説明

高バリア性インライン金属化バイオベースフィルムおよびその製造方法

PLAまたはPHAなどのバリア性の高い金属化バイオベースフィルムは、バイオベースフィルム上に塗布された、または該フィルムとともに共押出しされた接着層を有し、該接着層上に金属酸化物が堆積されている。接着層は、共押出しされたポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリグリコール酸、またはエチレンビニルアルコールであり得る。接着層は、EVOH、ナイロン/EVOHブレンド、PVOH、PVOH/EAA混合物、またはプライマーの塗膜を有していてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食料製品の包装用に許容され得るバリア特性を有する柔軟なバイオベース包装材料、およびこのような材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
好都合なバリア特性、密封特性およびグラフィック可能特性が必要とされる柔軟な包装材には、多くの場合、化石燃料に由来する石油系製品で製造された多層型フィルム構造が使用される。包装材内部の製品を光、酸素または湿気から保護するためには、1つ以上の層においてバリア特性が重要である。このような必要性は、例えば光、酸素または湿気などが包装材内部に透過するのを抑制するために存在させるバリア特性が不充分な場合、風味が低下する、劣化する、または腐敗するというリスクが生じることがあり得る食材の保護のために存在する。密封特性は、柔軟な包装材に気密性または密閉性のシール部が形成されることを可能にするために重要である。密閉性シール部がないと、該フィルムによってもたらされるバリア特性は、包装材内部の製品と外部との間での酸素、湿気、または香気の透過に対して効果がない。グラフィック可能性は、消費者が、自身が購入しようとしている製品を速やかに特定することが可能である、食料製品の製造業者に、包装された食品の栄養素含有量を表示する手段をもたらし、価格情報(バーコードなど)を製品上に配することが可能であるため、必要である。
【0003】
ポテトチップスおよび同様の製品を包装するために使用される先行技術の多層型または複合材フィルムの一例を図1に示す。この図は、多層フィルム100の断面の模式図であり、個々の各実質的な層を示している。これらの層は各々、必要とされるバリア特性、密封特性、およびグラフィック可能特性をもたらすために何らかの様式で機能を果たすものである。例えば、グラフィック層114は、典型的には、裏刷りされて透明な外側基材層112から見えるものであり得るグラフィックを提示するために使用される。特に記載のない限り、本記載全体を通して同様または同一の部分の記載には同様の数字を使用している。
【0004】
外側基材層112は、典型的には、延伸ポリプロピレン(「OPP」)またはポリエチレンテレフタレート(「PET」)である。内側基材層118上に配設される金属層により、必要とされるバリア特性がもたらされる。石油系ポリオレフィン(OPPまたはPETなど)を金属化すると、フィルムを透過する湿気および酸素がほぼ3桁低減されることがわかっており、先行技術においてよく知られている。基材層112、118には、低コストであるため石油系のOPPが典型的に使用される。OPP層118上に配設されるシーラント層119により、密閉性シール部が該OPPの溶融温度より低い温度で形成されることが可能になる。シール部の形成のために金属化OPPを溶融させることは、バリア特性に対して有害な影響をもたらすことがあり得るため、低融点シーラント層119が望ましい。典型的な先行技術のシーラント層119は、エチレン−プロピレンコポリマーおよびエチレン−プロピレン−ブテン−1ターポリマーを含むものである。グルー層115(典型的には、ポリエチレン押出体)は、外側基材層112を製品側の内側基材層118と接着させるために必要とされる。したがって、複合材型または多層型フィルムには、典型的には石油系ポリプロピレンの基材層が少なくとも2つ必要とされる。
【0005】
包装用に使用される他の材料は、典型的には、ポリエステル、ポリオレフィン押出体、接着性ラミネートなどの石油系材料、および他のこのような材料、または上記のものの組合せの層状体である。
【0006】
