説明

高処理能力の固相トランスフェクション用DNAアレイ及びその製造方法

本発明は、固形支持体上に複数の乾燥スポットを含む、高処理能力かつ高効率の固相トランスフェクション用DNAアレイであって、前記乾燥スポットが(1)細胞中に導入されるプラスミドDNAと、(2)トランスフェクション試薬と、(3)細胞接着タンパク質とを含むDNAアレイ及びそれを用いた、細胞中にプラスミドDNAを導入するための高処理能力かつ高効率の固相トランスフェクション方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
この発明は、高処理能力の固相トランスフェクション用DNAアレイ(array)、該DNAアレイの製造方法、該DNAアレイの製造で用いる試薬、及び該DNAアレイを用いて高処理能力の固相トランスフェクションを行う方法に関する。
【0002】
(背景技術)
これまで、液相ベースのトランスフェクションシステムは哺乳類細胞中へのDNAの導入のために使用されている。従来、哺乳類細胞のトランスフェクションのため以下の方法が使用されてきた。
(1)リン酸カルシウム共沈法(Chen, C.及びOkayama, H.:Biotech., 6, 632-638, 1988)、
(2)リポフェクション媒介伝達法(Rabindran S.K.ら:Science 259, 230-234, 1993)、
(3)DEAEデキストラン媒介伝達法(Susman, D.J.及びMilman, G.:Mol. Cell. Biol., 4, 1641-1643, 1984)、
(4)エレクトロポレーション法(Chu, G.ら:Nucl. Acid. Res., 15, 1311-1326, 1987)、及び
(5)微量注射法(Graessmann, M.及びGraessmann, A.:Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 73, 366-370, 1976)。
【0003】
上記方法(1)〜(4)は、104〜106個の細胞及び0.1〜10μgのDNAを必要とし、トランスフェクション効率は約20%の最大レベルであるが、種々の条件下で最大トランスフェクション効率を維持することは困難である。特に、トランスフェクション効率は細胞型によって可変であり、これらトランスフェクション手順は複雑かつ時間がかかる。この環境下で、上述したトランスフェクションシステム(1)〜(4)の小型化及び自動化によって高処理能力のトランスフェクション法を確立することはほとんど不可能である。一方、上述した方法(5)は、トランスフェクションに必要な細胞及びDNAの量が上記方法(1)〜(4)よりずっと少なくてよいが、DNAの細胞中への微量注射は顕微鏡で観察しながら直接行うので、その手順は高レベルの熟練と長期の経験を必要とする。従って、液相トランスフェクションシステムは高処理能力のトランスフェクションに適さない。
【0004】
現在、以下の例に示されるように、高処理能力のトランスフェクションシステムが非常に必要とされている。種々の刺激が加えられて細胞増殖が始まると、相互作用するタンパク質のネットワークによって、連続的な信号伝達が制御される。
信号伝達及びプロセシングは、一般的に、タンパク質構造の変化及び/又は化学変換によって媒介される特異的なタンパク質-タンパク質相互作用を通じて起こる。タンパク質の回路及びネットワーク動力学及び機能の複雑さと我々の不完全な理解のため、特定の表現型を1セットのタンパク質-タンパク質相互作用に相関させることは、主要な試みであるのみならず、多くの場合、ゲノム広さ又は標的ネットワーク分析に受け入れられる方法を必要とする。この技術は、相互作用する完全ヒトゲノムでコードされるタンパク質のネットワークの分析を大いに必要とする。高処理能力のトランスフェクション及びモニタリングシステムが確立されれば、標的遺伝子を発現させて、リアルタイムで遺伝子産物のレベルをモニターし、かつ無傷細胞内の細胞機能に及ぼす遺伝子発現の影響を分析することができる。
【0005】
この目的には固相トランスフェクション技術が好ましい。実際、J. Ziauddin及びD.M. Sabatiniは、固相-トランスフェクション法について報告している(Junaid Ziauddin & David M. Sabatini:Microarrays of cells expressing defined cDNAs, Nature 411, 107-110, 2001)。この論文では、ゲラチン(geratin)を用い、DNA-ゲラチン複合体を形成して細胞膜と融合させることによってDNAを細胞中にトランスフェクトする。しかし、この方法は、数個の細胞系しかカバーせず、かつ再現性及びトランスフェクション効率について問題がある。
