説明

高分子化合物

【課題】光電変換素子に含まれる有機層に用いた場合に、短絡電流密度及び光電変換効率が大きくなる高分子化合物を提供する。
【解決手段】式(1)で表される構造単位を有し、光吸収末端波長が700nm以上であることを特徴とする高分子化合物を提供する。


(式中、Ar1及びAr2は、同一又は相異なり、3価の芳香族炭化水素基又は3価の複素環基を表す。X1及びX2は、同一又は相異なり、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO−、−C(R50)(R51)−、−Si(R)(R)−、−N(R)−、−B(R)−、−P(R)−又は−P(=O)(R)−を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有する高分子化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止のため、大気中に放出されるCO2の削減が求められている。例えば、家屋の屋根にpn接合型のシリコン系太陽電池などを用いるソーラーシステムへの切り替えが提唱されているが、上記シリコン系太陽電池に用いられる単結晶、多結晶及びアモルファスシリコンは、その製造過程において高温、高真空条件が必要であるという問題がある。
【0003】
一方、光電変換素子の一態様である有機薄膜太陽電池は、シリコン系太陽電池の製造プロセスに用いられる高温、高真空プロセスが省略でき、塗布プロセスのみで安価に製造できる可能性があり、近年注目されてきている。有機薄膜太陽電池に用いる高分子化合物としては、繰り返し単位(A)及び繰り返し単位(B)からなる高分子化合物が記載されている(特許文献1)。
【0004】

繰り返し単位(A) 繰り返し単位(B)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Applied Physics Letters Vol.84, No.10 1653−1655 (2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記高分子化合物を含む有機層を有する光電変換素子は、短絡電流密度及び光電変換効率が必ずしも十分ではない。
【0007】
本発明は、光電変換素子に含まれる有機層に用いた場合に、短絡電流密度及び光電変換効率が大きくなる高分子化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は第一に、式(1)で表される構造単位を有し、光吸収末端波長が700nm以上であることを特徴とする高分子化合物を提供する。

(式中、Ar1及びAr2は、同一又は相異なり、3価の芳香族炭化水素基又は3価の複素環基を表す。X1及びX2は、同一又は相異なり、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO−、−C(R50)(R51)−、−Si(R)(R)−、−N(R)−、−B(R)−、−P(R)−又は−P(=O)(R)−を表す。R50、R51、R、R、R、R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。ただし、XとXが同一になることはない。また、XとArは、Arを構成する環において互いに隣接する位置に結合し、XとArは、Arを構成する環において互いに隣接する位置に結合している。)
【0009】
本発明は第二に、前記高分子化合物を含む薄膜を提供する。
【0010】
本発明は第三に、前記高分子化合物と電子受容性化合物とを含む組成物を提供する。
【0011】
本発明は第四に、前記組成物を含む薄膜を提供する。
【0012】
本発明は第五に、前記組成物と溶媒とを含むインクを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の高分子化合物を用いて製造した光電変換素子は、短絡電流密度及び光電変換効率が大きいため、本発明は極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高分子化合物は、式(1)で表される構造単位を有し、吸収末端波長が700nm以上であることを特徴とする。
【0015】
式(1)中、X及びXは、同一又は相異なり、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO−、−C(R50)(R51)−、−Si(R)(R)−、−N(R)−、−B(R)−、−P(R)−又は−P(=O)(R)−を表す。ただし、X1とX2が同一になることはない。
ここでR50、R51、R、R、R、R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。
【0016】
ここで、アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキル基であってもよい。アルキル基の炭素数は、通常1〜30である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
【0017】
アルキルオキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキルオキシ基であってもよい。アルキルオキシ基は、置換基を有していてもよい。アルキルオキシ基の炭素数は、通常1〜20程度であり、アルキルオキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、ブトキシ基、iso−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基が挙げられる。
【0018】
アルキルチオ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキルチオ基であってもよい。アルキルチオ基は、置換基を有していてもよい。アルキルチオ基の炭素数は、通常1〜20程度であり、アルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、ブチルチオ基、iso−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
【0019】
アリール基は、その炭素数が通常6〜60程度であり、置換基を有していてもよい。アリール基の具体例としては、フェニル基、C1〜C12アルキルオキシフェニル基(C1〜C12アルキルは、炭素数1〜12のアルキルであることを示す。C1〜C12アルキルは、好ましくはC1〜C8アルキルであり、より好ましくはC1〜C6アルキルである。C1〜C8アルキルは、炭素数1〜8のアルキルであることを示し、C1〜C6アルキルは、炭素数1〜6のアルキルであることを示す。C1〜C12アルキル、C1〜C8アルキル及びC1〜C6アルキルの具体例としては、上記アルキル基で説明し例示したものが挙げられる。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
【0020】
アリールオキシ基は、その炭素数が通常6〜60程度であり、芳香環上に置換基を有していてもよい。アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、C1〜C12アルキルオキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基が挙げられる。
【0021】
アリールチオ基は、その炭素数が通常6〜60程度であり、芳香環上に置換基を有していてもよい。アリールチオ基の具体例としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルキルオキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられる。
【0022】
アリールアルキル基は、その炭素数が通常7〜60程度であり、置換基を有していてもよい。アリールアルキル基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基が挙げられる。
【0023】
アリールアルキルオキシ基は、その炭素数が通常7〜60程度であり、置換基を有していてもよい。アリールアルキルオキシ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルオキシ基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキルオキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルオキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルオキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルオキシ基が挙げられる。
【0024】
アリールアルキルチオ基は、その炭素数が通常7〜60程度であり、置換基を有していてもよい。アリールアルキルチオ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基が挙げられる。
【0025】
アシル基は、その炭素数が通常2〜20程度である。アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基が挙げられる。
【0026】
アシルオキシ基は、その炭素数が通常2〜20程度である。アシルオキシ基の具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基が挙げられる。
【0027】
アミド基は、その炭素数が通常2〜20程度である。アミド基とは、アミドから窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる基をいう。アミド基の具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基が挙げられる。
【0028】
酸イミド基とは、酸イミドから窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる基をいう。酸イミド基の具体例としては、スクシンイミド基、フタル酸イミド基などが挙げられる。
【0029】
置換アミノ基は、その炭素数が通常1〜40程度である。置換基アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルキルオキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルオキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基が挙げられる。
【0030】
置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリ−iso−プロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基などが挙げられる。
【0031】
置換シリルオキシ基としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリ−n−プロピルシリルオキシ基、トリ−iso−プロピルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基などが挙げられる。
【0032】
置換シリルチオ基としては、トリメチルシリルチオ基、トリエチルシリルチオ基、トリ−n−プロピルシリルチオ基、トリ−iso−プロピルシリルチオ基、tert−ブチルジメチルシリルチオ基、トリフェニルシリルチオ基、トリ−p−キシリルシリルチオ基、トリベンジルシリルチオ基、ジフェニルメチルシリルチオ基、tert−ブチルジフェニルシリルチオ基、ジメチルフェニルシリルチオ基などが挙げられる。
【0033】
置換シリルアミノ基としては、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリ−n−プロピルシリルアミノ基、トリ−iso−プロピルシリルアミノ基、tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、トリ−p−キシリルシリルアミノ基、トリベンジルシリルアミノ基、ジフェニルメチルシリルアミノ基、tert−ブチルジフェニルシリルアミノ基、ジメチルフェニルシリルアミノ基、ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(トリエチルシリル)アミノ基、ジ(トリ−n−プロピルシリル)アミノ基、ジ(トリ−iso−プロピルシリル)アミノ基、ジ(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ基、ジ(トリフェニルシリル)アミノ基、ジ(トリ−p−キシリルシリル)アミノ基、ジ(トリベンジルシリル)アミノ基、ジ(ジフェニルメチルシリル)アミノ基、ジ(tert−ブチルジフェニルシリル)アミノ基、ジ(ジメチルフェニルシリル)アミノ基が挙げられる。
【0034】
1価の複素環基としては、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、プラゾリジン、フラザン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、チオピラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン、トリアジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、クロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、キナゾリジン、シンノリン、フタラジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、キサンテン、フェナントリジン、アクリジン、β-カルボリン、ペリミジン、フェナントロリン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン等の複素環化合物から水素原子を1個除いた基が挙げられる。1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基が好ましい。
【0035】
複素環オキシ基としては、前記1価の複素環基に酸素原子が結合した式(11)で表される基が挙げられる。複素環チオ基としては、前記1価の複素環基に硫黄原子が結合した式(12)で表される基が挙げられる。

