説明

髄核用ヒドロゲルバルーンプロテーゼ

椎間板の髄核を置換し又は補充するプロテーゼ(100)は、可撓性の壁を備えた拡張可能な容器(102)を有し、容器(102)は、細いカニューレを通して椎間板の中央キャビティ内に挿入される。可撓性の壁は、生体適合性ヒドロゲルから形成される。好ましいヒドロゲルは、ポリ(ビニルアルコール)及びポリ(ビニルピロリドン)の水溶液から形成される。プロテーゼ(100)を作るには、マンドレルをヒドロゲル形成ポリマー又はその混合物の水溶液に浸してコーティングし、コーティングされた溶液を冷却によりゲル化し、ゲル化したコーティングに一連の凍結及び解凍処理を繰返し行う。使用に際し、プロテーゼを椎間板の中央キャビティ内に挿入し、生体適合性物質、例えば生体適合性液体、生体適合性ポリマー、生体適合性ヒドロゲル、特に熱ゲル化性ヒドロゲルで充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年8月26日に出願された米国仮特許出願第60/711,430号に基づく米国特許法(35 U.S.C.)第119条(e)項の優先権を主張し、その全部を本願に援用する。
【0002】
本発明は、椎間板の生来の髄核を置換し又は補充する方法及び装置に関し、より詳しくは、髄核を置換し又は補充するためにヒドロゲルから作られた拡張可能な、即ち、膨らまし可能なバルーンプロテーゼに関する。
【背景技術】
【0003】
椎間板の損傷又は加齢に伴う変性によって引起こされる慢性背痛、典型的には下背痛は、多くの人が経験する状態である。
【0004】
下背痛に対する現在の治療の選択肢は、保存的床安静から高侵襲性外科手術までの範囲にわたり、高侵襲性外科手術は、脊椎固定術、椎間板切除術及び全椎間板置換術を含む。
【0005】
人の椎間板は、2つの主要構造からなり、2つの主要構造は、内側のゼラチン状構造、即ち、髄核と、外側の腱構造、即ち、線維輪である。髄核の変性は、椎間板の劣化及び機能喪失をもたらすことがある。従って、下背痛を緩和させる他の外科的選択肢は、線維輪を残したまま、髄核を置換することである。
【0006】
例えば液体又はゲル等である生体適合性材料を導入することによる髄核の置換又は補充は、痛みを和らげ、椎間板に対する健康な生理的機能を復元し、且つ/又は、線維輪への追加の摩耗を防止する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、注入又はその他の方法で導入された物質、例えばゲル又は液体を、椎間板の髄核領域内に閉込めることを可能にする方法及び装置に対する要望が継続的に存在する。
【0008】
本願発明は、髄核の領域内に導入されるゲル又は液体等の閉込めに関する多くの問題に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、ヒドロゲルから作られた中空の拡張可能な、即ち、膨らまし可能な容器を椎間板の髄核領域内に挿入し、選択的には、生来の髄核の一部又は全部を除去した後、ゲル又は液体等を導入することによって容器を拡張させ、生来の髄核の補充又は置換を行う椎間板内構造を形成する。
【0010】
従って、本発明の1つの側面は、椎間板の生来の髄核を置換し又は補充するための構造を提供する。
【0011】
他の側面は、注入された液体を閉込めることができ、且つ、椎間板内のキャビティを完全に充填するように拡張し且つ変形することができる構造を提供する。
【0012】
他の側面は、生体適合性ポリマーで作られた拡張可能な構造、例えば、バルーンを提供する。
【0013】
他の側面は、ポリ(ビニルアルコール)を含むヒドロゲル、又は、ポリ(ビニルアルコール)を含む会合(associating)ポリマーの混合物を含むヒドロゲルで作られた拡張可能な構造、例えば、バルーンを提供する。
【0014】
他の側面は、マンドレルを浸してコーティングする方法によって形成することができるポリ(ビニルアルコール)を含むヒドロゲル、又は、ポリ(ビニルアルコール)を含む会合ポリマーの混合物を含むヒドロゲルで作られた拡張可能な構造、例えば、バルーンを提供する。
【0015】
他の側面は、ポリ(ビニルアルコール)を含むヒドロゲル、又は、ポリ(ビニルアルコール)を含む会合ポリマーの混合物を含むヒドロゲルで作られた拡張可能な構造、例えば、バルーンを提供する。
【0016】
他の側面は、椎間板の髄核を置換し又は補充する方法を提供し、この方法は、ヒドロゲルから作られた可撓性の壁を有する容器又はバルーンを、最小の侵襲性外科的手法によって椎間板の髄核領域内に挿入し、次に、生来の髄核を置換し又は補充するのに適した特性を有する物質を導入することによって容器又はバルーンを拡張させる。
