説明

髄内釘内にロックねじを遠位に導く方法および装置

【課題】ドリルブッシング内に置かれた器具を導くことができるようにするシステムを提供する。
【解決手段】ドリルブッシング内に置かれた器具を導くことができるようにするシステムは、ドリルブッシングの軸を、髄内釘の横方向孔の軸に整合させる。そのシステムは、遠位の端部を備えた細長い部材を有するプローブと、細長い部材の遠位の端部に垂直に取り付けられ、長さ方向の軸に沿って極性を与えられた、磁石と、標的化磁石に対する磁気センサーアレイの位置および向きを決定するために、プログラムされた命令を実行する、プロセッサと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願に対するクロス−リファレンス〕
本出願の出願人に譲渡された同時係属中の、2005年12月30日に出願された米国特許出願第11/323,537号「磁気発生源の位置を決定する方法(Method For Determining A Position Of A Magnetic Source)」が、参照され、上記米国特許出願の開示内容は、参照することによって、その全体が、本明細書に明白に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、大まかに言って、髄内釘の開口にロックねじを整合させるシステムに関し、より詳しく言うと、髄内釘の横方向開口にロックねじを整合させるために磁界を用いるそのようなシステムに関する。
【0003】
〔背景〕
骨折した骨を一体に固定するために髄内釘にロックねじを整合させるシステムが、知られている。これらのシステムは、大まかに、3つのクラス、すなわち、X線画像化システム、機械的システム、および、電磁気的システム、に分類することができる。X線画像化システムは、外科医が髄内釘に位置する横方向孔を目視することができるように、挿入された髄内釘を用いて処置されている四肢の画像を提供するために、X線画像化を用いる。この画像は、穿孔のためおよびドリルビットを横方向孔と整合させるために、骨の外側面の適正な位置を外科医が突き止めることを容易にする。一旦、適正な穿孔位置および整合が決定されると、X線画像化システムは、取り除かれて、次に、外科医は、髄内釘の横方向孔を通る孔を、骨にあけることができる。これらのX線画像化システムは、患者および外科医をX線に曝し、X線の蓄積は、とりわけ外科医にとって、長期間の有害な結果をもたらす場合がある。
【0004】
機械的システムは、基準点を必要とし、そのため、その基準点からのオフセット距離が、外科医によって、外部から決定され、かつ目視されて、これにより、骨を通る通路を髄内釘の孔の開口と相互に関連させる。しかし、いくつかの研究は、髄内釘がある程度の外側および背側の変形(lateral and dorsal deformation)、ならびにある程度の回転移動を受ける場合があることを、示してきた。機械的システムは、これらの動きを正確には追跡できず、その結果、矛盾した標的化(inconsistent targeting)が起こる場合がある。
【0005】
ドリルビットが横方向孔を通過するように骨に孔をあけるためのドリルを整合させるために電磁的または磁気的コンポーネントを予め用いていたシステムは、多くの制約を受ける。この種類のいくつかのシステムは、一つの磁石が髄内釘の横方向孔内に予め機械的に位置させられていることを必要とする。旋回可能に取り付けられた磁石が、骨表面に置かれ、この旋回可能な磁石が髄内釘内の双極子と整合するまで、動かされる。次に、この位置が、穿孔のために印をつけられる場合があるが、ドリルの角度方向(angular orientation)は、穿孔動作のために取り除かれた外部の双極子をさらに参照することなく、外科医によって維持されなければならない。
【0006】
米国特許第5,584,838号または米国特許第4,621,628号に開示されているもののような、他の電磁的システムは、一つ以上の電磁駆動コイルと、複数の電磁束センサー(electromagnetic flux sensors)とを用いて、ドリルブッシング(drill bushing)が髄内釘の横方向孔と整合するように導く。これらのシステムは、髄管内に位置する駆動コイルによって、ドリルブッシングと関連した磁気的ピックアップコイル(magnetic pick up coils)中に誘導された電流または電圧を測定して、ドリルブッシングの軸が横方向孔の軸と整合していることを判定する。しかし、これらのシステムを設計し、開発し、そして、製造することは、困難である。それに加えて、これらのシステムのうちいくつかは、駆動コイルをくり抜かずに穿孔動作を実施することができるように、駆動コイルを横方向孔内のその駆動コイルの場所から取り除くことを必要とする。駆動コイルが横方向孔から取り除かれると、コイルセンサーは、ドリルブッシングの整合に用いることができる信号をもはや生み出さない。その結果、外科医は、ドリルの正しい配置(placement)を確認するためのどのような表示もなしに、ドリルの適正な向き(orientation)および配置を維持しなければならない。
【0007】
電磁的標的化装置(electro-magnetic targeting devices)の使用によって生起するいくつかの課題に取り組むシステムが、米国特許出願公開第2005/0075562号に開示されている。この出願公開のシステムは、円筒形の永久磁石を用いていて、その永久磁石は、永久磁石の長さ方向の軸がロッドと整合するように、ロッドの端部に取り付けられている。その永久磁石は、軸対称の磁界を有するように設計されている。そのような磁石は、円筒形の磁石の長さ方向の軸に沿ってではなく、その直径にわたって、その円筒形の磁石に極性を与えることによって、作られる。磁石は、髄内釘の横方向孔からわずかに離れた位置で髄内釘内に置かれる。磁気抵抗性(MR)素子の楕円形のアレイが、一つ以上の穿孔スリーブに固定された関係で取り付けられる。MR素子は、センサー素子を通過する磁束に応答して電気抵抗を変化させる材料で構成されている。MR素子は、ホイートストンブリッジの配列で共に結合されていて、このため、ホイートストンブリッジの電圧出力は、MR素子のアレイが、センサーアレイの平面が磁石の長さ方向の中心平面を通る平面と平行である位置であって、センサーアレイの中心が磁石の中心の上方にある、位置にあるときに、零となる。
【0008】
上記特許出願公開のシステムは、MR素子の使用による損害を被る。これらのMR素子は、磁束の変化に敏感であるが、素子の応答がいつも首尾一貫しているわけではない。より詳しく言うと、これらMR素子は、ヒステリシスを経験する傾向がある。その結果、MR素子は、所定の磁界強度においてある抵抗値を生み出し、次に、測定の間に磁界強度を変動させると、以前と同じ磁界強度において異なる抵抗値を生み出す場合がある。磁界強度の変動は、外科医が零点の位置を突き止めるためにセンサーアレイを動かし回転させるときによくあることである。磁気センサー素子が経験するいずれのヒステリシスをも補償するために、センサーアレイは頻繁にリセットされる。
【0009】
頻繁なリセットは、センサーアレイによって生み出された読取値が、髄内釘内の磁石によって生み出された磁界から生じていることを、確認することにもなる。環境磁界(environmental magnetic fields)は、センサーアレイによって生み出された読取値に影響を及ぼす場合があり、その理由は、MR素子が、磁界強度の非常に小さな変化にも敏感であるからである。センサーアレイのリセットは、有益であると考えられ、その理由は、センサーアレイが骨の近くに運ばれると、骨内の磁石によって生み出された磁界が優位を占めるからである。しかし、地球磁場は、時間、および、患者の骨の近傍での空間的な向き、の関数として変化する。その結果、地球磁場は、たとえセンサーアレイがリセットされたとしても、センサーアレイによって生み出された読取値に影響する場合がある。
【0010】
〔発明の概要〕
センサーアレイを頻繁にリセットする必要のない、磁気ノイズに対してより高い耐性を有する標的化システムの必要性に取り組むシステムが、以下に記載される。ドリルブッシング内に置かれた器具を導くこと(targeting)を可能にするシステムは、ドリルブッシングの軸を髄内釘の横方向孔の軸と整合させる。そのシステムは、遠位の端部を備えた細長い部材を有するプローブと、細長い部材の遠位の端部に垂直に取り付けられ、長さ方向の軸に沿って極性を与えられた磁石と、標的化磁石に対する磁気センサーアレイの位置および向きを決定するために、プログラムされた命令を実行するプロセッサと、を含む。