(11) (12)
〔式(11)及び式(12)中、Arは1価の複素環基を表す。〕
複素環オキシ基は、その炭素数が通常4〜60程度である。複素環オキシ基の具体例としては、チエニルオキシ基、C1〜C12アルキルチエニルオキシ基、ピロリルオキシ基、フリルオキシ基、ピリジルオキシ基、C1〜C12アルキルピリジルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、ピラゾリルオキシ基、トリアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、チアゾールオキシ基、チアジアゾールオキシ基が挙げられる。
複素環チオ基は、その炭素数が通常4〜60程度である。複素環チオ基の具体例としては、チエニルメルカプト基、C1〜C12アルキルチエニルメルカプト基、ピロリルメルカプト基、フリルメルカプト基、ピリジルメルカプト基、C1〜C12アルキルピリジルメルカプト基、イミダゾリルメルカプト基、ピラゾリルメルカプト基、トリアゾリルメルカプト基、オキサゾリルメルカプト基、チアゾールメルカプト基、チアジアゾールメルカプト基が挙げられる。
【0036】
アリールアルケニル基は、通常、その炭素数7〜20であり、アリールアルケニル基の具体例としては、スチリル基が挙げられる。
【0037】
アリールアルキニル基は、通常、その炭素数7〜20であり、アリールアルキニル基の具体例としては、フェニルアセチレニル基が挙げられる。
【0038】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0039】
モノマーの製造の容易さの観点からは、Xとして好ましくは、−O−、−S−、−C(=O)−であり、より好ましくは−O−、−C(=O)−であり、さらに好ましくは、−O−である。
【0040】
式(1)中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、3価の芳香族炭化水素基又は3価の複素環基を表す。
ここに3価の芳香族炭化水素基とは、ベンゼン環又は縮合環から水素原子3個を除いた残りの原子団をいい、通常炭素数6〜60、好ましくは6〜20であり、下記の3価の基が例示される。なお、芳香族炭化水素基上に置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、カルボキシル基又はシアノ基が例示される。3価の芳香族炭化水素基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。3価の芳香族炭化水素基が置換基を有し、かつ該置換基が炭素原子を含む場合、該置換基の炭素原子数は好ましくは1〜40であり、より好ましくは1〜20であり、さらに好ましくは1〜6である。
【0041】

【0042】

【0043】
3価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子3個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は、通常4〜60、好ましくは4〜20である。なお複素環基上に置換基を有していてもよく、複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。3価の複素環基としては、3価の芳香族複素環基が好ましい。3価の複素環基が置換基を有し、かつ該置換基が炭素原子を含む場合、該置換基の炭素原子数は好ましくは1〜40であり、より好ましくは1〜20であり、さらに好ましくは1〜6である。
【0044】
ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素などのヘテロ原子を環内に含む有機化合物をいう。
【0045】
3価の複素環基としては、例えば、以下の基が挙げられる。
【0046】

【0047】

【0048】

【0049】

【0050】

【0051】

【0052】

【0053】

【0054】

【0055】

【0056】

【0057】
式(201)〜式(284)中、R’は、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、置換アミノ基、アシルオキシ基、アミド基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基又はシアノ基を表す。
R’’は、同一又は相異なり、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、置換シリル基、アシル基又は1価の複素環基を表す。
【0058】
R’で表されるハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、置換アミノ基、アシルオキシ基、アミド基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基の定義、具体例は、前述のRで表されるハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、置換アミノ基、アシルオキシ基、アミド基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基の定義、具体例と同じである。
R’’で表される、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、置換シリル基、1価の複素環基の定義、具体例は、前述のRで表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、置換シリル基、1価の複素環基の定義、具体例と同じである。
【0059】
式(1)中のX1とAr2は、Arを構成する環において互いに隣接する原子(位置)に結合し、XとArは、Arを構成する環において互いに隣接する原子(位置)に結合している。
【0060】
式(1)で表される構造単位としては、好ましくは式(301)〜式(464)で表される構造単位及びこれらの構造単位中に含まれる芳香族炭化水素環又は複素環上にさらに置換基を有する構造単位であり、Ar及びArが3価の複素環基である構造単位がより好ましい。

【0061】

【0062】

【0063】

【0064】

【0065】

【0066】

【0067】

【0068】

【0069】

〔式(301)〜式(464)中、R50、R51、R、R、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。〕
【0070】
式中、Rは水素原子又は置換基を表す。複数個あるRは、同一でも相異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。Rが置換基である場合、該置換基の例としては、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる基があげられる。これらの置換基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
【0071】
Rで表されるアルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、1価の複素環基の定義、具体例は、前述のRで表されるアルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、1価の複素環基の定義、具体例と同じである。
【0072】
置換カルボキシル基としては、通常炭素数2〜20のものが用いられ、メチルエステル構造を有する基、エチルエステル構造を有する基、ブチルエステル構造を有する基などが挙げられる。
【0073】
本発明の高分子化合物は式(1)で表される構造単位のほかに、式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位を有していることが好ましい。この場合、式(1)で表される構造単位と式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位とが、共役を形成していることが好ましい。本発明における共役とは、不飽和結合−単結合−不飽和結合の順に連鎖し、π軌道の2個のπ結合が隣り合い、それぞれのπ電子が平行に配置し、ある二重結合又は三重結合上にπ電子が局在するのではなく、隣の単結合上にπ電子が広がって非局在化している状態のことを指す。ここで不飽和結合とは二重結合や三重結合を指す。
式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位としては、例えば、アリーレン基、2価の複素環基が挙げられる。
【0074】
ここで、アリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、環を構成する炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。ここに芳香族炭化水素としては、ベンゼン環をもつもの、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接結合してもの又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。
アリーレン基としては、フェニレン基(例えば、下図の式1〜3)、ナフタレンジイル基(下図の式4〜13)、アントラセンジイル基(下図の式14〜19)、ビフェニル−ジイル基(下図の式20〜25)、ターフェニル−ジイル基(下図の式26〜28)、縮合環化合物基(下図の式29〜38)などが例示される。縮合環化合物基には、フルオレン−ジイル基(下図の式36〜38)が含まれる。
【0075】
2価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、環を構成する炭素数は通常3〜60程度である。
ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、ヒ素などのヘテロ原子を環内に含むものをいう。
【0076】
2価の複素環基としては、例えば以下のものが挙げられる。
ヘテロ原子として、窒素を含む2価の複素環基:ピリジン−ジイル基(下図の式39〜44)、ジアザフェニレン基(下図の式45〜48)、キノリンジイル基(下図の式49〜63)、キノキサリンジイル基(下図の式64〜68)、アクリジンジイル基(下図の式69〜72)、ビピリジルジイル基(下図の式73〜75)、フェナントロリンジイル基(下図の式76〜78);
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含みフルオレン構造を有する基(下図の式79〜93);
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基(下図の式94〜98);
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環縮合複素基(下図の式99〜110);
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基(下図の式111〜112);
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基(下図の式113〜119);
ヘテロ原子として酸素、窒素、硫黄、などを含む5員環縮合複素環基にフェニル基やフリル基、チエニル基が置換した基(下図の式120〜127);
ヘテロ原子として窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環が縮合した基(下記の図128〜139);ベンゼン環とチオフェン環が縮合した基(下記の図140〜143)などを例示することが出来る。
【0077】

【0078】

【0079】

【0080】

【0081】

【0082】

【0083】

【0084】

【0085】

【0086】

【0087】

【0088】

【0089】

【0090】

【0091】

【0092】

【0093】

【0094】
式1〜式143中、Rは前述と同じ意味を表す。a、bは、同一又は相異なり、繰り返しの数を表し、通常1〜5であり、好ましくは1〜3であり、特に好ましくは1である。
【0095】
式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位としては、光電変換効率の観点からは、下記群1の式(A−1)〜式(E−1)で表される構造単位が好ましい。
(群1)