【0017】
本発明の更なる側面は、本発明についての以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
椎間板の加齢に伴い、髄核が或る病的状態になることがある。通常の加齢に伴い、髄核の水分の減少を生じさせ、それにより、髄核に加えられる荷重を支持する能力を低下させると共に、椎間板の高さを減少させる。線維輪の変性の結果として、髄核の一部が線維輪に生じたクラックを通ってヘルニア化し、それが脊椎神経根に当ることによって、痛みを引起こす。従って、痛みを緩和するためには、髄核の少なくともヘルニア化部分を手術によって除去するのがよい。或る状態では、髄核全体を手術によって除去する。このような手術は、痛みを緩和するのに有効であるが、充分に機能しない髄核をもつ椎間板が残されるので、椎間板が更に変性する可能性が残る。従って、無傷の変性していない髄核によって与えられる機能の少なくとも幾分かを復元するためには、変性した髄核を補充するか、髄核の切除部分又は髄核全体を置換することが望ましい。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、椎間板の髄核を置換し又は補充するプロテーゼは、ヒドロゲル物質から作られた拡張可能なバルーンを有し、バルーンの壁はヒドロゲルからなる。或る実施形態では、バルーンの壁の厚さは、0.01mm〜2.00mmであり、より好ましくは0.02mm〜1.00mmである。他の実施形態では、バルーンは、30%歪み時に、0.02MPa〜0.8MPaの引張り弾性係数を有する。他の実施形態では、バルーンの壁の厚さは、0.01mm〜2.00mmであり、より好ましくは0.02〜1.00mmであり、バルーンは、30%歪み時に、0.02MPa〜0.08MPaの引張り弾性係数を有する。好ましくは、バルーンは、破裂する前に、元の容積の3倍〜5倍の容積拡張を行うことができる。
【0020】
バルーンは、選択的に髄核の一部又は実質的に全部を除去した後、最小の侵襲性開口を通して椎間板の中央キャビティ内に挿入できることが好ましい比較的小さい寸法まで折畳んだり巻いたりすることによって、つぶれ可能又は縮小可能である。この目的のため、バルーンの壁は、充填物質によって及ぼされる内部圧力を支持するのに充分な厚さ及び強度を有する可撓性膜として作られる。使用の際、バルーンプロテーゼを比較的小さい容積までつぶし、例えば線維輪を貫いて挿入されたカニューレの中を通して、又は、隣接した椎体に作られたチャネルを通して、椎間板の中央キャビティに挿入する。かくして、典型的には、バルーンプロテーゼを従来の最小の侵襲性外科手法によって挿入する。
【0021】
いったんバルーンを髄核キャビティ内に移植したら、比較的非圧縮性の物質をバルーン内に挿入することによって、バルーンを拡張させ、髄核を補充し又は置換する。バルーンを拡張させるとき、バルーンを、髄核体の変性及び/又は外科的除去によって残された空間内の利用可能容積を実質的に完全に充たすまで変形させる。変形例として、バルーンは、かかる変性又は外科的除去により残されたキャビティに一致する形状で最初から作られていてもよい。バルーンの充填は、好ましくは、バルーンが髄核キャビティ内の利用可能容積を実質的に充たし且つ椎間板の髄核領域内の生来の圧力を実質的に復元させるように加圧されるまで続けられる。好ましくは、バルーンを、個々の患者の生来の椎間板高さを復元させる程度まで髄核領域内で拡張させる。
【0022】
バルーンプロテーゼの壁を形成するヒドロゲル物質は、髄核領域内に存在する圧力が加えられた充填物質を閉込めるのに充分な強度を有する任意の生体適合性ヒドロゲルを含む。適当なヒドロゲルは、米国特許第5,047,055号(Bao等)に開示されたヒドロゲルを含む多くの既知のヒドロゲルの中から選択でき、この米国特許の全開示を本願に援用する。バルーンプロテーゼを形成する好ましい材料は、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)をベースとするヒドロゲルであり、このヒドロゲルは、例えば、米国特許第5,260,066号明細書(Wood等)、同第5,288,503号明細書(Wood等)、同第5,981,826号明細書(Ku等)に開示されているPVAの水溶液の凍結及び解凍サイクルの繰返しによって形成され、これらの米国特許の全開示を本願に援用する。一般にクライオゲル(冷却ゲル;cryogel)と呼ばれているこのような物質は、エラストマー特性を有し且つ大きい割合(例えば80%)の水を含有している固体物質であり、加水分解の程度が大きい比較的大きい分子量のPVAの溶液が凍結及び解凍サイクルを繰返し受けるときに作られる。