説明

高低温充填食品及び飲料包装用のラミネート構造体

本発明は、食品又は飲料容器を形成するように構成された耐熱多層構造体を提供する。多層構造体は、外側多層側面と内側多層側面とに連結されたコア層を含む。外側多層側面は、外側多層ポリマーフィルム及び第1接着層を含む。内側多層側面は、内側多層ポリマーフィルム、第2接着層、及び障壁層を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にラミネート複合材であって、特に、再利用可能且つ耐熱特性を有するラミネート複合材料に関する。
尚、本出願は、米国仮特許出願第60/925,929号(出願日2007年4月24日、発明の名称:高低温充填食品及び飲料包装用のラミネート構造体)に関し、その優先権を主張し、その全体を完全に記載する如く、本出願に引用して援用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
現在の製品包装分野において、包装製品に用いられる材料は再利用可能である必要がある。液体及び乳製品の包装製品の多くは、まず製品を冷却する必要がある。この理由は、再利用可能な容器が、殺菌された高温液体の充填に耐えられないためである。これにより、費用が高くなり、製品発送が遅れることになる。費用の一部には、冷却、必要な貯蔵スペース、管理等に関連する費用が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一態様は、食品又は飲料の容器を形成するように構成された耐熱多層構造体を提供する。多層構造体は、外側多層側面と内側多層側面とに連結されたコア層を含む。外側多層側面は、外側多層ポリマーフィルム及び第1接着層を含む。内側多層側面は、内側多層ポリマーフィルム、第2接着層、及び障壁層を含む。
【0004】
本発明のその他の態様は、ラミネート構造体を提供する。ラミネート構造体は、第1多層側面と第2多層側面とに連結されたコア層を含む。第1多層側面は、第1のシール可能な多層ポリマーフィルム、印刷層、及び第1接着層を含む。第2多層側面は、第2のシール可能な多層ポリマーフィルム、第2接着層、障壁層、及び第3接着層を含む。
【0005】
さらにもう1つの態様は、食品及び飲料の容器を形成するように構成された再利用可能な耐熱多層構造体を形成する方法を提供する。本方法は、コア層の第1側面を第1多層側面に溶接する工程と、コア層の第2側面を第2多層側面に溶接する工程とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】ラミネート構造体の第1実施形態の図である。
【図2】ラミネート構造体のその他の実施形態の図である。
【図3】ラミネート構造体のさらにその他の実施形態の図である。
【図4】ラミネート構造体のもう1つの他の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の本質と利点をより完全に理解するために、使用に好適な実施形態とともに、付随の図面と併せて以下の詳細な記載に、参照符号を付すこととする。
【0008】
以下の記載は、本発明の一般的原理を図示することを目的としたものであり、本願で請求する独創的な概念を制限することを意図したものではない。さらに、本明細書に記載された特定の特性は、様々な実現可能な組み合わせ物及び置換物の各々に記載されたその他の特性と組み合わせて使用することも可能である。本明細書で特に定義しない限り、全ての用語は、明細書に暗示される意味、及び当業者によって理解される及び/又は辞書及び論文等に定義された意味を含む最大限に広範囲な解釈によって与えられるものである。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係るラミネート構造体を図示する。ラミネート構造体(100)は耐熱性且つ再利用可能である。ラミネート構造体(100)は食品又は飲料を入れるための容器の形状に形成され、熱いもので充填可能である。図示する如く、ラミネート構造体(100)は、多層ポリマーフィルムを含む外側外層(101)を含む。本発明の一実施形態では、外層(101)は、インフレーションフィルム押し出し成形によって又はキャスト膜押し出し成形によって、押し出される。本発明の他の実施形態では、外層(101)は、単層である。本発明の一実施形態では、外層(101)は、表面を保護し、外層(101)の特定部分において熱溶接を用いて内側層に接着する。外層(101)は、一実施形態ではポリオレフィンベース材料で作られており、その他の実施形態ではポリアミド(PA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、又は高いバリア特性を有するとともに層間に挟まれてそのバリア特性を増大させる類似物質を含む。外側外層(101)は、透明であるが抗汚染障壁液体シールを形成し、外部物質及び大気侵入を防ぐ。また、外側外層(101)は、汚染物質の侵入も防ぎ、透視可能な機能性を提供する。