〔群1中、Qは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R30)−又は−CR31=CR32−を表す。R30、R31及びR32は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。R20〜R25は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。R20とR21は、連結して環状構造を形成してもよい。環G〜環Nは芳香環を表す。〕
【0096】
環G〜環Nで表される芳香環は、単環式芳香環であっても、多環式芳香環であってもよい。単環式芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、トリアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環などの芳香環が挙げられる。ただし、環Gはベンゼン環ではない。
【0097】
多環式芳香環としては、前記の単環式芳香環に任意の環が縮合した芳香環が挙げられる。単環式芳香環に縮合する環としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、プラゾリジン環、フラザン環、トリアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、テトラゾール環、ピラン環、ピリジン環,ピペリジン環、チオピラン環、リダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環、モルホリン環、トリアジン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、イソインドール環、インドリジン環、インドリン環、イソインドリン環、クロメン環、クロマン環、イソクロマン環、ベンゾピラン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、インダゾール環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、キナゾリジン環、シンノリン環、フタラジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、キサンテン環、フェナントリジン環、アクリジン環、β-カルボリン環、ペリミジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環などが挙げられる。
【0098】
30、R31及びR32が置換基である場合、水素原子又は置換基を表す。該置換基としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子などのハロゲン原子、炭素数1〜30の基が好ましい。該炭素数1〜30の基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基などのアルキルオキシ基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。
【0099】
群1中、R20〜R25は水素原子又は置換基を表す。R20〜R25が置換基である場合、フッ素原子、臭素原子、塩素原子などのハロゲン原子、炭素数1〜30の基が好ましい。該炭素数1〜30の基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基などのアルキルオキシ基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基等が挙げられる。
20とR21は、相互に連結して環状構造を形成してもよい。連結して形成した環状構造の具体例としては、以下の式(イ)〜式(ハ)の構造が挙げられる。

【0100】
式(イ)〜式(ハ)中、R60、R61は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。R60、R61が置換基の場合、該置換基としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子などのハロゲン原子、炭素数1〜30の基が好ましい。該置換基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基などのアルキルオキシ基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。
30、X31は、同一又は相異なり、硫黄原子又はセレン原子を表す。X30、X31は、好ましくは硫黄原子である。Y30〜Y35は、同一又は相異なり、窒素原子又は=CH−を表す。Y30〜Y35は、好ましくは窒素原子である。
【0101】
環G〜環Nは、R20〜R25以外の置換基を有していてもよく、該置換基の例としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子などのハロゲン原子、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基などのアルキルオキシ基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。
【0102】
群1に含まれる構造単位の中でも、光電変換効率の観点からは、下記群2の式(A−2)〜式(E−2)で表される構造単位がより好ましい。
(群2)

【0103】

【0104】
式(A−2)〜式(E−2)中、Q〜Qは、同一又は相異なり、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R30)−又は−CR31=CR32−を表す。R30、R31、R32は、前述と同じ意味を表す。Q〜Qは、好ましくは硫黄原子である。Y、Yは、同一又は相異なり、窒素原子又は=CH−を表す。Y、Yは、好ましくは窒素原子である。
40〜R49は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。R40〜R49が置換基である場合、該置換基は、フッ素原子、臭素原子、塩素原子などのハロゲン原子、炭素数1〜30の基が好ましい。該炭素数1〜30の基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基などのアルキルオキシ基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。また、R40とR4142とR43は、それぞれ連結して環状構造を形成してもよい。
【0105】
40とR4142とR43が連結して形成した環状構造の具体例としては、式(イ)で表される環状構造、式(ロ)で表される環状構造が挙げられる。
【0106】
式(A−2)〜式(E−2)で表される構造単位としては、好ましくは式(500)〜式(528)で表される基が挙げられる。
【0107】

【0108】

【0109】

(式中、R、a、bは前記と同じ意味を表す)
【0110】
本発明の高分子化合物が含有する構造単位の一例としては、式(601)〜式(640)で表される構造単位が挙げられる。

【0111】

(式中、R50、R51及びRは前記と同じ意味を表す。)
【0112】
本発明の高分子化合物は、式(601)〜式(640)で表される構造単位を繰り返し単位として有していてもよく、該構造単位の連鎖を有していてもよい。また、アリーレン基又は2価の複素環基を介して該構造単位が結合した2価の有機基を、繰り返し単位として有していてもよく、該2価の有機基の連鎖を有していてもよい。アリーレン基及び2価の複素環基としては、前述の式1〜式143で表される基が挙げられる。
【0113】
本発明における高分子化合物とは、重量平均分子量が1000以上のものを指すが、重量平均分子量が3000〜10000000の高分子化合物が好ましく用いられる。重量平均分子量が3000より低いとデバイス作製時の膜形成に欠陥が生じることがあり、10000000より大きいと溶媒への溶解性や素子作製時の塗布性が低下することがある。重量平均分子量としてさらに好ましくは8000〜5000000であり、特に好ましくは10000〜1000000である。
なお、本発明における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、ポリスチレンの標準試料を用いて算出したポリスチレン換算の重量平均分子量のことを指す。
【0114】
本発明の高分子化合物中の式(1)で表される構造単位の含有量は、化合物中に少なくとも1つ含まれていればよい。好ましくは高分子化合物中、高分子鎖一本あたり平均2個以上、さらに好ましくは高分子鎖一本あたり平均3個以上含まれる。
【0115】
また、本発明の高分子化合物は、素子に用いられる場合、デバイス作製の容易性から、溶媒への溶解度が高いことが望ましい。具体的には、本発明の高分子化合物が、該高分子化合物を0.01重量(wt)%以上含む溶液を作製し得る溶解性を有することが好ましく、0.1wt%以上含む溶液を作製し得る溶解性を有することがより好ましく、0.4wt%以上含む溶液を作製し得る溶解性を有することがさらに好ましい。
【0116】
本発明の高分子化合物の製造方法としては、特に制限されるものではないが、高分子化合物の合成の容易さからは、Suzukiカップリング反応やStilleカップリング反応を用いる方法が好ましい。
【0117】
Suzukiカップリング反応を用いる方法としては、例えば、式(100):
100−E1−Q200 (100)
〔式中、Eは、芳香環を含む2価の基を表す。Q100及びQ200は、同一又は相異なり、ボロン酸残基又はホウ酸エステル残基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物と、式(200):
1−E2−T2 (200)
〔式中、E2は、式(1)で表される基を含む構造単位を表す。T及びTは、同一又は相異なり、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物とを、パラジウム触媒及び塩基の存在下で反応させる工程を有する製造方法が挙げられる。Eとして好ましくは2価の芳香族基であり、さらに好ましくは前述の式1〜式143で表される基が挙げられる。
この場合、反応に用いる式(200)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計が、式(100)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計に対して、過剰であることが好ましい。反応に用いる式(200)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計を1モルとすると、式(100)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計が0.6〜0.99モルであることが好ましく、0.7〜0.95モルであることがさらに好ましい。
【0118】
ホウ酸エステル残基としては、下記式:

(式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。)
で表される基等が例示される。
【0119】
式(200)における、T及びTで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。高分子化合物の合成の容易さからは、臭素原子、ヨウ素原子であることが好ましく、臭素原子であることがさらに好ましい。
【0120】
式(200)における、T及びTで表されるアルキルスルホネート基としては、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基が例示される。アリールスルホネート基としては、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基が例示される。アリールアルキルスルホネート基としては、ベンジルスルホネート基が例示される。
【0121】
具体的には、Suzukiカップリング反応を行う方法としては、任意の溶媒中において、触媒としてパラジウム触媒を用い、塩基の存在下で反応させる方法等が挙げられる。
【0122】
Suzukiカップリング反応に使用するパラジウム触媒としては、例えば、Pd(0)触媒、Pd(II)触媒等が挙げられ、具体的には、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムアセテート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム等が挙げられるが、反応(重合)操作の容易さ、反応(重合)速度の観点からは、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムアセテート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムが好ましい。
パラジウム触媒の添加量は、特に限定されず、触媒としての有効量であればよいが、式(100)で表される化合物1モルに対して、通常、0.0001モル〜0.5モル、好ましくは0.0003モル〜0.1モルである。
【0123】
Suzukiカップリング反応に使用するパラジウム触媒としてパラジウムアセテート類を用いる場合は、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン等のリン化合物を配位子として添加することができる。この場合、配位子の添加量は、パラジウム触媒1モルに対して、通常、0.5モル〜100モルであり、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0124】
Suzukiカップリング反応に使用する塩基としては、無機塩基、有機塩基、無機塩等が挙げられる。無機塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化バリウム等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等が挙げられる。無機塩としては、例えば、フッ化セシウム等が挙げられる。
塩基の添加量は、式(100)で表される化合物1モルに対して、通常、0.5モル〜100モル、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0125】
Suzukiカップリング反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等が例示される。本発明に用いられる高分子化合物の溶解性の観点からは、トルエン、テトラヒドロフランが好ましい。また、塩基は、水溶液として加え、2相系で反応させてもよい。塩基として無機塩を用いる場合は、無機塩の溶解性の観点から、通常、水溶液として加えて反応させる。
なお、塩基を水溶液として加え、2相系で反応させる場合は、必要に応じて、第4級アンモニウム塩などの相間移動触媒を加えてもよい。
【0126】
Suzukiカップリング反応を行う温度は、前記溶媒にもよるが、通常、50〜160℃程度であり、高分子化合物の高分子量化の観点から、60〜120℃が好ましい。また、溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。反応時間は、目的の重合度に達したときを終点としてもよいが、通常、0.1時間〜200時間程度である。1時間〜30時間程度が効率的で好ましい。
【0127】
Suzukiカップリング反応は、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気下、Pd(0)触媒が失活しない反応系で行う。例えば、アルゴンガスや窒素ガス等で、十分脱気された系で行う。具体的には、重合容器(反応系)内を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、この重合容器に、式(100)で表される化合物、式(200)で表される化合物、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を仕込み、さらに、重合容器を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより、脱気した溶媒、例えば、トルエンを加えた後、この溶液に、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより脱気した塩基、例えば、炭酸ナトリウム水溶液を滴下した後、加熱、昇温し、例えば、還流温度で8時間、不活性雰囲気を保持しながら重合する。
【0128】
Stilleカップリング反応を用いる方法としては、例えば、式(300):
300−E−Q400 (300)
〔式中、Eは、芳香環を含む2価の基を表す。Q300及びQ400は、同一又は相異なり、有機スズ残基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物と、前記式(200)で表される1種類以上の化合物とを、パラジウム触媒の存在下で反応させる工程を有する製造方法が挙げられる。Eとして好ましくは2価の芳香族基であり、さらに好ましくは前述の式1〜式143で表される基である。
【0129】
有機スズ残基としては、-SnR100で表される基等が挙げられる。ここでR100は1価の有機基を表す。1価の有機基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられる。
アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2一メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。有機スズ残基として好ましくは-SnMe、-SnEt、-SnBu、-SnPhであり、さらに好ましくは-SnMe、-SnEt、-SnBuである。上記好ましい例において、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Buはブチル基を、Phはフェニル基を表す。
【0130】
式(200)における、T及びTで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。高分子化合物の合成の容易さからは、臭素原子、ヨウ素原子であることが好ましい。
【0131】
式(200)における、T及びTで表されるアルキルスルホネート基としては、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基が例示される。アリールスルホネート基としては、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基が例示される。アリールスルホネート基としては、ベンジルスルホネート基が例示される。
【0132】
具体的には、触媒として、例えば、パラジウム触媒下で任意の溶媒中で反応する方法が挙げられる。
Stilleカップリング反応に使用するパラジウム触媒としては、例えば、Pd(0)触媒、Pd(II)触媒が挙げられる。具体的には、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムアセテート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムが挙げられ、反応(重合)操作の容易さ、反応(重合)速度の観点からは、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムが好ましい。
Stilleカップリング反応に使用するパラジウム触媒の添加量は、特に限定されず、触媒としての有効量であればよいが、式(100)で表される化合物1モルに対して、通常、0.0001モル〜0.5モル、好ましくは0.0003モル〜0.2モルである。
【0133】
また、Stilleカップリング反応において、必要に応じて配位子や助触媒を用いることもできる。配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2−フリル)ホスフィン等のリン化合物やトリフェニルアルシン、トリフェノキシアルシン等の砒素化合物が挙げられる。助触媒としてはヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、2−テノイル酸銅(I)などが挙げられる。
配位子又は助触媒を用いる場合、配位子又は助触媒の添加量は、パラジウム触媒1モルに対して、通常、0.5モル〜100モルであり、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0134】
Stilleカップリング反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等が例示される。本発明に用いられる高分子化合物の溶解性の観点からは、トルエン、テトラヒドロフランが好ましい。
【0135】
Stilleカップリング反応を行う温度は、前記溶媒にもよるが、通常、50〜160℃程度であり、高分子化合物の高分子量化の観点から、60〜120℃が好ましい。また、溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。
前記反応を行う時間(反応時間)は、目的の重合度に達したときを終点としてもよいが、通常、0.1時間〜200時間程度である。1時間〜30時間程度が効率的で好ましい。
【0136】
Stilleカップリング反応は、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気下、Pd触媒が失活しない反応系で行う。例えば、アルゴンガスや窒素ガス等で、十分脱気された系で行う。具体的には、重合容器(反応系)内を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、この重合容器に、式(300)で表される化合物、式(200)で表される化合物、パラジウム触媒を仕込み、さらに、重合容器を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより、脱気した溶媒、例えば、トルエンを加えた後、必要に応じて配位子や助触媒を加え、その後、加熱、昇温し、例えば、還流温度で8時間、不活性雰囲気を保持しながら重合する。
【0137】
前記高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは1×10〜1×10である。ポリスチレン換算の数平均分子量が1×10以上である場合には、強靭な薄膜が得られやすくなる。一方、10以下である場合には、溶解性が高く、薄膜の作製が容易である。
【0138】
本発明の高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、素子の作製に用いたときに得られる素子の特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基で保護されていてもよい。主鎖の共役構造と連続した共役結合を有しているものが好ましく、また、例えば、ビニレン基を介してアリール基又は複素環基と結合している構造であってもよい。
【0139】
本発明の高分子化合物は、式(1)で表される構造単位を有することを特徴とするが、該高分子化合物は、例えば、式(1−3)で表される化合物を原料の一つとして用いることにより合成することが出来る。

