説明

高さ変更可能な包装箱

【課題】大きさ(高さ)の異なる内容物に対応することが可能であり、使用する紙等の材料費を低減することが可能な包装箱の提供。
【解決手段】高さ変更可能な包装箱10であって、左右下部側板22に下部挿入片22Aをそれぞれ設け、天板16と左右上部側板20との連結部に下部挿入片22Aが挿入される下部挿入片差込口29を設け、下部挿入片22Aを該下部挿入片差込口29に係合させることにより、箱体を直方体又は立方体とする一方、左右上部側板20に上部挿入片20Aをそれぞれ設け、左右下部側板22に上部挿入片差込口22Bを設け、天板16の山折線Kを、天板16が上方に移動するように折り曲げ、左右下部側板22を箱の内側に位置させた状態で、左右上部側板20を左右下部側板22の上から重ね合わせて折り込みつつ、上部挿入片20Aを上部挿入片差込口22Bに係合させることによって、高さ寸法を持ち上げるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さ変更可能な包装箱に係わり、例えばケーキなどの菓子類を収納する場合に、内容物の大きさに応じて容器の高さを変化させることが可能な包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、菓子店などでケーキを収容する包装箱は直方体状、若しくは立方体状に形成された紙箱が多く使用されており、このような紙箱は、収容する丸形のケーキのサイズに合わせるために、例えば高さが13cmのもの、15cmのものなど、数種類の箱を菓子店が在庫し、収容するケーキのサイズに合わせて適切な箱を使用するようにしている。一方で、複数の種類の箱を常時在庫するのは、収納場所の確保など管理上の煩雑さを招くとともに、菓子店にとっても在庫する箱の種類の増加によって包装資材に要するコスト高の原因ともなる。
【0003】
菓子類を収容するための箱とは異なるものの、従来より大きさを変更可能な箱が種々提案されている。かかる箱の一例として、意匠登録第1372190号公報(特許文献1)記載の「包装用板紙」が公知である。同公報記載の意匠は、板紙に設けられている複数の折り返しの組み合わせを変更することによって1枚の板紙を大きさ、厚み等のサイズの異なる3種類の箱に組み立てることができるとされている。
【0004】
また、意匠登録第1297693号公報には、長尺物品用の「包装用箱」として、釣り竿等の細長い物品を包装する場合には、細幅に組み立てる一方、ロッドケースなどの幅のある物品を包装する際は、太幅に組み立てて使用するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】意匠登録第1372190号公報
【特許文献2】意匠登録第1297693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1記載の「包装用板紙」は、3種類の大きさに対応させるために、最も大きな形状となる場合を想定して板紙が予め裁断されており、紙の使用量が多くなるという課題があった。また、特許文献2記載の「包装用箱」についても同様な課題を有するとともに、菓子店で販売するケーキを収納するには不向きである。
【0007】
本発明は、このような諸事情に対処するために提案されたものであって、菓子店などにおいては大きさ(高さ)の異なる内容物に対応することが可能であり、在庫が必要な紙箱の種類を低減することが可能な高さ変更可能な包装箱を提供することを目的とする。
また、使用する紙等の材料費を低減することが可能な包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、底板、前側板、天板、後側板を具備して箱体に形成され、前記天板の前側辺及び後側辺の近傍に、前記前側板及び後側板に対して平行な前後1対の山折線を形成するとともに、前記天板の左辺及び右辺に1対の左右上部側板を延設し、前記底板の左辺及び右辺に一対の左右下部側板を連接して設けた高さ変更可能な包装箱であって、前記一対の左右下部側板に下部挿入片をそれぞれ設けるとともに、前記天板と左右上部側板との連結部に、該下部挿入片が挿入される下部挿入片差込口をそれぞれ設け、前記左右上部側板を箱の内側に位置させた状態で、前記左右下部側板を該左右上部側板の上から重ね合わせて折り込みつつ、該下部挿入片を該下部挿入片差込口に係合させることによって、箱体を直方体又は立方体とする一方、前記左右上部側板に上部挿入片をそれぞれ設けるとともに、前記左右下部側板に上部挿入片差込口をそれぞれ設け、前記天板の山折線を、該天板が上方に移動するように折り曲げるとともに、前記左右下部側板を箱の内側に位置