説明

高分子化合物及びそれを用いた有機光電変換素子

【課題】長波長の光の吸光度が高い高分子化合物を提供する。
【解決手段】式(A)と式(B)で表される繰り返し単位とを含む高分子化合物。


〔式(A)及び式(B)中、X及びXは、同一又は相異なり、窒素原子又は=CH−を表す。Yは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R)−又は−CR=CR−を表す。R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。Wは、シアノ基、フッ素原子を有する1価の有機基又はハロゲン原子を表す。Wは、シアノ基、フッ素原子を有する1価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。Q及びRは、同一又は相異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物及びそれを用いた有機光電変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機半導体材料は、有機太陽電池、光センサー等の有機光電変換素子への適用が期待されている。中でも、有機半導体材料として高分子化合物を用いれば、安価な塗布法で機能層を作製することができる。有機光電変換素子の諸特性を向上させるために、様々な高分子化合物である有機半導体材料を有機光電変換素子に用いることが検討されている。有機半導体材料として、例えば、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジボロン酸エステルと5,5’’’’−ジブロモ−3’’,4’’−ジヘキシル−α−ペンタチオフェンとを重合した高分子化合物が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−529596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記高分子化合物は、長波長の光の吸収が十分でないという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は長波長の光の吸光度が高い高分子化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は第一に、式(A)で表される繰り返し単位と式(B)で表される繰り返し単位とを含む高分子化合物を提供する。

〔式(A)及び式(B)中、X及びXは、同一又は相異なり、窒素原子又は=CH−を表す。Yは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R)−又は−CR=CR−を表す。R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。Wは、シアノ基、フッ素原子を有する1価の有機基又はハロゲン原子を表す。Wは、シアノ基、フッ素原子を有する1価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。Q及びRは、同一又は相異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基又は式(2)で表される基を表す。これらの基に含まれる水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。複数個あるQは、同一でも相異なっていてもよい。
複数個あるRは、同一でも相異なっていてもよい。

(2)
(式(2)中、m1は、0〜6の整数を表し、m2は、0〜6の整数を表す。R’は、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。)〕
【0007】
本発明は第二に、式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物を提供する。

(1)
〔式(1)中、X及びXは、同一又は相異なり、窒素原子又は=CH−を表す。Yは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R)−又は−CR=CR−を表す。
、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。Wは、シアノ基、フッ素原子を有する1価の有機基又はハロゲン原子を表す。Wは、シアノ基、フッ素原子を有する1価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。Q及びRは、同一又は相異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基又は式(2)で表される基を表す。これらの基に含まれる水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。複数個あるQは、同一でも相異なっていてもよい。複数個あるRは、同一でも相異なっていてもよい。

(2)
(式(2)中、m1は、0〜6の整数を表し、m2は、0〜6の整数を表す。R’は、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。)〕
【0008】
本発明は第三に、式(1)で表される繰り返し単位、または式(A)で表される繰り返し単位と式(B)で表される繰り返し単位とに加え、さらに式(3)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物を提供する。

(3)
〔式(3)中、Q及びRは、同一又は相異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基又は式(2)で表される基を表す。これらの基に含まれる水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。複数個あるQは、同一でも相異なっていてもよい。複数個あるRは、同一でも相異なっていてもよい。

(2)
(式(2)中、m1は、0〜6の整数を表し、m2は、0〜6の整数を表す。R’は、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。)〕
【0009】
本発明は第四に、一対の電極と、該電極間に設けられた機能層とを有し、該機能層が電子受容性化合物と前記高分子化合物とを含む有機光電変換素子を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の高分子化合物は、長波長の光の吸光度が高いため、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】高分子化合物1の吸収スペクトルを示す図である。
【図2】高分子化合物2の吸収スペクトルを示す図である。
【図3】高分子化合物3の吸収スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
<高分子化合物>
本発明の高分子化合物は、式(A)で表される繰り返し単位と式(B)で表される繰り返し単位とを含む。

〔式(A)及び式(B)中、X及びXは、同一又は相異なり、窒素原子又は=CH−を表す。Yは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R)−又は−CR=CR−を表す。R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。Wは、シアノ基、フッ素原子を有する1価の有機基又はハロゲン原子を表す。Wは、シアノ基、フッ素原子を有する1価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。Q及びRは、同一又は相異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基又は式(2)で表される基を表す。これらの基に含まれる水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。複数個あるQは、同一でも相異なっていてもよい。
複数個あるRは、同一でも相異なっていてもよい。

(2)
(式(2)中、m1は、0〜6の整数を表し、m2は、0〜6の整数を表す。R’は、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。)〕
【0014】
は、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R)−又は−CR=CR−を表す。
【0015】
〜Rで表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていても良いアリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミド基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。
【0016】
ここで、アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、環状であってもよい。アルキル基の炭素数は、通常1〜30である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
【0017】
アルコキシ基のアルキル部分は、直鎖状でも分岐状でもよく、環状であってもよい。アルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アルコキシ基の炭素数は、通常1〜20であり、置換基としては、ハロゲン原子及びアルコキシ基(例えば、炭素数1〜20)が挙げられる。置換基を有していてもよいアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基及び2−メトキシエチルオキシ基が挙げられる。
【0018】
アルキルチオ基のアルキル部分は、直鎖状でも分岐状でもよく、環状であってもよい。
アルキルチオ基は、置換基を有していてもよい。アルキルチオ基の炭素数は、通常1〜20であり、置換基としては、ハロゲン原子が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基及びトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
【0019】
アリール基とは、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子1個を除いた基を意味し、その炭素数は通常6〜60である。アリール基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子及びアルコキシ基(例えば、炭素数1〜20)が挙げられる。置換基を有していてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基及びペンタフルオロフェニル基が挙げられる。C1〜C12アルコキシフェニル基の中で、好ましい態様はC1〜C8アルコキシフェニル基であり、より好ましい態様はC1〜C6アルコキシフェニル基である。C1〜C8アルコキシ及びC1〜C6アルコキシの具体例としては、上記アルコキシ基に関して例示したアルコキシの中の、C1〜C8及びC1〜C6のものが挙げられる。
【0020】
アリールオキシ基は、その炭素数が通常6〜60であり、アリール部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子及びアルコキシ基(例えば、炭素数1〜20)が挙げられる。置換基を有していてもよいアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基及びペンタフルオロフェノキシ基が挙げられる。
【0021】
アリールチオ基は、その炭素数が通常6〜60であり、アリール部分が置換基を有していてもよい。その置換基としては、ハロゲン原子及びアルコキシ基(例えば、炭素数1〜20)が挙げられる。置換基を有していてもよいアリールチオ基の具体例としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基及びペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられる。
【0022】
アリールアルキル基は、その炭素数が通常7〜60であり、アリール部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子及びアルコキシ基(例えば、炭素数1〜20)が挙げられる。置換基を有していてもよいアリールアルキル基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキル基が挙げられる。
【0023】
アリールアルコキシ基は、その炭素数が通常7〜60であり、アリール部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子及びアルコキシ基(例えば、炭素数1〜20)が挙げられる。置換基を有していてもよいアリールアルコキシ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基が挙げられる。
【0024】
アリールアルキルチオ基は、その炭素数が通常7〜60であり、アリール部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子及びアルコキシ基(例えば、炭素数1〜20)が挙げられる。置換基を有していてもよいアリールアルキルチオ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基が挙げられる。
【0025】
アシル基とは、カルボン酸の−COOH中の水酸基を除いた基を意味し、その炭素数は通常2〜20である。アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、トリフルオロアセチル基等の炭素数2〜20のハロゲンで置換されていてもよいアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基等のハロゲンで置換されていてもよいフェニルカルボニル基が挙げられる。
【0026】
アシルオキシ基とは、カルボン酸の−COOH中の水素原子を除いた基を意味し、その炭素数は通常2〜20である。アシルオキシ基の具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基及びペンタフルオロベンゾイルオキシ基が挙げられる。
【0027】
アミド基とは、アミドから窒素原子に結合した水素原子1個を除いた基を意味し、その炭素数は通常2〜20である。アミド基の具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基及びジペンタフルオロベンズアミド基が挙げられる。
【0028】
イミド基とは、イミド(−CO−NH−CO−)から窒素原子に結合した水素原子1個を除いた基を意味し、具体例としては、スクシンイミド基、フタルイミド基が挙げられる。
【0029】
置換アミノ基とは、アミノ基の水素原子の1個又は2個が置換されたものであり、置換基は、例えば、アルキル基及び置換されていてもよいアリール基である。アルキル基及び置換されていてもよいアリール基の具体例は、Rで表されるアルキル基及び置換されていてもよいアリール基の具体例と同じである。置換アミノ基の炭素数は通常1〜40である。置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基が挙げられる。
【0030】
置換シリル基とは、シリル基の水素原子の1個、2個又は3個が置換されたもの、一般に、シリル基の3水素原子全てが置換されたものであり、置換基は、例えば、アルキル基及び置換されていてもよいアリール基である。アルキル基及び置換されていてもよいアリール基の具体例は、Rで表されるアルキル基及び置換されていてもよいアリール基の具体例と同じである。置換シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基及びジメチルフェニルシリル基が挙げられる。
【0031】
置換シリルオキシ基とは、上記の置換シリル基に酸素原子が結合した基である。置換シリルオキシ基の具体例としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリプロピルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基及びジメチルフェニルシリルオキシ基が挙げられる。
【0032】
置換シリルチオ基とは、上記の置換シリル基に硫黄原子が結合した基である。置換シリルチオ基の具体例としては、トリメチルシリルチオ基、トリエチルシリルチオ基、トリプロピルシリルチオ基、トリイソプロピルシリルチオ基、tert−ブチルジメチルシリルチオ基、トリフェニルシリルチオ基、トリ−p−キシリルシリルチオ基、トリベンジルシリルチオ基、ジフェニルメチルシリルチオ基、tert−ブチルジフェニルシリルチオ基及びジメチルフェニルシリルチオ基が挙げられる。
【0033】
置換シリルアミノ基とは、アミノ基の水素原子の1個又は2個が置換シリル基で置換されたものであり、該置換シリル基は上記の通りである。置換シリルアミノ基の具体例としては、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリプロピルシリルアミノ基、トリイソプロピルシリルアミノ基、tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、トリ−p−キシリルシリルアミノ基、トリベンジルシリルアミノ基、ジフェニルメチルシリルアミノ基、tert−ブチルジフェニルシリルアミノ基、ジメチルフェニルシリルアミノ基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ビス(トリエチルシリル)アミノ基、ビス(トリプロピルシリル)アミノ基、ビス(トリイソプロピルシリル)アミノ基、ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ基、ビス(トリフェニルシリル)アミノ基、ビス(トリ−p−キシリルシリル)アミノ基、ビス(トリベンジルシリル)アミノ基、ビス(ジフェニルメチルシリル)アミノ基、ビス(tert−ブチルジフェニルシリル)アミノ基及びビス(ジメチルフェニルシリル)アミノ基が挙げられる。
【0034】
複素環基としては、置換基を有していてもよいフラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、プラゾリジン、フラザン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、チオピラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン、トリアジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、クロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、キナゾリジン、シンノリン、フタラジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、キサンテン、フェナントリジン、アクリジン、β-カルボリン、ペリミジン、フェナントロリン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン等の複素環化合物から水素原子を1個除いた基が挙げられる。芳香族複素環基が好ましい。
【0035】
複素環オキシ基としては、上記の複素環基に酸素原子が結合した式(11)で表される基が挙げられる。複素環チオ基としては、上記の複素環基に硫黄原子が結合した式(12)で表される基が挙げられる。