図2に材料の形成を模式的に示す。ここでは、包装材料のOPP層112、118が別々に製造され、次いで、押出ラミネータ200で最終材料100に成形される。既知のグラフィック適用法(フレキソ印刷またはロトグラビア印刷など)によって事前に適用したグラフィック114を有するOPP層112はロール212から供給され、一方、OPP層118はロール218から供給される。同時に、ポリエチレン(「PE」)ラミネート層115用の樹脂がホッパー215a内に供給され、押出機215bを通過し、ここで、およそ600°F(316°C)まで加熱され、ダイ215cにおいて溶融ポリエチレン115として押し出される。この溶融ポリエチレン115は、石油系OPP材料112、118が供給される速度と適合する速度で押し出され、これらの2つの材料の間に挟まれた状態になる。次いで、層状材料100は低温ドラム220とニップローラ230の間を通り、冷却されるにつれて均一な層が確実に形成される。ラミネータローラ間の圧力は、一般的に、材料の幅全体に対して線形に1インチ(2.5センチメートル)あたり0.5〜5ポンド(0.23〜2.3kg)の範囲に設定される。大型の低温ドラム220は、ステンレス鋼製であり、約50〜60°F(10〜16°C)まで冷却され、そのため、材料は急速に冷却されるが結露は形成されない。小型のニップローラ230は、一般的に、ゴムまたは別の弾性物質で形成されている。なお、層状材料100は、ローラを通過した後も一定期間、その期間に樹脂が充分に冷却されるように低温ドラム220と接触したままである。次いで、材料は、包装に使用される場所への輸送のためにロール状に巻き上げられ得る(具体的には図示していない)。一般的には、材料を幅広シートとして形成し、次いで、該材料を搬送用に巻き上げる際に薄いスリッターナイフを用いて所望の幅に切断することが経済的である。
【0007】
材料が形成され、所望の幅に切断されたら、この方法を用いて包装される多くの製品の包装に使用される縦型の成形−充填−密封機に装填され得る。図3は、スナック食品(チップスなど)を包装するために使用され得る例示的な縦型の成形−充填−密封機を示す。この図は簡略化しており、キャビネットおよび支持構造(典型的には、このような機械の周囲に存在している)を図示していないが、この機械の動作が充分に示されている。包装フィルム310がフィルムのロール312から引き出され、ピンと張った状態が維持されるテンショナー314を通過する。次いで、フィルムはフォーマ316上を通過し、これにより、フィルムは、製品送出シリンダー318の周囲に沿って垂直方向の筒状体が形成されるように指向される。この製品送出シリンダー318は、通常、円形またはいくぶん楕円形のいずれかの断面を有する。包装材料の筒状体が駆動ベルト320によって下方に引かれるにつれて、フィルムの両端が縦型シーラー322によって長さ方向に沿ってシールされ、バックシール部324が形成される。次いで、この機械において筒状体に対して1対のヒートシールジョー326を適用すると横断シール部328が形成される。この横断シール部328は、シーリングジョー326の下方では袋330の上端シール部として、およびジョー326の上方では、内容物が充填されている袋332に形成される下端シール部としての機能を果たす。横断シール部328が形成された後、このシール領域の全幅に対して、シール部328の下方の完成品の袋330を該シール部の上方の未完成の袋332から切り離すための切れ目が設けられる。次いで、このフィルム筒状体は下方に押し進められ、別の包装材長さに引き出される。シーリングジョーによって各横断シール部が形成される前に、包装対象の製品が製品送出シリンダー318から落下し、横断シール部328の上方で該筒状体の内部に保持される。
【0008】
石油系フィルムの不都合点は、再生可能でない限られた資源とみなされ得る油から製造されたものであるということである。そのため、再生可能な資源で製造されたバイオベースの柔軟なフィルムの必要性が存在している。バイオベースポリマーフィルムに伴う問題点の1つは、このようなフィルムのバリア特性が不充分であるとの悪評が高いことである。さらに、金属化PLAが有するバリア特性は金属化していないPLAと大きく異ならないという事実によって示されるように、多くのバイオベースフィルムはOPPほど充分に金属化されない。そのため、バリア特性を有するバイオベース複合材の必要性が存在している。このようなバイオベース複合材は、柔軟な多層フィルムを製造するために使用され得る。このような柔軟な多層フィルムは、食品に安全であり、低水分貯蔵で安定な食品を、製品が劣化することなく長期間保存するのに必要なバリア特性を有するものでなければならない。該フィルムは、既存の縦型の成形充填密封機において使用可能であるのに必要なシール可能特性および摩擦係数特性を有するものでなければならない。
【発明の概要】
【0009】