【0010】
本発明の一実施形態では、外側外層(101)は透明である。本発明のその他の実施形態では、ラミネート構造体(100)は、印刷層(102)を含む。本発明の一実施形態において、印刷層(102)は裏面に印刷されることにより、印刷されたデザインが傷から保護され、インクが食品又はユーザーの体の一部分に接触することが防がれる。本発明の本実施形態では、印刷層(102)は、裏面印刷されたラベルを含み、このラベルは、ラミネート材料から形成された容器内に入れる予定の内容物に関連した技術及び提示情報を含むことができる。
【0011】
一実施形態では、ラミネート構造体(100)は接着層(103)を含む。一実施形態では、接着層(103)は、ラミネーター上にコーティングされる液状接着剤である。その他の実施形態では、接着層(103)は、外層(101)及び印刷層(102)と、金属化層(104)及び又はコア層(106)との間に配されるフィルム層であり、互いに融合(amalgamate)させる。本発明の一実施形態では、接着層(103)は、印刷層(102)と外側外層(101)とをフィルム層(104)上に固定する。本発明の一実施形態では、異なる層をラミネートするためには、液状接着剤が用いられ、層を融合させる。本発明のその他の実施形態では、接着フィルムがラミネート加工に用いられ、層間に配され、熱により押圧されることによって互いに接着させる。本発明の一実施形態では、フィルム層(104)は金属化層である。他の実施形態では、フィルム層(104)は、非金属化フィルムである。
【0012】
本発明の一実施形態では、ラミネート構造体(100)は接着層(105)を含む。本発明の一実施形態では、接着層(105)は、液状接着剤又は接着フィルムであって、2、3、4等の層を互いに接着させるために用いられる。本発明の一実施形態では、使用されるラミネート加工法は、低温、高温、押し出しコーティング等であることができる。本発明の一実施形態では、接着層(105)は、コア層(106)上にフィルム層(104)を固定する。本発明の本実施形態では、コア層(106)は、鉱物成分を含む高分子化合物から作られる。本発明の一実施形態では、コア層(106)は、自然食品等級鉱物が配合された異なるプラスチック食品等級材料を含む化合物から作られ、押し出し工程によって作られる。コア層(106)は、食品又は飲料容器の形状に形成された時にラミネートに必要とされる弾性及び剛性を付与する。本発明の一実施形態では、コア(106)は耐熱及び骨格のコアを形成する。該コアは、その上且つ周りに容器形状の基礎が形成され、熱い食品又は飲料が充填される間の高熱にさらされる時に、その構造と剛性を保持する。本発明の一実施形態では、配合材料は、耐熱性及びボール紙に類似したデッドホールド性を有している。押し出し材の剛性により、容器の異なる形態及び形状を形作ることが可能となる。
【0013】
一実施形態では、ラミネート構造体(100)の内側側面は、接着層(107)を含み、これにより、コア層(106)が障壁層(108)へと固定される。一実施形態では、障壁層(108)は、アルミホイル層から作られる。これは、酸素と同様に紫外線放射の侵入を防ぐことにより、保有内容物を飲用品質において劣化させる可能性がある分解放射線及び微量酸素の侵入を防ぐ。他の実施形態では、障壁層(108)は、アルミホイルと類似したバリア特性を有する高分子フィルム又はコーティングであり、即ち、酸素及び紫外線放射両方の通過を妨げる。
【0014】
本発明の一実施形態では、ラミネート構造体(100)は、さらに接着層(109)を含む。接着層(109)は、障壁層(108)を内側(即ち、容器内の内容物側)多層ポリマーフィルム層(110)に固定する。多層ポリマーフィルム(110)は、透明であるが抗汚染液体不浸透性シールを形成し、これは、最終的な充填された内容物の接触面を形成する。また、この層は、通過汚染シール特性を有する。その他の実施形態では、多層ポリマーフィルム(110)は、食品又は飲料を追加的に紫外線放射から保護するために着色される。
【0015】
図2は、ラミネート構造体(200)のその他の実施形態を図示する。本発明の本実施形態では、図1に記載の実施形態と比較して、接着層(103)は、印刷層(102)と逆に配されている。本発明の本実施形態では、接着層(103)は接着剤であり、これにより多層ポリマーフィルム(101)がフィルム層(104)に固定される。フィルム層(104)の外側に面する表面上には、印刷層(102)が配され、印刷可能となる。例えば、ラミネート構造体(200)で形成された容器内に入れる予定の内容物に関連した技術及び提示情報がともに印刷される。
【0016】