式(1−3)中、Ar、Ar、X及びXは前述と同じ意味を表す。W、及びWは、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸エステル残基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、ボロン酸残基、ホルミル基、ビニル基又は有機スズ残基を表す。
【0140】
、Wが水素原子である場合には、酸化重合を行うことで、式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物を製造することが出来る。酸化重合においては、通常触媒が用いられる。かかる触媒としては、公知の触媒を用いることが可能である。例えば、金属ハロゲン化物、又は金属ハロゲン化物とアミン錯体との混合物(金属ハロゲン化物/アミン錯体)等が用いられる。ここで金属ハロゲン化物としては例えば、銅、鉄、バナジウム、又はクロムなどの金属の1価、2価、又は3価のハロゲン化物を用いることができる。アミン錯体の製造に用いるアミンとしては、例えば、ピリジン、ルチジン、2−メチルイミダゾール、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなどのアミンを用いることができる。金属ハロゲン化物/アミン錯体は溶媒中、酸素存在下で金属ハロゲン化物とアミンを混合することによって製造することが可能であり、金属ハロゲン化物とアミンの混合モル比は、例えば金属ハロゲン化物/アミン=1/0.l〜1/200、好ましくは1/0.3〜1/100程度である。
【0141】
触媒としては、塩化鉄を用いることもできる(Polym. Prep. Japan, Vol.48, 309 (1999))。さらに銅/アミン触媒系を用いる(J. Org. Chem.,64, 2264 (1999)、J. Polym. Sci. PartA, Polym. Chem., 37, 3702 (1999))ことにより、高分子化合物の分子量を高めることができる。
【0142】
酸化重合における溶媒としては、触媒が被毒を受けない溶媒であれば特に制限なく使用することができる。かかる溶媒としては、例えば、炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、アルコール類が挙げられる。ここで、炭化水素系溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ナフタリン、テトラリンが挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルが挙げられる。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノールが挙げられる。
【0143】
酸化重合における反応温度は、通常−100℃〜100℃、好ましくは−50〜50℃程度である。
また共重合体を製造する場合にはモノマーを2種類以上混合して重合する方法や、1種類のモノマーを重合した後に2種目のモノマーを添加する方法などが挙げられる。これらの方法を用いること、又は組み合わせることにより、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、マルチブロック共重合体、グラフト共重合体などを製造することが可能である。
【0144】
官能基変換のしやすさの観点からは、式(1−3)中のW、Wは、同一又は相異なり、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸エステル残基、ボロン酸残基又は有機スズ残基であることが好ましい。
、Wが水素原子である場合、W、Wを臭素原子に変換する方法としては、公知の方法を使用することが出来るが、例えば、W、Wが水素原子である式(1−3)で表される化合物と臭素又はN−ブロモスクシンイミド(NBS)とを接触させて臭素化する方法が挙げられる。臭素化の条件は任意に設定することができるが、例えば、溶媒中でNBSと反応させる方法は、臭素化率が高く、かつ臭素原子の導入位置の選択性が高くなるために望ましい。この時に使用する溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素などが挙げられる。反応時間は通常1分から10時間程度、反応温度は通常−50℃〜50℃程度である。使用する臭素の量はW、Wが水素原子である式(1−3)で表される化合物1モルに対して1モル〜5モル程度が好ましい。反応後は、例えば、水を加えて反応を停止した後に生成物を有機溶媒で抽出し、溶媒を留去するなどの通常の後処理を行い、W、Wが臭素原子である式(1−3)で表される化合物を得ることができる。生成物の単離後及び精製はクロマトグラフィーによる分取や再結晶などの方法により行うことができる。
【0145】
本発明の高分子化合物は、光吸収末端波長が700nm以上であることを特徴の一つとする。本発明における光吸収末端波長とは以下の方法で求められた値のことを意味する。
測定には、紫外、可視、近赤外の波長領域で動作する分光光度計(例えば、日本分光製、紫外可視近赤外分光光度計JASCO−V670)を用いる。JASCO−V670を用いる場合、測定可能な波長範囲が200〜1500nmであるため、該波長範囲で測定を行う。まず、測定に用いる基板の吸収スペクトルを測定する。基板としては、石英基板、ガラス基板等を用いる。次いで、その基板の上に第1の化合物を含む溶液若しくは第1の化合物を含む溶融体から第1の化合物を含む薄膜を形成する。溶液からの製膜では、製膜後乾燥を行う。その後、薄膜と基板との積層体の吸収スペクトルを得る。薄膜と基板との積層体の吸収スペクトルと基板の吸収スペクトルとの差を、薄膜の吸収スペクトルとして得る。
該薄膜の吸収スペクトルは、縦軸が第1の化合物の吸光度を、横軸が波長を示す。最も大きい吸収ピークの吸光度が0.5〜2程度になるよう、薄膜の膜厚を調整することが望ましい。吸収ピークの中で一番長波長の吸収ピークの吸光度を100%とし、その50%の吸光度を含む横軸(波長軸)に平行な直線と該吸収ピークとの交点であって、該吸収ピークのピーク波長よりも長波長である交点を第1の点とする。その25%の吸光度を含む波長軸に平行な直線と該吸収ピークとの交点であって、該吸収ピークのピーク波長よりも長波長である交点を第2の点とする。第1の点と第2の点とを結ぶ直線と基準線の交点を光吸収末端波長と定義する。ここで、基準線とは、最も長波長の吸収ピークにおいて、該吸収ピークの吸光度を100%とし、その10%の吸光度を含む波長軸に平行な直線と該吸収ピークの交点であって、該吸収ピークのピーク波長よりも長波長である交点の波長を基準として、基準となる波長より100nm長波長である吸収スペクトル上の第3の点と、基準となる波長より150nm長波長である吸収スペクトル上と第4の点を結んだ直線をいう。
前記特許文献1記載の高分子化合物である繰り返し単位(A)及び繰り返し単位(B)からなる高分子化合物は、光吸収末端波長が700nm未満であった。
【0146】
光吸収末端波長を長波長にする観点からは、本発明の高分子化合物が、式(1)で表される構造単位の他に、式(A−1)〜式(E−1)で表される構造単位が好ましい。式(A−1)〜式(E−1)で表される構造単位を有することで、化合物のHOMOとLUMOのバンドギャップが狭くなり、光吸収末端波長が長波長になる。
式(A−1)〜式(E−1)で表される構造単位の中でも、光吸収末端波長を長波長吸収にする観点からは、式(A−1)で表される構造単位が好ましく、式(A−2)で表される構造単位がより好ましい。中でも、式(511)、式(523)、式(528)で表される基がさらにより好ましく、式(511)、式(528)で表される基が特に好ましい。本発明の高分子化合物中、式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位が占める割合は10重量(wt)%以上90wt%未満であることが好ましい。
本発明の高分子化合物の光吸収末端波長を長波長吸収にする観点からは、式(1)で表される構造単位の中でも、式(301)、式(306)、式(307)、式(310)、式(312)、式(318)、式(362)で表される構造単位が好ましく、式(301)、式(318)、式(362)で表される構造単位がさらに好ましく、式(301)、式(362)で表される構造単位が特に好ましい。本発明の高分子化合物中、式(1)で表される構造単位が占める割合は10wt%以上90wt%未満であることが好ましい。
【0147】
本発明の高分子化合物としては、光吸収末端波長を長波長吸収にする観点からは、式(701)〜式(708)で表される構造単位を有することが好ましい。

【0148】

〔式(701)〜(708)中、R50、R51、R、a及びbは、前記と同じ意味を表す。〕
【0149】
本発明の高分子化合物は、高い電子及び/又はホール輸送性を発揮し得ることから、該化合物を含む有機薄膜を素子に用いた場合、電極から注入された電子やホール、或いは、光吸収によって発生した電荷を輸送することができる。これらの特性を活かして光電変換素子、有機薄膜トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス素子等の種々の素子に好適に用いることができる。以下、これらの素子について個々に説明する。
【0150】
<光電変換素子>
本発明の高分子化合物を有する光電変換素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に、本発明の高分子化合物を含む1層以上の活性層を有する。
本発明の高分子化合物を有する光電変換素子の好ましい形態としては、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極と、p型の有機半導体とn型の有機半導体との有機組成物から形成される活性層を有する。本発明の高分子化合物は、p型の有機半導体として用いることが好ましい。この形態の光電変換素子の動作機構を説明する。透明又は半透明の電極から入射した光エネルギーがフラーレン誘導体等の電子受容性化合物(n型の有機半導体)及び/又は本発明の高分子化合物等の電子供与性化合物(p型の有機半導体)で吸収され、電子とホールが結合した励起子を生成する。生成した励起子が移動して、電子受容性化合物と電子供与性化合物が隣接しているヘテロ接合界面に達すると、界面でのそれぞれのHOMOエネルギー及びLUMOエネルギーの違いにより電子とホールが分離し、独立に動くことができる電荷(電子とホール)が発生する。発生した電荷は、それぞれ電極へ移動することにより外部へ電気エネルギー(電流)として取り出すことができる。
本発明の高分子化合物を用いて製造される光電変換素子は、通常、基板上に形成される。この基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に化学的に変化しないものであればよい。基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコンが挙げられる。不透明な基板の場合には、反対の電極(即ち、基板から遠い方の電極)が透明又は半透明であることが好ましい。
【0151】
本発明の高分子化合物を有する光電変換素子の他の態様は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に、本発明の高分子化合物を含む第1の活性層と、該第1の活性層に隣接して、フラーレン誘導体等の電子受容性化合物を含む第2の活性層を含む光電変換素子である。
【0152】
前記の透明又は半透明の電極材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性材料を用いて作製された膜、NESAや、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。電極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、電極材料として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0153】
一方の電極は透明でなくてもよく、該電極の電極材料としては、金属、導電性高分子等を用いることができる。電極材料の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びそれらのうち2つ以上の合金、又は、1種以上の前記金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン及び錫からなる群から選ばれる1種以上の金属との合金、グラファイト、グラファイト層間化合物、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体が挙げられる。合金としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
【0154】
光電変換効率を向上させるための手段として活性層以外の付加的な中間層を使用してもよい。中間層として用いられる材料としては、フッ化リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化チタン等の酸化物、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが挙げられる。
【0155】
<活性層>
前記活性層は、本発明の高分子化合物を一種単独で含んでいても二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。また、前記活性層のホール輸送性を高めるため、前記活性層中に電子供与性化合物及び/又は電子受容性化合物として、本発明の高分子化合物以外の化合物を混合して用いることもできる。なお、前記電子供与性化合物、前記電子受容性化合物は、これらの化合物のエネルギー準位のエネルギーレベルから相対的に決定される。
【0156】
前記電子供与性化合物としては、本発明の高分子化合物のほか、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体が挙げられる。
【0157】
前記電子受容性化合物としては、本発明の高分子化合物のほか、例えば、炭素材料、酸化チタン等の金属酸化物、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(バソクプロイン)等のフェナントレン誘導体、フラーレン、フラーレン誘導体が挙げられ、好ましくは、酸化チタン、カーボンナノチューブ、フラーレン、フラーレン誘導体であり、特に好ましくはフラーレン、フラーレン誘導体である。
フラーレン、フラーレン誘導体としてはC60、C70、C76、C78、C84及びその誘導体が挙げられる。フラーレン誘導体は、フラーレンの少なくとも一部が修飾された化合物を表す。
【0158】
フラーレン誘導体としては、例えば、式(13)で表される化合物、式(14)で表される化合物、式(15)で表される化合物、式(16)で表される化合物が挙げられる。