本発明の一実施形態は、バイオベース複合材、およびバイオベースフィルム層(PLAまたはPHAフィルム層など)と、金属、金属酸化物および/または半金属酸化物が上面に堆積された接着層とを含むバイオベース複合材の製造方法に関する。接着層は、バイオベースフィルム層とともに共押出しされ得るか、またはバイオベースフィルム層上に塗布され得る。接着層は、アモルファスPET、ナイロン、EVOH、PVOH、PVOH/EAAブレンド、PGA、プライマーおよびその組合せなどの適当な極性ポリマーから選択され得る。本発明の上記ならびにさらなる特徴および利点は、以下に記載する詳細説明において明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明に特徴的であると考える新規な特徴を添付の特許請求の範囲に示す。しかしながら、本発明それ自体、ならびにその好ましい使用形態、さらなる目的および利点は、以下の実施形態の詳細な説明を参照する際に添付の図面と併せて読んだ場合に最もよく理解されよう。
【図1】図1は例示的な先行技術の包装フィルムの断面図を示す。
【図2】図2は先行技術の包装フィルムの例示的な形成を示す。
【図3】図3は先行技術において知られた縦型の成形−充填−密封機を示す。
【図4】図4は本発明の一実施形態に従って製造される多層包装フィルムの拡大した模式的断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図4は、本発明の一実施形態に従って製造される多層包装フィルム400の拡大した模式的断面図を示す。図4を参照すると、多層包装フィルム400は、接着層416によってバイオベース層418に接着されたバリア層412を含む。これらの3つの層は、許容され得るバリア特性とバイオベースフィルムの両方を有する多層包装フィルム400を製造するためのフィルム複合材として使用され得る。
【0012】
本明細書で用いる場合、バリア層412は、金属、金属酸化物、半金属酸化物、およびその組合せを含む。本明細書に記載するバリア層412は接着層416に、当該技術分野で知られた任意の適当な方法、例えば限定されないが、蒸着、スパッタリング、化学気相蒸着、燃焼化学気相蒸着、物理気相蒸着、プラズマ蒸着、プラズマ増殖型化学気相蒸着、真空蒸着、火炎蒸着(flame deposition)、および火炎加水分解堆積(flame hydrolysis deposition)によって適用され得る。本明細書で用いる場合、許容され得るバリア特性を有する多層包装フィルム400は、許容され得る酸素バリア特性と防湿特性の両方を有するものである。本明細書で用いる場合、許容され得る酸素バリア特性を有する多層包装フィルム400は、約150cc/m/日(ASTM D−3985)未満の酸素透過速度を有するものである。本明細書で用いる場合、許容され得る防湿特性を有する多層包装フィルム400は、約5グラム/m/日(ASTM F−1249)未満の水蒸気透過速度を含む。
【0013】
本明細書で用いる場合、用語「バイオベースフィルム」は、ポリマーフィルムの少なくとも80%(重量基準)が非石油系原料に由来するものであるポリマーフィルムを意味する。一実施形態では、バイオベースフィルムを構成している、石油が原料の慣用的なポリマーは約20%までであり得る。バイオベースフィルムの例としては、ポリラクチド(ポリ乳酸(「PLA」)としても知られている)およびポリヒドロキシ−アルカノエート(「PHA」)が挙げられる。
【0014】
PLAは、米国特許出願公開第2004/0229327号公報に例示されているような植物系原料(例えば、ダイズ)で製造されたもの、あるいは農業副産物(コーンスターチなど)または他の植物系原料(トウモロコシ、コムギもしくはテンサイなど)の発酵により製造されたものであり得る。PLAは、ほとんどの熱可塑性ポリマーと同様にフィルムに加工処理され得る。PLAはPETと類似した物性を有し、優れた透明度を有する。PLAフィルムは米国特許第6,207,792号に記載されており、PLA樹脂は、ネイチャーワークス エルエルシー(Natureworks LLC(http://www.natureworksllc.com))(ミネトンカ ミネソタ(Minnetonka,Minnesota))から入手可能である。PLAは二酸化炭素とバイオマスとに分解される。本発明に従って使用されるPLAフィルムは、周囲条件下で実質的に水に不溶性である。
【0015】