(11) (12)
〔式(11)及び式(12)中、Arは複素環基を表す。〕
【0036】
複素環オキシ基は、その炭素数が通常4〜60である。複素環オキシ基の具体例としては、チエニルオキシ基、C1〜C12アルキルチエニルオキシ基、ピロリルオキシ基、フリルオキシ基、ピリジルオキシ基、C1〜C12アルキルピリジルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、ピラゾリルオキシ基、トリアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、チアゾールオキシ基及びチアジアゾールオキシ基が挙げられる。
【0037】
複素環チオ基は、その炭素数が通常4〜60である。複素環チオ基の具体例としては、チエニルメルカプト基、C1〜C12アルキルチエニルメルカプト基、ピロリルメルカプト基、フリルメルカプト基、ピリジルメルカプト基、C1〜C12アルキルピリジルメルカプト基、イミダゾリルメルカプト基、ピラゾリルメルカプト基、トリアゾリルメルカプト基、オキサゾリルメルカプト基、チアゾールメルカプト基及びチアジアゾールメルカプト基が挙げられる。
【0038】
アリールアルケニル基は、通常、その炭素数が8〜20であり、アリールアルケニル基の具体例としては、スチリル基が挙げられる。
【0039】
アリールアルキニル基は、通常、その炭素数が8〜20であり、アリールアルキニル基の具体例としては、フェニルアセチレニル基が挙げられる。
【0040】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0041】
として好ましくは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子であり、さらに好ましくは硫黄原子、酸素原子であり、特に好ましくは硫黄原子である。
【0042】
は、シアノ基、フッ素原子を有する1価の有機基又はハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0043】
フッ素原子を有する1価の有機基としては、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、フルオロアルキルチオ基、フルオロアリール基、フルオロアリールオキシ基、フルオロアリールチオ基などが挙げられる。
【0044】
フルオロアルキル基は、通常、炭素数1〜30のアルキル基の1以上の水素原子がフッ素原子で置換されたものであり、該アルキル基の具体例はRで表されるアルキル基の具体例と同じである。フルオロアルキル基の具体例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロエチル基、ペンタフルオロメチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基及びトリデカフルオロヘキシル基が挙げられる。
【0045】
フルオロアルコキシ基は、通常、炭素数1〜20のアルコキシル基の1以上の水素原子がフッ素原子で置換されたものであり、該アルコキシ基の具体例はRで表されるアルコキシ基の具体例と同じである。フルオロアルコキシ基の具体例としては、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロエトキシ基、ペンタフルオロメトキシ基、ヘプタフルオロプロポオキシ基、ノナフルオロブトキシ基及びトリデカフルオロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0046】
フルオロアルキルチオ基は、通常、炭素数1〜20のアルキルチオ基の1以上の水素原子がフッ素原子で置換されたものであり、該アルキルチオ基の具体例はRで表されるアルキルチオ基の具体例と同じである。フルオロアルキルチオ基の具体例としては、フルオロメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、ジフルオロエチルチオ基、ペンタフルオロメチルチオ基、ヘプタフルオロプロピルチオ基、ノナフルオロブチルチオ基及びトリデカフルオロヘキシルチオ基が挙げられる。
【0047】
フルオロアリール基は、通常、フェニル基又はナフチル基の1以上の水素原子がフッ素原子で置換されたものであり、フルオロアリール基の具体例としては、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、フルオロビフェニル基、ノナフルオロビフェニル基、フルオロナフチル基及びヘプタフルオロナフチル基が挙げられる。
【0048】
フルオロアリールオキシ基とは、上記のフルオロアリール基に酸素原子が結合した基である。フルオロアリールオキシ基の具体例としては、フルオロフェノキシ基、ジフルオロフェノキシ基、トリフルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、フルオロビフェニルオキシ基、ノナフルオロビフェニルオキシ基、フルオロナフチルオキシ基、ヘプタフルオロナフチルオキシ基が挙げられる。
【0049】
フルオロアリールチオ基とは、上記のフルオロアリール基に硫黄原子が結合した基である。フルオロアリールチオ基の具体例としては、フルオロフェニルチオ基、ジフルオロフェニルチオ基、トリフルオロフェニルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基、フルオロビフェニルチオ基、ノナフルオロビフェニルチオ基、フルオロナフチルチオ基及びヘプタフルオロナフチルチオ基が挙げられる。
【0050】
としては、好ましくはハロゲン原子であり、さらに好ましくはフッ素原子、塩素原子であり、特に好ましくはフッ素原子である。
【0051】
は、シアノ基、フッ素原子を有する1価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。フッ素原子を有する1価の有機基の定義、具体例は、Wで表されるフッ素原子を有する1価の有機基と同じである。
【0052】
は、好ましくはハロゲン原子であり、さらに好ましくはフッ素原子、塩素原子であり、特に好ましくはフッ素原子である。
【0053】
及びXは、同一又は相異なり、窒素原子又は=CH−を表す。好ましくは、X及びXの少なくとも一方が窒素原子であり、より好ましくは、X及びXが、窒素原子である。
【0054】
式(A)で表される繰り返し単位としては、式(1001)〜式(1240)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0055】















