させた状態で、前記左右上部側板を該左右下部側板の上から重ね合わせて折り込みつつ、該上部挿入片を該上部挿入片差込口に係合させることによって、高さ寸法を持ち上げるように形状を変更することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、底板、前側板、天板、後側板を具備して箱体に形成され、前記天板の前側辺及び後側辺の近傍に、前記前側板及び後側板に対して平行な前後1対の山折線を形成するとともに、前記天板の左辺及び右辺に1対の左右上部側板を延設し、前記底板の左辺及び右辺に一対の左右下部側板を連接して設けた高さ変更可能な包装箱であって、前記一対の左右下部側板に下部挿入片をそれぞれ設けるとともに、前記天板と左右上部側板との連結部に、該下部挿入片が挿入される第1の下部挿入片差込口をそれぞれ設け、前記左右上部側板を箱の内側に位置させた状態で、前記左右下部側板を該左右上部側板の上から重ね合わせて折り込みつつ、該下部挿入片を該下部挿入片差込口に係合させることによって、箱体を直方体又は立方体とする一方、前記左右上部側板に、前記左右下部側板の下部挿入片が差し込まれる第2の下部挿入片差込口を設け、前記天板の山折線を、該天板が上方に移動するように折り曲げるとともに、前記左右上部側板を箱の内側に位置させた状態で、前記左右下部側板を該左右上部側板の上から重ね合わせて折り込みつつ、該下部挿入片を該第2の下部挿入片差込口に係合させることによって、高さ寸法を持ち上げるように形状を変更することを特徴としている。
【0010】
請求項3記載の発明は、底板、前側板、天板、後側板を具備して箱体に形成され、前記天板の前側辺及び後側辺の近傍に、前記前側板及び後側板に対して平行な前後1対の山折線を形成するとともに、前記天板の左辺及び右辺に1対の左右上部側板を延設し、前記底板の左辺及び右辺に一対の左右下部側板を連接して設けた高さ変更可能な包装箱であって、前記左右下部側板に第1の係止口を設けるとともに、第1の係止口よりも高い位置に第2の係止口を設け、前記左右上部側板の端部に、該第1及び第2の係止口に挿入されて係合する係止片を突設し、前記左右下部側板を箱の内側に位置させた状態で、前記左右上部側板を該左右下部側板の上から重ね合わせて折り込みつつ、該第1の係止片を該第1の係止口に係合させることによって、箱体を直方体又は立方体とする一方、前記天板の山折線を、該天板が上方に移動するように山形に折り曲げるとともに、前記左右上部側板を箱の内側に位置させた状態で、前記左右上部側板を該左右下部側板の上から重ね合わせて折り込みつつ、該第2の係止片を該第2の係止口に係合させることによって、高さ寸法を持ち上げるように形状を変更することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のうち何れか1項において、前記山折線は平行な複数の線によって形成され、箱体の高さ寸法を複数段階に亘って変更し得るようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のうち何れか1項において、前記前側板に、箱体を形成した際、該箱体内部に折り曲げられる一対の第1の左右連接片をそれぞれ連続して設けるとともに、前記後側板に該箱体内部に折り曲げられる第2の左右連接片を設け、これらの第1及び第2の左右連接片は横方向の長さが異なるように形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述の本発明によれば、収容する内容物の大きさに応じて高さ寸法を変更することができ、包装資材の在庫管理の煩雑さを解消しうる。また、箱の製作に必要な板紙等の量を大幅に減らすことができ、材料費の低減、紙資源等の節約を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る高さ変更可能な包装箱における台紙の展開図で、外側から視た図である。
【図2】同じく、本発明の第1の実施形態に係る高さ変更可能な包装箱における台紙の展開図で、内側から視た図である。
【図3】同じく、本発明の第1の実施形態に係る高さ変更可能な包装箱を直方体状に形成する際の作用を示した説明図である。
【図4】同じく、本発明の第1の実施形態に係る高さ変更可能な包装箱の高さ寸法を上げる際の作用を示した説明図である。
【図5】同じく、本発明の第1の実施形態に係る高さ変更可能な包装箱の高さを上げた状態を示す斜視図である。
【図6−1】同じく、本発明の第1の実施形態に係る高さ変更可能な包装箱の形状の変化を比較して示した斜視図である。
【図6−2】同じく、本発明の第1の実施形態に係る高さ変更可能な包装箱の変形例を示した斜視図である。
