜した骨盤を前傾させて、適切な脊柱の生理的彎曲を形成する骨盤押圧パッド及び骨盤押圧パッド付き骨盤矯正ベルトが提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−100865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された骨盤押圧パッド及び骨盤押圧パッド付き骨盤矯正ベルトは、骨盤のうち腸骨のみを局所的に押圧するものであるため、骨盤矯正ベルトの緊締により生じる体背部への押圧力を骨盤に効果的に伝えることができず、骨盤を前傾させることができないおそれがあるといった問題があった。
【0007】
また、特許文献1に記載された骨盤押圧パッド及び骨盤押圧パッド付き骨盤矯正ベルトは、押圧パットが装着された骨盤矯正ベルトを巻着する際、押圧パッドが左右にずれてしまい、押圧パットを所望の位置に配置することが難しく、位置決めに気を使うといった問題があった。
【0008】
さらに、特許文献1に記載された骨盤押圧パッド及び骨盤押圧パッド付き骨盤矯正ベルトは、矯正ベルトを巻着してエクササイズやウォーキング等の運動を行った場合、押圧パッドが腸骨からずれやすく、最適な装着位置に維持することが困難であり、何度も巻き直しが必要になるなど、使用上の煩わしさがあるといった問題があった。
【0009】
本発明の目的は、骨盤矯正ベルトの緊締により生じる体背部への押圧力を骨盤に効果的に伝えて、骨盤の歪みによる姿勢の悪化を改善するとともに、確実に骨盤に配置することができ、巻着時にずれにくく最適な装着位置に維持することが可能な骨盤押圧パット及び骨盤押圧パッド付き骨盤矯正ベルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、骨盤回りに弾性力をもって巻き付けられるベルト本体に装着され、所定の厚みを備えた弾性材で形成された押圧体からなる骨盤押圧パッドであって、前記押圧体は、略台形状をなし、台形状の底面をベルト装着面とし、台形状の頂面を仙骨を押圧する仙骨押圧面部とし、前記頂面の両側にある傾斜面を腸骨を押圧する腸骨押圧面部とし、そして、前記押圧体にあっては、その中央部位を、台形状の底面から頂面に渡って硬質弾性材で形成して仙骨強押圧部位とし、仙骨強押圧部位以外を軟質弾性材で形成して軟押圧部位としたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の、前記仙骨強押圧部位は、ベルト長さ方向の縦断面が略台形状に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載された発明は、骨盤回りに弾性力をもって巻き付けられるベルト本体の長手方向中央を骨盤当て部とし、該骨盤当て部に、請求項1又は2に記載の骨盤押圧パッドが装着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
骨盤を上方からみたとき、図7に示すように、左右の腸骨イの上後腸骨棘ロが外側に張り出し、上後腸骨棘ロの間の凹部に仙骨ハが配置されている。そこで、請求項1に記載の骨盤押圧パッドによれば、骨盤回りに弾性力をもって巻き付けられるベルト本体に装着され、所定の厚みを備えた弾性材で形成された押圧体は、略台形状をなし、台形状の底面をベルト装着面とし、台形状の頂面を仙骨を押圧する仙骨押圧面部とし、前記頂面の両側にある傾斜面を腸骨を押圧する腸骨押圧面部とし、そして、前記押圧体にあっては、その中央部位を、台形状の底面から頂面に渡って硬質弾性材で形成して仙骨強押圧部位とし、仙骨強押圧部位以外を軟質弾性材で形成して軟押圧部位としたので、上後腸骨棘ロの間の凹部にある仙骨ハを前記仙骨押圧面部で押圧し、外側に張り出した腸骨イの上後腸骨棘ロを腸骨押圧面部で押圧することができ、このとき、仙骨ハへは前記仙骨強押圧部位により強い力で押圧することができる。このように、仙骨ハと腸骨イを同時に押圧することができるので、骨盤矯正ベルトの緊締により生じる体背部への押圧力を骨盤に効果的に伝えることができ、しかも、仙骨ハを強い力で押圧することができるので、確実に骨盤を前傾させることができる。その結果、脊柱の適切な生理的彎曲が形成され、骨盤の歪みによる姿勢の悪化を改善することができる。また、上記のように骨盤を前傾させたとき、仙骨強押圧部位以外を軟質弾性材で形成して軟押圧部位としているので、仙骨ハと腸骨イを結ぶ仙腸関節の動きを過剰に拘束することがない。