(13) (14) (15) (16)

(式(13)〜(16)中、Rは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はエステル構造を有する基である。複数個あるRは、同一であっても相異なってもよい。Rはアルキル基又はアリール基を表す。複数個あるRは、同一であっても相異なってもよい。)
【0159】
及びRで表されるアルキル基、アリール基の定義、具体例は、Rで表されるアルキル基、アリール基の定義、具体例と同じである。
【0160】
で表されるヘテロアリール基は、通常、炭素数が3〜60であり、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられる。
【0161】
で表されるエステル構造を有する基は、例えば、式(17)で表される基が挙げられる。

(17)
(式中、u1は、1〜6の整数を表す、u2は、0〜6の整数を表す、Rは、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。)
【0162】
で表されるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基の定義、具体例は、Rで表されるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基の定義、具体例と同じである。
【0163】
60の誘導体の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。

【0164】
70の誘導体の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。

【0165】
また、フラーレン誘導体の例としては、[6,6]フェニル−C61酪酸メチルエステル(C60PCBM、[6,6]-Phenyl C61 butyric acid methyl ester)、[6,6]フェニル−C71酪酸メチルエステル(C70PCBM、[6,6]-Phenyl C71 butyric acid methyl ester)、[6,6]フェニル−C85酪酸メチルエステル(C84PCBM、[6,6]-Phenyl C85 butyric acid methyl ester)、[6,6]チェニル−C61酪酸メチルエステル([6,6]-Thienyl C61 butyric acid methyl ester)が挙げられる。
【0166】
活性層中に本発明の高分子化合物とフラーレン誘導体とを含む場合、フラーレン誘導体の割合が、本発明の高分子化合物100重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましく、20〜500重量部であることがより好ましい。
【0167】
活性層の厚さは、通常、1nm〜100μmが好ましく、より好ましくは2nm〜1000nmであり、さらに好ましくは5nm〜500nmであり、より好ましくは20nm〜200nmである。
【0168】
前記活性層の製造方法は、如何なる方法で製造してもよく、例えば、高分子化合物を含む溶液からの成膜や、真空蒸着法による成膜方法が挙げられる。
【0169】
<光電変換素子の製造方法>
光電変換素子の好ましい製造方法は、第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有する素子の製造方法であって、該第1の電極上に本発明の高分子化合物と溶媒とを含む溶液(インク)を塗布法により塗布して活性層を形成する工程、該活性層上に第2の電極を形成する工程を有する素子の製造方法である。
【0170】
溶液からの成膜に用いる溶媒は、本発明の高分子化合物を溶解させるものであればよい。該溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の不飽和炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒が挙げられる。本発明の高分子化合物は、通常、前記溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0171】
溶液を用いて成膜する場合、スリットコート法、ナイフコート法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットコート法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を用いることができ、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ノズルコート法、インクジェットコート法、スピンコート法が好ましい。
成膜性の観点からは、25℃における溶媒の表面張力が15mN/mより大きいことが好ましく、15mN/mより大きく100mN/mよりも小さいことがより好ましく、25mN/mより大きく60mN/mよりも小さいことがさらに好ましい。
【0172】
<有機薄膜トランジスタ>
本発明の高分子化合物は、有機薄膜トランジスタにも用いることができる。有機薄膜トランジスタとしては、ソース電極及びドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となる有機半導体層(活性層)と、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを備えた構成を有するものが挙げられ、有機半導体層が上述した有機薄膜によって構成されるものである。このような有機薄膜トランジスタとしては、電界効果型、静電誘導型等が挙げられる。
【0173】
電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層(活性層)、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極、並びに、有機半導体層とゲート電極との間に配置される絶縁層を備えることが好ましい。
特に、ソース電極及びドレイン電極が、有機半導体層(活性層)に接して設けられており、さらに有機半導体層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていることが好ましい。電界効果型有機薄膜トランジスタにおいては、有機半導体層が、本発明の高分子化合物を含む有機薄膜によって構成される。
【0174】
静電誘導型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層(活性層)、並びに電流経路を通る電流量を制御するゲート電極を有し、このゲート電極が有機半導体層中に設けられていることが好ましい。特に、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体層中に設けられたゲート電極が、有機半導体層に接して設けられていることが好ましい。ここで、ゲート電極の構造としては、ソース電極からドレイン電極へ流れる電流経路が形成され、且つゲート電極に印加した電圧で電流経路を流れる電流量が制御できる構造であればよく、例えば、くし形電極が挙げられる。静電誘導型有機薄膜トランジスタにおいても、有機半導体層が、本発明の高分子化合物を含む有機薄膜によって構成される。
【0175】
<素子の用途>
本発明の高分子化合物を用いた光電変換素子は、透明又は半透明の電極から太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生し、有機薄膜太陽電池として動作させることができる。有機薄膜太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
【0176】
また、電極間に電圧を印加した状態、あるいは無印加の状態で、透明又は半透明の電極から光を照射することにより、光電流が流れ、有機光センサーとして動作させることができる。有機光センサーを複数集積することにより有機イメージセンサーとして用いることもできる。
上述の有機薄膜トランジスタは、例えば電気泳動ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の画素の制御や、画面輝度の均一性や画面書き換え速度を制御のために用いられる画素駆動素子等として用いることができる。
【0177】
<太陽電池モジュール>
有機薄膜太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明の高分子化合物を用いて製造される有機薄膜太陽電池も使用目的や使用場所及び環境により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
【0178】
代表的なスーパーストレートタイプあるいはサブストレートタイプのモジュールは、片側又は両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リード又はフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り出される構造となっている。基板とセルの間には、セルの保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルム又は充填樹脂の形で用いてもよい。また、外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成し、又は上記充填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくすことが可能である。支持基板の周囲は、内部の密封及びモジュールの剛性を確保するため金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、セルそのものや支持基板、充填材料及び封止材料に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。
ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出しながら順次セルを形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより電池本体を作製できる。また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48,p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
【0179】
本発明の高分子化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)に用いることもできる。有機EL素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に発光層を有する。有機EL素子は、発光層の他にも、正孔輸送層、電子輸送層を含んでいてもよい。該発光層、正孔輸送層、電子輸送層のいずれかの層中に本発明の高分子化合物が含まれる。発光層中には、本発明の高分子化合物の他にも、電荷輸送材料(電子輸送材料と正孔輸送材料の総称を意味する)を含んでいてもよい。有機EL素子としては、陽極と発光層と陰極とを有する素子、さらに陰極と発光層の間に、該発光層に隣接して電子輸送材料を含有する電子輸送層を有する陽極と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子、さらに陽極と発光層の間に、該発光層に隣接して正孔輸送材料を含む正孔輸送層を有する陽極と正孔輸送層と発光層と陰極とを有する素子、陽極と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子等が挙げられる。
【実施例】
【0180】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0181】
(NMR測定)
NMR測定は、化合物を重クロロホルムに溶解させ、NMR装置(Varian社製、INOVA300)を用いて行った。
【0182】
(数平均分子量及び重量平均分子量の測定)
数平均分子量及び重量平均分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)によりポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量を求めた。測定する高分子化合物は、約0.5重量%の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに30μL注入した。GPCの移動相はテトラヒドロフランを用い、0.6mL/分の流速で流した。カラムは、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。
【0183】
参考例1
(化合物1の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した1000mLの4つ口フラスコに、3−ブロモチオフェンを13.0g(80.0mmol)、ジエチルエーテルを80mL入れて均一な溶液とした。該溶液を−78℃に保ったまま、2.6Mのn−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液31mL(80.6mmol)を滴下した。−78℃で2時間反応させた後、3−チオフェンアルデヒド8.96g(80.0mmol)をジエチルエーテル20mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下後、−78℃で30分攪拌し、さらに室温(25℃)で30分攪拌した。反応液を再度−78℃に冷却し、2.6Mのn−BuLiのヘキサン溶液62mL(161mmol)を15分かけて滴下した。滴下後、反応液を−25℃で2時間攪拌し、さらに室温(25℃)で1時間攪拌した。その後、反応液を−25℃に冷却し、ヨウ素60g(236mmol)をジエチルエーテル1000mLに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下後、室温(25℃)で2時間攪拌し、1規定のチオ硫酸ナトリウム水溶液50mLを加えて反応を停止させた。ジエチルエーテルで反応生成物を抽出した後、硫酸マグネシウムで反応生成物を乾燥し、ろ過後、ろ液を濃縮して35gの粗生成物を得た。クロロホルムを用いて粗生成物を再結晶することにより精製し、化合物1を28g得た。
【0184】
参考例2
(化合物2の合成)