【図7】同じく、本発明の第1の実施形態に係る高さ変更可能な包装箱における通常の高さで直方体状とした場合、並びに、高さを上げて側面視台形状とした場合を示した立面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る包装箱における台紙の展開図である。
【図9】同じく、本発明の第2の実施形態に係る包装箱の高さ寸法を変化させた場合を示す立面図、並びに斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る包装箱の台紙の展開図で、外側から視た図である。
【図11】同じく、本発明の第3の実施形態に係る包装箱の台紙の展開図で、内側から視た図である。
【図12】同じく、本発明の第3の実施形態に係る包装箱の斜視図である。
【図13】本発明の第4の実施形態に係る包装箱の台紙の展開図である。
【図14】同じく、第4の実施形態に係る包装箱の高さ寸法を変化させた場合を示す立面図、斜視図である。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る包装箱につき、高さ寸法を上げる際の作用を示した説明図である。
【図16】同じく、本発明の第5の実施形態に係る包装箱であって、高さ寸法を上げた状態の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る高さ変更可能な包装箱の好適な実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1及び図2は本発明の第1の実施形態に係る高さ変更可能な包装箱における台紙の展開図であり、図1は外側から視た図、図2は内側から視た図である。
これらの図に示されるように、本実施形態の包装箱10は板紙を所定の形状に打ち抜くことによって形成され、底板12、前側板14、天板16、後側板18、左右上部側板20,20、左右下部側板22,22を主たる構成要素としている。
【0016】
底板12の下辺には、貼付片24が設けられており、板紙を箱体へ組み立てる際に後側板18の長辺部18Aに沿って接合するようになっている。また、底板12の左辺及び右辺に、一対の左右下部側板22A,22Bが連接して設けられている。これらの左右下部側板22には下部挿入片22A,22Aが設けられており、これらの下部挿入片22A,22Aを、後述する天板16と左右上部側板20,20との連結部に形成される下部挿入片差込口に挿入して係合することができるようになっている。さらに、左右下部側板22には、上部挿入片差込口22B,22Bが水平方向に設けられ、後述する上部挿入片20A,20Aを挿入して係合させることができるようになっている。
【0017】
底板12と、天板16との間に連接された前側板14は、底板12、天板16に対し、折り曲げ線H,Iに沿って折り曲げ可能に設けられ、その左辺及び右辺には、第1の左右連接片26,26が形成されている。
天板16には、略半円状又は楕円状に形成された把手28,28が、天板16の一部に切り込みを入れることによって起立可能に設けられている。図2に示されるように、天板16の裏面側にはシート25が貼付され、把手28を起立させたときに天板16の上部を閉塞し、内部への塵埃等の侵入を防止するようになっている。
また、天板16の左辺及び右辺には、それぞれ左右上部側板20,20が形成され、折り曲げ線(連結部)Jに沿って折り曲げ可能になっている。左右上部側板20には上部挿入片20A,20Aが設けられ、包装箱10の高さを持ち上げたときに、左右下部側板22の上部挿入片差込口22B,22Bに係合するようになっている。
さらに、天板16と左右上部側板20,20との間には、下部挿入片差込口29,29が穿設されており、包装箱10を通常の高さ位置とした場合に、前述した左右下部側板22の下部挿入片22Aを係合させることが可能になっている。
【0018】
図1に示されるように、天板16の前側辺及び後側辺の近傍には、前側板14,後側板18と平行な山折線K,Kが形成され、当該山折線K,Kに沿って山形に折り曲げることによって、傾斜面16A,16Aを形成し、天板16を上方へ移動させることができるようになっている。なお、傾斜面16Aの幅寸法Fは、天板16をどの程度上方へ移動させるかによって設定される値である。また、天板16の四隅には閉塞片27,27・・が形成され、組み立てた際に箱の上部の角部を閉塞し、塵や埃の侵入を防止するようになっている。
【0019】