従って、本発明の目的は、上述した問題を解決する、高処理能力の固相トランスフェクション用DNAアレイ、及び該DNAアレイを用いて高処理能力の固相トランスフェクションを行う方法を提供する。
【0006】
(発明の開示)
本発明は、固形支持体の表面上にプリントした、プラスミドDNAsを含有する乾燥スポット(spot)内で細胞接着タンパク質の存在下、トランスフェクション効率が顕著に向上し、かつクロス-コンタミネーションが非常に減少するという発見に基づいている。
従って、本発明の固相トランスフェクション法は、以下の手順で行うことができる。
(a)細胞中に導入されるプラスミドDNAと、トランスフェクション試薬と、細胞接着タンパク質とを含んでなるDNA含有混合物を調製し、
(b)このDNA含有混合物を複数の規定位置内の固形支持体の表面上にスポットし、
(c)固形支持体の表面上のDNA含有混合物を乾燥させ、
(d)固形支持体の表面上に細胞を塗布し、かつ
(e)効率的にトランスフェクションが進行するのに適した条件下で固形支持体と細胞を維持する。
又は
(a)細胞中に導入されるプラスミドDNAと、細胞接着タンパク質とを含んでなるDNA含有混合物を調製し、
(b)このDNA含有混合物を複数の規定位置内の固形支持体の表面上にスポットし、
(c)固形支持体の表面上のDNA含有混合物を乾燥させ、
(d)このプリントされた固形支持体を、希釈したトランスフェクション試薬にさらし、
(e)固形支持体の表面上に細胞を塗布し、かつ
(f)効率的にトランスフェクションが進行するのに適した条件下で固形支持体と細胞を維持する。
【0007】
更に、本発明は、固形支持体上に複数の乾燥スポットを含むトランスフェクション用DNAアレイに関し、前記乾燥スポットは(1)細胞中に導入されるプラスミドDNA、(2)トランスフェクション試薬及び(3)細胞接着タンパク質を含む。
なお更に、本発明は、DNAアレイの製造方法であって、以下の工程、
(a)細胞中に導入されるプラスミドDNAと、トランスフェクション試薬と、細胞接着タンパク質とを含んでなるDNA含有混合物を調製する工程、
(b)このDNA含有混合物を複数の規定位置内の固形支持体の表面上にスポットする工程、
(c)固形支持体の表面上のDNA含有混合物を乾燥させる工程、
を含む方法に関する。
【0008】
更に、本発明は、(1)細胞中に導入されるプラスミドDNA、(2)トランスフェクション試薬、及び(3)細胞接着タンパク質を含む、上記DNAアレイを製造するための試薬キットに関する。
最後に、本発明は、細胞内での遺伝子プロファイリング(profiling)方法であって、以下の工程:
(a)上記DNAアレイの表面上に細胞を塗布する工程、
(b)プラスミド上に接着した細胞を細胞増殖に適した条件下で維持する工程、
(c)細胞内のトランスフェクトされた遺伝子を発現させる工程、及び
(d)外因的に生成されるタンパク質をモニターし、かつ該タンパク質の発現に起因する細胞表現型の変化を検出する工程、
を含む方法に関する。
【0009】
本発明により、DNAの細胞中への導入が非常に効率よくなり、隣接箇所からの信号として検出されるクロス-コンタミネーションが無視できるようになり、かつDNAアレイを用いた本固相トランスフェクションシステムは、高処理能力のトランスフェクションシステムを提供する。上述した発見に基づき、まず第1に、細胞内で発現した遺伝子産物をプロファイリングし、細胞表現型の変化をモニターし、かつ哺乳類細胞内のタンパク質-タンパク質相互作用のネットワークを分析できるようになる。
実際に、本発明を用いた細胞内のペプチド-発現ライブラリーの高処理能力トランスフェクションによって、本発明者らは、特異的なタンパク質-タンパク質相互作用を阻害するペプチドの同定に成功し、かつ該ペプチドを用いたネットワーク経路の分析が可能になった。
【0010】
(発明を実施するための最良の形態)
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、固形支持体上の複数の乾燥スポットで占められたDNAアレイに関し、乾燥スポットは(1)細胞中に導入されるプラスミドDNA、(2)トランスフェクション試薬、及び(3)細胞接着タンパク質から成る。
固形支持体として、ガラス板、プラスチック板及びシリコン板が挙げられ、ガラス板が好ましい。ガラス板をポリ-L-リジン溶液で処理してよい。
細胞接着タンパク質(3)として、フィブロネクチン、プロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン及びコラーゲン等が挙げられ、フィブロネクチンとプロネクチンが好ましい。