【0011】
そのシステムは、遠位の端部を備えた細長い部材を有するプローブと、長さ方向の軸に沿って極性を与えられた磁石であって、細長い部材の遠位の端部に垂直に取り付けられた円形の断面を有する、磁石と、患者の体の外側に位置する磁気センサーの標的化アレイ(targeting array of magnetic sensors)と、を含み、磁気センサーの各々は、標的化アレイが磁石の長さ方向の軸を中心に置く状態となり、かつ標的化アレイの平面が磁石の断面に平行になると、このことに応答して、この標的化アレイ中の対称的な位置に位置される磁気センサーによって生み出された信号とほぼ等しい信号を生み出す。
【0012】
上記の特徴および利点、ならびに、その他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによって、当業者にはいっそう容易に明らかとなるはずである。
【0013】
〔発明の詳細な説明〕
ドリルブッシング内のドリルの標的点を決定するためのシステム10の実施の形態が、図1に示されている。システム10は、プローブ12と、ハンドヘルドのガイド14と、で構成されている。プローブ12は、細長い部材20で構成され、この細長い部材20には、一対の磁石241、242が取り付けられている。細長い部材20は、ロッド26、およびプラスチック材料のシース18で構成されていてよく、プローブ12を髄内釘22の内側通路16内に挿入できるようになっている。それに代わって、磁石241、242は、被覆シースなしで、ロッド26の端部に取り付けられていてもよい。髄内釘は、骨折した骨の骨片を互いに固定するためのものであることが、整形外科分野ではよく知られている。図1は、ハンドヘルドのユニットは大腿骨より長くないので、一定の縮尺で描かれたものではない。図1に示されたさまざまなシステムのコンポーネントおよび骨の寸法は、システムのコンポーネントのすべてとコンポーネントの環境とを示すために、変更されている。
【0014】
ハンドヘルドのガイド14は、ディスプレイ42、ドリルブッシング40、および、支持部48、を含んでいる。ハンドヘルドのガイド14は、ハンドグリップ30をも含んでいて、ハンドグリップ30は、上側プラットフォームおよび回路ハウジング34の拡張部として形成されるか、または、上側プラットフォームおよび回路ハウジング34に取り付けられていてよい。それに代わって、ハンドグリップ30は、下側プラットフォーム38と一体に形成されるか、または、下側プラットフォーム38に取り付けられていてもよい。ハンドグリップを提供するための他の構成が用いられてもよい。軸32を有するドリルブッシング40が、上側プラットフォーム34から下側プラットフォーム38へ延在していて、メス、ドリルビット、または、ねじ回し、の通路を案内している。プリント回路基板が、ハンドヘルドのガイド14の回路ハウジング34内に収容されている。標的の表示(target display)を生み出すための電子機器、および、電子機器に電力を供給するためのバッテリー、が、プリント回路基板に取り付けられている。底部支持部38は、ドリルブッシング40の底部を保持して、ブッシング40を通る軸32が底部支持部38に対して垂直に留まるようにしている。
【0015】
垂直拡張部44も、ハウジング34に設けられている。拡張部44は、ハンドヘルドのユニット14に一体形成されるか、または、ユニット14に取り付けられてよい。拡張部は、以下により詳しく記載されるもののような、磁気センサーを含んでいる。拡張部44は、標的化磁石から放射される磁界の外側に磁気センサーを保持して、磁気センサーが、ハンドヘルドのユニット14の近傍内の背景磁界(background magnetic fields)を測定するようにしている。これらの測定値は、以下により詳しく記載される、これらの背景磁界の効果を除去するために用いられる。
【0016】
調節可能な位置付けジグ(adjustable positioning jig)36が、最も遠位の磁石24が横方向孔28を標的化するための適正な位置にくるように、髄内釘22内にプローブ12を位置させるための基準位置を確立するために、設けられている。ある実施の形態では、ジグ36は、スライドカラーであり、そのスライドカラーを通ってプローブ12が延びている。髄内釘が患者の外側にある間に、プローブは髄内釘内に挿入される。プローブは、磁石24が横方向孔28と整合する位置か、または横方向孔からY方向にオフセットした所定の位置で横方向孔に平行である位置まで、カラーを通って延在している。次に、スライドカラーとプローブ12との間の空間的な関係が、印を付けられて、髄内釘が患者の骨の髄管内に置かれたときにプローブが挿入されるべき長さが確立される。スライドカラーは、既知の方式で、プローブの所定の場所で選択的に固定されることができる。
【0017】
磁石24は、例えば、ネオジム鉄ホウ素(NdFeB)で作られた既製の永久磁石であってよい。磁石は、横方向孔28の入口と出口との間の空間にぴったりと合う長さを有していなければならない。6自由度を、以下に記載される17個の磁気センサーのアレイを用いて追跡するために、2つの磁石241、242は、各磁石がロッド26と共にT形を形成するように、ロッド26に取り付けられることができる。すなわち、各磁石241、242の長さ方向の軸は、ロッド26の長さ方向の軸に垂直であってよい。磁石の別のアレイは、磁石の磁化軸がロッド26に垂直である限り、用いられてよい。磁石は、磁石の幾何学的形状と無関係に磁化されている場合があるので、磁石241、242は、図1に示されているのと異なるようにロッド26に取り付けられていてもよい。図1に示されているように、磁石のうちの一方241は、ロッド26の端部に取り付けられていて、一方、ロッド26は、もう一方の磁石242を通過している。磁石は、磁石の磁化軸が互いに平行で、かつ磁石の最長の物理的な寸法の少なくとも3倍の距離だけ互いに離れているように、方向付けられている。磁石241、242は、磁石のN極およびS極が磁石の長さ方向の軸に沿って位置するように、極性を与えられていてよい。その結果、Z軸は、磁石の長さ方向の軸と整合し、Y軸は、ロッド26の長さ方向の軸と整合し、X軸は、Y軸およびZ軸の両方に垂直な磁石241、242の円形断面の直径と整合している。ロッド26に設けられた磁石241、242は、図1では円筒形で示されているが、別の形状、例えば球形、長方形、または、これらの形状のさまざまな変形などが、プローブ12のさまざまな実施の形態で用いられてよい。
【0018】
2つの磁石を備えたプローブは、ドリルブッシングが髄内釘の横方向孔に整合するように、外科医がハンドヘルドのユニット14を適正に方向付けることができるようにする。プローブ12の遠位の端部に取り付けられた一つのみの磁石が用いられる場合には、以下により詳しく記載される17個のセンサーのアレイは、その磁石に対して可能性のある6自由度のうち5自由度を感知することができる。しかし、Z軸を中心とする回転角は、感知されることができない。その結果、ハンドヘルドのユニット14は、ドリルブッシングが骨とまったく整合しないように、回転させられる場合がある。このような種類の誤りを防止するために、第2の磁石242が、センサーアレイによって感知される第2の磁石によって放射された磁界が第1の磁石の磁界よりかなり小さくなるように、ある間隔で設けられている。第2の磁石を検出するために、ハンドヘルドのユニットがプローブと整合したことを判定するための別個の整合センサー46が上側プラットフォーム34の下側面に設けられているが、整合センサー46の測定値がプローブ12の遠位の端部に取り付けられた磁石によって影響を及ぼされないように、整合センサー46がセンサーアレイから十分に離れている限り、複数の位置(positions)が用いられうる。整合センサー46での測定値が、X軸およびY軸でほぼ零であるとき、ハンドヘルドのユニットは、髄内釘22の上方で適正に方向付けられていて、その理由は、センサーアレイの中心センサー、および、整合センサー46が、2つの標的化磁石の中心を通る線にほぼ平行な線を形成しているからである。したがって、整合センサーは、ハンドヘルドのユニットを適正に方向付けるように、6自由度が特定されるのを可能にする。整合センサーは、一つの2軸センサーを用いて、または、互いに直交するように配列された2つの単軸センサーを用いて、実現されうる。