【0056】
式(1001)〜式(1240)中、R、R及びRは前述と同じ意味を表す。式(1001)〜式(1240)で表される構造単位の中でも、光電変換効率を高める観点からは、好ましくは、式(1001)、式(1002)、式(1041)、式(1042)、式(1081)、式(1082)、式(1121)、式(1122)、式(1161)、式(1162)、式(1201)、式(1202)で表される構造単位であり、より好ましくは、式(1001)、式(1002)、式(1041)、式(1042)、式(1201)、式(1202)で表される構造単位であり、さらに好ましくは、式(1001)、式(1002)、式(1041)、式(1042)で表される構造単位であり、より好ましくは、式(1001)、式(1041)で表される構造単位であり、特に好ましくは、式(1001)で表される構造単位である。
【0057】
Q又はRで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−オクタデシル基が挙げられる。アルキル基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。フッ素原子で水素原子が置換されたアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基が挙げられる。
【0058】
Q又はRで表されるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が挙げられる。アルコキシ基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。フッ素原子で水素原子が置換されたアルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基が挙げられる。
【0059】
Q又はRで表されるアリール基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた原子団である。アリール基には、ベンゼン環を含む基、芳香族性を有する縮合環を含む基、2個以上のベンゼン環又は芳香族性を有する縮合環が直接結合した構造を有する基、2個以上のベンゼン環又は芳香族性を有する縮合環がビニレン等の基を介して結合した基などが含まれる。アリール基の炭素数は、6〜60であることが好ましく、6〜30であることがより好ましい。アリール基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が挙げられる。芳香族炭化水素が有していてもよい置換基としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルキル基、アルコキシ基が挙げられる。該アルキル基及びアルコキシ基の具体例は、Rで表されるアルキル基及びアルコキシ基の具体例と同じである。
【0060】
Q又はRで表されるヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい芳香族複素環式化合物から、水素原子1個を除いた原子団である。ヘテロアリール基としては、例えば、チェニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基が挙げられる。ヘテロアリール基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。芳香族複素環式化合物が有していてもよい置換基としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルキル基、アルコキシ基が挙げられる。該アルキル基及びアルコキシ基の具体例は、Rで表されるアルキル基及びアルコキシ基の具体例と同じである。
【0061】
式(2)で表される基において、m1は、0〜6の整数を表し、m2は、0〜6の整数を表す。R’は、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。R’で表されるアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の定義及び具体例は、Rで表されるアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の定義及び具体例と同じである。式(2)で表される基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
【0062】
Q又はRが、アルキル基又はアルコキシ基である場合、高分子化合物の溶媒への溶解性の観点からは、アルキル基又はアルコキシ基の炭素数が1〜20であることが好ましく、2〜18であることがより好ましく、3〜12であることがさらに好ましい。
【0063】
式(B)で表される繰り返し単位としては、例えば、下記繰り返し単位が挙げられる。

【0064】
本発明の高分子化合物に含まれる式(A)で表される繰り返し単位と式(B)で表される繰り返し単位の合計量は、該高分子化合物を含む機能層を有する有機光電変換素子の光電変換効率を高める観点からは、該高分子化合物が含有する繰り返し単位の合計量に対して、20〜100モル%であることが好ましく、30〜100モル%であることがより好ましい。
【0065】
本発明の高分子化合物の他の態様は、式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物である。

(1)
〔式(1)中、X、X、Y、W、W、Q及びRは、前述と同じ意味を表す。〕
【0066】
式(1)で表される繰り返し単位としては、例えば、以下の繰り返し単位が挙げられる。





【0067】
本発明の高分子化合物に含まれる式(1)で表される繰り返し単位の量は、該高分子化合物を含む機能層を有する有機光電変換素子の光電変換効率を高める観点からは、該高分子化合物が含有する繰り返し単位の合計量に対して、20〜100モル%であることが好ましく、30〜100モル%であることがより好ましい。
【0068】
本発明の高分子化合物は、さらに式(3)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。