このようなクライオゲルは、耐久性、エラストマー特性及び弾性を有し、約50℃以下の水に実質的に溶けることがなく、かつ無毒である。特に好ましい物質は、PVAとポリ(ビニルピロリドン)(PVP)等の他の会合ポリマーとの混合物の水溶液の凍結及び解凍サイクルの繰返しによって形成されるクライオゲルである。従って、クライオゲルの好ましい実施形態は、PVAと、0.1%〜50%、より好ましくは1%〜5%の第2のポリマーとの混合物を含み、第2のポリマーは、好ましくは、PVPであり、又は、PVPと、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリロニトリル)又はポリ(エチレングリコール)とのコポリマーである。このようなヒドロゲルのポリマー成分は、約0.5重量%〜約25重量%のPVPと、その残部のPVAとを有する。この種類の好ましいヒドロゲルでは、ポリマー成分は、約0.5重量%〜約5重量%のPVP(例えば約2.5重量%のPVP)と、その残部のPVAとで構成される。このようなヒドロゲルは、米国特許出願第10/111,782号明細書(Marcolongo等)(欧州特許EP 1 229 873号明細書)に開示されており、この特許文献の全開示を本願に援用する。
【0023】
拡張可能なバルーンプロテーゼは、椎間板の髄核のキャビティを充填するのに適した任意の形状で作られるのがよい。図1は、ほぼ楕円形のチャンバ102及び充填チューブ104を備えたプロテーゼ100を示し、プロテーゼ100には、その移植後、充填チューブ104を通して比較的非圧縮性の物質が充填される。図2は、図1の線2−2線における図1のプロテーゼの断面図であり、内部容積108を包囲する薄膜壁106を示している。このようなプロテーゼは、椎間板の髄核領域内の空隙を実質的に充填すべく、充填物質の内部圧力を受けてバルーンが変形することを可能にする充分な弾性を有するヒドロゲルで作られるのがよい。
【0024】
図3は他のプロテーゼ200を示す平面図であり、この実施形態では、プロテーゼ200の膨らまし可能なチャンバ202が、生来の髄核の全体的形状に成形されている。プロテーゼ200はまた、充填チューブ204を有している。図4は、図3の矢印4−4に示す方向から見た図3のプロテーゼを示す正面図である。図5は、図3の線5−5における図3のプロテーゼ200を示す断面図である。図5は、プロテーゼ200の膜壁206及び内部容積208を示している。
【0025】
バルーンプロテーゼは、可撓性膜壁を備えた中空容器を形成する従来の任意の方法により製造される。容器は、合成ポリマーから物体を形成する従来の方法、例えばブロー成形、射出成形、回転成形、押出し成形等によって形成されるのがよい。容器はまた、ヒドロゲルの薄い可撓性のシートの接着組立てによって形成されてもよい。バルーンを形成する好ましい方法は、クライオゲルを適当な液体媒体(例えば水)内で形成することが可能なポリマーの分散液又は溶液にマンドレルを浸してコーティングし、引き続いて、マンドレル上のコーティングを乾燥又は冷却等によって凝固させ、次いで、バルーンに凍結及び解凍サイクルを繰返し受けさせて、クライオゲルバルーンを形成することによる。ヒドロゲルバルーンを形成する特に好ましい方法は、PVAの水性分散液又はPVAとPVPの混合物の水性分散液にマンドレルを浸してコーティングし、次いで、コーティング層がゲルを形成するのに有効な温度まで急速冷却することによる。かかる温度は、典型的には、−20℃以下である。マンドレル上のポリマー分散液のコーティングの急速冷却は、コーティングされたマンドレルを約−198.5℃(77.35K)の温度を有する液体窒素の中に浸すことによって達成される。次いで、このように形成されたヒドロゲルコーティングを、かかるヒドロゲルに慣用的であるように、何回かの冷凍及び解凍のサイクルによって更に処理する。次いで、バルーンをマンドレルから取外し、本発明の方法に使用する準備が整う。
【0026】