【0019】
位置付けジグ36は、ロッドの端部に取り付けられた磁石の位置を、磁気センサーアレイの中心センサーとブッシング40を通る長さ方向の軸32との間の間隔に対応する距離だけ、横方向孔28のY軸にオフセットさせて固定するために用いられる。磁気センサーアレイの中心センサーがプローブ12の端部に取り付けられた磁石と整合し、整合センサーがロッド26に取り付けられた第2の磁石の上方に位置付けられると、ドリルブッシング40は、横方向孔28の上方で整合する。プローブ12に取り付けられた磁石は、横方向孔からオフセットしているので、ドリルビットは、ドリルビットが横方向孔を通るときに、いずれの磁石とも遭遇しない。
【0020】
別の実施の形態では、長さ方向の軸に沿って極性を与えられた一つの磁石24が、ロッド26の端部に取り付けられていてよい。ここでも、磁石24は、磁石の長さ方向の軸がロッド26の長さ方向の軸と垂直になるように、ロッド26の端部に取り付けられている。この種類のプローブは、16個の磁気センサーで構成される磁気センサーアレイと共に用いられてよく、その磁気センサーアレイは、以下に記載される17個の磁気センサーで構成されるセンサーアレイの中心センサーを有していない。一つの磁石を備えたプローブを用いて、位置付けジグ36は、磁石を横方向孔28内に置き、磁石の長さ方向の軸を横方向孔28の長さ方向の軸と整合させるために、用いられる。この実施の形態のドリルブッシング40は、磁気センサーアレイの中心を通る。したがって、平衡状態(balance conditions)が、ドリルブッシングを中心に配列された16個のセンサーに対して達成されると、ドリルブッシングは、横方向孔と整合している。しかし、この状況のプローブは、髄内釘22の通路16から引き出されなければならず、さもないと、ドリルビット32は、ドリルビットが横方向孔28に入るときに、磁石と遭遇することになる。その結果、この実施の形態は、患者の骨の中でドリルビットの整合が確立されるまでハンドヘルドのユニットを方向付け、次に穿孔を開始するために用いられうる。次に、磁石を穿孔するリスクなしに穿孔が続けられるように、プローブが引き出される。
【0021】
以下に記載されるセンサーアレイによって生み出される信号の処理は、特定用途向け集積回路(ASIC)、または適切なサポート回路に結合された一般的なマイクロプロセッサにより、実行されうる。ハンドヘルドのユニット14の動作のためのプログラムされた命令が、プリント回路カード(printed circuit card)に取り付けられたPROMまたはROMのような不揮発性メモリに記憶されうる。それに代わって、プログラムされた命令は、ハンドヘルドのガイドに選択的に結合されうる携帯式メモリユニットに記憶されていてもよい。
【0022】
空間内のある点での磁束密度は、以下の方程式によって定められることができ、
【数1】

ここで、Bは、磁束密度であり、μ0は、自由空間中の透磁率であり、mは、プローブ磁石の磁気モーメントの大きさであり、rは、双極子から測定が行われる点(x,y,z)までの半径距離であり、θは、+Z軸から+X軸へ向かう回転角であり、ψは、XY平面内の回転角である。この方程式は、半径距離rが磁石の半径よりかなり大きいとすれば、ある点における磁束密度を正確に記述している。
【0023】
標的化システムのある実施の形態が、図2に示されている。標的化システム300は、磁気感知ユニット308と、ガイダンスユニット301と、を含んでいる。磁気感知ユニット308内には、以下により詳しく記載される方式で配列され動作する磁気感知素子を含む磁気感知アレイ328がある。これらの磁気感知素子の各々は、それらの素子を通る磁束密度に応答して、電気信号を生み出す。これらの電気信号は、データとして量子化され、その電気信号を生み出した素子の識別子と共に処理するためにガイダンスユニット301に伝達されうる。ガイダンスユニット301は、磁束密度を表現するこれらのデータを処理して、センサーアレイの素子に対する、その磁束線を生み出した磁界発生源309の、角度方向および空間的位置を判定する。
【0024】
ガイダンスユニット301は、図2では、磁気感知ユニット308の外側にあるように図示されているが、ガイダンスユニット301は、磁気感知ユニット308内に組み込まれていてもよい。この実施の形態では、ディスプレイは、磁気感知ユニット308の上側面に見ることができる。さらにこの実施の形態では、直径方向に反対側にある素子からの信号は、所与の素子によって生み出された信号と比較されて、それらの素子の角度方向および空間的位置が判定される。これらの信号の比較は、感知ヘッド332が感知ヘッド332内のセンサーアレイを磁界発生源309と整合させるためにどのように動かされるべきかに関して、外科医への指令を、文字でまたは図式で、生み出すのに用いられうる。
【0025】
より詳しく言うと、ガイダンスユニット301は、コントローラ302と、ディスプレイ306と、を含む。コントローラ302は、通信リンク312を介して、ディスプレイ装置306と通信を行うように結合されている。図2では、コントローラ302と別個に示されているが、ディスプレイ装置306は、いくつかの実施の形態では、コントローラ302の一部を形成している場合がある。それに加えて、いくつかの実施の形態では、ディスプレイ装置306は、コントローラ302から離れて位置付けられている場合がある。例えば、ディスプレイ装置306は、整形外科手術が実行されている手術室の天井または壁に結合されている場合がある。それに加えて、または、それに代わって、ディスプレイ装置306は、ホログラムディスプレイのような仮想ディスプレイとして、ヘッドアップディスプレイ(heads-up display)のような、体に取り付けられるディスプレイ(body mounted display)として、または、それらに類似のディスプレイとして、具現化される場合がある。コントローラ302は、キーボードおよび/またはマウスのような、複数の入力装置にも結合されていてもよい。しかし、図示された実施の形態では、ディスプレイ装置306は、ガイダンスユニット301を用いて外科医からの入力を受け取ることができるタッチスクリーンディスプレイ装置である。すなわち、外科医は、単にディスプレイ装置306のスクリーンに触れるだけで、複数のスクリーン上の選択の範囲から選択するなど、ディスプレイ装置306およびコントローラ302へ入力データを提供することができる。
【0026】
コントローラ302は、以下に限定されないが、パーソナルコンピュータのようなコンピュータ、専門化されたマイクロコントローラ装置、処理回路の集合、または、それらの類似物、を含む、任意の種類のコントローラとして、具現化されてよい。コントローラ302は、プロセッサ314と、メモリ装置316と、を含む。プロセッサ314は、以下に限定されないが、個別の処理回路網、ならびに/または、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、および/もしくは、特定用途向け集積回路(ASIC)、のような、集積回路網、を含む任意の種類のプロセッサとして、具現化されてもよい。メモリ装置316は、任意の個数のメモリ装置、ならびに、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読み出し専用メモリ(ROM)、のような、任意の種類のメモリ、を含んでいてよい。図2には示されていないが、コントローラ302は、コンピュータシステムで共通に見出されるその他の回路網をも含むことができる。
【0027】
コントローラ302は、データベース318をも含むことができる。データベース318は、任意の種類の、データベース、電子ライブラリ、および/または、ファイル記憶場所、として、具現化されてよい。例えば、データベース318は、構造化データベースとして、あるいは多数の別個のファイルおよび関連する「ルックアップ」テーブルを収容した電子ファイルフォルダまたはディレクトリとして、具現化されてよい。さらに、データベース318は、任意の適切な装置に記憶されてよい。例えば、データベース318は、メモリ装置316の一連の記憶場所(a set of memory locations)に記憶されている、および/または、ハードディスクドライブもしくはその類似物のような個別の記憶装置に記憶されていてよい。
【0028】