後側板18は天板16に対し、折曲線Lに沿って折り曲げ可能であるとともに、第2の左右連接片30,30が連続して設けられ、これらの第2の左右連接片30,30は、箱体を形成する際、箱体内部に折り曲げられる。第2の左右連接片30,30は、前述した前側板14に設けられている第1の左右連接片26,26よりも横方向の長さ寸法が短く形成されている。図1に示されるように、第1及び第2の左右連接片26,26、30,30は、単なる長方形ではなく、末端側に行くに従い幅寸法が短くなった略台形状に形成されているが、その理由は箱体の高さ寸法を上げた際に、箱内部で上側の天板16、下側の底板12と接触することを防止して干渉を防ぐために、かような形状としたものである。これによって、包装容器10内部への収容物の出し入れも支障なく行うことができる。
【0020】
次いで、前述のように構成した板紙を利用して、包装箱10を組み立てる場合の手順について説明する。図3は包装箱10を直方体状に形成する際の作用を示した説明図である。同図(A)に示されるように、まず、予め底板12の図示しない貼付片24を後側板18の長辺部18Aに沿って接合しておく。そして、第1及び第2の連接片26,26,30,30を箱の内側へ折り畳んだ後、左右上部側板20,20を下側へ折り畳む。さらに、同図(B)に示されるように、左右下部側板22,22を上側へ折り畳んで、左右上部側板20,20に重ね合わせながら、下部挿入片22A,22Aを、下部挿入片差込口29,29へ挿入し、左右下部側板22,22を天板16と一体化する。これによって、直方体形状の包装箱10として組み立てられ、内容物を収容することが可能となる。
【0021】
図4は包装箱10の高さ寸法を上げる際の作用を示した説明図、図5は高さを上げた状態の包装箱10の斜視図である。
まず、予め底板12の貼付片24を、後側板18の長辺部18Aに沿って接合しておくのは、前述した直方体形状に形成する場合と同様である。そして、図4(A)に示されるように、天板16を、その山折線K,Kに沿って山形に折り曲げて天板16を上方へ移動させ、天板16の角部を傾斜面16A,16Aに変化させることによって、側面視台形状とする。
【0022】
次いで、図4(B)に示されるように、第1及び第2の連接片26,26,30,30を箱の内側へ折り畳んだ後、同図(C)に示されるように、左右下部側板22,22を上側へ折り畳み、当該左右下部側板22,22の上へ重ねるようにして、左右上部側板20,20を下側へ折り込む。その際、上部挿入片20A,20Aを、上部挿入片差込口22B,22Bへ挿入し、左右下部側板22,22と左右上部側板20,20とを一体化する。これにより、図5に示される高さを上げた状態の包装箱10となる。
【0023】
図6−1は本実施形態の包装箱10の形状の変化を比較して示した斜視図であり、図6−1(A)は通常の高さとして直方体形状とした場合、図6−1(B)は高さを上げて側面視台形状とした場合を示している。図6は本実施形態の包装箱10について、高さ寸法を上げる際の変形例を示した斜視図である。また、図7は包装箱10の立面図で、図7(A)は通常の高さで直方体形状とした場合、図7(B)は高さを上げて側面視台形状とした場合を示している。
【0024】
図6−1(A)及び図7(B)に示されるように、包装箱10´が通常の直方体の場合に収容不可能な高さhを有するケーキなどの菓子類35でも、包装箱10´´のように高さを上げることによって収容することが可能である。包装箱10´の高さをM´とすると、包装箱10´´の高さM´´は、例えば2cm程度高くすることが可能である。勿論、変更可能な高さ寸法は、板紙の形状の組み合わせを適宜変更することによって、臨機応変に選択することができる。
【0025】
図6−2に示される変形例の包装箱10´´´では、前述した包装箱10と、箱体の高さ寸法を持ち上げるための構成が相違している。同図に示されるように、左右上部側板20には、第1の下部挿入片差込口(図6−1では下部挿入片差込口29に相当)31が設けられているとともに、その下方位置に第2の下部挿入片差込口33が設けられている。
箱体を直方体状に形成する場合は、前述した包装箱10と同様に、下部挿入片22Aを第1の下部挿入片差込口31に挿入して係止させることによって行う。
一方、箱体の高さ寸法を上げる場合は、天板16の山折線K,Kを、山形に折り曲げることによって天板16を上方に移動させるとともに、左右上部側板20を、そのままの状態で、左右下部側板22の下部挿入片22Aを、左右上部側板20における第2の下部挿入片差込口33に係合させる。第2の下部挿入片差込口33に、挿し込まれた下部挿入片22Aは、挿入時に真っ直ぐになるように折りぐせを付け、且つ、天板16の裏面側に接触する寸法に形成しておけば、天板16に対する上方からの耐荷重を高めることができる。