ヒドロゲルバルーンプロテーゼの移植及び充填を、図6〜図9に概略的に示す。これらの図は、椎間板302を有する典型的な腰椎300を上方から見た概略図であり、椎間板は、線維輪304と、髄核の変性又は外科的手法による髄核の除去により生じた空隙を表す中央容積306とを有している。挿入カニューレ又はトロカール308を、線維輪304を貫いて中央容積306内に挿入する。バルーンプロテーゼ100を、折畳むことによって又は巻くことによってつぶし又は縮小させ、キャリヤチューブ310に取付け、挿入チューブ308の中に導入する。図6は、移植直前の挿入チューブ308内のバルーンプロテーゼ100を示す。図7は、移植の最初の段階を示し、この段階では、キャリヤチューブ310を挿入チューブ308の中を通して前進させることによって、バルーンプロテーゼ100を線維輪304の中央容積306内に配置する。図8は、移植の中間段階を示し、この段階では、バルーンプロテーゼ100を、キャリヤチューブ310の中を通して導入した物質によって部分的に膨らませる。図9は、移植の最終段階を示し、この段階では、バルーンプロテーゼ100を完全に膨らまし、バルーンプロテーゼ100によって、線維輪304の中央容積306を実質的に充たす。バルーンプロテーゼ100の膨らまし後、充填チューブを従来の任意の方法、例えば栓塞子の挿入、結紮等によってシールし、キャリヤチューブ310を取外して引出し、挿入チューブ308を線維輪304から引出す。
【0027】
バルーンプロテーゼ100は、バルーンプロテーゼ100のヒドロゲル膜によって閉込められたまま生来の髄核の機械的特性と同様の機械的特性を提供する任意の物質で膨らまされる。従って、バルーンプロテーゼは、液体又はプラスチックの状態で注入される硬化可能な物質で充填され、この物質は、注入後に硬化して、好ましくは生来の髄核の特性と同様の特性をもつ弾性又は粘弾性物質になる。
【0028】
本発明のバルーンプロテーゼを充填する好ましい物質は、液体状態又は柔らかい注入可能な状態で注入することができ且つ好ましくは生来の髄核と同様の機械的特性をもつプロテーゼを形成することができるヒドロゲルである。特に好ましい物質は、ほぼ室温の温度で液体の形態で注入でき、次に、通常の体温まで暖められたときにゲルの形態に変換される熱ゲル化性配合物である。このような配合物は既知であり、例えば、米国公開特許出願第2004/0220296号明細書(Lowman等、出願番号:第10/837,082号)に開示されているように、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)又はそのコポリマー又は混合物をベースとする熱ゲル化性ヒドロゲル物質であり、この米国特許出願の全開示を本願に援用する。バルーンプロテーゼを移植した後、このような熱ゲル化性配合物を、それを流動可能な液体のままにする比較的低い温度(例えば約20℃〜約27℃)でバルーン内に注入する。注入後、熱ゲル化性ヒドロゲルを、典型的には単にその周囲からの熱の伝導によって、約37℃の体温まで暖め、凝固(固体)ヒドロゲルを形成する。このように形成された凝固ヒドロゲルは、バルーンのネック部を通って流出することはなく、従って、この実施形態では、バルーンの入力ステム、即ち、ネック部の特別なシールは不要である。
【0029】
PNIPAAmをベースとする一般的な熱ゲル化性ヒドロゲルは、上述した米国公開特許出願第2004/0220296号明細書に開示されており、例えば、PNIPAAmの水溶液とポリ(ビニルアルコール)(PVA)の水溶液との混合物、及び、PNIPAAmの水溶液と種々の分子量のポリ(エチレングリコール)(PEG)の水溶液との混合物から作られる熱ゲル化性ヒドロゲルである。また、PNIPAAm−グラフトPEGポリマーの水溶液、PEG−PNIPAAm−PEGトリブロックポリマーの水溶液から作られる熱ゲル化性ヒドロゲルも開示されている。このような熱ゲル化性ヒドロゲル等は、バルーンカテーテルを充填するのに好ましい物質である。
【0030】
変形例として、バルーンプロテーゼに、慣用の生体適合性液体を充填してもよい。このような液体の注入後、バルーンのネック部を、慣用方法、例えば栓塞、接着剤によるシール、ヒートシール、ステッチング等によってシールする。
【0031】
また、バルーンプロテーゼには、所要の機械的特性をもつプロテーゼを作るように機能するビーズ又はストリングの形態の凝固ヒドロゲルを充填、即ち、詰めてもよい。挿入される物質の断面形状に基づいて、バルーンのネック部、即ち、ステムを、上述した方法でシールするのがよい。挿入される凝固ヒドロゲル物質の寸法、剛性又はその他の特性により、凝固ヒドロゲルがバルーンのネック部を通って押出されない場合には、ステムに特別なシールを行う必要はない。
【0032】
以上、本発明を或る好ましい実施形態に関連して説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明に種々の変更を行い得ることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態による拡張可能な中空プロテーゼを示す図である。
【図2】図1のプロテーゼの線2−2における断面図である。