それに加えて、または、それに代わって、コントローラ302は、通信リンク322を介して、遠隔データベース320に結合されていてもよい。遠隔データベース320は、データベース318と類似していてよく、任意の種類のデータベース、電子ライブラリ、および/または、ファイル記憶場所、として具現化されてよい。遠隔データベース320は、コントローラ302から離れて位置していてよい。例えば、コントローラ302は、整形外科手術室に位置していてもよく、一方、遠隔データベース318は、病院のネットワークの一部を形成していて、整形外科手術室とは別の部屋に、または、手術室から離れた建物に、位置していてよい。したがって、通信リンク322は、コントローラ302と遠隔データベース320との間のデータ伝送を容易にすることができる任意の種類の通信リンクとして具現化されうる。例えば、いくつかの実施の形態では、通信リンク322は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、および/または、インターネットのような、グローバルで公共的にアクセス可能なネットワーク、のようなネットワークの一部を形成することができる。
【0029】
コントローラ302は、レシーバまたはトランシーバ324をも含む。レシーバ324は、通信リンク326を介して、磁気センサーアレイ308との通信を行うために、プロセッサ314によって用いられる。通信リンク326は、データを磁気センサーアレイ308からコントローラ302へ伝達することができる任意の種類の通信リンクとして具現化されてよい。例えば、通信リンク326は、有線のまたは無線式の通信リンクであり、データを伝達するために任意の適切な通信技術および/またはプロトコルを用いることができる。したがって、レシーバ324は、例えば、有線のまたは無線式のレシーバを含む、コントローラ302と磁気センサーアレイ308との間の通信を容易にすることができる任意の種類のレシーバとして具現化されうる。
【0030】
図2に示された実施の形態の例示的な磁気感知ユニット308は、感知ヘッド部332と、ヘッド部332に結合されたハンドル334と、を有する、ハウジング330を含む。ハンドル334は、整形外科医のような、システム300の使用者によって、磁気センサーアレイ308を動かし位置付けるために用いられうる。磁気センサーアレイ308は、ヘッド部332内に位置するセンサー回路328をも含んでいる。以下により詳しく記載されるように、センサー回路328は、磁界発生源309によって生み出された磁界を感知し、磁気センサーアレイ308に対する磁界発生源309の位置を示すデータを特定する、ように構成されている。そのようなデータは、処理するために通信リンク326およびレシーバ324を介して、コントローラ302に伝達されるか、または、ユニット308で表示される外科医への指令を生み出すために用いられる。本明細書で用いられる、用語「位置(position)」は、空間内の、または、予め決められた点もしくは他の物体に対する、ある物体(body)(例えば、磁界発生源309)の場所および向きを定める6自由度のうちのいずれか一つまたはそれ以上を意味することが意図されている。
【0031】
磁界発生源309の磁界を感知するために、センサー回路328は、図3に示されたように配列されうる磁気センサー配列(magnetic sensor arrangement)348を含む。磁気センサー配列348は、一つ以上の磁気センサー350を含む。センサー回路328はまた、処理回路352、およびトランスミッタ354を含む。磁気センサー350は、複数の相互接続部356を介して、処理回路352に電気的に結合されている。処理回路352は、相互接続部358を介して、トランスミッタ354にも電気的に結合されている。処理回路352は、相互接続部362を介して、表示器360にも電気的に結合されている。相互接続部356,358,362は、処理回路352、センサー350、表示器360、および、トランスミッタ354、の間を電気的に接続することができる任意の種類の相互接続部、例えば、配線、ケーブル、PCBトレース、または、それらの類似物、として具現化されうる。
【0032】
磁気センサー配列348を形成する磁気センサー350の個数は、使用される磁気センサーの種類、使用される磁石の材料、サイズ、および、強さ、具体的な適用、ならびに/または、磁気センサーアレイ308の構成、のような、基準に応じて変わる場合がある。例えば、磁気センサー350は、磁界発生源309の3次元的な磁界を測定するように構成されている。したがって、センサー回路328は、センサー回路328が、3つの次元で磁界または磁界発生源309を感知または測定することができるように、任意の個数および構成の1次元、2次元、および/または、3次元の磁気センサーを含むことができる。さらに、磁気センサー350は、磁界発生源309によって生み出された磁界を感知または測定できる任意の種類の磁気センサーとして具現化されてよい。例えば、磁気センサー350は、超伝導量子干渉計(SQUID)磁気センサー、異方性磁気抵抗(AMR)磁気センサー、巨大磁気抵抗(GMR)磁気センサー、ホール効果磁気センサー、または、磁界発生源の3次元磁界を感知または測定できる任意の他の種類の磁気センサー、として具現化されうる。ある特定の実施の形態では、磁気センサーは、X−H3X−xx_E3C−25HX−2.5−0.2T、または、X−H3X−xx_E3C−25HX−2.5−20mT 3軸磁界トランスデューサとして指定されるホール効果センサーであり、これらのトランスデューサは、スイス国チューリッヒのゼニス・ゲー・エム・ベー・ハー(SENIS GmbH, of Zurich, Switzerland)から市販されている。それとは関係なく、磁気センサー350は、複数のデータ値(例えば、電圧レベル)を生み出すように構成されていて、データ値は、各センサーが位置する空間内の点での、および、各センサーの能動感知素子(active sensing element)の向きでの、磁界発生源309の磁界の3次元の磁束密度の一つ以上の成分(例えば、X成分、Y成分、および、Z成分)を定める。これらのデータ値は、相互接続部356を介して、処理回路352へ伝達される。
【0033】
異方性磁気抵抗(AMR)磁気センサーによって経験されるヒステリシスにさらされることのない標的化システムを提供するために、磁気センサー配列348は、図4に示されたもののような、パターンに配列されたホール効果磁気センサーを用いる。センサーは、一つの平面に配列されているとして図示されているが、センサーのうち一つまたは複数が、Z方向で、他のセンサーと重なり合う、体積的な配列(volumetric arrangements)を含む、別の構成も、可能である。図4に示された例示的な実施の形態では、センサー配列348は、17個の磁気センサー3501〜35017を含んでいる。磁気センサー3501〜35017は、センサーボード370に固定されていて、センサーボード370は、磁気センサー3501〜35017を所望の構成で支持することができる任意の非磁性材料から形成されてよい。例えば、例示的な実施の形態では、センサーボード370は、FR4から形成されている。磁気センサー3501〜35017は、センサーボード370の表面またはセンサーボード370内に取り付けられてよい。したがって、センサーボード370は、センサー回路328の感知面を形成し、センサーボード370が露出されるように、磁気センサーアレイ308のヘッド部分332の内側に位置する(すなわち、ハウジング材料の背後に位置する)か、または、ヘッド部332に取り付けられていてよい。
【0034】
ある実施の形態では、センサーボードは、ほぼ12センチメートルの幅、ほぼ12センチメートルの長さ、および、ほぼ2.5センチメートルの厚み、を有する。しかし、望ましい個数の磁気センサー350の取り付けを可能にする他の寸法を有するセンサーボードが用いられる場合もある。磁気センサー350は、予め決められた構成に基づいて、センサーボード370に取り付けられるか、またはセンサーボード370内に位置する。磁気センサー3501〜35017の各々は、1次元、2次元、または、3次元のセンサーであってよい。したがって、磁気センサー3501〜35017の各々は、各々、1つの、2つの、または、3つの、能動感知要素を含むことができる。磁気センサー3501〜35017の各感知要素は、特定の磁気センサーの位置(すなわち、場所および向き)での磁界発生源の磁束密度の少なくとも一つの成分を測定することができる。そのようにするために、各磁気センサー350は、磁束密度が測定される磁界感受性点(field sensitive point)を含む。センサーの本体は、多数の向きで位置付けられてよく、それぞれの向きは、磁界感受性点を同じ場所に置くことを容易にするという理解の下で、磁気センサー3501〜35017の構成が、各磁気センサーの磁界感受性点に関して、以下に記載される。