【0014】
また、押圧体は略台形状となっているので、左右の腸骨イの上後腸骨棘ロが外側に張り出し、上後腸骨棘ロの間の凹部に仙骨ハが配置された骨盤の形状に沿ってフィットするため、位置決めが容易となり、押圧体を確実に骨盤に配置することができるとともに、巻着時に押圧体がずれにくく最適な装着位置に維持することができる。
【0015】
請求項2に記載された骨盤押圧パッドによれば、請求項1に記載の、前記仙骨強押圧部位は、ベルト長さ方向の縦断面が略台形状に形成されているので、ベルト装着面で吸収した骨盤矯正ベルトの緊締により生じる体背部への押圧力を、仙骨押圧面部に集中させることができ、より強い力で仙骨を押圧することができる。これにより、確実に骨盤を前傾させることができ、その結果、脊柱の適切な生理的彎曲が形成され、骨盤の歪みによる姿勢の悪化を改善することができる。
【0016】
請求項3に記載の骨盤矯正ベルトによれば、骨盤回りに弾性力をもって巻き付けられるベルト本体の長手方向中央を骨盤当て部とし、該骨盤当て部に、請求項1又は2に記載の骨盤押圧パッドが装着されているので、このようなベルト本体を巻着すると、骨盤を前傾させて脊柱の適切な生理的彎曲が形成された状態、即ち正しい姿勢の状態を長時間保つことができ、長時間の座り仕事や立ち仕事による疲労を軽減することができる。また、正しい姿勢の状態でエクササイズやウォーキング等の運動を行うことができ、効果的に骨盤の歪みを矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の骨盤押圧パッドの一例を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1の骨盤押圧パッドを装着した骨盤矯正ベルトの表面を示す図である。
【図4】図1の骨盤押圧パッドを装着した骨盤矯正ベルトの裏面を示す図である。
【図5】図3の骨盤矯正ベルトを使用した状態を骨盤上方から見た説明図である。
【図6】図3の骨盤矯正ベルトを使用した状態を骨盤後方から見た説明図である。
【図7】骨盤を上方から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明に係る骨盤押圧パッド及び骨盤押圧パッド付き骨盤矯正ベルトを実施するための形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図6は本発明に係る骨盤押圧パッド及び骨盤押圧パッド付き骨盤矯正ベルトの一例を示したもので、図1は本発明の骨盤押圧パッドの一例を示す斜視図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1の骨盤押圧パッドを装着した骨盤矯正ベルトの表面を示す図、図4は図1の骨盤押圧パッドを装着した骨盤矯正ベルトの裏面を示す図、図5は図3の骨盤矯正ベルトを使用した状態を骨盤上方から見た説明図、図6は図3の骨盤矯正ベルトを使用した状態を骨盤後方から見た説明図である。
【0019】
本例の骨盤押圧パッドは、骨盤回りに弾性力をもって巻き付けられるベルト本体に装着されるものであって、所定の厚みを備えた弾性材で形成された押圧体1からなる。押圧体1は、平面視が矩形状の板状であって、仙骨を押圧する仙骨押圧面部2と、その両側に配置された腸骨を押圧する腸骨押圧面部3とで構成されている。
【0020】