【図3】ほぼ生来の髄核の形状に成形された拡張可能な容器を有する本発明の一実施形態によるプロテーゼの他の実施形態を示す平面図である。
【図4】図3のプロテーゼの矢視4−4における図である。
【図5】図3及び図4のプロテーゼの図3の線5−5における断面図である。
【図6】挿入チューブ内の充填チューブに装着されたつぶれ形態の発明の一実施形態によるプロテーゼを備えた管状挿入器具を示す、脊椎モーションセグメントの概略断面図である。
【図7】選択的に生来の髄核の全部又は一部を除去した後、椎間板の髄核キャビティ内に折畳み形態で挿入したプロテーゼを示す図である。
【図8】充填物質を充填チューブの中を通して挿入することによって椎間板内で拡張されるプロテーゼを示す図である。
【図9】椎間板内で完全に拡張されかつシールされたプロテーゼを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎間板の髄核を置換し又は補充するためのプロテーゼであって、
可撓性の壁を備えた拡張可能な容器を有し、
前記容器は、細いカニューレの中を通して椎間板の中央キャビティの中に挿入されるように構成され、
前記可撓性の壁は、生体適合性ヒドロゲルを含む材料から作られる、プロテーゼ。
【請求項2】
前記生体適合性ヒドロゲルは、ポリ(ビニルアルコール)を含む水溶液から形成されたクライオゲルである、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項3】
前記生体適合性ヒドロゲルは、ポリ(ビニルアルコール)及びポリ(ビニルピロリドン)を含む水溶液から形成されたクライオゲルである、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項4】
拡張されたときに、生来の髄核の形状にほぼ一致する形状を有する、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項5】
前記可撓性の壁の厚さは、0.02mm〜1.00mmである、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項6】
椎間板の髄核を置換し又は補充するためのプロテーゼであって、
可撓性の壁を備えた拡張可能な容器を有し、
前記容器は、細いカニューレの中を通して椎間板の中央キャビティの中に挿入されるように構成され、
前記可撓性の壁は、第1の生体適合性ヒドロゲルを含む材料から作られ、
前記拡張可能な容器は、生体適合性液体、生体適合性ポリマー及び第2の生体適合性ヒドロゲルからなる群から選択された生体適合性材料で充填される、プロテーゼ。
【請求項7】
前記第1の生体適合性ヒドロゲルは、ポリ(ビニルアルコール)を含む水溶液から形成されたクライオゲルである、請求項6に記載のプロテーゼ。
【請求項8】
前記第1の生体適合性ヒドロゲルは、ポリ(ビニルアルコール)及びポリ(ビニルピロリドン)を含む水溶液から形成されたクライオゲルである、請求項6に記載のプロテーゼ。
【請求項9】
拡張されたときに、生来の髄核の形状にほぼ一致する形状を有する、請求項6に記載のプロテーゼ。
【請求項10】
前記第2の生体適合性ヒドロゲルは、熱ゲル化性ヒドロゲルである、請求項6に記載のプロテーゼ。
【請求項11】
前記熱ゲル化性ヒドロゲルは、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を含む第1の水溶液と、ポリ(ビニルアルコール)を含む第2の水溶液との混合物から作られる、請求項10に記載のプロテーゼ。
【請求項12】
前記熱ゲル化性ヒドロゲルは、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を含む第1の水溶液と、ポリ(エチレングリコール)を含む第2の水溶液との混合物から作られる、請求項10に記載のプロテーゼ。
【請求項13】
前記熱ゲル化性ヒドロゲルは、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)−グラフトポリ(エチレングリコール)ポリマーを含む水溶液から作られる、請求項10に記載のプロテーゼ。
【請求項14】
前記熱ゲル化性ヒドロゲルは、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)−ポリ(エチレングリコール)トリブロックポリマーを含む水溶液から作られる、請求項10に記載のプロテーゼ。
【請求項15】
前記可撓性の壁の厚さは、0.02mm〜1.00mmである、請求項6に記載のプロテーゼ。
【請求項16】
ヒドロゲルから容器を形成する方法であって、
