説明

高アスペクト比構造の分離方法

【課題】HARM構造を切り離す新規な方法の提供。合成材料の利用効率及び製品収率の改善、プロセスの間におけるHARM構造の分解の減少若しくは抑止、束を形成したHARM構造と単離状のHARM構造の分離、並びに、工業的及び商業的に有益である多種多様な基材上への、均一若しくはパターン化された堆積物の低温での形成のための方法の提供。
【解決手段】HARMSを移動させる方法であって、1つ以上の束状及び単離状のHARM構造を含んでなる分散物に対して力を印加するステップを含んでなり、当該力が、1つ以上の物理学的な性質及び特性に基づいて、束状の及び/又は単離状のHARM構造を移動させ、当該束状の及び単離状のHAEM−構造を各々実質的に分離させる、前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高アスペクト比構造(HARMS)の移動方法、及び当該方法の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
高アスペクト比分子構造(HARMS)は微小なサイズであり、またほぼ一次元のユニークな形態を有するため、ナノスケールをはじめとするサイズの装置を作製するためのブロックとして有用である。HARM構造の例としては、例えばカーボンナノチューブ(CNTs)用のナノチューブ(NTs)、フラーレン官能化カーボンナノチューブ(FFCNTs)、ホウ素−窒化物NTs(BNNTs)、カーボン、リン、ホウ素、窒素及びシリコンを含有するナノロッド、フィラメント、並びに他のチューブ、ロッド若しくはリボン、又は他の高アスペクト比分子構造などが挙げられる。
【0003】
HARMSベースのアーキテクチャ(電界−効果トランジスタ、電界放出ディスプレイ、メモリデバイス、量子ケーブル及び論理ゲート回路など)が既に公知となっている。しかしながら、更なる改良及びより広い応用のためには、制御可能かつ経済的な合成方法、分離方法、回収方法、堆積方法、HARM構造のパターニング及び装置への取り込み方法の更なる開発が必要である。特に、HARM構造を用いる場合には、多くの個々の(すなわち拘束されていない)HARM構造がガス中、溶液中若しくは固体中に分散された状態であるか、又はある物体の表面上の堆積物として積層物、フィルム、パターン化されたドット若しくは三次元構造物の状態であることを必要とする。
【0004】
しかしながら、強い分子間力(例えばvan der Waals及びCoulomb)が存在するため、多くのタイプのHARM構造は、それらの合成、輸送及び/又は貯蔵の間に、自発的に束を形成することが課題として挙げられる。例えば、炭素アーク放出、レーザーアブレーション及び/又は高圧COプロセスによるCNTsの生産により、チューブによる束の形成が高い確率で生じる。
【0005】
分散液、層、フィルム又は構造体中における単離されたHARM構造を選択的に生産する方法が公知である。
【0006】
しかしながら、従来公知の方法が有する課題として挙げられることは、単離されたHARM構造の抽出では、典型的には分離合成、精製、官能化及び/又は堆積ステップが行われ、そのためには、界面活性剤、ポリマー、ペプチド又は他の化合物を用いて束を分離除去し、単離されている構造を抽出するという作業を必要とする。かかる方法では、HARM構造の初期の特性を著しく変化させるおそれがあり、また費用が高価となり、時間を要し、また非効率的でもある。
【0007】
あるいは、確立された化学蒸着(CVD)などの方法を用いて、物体表面における単離されたHARM構造の直接合成も行われている。しかしながら、必然的に高い成長温度及び/又は特定の表層反応を使用しなければならないため、感熱性若しくは熱反応性の基板材料(例えばポリマー)の使用は不可能となり、HARM構造の、例えばナノスケール電子デバイス、導電性フィルム又は構造コンポジットなどへの単純な取り込みも不可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の欠点を克服することである。
【0009】
本発明の目的は、HARM構造を切り離す新規な方法の提供である。本発明の目的は、合成材料の利用効率及び製品収率を改善すること、プロセスの間にHARM構造の分解を減少若しくは抑止すること、束を形成したHARM構造と単離状のHARM構造とを分離すること、並びに、工業的及び商業的に有益である多種多様な基材上への、均一若しくはパターン化された堆積物の低温での形成を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
当該方法及びその使用は、添付の請求項に示すような特徴を有する。
【0011】
鋭意研究の結果、予想外にもHARM構造が特定の有用な特性を有することを発見し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
HARM構造(高アスペクト比分子構造)という用語は、ナノチューブ、カーボンナノチューブ、フラーレン官能化カーボンナノチューブ、ホウ素−窒化物NTs(BNNTs)、カーボン、リン、ホウ素、窒素及び/若しくはシリコンを含有するナノロッド、フィラメント並びに他のチューブ、ロッド及び/若しくはリボン又は他の例えば単離状若しくは束状の形態の高アスペクト比分子構造などのことを指す。換言すれば、1つ以上のHARM構造とは、1つ以上の異なる及び/又は類似のHARM構造のことを意味する。1つ以上のHARM構造とは、例えば束状及び/又は単離状の、1つ以上の類似のHARM構造(例えばカーボンナノチューブ)のことを意味する。