トランスフェクション試薬(2)として、カチオン性脂質、デンドリマー及びリン酸カルシウム等が挙げられ、カチオン性脂質とデンドリマーが好ましい。カチオン性脂質の例としてLipofectamineTM(Invtrogen Co., Carlsbad, CA, USA)、TransfectamTM(Promega Co., Madison, WI, USA)、TfxTM-20(Promega Co., Madison, WI, USA)及びEffecteneTM(QIAGEN Co., Valencia, CA, USA)のようなポリアミンベースポリマー、及びJet PETTM(PolyPlus-tranfection, Cedex, France)及びExGenTM 500(FERMENTAS Inc., Hanover, MD, USA)のようなポリイミドベースポリマーが挙げられる。これらは商業的に入手可能である。
本発明で用いるデンドリマーは、分子の中心から樹枝状に分岐しており、かつ末端に正に荷電したアミノ基を有し、DNAの負に荷電したリン酸基と相互作用するポリアミドアミンである。結果として、DNAはコンパクトに凝縮され、この複合体がエンドサイトーシスによって細胞中に取り込まれる。商業的に入手可能なデンドリマーの例としてPolyFectTM試薬(QIAGEN)及びSuperFectTM試薬(QIAGEN)が挙げられる。
【0011】
細胞中に導入されるプラスミドDNA(1)は、ランダムに選択されるcDNAと、発現ベクター内にコード領域を有するゲノムDNAを含む。好ましい例として、遺伝子を過剰発現するためのプラスミド及び遺伝子をノックアウトするためのプラスミドが挙げられる。更に、プラスミドDNA(1)は、マーカータンパク質をコードするリポーター遺伝子を含みうる。マーカータンパク質の例は、強化グリーン蛍光タンパク質(EGFP)、レッド蛍光タンパク質(RFP)、ルシフェラーゼ、分泌アルカリ性ホスファターゼ(SEAP)及びβ-ガラクトシダーゼであり、EGFP及びRFPが望ましい。pEGFP(Clontech)、pDsRed2(Clontech)、pTimer(Clontech)等のような商業的に入手可能なプラスミドベースベクターを使用できる。
固形支持体上の乾燥スポットは、(1)細胞に導入されるプラスミドDNA、(2)トランスフェクション試薬及び(3)細胞接着タンパク質の混合物を固形支持体上にスポットし、かつこのスポットした混合物を固形支持体の表面上で、空気中又は真空中乾燥させることによって得られる。
スポットの大きさと形は特に限定されない。例えば、スポットの直径は約0.01〜約5mmでよく、上記から考えられるスポットの形は、おそらく円形である。乾燥スポットの厚さは、特に限定されず、厚さの範囲は約1〜約100μmでよい。
スポットの数は特に限定されず、約1〜約10,000個でよい。各スポットが発現ベクター中の異なる種類の遺伝子を含むことが好ましい。各スポットは、好ましくは例えば、テフロン(登録商標)のような疎水性ラインで各スポットを分割することによって、隣接スポットと隔離されている。各乾燥スポットは、好ましくは(1)約100pg/mm2〜約1μg/mm2、好ましくは約2〜約200ng/mm2の、細胞中に導入されるプラスミドDNA、(2)約0.01〜約10μg/mm2、好ましくは0.1〜1μg/mm2のトランスフェクション試薬、(3)約0.01〜約10μg/mm2、好ましくは0.1〜約1μg/mm2の細胞接着タンパク質を含有する。
【0012】
本発明のDNAアレイは、細胞中に導入されるプラスミドDNAと、トランスフェクション試薬と、細胞接着タンパク質とを含んでなるDNA含有混合物を調製し、このDNA含有混合物を複数の規定位置内の固形支持体の表面上にスポットし、この固形支持体の表面上のDNA含有混合物を乾燥させることによって得られ、こうして複数の分離している規定位置の表面にプラスミドDNA含有混合物が貼り付けられる。
細胞中に導入されるプラスミドDNAは、例えば、組換え大腸菌細胞から調製する。細胞接着タンパク質は、例えば、組換え大腸菌細胞又はヒト/ブタ組織の抽出及び精製から得る。トランスフェクション試薬として、上述した商業的に入手可能な製品を使用できる。
DNA含有混合物中のプラスミドDNAの濃度は、約0.01〜約5μg/μl、好ましくは約0.05〜約0.5μg/μlである。DNA含有混合物中のトランスフェクション試薬の濃度は、約0.01〜約20μg/μl、好ましくは0.1〜1μg/μlである。更に、DNA含有混合物中の細胞接着タンパク質の濃度は、約0.01〜約5μg/μl、好ましくは0.1〜1μg/μlである。
【0013】
上述したDNA混合物からの乾燥スポットの調製はインク-ジェット型スポッター(spotter)又はピン-アレイ型スポッターで固形支持体の表面上にスポットした後、空気中又は真空中で乾燥させることによって行う。
本発明の固相トランスフェクション法では、上記のようにDNAアレイを調製後、その上に細胞を塗布することによってDNAアレイの表面上の細胞の供給を行う。1つの乾燥スポット上に供給する細胞の数は細胞型によって決まり、好ましくは約1〜10,000、更に好ましくは約50〜1,000である。