(3)
〔式(3)中、Q及びRは、前述と同じ意味を表す。〕
【0069】
式(3)で表される繰り返し単位としては、例えば、以下の繰り返し単位が挙げられる。



【0070】
本発明の高分子化合物に含まれる式(3)で表される繰り返し単位の量は、該高分子化合物を含む機能層を有する有機光電変換素子の光電変換効率を高める観点からは、該高分子化合物が含有する繰り返し単位の合計量に対して、10〜80モル%であることが好ましく、20〜80モル%であることがより好ましい。
【0071】
本発明の高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは103〜108であり、より好ましくは103〜107であり、さらに好ましくは103〜106である。
本発明の高分子化合物において、式(1)で表される繰り返し単位の数と、式(3)で表される繰り返し単位の数との比は、好ましくは10:90〜90:10であり、より好ましくは20:80〜80:20である。
本発明の高分子化合物において、式(A)で表される繰り返し単位の数と、式(3)で表される繰り返し単位の数との比は、好ましくは10:90〜90:10であり、より好ましくは20:80〜80:20である。
本発明の高分子化合物において、式(B)で表される繰り返し単位の数と、式(3)で表される繰り返し単位の数との比は、好ましくは10:90〜90:10であり、より好ましくは20:80〜80:20である。
【0072】
本発明の高分子化合物は、共役系高分子化合物であることが好ましい。ここで、共役系高分子化合物とは、高分子化合物の主鎖を構成する原子が実質的に共役している化合物を意味する。
【0073】
本発明の高分子化合物は、式(A)で表される繰り返し単位、式(B)で表される繰り返し単位、式(1)で表される繰り返し単位、式(3)で表される繰り返し単位、以外の繰り返し単位を有していてもよい。該繰り返し単位としては、アリーレン基、ヘテロアリーレン基等が挙げられる。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ピレンジイル基、フルオレンジイル基等が挙げられる。ヘテロアリーレン基としては、フランジイル基、ピロールジイル基、ピリジンジイル基等が挙げられる。
【0074】
<高分子化合物の製造方法>
本発明の高分子化合物は、如何なる方法で製造してもよいが、例えば、用いる重合反応に適した官能基を有するモノマーを合成した後に、必要に応じて該モノマーを有機溶媒に溶解し、アルカリ、触媒、配位子等を用いた公知のアリールカップリング反応を用いて重合することにより合成することができる。前記モノマーの合成は、例えば、特開2006−182920号公報、特開2006−335933号公報に示された方法を参考にして行うことができる。
【0075】
アリールカップリング反応による重合は、例えば、Stilleカップリング反応による重合、Suzukiカップリング反応による重合、Yamamotoカップリング反応による重合、Kumada−Tamaoカップリング反応による重合が挙げられる。
【0076】
Stilleカップリング反応による重合は、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、パラジウムアセテート、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライドなどのパラジウム錯体を触媒として用い、必要に応じて、トリフェニルホスフィン、トリ(2−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(2-メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィノプロパン、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン等の配位子を添加し、有機スズ残基を有するモノマーと、臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を有するモノマー、又は、トリフルオロメタンスルホネート基、p-トルエンスルホネート基等のスルホネート基を有するモノマーとを反応させる重合である。Stilleカップリング反応による重合の詳細は、例えば、アンゲヴァンテ ケミー インターナショナル エディション(Angewandte Chemie International Edition),2005年,第44巻,p.4442−4489に記載されている。
【0077】
Suzukiカップリング反応による重合は、無機塩基又は有機塩基の存在下、パラジウム錯体又はニッケル錯体を触媒として用い、必要に応じて配位子を添加し、ボロン酸残基又はボロン酸エステル残基を有するモノマーと、臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を有するモノマー、又は、トリフルオロメタンスルホネート基、p-トルエンスルホネート基等のスルホネート基を有するモノマーとを反応させる重合である。
【0078】
無機塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸三カリウム、フッ化カリウムが挙げられる。有機塩基としては、例えば、フッ化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムが挙げられる。パラジウム錯体としては、例えば、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、パラジウムアセテート、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライドが挙げられる。ニッケル錯体としては、例えば、ビス(シクロオクタジエン)ニッケルが挙げられる。配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(2−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(2-メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィノプロパン、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィンが挙げられる。
【0079】
Suzukiカップリング反応による重合の詳細は、例えば、ジャーナル オブ ポリマー サイエンス:パート エー:ポリマー ケミストリー(Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry),2001年,第39巻,p.1533−1556に記載されている。
【0080】
Yamamotoカップリング反応による重合は、触媒と還元剤とを用い、ハロゲン原子を有するモノマー同士、トリフルオロメタンスルホネート基等のスルホネート基を有するモノマー同士又はハロゲン原子を有するモノマーとスルホネート基を有するモノマーとを反応させる重合である。
【0081】
触媒としては、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル等のニッケルゼロ価錯体とビピリジル等の配位子からなる触媒、[ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケルジクロライド、[ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケルジクロライド等のニッケルゼロ価錯体以外のニッケル錯体と、必要に応じ、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィノプロパン、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン等の配位子からなる触媒が挙げられる。還元剤としては、例えば、亜鉛、マグネシウムが挙げられる。Yamamotoカップリング反応による重合は、脱水した溶媒を反応に用いてもよく、不活性雰囲気下で反応を行ってもよく、脱水剤を反応系中に添加して行ってもよい。
【0082】
Yamamotoカップリングによる重合の詳細は、例えば、マクロモルキュルズ(Macromolecules),1992年,第25巻,p.1214−1223に記載されている。
【0083】
Kumada−Tamaoカップリング反応による重合は、[ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケルジクロライド、[ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケルジクロライド等のニッケル触媒を用い、ハロゲン化マグネシウム基を有する化合物とハロゲン原子を有する化合物とを反応させる重合するである。反応は、脱水した溶媒を反応に用いてもよく、不活性雰囲気下で反応を行ってもよく、脱水剤を反応系中に添加して行ってもよい。
【0084】
前記アリールカップリング反応による重合では、通常、溶媒が用いられる。該溶媒は、用いる重合反応、モノマー及びポリマーの溶解性等を考慮して選択すればよい。具体的には、テトラヒドロフラン、トルエン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、これらの溶媒を2種以上混合した混合溶媒等の有機溶媒、有機溶媒相と水相の二相を有する溶媒が挙げられる。Stilleカップリング反応に用いる溶媒はテトラヒドロフラン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、これらの溶媒を2種以上混合した混合溶媒等の有機溶媒、有機溶媒相と水相の二相を有する溶媒が好ましい。Stilleカップリング反応に用いる溶媒は、副反応を抑制するために、反応前に脱酸素処理を行うことが好ましい。Suzukiカップリング反応に用いる溶媒は、テトラヒドロフラン、トルエン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、これらの溶媒を2種以上混合した混合溶媒等の有機溶媒、有機溶媒相と水相の二相を有する溶媒が好ましい。Suzukiカップリング反応に用いる溶媒は、副反応を抑制するために、反応前に脱酸素処理を行うことが好ましい。Yamamotoカップリング反応に用いる溶媒は、テトラヒドロフラン、トルエン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、これらの溶媒を2種以上混合した混合溶媒等の有機溶媒が好ましい。Yamamotoカップリング反応に用いる溶媒は、副反応を抑制するために、反応前に脱酸素処理を行うことが好ましい。
【0085】
前記アリールカップリング反応による重合の中でも、反応性の観点からは、Stilleカップリング反応により重合する方法、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Yamamotoカップリング反応により重合する方法が好ましく、Stilleカップリング反応により重合する方法、Suzukiカップリング反応による重合する方法、ニッケルゼロ価錯体を用いたYamamotoカップリング反応による重合する方法がより好ましい。
【0086】
前記アリールカップリング反応の反応温度の下限は、反応性の観点からは、好ましくは−100℃であり、より好ましくは−20℃であり、特に好ましくは0℃である。反応温度の上限は、モノマー及び高分子化合物の安定性の観点からは、好ましくは200℃であり、より好ましくは150℃であり、特に好ましくは120℃である。
【0087】
前記アリールカップリング反応による重合において、反応終了後の反応溶液からの本発明の高分子化合物を取り出す方法としては、公知の方法が挙げられる。例えば、メタノール等の低級アルコールに反応溶液を加え、析出した沈殿をろ過し、ろ物を乾燥することにより、本発明の高分子化合物を得ることができる。得られた高分子化合物の純度が低い場合は、再結晶、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等により精製することができる。
【0088】
本発明の高分子化合物を有機光電変換素子の製造に用いる場合、高分子化合物の末端に重合活性基が残っていると、有機光電変換素子の耐久性等の特性が低下することがあるため、高分子化合物の末端を安定な基で保護することが好ましい。
【0089】
末端を保護する安定な基としては、アルキル基、アルコキシ基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、アリール基、アリールアミノ基、1価の複素環基等が挙げられる。アリールアミノ基としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
1価の複素環基としては、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられる。また、高分子化合物の末端に残っている重合活性基を、安定な基に代えて、水素原子で置換してもよい。ホール輸送性を高める観点からは、末端を保護する安定な基がアリールアミノ基などの電子供与性を付与する基であることが好ましい。高分子化合物が共役高分子化合物である場合、高分子化合物の主鎖の共役構造と末端を保護する安定な基の共役構造とが連続するような共役結合を有している基も末端を保護する安定な基として好ましく用いることができる。該基としては、例えば、アリール基、芳香族性を有する1価の複素環基が挙げられる。
【0090】
本発明の高分子化合物において、式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物は、例えば、式(4)で表される化合物と式(5)で表される化合物とを重合して製造することができる。重合反応としては、例えば、Suzukiカップリング反応が挙げられる。

(4)
(式(4)中、R、Qは、前述と同じ意味を表す。Zは、ボロン酸、ボロン酸エステル残基を表す。2個あるZは、同一でも相異なっていてもよい。)

(5)
【0091】
式(4)中、Zで表されるボロン酸エステル残基は、ボロン酸エステルから水素原子を1個除いた基を表し、その具体例としては、下記式で表される基が挙げられる。

(式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。)
【0092】
式(4)で表される化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。

【0093】
式(4)で表される化合物は、式(6)で表される化合物を、有機溶媒中で、ジボロン酸、またはジボロン酸エステルと反応させることにより製造することができる。


(6)
(式(6)中、Rは、前述と同じ意味を表す。)
【0094】
式(6)で表される化合物と反応させるジボロン酸またはジボロン酸エステルは、反応性の観点からジボロン酸エステルであることが好ましい。ジボロン酸エステルとしては例えば下記の(B−1)〜(B−6)の構造が挙げられる。

【0095】
ジボロン酸エステルとして好ましくは(B−1)、(B−3)であり、特に好ましくは(B−3)である。ジボロン酸またはジボロン酸エステルの使用量は式(6)であらわされる化合物に対して通常2モル当量(以下、本明細書ではモル当量を単に当量と記載する。)〜10当量であり、好ましくは2当量〜4当量であり、さらに好ましくは2〜3当量である。
【0096】
式(6)で表される化合物とジボロン酸またはジボロン酸エステルの反応は通常有機溶媒中で行われるが、該有機溶媒としては、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。芳香族炭化水素溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等が挙げられる。脂肪族炭化水素溶媒としては、ヘキサン、オクタン、デカンなどが挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。ハロゲン系溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。溶媒として好ましくは芳香族炭化水素溶媒、エーテル溶媒であり、さらに好ましくはエーテル溶媒である。エーテル系溶媒の中でも好ましくはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンであり、さらに好ましくは1,4−ジオキサンである。
【0097】
式(6)で表される化合物とジボロン酸またはジボロン酸エステルの反応は触媒存在下で行うことが好ましい。触媒としてはパラジウム触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒、白金触媒が挙げられるが、中でもパラジウム触媒が好ましい。パラジウム触媒としては、例えば、Pd(0)触媒、Pd(II)触媒が挙げられる。具体的には、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムアセテート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、ジクロロビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウムが挙げられ、反応操作の容易さ、反応速度の観点からは、ジクロロビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウムが好ましい。パラジウム触媒の添加量は、特に限定されず、触媒としての有効量であればよいが、式(6)で表される化合物1モルに対して、通常、0.0001モル〜0.5モル、好ましくは0.0003モル〜0.2モルである。反応において、必要に応じて配位子を用いることもできる。配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2−フリル)ホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等のリン化合物やトリフェニルアルシン、トリフェノキシアルシン等の砒素化合物が挙げられる。配位子として好ましくは1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンである。配位子を用いる場合、配位子の添加量は、パラジウム触媒1モルに対して、通常、0.5モル〜100モルであり、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0098】
式(6)で表される化合物とジボロン酸またはジボロン酸エステルの反応を行う温度は、前記溶媒にもよるが、通常、50〜160℃程度であり、60〜120℃が好ましい。また、溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。前記反応を行う時間(反応時間)は、高速液体クロマトグラフィ等で分析を行い、目的の転化率に達したときを終点としてもよいが、通常、0.1時間〜200時間程度である。1時間〜30時間程度が効率的で好ましい。
【0099】
式(6)で表される化合物は、例えば、マクロモルキュルズ、2009年、第42巻、第17号、p.6564〜6571(Macromolecules, 42(17), 6564 (2009))に記載の方法を用いて合成することができる。
【0100】
同様に、式(3)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物は、式(7)で表される化合物と式(4)で表される化合物とを重合して製造することができる。重合反応としては、例えば、Suzukiカップリング反応が挙げられる。