300mLの4つ口フラスコに、ビスヨードチエニルメタノール(化合物1)を10.5g(23.4mmol)、塩化メチレンを150mL加えて均一な溶液とした。該溶液にクロロクロム酸ピリジニウム7.50g(34.8mmol)を加えて室温(25℃)で10時間攪拌した。反応液をろ過して不溶物を除去後、ろ液を濃縮し、化合物2を10.0g(22.4mmol)得た。
【0185】
参考例3
(化合物3の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した300mLフラスコに、化合物2を10.0g(22.4mmol)、銅粉末を6.0g(94.5mmol)、脱水N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと呼称することもある)を120mL加えて、120℃で4時間攪拌した。反応後、フラスコを室温(25℃)まで冷却し、反応液をシリカゲルカラムに通して不溶成分を除去した。その後、水500mLを加え、クロロホルムで反応生成物を抽出した。クロロホルム溶液である油層を硫酸マグネシウムで乾燥し、油層をろ過し、ろ液を濃縮して粗製物を得た。組成物をシリカゲルカラム(展開液:クロロホルム)で精製し、化合物3を3.26g得た。ここまでの操作を複数回行った。
【0186】
参考例4
(化合物4の合成)

メカニカルスターラーを備え、フラスコ内の気体をアルゴンで置換した300mL4つ口フラスコに、化合物3を3.85g(20.0mmol)、クロロホルムを50mL、トリフルオロ酢酸を50mL入れて均一な溶液とした。該溶液に過ホウ酸ナトリウム1水和物5.99g(60mmol)を加え、室温(25℃)で45分間攪拌した。その後、水200mLを加え、クロロホルムで反応生成物を抽出し、クロロホルム溶液である有機層をシリカゲルカラムに通し、エバポレーターでろ液の溶媒を留去した。メタノールを用いて残渣を再結晶し、化合物4を534mg得た。
【0187】
H NMR in CDCl(ppm):7.64(d、1H)、7.43(d、1H)、7.27(d、1H)、7.10(d、1H)
【0188】
参考例5
(化合物5の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLの4つ口フラスコに、化合物4を534mg(2.56mmol)、脱水テトラヒドロフラン(THF)を25mL入れて均一な溶液とした。該溶液を−20℃に冷却し、n−オクチルマグネシウムブロミドのTHF溶液(1M)を10.3mL(10.3mmol)加えた。その後、室温(25℃)に昇温し、室温(25℃)で1.5時間攪拌した。その後、水50mLを加えて反応を停止し、酢酸エチルで反応生成物を抽出した。酢酸エチル溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、酢酸エチル溶液をシリカゲルカラムに通し、その後、ろ液の溶媒を留去し、化合物5を433mg得た。
【0189】
H NMR in CDCl(ppm):7.24(d、1H)、7.19(d、1H)、6.98(d、1H)、6.76(d、1H)、1.79(b、4H)、1.32(b、24H)、0.86(s、6H)
【0190】
参考例6
(化合物6の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物5を433mg(0.992mmol)とトルエンを15mL入れ、均一な溶液とした。該溶液にp−トルエンスルホン酸ナトリウム1水和物を57mg入れて100℃で4時間攪拌を行った。反応液を室温(25℃)まで冷却後、水50mLを加え、トルエンで反応生成物を抽出した。トルエン溶液である有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(溶媒:ヘキサン)で精製し、化合物6を389mg得た(収率93.7%)。
【0191】
H NMR in CDCl(ppm):6.99(d、1H)、6.94(d、1H)、6.69(d、1H)、6.60(d、1H)、1.80(b、4H)、1.32(b、24H)、0.86(s、6H)
【0192】
参考例7
(化合物7の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物6を389mg(0.929mmol)と脱水DMFを12mL入れて均一な溶液とした。該溶液を−20℃に保ち、N−ブロモスクシンイミド(以下、NBSと呼称することもある。)339mg(1.90mmol)を加え、−20℃で3時間反応させ、その後、0℃で1時間反応させた。反応後、1規定のチオ硫酸ナトリウム水溶液50mLを加えて反応を停止し、エーテルで反応生成物を抽出した。エーテル溶液である有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム(溶媒:ヘキサン)で精製し、化合物7を315mg得た(収率58.9%)。
【0193】
H NMR in CDCl(ppm):6.65(s、1H)、6.63(s、1H)、1.81(b、4H)、1.33(b、24H)、0.87(s、6H)
【0194】
実施例1
(重合体Aの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した100mLフラスコに、化合物7を115.3mg(0.200mmol)、化合物8(4,7−bis(4,4,5,5−tetramethyl−1,3,2−dioxaborolan−2−yl)−2,1,3−benzothiadiazole)(Aldrich社製)を77.6mg(0.200mmol)、メチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)を60.6mg加え、トルエン10mLに溶解させ、得られたトルエン溶液をアルゴンで30分バブリングした。その後、酢酸パラジウム 0.67mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(Tris(2−methoxyphenyl)phosphine)3.7mg、炭酸ナトリウム水溶液(16.7重量(wt)%)2mLを加え、100℃で1.5時間攪拌を行った。その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム1gと水10mLを加えて2時間還流下で攪拌を行った。反応終了後、反応溶液を室温(25℃)付近まで冷却した後、得られた反応溶液を静置し、分液したトルエン層を回収した。該トルエン層を水10mLで2回、3%酢酸水10mLで2回、さらに水10mLで2回洗浄し、得られたトルエン層をメタノール中に注ぎ込み、析出した沈殿物を回収した。この沈殿物を減圧乾燥した後、クロロホルムに溶解した。次に、得られたクロロホルム溶液をろ過し、不溶物を除去した後、アルミナカラムに通し、精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮した後、メタノール中に注ぎ込み、沈殿させ、生成した沈殿を回収した。この沈殿をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体40mgを得た。以下、この重合体を重合体Aと呼称する。重合体Aは、ポリスチレン換算の重量平均分子量が17000であり、ポリスチレン換算の数平均分子量が5000であった。重合体Aの光吸収末端波長は925nmであった。
【0195】
参考例8
(化合物5bの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した100mL四つ口フラスコに、化合物4を1.06g(5.09mmol)と脱水THFを30ml入れて均一な溶液とした。フラスコを−20℃に保ちながら、2−エチルヘキシルマグネシウムブロミドのエーテル溶液(1M)を12.7mL加えた。その後、30分かけて温度を−5℃まで上げ、そのまま30分攪拌した。その後、10分かけて温度を0℃に上げ、そのまま1.5時間攪拌を行った。その後、水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで反応生成物を抽出した。酢酸エチル溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、酢酸エチル溶液をシリカゲルカラムに通し、ろ液の溶媒を留去し、化合物5bを1.28g得た。ここまでの操作を複数回行った。
【0196】
H NMR in CDCl(ppm):7.25(d、1H)、7.20(d、1H)、6.99(d、1H)、6.76(d、1H)、1.76(s、4H)、1.49(b、2H)、1.29−1.04(m、16H)、0.80(s、6H)、0.71(s、6H)
【0197】
参考例9
(化合物6bの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物5b 2.58gとトルエン30mLを入れて均一な溶液とした。該溶液にp−トルエンスルホン酸ナトリウム1水和物を100mg入れて100℃で1.5時間攪拌を行った。反応液を室温(25℃)まで冷却後、水50mLを加え、トルエンで反応生成物を抽出した。トルエン溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(溶媒:ヘキサン)で生成し、化合物6bを741mg得た。
【0198】
H NMR in CDCl(ppm):6.98(d、1H)、6.93(d、1H)、6.68(d、1H)、6.59(d、1H)、1.78(s、4H)、1.50(b、2H)、1.30−1.05(m、16H)、0.81(s、6H)、0.72(s、6H)
【0199】
参考例10
(化合物7bの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物6b 741mg(1.77 mmol)と脱水DMF20mLを入れて均一な溶液とした。該溶液を−30℃に保ち、ここにNBS 646mg(3.63 mmol)を加え、30分かけて温度を−30℃から−10℃に上昇させた。液体クロマトグラフィー(LC)で化合物6bの消失を確認後、水とチオ硫酸ナトリウムを加えて反応を停止し、エーテルで反応生成物を抽出した。エーテル溶液である有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラム(溶媒:ヘキサン)で精製し、化合物7bを892mg得た(収率87.4%)。
【0200】
H NMR in CDCl(ppm):6.63(1H)、6.59(1H)、1.74(s、4H)、1.50(b、2H)、1.37−1.01(m、16H)、0.87(s、6H)、0.77(s、6H)
【0201】
実施例2
(重合体Bの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物7b 890mg(1.54mmol)、化合物8(4,7−bis(4,4,5,5−tetramethyl−1,3,2−dioxaborolan−2−yl)−2,1,3−benzothiadiazole)(Aldrich社製)571.8mg(1.47mmol)、メチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)250mgを加え、トルエン60mlに溶解させ、得られたトルエン溶液をアルゴンで30分バブリングした。その後、酢酸パラジウム3.74mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(Tris(2−methoxyphenyl)phosphine)19.0mg、炭酸ナトリウム水溶液(16.7wt%)7.5mLを加え、70℃で4時間攪拌を行った。その後、フェニルホウ酸50mgを加え、さらに70℃で2時間反応させた。その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム2gと水20mLを加え、2時間還流下で攪拌を行った。水層を除去後、有機層を水20mlで2回、3wt%の酢酸水溶液20mLで2回、さらに水20mLで2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン30mLに再度溶解し、アルミナ/シリカゲルカラムを通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーをろ過後、乾燥し、精製した重合体380mgを得た。以下、この重合体を重合体Bと呼称する。GPCで測定した重合体Bの分子量(ポリスチレン換算)はMw=77000、Mn=15000であった。重合体Bの光吸収末端波長は930nmであった。
【0202】
参考例11
(重合体Cの合成)

