説明

高エルカ酸品種菜種油含有毛髪化粧料

【課題】毛髪(特にダメージヘア)に優れたコーティング感を付与することにより毛髪表面を滑らかにし且つザラつきを無くし、その結果、健康毛のような優れた滑り感、サラサラ感、指・櫛通り、艶等を付与でき、更に長期間、繰り返し使用しても配合成分が毛髪表面上に蓄積されず、その結果、毛髪にボソつきやカリつきが生じず、毛髪の纏まり・艶を優れた状態に維持できる、毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】高エルカ酸品種菜種油を、0.1〜30重量%含有することを特徴とする毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、毛髪化粧料、特にパーマネントウエーブ剤、ストレートパーマ剤、ヘアリンス、ヘアトリートメント、酸化染毛剤、及びヘアブリーチ剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ダメージヘアは、一般に毛髪表面がザラつき滑らかでなく、毛髪の感触(滑り感、サラサラ感等)や指・櫛通りが悪く、また艶が無いといった問題を有する。
【0003】
そこで、従来、毛髪表面を滑らかにするため、各種成分(シリコンラバー、アミノ変性シリコーン、高重合シリコーン、非イオン性高分子、カチオン化高分子、アニオン化高分子等)を配合した毛髪化粧料が提案されている。
【0004】
しかし、このような毛髪化粧料を繰り返し使用していくと、次第に上記配合成分が毛髪表面上に蓄積され、その結果、毛髪が硬くなりボソつきやカリつきが生じてくる、毛髪にボリュームが出過ぎて纏まらない、毛髪に艶が無くなる等、といったダメージヘアと同じような問題が出てきた。
【0005】
一方、毛髪の感触・風合いを向上させるため、植物油(オリーブ油、リノールサラダ油、椿油、アボカド油、小麦胚芽油、ヒマシ油、ホホバ油等)を配合した毛髪化粧料も知られている。
【0006】
しかし、このような毛髪化粧料は、毛髪に油性感は付与できても、吸着したコーティング感は付与できず、そのため滑り感やサラサラ感、指・櫛通り等を向上させることはできなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記事情に鑑み、本願発明は、毛髪(特にダメージヘア)に優れたコーティング感を付与することにより毛髪表面を滑らかにし且つザラつきを無くし、その結果、健康毛のような優れた滑り感、サラサラ感、指・櫛通り、艶等を付与でき、更に長期間、繰り返し使用しても配合成分が毛髪表面上に蓄積されず、その結果、毛髪にボソつきやカリつきが生じず、毛髪の纏まり・艶を優れた状態に維持できる、毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願発明者が鋭意、検討した結果、以下の本願発明を成すに到った。
【0009】
即ち、本願第1発明は、高エルカ酸品種菜種油を、0.1〜30重量%含有することを特徴とする毛髪化粧料を提供する。
【0010】
本願第2発明は、高エルカ酸品種菜種油がエルカ酸を40.0〜65.0重量%含有することを特徴とする本願第1発明の毛髪化粧料を提供する。
【0011】
本願第3発明は、毛髪化粧料が、パーマネントウエーブ剤、ストレートパーマ剤、ヘアリンス、ヘアトリートメント、酸化染毛剤、又はブリーチ剤であることを特徴とする本願第1発明又は第2発明の毛髪化粧料を提供する。
【0012】
本願第4発明は、本願第1発明〜第3発明の何れかの毛髪化粧料の調製に用いられる高エルカ酸品種菜種油を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本願発明により、毛髪(特にダメージヘア)に優れたコーティング感を付与することにより毛髪表面を滑らかにし且つザラつきを無くし、その結果、健康毛のような優れた滑り感、サラサラ感、指・櫛通り、艶等を付与でき、更に長期間、繰り返し使用しても配合成分が毛髪表面上に蓄積されず、その結果、毛髪にボソつきやカリつきが生じず、毛髪の纏まり・艶を優れた状態に維持できる、毛髪化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願発明を、最良の実施形態について、詳述する。
本願発明の毛髪化粧料には、高エルカ酸品種菜種油を含有する。高エルカ酸品種菜種油は、エルカ酸含量の高い菜種品種より採油された菜種油である。高エルカ酸品種菜種油中、エルカ酸は40.0〜65.0(好ましくは43.0〜60.0)重量%含有するのが好ましい。そのような高エルカ酸品種菜種油としては、具体的には、サミット製油株式会社製「ハイエルシン菜種白絞油」等が挙げられる。
【0015】