(7)
(式(7)中、Rは前述と同じ意味を表す。複数あるRは、同一でも相異なっていてもよい。)
【0101】
式(7)で表される化合物は、例えば、式(8)で表される化合物と臭素化剤とを反応させることによって製造することができる。

(式(8)中、Rは前述と同じ意味を表す。)
【0102】
臭素化剤としては、臭素、N−ブロモコハク酸イミド(以下、NBSと呼称することもある)などが挙げられる。好ましくはNBSである。臭素化剤と式(7)で表される化合物の反応は通常溶媒中で行われる。溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(以下、THFと呼称することもある)、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などが挙げられる。好ましくはクロロホルム、THF、DMFであり、さらに好ましくはTHF、DMFであり、特に好ましくはDMFである。臭素化剤と式(7)で表される化合物を反応させる際の温度は通常−50℃〜100℃であり、好ましくは−20℃〜40℃であり、特に好ましくは−10℃〜20℃である。反応させる臭素化剤の量は通常式(7)で表される化合物に対して2当量〜10当量であり、好ましくは2当量〜4当量であり、さらに好ましくは2〜3当量である。
臭素化剤と式(7)で表される化合物を反応させる時間は通常1分〜10時間であり、好ましくは30分〜5時間である。
【0103】
反応後は、通常の後処理を行い、式(7)で表される化合物を得ることができる。例えば、水を加えて反応を停止させた後に、生成物を有機溶媒で抽出し、溶媒を留去する後処理が挙げられる。生成物の単離及び精製は、クロマトグラフィーによる分取や再結晶などの方法により行うことができる。
【0104】
式(8)で表される化合物は、例えば、式(9)で表される化合物を酸の存在下で、反応させることにより製造することができる。

(式(9)中、Rは前述と同じ意味を表す)
【0105】
式(9)で表される化合物から式(8)で表される化合物を製造する反応に用いられる酸は、ルイス(Lewis)酸であってもブレンステッド(Bronsted)酸であってもよく、塩酸、臭素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、安息香酸、フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化スズ(IV)、塩化鉄(II)、四塩化チタン、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及びこれらの化合物の混合物が例示される。
【0106】
式(9)で表される化合物から式(8)で表される化合物を製造する反応は、溶媒の存在下で実施することが好ましい。該反応の反応温度は、−80℃以上溶媒の沸点以下の温度が好ましい。
反応に用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの不飽和炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサンなどのハロゲン化飽和炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化不飽和炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどのエーテル類などが挙げられる。該溶媒を単一で用いても、混合して用いてもよい。
【0107】
反応後は、通常の後処理を行い、式(8)で表される化合物を得ることができる。例えば、水を加えて反応を停止させた後に、生成物を有機溶媒で抽出し、溶媒を留去する後処理が挙げられる。生成物の単離及び精製は、クロマトグラフィーによる分取や再結晶などの方法により行うことができる。
【0108】
式(9)で表される化合物は、例えば、式(10)で表される化合物とグリニャール(Grignard)試薬又は有機リチウム(Li)化合物とを反応させることにより製造することができる。

【0109】
上記反応に用いられるGrignard試薬としては、メチルマグネシウムクロライド、メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、プロピルマグネシウムクロライド、プロピルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムブロマイド、ヘキシルマグネシウムブロマイド、オクチルマグネシウムブロマイド、デシルマグネシウムブロマイド、アリルマグネシウムクロライド、アリルマグネシウムブロマイド、ベンジルマグネシウムクロライド、フェニルマグネシウムブロマイド、ナフチルマグネシウムブロマイド、トリルマグネシウムブロマイドなどが挙げられる。
【0110】
有機Li化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム、ナフチルリチウム、ベンジルリチウム、トリルリチウムなどが挙げられる。
【0111】
式(10)で表される化合物とグリニャール(Grignard)試薬又は有機リチウム(Li)化合物から式(9)で表される化合物を製造する反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。また、該反応は、溶媒の存在下で実施することが好ましい。該反応の反応温度は、−80℃以上溶媒の沸点以下の温度が好ましい。
【0112】
反応に用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの不飽和炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどのエーテル類などが挙げられる。該溶媒を単一で用いても、混合して用いてもよい。
【0113】
反応後は、通常の後処理を行い、式(9)で表される化合物を得ることができる。例えば、水を加えて反応を停止させた後に、生成物を有機溶媒で抽出し、溶媒を留去する後処理が挙げられる。生成物の単離及び精製は、クロマトグラフィーによる分取や再結晶などの方法により行うことができる。
【0114】
式(10)で表される化合物は、例えば、式(11)で表される化合物と過酸化物とを反応させることにより製造することができる。

【0115】
過酸化物としては、過ホウ酸ナトリウム、m−クロロ過安息香酸、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。好ましくは過ホウ酸ナトリウム、m−クロロ過安息香酸であり、特に好ましくは過ホウ酸ナトリウムである。
【0116】
式(11)で表される化合物と過酸化物から式(10)で表される化合物を製造する反応は、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸などのカルボン酸溶媒の存在下で実施することが好ましい。
【0117】
式(11)で表される化合物の溶解性を上げるためには、カルボン酸溶媒に、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエンからなる群から選ばれる1種以上の溶媒を混合した混合溶媒で反応を行うことが好ましい。該反応の反応温度は、0℃以上50℃以下の温度が好ましい。
【0118】
反応後は、通常の後処理を行い、式(10)で表される化合物を得ることができる。例えば、水を加えて反応を停止させた後に、生成物を有機溶媒で抽出し、溶媒を留去する後処理が挙げられる。生成物の単離及び精製はクロマトグラフィーによる分取や再結晶などの方法により行うことができる。
【0119】
式(7)で表される化合物としては、例えば、下記化合物が挙げられる。