【0013】
HARM構造の1つの特徴として挙げられることは、HARM構造の束では自発的に荷電するが、単離状のHARM構造では電気的に中性であることである。合成プロセスの間、更なる荷電のない状態において、例えば、束状のCNTsはほとんど荷電していないが、単離状のCNTsはほとんどが荷電していない。同様の挙動が全てのHARM構造で生じるが、その理由としては、それらが実質的に一次元の構造を有し、隣接するHARM構造との直接の接触に利用できる多くの原子を表層に有することが挙げられ、それにより荷電が起こる。本発明の一実施形態では、この荷電現象を利用して、1つ以上のHARM構造(例えば単離状の及び/又は束状のHARM構造)を移動させ(例えば加速し)、分離させ、及び/又は堆積させることができる。また、異なる他の特性を有するHARM構造を用いることにより、例えば、束上のHARM構造と単離状のHARM構造をそれぞれ分離することが可能となる。例えば、単離状のものに対する、束状のHARM構造量を増加させることにより、それらの異なる慣性力−誘引力比率によるそれらの分離が可能となる。この比率は、St=(ρdU)/(18μL)で定義されるストークス数(St)として決定される。式中、ρは単離状若しくは束状のHARM構造の有効密度であり、dは束状若しくは単離状のHARM構造の有効直径であり、Uは担体流体速度であり、μは担体流体粘度であり、Lはチャネル又はジェットの特徴的な寸法である。束状のHARM構造は、単離状のものより高いストークス数を示す。
【0014】
本発明の方法においては、高アスペクト比分子構造(HARMS)は、1つ以上のHARM構造に力(フォース)を印加することによって移動する。当該力の印加により、1つ以上のHARM構造が、1つ以上の物理的特徴及び/又は特性に基づいて、1つ以上の予め定められた方向へ移動する。換言すれば、当該力は、前記1つ以上HARM構造を、1つ以上の所定の方向へ移動させる。当該力は、例えば、単離状のもののでなく、束状の構造を移動させることができる。また、当該力は、事前に荷電した構造を選択的に移動させることができる。
【0015】
本発明は、高アスペクト比分子構造(HARMS)を移動させる方法の提供に関する。当該方法では、分散物(例えば1つ以上の束状及び単離状のHARM構造を含んでなる混合物)に対して力が印加され、当該力は、1つ以上の物理学的な性質及び特性に基づいて、束状の及び/又は単離状のHARM構造を移動させ、当該束状の及び単離状のHAEM−構造を各々実質的に分離させる。好ましくは、当該力は、束状の又は単離状のHARM構造を実質的に移動させる。
【0016】
当該物理的性質及び/又は特性は、例えば、HARM構造の荷電及び/若しくは重量、並びに/又は、特定のHARM構造に作用し、それにより移動させる基となる他のいかなる特徴(例えば特性)であってもよい。物理的特徴及び/又は特性とは、例えばHARM構造において自然に生じるあらゆる特徴及び/若しくは特性、並びに/又は、HARM構造に付与されたあらゆる特徴(例えば特性)のことを意味する。例えば、HARM構造を、本発明に係る方法を実施する前及び/又は実施する間において、あらゆる適当な手段によって荷電させてもよい。例えば、束状の構造における固有の荷電、及び単離状の構造における固有の電気的中性状態に加え及び/若しくはその代わりに、当該方法を実施する前に、任意の適切な方法を使用して、1つ以上の所望の特定のHARM構造を荷電させてもよい。この方式では、例えば、固有の荷電を有さない単離状のHARM構造を荷電させ、例えばそれらの堆積を可能にすることができる。また、束状及び単離状のHARM構造は共に、荷電することにより、それらに所望の物理的性質が付与され、印加された力に反応できるようになる。当該力が1つ以上のHARM構造を移動させる際の基本となる、物理学的な性質及び特性は、好ましくは荷電(固有の荷電若しくは付与された荷電)である。
【0017】
本発明の一実施形態では、当該方法は、HARM構造の合成及び/又は製造後のステップとして実施される。換言すれば、HARM構造は、本発明に係る方法を実施する前に調製されてもよく、及び/又は、本発明に係る方法の実施後に調製されてもよい。本発明の方法はまた、HARM構造の調製ステップの中で実施してもよい。
【0018】
本発明の一実施形態では、前記分散物(例えば混合物)を、エアゾールとして気相中に懸濁させてもよく、アクアゾールとして液体中に懸濁させてもよく、顆粒及び/又は粉体の媒体中に懸濁させたえもよく、ガラス及び/又は固体中に存在させてもよく、及び/又は真空中に存在させてもよい。HARM構造は、ガス中の分散物、液体中の分散物及び/又は固体中の分散物として調製されてもよい。
【0019】
当該分散物を、例えば電界に置くことにより、固有の電化を有する束状のHARM構造は電界中を移動若しくは加速するが、一方単離状のHARM構造は実質的に影響を受けない。換言すれば、前記力は、例えば選択的に、束状及び/又は単離状のHARM構造を相互に移動させ、それにより束状及び単離状のHARM構造は分離及び/又は単離される。
【0020】
本発明の一実施形態では、当該方法は更に、1つ以上のHARM構造を、ガス中、液体中及び/又は固体中に分散させ、及び/又はマトリックス及び/又は表面上に、積層体、パターン及び/又は構造体として堆積させることを含んでなる。例えば束状若しくは単離状のHARM構造を堆積させることができる。例えば分離された、束状及び/又は単離状のHARM構造を堆積させることができる。例えば束状及び単離状のHARM構造を堆積させることができる。例えば束状及び単離状のHARM構造の分散物を堆積させることができる。