【0035】
図4に示された17個の磁気センサーで構成されるアレイは、磁気センサーのうち16個が、中心に位置する17番目の磁気センサーの周りに位置付けられるように、配列されている。磁気センサーのうち5個は、3つの直交する軸で磁束密度を測定するために用いられる3チャネルの磁気センサー(three channel magnetic sensors)であり、磁気センサーのうち12個は、3直交軸系(three orthogonal axis system)の一つの軸のみで個別に磁束密度を測定するための1チャネルのみの磁気センサー(one channel only magnetic sensors)である。3チャネルのセンサーである5個の磁気センサーのうちの一つは、5個の磁気センサーのうちの他の4個の磁気センサーの中心に、他の4個の磁気センサーから等距離で、位置付けられている。
【0036】
より詳しく言うと、そして、図4に示されているように、磁気センサーのうちの4つの磁気センサー35014〜35017は、コンパス点(compass points)と呼ばれる場合がある位置に位置していて、その理由は、それらの磁気センサーは、アレイ348の中心点3501に対して、0度、90度、180度、および、270度、の位置にあるからである。さらに、磁気センサー35014および磁気センサー35016は、磁気センサー35015および磁気センサー35017が中心の磁気センサー3501を挟んで互いに対してそうであるのと同様に、中心の磁気センサー3501に対して互いに正反対に配置されている。これらの4個の磁気センサーは、単一チャネルセンサーである。磁気センサー35014、35016は、これらのセンサーに対する磁界感受性点でY方向の磁束密度を測定し、磁気センサー35015、35017は、これらのセンサーに対する磁界感受性点でX方向の磁束密度を測定する。上述されたように、図1のプローブの実施の形態は、Y軸方向がロッド26の長さ方向の軸と整合し、X軸方向がロッド26の長さ方向の軸と垂直な磁石24の円形の断面の直径と整合するように、磁石を方向付ける。
【0037】
同じように、磁気センサー配列348は、対称的な対の磁気センサーをも含んでいる。すなわち、磁気センサー3506、3508は、中心の磁気センサー3501の周りに対称的に位置する一対の単一チャネルセンサーであり、Z方向の磁束密度を測定する。同様に、磁気センサー3507、3509は、中心の磁気センサー3501の周りに対称的に位置する一対の単一チャネルセンサーであり、Z方向の磁束密度を測定する。磁気センサー35010〜35013は、中心の磁気センサー3501から等距離である。これらの磁気センサーの各々は、単一チャネルセンサーであり、Z方向の磁束密度を測定する。磁気センサー3501〜3505は、3チャネルセンサーであり、X方向、Y方向、および、Z方向の磁束を測定する。磁気センサー3502〜3505は、中心の磁気センサー3501から等距離である。磁気センサーが磁束密度を測定する方向は、磁気センサーが取り付けられているボードに対する磁気センサーの向きに応じて変わる。例えば、磁気センサーのうちのいくつかは、センサーボード370の測定表面に直交して位置付けられていて、一方、別の磁気センサーは、センサーボード370の測定表面と同一平面上で、そうでなければ、センサーボード370の測定表面とほぼ平行に、センサーボード370に位置付けられている。
【0038】
磁気センサー3502〜35017は、アレイ内の磁気センサーの測定値が平衡のとれたときに、アレイ348の中心の磁気センサー3501が磁界発生源309の長さ方向の軸と整合し、アレイの平面が1つまたは複数の磁石の長さ方向の軸と垂直であるように、センサーボード370に位置付けられている。測定値は、以下の状況が起きたときに、平衡となる。

ここで、Bijは、図4に示されたアレイのj番目の磁気センサーによるi感知方向での磁束密度の測定値Bを表現している。しかし、これらの磁気センサーは、上記の平衡状況が用いられることができるように、対称的に配列されている場合もある。感知アレイ(sensing array)の位置および向きを決定するために非対称的な読取値を補償するように処理回路がプログラムされているならば、他の非対称的な配列が用いられてもよい。
【0039】
上述したように、感知アレイ348は、感知アレイ348に対する、プローブ12の端部に取り付けられた磁石24の位置について、6自由度のうちの5自由度に対して感受性がある。この場合は、Z軸を中心にした回転角である、6番目の自由度を決定するために、磁気センサーが、ロッド26に取り付けられた2つの磁石の中心の間の距離に相当する距離だけ中心のセンサー3501から離れて、ハンドヘルドのユニットに設けられている。この整合センサーをセンサー35018として識別するために、ハンドヘルドのユニット14の適正な整合を確立するこのセンサーに対する平衡条件は、X軸において

および、Y軸において

である。この整合センサーは、ハウジング34の下側面に、上述されたプリント回路カードの拡張部表面に、または、整合センサー自体のプリント回路カードの表面に、取り付けられている場合がある。整合センサーはまた、整合センサーの座標系がアレイ348内のセンサーに対する座標系と対応するように、方向付けられなければならない。
【0040】
いくつかの実施の形態では、磁気センサー350は、異なる磁界感受性(すなわち、測定された磁束密度の最小の検出可能な変化)、および感知範囲を有している場合がある。例えば、いくつかの実施の形態では、コンパス点に位置していない磁気センサー350は、コンパス点に位置する磁気センサー350に比べて、より低い磁界感受性を有するが、より広い感知範囲を有する、場合がある。ある特定の実施の形態では、3次元磁気センサー3501〜3505は、ほぼ50μT(マイクロテスラ)の磁界感受性と、ほぼ20mT(ミリテスラ)の感知範囲と、を有し、一方、1次元磁気センサー3506〜35017は、ほぼ5μTの磁界感受性と、ほぼ2mTの感知範囲と、を有する。しかし、別の実施の形態では、追加のレベルの、または異なる、磁界感受性、および/または、感知範囲、が、センサーボード370の表面の予め決められた場所からの各磁気センサー350の特定の距離に基づいていることがある。
【0041】
磁気センサー350の磁界感受性および感知範囲のそのような違いに起因して、磁気センサー配列348は、磁気センサーアレイ348の位置付けの変動による影響を受けにくい場合があり、および/または、磁束密度の測定値の正確さは、磁気センサーアレイが、飽和状態に達することなく磁界発生源309に接近して位置付けられると共に、磁界発生源309の磁束密度を測定できる磁気センサー350を有することによって、改善されうる。それに加えて、磁気センサー配列348は、磁気センサーアレイ308の位置付けの変動の影響をより受けにくい場合があり、および/または、磁束密度の測定値の正確さは、磁気センサーアレイ308が磁気「ノイズ」(すなわち、磁界発生源309以外の発生源からの望ましくない磁界の作用)の増加にもかかわらず磁界発生源309から離れて位置付けられると共に、磁界発生源309の磁界を測定できる磁気センサー350を有することによって、改善される場合がある。
【0042】
正確さを改善するための一つの方法は、ハンドヘルドのユニット14の近傍内の背景磁界を測定し、この磁界「ノイズ」を、2磁石システム(two magnet system)のアレイセンサーおよび整合センサーの測定値から減算するものである。この能力を提供するために、磁気センサーが、図1に示す垂直な拡張部44内に組み込まれていてよい。地球磁場または他の環境磁界のような、背景磁気「ノイズ」を測定するため、センサーは、背景を測定するセンサーが標的化磁石によって放射された磁界を感知しないように、プローブの磁石からある距離だけ離れて位置しなければならない。したがって、図1に示された拡張部は、ハウジングから上向きに延び、これは、標的化磁石が髄内釘22内にあるときに、標的化磁石から離れる方向である。他の配列も、可能である。例えば、背景磁界を測定するためのセンサーは、ハンドヘルドのユニット14から離れていてよく、センサーによって測定された測定値は、ハンドヘルドのユニット内の処理回路に伝達される。