DNAアレイの乾燥スポット上に供給された細胞が接着タンパク質の助けを借りて各スポットの表面上に接着されてから、固形支持体の表面に貼り付いたプラスミドDNAが、トランスフェクションが起こるのに適した条件下で細胞に入る。
本発明の固相トランスフェクション法は、スポット内の細胞接着タンパク質が、細胞がスポット上に固着するのを助けるので、スポットの間のクロス-コンタミネーションを最小限にできることを特徴とする。
【0014】
更に、本発明は、遺伝子プロファイリング方法であって、プリントされた固形支持体の表面上に細胞を塗布する工程、トランスフェクションが起こるのに適した条件下で固形支持体を維持する細胞中にプラスミドDNAを導入する工程、細胞内の発現ベクターに挿入された遺伝子を発現させる工程、及びトランスフェクトされた細胞内のタンパク質を検出するか、又はトランスフェクトされた細胞に由来する細胞表現型をモニターする工程を含む方法に関する。
本発明の遺伝子プロファイリングでは、細胞内で発現されるタンパク質のレベルは、蛍光顕微鏡を用いて所望の波長でモニターする。例えば、強化グリーン蛍光タンパク質及びレッド蛍光タンパク質は、それぞれ488及び558nmで最高に励起し、次いで509及び583nmの最大蛍光波長で検出される。一方では、トランスフェクトされた細胞に由来する細胞表現型をモニターするため、例えば、位相差顕微鏡とヨウ化プロピオジウムによる核染色を用いて観察しながら細胞死を検出する。
本発明の遺伝子プロファイリングでは、例えば、ペプチドのスクリーニングは、遺伝子の発現の際の細胞死をモニターして、細胞増殖に必須の遺伝子産物を抑制することによって行う。例えば、標的遺伝子の一部をコードするペプチドライブラリーの発現は、遺伝子産物の特異的機能を抑制するために適用できる。
【0015】
(実施例)
以下、実施例を参照して本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されない。
(実施例1)
トランスフェクション試薬の代表例はカチオン性脂質であり、TfxTM-20(Promega Co., Madison, WI, USA)及びEffecteneTM(QIAGEN Co., Valencia, CA, USA)が挙げられる。両トランスフェクション試薬は、カチオン性脂質内でプラスミドDNAを凝縮かつ包む。プラスミドDNAとトランスフェクション試薬の複合体が細胞膜と融合してからプラスミドDNAが細胞の内側に入る。
以下のようにガラス板を調製した:スライドガラス(7cm×2.5cm)に1mmのテフロン(登録商標)ラインで区別した80個の正方形(2mm×2mm)の印を付けた。スライドガラスを1時間水酸化アンモニウム溶液(Aldrich, Milwaukee, WI, USA)内でのインキュベーションによって処理し、蒸留水で洗浄した。次に、ガラス板をポリ-L-リジン溶液(10%(v/v)ポリ-L-リジン溶液(Sigma, St. Louis, MO, USA)及び10%(v/v)リン酸緩衝食塩水)中で1時間インキュベートし、蒸留水で洗浄した。ガラス板を空気乾燥させ、使用するまでデシケーター内で貯蔵した。
【0016】
プラスミド試料(pEGFP-N1;Clontech, U.S. Palo Alto, CA)1μl(蒸留水中0.5μg/μl)をガラス板上にスポットした。室温で乾燥させることによってプラスミドをプリントした。DNA/カチオン性脂質複合体形成のため、プリントしたDNA試料を希釈したTfxTM-20トランスフェクション試薬に5分間室温でトランスフェクション直前までさらした。TfxTM-20トランスフェクション試薬の希釈溶液は、100μMのN,N,N',N'-テトラメチル-N,N'-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジ(オレオイルオキシ)-1,4-ブタンジアンモニウムヨウ化物を含む。
37℃で予熱した25mlのDMEM中、7×105個の細胞を懸濁させた。この細胞懸濁液を、中にDNAプリントガラス板を置いた各100-mm組織培養皿中に注いだ。加湿した5%CO2雰囲気内、37℃で72時間細胞をインキュベートした。ガラス板上のEGFP-発現細胞の蛍光顕微鏡画像を光学カメラシステム(Zeiss)で撮った。トランスフェクション効率は、下記式で計算した:トランスフェクション効率=(トランスフェクトされた細胞の数/全細胞数)×100(%)。
写真画像中のトランスフェクトされた細胞と全細胞は手動で数えて計算に用いた。各ガラス板上のクロス-コンタミネーション頻度は下記式によって計算した:クロス-コンタミネーション頻度(%)=(プリントしたDNAのない正方形上のトランスフェクトされた細胞の数/プリントしたDNAを含有する隣接正方形上のトランスフェクトされた細胞の数)×100(%)。8測定の平均値を用いて頻度を評価した。