マンドレルを、ヒドロゲル形成ポリマー又はその混合物の水溶液に浸してコーティングし、コーティングされた水溶液を形成する工程と、
コーティングされた水溶液を処理して、ゲル化したコーティングを形成する工程と、
ゲル化したコーティングに一連の凍結及び解凍処理を行う工程と、を有する方法。
【請求項17】
前記コーティングされた水溶液を処理することは、それを冷却することである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記凍結及び解凍処理は繰返される、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記ヒドロゲル形成ポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ヒドロゲル形成ポリマーの混合物は、ポリ(ビニルアルコール)とポリ(ビニルピロリドン)の混合物である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
椎間板の髄核を置換又は補充する方法であって、
第1の生体適合性ヒドロゲルから作られた可撓性の壁を有する容器を、最小侵襲性外科的手法によって髄核内に挿入する工程と、
次に、髄核を置換し又は補充するための生体適合性材料を前記可撓性の壁を有する容器内に導入する工程と、を有する、方法。
【請求項22】
前記第1の生体適合性ヒドロゲルは、ポリ(ビニルアルコール)を含む水溶液から形成されたクライオゲルである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の生体適合性ヒドロゲルは、ポリ(ビニルアルコール)及びポリ(ビニルピロリドン)を含む水溶液から形成されたクライオゲルである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記可撓性の壁を有する容器は、それを膨らませたときに、生来の髄核の形状にほぼ一致する形状を有する、請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記生体適合性材料は、生体適合性液体、生体適合性ポリマー及び第2の生体適合性ヒドロゲルからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の生体適合性ヒドロゲルは、熱ゲル化性ヒドロゲルである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記熱ゲル化性ヒドロゲルは、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を含む第1の水溶液と、ポリ(ビニルアルコール)を含む第2の水溶液との混合物から作られる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記熱ゲル化性ヒドロゲルは、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を含む第1の水溶液と、ポリ(エチレングリコール)を含む第2の水溶液との混合物から作られる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記熱ゲル化性ヒドロゲルは、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)−グラフトポリ(エチレングリコール)ポリマーを含む水溶液から作られる、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記熱ゲル化性ヒドロゲルは、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)−ポリ(エチレングリコール)トリブロックポリマーを含む水溶液から作られる、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−505750(P2009−505750A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528212(P2008−528212)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/033276
【国際公開番号】WO2007/025164
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(505377463)ジンテス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (186)
【Fターム(参考)】