【0021】
例えば束状のHARM構造は、必要に応じて、本発明に係る方法で予め移動させることにより単離させた後で表面に体積させてもよい。例えば、このような方法により、前記HARM構造を分散物から取り出し、それらを更なる使用のために回収してもよい。前記HARM構造はまた、必要に応じて分散物のままの状態にし、かかる方法を用いて、束状及び単離状のHARM構造をそれぞれ含んでなる2種類の分散液を調製してもよい。
【0022】
異なるタイプの力を、本発明に係る方法で使用してもよい。1つ以上のHARM構造を移動及び分離させ、例えば更に堆積させる力は、電気、静電気、磁気、慣性力、音、粘性、光拡散、熱拡散及び/又は重力などであってもよい。幾つかの種類の力を組み合わせてもよい。力を組み合わせて、例えば慣性による衝突、重力固定及び音響焦点の形成などを実施してもよい。
【0023】
本発明の一実施形態では、HARM構造は固有に荷電された構造であってもよく、荷電されていない構造であってもよい。本発明の一実施形態では、HARM構造は正に荷電してもよく、負に荷電してもよく、又は中性荷電(ゼロ荷電)であってもよい。本発明の一実施形態では、HARM構造は、いかなる適切な方法を使用して荷電させてもよい。
【0024】
本発明の一実施形態では、1つ以上のHARM構造を移動させる力は、固有の荷電を有する束状のHARM構造を移動させる電気力を含んでなる。本発明の一実施形態では、当該力は慣性力を含んでなり、それは束状のHARM構造に作用し、それにより好ましくは移動させる。
【0025】
本発明の一実施形態では、1つ以上のHARM構造を移動させる電気力は静電力(すなわち電界)により提供される。静電力は、例えば、不導体若しくは半導体基材に導電材料を接触させて基材の表面を荷電させることにより提供することができ、その結果、所定の荷電を有する1つ以上の同じ及び/又は異なるHARM構造を、逆の荷電を有する表面の領域へ移動させることが可能となる。当該伝導材料は、パターン化されたスタンプ又はマスクの形態であってもよい。このパターン化されたスタンプ又はマスクは、接触荷電によって、不導電性若しくは半導電性材料の表面に移動させることができる。所望のHARM構造のみが荷電されたパターンへ移動し、そこで堆積し、それによりHARM構造がパターン化された態様で堆積する。
【0026】
更に、移動(例えば加速)及び/又は更に沈着させるための力として、熱拡散力が挙げられる。熱拡散力は、例えば、平行して存在する冷却プレート又は表面に近接する加熱プレート又は表面により提供でき、それにより所望の1つ以上のHARM構造を、冷却されたプレート又は表面の方向に移動させることが可能となる。更に、冷却されたプレートを、予め定められた部分のみを加熱して高温部分と低温部分が交互に存在するパターンを形成させ、それにより、所望の1つ以上のHARM構造を冷却された領域へ移動させ、HARM構造の堆積パターンを形成させることができる。また、前記冷却されたプレート又は表面と、HARM構造の分散物/混合物との間に基材を配置して、所望の1つ以上のHARM構造を冷却された領域へ移動させ、それにより当該基材上にパターン化された堆積物を形成させることも可能である。
【0027】
本発明の一実施形態では、1つ以上の反応物質、薬剤、コーティング材料、官能化材料、界面活性剤及び/又はドーパントを、1つ以上のHARM構造(例えば束状の及び単離状のHARM構造を含む分散物に、束状のHARM構造に、又は単離状のHARM構造)に添加してもよい。この方法においては、例えば、堆積前にHARM構造を修飾し、及び/又は、例えば、コンポジット若しくは官能化材料を形成させるか、又は堆積前に1つ以上のHARM構造を修飾させてもよい。
【0028】
分離され、分散された単離状及び/又は束状のHARM構造を、本発明に係る方法により、物体面、フィルム及び/又は固体状、液体状及び/又はガス状の分散物、及び/又はマトリクス材料の表面及び/又は内部に堆積させてもよい。HARM構造はまた、それらが例えば堆積及び/又は回収される前及び/又は後に、正しい位置に置かれ、コーティングされ、官能化、及び/又は修飾されてもよい。束状の及び/又は単離状のHARM構造は、定義済みの場所において、パターンとして、及び/又は構造体として堆積されてもよい。
【0029】
更に様々な手段を用いてHARM構造の堆積効率を上昇させてもよく、そのような手段としては、限定されないが電気泳動、磁気泳動、熱拡散、慣性衝突、重力固定、光拡散、音響焦点及び/又は他の同様の手段が挙げられる。
【0030】
HARM構造(例えばHARM構造コンポジット)は、ガス中、液体中、固体中、粉体中、ペースト中に分散させ、及び/又はコロイド状の懸濁液として調製してもよく、及び/又はそれらを物体面上に堆積させてもよい。
【0031】
本発明は更に、前記方法の、1つ以上のHARM構造の生産、分離、修飾、堆積及び/又は更なる処理のための連続処理又はバッチ処理への使用に関する。
【0032】
本発明は更に、官能性材料の調製への、本発明に係る方法の使用に関する。
【0033】
本発明は更に、厚い若しくは薄いフィルム、ライン、導線、パターン、層状及び/又は三次元構造の調製における、本発明に係る方法の使用に関する。
【0034】