【0017】
固相トランスフェクション効率は、DNA/カチオン性脂質の比に感受性であることが分かった(図1)。トランスフェクション効率は、DNA-対-カチオン性脂質比を5μgDNA/nmolカチオン性脂質まで増やすと向上した。過剰量のカチオン性脂質の添加は、Hela細胞の接着と成長を阻害し、結果としてトランスフェクション効率のレベル低下となった。所定表面積当たりのDNA/カチオン性脂質の絶対濃度もHela細胞のトランスフェクション効率に影響を与えた。0.13μg/mm2のDNA濃度で最高のトランスフェクション効率が得られた。より低いDNA濃度はトランスフェクション効率を下げた。0.13μg/mm2より高いDNA濃度は、格子上に過剰量のカチオン性脂質が存在するため細胞の接着と成長を阻害した。上述した最適化プロトコルを用いて最高のトランスフェクション効率は5%だった(表1)。しかし、平均クロス-コンタミネーション頻度は44%だった(表1)。
【0018】
【表1】

【0019】
次に、pEGFP-N1(60ng/μl)をポリ-L-リジンコートスライドガラス上にプリントした。同時に、対照としてpEGFP-N1(60ng/μl)とヒトフィブロネクチン(0.8μg/μl, Nakarai, Tokyo, Japan)の両方をプリントしたスライドガラスを調製した。プリントしたDNA試料を、300μlのEC緩衝液、16μlのエンハンサー及び60μlのEffecteneトランスフェクション試薬(QIAGEN Co)を含有する混合物にさらした。スライドガラス上にHela細胞懸濁液を塗布してから、72時間のインキュベーション後トランスフェクトされた細胞内のEGFPの蛍光をモニターした。pEGFP-N1のみを含有するスポット内ではトランスフェクション効率が2%かつクロス-コンタミネーションが40%だったが、pEGFP-N1とフィブロネクチンの両方を含有するスポット内ではトランスフェクション効率が32%に上昇し、クロス-コンタミネーションが5%に減少した(表1は、媒介物質としてTfx-20カチオン性脂質(リポソーム)、Tfx-20+フィブロネクチン、Polyfect(デンドリマー)、及びPolyfect+フィブロネクチンを用いた固相トランスフェクションシステムの比較を示す)。フィブロネクチンのDNAへの添加は、トランスフェクション効率を高め、かつクロス-コンタミネーションを最小化するために非常に効率的だった。
【0020】
(実施例2)
PolyFectTMトランスフェクション試薬(QIAGEN Co.)は分子の中心から分岐しており、かつ分岐末端に正に荷電したアミノ基を有し、DNAのリン酸基と相互作用する活性デンドリマー分子で構成されている。PolyFectTM試薬は、エンドサイトーシスで細胞中に容易に取り込まれるコンパクト形態にDNAを凝縮させる。
DNAプリント混合物(マイナスフィブロネクチン)内のDNA/PolyFect比を調べて最高のトランスフェクション効率を得た(図2)。過剰な1.0μg/mm2のPolyFect濃度ではHela細胞の接着と成長の阻害が観察された。0.5μg/mm2のPolyFectでは、0.1〜0.4μg/mm2のDNAを用いて比較的高いトランスフェクション効率が観察された。より多いか又は少ないPolyFect濃度は、おそらく表面上の過電荷の存在及び/又はHela細胞トランスフェクションのDNA/デンドリマー複合体の非最適粒子サイズのため、相対的に低いトランスフェクション効率をもたらした。最適なDNA/PolyFect比の範囲内では最大トランスフェクション効率は3%だった(表1)。しかし、平均クロス-コンタミネーション頻度は受け入れることができないレベルの28%だった(表1)。
デンドリマー媒介固相トランスフェクションの効率は、フィブロネクチンの添加によって劇的に向上した(図3)。フィブロネクチンの添加は、クロス-コンタミネーション頻度をほとんど完全に排除した。0.25μg/mm2のフィブロネクチンでのクロス-コンタミネーションの平均頻度は1%だった(表1)。トランスフェクション効率とクロス-コンタミネーション頻度に及ぼすフィブロネクチンの効果は、フィブロネクチンは上皮細胞付着因子なので、おそらくHela細胞の接着の促進が原因である。
【0021】
(実施例3)
カチオン性脂質媒介及びデンドリマー媒介固相トランスフェクションシステムのDNAプリント及び複合体形成手順は異なる。カチオン性脂質媒介固相トランスフェクション手順では、まずDNAをプリントしてからDNA/カチオン性脂質複合体を固形ガラス支持体上に形成した。カチオン性脂質にDNAをさらす物理的プロセスは、おそらく隣接格子位置間のDNAのクロス-コンタミネーションの機会を増やした。