押圧体1は、正面視が略台形状に形成されており、略台形状に形成された押圧体1は、台形状の底面4がベルト装着面5となり、台形状の頂面6が仙骨押圧面部2となり、頂面6の両側にある傾斜面7が腸骨押圧面部3となっている。本例では、押圧体1は、押圧体1の長手方向の端部8,8が底面4に対して垂直方向に切り取られた略台形状に形成されている。
【0021】
頂面6をもって形成される仙骨押圧面部2は、仙骨を押圧することができる面積を有し、底面4をもって形成されるベルト装着面5から頂面6、即ち仙骨押圧面部2までの厚みは、骨盤矯正ベルトの緊締により生じる体背部への押圧力を仙骨に伝えることができる厚みとなっている。本例では、底面4、即ちベルト装着面5から頂面6、即ち仙骨押圧面部2までの厚みは3cmとなっている。
【0022】
仙骨押圧面部2の両側には、押圧体1の長手方向の端部8,8に向かって厚みが薄くなる傾斜面7が形成されており、この傾斜面7が腸骨押圧面部3となっている。腸骨押圧面部3は、仙骨押圧面部2の左右に対称に形成されている。
【0023】
図2に示す、頂面6をもって形成される仙骨押圧面部2と傾斜面7をもって形成される腸骨押圧面部3のなす角度θは、押圧体1を骨盤に当接させ、押圧体1に骨盤矯正ベルトの緊締により生じる体背部への押圧力を与えたとき、仙骨押圧面部2と腸骨押圧面部3とで仙骨と腸骨を同時に適切な力で押圧することができる角度となっており、具体的には130度から175度の範囲が好ましい。角度θが130度未満であると、腸骨押圧面部3で腸骨を押圧することができず、仙骨のみを押圧することになるため、骨盤矯正ベルトの緊締により生じる体背部への押圧力を骨盤へ効果的に伝えることができないばかりか、仙骨のみを押圧すると腸骨の動きが大きくなり、その結果、骨盤の状態が安定せず、骨盤の歪みによる姿勢の悪化を改善することができない。一方、角度θが175度を超えると、骨盤矯正ベルトの緊締により生じる体背部への押圧力が外側に張り出した腸骨の上後腸骨棘に集中してしまい、仙骨と腸骨を同時に適切な力で押圧することができない。
【0024】
そして、押圧体1にあっては、その中央部位が台形状の底面4から頂面6に渡って硬質弾性材で形成した仙骨強押圧部位9となっており、仙骨強押圧部位9以外が軟質弾性材で形成した軟押圧部位10となっている。仙骨強押圧部位9と軟押圧部位10はそれぞれ別体に成形され、これを接着剤等の接合手段により一体化して押圧体1が形成されている。
【0025】
仙骨強押圧部位9を形成する硬質弾性材および軟押圧部位10を形成する軟質弾性材の材質としては、一定の弾性を有し、骨盤矯正ベルトの緊締により生じる体背部への押圧力を骨盤へ伝えることができるものであれば特に限定されず、各種発泡樹脂などを使用することができ、具体的には、例えば発泡ポリウレタンや発泡ポリエチレンなどを使用することができる。
【0026】
また、仙骨強押圧部位9を形成する硬質弾性材の材質としては、軟押圧部位10よりも硬い材質であればよい。仙骨強押圧部位9および軟押圧部位10の硬さとしては、例えば、仙骨強押圧部位9を形成する硬質弾性材および軟押圧部位10を形成する軟質弾性材の材質として発泡ポリウレタンを使用する場合には、軟押圧部位10の硬さが100Nから300N 程度のとき、仙骨強押圧部位9の硬さは550Nから750N 程度であるのがよい。
【0027】
仙骨強押圧部位9は、ベルト長さ方向の縦断面が略矩形状または略台形状に形成されており、本例では、図2に示すように、仙骨強押圧部位9は、ベルト長さ方向の縦断面が略台形状に形成されている。具体的には、本例の仙骨強押圧部位9は、台形角錐状に形成され、押圧体1の短手方向全幅に渡って設けられている。
【0028】