PHAは、アーチャー ダニエルス ミッドランド(Archer Daniels Midland)(デカター、イリノイ(Decatur,Illinois))から入手可能である。PHAは、ポリエステルの類型に属するポリマーであり、微生物(例えば、Alcaligenes eutrophus)によってエネルギー貯蔵の一形態として生成され得る。一実施形態において、PHAの微生物による生合成は2分子のアセチル−CoAの縮合によって開始され、アセトアセチル−CoAが生じ、続いてこれはヒドロキシブチリル−CoAに還元される。次いで、ヒドロキシブチリル−CoAが、最も一般的な型のPHAであるPHBを重合するためのモノマーとして使用される。
【0016】
一実施形態において、バイオベースフィルムと同様に配向ライン上にて加工処理され、比較的平滑な表面を有し(例えば、アモルファスPETと結晶性PETによってもたらされるものの対比,より詳細に後述する)、かつ極性化学基を有する任意のポリマーまたはポリマーブレンドが、好適な接着層416として使用され得る。極性化学基は、金属または半金属のバリア層412に引き付けられるため接着層416において望ましく、ヒドロキシル基などの極性化学基は、金属化すると共有結合して金属酸化物または半金属酸化物を形成すると考えられる。そのため、エチレンビニルアルコール(「EVOH」)配合物が使用されたアルコールブレンドおよびポリビニルアルコール(「PVOH」)が望ましく、ナイロンなどの極性アミド基を有するポリマーもそうである。さらに、アモルファスPETおよび極性カルボニル基を有するポリグリコール酸(「PGA」)もまた使用され得る。そのため、一実施形態において、接着層416は、アモルファスPET、PGA、種々のナイロン(アモルファスナイロンを含む)、EVOH、ナイロン/EVOHブレンド、PVOH、PVOH/エチレンアクリル酸(以下、本明細書において「EAA」)ブレンド、およびプライマーから選択される1つ以上の極性フィルムを含む。
【0017】
一実施形態において、接着層416は、アモルファスまたはガラス状のPETを含む。本明細書で用いる場合、アモルファスPETおよびガラス状のPETという用語は同義的であり、約80℃のTgを有するPETと定義する。一実施形態において、アモルファスPETは、本質的に結晶性が約75%未満であるPETである。結晶化度の測定は、当該技術分野でよく知られており、示差走査熱量測定(DSC)によりASTM D3418(融点)またはASTM E1356(Tg)に従って行われ得る。アモルファスPETが有する外側結合表面は結晶性PETよりもより平滑であるため、および表面上に酸素含有基がランダムに分布しているため、アモルファスPETでは結晶性PETよりも、アルミニウムなどの金属に対してより良好な結合表面が提供される。さらに、結晶性PETの方が融点がより高く、効率的な様式ではPLAと配向ライン上にて加工処理されない。
【0018】
一実施形態において、接着層416はバイオベース層418とともに共押出しされる。一実施形態では、PETを含む接着層416がバイオベース層418とともに共押出しされ得、バリア層412が接着層416に当該技術分野で知られた方法によって適用され得る。
【0019】
一実施形態において、接着層416は、低加水分解EVOHから高加水分解EVOHまで多岐にわたり得るEVOH配合物を含むものである。以下に、本発明の種々の実施形態によるEVOH配合物を示す。
【0020】
【化1】

本明細書で用いる場合、低加水分解EVOHは、n=25である上記の式に該当する。本明細書で用いる場合、高加水分解EVOHは、n=80である上記の式に該当する。高加水分解EVOHでは、酸素バリア特性が得られるが加工処理がより困難である。EVOH配合物を含む接着層416は、バイオベース層418とともに共押出しされ得、バリア層412は、当該技術分野で知られた上記の方法によって適用され得る。一実施形態では、EVOHを含む接着層416がグラビア法または他の適当な方法によってバイオベース層418上に塗布され、バリア層412が接着層416上に適用され得る。
【0021】
一実施形態において、接着層416はナイロンとEVOHの両方を含む。このような実施形態では、ナイロン層がバイオベース層418(PLAなど)とともに共押出しされ、次いで、EVOH塗料がナイロン層上にグラビア法または他の適当な方法によって適用される。
【0022】
一実施形態において、接着層416はPVOH塗膜を含むものであり、該塗膜はバイオベース層418に液状物として適用され、次いで乾燥される。次いで、バリア層412が、乾燥したPVOH塗膜を含む接着層416に適用され得る。
【0023】