対照的に、デンドリマー媒介固相トランスフェクションの場合、DNA/デンドリマー複合体を直接ガラス板上にプリントする。これは、カチオン性脂質媒介システムより簡単なプロセスであり、かつクロス-コンタミネーションの機会を減らす。実際、デンドリマー媒介システムのクロス-コンタミネーションの平均頻度はカチオン性脂質媒介システムより低かった(表1)。この結果は、デンドリマー媒介システムは、高処理能力のトランスフェクションシステムによく適合することを示唆している。デンドリマー媒介システムでフィブロネクチンの使用は、高処理能力の固相トランスフェクションで使う高密度DNAアレイの設計を可能にする。
【0022】
(実施例4)
デンドリマー/フィブロネクチン媒介固相トランスフェクションシステムに基づいてコンパクトDNAアレイを開発した(図4)。パターンの密度はスライドガラス(7cm×2.5cm)上に800個のプラスミド試料のプリントを可能にする。2倍高い密度は、遺伝子選択研究で有用である、1格子当たりの統計的に有意な数の接着及び/又は形質転換細胞を与えないことに留意すべきである。40ngのpEGFP-pep(実施例5で詳述する)、0.2μgのフィブロネクチンを含有する0.5μlのDNAプリント混合物を各正方形内にスポットした。スライドグラス上にHela細胞を塗布後、25μlの遺伝子発現インデューサー(2mg/mlのドキシサイクリン)を細胞懸濁液中に添加した。細胞はガラス板上に非常によく接着した(図4(b))。DNAをプリントした領域内で、EGFPを発現したトランスフェクト細胞が観察された(図4(c))。トランスフェクション効率は10.5%だった。
【0023】
EGFP発現ベクター(pEGFP-N1)とレッド蛍光タンパク質(RFP)発現ベクター(pDsRed1ベクター、Clontech, Palo Alto CA)を用いてコンパクトアレイシステムのクロス-コンタミネーションを調べた(図5)。コンパクトアレイ用に最適化したpEGFP及びpDsRed1のDNAプリント混合物を図5(a)に示されるようにスポットした。図5(b)に示されるように、Hela細胞は、ガラス表面上及び格子を分離して印をつける疎水性ラインの上に接着した。pEGFPがプリントされた正方形内でEGFP発現細胞が密に観察された(図5(c))。RFP発現細胞は、pDsRed1がプリントされた正方形内でのみ観察された(図5(d))。この実験セットでは、EGFP発現細胞とRFP発現細胞間のクロス-コンタミネーションはなかった。この実例は、コンパクトアレイシステム用に開発したデンドリマー媒介固相トランスフェクションが精密な遺伝子選択に適用できることを示している。
【0024】
(実施例5)
pTRE2ベクター(Clontech Col.)は、TRE(テトラサイクリン応答要素)と共にCMVプロモーターを含む(CMVプロモーターの制御下では遺伝子発現のためドキシサイクリン又はテトラサイクリンのどちらかの添加が必要である)。ペプチド-EGFP融合タンパク質発現ベクター、pEGFP-pepは、XbaIによる消化で調製したEGFPをコードする0.8kbの断片を有するXbaIで消化したpTRE2の3.8kbの断片の連結によって構築した。プラスミドコーディングランダム化ペプチドEGFP融合タンパク質は、プライマー伸長法に基づいて調製した:
鋳型DNA(5'-AAACCGCGGATGTGTAAACGGCGGCAGACCAGCGCTACAGATTTCTACCACTCCARRARRARRDTADTATWTTCCTGCGGATCGATAAA-3')を10分間94℃で変性させ、TE緩衝液内で一晩中4℃でプライマーDNA(5'-TTTATCGATCCGCA-3')とアニールした。アニールしたDNA試料のプライマー伸長反応は、10μg/mlのDNAs、100単位/mlのクレノウ断片(New England Biolabs, Beverly, MA, USA)、10mMのTris-HCl(pH 7.5)、5mMのMgCl2、7.5mMのジチオスレイトールの存在下37℃で30分間行った。反応生成物をSacIIとClaIで消化してからQIAquick PCR精製キット(QIAGEN, Valencia, CA, USA)で精製した。SacII-ClaI断片をpEGFP-pep中のSacII-ClaI部位にクローン化した。大腸菌XL1-blue内でクローン化したプラスミドをQIAprepキット(QIAGEN, Valencia, CA, USA)で精製し、かつ蒸留水でQIAprepカラムから溶出した。蒸留水で希釈して、カチオン性脂質媒介トランスフェクションでは0.5μg/μl、デンドリマー媒介トランスフェクションでは0.2μg/μlに各プラスミド溶液の濃度を調整し、固相トランスフェクション実験に使用した。ここで構築された偏りのあるプラスミドライブラリーはp21waf1/cip1 G1細胞周期チェックポイントタンパク質(Toyashima, H.及びHunter T.:Cell, 78, 67-74, 1994)から設計したCDK-サイクリン結合ペプチド誘導体をコードする。プラスミドライブラリーをガラス板上にプリントした(80正方形,2mm×2mm)。