【0043】
図1に示された実施の形態では、拡張部は中空であってもよく、その遠位の端部にはスクリューキャップが設けられている。そのスクリューキャップは、磁気センサーが拡張部内に置かれるように、取り外されてよく、そのスクリューキャップは、元に戻される。センサーから延びる導体が、拡張部の全長を横断してハウジング34に入り、ハウジング34内では、導体は、適切な相互接続部を介して処理回路に結合されている。平衡状態での背景磁束密度の測定値の組み込みを簡単化するために、磁気センサーは、磁気センサーの座標系がアレイセンサーの座標系と同じであるように、方向付けられなければならない。座標系の間の関係が知られている場合には、ある座標系から別の座標系への変換が可能である。
【0044】
上述した磁気センサー配列348は、単に一つの例示的な実施の形態であり、別の実施の形態では、センサー回路328のセンサー配列348は、磁気センサー350が、測定された磁束密度の3次元のX成分、Y成分、および、Z成分、を測定できるようにする、任意の構成で位置付けられた任意の個数の磁気センサー350を含んでいてよい。例えば、いくつかの実施の形態では、磁気センサー配列348は、一つの3次元磁気センサーを含むことができる。それに代わって、別の実施の形態では、磁気センサー配列348は、さまざまな構成で配列された追加の磁気センサー350を含むことができる。磁気センサーの個数を増やすことによって、センサーアレイに対する冗長性(redundancy)が発現させられる。すなわち、測定された磁束密度の個々の成分の大きさは、異なる場所に位置付けられた複数の磁気センサー350からの測定値を用いて、判定される。したがって、磁界発生源309によって生み出された3次元磁界の特性付け(characterization)の正確さは、磁気センサー配列348内に追加の磁気センサーを含むことによって、増加されうる。
【0045】
さらに、磁気センサー350は、図2〜図4の例示的な実施の形態では処理回路352と別個の磁気センサーとして具現化されているが、いくつかの実施の形態では、磁気センサー350、および、処理回路352またはその一部、は、単一の電子装置として具現化されてよい。例えば、磁気センサー350、および、処理回路352の一部、は、一つ以上の相補的金属酸化物半導体(CMOS)装置として具現化されうる。磁気センサー350および処理回路352を半導体装置内に埋め込むことによって、センサー回路328が必要とする空間が低減される。それに加えて、そのような半導体装置は、個々の磁気センサー350の温度が変動するというような、外界の影響をより受けにくい場合がある。
【0046】
今度は図5を参照すると、磁界発生源309は、一つ以上の磁石として具現化されることができる。その例示的な実施の形態では、磁界発生源309は、一つの円筒形双極磁石450である。磁石450は、多くの磁束線452を有する磁界を生み出す。生み出された磁束線452の断面の部分集合のみが、図5に示されていて、磁束線(および磁界)は、磁石450を周辺で取り囲んでいる。磁石450の軸が横方向孔の長さ方向の軸と整合するように、または、磁石450の長さ方向の軸が横方向孔の長さ方向の軸から既知の距離だけ離れて横方向孔に平行になるように、位置付けられると、磁石450の位置(すなわち、場所および向き)は、6自由度により定められる。すなわち、磁石450の位置は、3つのデカルト座標の値と、3つの回転値(three rotational values)(すなわち、各デカルト軸を中心とする値)と、によって定めることができる。例えば、図5に示されているように、座標軸454によって、磁石450の位置は、X座標の値、Y座標の値、Z座標の値、X軸を中心とするΘ(シータ)回転値、Y軸を中心とするΨ(プシー)回転値、および、Z軸を中心とするΦ(ファイ)回転値、によって3次元空間内で定めることができる。
【0047】
上述したように、プローブ12は、図1に示されたように、ロッド26に取り付けられた2つの磁石を備えて構成されてよい。この実施の形態は、髄内釘22を骨の中に固定する間に、プローブ12が髄内釘22の通路16内に留まることができるように、遠位の磁石が横方向孔28から離れて置かれることを可能にする。別の個数の磁石および別の磁石の構成は、感知アレイおよび平衡条件が、横方向孔の中心、または横方向孔からの既知の間隔だけオフセットした位置のいずれかを特定するために適正に選択されるとすれば、用いられてよい。
【0048】
磁石450は、患者の、関連する組織を通してセンサー回路328によって感知または測定されるのに十分な磁束密度または強度の磁界を生み出すことが可能な任意の磁性材料であって、所定の健康および安全性の制限を超過しない磁界強度に患者をさらすことがない、任意の磁性材料から形成されてよい。例えば、磁石450は、強磁性材料、フェリ磁性材料、反強磁性材料、反フェリ磁性材料(antiferrimagnetic)、常磁性材料、または、超常磁性材料、から形成されうる。ある特定の実施の形態では、磁石450は、ネオジムフェライトホウ素(neodymium ferrite boron)(NdFeB)等級50合金材料から形成されている。例示的な磁石450は、ほぼ5ミリメートルの長さ451、およびほぼ2ミリメートルの直径453を有する円筒形磁石である。しかし、別の実施の形態では、長方形および球形の磁石のような、別の構成、ならびに、別のサイズ、を有する磁石450が用いられうる。
【0049】
磁気センサー350の測定値の正確さを改善するために、磁石450の磁気モーメントは、製造中に調整され、または、使用前に較正される場合がある。磁石の長さ方向の軸の軸上にあるまたはほぼ軸上にある磁気モーメントを備えたこれらの磁石のみが、標的化システム用のプローブを形成するために、細長い部材20の端部に横方向に取り付けられている。すなわち、磁石450の磁気モーメントが磁石450の長さ方向の軸から実質的に離れた場所から磁石450から延びていると判定された場合、その磁石は廃棄される。このようにして、磁石450によって生み出された磁界は、磁界の測定値およびその測定値に基づいて計算された値が、高められた正確さを有するように、感知され測定されうる。
【0050】
図6に示されたディスプレイ600のような、ユーザーインターフェースは、髄内釘の横方向孔を標的化するように外科医に図式で指示するために用いられてよい。ディスプレイ600は、山形部分(chevrons)604と、矢印608と、を含む。図6に示されているように、0度、90度、180度、および、270度、の位置に位置する山形部分604は、XY平面内でのハンドヘルドのユニットの平行移動を示すために用いられる。45度、135度、225度、および、315度、の位置に位置する山形部分は、横揺れ(roll)(YZ回転)、および、縦揺れ(pitch)(XZ回転)、を示す。矢じり(arrowheads)608は、偏揺れ(yaw)(XY回転)を示すために用いられる。ディスプレイ600は、ある実施の形態では、ハンドヘルドのユニット14の上側面に位置するディスプレイ42内で実現されてよく、一方、ディスプレイ600は、図2に示された実施の形態ではディスプレイ306内で実現されてよい。
【0051】
16個のセンサーアレイが用いられる、ある実施の形態では、ドリルブッシングは、17個のセンサーアレイで中心のセンサーが位置する場所に位置している。外科医は、固定ピンを髄内釘に挿入するために、骨の穿孔を開始することができる。一旦、横方向孔の配置および向きが確立されると、横方向孔内に位置する一つの磁石を有するプローブが、引き抜かれて、穿孔は、ドリルが孔内の磁石に遭遇するというリスクなしに、進められる。17個のセンサーアレイが用いられる実施の形態では、外科医は、プローブまたはハンドヘルドのユニットを取り除くことなく、横方向孔を通して穿孔を続けることができる。プローブまたはハンドヘルドのユニットを取り除かずに穿孔を続けることによって、外科医は、ディスプレイを連続して参照することができ、手技の間に磁気感知アレイが正しく配置されていることを検証することができる。
【0052】