仙骨強押圧部位9は、押圧体1の底面4であるベルト装着面5に露出する部分を仙骨強押圧ベルト装着面5aとし、押圧体1の頂面6である仙骨押圧面部2に露出する部分を仙骨強押圧面部2aとしており、仙骨強押圧ベルト装着面5aは、ベルト装着面5の一部を形成し、仙骨強押圧面部2aは、仙骨押圧面部2の一部或いは全部を形成している。本例では、仙骨強押圧面部2aは、仙骨押圧面部2の中央位置に形成され、仙骨強押圧面部2aの一部を形成している。仙骨強押圧ベルト装着面5aから仙骨強押圧面部2aまでの厚みは、ベルト装着面5から仙骨押圧面部2までの厚みと同じ厚みとなっている。
【0029】
仙骨強押圧部位9の仙骨強押圧面部2aは、その領域で仙骨を押圧することができる面積を有し、仙骨強押圧面部2aの面積は、仙骨強押圧ベルト装着面5aの面積と同程度或いはそれよりも狭くするのがよい。具体的には、仙骨強押圧面部2aと仙骨強押圧ベルト装着面5aとの面積比は、1:1から1:5の範囲が好ましい。仙骨強押圧面部2aに対する仙骨強押圧ベルト装着面5aの面積比が上記範囲を超えると、仙骨強押圧ベルト装着面5aで吸収した骨盤矯正ベルトの緊締により生じる体背部への押圧力が、仙骨強押圧面部2aに集中しすぎてしまい、仙骨を局所的に押圧することになる結果、押圧力を骨盤に効果的に伝えることができず、また、装着感も悪化する。一方、仙骨強押圧面部2aの面積が仙骨強押圧ベルト装着面5aよりも広くなると、仙骨強押圧ベルト装着面5aで吸収した骨盤矯正ベルトの緊締により生じる体背部への押圧力が、仙骨強押圧面部2aで分散してしまい、押圧力を骨盤に効果的に伝えることができない。本例では、仙骨強押圧面部2aの面積は、仙骨強押圧ベルト装着面5aの面積よりも狭くなっている。
【0030】
骨盤押圧パッドとなる押圧体1が装着される骨盤矯正ベルトのベルト本体11は、骨盤回りに弾性力をもって巻き付けられる帯状であって、長手方向中央の骨盤当て部12と、骨盤当て部12の左右に連設された接合ベルト部13とで構成されている。接合ベルト部13の両端部には、体前で接合ベルト部13を係止する面ファスナー14が設けられている。
【0031】
骨盤当て部12には、押圧体1を着脱自在に装着する装着手段15が設けられている。本例では、装着手段15は、骨盤当て部12の左右にそれぞれ中央側が開口したポケット部16となっており、それぞれの開口から押圧体の長手方向の端部8,8を挿入することにより装着されている。本例では、装着手段15は、骨盤当て部12の両端部に設けられたポケット部16となっているが、これに限定されず、押圧体1のベルト装着面5と骨盤当て部12に面ファスナーを設けても良い。
【0032】
次ぎに、このように構成された骨盤押圧パット及び骨盤押圧パッド付き骨盤矯正ベルトの使用方法について説明する。
まず、骨盤矯正ベルトのベルト本体11に装着された骨盤押圧パッドとなる押圧体1を、仙骨押圧面部2が左右腸骨イの上後腸骨棘ロの間の凹部にある仙骨ハに当接し、腸骨押圧面部3が左右腸骨イの上後腸骨棘ロに当接する位置に配置する。その状態で、ベルト本体11の接合ベルト部13を左右にひっぱり、所望の張力を保ったまま体前で接合ベルト部13を面ファスナー14により係止する(図5、図6)。
【0033】
このように巻着することで、腸骨イの上後腸骨棘ロの間の凹部にある仙骨ハを仙骨押圧面部3で押圧し、外側に張り出した腸骨イの上後腸骨棘ロを腸骨押圧面部4で押圧することができる。このとき、仙骨ハへは仙骨強押圧部位9により強い力で押圧することができる。こうして、仙骨ハと腸骨イを同時に押圧することができるので、骨盤矯正ベルトの緊締により生じる体背部への押圧力を骨盤に効果的に伝えることができ、しかも、仙骨ハを強い力で押圧することができるので、確実に骨盤を前傾させることができる。その結果、脊柱の適切な生理的彎曲が形成され、骨盤の歪みによる姿勢の悪化を改善することができる。また、上記のように骨盤を前傾させたとき、仙骨強押圧部位9以外を軟質弾性材で形成して軟押圧部位10としているので、仙骨ハと腸骨イを結ぶ仙腸関節の動きを過剰に拘束することがない。
【0034】