一実施形態において、接着層416は、EAAとPVOHを含む溶液として適用され、該溶液はバイオベース層418上に液状物として塗布され、次いで乾燥させる。一実施形態において、PVOHとEAAとの溶液塗料はPLAに、PLAを機械方向にストレッチまたは軸方向延伸した後に適用され得る。そのため、PLAは、押し出され、押し出された後、機械方向にストレッチされる前に放冷され得る。次いで、PVOHとEAAとを含む塗料が適用され得る。例えば、該溶液は0.1〜20%のPVOHとEAAおよび80〜99.9%の水を含み得る。一実施形態では、ほぼ等量のPVOHとEAAとが使用される。一実施形態では、該溶液は約90%の水、約5%のPVOH、および約5%のEAAを含む。塗料が適用された後、次いで、フィルムは加熱され、続いて横方向にストレッチされ得る。このようなプロセスにより、バリア層412のための均一な塗膜が得られる。
【0024】
図4は、本発明の一実施形態に従って製造される多層包装フィルムの拡大した模式的断面図を示す。一実施形態において、バイオベース層418には、任意の適当な方法、例えば、メイヤーロッドまたはグラビアの使用によってプライマーを含む接着層416が塗布される。本明細書で用いる場合、プライマーは、極性化学基を有し、また、バリア層412のための平滑な表面をもたらす表面改質剤としての機能も果たす任意の適当な塗料と定義する。本発明の種々の実施形態に従って使用され得る好適なプライマーの例としては、限定されないが、エポキシ、無水マレイン酸、エチレンメタクリレート(「EMA」)、およびエチレンビニルアセテート(「EVA」)が挙げられる。他の適当なプライマーとしては、OXY−BLOCK塗料(アクゾ ノベル(Akzo Nobel)製の包装用塗料)およびカラーコン(ハーレイズビル、ペンシルベニア)(Colorcon(Harleysville,PA)製のOPADRYが挙げられる。一実施形態では、接着層416にバリア層412が塗布される。任意の適当なバリア層412、例えば限定されないが、金属酸化物(酸化アルミニウムなど)、または半金属酸化物(二酸化ケイ素など)が使用され得る。一実施形態では、さらなるバリア特性を得るために、ドープされた金属酸化物または半金属酸化物を含む別の層(図示せず)がバリア層412上に配される。例えば、一実施形態では、後の堆積のための平滑な表面を得るため、接着層416はバイオベース層418上にOXY−BLOCKエポキシを含む。一実施形態では、次いで酸化ケイ素を含むバリア層412が、一実施形態において火炎蒸着によってエポキシ層上に塗布され、酸素バリアがもたらされる。次いでドープ亜鉛−酸化ケイ素を、一実施形態において火炎蒸着によって酸化ケイ素を含むバリア層412上に塗布してもよい。
【0025】
また、接着層416へのバリア層412(金属など)の適用を助長するため、またはバイオベース層418への接着層416の適用を助長するための添加剤を使用してもよい。本明細書で用いる場合、用語「添加剤」は、化学的な添加剤に限定されず、表面処理(例えば限定されないが、コロナ処理)を包含し得る。一実施形態では、接着層416を使用すると、添加剤なしでバリア層412を得ることが可能になる。
【0026】
バリア層412と接着層416とバイオベース層418とを含む上記のフィルム複合材は、次いでバイオベースの外側層402にバイオベースの接着剤または他の適当な接着剤410により接着され得る。
【0027】
外側のバイオベースの外側層402は、バイオベースポリマーをフィルムシート状に押出すことにより製造され得る。一実施形態において、バイオベースの外側層402は機械方向または横方向に延伸されたものである。一実施形態では、バイオベースの外側層402は二軸延伸フィルムを含むものである。このような二軸延伸フィルムは、PLAフィルムとしてSKC Ltd.(韓国)から入手可能である。一実施形態では、使用されるPLA外側層402は約70ゲージ〜約120ゲージの厚さを含む。一実施形態では、グラフィックイメージ404がバイオベースの外側層402上に、既知のグラフィック適用法(フレキソ印刷またはロトグラビア印刷など)によって裏刷りされ、グラフィック層404が形成される。代替的な実施形態(図示せず)では、グラフィックイメージは、外側層402上の外部に面する部分に印刷される。一実施形態では、バイオベースの外側層402は、印刷特性および摩擦係数特性が向上するように多数の層を含む。一実施形態では、バイオベースの外側層402は、本質的にPLAからなる1つ以上の層を含む。
【0028】