図3は、ラミネート構造体(300)のその他の実施形態を図示する。本実施形態では、図1に図示された実施形態と比較して、フィルム層(104)及び接着層(105)が除去されている。
【0017】
図4は、ラミネート構造体(400)のさらにその他の実施形態を図示する。本実施形態では、図3に記載された実施形態と比較して、印刷層(102)と接着層(103)が逆に配されている。
【0018】
図1乃至4に記載された実施形態では、全てのラミネート層内に使用される製品材料の全体的な組み合わせは、その他の製品構成において再利用及び再使用可能な粉砕再生材料形態へと、機械的に還元可能である。これら実施形態の幾つかは、外部物質又は外部環境の侵入と接触しないようにするための透明な外側障壁を含み、これは印刷(例えば、裏面印刷)及び保護されたメッセージ用の支持層として使用される。外側及び内側多層ポリマーフィルム(101、110)のどちらもが、通過汚染シール特性を有している。コア層(106)は、鉱物成分を含む高分子化合物から作られ、剛性と安定な構造を付与する。これらの実施形態は、ラミネート構造体内への熱及びラミネート構造体を通る熱の伝達を減少させる一方、紫外線放射及び酸素の侵入を防止する。透明な内側シール障壁は、液状物質の囲い込み部を形成する。
【0019】
また、ラミネート構造体のその他の実施形態は、存在可能であるとともに上記に検討した実施形態の特性に対する整合特性を保持可能である。これらその他の実施形態は、ラミネート層の追加や除去が可能である、又は、開始構造層において用いられる基礎層材料が異なる外部環境もしくは最終的な内容物の格納基準に整合するように変化するよう構成される。
【0020】
上記記載において、多数の特定の詳細事項が記載される。しかしながら、本発明の実施形態は、これら特定の詳細事項がなくとも実施可能であることは理解できることである。例えば、公知の同等成分及び要素が、本明細書に記載されたものの変わりに置き換えられることも可能である。同様に、公知の同等技術もまた、開示された特定技術の変わりに置き換えられることが可能である。他の例においては、公知の構成及び技術は、詳細には説明されておらず、これは、本記載の理解を不明瞭なものとしないためである。
【0021】
本明細書内の「実施形態」「一実施形態」「幾つかの実施形態」又は「その他の実施形態」に係る参照符号は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも幾つかの実施形態において含まれることを意味するが、全ての実施形態において必ずしも含まれるわけではない。「実施形態」「一実施形態」又は「幾つかの実施形態」の各種外観は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではない。明細書が、成分、特徴、構造、又は特性において「可能である、できる(may, might, could)」が含まれている場合に、特定の成分、特徴、構造、又は特性を含むことは必須ではない。明細書又は特許請求の範囲が「a,an」要素を言及する場合には、これは、要素が1つのみ存在することを意味するものではない。明細書又は特許請求の範囲が「追加的な(an additional)」要素を言及する場合には、これは追加的な要素が1を超える場合を除外するものではない。
【0022】
特定の例示的な実施形態が記載され、添付の図面において示されてきたが、このような実施形態は、単に図式的に示したものであり、広範囲な発明を制限するものではないことは理解されるべきことである。そして、本発明は、様々な他の改良が当業者によってなされる可能性があるために、図示及び記載された特定の構成及び配置に制限されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1多層側面と第2多層側面とに連結されたコア層を含むラミネート構造体であって、
前記第1多層側面が、第1のシール可能な多層ポリマーフィルム、印刷層、及び第1接着層を含み、
前記第2多層側面が、第2のシール可能な多層ポリマーフィルム、第2接着層、障壁層、及び第3接着層を含むことを特徴とするラミネート構造体。
【請求項2】
前記第1多層側面が、第4接着層及びフィルム層をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のラミネート構造体。
【請求項3】
前記フィルム層が、金属化フィルム層及び非金属化フィルム層のうちの1つであることを特徴とする請求項2記載のラミネート構造体。
【請求項4】
前記印刷層が、前記コア層及び前記第1接着層との間に配されることを特徴とする請求項1又は2記載のラミネート構造体。
【請求項5】
前記印刷層が、前記多層フィルム及び前記第1接着層との間に配されることを特徴とする請求項1又は2記載のラミネート構造体。
【請求項6】
前記障壁層が、酸素と紫外線放射の両方の透過を防ぐことを特徴とする請求項1記載のラミネート構造体。