本発明は更に、装置の調製への、本発明に係る方法の使用に関する。当該装置は例えば、コンデンサの電極、燃料電池又はバッテリー、論理ゲート、電気機械式アクチュエータ、インバータ、プローブ又はセンサ、光源又はダイオード、熱電子電力供給、電界効果トランジスタ、ヒートシンク又はヒートスプレッダ、プリント配線中の金属マトリックスコンポジット又はポリマーマトリックスコンポジット、トランジスタ、薬剤分子の担体又は電界放出ディスプレイ中の電子エミッタであってもよい。当該装置は更に、本発明に係る方法を使用して調製できる他のいかなる装置であってもよい。
【0035】
本発明に係る方法の効果としては、それが連続工程及び/又はバッチ工程で実施できるということである。更に、当該方法により、支持媒体の有無における、単離状のHARM構造と、束状のHARM構造とのin situにおける分離が可能となる。
【0036】
本発明に係る方法の効果としては、それが高い基材温度又は表層反応性の使用を必要とせず、また当該HARM構造が、それが堆積するのと同じ位置において合成される必要がないということが挙げられる。この方法によって、広範囲にわたる、従来利用できなかった基材、及び/又は合成方法を新規な材料、部品又は装置の製造に使用することが可能となる。その利点としては、当該分離の後に、前記HARM構造の均一な及び/又はパターン化された堆積を、いかなる温度及び/又は反応性による制限を伴うことなく、多種多様な基材上で実施できることが挙げられる。例えば、常温で回収を実施できるため、単離状若しくは束状のCNTsを、例えば多種多様な基材(高い処理温度に対する耐久性を有さない基材を含む)上に堆積させることができる。当該方法によって更に、HARM構造が、それらが分離され、堆積し、回収され及び/又はパターン化されるのとは異なる場所において合成され、それにより、様々な基材、パターニング及び/又は合成方法の使用が可能となる。
【0037】
更なる効果としては、当該HARM構造をフィルム又は層として物体表面に、又は三次元構造中に、又はガス、液体若しくは分散物中に直接堆積させることができるということである。当該HARM構造はまた、パターン化された及び/又は層をなした堆積物として、物体表面上又は三次元パターン化された多層構造中に直接堆積させることができ、それをHARMベースの装置に組み込むことができる。
【0038】
更に、分離及び/又は堆積プロセスは例えば、HARM構造の合成プロセスと直接組み合わせてもよい。これによって、本発明に係る方法を、HARM構造ベースの分散物、フィルム、パターン及び階層構造の生産のための連続プロセスと組み合わせることが可能となる。言い換えると、本発明に係る方法は、限定されないが、例えばHARM構造の合成、異なる種類のHARM構造の分離、HARM構造の合成中におけるそれらの堆積及び未反応の試薬の再利用などの複数のステップを含む広範囲なプロセスの一部であってもよい。
【0039】
以下のセクションにおいて、添付の図面を参照しながら、本発明の実施態様を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1は、束状のHARM構造を移動させ、それにより単離状のHARM構造から分離する、本発明の方法の一実施形態を例示する。束状及び単離状のHARM構造(1)の混合物に、力(2)を印加すると、少なくとも1つの物理的性質(例えば特性)に基づいて選択的に束状又は単離状のHARM構造に作用し、それらを互いに識別し、移動(例えば加速)させて、複数の単離状(3)及び束状(4)のHARM構造となるように空間的に分離させる。
【0041】
図2aは、束状及び単離状のHARM構造(1)の混合物が、例えば担体ガス、液体、又は真空中に懸濁される、本発明の一実施形態を例示する。前記分散物を、電圧差(6)を利用して電界を通過させる。束状のHARM構造は固有に実質的な荷電を有し、一方単離状のHARM構造は荷電を有さないため、当該電界の存在により、束状のHARM構造(4)が電界(移動する方向は、それらの全体的な荷電状態に依存する)中を移動し、個々のHARM構造(3)から分離され、ほとんど影響を受けずに電界中を通過する。換言すれば、単離状のHARM構造がチャネルを出て、一方固有の荷電を有するHARM構造はチャネルの壁(9)の方向に加速される。
【0042】
同様に、図2bは、バッチモードで実施した当該方法を例示する。そこでは、束状及び単離状のHARM構造(1)の分散物をチャンバー(13)に配置し、そこで電気ポテンシャル又は電圧(6)を印加し、束状(4)及び単離状(3)のHARM構造の分離及び堆積を生じさせる。固有の荷電を有する束状のHARM構造は壁(9)の方向へ加速され、一方単離状のHARM構造は懸濁されているままである。
【0043】
図3は、本発明の方法の他の実施形態を例示する。束状及び単離状のHARM構造(1)の混合物を液体又はガス中に懸濁し、力(この場合、慣性力若しくは重力加速)を印加し、束状(4)及び単離状(3)のHARM構造に分離させる。ここで、束状のHARM構造は単離状のHARM構造よりも選択的に堆積し、慣性力及び誘引力のバランスがとられながら、単離状のHARM構造の懸濁物が生成する。当該分散物は、この実施形態では、カーブするチャネル(9)a)に配置されるか、又は表面(4)b)に向けて配置され、高い有効ストークス数を有する束状のHARM構造が当該表面の方向へ加速され、一方当該単離状のHARM構造が懸濁されているままである。更に、束状のHARM構造を基材上に堆積させることができる。あるいは、c)において、単離状及び束状のHARM構造の分散物(1)を、重力(8)とは反対方向に、拡散チャネル(7)中に注入する。懸濁液又はガスの速度は拡散チャネル中で減少する。それにより、束状のHARM構造(4)より低いストークス数を有する単離状のHARM構造(3)は、束状のHARM構造よりチャネルの上方に移動し、それらが分離される。