一実施形態では、バリア層412が接着層416に適用された後、バイオベースのプリントウェブ402がバリア層412に、任意の適当な接着剤410(LDPEなど)によって接着され得る。一実施形態では、バイオベースの接着剤410が使用される。本明細書で用いる場合、用語「バイオベースの接着剤」は、ポリマー層の少なくとも約80%(重量基準)が非石油系原料に由来するものであるポリマー接着剤を意味する。接着剤層410は、改質PLAバイオポリマー26806(ダニマー サイエンティフィック エルエルシー(DaniMer Scientific LLC)(ベインブリッジ ジョージア(Bainbridge、Georgia))製)またはMater Bi((ノバモント(ノバラ、イタリア)Novamont(Novara,Italy)製)などの任意の適当なバイオベースの接着剤を含み得る。一実施形態では、デンプン系のグルーが好適な接着剤410として使用され得る。
【0029】
また、任意のシーラント層419を設けてもよい。一実施形態において、シーラント層419はアモルファスPLAを含み(ネイチャーワークス(NATURE WORKS)製の4060 PLA層など)、該層はバイオベース層418とともに共押出しされる。図4に示す実施形態では、内部側のシーラント層419が折り重ねられ、次いで該層上でシールされ、バックシール部のためのフィンシール部を有する筒状体が形成され得る。フィンシール部は、フィルムに熱または圧力を加えることによって得られる。あるいはまた、ラップシール部の使用を可能にするため、バイオベースフィルム402の必要な部分にサーマルストライプを設けてもよい。
【0030】
図4に示す一実施形態において、本発明は、3つのバイオベースフィルム層(402、410、418)を含むバイオベース多層フィルムであって、図1に示す先行技術フィルムと比べてポリオレフィンが90%少ないが、許容され得る酸素と水分に対するバリア特性を含む多層フィルムを提供する。
【0031】
種々の接着層(例えば、図4に示す接着層416)およびバリア層412とともに共押出した図4のバイオベース層418に相当する結晶性PLAフィルム(NATUREWORKS 4032D)の水蒸気透過速度を種々の条件下で記録し、以下の表1に示す。試験は、プリント層402またはインク層404なしで実施した。試験条件の相対湿度、試験を実施した温度、および流速(単位:標準的な立方センチメートル/分)を以下の表に記録している。バイオベースのPLA層418はすべて、80ゲージの結晶性PLAである。本明細書で用いる場合、約50%より高い結晶化度を有するPLAを結晶性PLAとみなし、一方、約50%未満の結晶化度を有するPLAをアモルファスPLAとする。本出願人らは、PETなどの石油系ポリオレフィンについては、約75%未満でアモルファス、約75%より上を結晶性とみなしていることを注記しておく。スキン層は種々のPLAポリマーで製造される。例えば、4042Dは結晶性PLAであり、4060DはアモルファスPLAポリマーである(NATUREWORKS LLC製)。
【0032】
サンプル1〜8は、PLA層(418)とともに共押出しした、酸化アルミニウム(412)塗膜を有する結晶性PLA層(416)の水蒸気透過速度を示す。
サンプル9〜16は、PLA層(418)とともに共押出しした、酸化アルミニウム(412)塗膜を有するアモルファスPLA層(416)の水蒸気透過速度を示す。
【0033】
サンプル17〜24は、PLA層(418)とともに共押出しした、酸化アルミニウム(412)塗膜を有するナイロン層(416)の水蒸気透過速度を示す。
サンプル25〜32は、PLA層(418)とともに共押出しした、酸化アルミニウム(412)塗膜を有するアモルファスPET(416)層の水蒸気透過速度を示す。
【0034】
【表1】

上記のデータは、光沢性またはアモルファスのポリエチレンテレフタレートの接着層416としての同等の有効性を示す。PETを共押出し接着層416として使用した場合、サンプル25〜32を、それぞれサンプル1〜8および9〜16と比較することによって示されるように、水蒸気透過速度が結晶性PLA(4042D)およびアモルファスPLA(4060D)の両方と比べてほぼ一桁大きく有効性となる。
【0035】
同様に、PLA層418上の共押出し接着層416としてのナイロンの使用は、アモルファスPLAの接着層416よりもかなり良好なバリア特性を有するようである。本発明により化石燃料の消費が好都合に低減され、この場合、バイオベース層418が包装フィルムとして使用されているが許容され得る湿気と酸素バリア特性は保持されている。
【0036】
本明細書で用いる場合、用語「包装材」は、任意の容器(例えば限定されないが、薄い多層フィルムで構成された任意の食品容器)を包含していると理解されたい。本明細書において論考したシーラント層、接着剤層、印刷用の外側層、およびバイオベース層は、スナック食品用(例えば、ポテトチップス、コーンチップス、トルティーヤチップスなど)の包装材を形成するのに特に好適である。しかしながら、本明細書において論考した層およびフィルムは、スナック食品の包装のためのプロセス(スナック食品の袋への充填および封止など)における使用が想定されるが、該層およびフィルムは、他の低水分製品の包装のためのプロセスにも利用することができる。