経験的データセット(empirical data set)を創り出すために、標的化磁石のための基準に適合する磁石が、選択され、髄内釘内での配置を模擬する位置にしっかりと取り付けられる。次に、センサーアレイが、試験固定具(test fixture)に置かれ、その試験固定具は、センサーアレイの中心のセンサーが磁石の直径方向の断面を切断する平面に平行な平面内の予め決められた位置に位置するように、センサーアレイを動かす。この平面は、センサーアレイが手術手技中に磁石から離れている間隔に近似する位置に位置している。各位置で、センサーからの測定値が記憶される。センサーアレイは、これもまた記憶される追加の測定値を得るために、試験固定具によって、ΦおよびΘの予め決められた角度方向に回転させられもする。センサーの測定値のために選択された位置は、好ましくは、磁石によって生み出された磁界の中心線と整合した位置に近い位置では、互いにより接近し、より多い。これらの位置は、例えば、1ミリメートルの正確さが望まれる場合には、1/2ミリメートルの動きによって生ずる測定値の変化に対応するように選択される。
【0053】
それに代わって、経験的データセットは、磁気センサーアレイを空間内のある特定の向きおよび位置にしっかりと固定することによって、創り出されることができる。標的化磁石のための性質に適合する磁石が、磁気センサーアレイに平行な平面内の予め決められた位置へ動かされ、さまざまな向きに傾けられて、手術手技で用いられる間の磁気センサーアレイの位置付けの姿勢(positioning attitudes)を模擬する。ここでも、真の整合の点での正確さが最も重要なので、中心を離れた位置に比べて、より多くの位置が、磁気センサーアレイの中心の近くで用いられ、かつ測定される。
【0054】
創り出された経験的データセットは、髄内釘内の磁石に対するセンサーアレイの位置および向きを決定するために、神経回路網を訓練するのに用いられる場合がある。神経回路網は、マットラブ(MatLab)のようなプログラミング言語を用いて、モデル化されてよく、その結果得られたモデルは、例えば、C言語またはC++言語で、プログラムを開発するために用いられる。次に、そのプログラムは、コンパイルされ、磁気センサーアレイによって生み出された測定値を処理するマイクロプロセッサの動作を制御するために用いられることができる。一旦、プログラムが開発されて、プロセッサを制御するために、メモリに記憶されると、センサーの測定値は、神経回路網に入力されて、標的化磁石に対する磁気センサーアレイの位置および向きを決定するために、経験的データセットに対する、測定されたデータの「適合性(fit)」が評価される。この判定は、センサーアレイを標的化磁石に整合させるために必要な動きを使用者に表示するための差分信号を生み出すために用いられうる。
【0055】
経験的データセットは、マイクロプロセッサ用に、メモリに記憶されてよく、そのマイクロプロセッサは、標的化磁石に対するセンサーアレイの位置を決定する。この実施の形態のプロセッサは、手術手技中に得られたセンサーの1組の測定値を、経験的データセットを創り出すのに用いられた複数の位置に対する経験的データセットと、比較する。これらの比較は、現在のデータセットの両側の最も近い2つの位置を選択するのに用いられる。実際のデータセットは、次に、2つの最も近いセットの間に、ある位置を内挿するために用いられる。この標的化方法は、手術手技中に得られた実際のデータセットが、整合したデータセットと対応するまで、続く。
【0056】
経験的データセットの使用は、多数の利点をもたらすと考えられる。その一つは、経験的データセットは、1組の較正値として働き、その1組の較正値は、センサーの感受性の変動、および、アレイ中のセンサーの配置の任意の変動、を補償する。試験セットアップの間に取られた実際の測定値から創り出されたデータセットを用いる別の利点は、実際の測定値が、双極子仮定(dipole assumptions)という理論的な仮定に依存しないことである。それに代わって、理論的データセットが、経験的に創り出されたデータセットの代わりに、用いられてもよい。
【0057】
本発明は、例示的なプロセスおよびシステムコンポーネントを記載することによって、例示され、さまざまなプロセスおよびコンポーネントが、かなり詳細に記載されたが、出願人は、特許請求の範囲の記載の範囲をそのような詳細な記載に限定もしくはいずれのようにも制限する意図はない。追加的な利点および変形も、当業者には容易に明らかであろう。したがって、本発明は、その最も広い態様において、図示され記載された、特定の詳細な記載、実施例、または、例示的な例、に限定されない。したがって、そのような詳細な記載からの逸脱は、出願人の包括的な発明の発想の真髄および範囲から逸脱せずに、行われることもある。
【0058】
〔実施の態様〕
この発明の具体的な実施態様は以下の通りである。
(1)髄内釘の横方向孔にドリルブッシングを整合させるシステムにおいて、
遠位の端部を備えた細長い部材を有するプローブと、
磁石であって、前記磁石の長さ方向の軸に沿って極性を与えられ、前記細長い部材の前記遠位の端部に垂直に取り付けられた、磁石と、
磁束密度の測定値を生み出すために、患者の体の外側に位置する、磁気センサーの標的化アレイと、
前記標的化磁石に対する前記磁気センサーのアレイの位置および向きを決定するために、プログラムされた命令を実行する、プロセッサと、
を具備する、システム。
(2)実施態様(1)に記載のシステムにおいて、
前記磁気センサーは、平面内に配列されたホール効果センサーであり、
前記ホール効果センサーの各々は、前記アレイ中に設けられた対応する少なくとも一つのホール効果センサーを有するようになっており、
前記対応する少なくとも一つのホール効果センサーは、前記ホール効果センサーおよび前記対応するホール効果センサーがほぼ等しい磁束密度の測定値を生み出すときに、平衡状態を示す、システム。
(3)実施態様(1)に記載のシステムにおいて、
前記磁石が前記髄内釘の前記横方向孔に近接するように、前記髄内釘の中に前記細長い部材の位置を固定するための位置付けジグ、
をさらに具備する、システム。
(4)実施態様(1)に記載のシステムにおいて、
前記磁気センサーの標的化アレイは、
16個の磁気センサーであって、前記16個の磁気センサーの配列の中心に位置するドリルブッシングの周りに配列された、16個の磁気センサー、
をさらに含む、システム。
(5)実施態様(1)に記載のシステムにおいて、
第2の磁石であって、前記第1および第2の磁石の最大の寸法の少なくとも3倍の間隔を置いて前記細長い部材の周りに取り付けられ、前記第2の磁石の長さ方向の軸が前記第1の磁石の前記長さ方向の軸と平行であるように、前記細長い部材の周りに方向付けられている、第2の磁石、
をさらに具備する、システム。
(6)実施態様(5)に記載のシステムにおいて、
前記標的化アレイは、
17個の磁気センサーであって、前記磁気センサーのうちの16個は、16個の前記磁気センサーの中心に位置する17番目の前記磁気センサーの周りに配列されている、17個の磁気センサー、
を含む、システム。
(7)実施態様(6)に記載のシステムにおいて、
前記標的化アレイは、
前記磁気センサーのうちの5個の磁気センサーであって、3つの直交する軸での磁束密度を測定するための3チャネル磁気センサーである、5個の磁気センサー、
を含む、システム。
(8)実施態様(7)に記載のシステムにおいて、
前記標的化アレイは、
前記磁気センサーのうちの12個の磁気センサーであって、3直交軸系の一つの軸のみでの磁束密度を測定するための1チャネルのみの磁気センサーである、12個の磁気センサー、
を含む、システム。
(9)実施態様(7)に記載のシステムにおいて、
3チャネル磁気センサーである前記5個の磁気センサーのうちの一つの磁気センサーは、前記5個の磁気センサーのうちの他の4個の磁気センサーの中心に、かつ、前記他の4個の磁気センサーから等距離に、位置付けられている、システム。
(10)実施態様(1)に記載のシステムにおいて、
前記プローブの前記遠位の端部に設けられた前記磁石に対する、前記標的化アレイの位置を表示するためのディスプレイ、
をさらに具備する、システム。
【0059】
(11)実施態様(5)に記載のシステムにおいて、
前記標的化アレイは、
前記第2の磁石を検出するための整合センサー、
をさらに含む、システム。
(12)実施態様(1)に記載のシステムにおいて、
背景磁界を測定するための背景磁気センサーであって、前記背景磁界の測定値が前記標的化アレイを用いて得られる前記測定値から除去されるようにする、背景磁気センサー、
をさらに具備する、システム。
(13)髄内釘の横方向孔にドリルブッシングを整合させる方法において、