また、押圧体1は略台形状となっているので、図5に示すように、押圧体1は、腸骨イの上後腸骨棘ロが外側に張り出し、上後腸骨棘ロの間の凹部に仙骨ハが配置された骨盤の形状に沿ってフィットするため、位置決めが容易となり、押圧体1を確実に骨盤に配置することができるとともに、巻着時に押圧体1がずれにくく最適な装着位置に維持することができる。
【0035】
本例では、仙骨強押圧部位9は、ベルト長さ方向の縦断面が略台形状に形成されており、仙骨強押圧部位9の仙骨強押圧面部2aの面積は、仙骨強押圧ベルト装着面5aの面積よりも狭くなっているので、仙骨強押圧ベルト装着面5aで吸収した骨盤矯正ベルトの緊締により生じる体背部への押圧力を、仙骨強押圧面部2aに集中させることができ、より強い力で仙骨を押圧することができる。これにより、確実に骨盤を前傾させることができ、その結果、脊柱の適切な生理的彎曲が形成され、骨盤の歪みによる姿勢の悪化を改善することができる。
【0036】
骨盤矯正ベルトのベルト本体11には、略台形状をなし、台形状の底面4をベルト装着面5とし、台形状の頂面6を仙骨部位を押圧する仙骨押圧面部2とし、頂面6の両側にある傾斜面7を腸骨を押圧する腸骨押圧面部3とし、そして、その中央部位を、台形状の底面4から頂面6に渡って硬質弾性材で形成して仙骨強押圧部位9とし、仙骨強押圧部位9以外を軟質弾性材で形成して軟押圧部位10とした押圧体1からなる骨盤押圧パッドが装着されているので、このようなベルト本体11を巻着すると、骨盤を前傾させて脊柱の適切な生理的彎曲が形成された状態、即ち正しい姿勢の状態を長時間保つことができ、長時間の座り仕事や立ち仕事による疲労を軽減することができる。また、正しい姿勢の状態でエクササイズやウォーキング等の運動を行うことができ、効果的に骨盤の歪みを矯正することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 押圧体
2 仙骨押圧面部
2a 仙骨強押圧面部
3 腸骨押圧面部
4 底面
5 ベルト装着面
5a 仙骨強押圧ベルト装着面
6 頂面
7 傾斜面
8 端部
9 仙骨強押圧部位
10 軟押圧部位
11 ベルト本体
12 骨盤当て部
13 接合ベルト部
14 面ファスナー
15 装着手段
16 ポケット部
イ 腸骨
ロ 上後腸骨棘
ハ 仙骨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨盤回りに弾性力をもって巻き付けられるベルト本体に装着され、所定の厚みを備えた弾性材で形成された押圧体からなる骨盤押圧パッドであって、
前記押圧体は、略台形状をなし、台形状の底面をベルト装着面とし、台形状の頂面を仙骨部位を押圧する仙骨押圧面部とし、前記頂面の両側にある傾斜面を腸骨部位を押圧する腸骨押圧面部とし、そして、前記押圧体にあっては、その中央部位を、台形状の底面から頂面に渡って硬質弾性材で形成して仙骨強押圧部位とし、仙骨強押圧部位の両側を軟質弾性材で形成して軟押圧部位としたことを特徴とする骨盤押圧パッド。
【請求項2】
前記仙骨強押圧部位は、ベルト長さ方向の縦断面が略台形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の骨盤押圧パッド。
【請求項3】
骨盤回りに弾性力をもって巻き付けられるベルト本体の長手方向中央を骨盤当て部とし、該骨盤当て部に、請求項1又は2に記載の骨盤押圧パッドが装着されていることを特徴とする骨盤押圧パッド付き骨盤矯正ベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−55376(P2012−55376A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199216(P2010−199216)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(391044166)玉川衛材株式会社 (10)
【Fターム(参考)】