【0120】
<有機光電変換素子>
本発明の高分子化合物は、600nmの光等の長波長の光の吸光度が高く、太陽光を効率的に吸収するため、本発明の高分子化合物を用いて製造した有機光電変換素子は短絡電流密度が大きくなる。また、本発明の高分子化合物は、イオン化ポテンシャルが大きく、大きな解放端電圧を得ることができる。
【0121】
本発明の有機光電変換素子は、一対の電極と、該電極間に機能層を有し、該機能層が電子受容性化合物と本発明の高分子化合物を含有する。電子受容性化合物としては、フラーレン、フラーレン誘導体が好ましい。有機光電変換素子の具体例としては、
1.一対の電極と、該電極間に機能層を有し、該機能層が電子受容性化合物と、本発明の高分子化合物とを含有する有機光電変換素子;
2.一対の電極と、該電極間に機能層を有し、該機能層が電子受容性化合物と、本発明の高分子化合物とを含有する有機光電変換素子であって、該電子受容性化合物がフラーレン誘導体である有機光電変換素子;
が挙げられる。前記一対の電極は、通常、少なくとも一方が透明又は半透明であり、以下、その場合を一例として説明する。
【0122】
前記1.の有機光電変換素子では、電子受容性化合物及び前記高分子化合物を含有する機能層における該電子受容性化合物の量が、前記高分子化合物100重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましく、20〜500重量部であることがより好ましい。また、前記2.の有機光電変換素子では、フラーレン誘導体及び前記高分子化合物を含有する機能層における該フラーレン誘導体の量が、該重合体100重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましく、20〜500重量部であることがより好ましい。光電変換効率を高める観点からは、機能層における該フラーレン誘導体の量が、該重合体100重量部に対して、20〜400重量部であることが好ましく、40〜250重量部であることがより好ましく、80〜120重量部であることがさらに好ましい。短絡電流密度を高める観点からは、機能層における該フラーレン誘導体の量が、該重合体100重量部に対して、20〜250重量部であることが好ましく、40〜120重量部であることがより好ましい。
【0123】
有機光電変換素子が高い光電変換効率を有するためには、前記電子受容性化合物及び式(1)で表される高分子化合物が所望の入射光のスペクトルを効率よく吸収することができる吸収域を有するものであること、ヘテロ接合界面が励起子を効率よく分離するためにヘテロ接合界面を多く含むこと、ヘテロ接合界面が生成した電荷を速やかに電極へ輸送する電荷輸送性を有することが重要である。
【0124】
このような観点から、有機光電変換素子としては、前記1.、前記2.の有機光電変換素子が好ましく、ヘテロ接合界面を多く含むという観点からは、前記2.の有機光電変換素子がより好ましい。また、本発明の有機光電変換素子には、少なくとも一方の電極と該素子中の機能層との間に付加的な層を設けてもよい。付加的な層としては、ホール又は電子を輸送する電荷輸送層、バッファ層等が挙げられる。
【0125】
本発明の有機光電変換素子は、通常、基板上に形成される。該基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に化学的に変化しないものであればよい。基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコンが挙げられる。不透明な基板の場合には、反対の電極(即ち、基板から遠い方の電極)が透明又は半透明であることが好ましい。
【0126】
一対の電極の材料には、金属、導電性高分子等を用いることができる。一対の電極のうち一方の電極の材料は仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びそれらの金属のうちの2つ以上の金属の合金、又はそれらの金属のうちの1つ以上の金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1つ以上の金属との合金、グラファイト、グラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
【0127】
前記の透明又は半透明の電極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性材料を用いて作製された膜、NESA、金、白金、銀、銅が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。電極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、電極材料として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0128】
前記付加的な層としての電荷輸送層、即ち、ホール輸送層又は電子輸送層に用いられる材料として、それぞれ後述の電子供与性化合物、電子受容性化合物を用いることができる。
【0129】
付加的な層としてのバッファ層に用いられる材料としては、フッ化リチウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物又は酸化物等を用いることができる。また、酸化チタン等の無機半導体の微粒子を用いることもできる。
【0130】
<有機薄膜>
本発明の有機光電変換素子における前記機能層としては、例えば、本発明の高分子化合物と電子受容性化合物とを含有する有機薄膜を用いることができる。
【0131】
前記有機薄膜は、膜厚が、通常、1nm〜100μmであり、好ましくは2nm〜1000nmであり、より好ましくは5nm〜500nmであり、さらに好ましくは20nm〜200nmである。
【0132】
前記有機薄膜は、前記高分子化合物を一種単独で含んでいても二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。また、前記有機薄膜のホール輸送性を高めるため、前記有機薄膜中に電子供与性化合物として、低分子化合物及び/又は前記高分子化合物以外の高分子化合物を混合して用いることもできる。
【0133】
式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物以外に有機薄膜が含んでいてもよい電子供与性化合物としては、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体が挙げられる。
【0134】
前記電子受容性化合物としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、C60等のフラーレン及びその誘導体、カーボンナノチューブ、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン等のフェナントロリン誘導体が挙げられ、とりわけフラーレン及びその誘導体が好ましい。
【0135】
なお、前記電子供与性化合物、前記電子受容性化合物は、これらの化合物のエネルギー準位のエネルギーレベルから相対的に決定される。
【0136】
フラーレン及びその誘導体としては、C60、C70、C84及びその誘導体が挙げられる。
フラーレン誘導体とは、フラーレンの少なくとも一部が修飾された化合物を表す。
【0137】
フラーレン誘導体としては、例えば、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、式(IV)で表される化合物が挙げられる。

(I) (II) (III) (IV)

(式(I)〜(IV)中、Rは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はエステル構造を有する基である。複数個あるRは、同一であっても相異なってもよい。Rはアルキル基又はアリール基を表す。複数個あるRは、同一であっても相異なってもよい。)
【0138】
及びRで表されるアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の定義、具体例は、Rで表されるアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の定義、具体例と同じである。
【0139】
で表されるエステル構造を有する基は、例えば、式(V)で表される基が挙げられる。

(V)
(式(V)中、u1は、1〜6の整数を表す、u2は、0〜6の整数を表す、Rは、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。)
【0140】
で表されるアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の定義、具体例は、Rで表されるアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の定義、具体例と同じである。
【0141】
60の誘導体の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。





【0142】
70の誘導体の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。

【0143】
<有機薄膜の製造方法>
前記有機薄膜は、如何なる方法で製造してもよく、例えば、本発明の高分子化合物を含む溶液からの成膜による方法で製造してもよいし、真空蒸着法により有機薄膜を形成してもよい。溶液からの成膜により有機薄膜を製造する方法としては、例えば、一方の電極上に該溶液を塗布し、その後、溶媒を蒸発させて有機薄膜を製造する方法が挙げられる。
【0144】
溶液からの成膜に用いる溶媒は、本発明の高分子化合物を溶解させるものであれば特に制限はない。この溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の不飽和炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類系溶媒が挙げられる。本発明の高分子化合物は、通常、前記溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0145】
溶液からの成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を用いることができ、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
【0146】
<素子の用途>
有機光電変換素子は、透明又は半透明の電極から太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生し、有機薄膜太陽電池として動作させることができる。有機薄膜太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
【0147】
また、電極間に電圧を印加した状態で、透明又は半透明の電極から光を照射することにより、光電流が流れ、有機光センサーとして動作させることができる。有機光センサーを複数集積することにより有機イメージセンサーとして用いることもできる。
【実施例】
【0148】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0149】
高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量はサイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)により求めた。
カラム: TOSOH TSKgel SuperHM-H(2本)+ TSKgel SuperH2000(4.6mm I.d. × 15cm);検出器:RI (SHIMADZU RID-10A);移動相:テトラヒドロフラン(THF)
【0150】
参考例1
(化合物1の合成)

アルゴン置換した1000mLの4つ口フラスコに3−ブロモチオフェン13.0g(80.0mmol)、ジエチルエーテル80mLを入れて均一な溶液とした。該溶液を−78℃に保ったままn−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(2.6M、31mL、80.6mmol)を滴下した。−78℃で2時間反応させた後、3−チオフェンアルデヒド8.96g(80.0mmol)をジエチルエーテル20mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下後−78℃で30分攪拌し、さらに室温(25℃)で30分攪拌した。反応液を再度−78℃に冷却し、n−BuLiのヘキサン溶液(2.6M、62mL、161mmol)を15分かけて滴下した。滴下後、反応液を−25℃で2時間攪拌し、さらに室温(25℃)で1時間攪拌した。その後、反応液を−25℃に冷却し、ヨウ素60g(236mmol)をジエチルエーテル1000mLに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下後、室温(25℃)で2時間攪拌し、1規定のチオ硫酸ナトリウム水溶液50mLを加えて反応を停止させた。ジエチルエーテルで反応生成物を抽出した後、硫酸マグネシウムで反応生成物を乾燥し、ろ過後、ろ液を濃縮して35gの粗生成物を得た。クロロホルムを用いて粗生成物を再結晶することにより精製し、化合物1を28g得た。
【0151】
参考例2
(化合物2の合成)

300mLの4つ口フラスコに、参考例1で合成したビスヨードチエニルメタノール(化合物1) 10.5g(23.4mmol)、塩化メチレン150mLを加えて均一な溶液とした。該溶液にクロロクロム酸ピリジニウム7.50g(34.8mmol)を加えて室温(25℃)で10時間攪拌した。反応液をろ過して不溶物を除去後、ろ液を濃縮し、化合物2を10.0g(22.4mmol)得た。
【0152】
参考例3
(化合物3の合成)

アルゴン置換した300mLフラスコに、参考例2で合成した化合物2を10.0g(22.4mmol)、銅粉末を6.0g(94.5mmol)、脱水N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと呼称することもある)を120mL加えて、120℃で4時間攪拌した。反応後、フラスコを室温(25℃)まで冷却し、反応液をシリカゲルカラムに通して不溶成分を除去した。その後、水500mLを加え、クロロホルムで反応生成物を抽出した。クロロホルム溶液である油層を硫酸マグネシウムで乾燥し、油層をろ過し、ろ液を濃縮して粗製物を得た。組成物をシリカゲルカラム(展開液:クロロホルム)で精製し、化合物3を3.26g得た。ここまでの操作を複数回行った。
【0153】
参考例4
(化合物4の合成)

メカニカルスターラーを備えアルゴン置換した300mL4つ口フラスコに、参考例3で合成した化合物3を3.85g(20.0mmol)、クロロホルムを50mL、トリフルオロ酢酸を50mL入れて均一な溶液とした。該溶液に過ホウ酸ナトリウム1水和物5.99g(60mmol)を加え、室温(25℃)で45分間攪拌した。その後、水200mLを加え、クロロホルムで反応生成物を抽出し、クロロホルム溶液である有機層をシリカゲルカラムに通し、エバポレーターでろ液の溶媒を留去した。メタノールを用いて残渣を再結晶し、化合物4を534mg得た。
H NMR in CDCl(ppm):7.64(d、1H)、7.43(d、1H)、7.27(d、1H)、7.10(d、1H)
【0154】
参考例5
(化合物5の合成)