【0044】
図4は、分離された単離状のHARM構造(3)を、静電的な沈殿によって分離板(9)上に沈殿させることができることを例示する。本願明細書において、電圧(11)を針(12)に印加して電子雲を形成させ、更にそれを用いて、予め荷電を有さない単離状のHARM構造を荷電させる。この装置において、ガスをイオン化し、2枚のプレートの間に小さい電流を生じさせるコロナ放電を使用して、電界中でHARM構造を荷電させる。その後、力(この場合、静電的な移動速度)を使用し、それらを基材(9)が位置する回収プレート(10)上に堆積させる。更に、堆積させる位置は電界を局地的に適宜変化させることにより操作でき、それによりパターン化された堆積が可能となる。様々な手段を利用して、電界の局地化を行うことができる。
【0045】
図5は、静電力を用いて堆積パターンを作製する1つの方法を例示する。荷電のパターンは例えば、導電材料(14)のスタンプ又はマスクを作製し、基材に当該マスクを貼り付け、スタンプ又はマスク(15)と接触している基材のそれらの領域に荷電を加えることにより、半導体又は不導体基材(9)上に局所化させることができる。スタンプ又はマスクを除去した後、接触していた領域は荷電されたままであり、束状の及び単離状の混合物の分散物(1)、束状(4)又は単離状(3)のHARM構造が帯電した基材の付近に移動し、更に局地的な電界の存在により、逆の荷電を有する物質が所定パターンの方向へ加速し、スタンプ又はマスクのパターンに従って堆積する。以上より、堆積パターンが、かかるスタンプ又はマスクの通りに形成される。
【0046】
図6は、熱拡散力を用いてHARM構造(1,3,4)を基材に堆積させる本発明の一実施形態を例示する。熱拡散的な沈殿装置を使用して粒子を沈澱させることによる顕著な効果としては、いかなるタイプの基材にも使用できるという点である。ここで、担体ガス及びHARM構造を含んでなるエアゾールを調製し、被加熱プレート(16)と冷却プレート(17)間の隙間を通過させる。公知技術の様々な手段を用いてプレートを加熱し、冷却することができるが、好ましい実施形態では、加熱プレートは電流により加熱され、冷却プレートは冷水流により熱伝導的に冷却される。更にHARM構造は加熱プレートから冷却プレートに移り、付属の基材(9)上に堆積する。
【0047】
図7aは、HARM構造を、回収プレート上の加熱・冷却パターンの通りに堆積させる、HARM構造の堆積方法を例示している。ここで、複数の加熱(18)及び冷却(19)部材を、基材(9)一方の側に配置し、束状及び/又は単離状のHARM構造(1,3,4)の混合物を含むエアゾールを基材の反対側の加熱プレート(16)の間に配置する。HARM構造は更に、基材の比較的冷却された部分上へ、熱拡散力によって堆積する。また、他の手段を用いて、基材上の冷温パターンを形成させてもよい。例えば、熱伝導性が低い基材の場合は、放射線(例えばレーザー照射)を用いることが可能である。例えば、レーザビームのパターンを冷却された基材に照射し、特定の領域のみを加熱することができる。本発明に係る方法を用いて、図7bに図示するように、異なる位置に置かれた異なる特性を有するHARM構造を堆積させることができる。ここで、時間間隔1(t1)において、基材の冷温を所定のパターンで形成させ、タイプ1のHARM構造に堆積させる。その後、基材の冷温パターンを変化させ、タイプ2のHARM構造を堆積させる。当該方法を反復することにより、複合的な、多様な特性を有する堆積パターン作製することができる。
【0048】
図8は、本発明に係る方法をHARMの製造工程に適用した態様を例示する。図8においては、本発明に係る方法は、公知の浮遊触媒によるHARM製造工程に適用されている。ここで、触媒粒子又は触媒粒子前駆体(20)を、必要に応じて適当な給源(22)及び更なる試薬(23)と共に、HARM反応器(21)に添加する。HARM構造のエアゾールは反応器を出て、束状のHARM構造(4)と単離状のHARM構造(3)を分離する、本発明に記載のいずれかの方法に従い作動する分離装置(24)中で分離される。その後、単離状のHARM構造を調節反応器(25)中で荷電させ、コーティングし、官能化させ、又は修飾させることができ、更に束状の及び/又は単離状のHARM構造を移動させるための、本発明に記載のいずれかの方法に従い、堆積反応器(27)中で基材(9)に堆積させることができる。堆積した層は、本発明に記載されている方法に従って均一な層として形成されてもよく又はパターン化されてもよい。更に、堆積した層を、いかなる適切な方法により更に処理してもよい。更に、未使用の前駆体及び/又は試薬を、公知の手段によって回復反応器(30)において回収し、生産サイクルにフィードバックしてもよい。当該方法を繰り返してもよい。
【実施例】
【0049】
以下の実施例では、束状及び単離状のHARM構造(この実施例ではカーボンナノチューブ(CNT)と称する)を、本発明に記載されている方法で移動させ、それにより各々分離させ、別個に堆積させる態様を示す。
【0050】