【0026】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、収容する内容物の大きさ(特に高さ寸法)に応じて箱の高さを変更することが可能である。これによって、例えば、菓子店などでは、13cm並びに15cmの高さ寸法の包装箱として兼用することができるので、従来必要であった高さ15cmの箱が不要となり、在庫する包装箱の種類をワンアイテム減らすことができる。この結果、包装資材の在庫管理の煩雑さを少なくすることができる。また、包装箱10を製作するのに必要な板紙の量は例えば高さ13cmの箱を製作するのに必要な量ですむので、従来必要であった高さ15cmの箱が不要になるに加え、箱の製作に必要な板紙の量を大幅に減らすことができ、材料費の低減、紙資源の節約を図ることが可能となる。
【0027】
次に、本発明に係る包装箱の第2の実施形態について説明する。
図8は本発明の第2の実施形態の包装箱における台紙の展開図、図9(A),(B)は第2の実施形態の包装箱の高さ寸法を変化させた場合を示す立面図、図9(C)は斜視図である。ここで、前述した第1の実施形態における包装箱10と同様な部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0028】
前述した第1の実施形態の包装箱10では側面視台形状となるように傾斜面16Aを形成したのに対し、図8及び図9に示される包装箱40では、天板16における傾斜面42の幅寸法Pを傾斜面16Aの幅寸法Fよりも大きくとり、山折線として、1本又は複数本の折り込み線O1,O2,O3・・を更に形成しておき、箱体の高さを上げたときに、側面形状が曲線となるなど、変化をもたせるようにしている。これによって、包装箱40としてのデザインの幅を拡げることが可能となっている。
また、複数の折り込み線O1,O2,O3・・を形成したことにより、天板16の高さ寸法を図9(A)に示されるように、やや上げてN´とする場合、図9(B)に示されるように、上げ幅を大きくしてN´´とするというように、折り込み線の数、又、折り込み線の折り方を適宜変更することにより、複数段階に高さ寸法を変化させることができ、高さの異なる収容物に幅広く対応することが可能となる。
【0029】
次いで、本発明に係る包装箱の第3の実施形態について説明する。
図10及び図11は本発明の第3の実施形態の包装箱における台紙の展開図、図12は斜視図である。
【0030】
図10及び図11に示されるように、本実施形態の包装箱50は、底板52、前側板54、天板56、後側板58、左右上部側板60,60、左右下部側板62,62を主たる構成要素としている。本実施形態は、通常時の高さの場合、並びに高さ寸法を上げた場合に、左右上部側板60は左右下部側板62の上側に位置する様に構成されている点で、前述した第1〜3の実施形態と相違する。左右下部側板62,62には、第1の係止口62A,62Aと、第2の係止口62B,62Bとが形成されている。第2の係止口62Bは、左右側板62,62を上方へ起立させたときに、第1の係止口62Aよりも高い位置に設けられている。天板56には山折線Q,Qが形成され、その山折線Q,Qに沿って山形に折り曲げることにより天板56を上方へ移動させることができる。
【0031】
これらの第1の係止口62A,62Aには、左右上部側板60,60の端部に形成された係止片60Aを挿入して係合することによって、図12(A)に示されるように、通常の高さ寸法の直方体状の包装箱50´とすることが可能である。一方、山折線Q,Qに沿って山形に折り曲げて、天板56の両側部分に傾斜面68を形成し、天板66を上方へ移動させた状態で、係止片60Aを第2の係止口62Bへ挿入して係合させることによって、図12(B)に示されるように、高さ寸法を上げた箱体の包装箱50´´を形成することができる。
【0032】
次いで、本発明に係る包装箱の第4の実施形態について説明する。
図13は本発明の第4の実施形態の包装箱における台紙の展開図、図14(A),(B)は第4の実施形態の包装箱の高さ寸法を変化させた場合を示す立面図、図14(C)は斜視図である。ここで、前述した第3の実施形態における包装箱50と同様な部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0033】
前述した第3の実施形態では、変更可能な高さが2段階であったが、本実施形態では3段階に変化させることができる点で相違する。図13に示すように、天板71を上方へ持ち上げた際に形成される傾斜面72の幅寸法Sを、第3の実施形態の天板56における幅寸法Rよりも大きくとるとともに、山折線として、複数本の折り込み線T1,T2,T3・・Tnを形成している。また、左右下部側板74には、第1の係止口74A、第2の係止口74B、第3の係止口74Cが、下から順に設けられている。