図6は、14個のプラスミドからの増殖性インヒビターペプチドの遺伝子選択の例の結果を示す。実施例4で示したとおりの固相トランスフェクション後、細胞をパラホルムアルデヒド溶液(PBS緩衝液中4%)に室温で15分間さらして固定した。次いで細胞を0.5%Triton X-100に30秒間さらし、PBS緩衝液で2回洗浄した。画像ベース選択では、細胞をヨウ化プロピジウム(PI)溶液(1mlのPBS緩衝液につき20μg/mlのPI、200μgのリボヌクレアーゼA)に室温で30分間さらすことによってPIで染色した。EGFP発現細胞では、重複細胞(S、M及びG2期を含む)と定義されるマイクロコロニーとG1細胞を数えた。トランスフェクトされた細胞の数は、おそらくDNAプリント条件のわずかな差のため各正方形で可変であるが(図6a)、pEGFP-pepプリント領域上のマイクロコロニーの頻度は15%であり、負のペプチドコーディングベクターでプリントした領域上のマイクロコロニーの頻度は10〜20%の範囲内だった(図6b)。しかし、正のペプチドコーディングベクター(#11)についての頻度は5%であり、正対照格子(pEGFP-p21 pep)の観察された6%頻度と同様だった。これら実施例は、アレイ上のトランスフェクトされた細胞は、発現ペプチドの影響でその表現型を変えたことを示している。原理研究の上記証拠は、トランスフェクションアレイシステムが、哺乳類細胞による高処理能力の遺伝子選択の新規かつ強力な手段であることを示唆している。
【0025】
(産業上の利用可能性)
本発明は、ゲノム配列決定期間後の最も重要な主題である遺伝子ネットワーク分析に適用できる。一度遺伝子ネットワークのデータベースが構築されると、その価値は、薬物発見、メディケア、診断及び食品産業への適用に非常に基礎を置いている。更に、遺伝子ネットワークデータベースに基づいた契約サービスも大いに可能である。
本発明を用いて、タンパク質-タンパク質相互作用を特異的に阻害するアプタマー又はペプチドを同定することができる。それらは、医薬、診断試薬又は研究ツール用試薬の候補の可能性がある。特に、ペプチドの配列に基づいてペプチド-ミメチックス又は低分子量化合物を合成することができ、病気の治療又は予防のための薬物の候補になるだろう。
更に、本発明は、薬物発見用の新しい標的を見つけるための新規ツールを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】種々のプラスミドDNA(pEGFP-N1)/カチオン性脂質(Tfx-20)比における固相トランスフェクション効率を示し、横軸はプラスミドDNA対カチオン性脂質の比(μg/nmol)を示し、縦軸は、グリーン蛍光タンパク質(GFP)の蛍光として検出され、下記式で計算されるトランスフェクション効率を示す: (トランスフェクトされた細胞の数/規定位置内の全細胞の数)×100。
【図2】プラスミドDNAとデンドリマーの種々の濃度及び比でのトランスフェクション効率の結果を示す。
【図3】デンドリマー媒介固相トランスフェクションのトランスフェクション効率に及ぼすフィブロネクチンの影響の結果を示す。
【図4】コンパクトアレイ上のデンドリマー媒介固相トランスフェクションの結果を示し、(a)はアレイパターンの模式図であり、1.3mm×1.3mmの正方形が0.4mmの疎水性インクの線で隔離して印をつけられており、(b)は正方形上に接着したHela細胞を示し、(c)は(b)のHela細胞の強化グリーン蛍光タンパク質(EGFP)蛍光画像を示す。
【図5】デンドリマー媒介固相トランスフェクションに基づいたコンパクトトランスフェクションアレイシステム上のレッド蛍光タンパク質(RFP)発現ベクターの遺伝子選択の結果を示し、(a)はアレイパターンの模式図であり、グリーン、pEGFPがプリントされ;レッド、pDsRed1がプリントされ、(b)はアレイ上に接着したHela細胞を示し、(c)はEGFP/RFP画像を示し、(d)は(b)のHela細胞のRFP画像を示す。
【図6】デンドリマー媒介固相トランスフェクションシステムを用いた増殖性インヒビターペプチドの遺伝子選択の結果を示し、(a)はpEGFP-pepライブラリーアレイ上のマイクロコロニー数(スラッシュを入れた棒)と単細胞数(黒塗り棒)の結果を示し、(b)は各試料中のマイクロコロニーの頻度の結果を示し、pEGFP-pep及びpEGFP-p21 pepは、それぞれ負対照及び正対照である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形支持体上に複数の乾燥スポットを含むトランスフェクション用DNAアレイであって、前記乾燥スポットが、(1)細胞中に導入されるプラスミドDNA、(2)トランスフェクション試薬及び(3)細胞接着タンパク質を含むことを特徴とする、DNAアレイ。