アルゴン置換した100mL四つ口フラスコに、化合物4を1.00g(4.80mmol)と脱水THFを30ml入れて均一な溶液とした。フラスコを−20℃に保ちながら、3,7−ジメチルオクチルマグネシウムブロミドのエーテル溶液(1M)を12.7mL加えた。その後、30分かけて温度を−5℃まで上げ、そのまま30分攪拌した。その後、10分かけて温度を0℃に上げ、そのまま1.5時間攪拌を行った。その後、水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで反応生成物を抽出した。酢酸エチル溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、酢酸エチル溶液をシリカゲルカラムに通し、ろ液の溶媒を留去し、化合物5を1.50g得た。
H NMR in CDCl(ppm):8.42(b、1H)、7.25(d、1H)、7.20(d、1H)、6.99(d、1H)、6.76(d、1H)、2.73(b、1H)、1.90(m、4H)、1.58‐1.02(b、20H)、0.92(s、6H)、0.88(s、12H)
【0155】
参考例6
(化合物6の合成)

アルゴン置換した200mLフラスコに、化合物5 1.50gとトルエン30mLを入れて均一な溶液とした。該溶液にp−トルエンスルホン酸ナトリウム1水和物を100mg入れて100℃で1.5時間攪拌を行った。反応液を室温(25℃)まで冷却後、水50mLを加え、トルエンで反応生成物を抽出した。トルエン溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(溶媒:ヘキサン)で生成し、化合物6を1.33g得た。ここまでの操作を複数回行った。
【0156】
H NMR in CDCl(ppm):6.98(d、1H)、6.93(d、1H)、6.68(d、1H)、6.59(d、1H)、1.89(m、4H)、1.58‐1.00(b、20H)、0.87(s、6H)、0.86(s、12H)
【0157】
参考例7
(化合物7の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物6を1.33g(2.80mmol)、脱水DMFを20mL入れて均一な溶液とした。該溶液を−30℃に保ち、ここにNBS 1040mg(5.84 mmol)を加え、30分かけて温度を−30℃から−10℃に上昇させた。液体クロマトグラフィー(LC)で化合物6の消失を確認後、1Mチオ硫酸ナトリウム水溶液50mlを加えて反応を停止し、エーテルで反応生成物を抽出した。エーテル溶液である有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラム(溶媒:ヘキサン)で精製し、化合物7を1.65g(93%)得た。
【0158】
H NMR in CDCl(ppm):6.66(1H)、6.63(1H)、1.90(m、4H)、1.56‐1.02(b、20H)、0.87(s、6H)、0.85(s、12H)
【0159】
参考例8
(化合物8の合成)

500mlフラスコに、4,5−ジフルオロ−1,2−ジアミノベンゼン(東京化成工業製)を10.2g(70.8mmol)、ピリジンを150mL入れて均一溶液とした。フラスコを0℃に保ったまま、フラスコ内に塩化チオニル16.0g(134mmol)を滴下した。滴下後、フラスコを25℃に温めて、6時間反応を行った。その後、水250mlを加え、クロロホルムで反応生成物を抽出した。クロロホルム溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。ろ液をエバポレーターで濃縮して析出した固体を再結晶で精製した。再結晶の溶媒には、メタノールを用いた。精製後、化合物8を10.5g(61.0mmol)得た。
【0160】
H NMR(CDCl、ppm):7.75(t、2H)
19F NMR(CDCl、ppm):−128.3(s、2F)
【0161】
参考例9
(化合物9の合成)

100mLフラスコに化合物8を2.00g(11.6mmol)、鉄粉0.20g(3.58mmol)をいれ、フラスコを90℃に加熱した。このフラスコに臭素31g(194mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後、90℃で38時間攪拌した。その後、フラスコを室温(25℃)まで冷却し、クロロホルム100mLを入れて希釈した。
得られた溶液を、5wt%の亜硫酸ナトリウム水溶液300mLに注ぎ込み、1時間攪拌した。得られた混合液の有機層を分液ロートで分離し、水層をクロロホルムで3回抽出した。得られた抽出液を先ほど分離した有機層と合わせて硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液をエバポレーターで濃縮し、溶媒を留去した。得られた黄色の固体を、55℃に熱したメタノール90mLに溶解させ、その後、25℃まで冷却した。析出した結晶をろ過回収し、その後、室温(25℃)で減圧乾燥して化合物9を1.50g得た。
【0162】
19F NMR(CDCl、ppm):−118.9(s、2F)
【0163】
参考例10
(化合物11の合成)


窒素気流雰囲気下ジムロートを取付けた100ml3口フラスコに化合物10(Luminescence Technology社より購入、0.50g、0.73mmol)、bis(pinacolato)diboron(0.41g、1.61mmol)、酢酸カリウム(0.35g、4.03mmol)、PdCl2(dppf)(0.01g、0.01mmol)、dppf(0.01g、0.02mmol)、無水1,4-ジオキサン50mlを室温下にて仕込み、15時間加熱還流下攪拌した。攪拌後反応液をセライトろ過し、セライトケーキをTHF20mlを用い、3回洗浄した。ろ液をエバポレータにて濃縮し、得られた残渣にトルエン20mlを加え80℃にて加熱攪拌し、そこへメタノール40ml加え、攪拌を続けながら、室温まで放冷後さらに1時間攪拌した。得られたスラリーをろ取、メタノール20mlを用い2回洗浄した後減圧乾燥(50mmHg、70℃、3hr)することで、化合物11を183mg(0.24mmol、収率32.9%)得た。
【0164】
1H−NMR(270MHz/CDCl3):
δ8.93(d、2H)、7.72(d、2H)、4.07(m、4H)、1.85(m、2H)、1.37(s、24H)、1.50−1.15(m、16H)、0.95−0.80(d、12H)
【0165】
参考例11
(化合物12の合成)

9 12
フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLの3つ口フラスコに、化合物9を5.00g(15.2mmol)、粉末状の亜鉛を991mg(152mmol)、酢酸を60mL、水を30mL入れ、80℃で2時間攪拌した。攪拌後、反応液を室温まで冷却し、ろ過助剤としてセライトを用いてろ過した。ろ液を炭酸水素ナトリウムで中和し、析出した固体をろ過して回収した。得られた固体をクロロホルムに懸濁させ、ポアサイズが0.45μmであるポリテトラフルオロエチレン製フィルターで不溶物をろ別し、ろ液の溶媒をエバポレーターで留去し、淡褐色の固体である化合物12を2.86g得た。
【0166】
参考例12
(化合物13の合成)

12 13
フラスコ内の気体をアルゴンで置換した100mLの3つ口フラスコに、4,4’−ジフルオロベンジルを816mg、化合物12を1000mg、エタノールを25mL入れ、エタノールが還流する温度で40時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、溶媒を留去した。析出した固体を、酢酸エチルの容積に対するヘキサンの容積比が5となるようにヘキサンと酢酸エチルとを混合した混合溶媒を展開溶媒として用いたシリカゲルカラムで溶出させた。溶出液をエバポレーターで乾固し、粗生成物を2.32g得た。その後、イソプロパノール80mLを用いて粗生成物の再結晶を行い、化合物13を816mg得た。

H NMR in CDCl(ppm):7.64(t、4H)、7.09(t、4H)
19F NMR in CDCl(ppm):−110.5、−118.7
【0167】
実施例1
(高分子化合物1の合成)

四つ口フラスコに、化合物7を40mg(0.632mmol)、アルゴン置換した200mLフラスコに、参考例7で合成した化合物7を40.0mg(0.632mmol)、参考例9で合成した化合物9を21.0mg(0.636mmol)、参考例10で合成した化合物11を100mg(0.129mmol)、メチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)を40mg加え、トルエン10mlに溶解させ、得られたトルエン溶液をアルゴンで30分バブリングした。その後、酢酸パラジウム0.43mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(Tris(2−methoxyphenyl)phosphine)2.35mg、炭酸ナトリウム水溶液(16.7wt%)1mLを加え、100℃で8時間攪拌を行った。その後、フェニルボロン酸14mgを加え、さらに100℃で2時間反応させた。その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム2gと水20mLを加え、2時間還流下で攪拌を行った。水層を除去後、有機層を水20mlで2回、3wt%の酢酸水溶液20mLで2回、さらに水20mLで2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン8mLに再度溶解し、アルミナ/シリカゲルカラムを通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーをろ過後、乾燥し、精製した重合体26mgを得た。以下、この重合体を高分子化合物1と呼称する。
【0168】
実施例2
(高分子化合物2の合成)