【請求項7】
前記障壁層が、アルミニウムで作られることを特徴とする請求項6記載のラミネート構造体。
【請求項8】
前記コア層が、鉱物成分を含んだ高分子化合物を含むことを特徴とする請求項1記載のラミネート構造体。
【請求項9】
前記ラミネート構造体が、液体、固体、又は気体形態において外部汚染物質を通さないことを特徴とする請求項1記載のラミネート構造体。
【請求項10】
前記コア層が、内部剛性及び成形構造を付与することを特徴とする請求項1記載のラミネート構造体。
【請求項11】
前記ラミネート構造体が、内部耐熱性を付与することを特徴とする請求項1記載のラミネート構造体。
【請求項12】
前記ラミネート構造体が、高温充填工程用として構成されることを特徴とする請求項1記載のラミネート構造体。
【請求項13】
前記高温充填工程が、前記ラミネート構造体で形成される容器内に殺菌食品を充填する工程を備えることを特徴とする請求項12記載のラミネート構造体。
【請求項14】
前記第1のシール可能な多層ポリマーフィルムが、透明であることを特徴とする請求項1記載のラミネート構造体。
【請求項15】
前記構造体が、シーム溶接された容器構造体の形状に形成される内側及び外側高分子シートを提供することを特徴とする請求項1又は2記載のラミネート構造体。
【請求項16】
前記ラミネート構造体が、再利用可能であることを特徴とする請求項1又は2記載のラミネート構造体。
【請求項17】
食品又は飲料容器を形成するように構成された耐熱多層構造体であって、該多層構造体は、外側多層側面と内側多層側面とに連結されたコア層を含み、
前記外側多層側面が、外側多層ポリマーフィルム及び第1接着層を含み、
前記内側多層側面が、内側多層ポリマーフィルム、第2接着層、及び障壁層を含むことを特徴とする耐熱多層構造体。
【請求項18】
前記外側多層側面が、印刷層をさらに含むことを特徴とする請求項17記載の耐熱多層構造体。
【請求項19】
前記内側多層側面が、第3接着層及び障壁層をさらに含むことを特徴とする請求項18記載の耐熱多層構造体。
【請求項20】
前記外側多層側面が、第4接着層及びフィルム層をさらに含むことを特徴とする請求項19記載の耐熱多層構造体。
【請求項21】
前記印刷層が、前記外側多層ポリマーフィルムを通り抜けて視認可能であることを特徴とする請求項19又は20記載の耐熱多層構造体。
【請求項22】
前記障壁層が、酸素と紫外線放射の両方の透過を防ぐことを特徴とする請求項19記載の耐熱多層構造体。
【請求項23】
前記コア層が、鉱物成分を含んだ高分子化合物を含むことを特徴とする請求項17記載の耐熱多層構造体。
【請求項24】
前記多層構造体が、液体、固体、又は気体形態において外部汚染物質を通さないことを特徴とする請求項19又は20記載の耐熱多層構造体。
【請求項25】
前記耐熱多層構造体が、再利用可能であることを特徴とする請求項19又は20記載の耐熱多層構造体。
【請求項26】
食品及び飲料容器を形成するように構成された再利用可能な耐熱多層構造体を形成する方法であって、該方法は、
コア層の第1側面を第1多層側面に溶接する工程と、
前記コア層の第2側面を第2多層側面に溶接する工程とを備えることを特徴とする方法。
【請求項27】
前記第1多層側面が、第1のシール可能な多層ポリマーフィルム、印刷層、及び第1接着層を含むことを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記第2多層側面が、第2のシール可能な多層ポリマーフィルム、第2接着層、障壁層、及び第3接着層を含むことを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記第1多層側面が、第4接着層及びフィルム層をさらに含むことを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記障壁層が、酸素と紫外線放射の両方の透過を防ぐことを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記多層構造体が、ラミネート加工によって形成されることを特徴とする請求項26記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−524745(P2010−524745A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506269(P2010−506269)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/005318
【国際公開番号】WO2008/133963
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(509295918)
【Fターム(参考)】