【請求項2】
前記(3)細胞接着タンパク質が、フィブロネクチンである、請求項1のDNAアレイ。
【請求項3】
前記(2)トランスフェクション試薬が、カチオン性脂質及びデンドリマーから成る群より選択される、請求項1のDNAアレイ。
【請求項4】
前記(1)細胞中に導入されるプラスミドDNAが、更にリポーター遺伝子を含む、請求項1のDNAアレイ。
【請求項5】
請求項1のDNAアレイの製造方法であって、以下の工程、
(d)細胞中に導入されるプラスミドDNAと、トランスフェクション試薬と、細胞接着タンパク質とを含むDNA含有混合物を調製する工程、
(e)固形支持体表面上の複数の規定位置内に前記DNA含有混合物をスポットする工程、
(f)前記固形支持体表面上の前記DNA含有混合物を乾燥させる工程、
を含む方法。
【請求項6】
請求項1のDNAアレイの製造用試薬キットであって、(1)細胞中に導入されるプラスミドDNA、(2)トランスフェクション試薬、及び(3)細胞接着タンパク質を含むことを特徴とするキット。
【請求項7】
固相トランスフェクション方法であって、以下の工程、
(a)請求項1のDNAアレイの表面上に細胞を塗布する工程、及び
(b)前記DNAアレイと細胞を、トランスフェクションが効率的に進行するのに適した条件下で維持する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
固相トランスフェクション方法であって、以下の工程、
(a)細胞中に導入されるプラスミドDNAと、トランスフェクション試薬と、細胞接着タンパク質とを含んでなるDNA含有混合物を調製する工程、
(b)固形支持体表面上の複数の規定位置内に前記DNA含有混合物をスポットする工程、
(c)前記固形支持体表面上の前記DNA含有混合物を乾燥させる工程、
(d)前記固形支持体表面上に細胞を塗布する工程、及び
(e)前記固形支持体と細胞を、トランスフェクションが効率的に進行するのに適した条件下で維持する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記細胞接着タンパク質が、フィブロネクチンである、請求項8の固相トランスフェクション方法。
【請求項10】
前記トランスフェクション試薬が、デンドリマーである、請求項9の固相トランスフェクション方法。
【請求項11】
固相トランスフェクション方法であって、以下の工程、
(a)細胞中に導入されるプラスミドDNAと、細胞接着タンパク質とを含むDNA含有混合物を調製する工程、
(b)固形支持体表面上の複数の規定位置内に前記DNA含有混合物をスポットする工程、
(c)前記固形支持体表面上の前記DNA含有混合物を乾燥させる工程、
(d)工程(c)の乾燥したDNA含有混合物を、トランスフェクション試薬を含有する溶液にさらす工程、
(e)前記固形支持体表面上に細胞を塗布する工程、及び
(e)前記固形支持体と細胞を、トランスフェクションが効率的に進行するのに適した条件下で維持する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記細胞接着タンパク質が、フィブロネクチンである、請求項11の固相トランスフェクション方法。
【請求項13】
前記トランスフェクション試薬が、カチオン性脂質である、請求項12の固相トランスフェクション方法。
【請求項14】
細胞内での遺伝子プロファイリング方法であって、以下の工程、
(a)請求項1のDNAアレイの表面上に細胞を塗布する工程、
(b)プラスミド上に接着した前記細胞を、細胞増殖に適した条件下で維持する工程、
(c)細胞内のトランスフェクトされた遺伝子を発現させる工程、及び
(d)外因的に生成されるタンパク質をモニターし、かつ前記タンパク質の発現に起因する細胞表現型の変化を検出する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
ネットワーク分析、薬物発見用の種化合物のスクリーニング、及び新規診断マーカーの発見のために使用される請求項8の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−511229(P2006−511229A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565418(P2004−565418)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2003/039584
【国際公開番号】WO2004/061111
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(593052785)ザ スクリップス リサーチ インスティテュート (91)
【Fターム(参考)】