【0034】
係止片60Aを第1の係止口74Aに挿入して係合させた場合には、箱体を直方体形状に形成することができる一方、第2の係止口74Bに係合させた場合は高さ寸法をやや高くすることが可能である。さらに、係止片60Aを第3の係止口74Cに係合させた場合は最も高い位置に天板71を移動させることができる。
高さ位置を変更する際は折り込み線T1,T2,T3・・Tnの折り曲げ量や、組み合わせを変えることによって、天板71の上方への高さ寸法の変化量を選択することができる。これにより、高さの異なる複数種類の収容物に対し、一つの包装箱70で幅広く対応することが可能となり、1種類の包装箱70を有効に活用することが可能となる。
なお、本実施形態では合計3個の係止口74A、係止口74B、係止口74Cを設けているが、その数については限定されず、係止口の数を適宜設定することによって、高さ寸法の変更を例えば3段階、4段階とすることも可能である。
【0035】
次に、本発明に係る包装箱の第5の実施形態について説明する。
図15は、本実施形態の包装箱80の高さ寸法を上げる際の作用を示した説明図、図16は高さを上げた状態の包装箱80の斜視図である。ここで、前述した第1の実施形態と同様な部材については、同一の符号を付して説明を省略し、相違点のみを説明する。
【0036】
図15の包装箱80は、第1の実施形態における包装箱10と比較し、高さ寸法を上げる場合の左右下部側板82、左右上部側板84の構造が異なっている。図15に示されるように、包装箱80の左右下部側板82には縦方向且つ平行に、一対のスリット状挿入口(上部挿入片差込口)82B,82Bが設けられている。また、左右上部側板84には、その一部に切り込みを入れることによって、形成される半円状の挿入舌片(上部挿入片)84A,84Aが設けられている。
【0037】
包装箱80の高さ寸法を上げる場合は、まず図15(A)に示されるように、天板16を持ち上げて上方へ移動させる。そして、図15(B)に示されるように、第1及び第2の左右連接片26,30を折り畳んだ後、図15(C)に示されるように、左右下部側板82、82を上方へ折り返すとともに、左右上部側板84を下方へ折り返しながら、挿入舌片(上部挿入片)84A,84Aを、スリット状挿入口(上部挿入片差込口)82B,82Bへ差し込んで係合させる。これによって、図16に示されるように、高さ寸法が上がった状態の包装箱80が形成される。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の包装箱によれば、大きさ(高さ)の異なる内容物に、幅広く対応することが可能であり、菓子店などでは在庫を要する紙箱の種類を低減することができる。これによって、在庫負担の軽減が図られ、管理上、コスト的にも効率の向上に寄与する。また、使用する紙等の材料費を低減することができるので、紙資源の有効活用に資する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、箱内部の高さ寸法を変更することができるので、ワンアイテムの包装箱を有効に活用することが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
10 10´ 10´´ 10´ ´´ 包装箱
12 底板
14 前側板
16 天板

16A 傾斜面
K 山折線
18 後側板
18A
20 左右上部側板
20A 上部挿入片
22 左右下部側板
22A 下部挿入片
22B 上部挿入片差込口
24 貼付片
25 シート
26 第1の左右連接片
27 閉塞片
28 把手
29 下部挿入片差込口
30 第2の左右連接片
35 菓子類
40 包装箱
42 傾斜面
50 50´ 50´´ 包装箱
52 底板
54 前側板
56 天板
Q 山折線
58 後側板
60 左右上部側板
60A 係止片
62 左右下部側板
62A 第1の係止口
62B 第2の係止口
64 傾斜面
70 包装箱
71 天板
72 傾斜面
74 左右下部側板
74A 第1の係止口
74B 第2の係止口
74C 第3の係止口
80 包装箱
82 左右下部側板
84 左右上部側板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板、前側板、天板、後側板を具備して箱体に形成され、前記天板の前側辺及び後側辺の近傍に、前記前側板及び後側板に対して平行な前後1対の山折線を形成するとともに、前記天板の左辺及び右辺に1対の左右上部側板を延設し、前記底板の左辺及び右辺に一対の左右下部側板を連接して設けた高さ変更可能な包装箱であって、