全ての実施例において、CNTsを分離及び堆積ステップの上流で連続的に合成し、束状及び単離状のCNTsの混合物を含有するエアゾールを調製した。公知のように、熱線発生器(HWG)方法を用いてCNTsの合成を行った。当該方法では、Fe触媒粒子を、H/Ar(7/93モルの比率)、流速度(400cm/分)で、抵抗を利用して加熱した触媒のワイヤからの蒸発によって調製した。蒸気核形成、凝結及び粒子凝固プロセスにより粒子を形成させ、成長させた。その後、生成された粒子を約400℃でセラミック製のチューブ反応器に添加し、400cm/分で一酸化炭素(CO)流を導入して混合さ、加熱(700℃〜900℃)してCNT形成を誘導させた。多孔性のチューブ状の希釈装置(6L/分)を反応器の下流に設置し、壁上への生成物の堆積を防止した。エッチング剤として反応器に12cm/分でCOを導入した。特に明記しない限り、全ての実験を、19Wの導線、CO/(Ar−H)(93−7モルの比率)混合物中における53%のCO濃度、及び700℃のピーク反応器温度となるような加熱条件で実施した。エアゾール中の粒子(すなわち気相中に分散する触媒粒子、単離状のCNT及び束状のCNT)の移動性サイズ分布を、分類装置、凝結粒子カウンタ及び任意の241Am二極式チャージャからなる、差動可動性分析システムを用いて測定した。内部電極に正及び負の両方の極性を十分にアプライする電源を用い、一方、外部電極が接地されるように維持した。静電フィルタ(ESF)を反応器の下流に配置し、帯電エアゾール粒子(必要な場合)の濾過に用いた。ESPは15cm(長さ)×2cm(高さ)の寸法を有する2枚の金属プレートから構成させ、各々1cmの間隔となるように配置した。この装置を、プレートのうちの1枚を高電圧(約4000V)に接続し、他のものを接地するように構成することにより、帯電エアゾール粒子の除去が可能となった。触媒粒子及びCNT HARM構造を含有するエアゾール粒子を、TEMによるそれらの構造評価のために、カーボンコーティングした銅のグリッドに回収した。
【0051】
<実施例1>:束状のHARM構造の固有の荷電を利用した静電的な沈殿による、束状及び単離状のCNT HARM構造の移動及び分離
【0052】
固有の帯電を有するエアゾール粒子(すなわちより事前の外部二極式チャージャを用いずに得られたDMA)の移動性サイズ配布を、図9に示す。図は、球面形状及び単一の荷電を有するものと仮定した等価移動性直径(D)、及び逆の電気的移動性(1/Z)上の測定された頻度の依存性を示す。明らかなように、約45nmの平均移動性直径を有する幅広い移動性配布は、極性のバイアスの存在にもかかわらず、CNTsの存在に起因していた。700℃で調製され、ガスフェーズからTEM格子上へ直接集められたサンプルのTEM観察により、当該ナノチューブが単一の壁を有し、明らかに凝集して束を形成している(図9b)ことが示された。DMAは帯電エアゾール粒子のみを分類できるため、これらの結果は、反応器に由来するナノチューブが固有に帯電していたことを示すものである。更にこの現象を、DMAにアプライされた極性とは別に観察した。濃度測定値によれば、CNTsはほぼ等しく正電荷及び負電荷を有し、それぞれN=47%及びN=53%のフラクションであった(テーブル1)。
【0053】
HWGによる金属ナノ粒子構造を事前に調査した結果、当該粒子は、形成された後で電荷を有していた。Fe触媒粒子が当該システムにおいて電荷を有し、それによりナノチューブの荷電の起源となるか否かを解析するため、COをNで置き換え(それによりCNTsの形成を防止し)た。25℃〜900℃までの温度で実施した調査の結果、ほとんど全てのFe粒子(最高99%)が電気的に中性であり(テーブル2)、触媒粒子がナノチューブに観察される荷電には直接関係していないことを示唆するものであった。
【0054】
中性のエアゾール粒子の移動性サイズ分布を測定するため、ESFの電極間に電位差を印加することにより、帯電エアゾールを除去した。抽出された中性のエアゾール粒子を、DMAによる移動性分布の測定前に、外部二極式チャージャ(241Am)を使用して人工的に荷電させた。5nmの平均等価直径を有するピークが観察され、CNTsの成長において不活性のままであったFe触媒の粒子であることが解った。すなわちこれらの結果は、全てのナノチューブがESFに堆積し、ゆえに帯電したことを示すものであった。同様の結果が、800℃及び900℃(テーブル1)で得られた。
【0055】
表1:
CNTsの荷電フラクション(N+/−)(異なる反応器温度で、53%のCO及び19Wの電力を使用して合成)。(N)及び(N)は帯電したCNTsの極性分布を示す。
【表1】

【0056】
表2:
雰囲気下、異なる反応器温度において、HWG法により調製したFe触媒粒子の帯電フラクション(N+/−)。(N)及び(N)は帯電した触媒粒子の極性分布を示す。
【表2】

【0057】
ガスと物体面との反応により金属面において電子励起が誘導されることが公知である。強い発熱反応が起こるとき、これらの励起により表面からイオン及び電子が放出される。その結果、CNTsの成長に必要とされる発熱性のCO不均化反応が、それらの荷電において役割を果たすものと推測できる。それを研究するための実験を、CO濃度を変化させて実施した。帯電したCNTs(N+/−)のフラクションを量的に推定するために移動性サイズ分布を、分類装置の前に241Am二極式チャージャで正確に測定した。図10aは、27%、34%及び53%のCO濃度における、全てのCNTs(ESFオフ)と、中性CNTs(ESFオン)の移動性サイズ分布との間の比較を示す。予想されるとおり、CNT濃度は反応器に導入した炭素源(CO)の濃度によって増加した。27%の濃度で、全てのCNTs及び中性の断片の移動性サイズ配布は同一になり、ほとんど全てのCNTsが電気的に中性であることが示された。しかしながら、CO濃度が増加するに従い、中性のCNTsのフラクションは徐々に減少した。すなわち、53%のCOでほとんど全てのCNTsが帯電した。図10bは、帯電ナノチューブ(N+/−)の総フラクション及び生成物の濃度に対する、CO濃度の効果を簡潔に例示する。