本願発明の毛髪化粧料には、添加成分として、炭化水素類[(流動)パラフィン、スクワラン等]、シリコーン類(好ましくは粘度が200cs以下のもの)[メチルポリシロキサン等]、油脂類[オリーブ油、リノールサラダ油、ホホバ油等]、ロウ類[カルナウバロウ、キャンデリラロウ等]、エステル油類[脂肪酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル等)、リンゴ酸ジイソステアリル等]、脂肪酸類[ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等]、アルコール類[高級アルコール(セチルアルコール、(イソ)ステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール等)、多価アルコール(エチレングリコール、グリセリン等)]、エーテル油類[バチルアルコール、キミルアルコール、ジオクチルエーテル等]、アミン類[ジメチルステアリルアミン等]、アミドアミン類[ステアラミドプロピルジメチルアミン等]、カチオン界面活性剤[C12〜C22トリメチル型(塩化C12〜C22アルキルトリメチルアンモニウム等)、ジC12〜C22アルキル型(塩化ジC12〜C22アルキルジメチルアンモニウム等)]、アニオン界面活性剤[C12〜C16硫酸Na型(アルキル硫酸エステル塩、POEアルキルエーテル硫酸塩等)、アミノ酸系(N−アシルアミノ酸塩等)]、非イオン界面活性剤[ソルビタン系(ソルビタン高級脂肪酸エステル等)、POEアルキルエーテル等]を含有してよい。
【0016】
本願発明の毛髪化粧料の組成において、高エルカ酸品種菜種油を0.1〜30.0(好ましくは0.5〜20.0)重量%含有するのが好ましい。高エルカ酸品種菜種油が多過ぎると、吸着が多く重く、スベリ、滑らかさが悪くなることがある。
【0017】
本願発明の毛髪化粧料としては、例えばパーマネントウエーブ剤(第I剤及び/又は第II剤)、ストレートパーマ剤(第I剤及び/又は第II剤)、ヘアリンス、ヘアトリートメント、酸化染毛剤(第I剤及び/又は第II剤)、又はブリーチ剤(第I剤)等が挙げられる。
【実施例】
【0018】
<毛髪化粧料の調製>
表1〜17に示す配合組成に従って、それぞれパーマネントウエーブ剤第I剤[実施例1−(1)〜1−(8)、及び比較例1−(1)〜1−(10)]、パーマネントウエーブ剤第II剤[実施例2−(1)〜2−(8)、及び比較例2−(1)〜2−(10)]、ストレートパーマ剤第I剤[実施例3−(1)〜3−(9)、及び比較例3−(1)〜3−(3)]、ストレートパーマ剤第II剤[実施例4−(1)〜4−(9)、及び比較例4−(1)〜4−(3)]、ヘアリンス又はヘアトリートメント[実施例5−(1)〜5−(13)、及び比較例5−(1)〜5−(14)]、酸化染毛剤第I剤[実施例6−(1)〜6−(15)、及び比較例6−(1)〜6−(15)]、酸化染毛剤第II剤[実施例7−(1)〜7−(15)、及び比較例7−(1)〜7−(15)]、並びにヘアブリーチ剤第I剤[実施例8−(1)〜8−(15)、及び比較例8−(1)〜8−(15)]を調製した。
【0019】
尚、「高エルカ酸品種菜種油」としてサミット製油株式会社製「ハイエルシン菜種白絞油」、「低エルカ酸品種菜種油」としてキャノーラ油[味の素株式会社製「1番絞りキャノーラ油」]を、それぞれ用いた。
【0020】
<毛髪化粧料の各種評価試験>
上記で調製された各毛髪化粧料について、下記の方法にて、各種評価試験を行った。
評価結果を、それぞれ表1〜17に示す。
【0021】
・パーマネントウエーブ剤第I剤についての評価試験
毛髪全体に第I剤を塗布し、ロットを巻き、ロットの上より再度、第I剤を全体に対し塗布した。その後、キャップを被せ、10分間、放置した。10分経過後、キャップを外し、中間水洗し、タオルドライを行った。次いで、第II剤(添加剤なしの6%ブロム酸ナトリウム水溶液)を上記処理毛髪に塗布し、7分放置後、再度第II剤を塗布し、7分放置した。7分経過後、ロットを外し、水洗、タオルドライ、乾燥後、毛髪表面の滑らかさについて官能評価した。
【0022】
評価基準(毛髪表面の滑らかさ)
「×(a)」:毛髪表面がザラつき、滑らかさ無し。
「×(b):ザラつきは無いが、表面に付き過ぎ、重く滑らかとは言えない。
「○」:吸着し、表面が滑らか。
「◎」:吸着し、表面が非常に滑らか。
【0023】
・パーマネントウエーブ剤第II剤についての評価試験
第I剤として(7%5mlのチオグリコール酸アンモニウム、アンモニア水処方、添加剤無し水溶液)を用い、第II剤として各実施例又は比較例のものを用いた以外は、パーマネントウエーブ剤第I剤と同様にして、毛髪表面の滑らかさについて官能評価した。
【0024】
・ストレートパーマ剤第I剤についての評価試験
未処理毛髪全体に第I剤を塗布し、キャップを被せ、15分間、放置後、濯ぎ・乾燥した。乾燥後、アイロン処理した。次いで、第II剤(添加剤なしの6%ブロム酸ナトリウム水溶液)を塗布した後、15分間、放置した。その後、濯ぎ、タオルドライ、乾燥後、毛髪表面の滑らかさ及びストレートパーマ剤としての機能について官能評価した。