長さ方向の軸に沿って極性を与えられた磁石を位置付ける工程であって、前記磁石の前記長さ方向の軸が前記髄内釘の前記横方向孔に整合するようにする、工程と、
患者の体の外側に位置する磁気センサーを用いて磁束密度の測定値を生み出す工程と、
プログラムされた命令を実行するプロセッサが、前記磁束密度の測定値から、前記標的化磁石に対する前記磁気センサーの位置および向きを決定するまで、前記磁気センサーの標的化アレイを操縦する工程と、
を具備する、方法。
(14)実施態様(13)に記載の方法において、
平面内に配列されたホール効果センサーを用いて前記磁束密度の測定値を生み出す工程であって、前記ホール効果センサーの各々は、対応する少なくとも一つのホール効果センサーを有し、前記対応する少なくとも一つのホール効果センサーは、前記ホール効果センサーおよび前記対応するホール効果センサーがほぼ等しい磁束密度の測定値を生み出すときに、平衡状態を示す、工程、
をさらに具備する、方法。
(15)実施態様(14)に記載の方法において、
前記磁石が前記髄内釘の前記横方向孔内で整合するように、前記髄内釘の中で前記磁石の位置を固定する工程、
をさらに具備する、方法。
(16)髄内釘の横方向孔にドリルブッシングを整合させる方法において、
長さ方向の軸に沿って極性を与えられた第1の磁石を位置付ける工程であって、前記第1の磁石の前記長さ方向の軸が、前記髄内釘の前記横方向孔に平行であり、かつ前記横方向孔に近接するようにする、工程と、
長さ方向の軸に沿って極性を与えられた第2の磁石を位置付ける工程であって、前記第2の磁石の前記長さ方向の軸が、前記髄内釘の前記横方向孔に平行であり、かつ前記第2の磁石が、前記第1の磁石から、前記第1および第2の磁石の最大の寸法の少なくとも3倍の間隔を置いて位置するようにする、工程と、
磁気センサーを用いて磁束密度の測定値を生み出す工程と、
プログラムされた命令を実行するプロセッサが、前記磁束密度の測定値から、前記第1および第2の磁石に対する前記磁気センサーの位置および向きを決定するまで、前記磁気センサーのアレイを操縦する工程と、
を具備する、方法。
(17)実施態様(16)に記載の方法において、
整合センサーを用いて磁束密度の測定値を生み出して前記第2の磁石の上方の前記整合センサーの位置を表示する工程、
をさらに具備する、方法。
(18)実施態様(17)に記載の方法において、
前記センサーのアレイおよび前記整合センサーの前記磁束密度の測定値から、背景磁界の磁束密度の測定値を除去する工程、
をさらに具備する、方法。
(19)実施態様(16)に記載の方法において、
前記磁束密度の測定値を生み出す前記工程は、
ホール効果センサーを用いて前記磁束密度の測定値を生み出す工程であって、前記ホール効果センサーは、前記ホール効果センサーの各々が、磁束密度の測定値を生み出す、少なくとも一つの対応するセンサーを有するように配列され、前記磁束密度の測定値は、前記ホール効果センサーの中心が前記第1の磁石の上方に位置付けられるように、前記ホール効果センサーが操縦されたときに平衡状態を示す、工程、
をさらに含む、方法。
(20)実施態様(18)に記載の方法において、
前記第1の磁石に対する前記センサーアレイの位置を表示する工程と、
前記第1および第2の磁石を通り前記第1および第2の磁石の長さ方向の軸に垂直な平面に対する前記センサーアレイの向きを表示する工程と、
をさらに具備する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】髄内釘の孔の標的化を実行するために本発明の原理に基づいて構成されたシステムの斜視図である。
【図2】図1のシステムに示されたガイダンスユニットのブロック図である。
【図3】図2に示された磁気センサーアレイのブロック図である。
【図4】例示的な磁気センサーアレイを実現するために磁気感知素子で占められたセンサーボードの上面図である。
【図5】図1に示されたプローブに取り付けられた磁石、および、磁石から放射された磁界を表現した磁力線の一部、を示す図である。
【図6】磁界発生源に対する磁気センサーアレイの位置および向きを表示するためのディスプレイを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
髄内釘の横方向孔にドリルブッシングを整合させるシステムにおいて、
遠位の端部を備えた細長い部材を有するプローブと、
磁石であって、前記磁石の長さ方向の軸に沿って極性を与えられ、前記細長い部材の前記遠位の端部に垂直に取り付けられた、磁石と、
磁束密度の測定値を生み出すために、患者の体の外側に位置する、磁気センサーの標的化アレイと、
前記標的化磁石に対する前記磁気センサーのアレイの位置および向きを決定するために、プログラムされた命令を実行する、プロセッサと、
を具備する、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記磁気センサーは、平面内に配列されたホール効果センサーであり、
前記ホール効果センサーの各々は、前記アレイ中に設けられた対応する少なくとも一つのホール効果センサーを有するようになっており、
前記対応する少なくとも一つのホール効果センサーは、前記ホール効果センサーおよび前記対応するホール効果センサーがほぼ等しい磁束密度の測定値を生み出すときに、平衡状態を示す、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記磁石が前記髄内釘の前記横方向孔に近接するように、前記髄内釘の中に前記細長い部材の位置を固定するための位置付けジグ、
をさらに具備する、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記磁気センサーの標的化アレイは、
16個の磁気センサーであって、前記16個の磁気センサーの配列の中心に位置するドリルブッシングの周りに配列された、16個の磁気センサー、
をさらに含む、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、
第2の磁石であって、前記第1および第2の磁石の最大の寸法の少なくとも3倍の間隔を置いて前記細長い部材の周りに取り付けられ、前記第2の磁石の長さ方向の軸が前記第1の磁石の前記長さ方向の軸と平行であるように、前記細長い部材の周りに方向付けられている、第2の磁石、
をさらに具備する、システム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、
前記標的化アレイは、
17個の磁気センサーであって、前記磁気センサーのうちの16個は、16個の前記磁気センサーの中心に位置する17番目の前記磁気センサーの周りに配列されている、17個の磁気センサー、
を含む、システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、
前記標的化アレイは、
前記磁気センサーのうちの5個の磁気センサーであって、3つの直交する軸での磁束密度を測定するための3チャネル磁気センサーである、5個の磁気センサー、
を含む、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、
前記標的化アレイは、
前記磁気センサーのうちの12個の磁気センサーであって、3直交軸系の一つの軸のみでの磁束密度を測定するための1チャネルのみの磁気センサーである、12個の磁気センサー、
を含む、システム。
【請求項9】
請求項7に記載のシステムにおいて、
3チャネル磁気センサーである前記5個の磁気センサーのうちの一つの磁気センサーは、前記5個の磁気センサーのうちの他の4個の磁気センサーの中心に、かつ、前記他の4個の磁気センサーから等距離に、位置付けられている、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記プローブの前記遠位の端部に設けられた前記磁石に対する、前記標的化アレイの位置を表示するためのディスプレイ、
をさらに具備する、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−68087(P2008−68087A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−234424(P2007−234424)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】