【0037】
特に定義していない限り、本明細書で用いる科学技術用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に挙げた参考文献はすべて引用により組み込まれる。しかしながら、このような参考文献と本開示(優先権書類に記載された参考文献を含む)が矛盾する場合、本開示に支配される。本発明を、その好ましい態様を参照して具体的に図示し、説明したが、形態および詳細における種々の変形が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることは当業者によって理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層包装フィルムの製品側における使用のための複合材であって、PLA(ポリ乳酸)、PHA(ポリヒドロキシ−アルカノエート)、およびその混合物から選択されるバイオベース層と、金属、金属酸化物、半金属酸化物またはその組合せが上面に堆積された接着層とを含む複合材。
【請求項2】
前記接着層と前記バイオベース層とが共押出しされている請求項1に記載の複合材。
【請求項3】
前記バイオベース層が、アモルファスPLAを含むシーラント層を含む請求項2に記載の複合材。
【請求項4】
前記接着層がアモルファスPET(ポリエチレンテレフタレート)を含む請求項2に記載の複合材。
【請求項5】
前記接着層がPGA(ポリグリコール酸)を含む請求項2に記載の複合材。
【請求項6】
前記接着層がEVOH(エチレンビニルアルコール)を含む請求項2に記載の複合材。
【請求項7】
前記接着層がナイロンを含む請求項2に記載の複合材。
【請求項8】
前記接着層がさらにEVOH塗膜を含む請求項7に記載の複合材。
【請求項9】
さらにバイオベースの接着剤を含む請求項1に記載の複合材。
【請求項10】
前記接着層が前記バイオベース層上に塗布されている請求項1に記載の複合材。
【請求項11】
前記接着層がEVOHを含む請求項10に記載の複合材。
【請求項12】
前記接着層がPVOH(ポリビニルアルコール)を含む請求項10に記載の複合材。
【請求項13】
前記接着層がPVOH/EAA混合物を含む請求項10に記載の複合材。
【請求項14】
前記接着層がプライマー層を含む請求項10に記載の複合材。
【請求項15】
前記バイオベース層がPLAを含む請求項1に記載の複合材。
【請求項16】
前記バイオベース層がPHAを含む請求項1に記載の複合材。
【請求項17】
a)接着層を、PLA、PHA、およびその混合物から選択されるバイオベース層に適用する工程と、
b)バリア層を前記接着層に適用する工程と
を含む、バイオベースバリアフィルムの製造方法。
【請求項18】
前記接着層が前記バイオベース層とともに共押出しされる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記接着層が、アモルファスPET、PGA、EVOH、ナイロン、およびその混合物から選択される1種類以上のポリマーを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記接着層が前記バイオベース層上に塗布される請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記接着層が、EVOH、PVOH、PVOH/EAA混合物およびプライマーから選択される1種類以上のポリマーを含む請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−521161(P2013−521161A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556212(P2012−556212)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2011/026881
【国際公開番号】WO2011/109528
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(500208519)フリト−レイ ノース アメリカ インコーポレイテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】FRITO−LAY NORTH AMERICA,INC.
【Fターム(参考)】