【0025】
評価基準(毛髪表面の滑らかさ)
「×(a)」:毛髪表面がザラつき、滑らかさ無し。
「×(b):ザラつきは無いが、表面に付き過ぎ、重く滑らかとは言えない。
「△」:処理前(未処理)毛髪と変わらず。
「○」:吸着し、表面が滑らか。
「◎」:吸着し、表面が非常に滑らか。
【0026】
評価基準(機能=粘度、クリームの伸び)
「×(c)」:粘度が低過ぎ、垂れる。
「×(d):粘度が高過ぎ、塗布時クリームの伸びが悪い。
「△」:粘度がやや低い。
「○」:粘度、伸び共に適度。
「◎」:粘度、伸び共に最適。
【0027】
・ストレートパーマ剤第II剤についての評価試験
第I剤として(7%5mlのチオグリコール酸アンモニウム・アンモニア水・モノエタノールアミン水・添加剤なし水溶液)を用い、第II剤として各実施例又は比較例のものを用いた以外は、ストレートパーマ剤第I剤と同様にして、毛髪表面の滑らかさ及びストレートパーマ剤としての機能について官能評価した。
【0028】
・ヘアリンス又はヘアトリートメントについての評価試験
毛髪をシャンプー後、ヘアリンス又はヘアトリートメントを塗布し、濯ぎ、乾燥後、毛髪表面の滑らかさについて官能評価した。また、上記処理を1日1回、計5日間、行い、蓄積性について官能評価した。
【0029】
評価基準(毛髪表面の滑らかさ)
「△(a)」:吸着しているが、滑らかとは言えない。
「△(b)」:吸着が多く重い、また滑らかとは言えない。
「○」:滑らか。
「◎」:非常に滑らか。
【0030】
評価基準(蓄積性)
「×」:ボソつき・カリつき有り。
「○」:ボソつき・カリつき無し。
【0031】
・酸化染毛剤第I剤についての評価試験
第I剤と第II剤を、1:1の割合で混合し、これを毛髪全体に塗布し、キャップを被せた。20分間、放置した後、濯ぎ、シャンプー、濯ぎ、タオルドライ、乾燥した。その後、毛髪表面の滑らかさについて官能評価した。尚、第II剤として、実施例7−(2)において「高エルカ酸品種菜種油」を除いたもの、を用いた。
【0032】
評価基準(毛髪表面の滑らかさ)
「×(a)」:毛髪表面がザラつき、滑らかさ無し。
「×(b):ザラつきは無いが、表面に付き過ぎ、重く滑らかとは言えない。
「○」:吸着し、表面が滑らか。
「◎」:吸着し、表面が非常に滑らか。
【0033】
・酸化染毛剤第II剤についての評価試験
第I剤として、実施例6−(2)において「高エルカ酸品種菜種油」を除いたもの、を用い、第II剤として各実施例又は比較例のものを用いた以外は、酸化染毛剤第I剤と同様にして、毛髪表面の滑らかさについて官能評価した。
【0034】
・ヘアブリーチ剤第I剤についての評価試験
酸化染毛剤第I剤と同様にして、毛髪表面の滑らかさについて官能評価した。尚、ヘアブリーチ剤第II剤として、実施例7−(2)において「高エルカ酸品種菜種油」を除いたもの、を用いた。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【0039】
【表5】

【0040】
【表6】

【0041】
【表7】

【0042】
【表8】

【0043】
【表9】

【0044】
【表10】

【0045】
【表11】

【0046】
【表12】

【0047】
【表13】

【0048】
【表14】

【0049】
【表15】

【0050】
【表16】

【0051】
【表17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高エルカ酸品種菜種油を、0.1〜30重量%含有することを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項2】
高エルカ酸品種菜種油が、エルカ酸を40.0〜65.0重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
毛髪化粧料が、パーマネントウエーブ剤、ストレートパーマ剤、ヘアリンス、ヘアトリートメント、酸化染毛剤、又はブリーチ剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載された毛髪化粧料。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載された毛髪化粧料の調製に用いられる高エルカ酸品種菜種油。

【公開番号】特開2011−46680(P2011−46680A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217972(P2009−217972)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(591028980)山栄化学株式会社 (45)
【Fターム(参考)】