【0058】
これと同様の方法で、CO濃度を53%で一定に維持したときの、導線に印加する電力を16Wから19Wに変化させた際の移動性分布も測定した。精製するFe触媒粒子の濃度が高くなるため、当該電力を上昇させることにより、CNTsの濃度が上昇した。その結果、ナノチューブによる束の形成が増加した。図11から明らかなように、帯電CNTsのフラクションは、加熱導線に印加される電力に伴い増加した。
【0059】
以上の結果から、高い濃度のCNTsにより、効果的が荷電が可能になることが示された。この事実はCNTsの束の形成に関係するが、なぜなら、当該束形成の可能性は、気相中のそれらの濃度によって増加するからである。したがって、束の形成の進行中に、CNTsの固有の荷電が生じうる。この仮説は、帯電CNTsを含有するサンプルのTEM観察によりサポートされ、そこでは束状のCNTsのみが観察された(図9b)。
【0060】
中性のCNTsのフラクションを回収するため、ESFを用いて帯電CNTsを除去した。CNTsを16.5Wの電力を用いて加熱して合成し、CNTsを低い濃度に維持し、それによりそれらの束形成を最小限に抑えた。これらの実験条件では、帯電CNTsのフラクションは約12%であると推定された。point−to−plateによる静電堆積装置を使用して、TEM穿孔カーボンフィルム基材上へ、CNTsを気相から直接に回収した。中性のCNTsのTEM観察から、単離状のCNTs(図12a)のみが存在することが明らかとなった。全ての生成物のコレクション(すなわち帯電CNTsを除去しない)から、束状及び単離状のCNTs(図12b)の存在が明らかとなった。これは、単離状のCNTsが中性であり、一方束状のそれが帯電していたことを示す。
【0061】
荷電による効果は、CNTの束形成の間に放出されるヴァンデルヴァールスエネルギーにより説明されうる。全体の自由エネルギーを最小化するため、単離状のチューブは、お互い平行の位置関係をとりながらCNTsの束を形成する。この結果比較的高いエネルギー放出が生じ、例えば、2つのアームチェア形のCNTsの束(10,10)では、95eV/100nmもの全エネルギーの減少につながる。上記の束は、リリースされたヴァンデルヴァールスエネルギーの消散を経て、電子及びイオンを放出するために荷電されうる。CNTsの、高い接触領域 対 表面積の比率、及び、高い表面積 対 体積の比率により、顕著に荷電されるものと考えられ、それは高い及び/又は低いアスペクト比の構造では検出可能ではないと考えられる。
【0062】
束形成による荷電プロセスは、これらのほぼ一次元の構造における、高い接触領域 対 体積比率と直接関連があるため、これらの発見を、上記したようなあらゆる高アスペクト比分子構造(HARM構造)にも適用できる。
【0063】
<実施例2>:気相における束状及び単離状のCNTの分離、並びにポリマーベースの基材及びSi基材上への、別々の静電的な堆積
【0064】
本発明に係る方法によって、束状及び単離状のCNTsを移動させ、分離させた。分離されたCNTsを更に、〜300℃の融解温度においてポリマーベースの基材(SU−8、10μm厚の層)及びSi基材(119μm厚の層)に別々に堆積させた。静電堆積装置(図4)を使用して堆積プロセスを実施した。図13aからbにおいて例示される原子力顕微鏡検査(AFM)の画像を解析した結果、単離状のCNTsの存在が示され、それは堆積前に荷電しており、0.7〜1.1nmにわたる長直径を有し、TEMでの測定結果と整合していた。更に、Si基材(厚さ100nm)に回収された単離状のCNTsのAFMイメージを図14に示す。
【0065】
<実施例3>:気相中における束状及び単離状のCNTsの分離、及びSiO基材上での加熱器による分離された堆積
【0066】
本発明に係る方法によって、束状及び単離状のCNTsを移動させ、分離させた。分離されたCNTsを更に、〜300℃の融解温度においてポリマーベースの基材(SU−8、10μm厚の層)及びSi基材(119μm厚の層)に別々に堆積させた。熱拡散沈殿装置(図6)を使用して堆積プロセスを実施した。図15における原子力顕微鏡検査(AFM)イメージにより、単離状のCNTsの存在が示された。
【0067】
本発明は単に上記実施例に記載の実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲に表される技術思想の範囲内で、多くの変更態様を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】HARM構造を移動させ、それにより単離状のHARM構造と束状のHARM構造を分離する、本発明の方法の一実施態様を例示する。
【図2a】束状のHARM構造を連続的に分離させ、選択的に堆積させる、本発明の方法の一実施形態を例示する。
【図2b】では、束状のHARM構造をバッチ分離し、選択的に堆積させる、本発明の方法の一実施形態を例示する。
【図3a】束状のHARM構造を分離させ、選択的に堆積させる、本発明の方法の別の実施形態を例示する。
【図3b】同上。
【図3c】同上。
【図4】単離状のHARM構造を堆積させる、本発明の方法の一実施形態を例示する。
【図5】束状及び単離状のHARM構造の混合物、束状HARM構造のみ及び/又は単離状HARM構造のみを、パターンとして堆積させる、本発明の一実施形態を例示する。
【図6】束状及び単離状のHARM構造の混合物、束状HARM構造のみ及び/又は単離状HARM構造のみを、熱拡散により堆積させる、本発明の一実施形態を例示する。