前記一対の左右下部側板に下部挿入片をそれぞれ設けるとともに、前記天板と左右上部側板との連結部に、該下部挿入片が挿入される下部挿入片差込口をそれぞれ設け、前記左右上部側板を箱の内側に位置させた状態で、前記左右下部側板を該左右上部側板の上から重ね合わせて折り込みつつ、該下部挿入片を該下部挿入片差込口に係合させることによって、箱体を直方体又は立方体とする一方、
前記左右上部側板に上部挿入片をそれぞれ設けるとともに、前記左右下部側板に上部挿入片差込口をそれぞれ設け、前記天板の山折線を、該天板が上方に移動するように折り曲げるとともに、前記左右下部側板を箱の内側に位置させた状態で、前記左右上部側板を該左右下部側板の上から重ね合わせて折り込みつつ、該上部挿入片を該上部挿入片差込口に係合させることによって、高さ寸法を持ち上げるように形状を変更することを特徴とする高さ変更可能な包装箱。
【請求項2】
底板、前側板、天板、後側板を具備して箱体に形成され、前記天板の前側辺及び後側辺の近傍に、前記前側板及び後側板に対して平行な前後1対の山折線を形成するとともに、前記天板の左辺及び右辺に1対の左右上部側板を延設し、前記底板の左辺及び右辺に一対の左右下部側板を連接して設けた高さ変更可能な包装箱であって、
前記一対の左右下部側板に下部挿入片をそれぞれ設けるとともに、前記天板と左右上部側板との連結部に、該下部挿入片が挿入される第1の下部挿入片差込口をそれぞれ設け、前記左右上部側板を箱の内側に位置させた状態で、前記左右下部側板を該左右上部側板の上から重ね合わせて折り込みつつ、該下部挿入片を該下部挿入片差込口に係合させることによって、箱体を直方体又は立方体とする一方、
前記左右上部側板に、前記左右下部側板の下部挿入片が差し込まれる第2の下部挿入片差込口を設け、前記天板の山折線を、該天板が上方に移動するように折り曲げるとともに、前記左右上部側板を箱の内側に位置させた状態で、前記左右下部側板を該左右上部側板の上から重ね合わせて折り込みつつ、該下部挿入片を該第2の下部挿入片差込口に係合させることによって、高さ寸法を持ち上げるように形状を変更することを特徴とする高さ変更可能な包装箱。
【請求項3】
底板、前側板、天板、後側板を具備して箱体に形成され、前記天板の前側辺及び後側辺の近傍に、前記前側板及び後側板に対して平行な前後1対の山折線を形成するとともに、前記天板の左辺及び右辺に1対の左右上部側板を延設し、前記底板の左辺及び右辺に一対の左右下部側板を連接して設けた高さ変更可能な包装箱であって、
前記左右下部側板に第1の係止口を設けるとともに、第1の係止口よりも高い位置に第2の係止口を設け、前記左右上部側板の端部に、該第1及び第2の係止口に挿入されて係合する係止片を突設し、前記左右下部側板を箱の内側に位置させた状態で、前記左右上部側板を該左右下部側板の上から重ね合わせて折り込みつつ、該第1の係止片を該第1の係止口に係合させることによって、箱体を直方体又は立方体とする一方、
前記天板の山折線を、該天板が上方に移動するように山形に折り曲げるとともに、前記左右上部側板を箱の内側に位置させた状態で、前記左右上部側板を該左右下部側板の上から重ね合わせて折り込みつつ、該第2の係止片を該第2の係止口に係合させることによって、高さ寸法を持ち上げるように形状を変更することを特徴とする高さ変更可能な包装箱。
【請求項4】
前記山折線は平行な複数の線によって形成され、箱体の高さ寸法を複数段階に亘って変更し得るようにしたことを特徴とする請求項1〜3のうち、何れか1項に記載の高さ変更可能な包装箱。
【請求項5】
前記前側板に、箱体を形成した際、該箱体内部に折り曲げられる一対の第1の左右連接片をそれぞれ連続して設けるとともに、前記後側板に該箱体内部に折り曲げられる第2の左右連接片を設け、これらの第1及び第2の左右連接片は横方向の長さが異なるように形成したことを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか1項に記載の高さ変更可能な包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−207498(P2011−207498A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76415(P2010−76415)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(509210265)
【Fターム(参考)】