11 13
フラスコ内の気体をアルゴンで置換した100mLフラスコに、化合物11を76.0mg(0.098mmol)、化合物13を50.0mg(0.098mmol)、メチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)を50.0mg加え、トルエン10mLに溶解させ、得られたトルエン溶液をアルゴンで30分バブリングした。その後、酢酸パラジウム 0.43mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(Tris(2−methoxyphenyl)phosphine)2.36mg、炭酸ナトリウム水溶液(16.7重量(wt)%)1mLを加え、100℃で5.5時間攪拌を行った。その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム1gと水20mLを加えて2時間還流下で攪拌を行った。反応終了後、反応溶液を室温(25℃)付近まで冷却した後、得られた反応溶液を静置し、分液したトルエン層を回収した。該トルエン層を水10mLで2回、3%酢酸水10mLで2回、さらに水10mLで2回洗浄し、得られたトルエン層をメタノール中に注ぎ込み、析出した沈殿物を回収した。この沈殿物を減圧乾燥した後、トルエン12mLに溶解した。次に、得られたトルエン溶液をろ過し、不溶物を除去した後、シリカゲル/アルミナカラムに通し、精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮した後、メタノール中に注ぎ込み、沈殿させ、生成した沈殿を回収した。この沈殿をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体20mgを得た。以下、この重合体を高分子化合物2と呼称する。高分子化合物2は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が18000であり、ポリスチレン換算の数平均分子量が5900であった。
【0169】
参考例13
(高分子化合物3の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した2L四つ口フラスコに、化合物(E)を7.928g(16.72mmol)、化合物(F)を13.00g(17.60mmol)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製、CH3N[(CH2)7CH3]3Cl、density 0.884g/ml、25℃)を4.979g、及びトルエンを405ml入れ、撹拌しながら反応系内を30分間アルゴンバブリングした。フラスコ内にジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を0.02g加え、105℃に昇温し、撹拌しながら2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液42.2mlを滴下した。滴下終了後5時間反応させ、その後、フェニルボロン酸2.6gとトルエン1.8mlとを加え、105℃で16時間撹拌した。その後、反応液にトルエン700ml及び7.5wt%のジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物水溶液200mlを加え、85℃で3時間撹拌した。反応液の水層を除去後、有機層を60℃のイオン交換水300mlで2回、60℃の3wt%酢酸300mlで1回、さらに60℃のイオン交換水300mlで3回洗浄した。有機層をセライト、アルミナ及びシリカを充填したカラムに通し、ろ液を回収した。その後、熱トルエン800mlでカラムを洗浄し、洗浄後のトルエン溶液をろ液に加えた。得られた溶液を700mlまで濃縮した後、濃縮した溶液を2Lのメタノールに加え、重合体を再沈殿させた。重合体をろ過して回収し、500mlのメタノール、500mlのアセトン、500mlのメタノールで重合体を洗浄した。重合体を50℃で一晩真空乾燥することにより、ペンタチエニル−フルオレンコポリマー(高分子化合物3)12.21gを得た。高分子化合物3のポリスチレン換算の重量平均分子量は1.1×105であった。
【0170】
測定例1
(有機薄膜の吸光度の測定)
高分子化合物1を1.0重量%の濃度でo−ジクロロベンゼンに溶解させ、塗布溶液を作製した。得られた塗布溶液をガラス基板上に、スピンコートで塗布した。塗布操作は23℃で行った。その後、大気下120℃の条件で5分間ベークし、膜厚約100nmの有機薄膜を得た。有機薄膜の吸収スペクトルを分光光度計(日本分光株式会社製、商品名:V−670)で測定した。測定したスペクトルを図1に示す。600nm、700nm、800nm及び900nmにおける吸光度を表1に示す。
【0171】
測定例2
(有機薄膜の吸光度の測定)
高分子化合物2を1.0重量%の濃度でo−ジクロロベンゼンに溶解させ、塗布溶液を作製した。得られた塗布溶液をガラス基板上に、スピンコートで塗布した。塗布操作は23℃で行った。その後、大気下120℃の条件で5分間ベークし、膜厚約100nmの有機薄膜を得た。有機薄膜の吸収スペクトルを分光光度計(日本分光株式会社製、商品名:V−670)で測定した。測定したスペクトルを図2に示す。600nm、700nm、800nm及び900nmにおける吸光度を表1に示す。
【0172】
比較例1
(有機薄膜の吸光度の測定)
高分子化合物1の代わりに高分子化合物3を使用し、濃度を0.5重量%にした以外は、測定例1と同様にして有機薄膜を作製し、該有機薄膜の吸収スペクトルを測定した。測定したスペクトルを図3に示す。600nm、700nm、800nm及び900nmにおける吸光度を表1に示す。
【0173】
【表1】

【0174】
実施例2
(有機薄膜のイオン化ポテンシャルの測定)
測定例1で作成した有機薄膜で、大気中光電子分光装置(理研計器製AC-2)を用いてイオン化ポテンシャルを測定した。得られたイオン化ポテンシャルは、5.4eVであった。
【0175】
実施例3
(有機薄膜のイオン化ポテンシャルの測定)
測定例2で作成した有機薄膜で、大気中光電子分光装置(理研計器製AC-2)を用いてイオン化ポテンシャルを測定した。得られたイオン化ポテンシャルは、5.3eVであった。
【0176】
比較例2
(有機薄膜のイオン化ポテンシャルの測定)
比較例1で作成した有機薄膜で、大気中光電子分光装置(理研計器製AC-2)を用いてイオン化ポテンシャルを測定した。得られたイオン化ポテンシャルは、5.2eVであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A)で表される繰り返し単位と式(B)で表される繰り返し単位とを含む高分子化合物。

〔式(A)及び式(B)中、X及びXは、同一又は相異なり、窒素原子又は=CH−を表す。Yは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R)−又は−CR=CR−を表す。R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。Wは、シアノ基、フッ素原子を有する1価の有機基又はハロゲン原子を表す。Wは、シアノ基、フッ素原子を有する1価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。Q及びRは、同一又は相異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基又は式(2)で表される基を表す。これらの基に含まれる水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。複数個あるQは、同一でも相異なっていてもよい。
複数個あるRは、同一でも相異なっていてもよい。

(2)
(式(2)中、m1は、0〜6の整数を表し、m2は、0〜6の整数を表す。R’は、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。)〕
【請求項2】
式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物。

(1)
〔式(1)中、X及びXは、同一又は相異なり、窒素原子又は=CH−を表す。Yは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R)−又は−CR=CR−を表す。
、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。Wは、シアノ基、フッ素原子を有する1価の有機基又はハロゲン原子を表す。Wは、シアノ基、フッ素原子を有する1価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。Q及びRは、同一又は相異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基又は式(2)で表される基を表す。これらの基に含まれる水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。複数個あるQは、同一でも相異なっていてもよい。複数個あるRは、同一でも相異なっていてもよい。

(2)
(式(2)中、m1は、0〜6の整数を表し、m2は、0〜6の整数を表す。R’は、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。)〕
【請求項3】
さらに式(3)で表される繰り返し単位を含む、請求項1または2に記載の高分子化合物。

(3)
〔式(3)中、Q及びRは、同一又は相異なり、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基又は式(2)で表される基を表す。これらの基に含まれる水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。複数個あるQは、同一でも相異なっていてもよい。複数個あるRは、同一でも相異なっていてもよい。

(2)
(式(2)中、m1は、0〜6の整数を表し、m2は、0〜6の整数を表す。R’は、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。)〕
【請求項4】
一対の電極と、該電極間に設けられた機能層とを有し、該機能層が電子受容性化合物と請求項1〜3のいずれかに記載の高分子化合物とを含む有機光電変換素子。
【請求項5】
機能層中に含まれる電子受容性化合物の量が、前記高分子化合物100重量部に対して、10〜1000重量部である請求項4に記載の有機光電変換素子。
【請求項6】
前記電子受容性化合物が、フラーレン誘導体である請求項4又は5に記載の有機光電変換素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−32493(P2013−32493A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−118289(P2012−118289)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】