【図7a】束状及び単離状のHARM構造の混合物、束状HARM構造のみ及び/又は単離状HARM構造のみを、パターンとして熱拡散により堆積させる、本発明の別の実施形態を例示する。
【図7b】同上。
【図8】HARM構造の合成及び更なる処理のための連続プロセスを例示する。
【図9a】気相中における束状CNTsの、正及び負に固有に荷電したフラクションの移動性サイズ分布(241Am二極性チャージャを含まないDMAを使用して測定)を例示する。
【図9b】成長時の束状のCNTsのTEMイメージを示す。
【図10a】異なるCO濃度における、全ての中性のCNTs及び触媒粒子の移動性サイズ分布を例示する。
【図10b】荷電した粒子(N+/−)のフラクション、及びCO濃度に対する粒子濃度(数)のプロットを例示する。
【図11a】異なる熱線加熱における、全ての中性のCNTs及び触媒粒子の移動性サイズ分布を例示する。
【図11b】荷電した粒子(N+/−)のフラクション、及び熱線加熱に対する粒子濃度(数)のプロットを例示する。
【図12a】(a)単離状のCNTs、及び(b)単離状及び束状のCNTs両方のTEMイメージを例示する。
【図12b】同上。
【図13a】単離状のCNTsのAFM像が、(a)感熱性のポリマーベースの基材(SU−8、10μm厚の層)、及び(b)Si基材(119μm厚の層)に堆積している状態を示す。
【図13b】同上。
【図14】Si膜格子に置かれた単離状のCNTsのAFM像を例示する。
【図15】SiO基材に置かれた単離状のCNTsのAFM像を例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高アスペクト比分子構造(HARMS)を移動させる方法であって、1つ以上の束状及び単離状のHARM構造を含んでなる分散物に対して力を印加するステップを含んでなり、当該力の印加により、1つ以上の物理学的な性質及び特性に基づいて、束状及び/又は単離状のHARM構造が移動し、当該束状及び単離状のHAEM−構造が各々実質的に分離される、前記方法。
【請求項2】
更に、1つ以上のHARM構造を、ガス中、液体中及び/又は固体中に分散させ、及び/又はマトリックス及び/又は表面上に、積層体、パターン及び/又は構造体として堆積させることを含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
束状又は単離状のHARM構造が堆積する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
束状及び単離状のHARM構造が堆積する、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記HARM構造が、ナノチューブ、カーボンナノチューブ、フラーレン官能化カーボンナノチューブ、ホウ素−窒化物ナノチューブ、カーボン、リン、ホウ素、窒素及び/若しくはシリコンを含有するナノロッド、フィラメント並びに他のチューブ、ロッド及び/若しくはリボン又は他の単離状若しくは束状の形態の高アスペクト比分子構造を含んでなる、請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記HARM構造が正荷電、負荷電又は中性荷電されている、請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記力が、電気、静電気、磁気、慣性力、光拡散、熱拡散、重力、粘性及び/又は音である、請求項1から6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記力が、固有の荷電を有する束状のHARM構造を移動させる電気力を含んでなる、請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記力が、束状のHARM構造を移動させる慣性力を含んでなる、請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
1つ以上の反応物質、薬剤、コーティング材料、官能化材料、界面活性剤及び/又はドーパントが、前記1つ以上のHARM構造に添加される、請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
1つ以上のHARM構造の生産、分離、修飾、堆積及び/又は更なる処理のための連続プロセス又はバッチプロセスへの、請求項1から10のいずれか1項記載の方法の使用。
【請求項12】
官能化材料の調製への、請求項1から10のいずれか1項記載の方法の使用。
【請求項13】
厚い若しくは薄いフィルム、ライン、導線、パターン、層状及び/又は三次元構造の調製における、請求項1から10のいずれか1項記載の方法の使用。
【請求項14】
装置の調製への、請求項1から10のいずれか1項記載の方法の使用。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2009−533227(P2009−533227A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557777(P2008−557777)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【国際出願番号】PCT/FI2007/000060
【国際公開番号】WO2007/101907
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508267624)
【Fターム(参考)】