100mLフラスコに、特開2004−168999号公報の実施例10の記載に従って合成した上記化合物9を398.7mg(0.605mmol)と化合物10(4,7−dibromo−2,1,3−benzothiadiazole)(Aldrich社製)を160.3mg(0.5451mmol)、メチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)を200mg加え、トルエン40mLに溶解させ、得られたトルエン溶液をアルゴンで30分バブリングした。その後、酢酸パラジウム 2.4mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(Tris(2−methoxyphenyl)phosphine)12.2mg、炭酸ナトリウム水溶液(16.7wt%)を2mL加え、還流下で3時間攪拌を行った。その後、フェニルホウ酸50mgを加えて、さらに2時間還流下で攪拌した。その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム2gと水20mLを加えて2時間還流下で攪拌を行った。反応終了後、反応溶液を室温(25℃)付近まで冷却した後、得られた反応溶液を静置し、分液したトルエン層を回収した。該トルエン層を水10mLで2回、3%酢酸水10mLで2回、さらに水10mLで2回洗浄し、得られたトルエン層をメタノール中に注ぎ込み、析出した沈殿物を回収した。この沈殿物を減圧乾燥した後、クロロホルムに溶解した。次に、得られたクロロホルム溶液をろ過し、不溶物を除去した後、アルミナカラムに通し、精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮した後、メタノール中に注ぎ込み、沈殿させ、生成した沈殿を回収した。この沈殿をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体320mgを得た。以下、この重合体を重合体Cという。重合体Cは、ポリスチレン換算の重量平均分子量が446000であり、ポリスチレン換算の数平均分子量が169000であった。重合体Cの光吸収末端波長は550nmであった。
【0203】
実施例3
(インク及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板を、オゾンUV処理して表面処理を行った。次に、重合体B及びフラーレンC60PCBM(フェニルC61−酪酸メチルエステル)(phenyl C61-butyric acid methyl ester、フロンティアカーボン社製)(重合体B/C60PCBMの重量比=1/3)をオルトジクロロベンゼンに溶解し(重合体BとC60PCBMとの重量の合計は2.0重量%)、インク1を製造した。該インク1を用い、スピンコートにより基板上に塗布して、重合体Bを含む有機膜を作製した(膜厚約100nm)。このようにして作製した有機膜の光吸収末端波長は920nmであった。その後、有機膜上に真空蒸着機によりフッ化リチウムを厚さ2nmで蒸着し、次いでAlを厚さ100nmで蒸着した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正方形であった。得られた有機薄膜太陽電池にソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO-SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm2)を用いて一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定して光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。Jsc(短絡電流密度)は5.64mA/cm2であり、Voc(開放端電圧)は0.58Vであり、ff(フィルファクター(曲線因子))は0.36であり、光電変換効率(η)は1.18%であった。
【0204】
実施例4
実施例3において、オルトジクロロベンゼンの代わりにキシレンを用いた以外は同様に素子を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0205】
比較例1
実施例3において重合体Bの代わりに重合体Cを用いた以外は同様に素子を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0206】
参考例12
(化合物5cの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した100mL四つ口フラスコに、化合物4を1.00g(4.80mmol)と脱水THFを30ml入れて均一な溶液とした。フラスコを−20℃に保ちながら、1Mの3,7−ジメチルオクチルマグネシウムブロミドのエーテル溶液を12.7mL加えた。その後、30分かけて温度を−5℃まで上げ、そのまま30分攪拌した。その後、10分かけて温度を0℃に上げ、そのまま1.5時間攪拌を行った。その後、水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで反応生成物を抽出した。酢酸エチル溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、酢酸エチル溶液をシリカゲルカラムに通し、ろ液の溶媒を留去し、化合物5cを1.50g得た。
【0207】
H NMR in CDCl(ppm):8.42(b、1H)、7.25(d、1H)、7.20(d、1H)、6.99(d、1H)、6.76(d、1H)、2.73(b、1H)、1.90(m、4H)、1.58‐1.02(b、20H)、0.92(s、6H)、0.88(s、12H)
【0208】
参考例13
(化合物6cの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物5cを1.50g、トルエンを30mL入れて均一な溶液とした。該溶液にp−トルエンスルホン酸ナトリウム1水和物を100mg入れて100℃で1.5時間攪拌を行った。反応液を室温(25℃)まで冷却後、水50mLを加え、トルエンで反応生成物を抽出した。トルエン溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(溶媒:ヘキサン)で生成し、化合物6cを1.33g得た。ここまでの操作を複数回行った。
【0209】
H NMR in CDCl(ppm):6.98(d、1H)、6.93(d、1H)、6.68(d、1H)、6.59(d、1H)、1.89(m、4H)、1.58‐1.00(b、20H)、0.87(s、6H)、0.86(s、12H)
【0210】
参考例14
(化合物11の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した300mLフラスコに化合物6c(3.52g、7.41mmol)、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)(100mL)を入れて均一溶液とした。25℃で30分間アルゴンバブリングを行った後、−50℃まで冷却し、NBS(1.20g、6.74mmol)を加え、5.5時間かけて25℃まで昇温した。反応溶液に水50mLを加え、ジエチルエーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し、溶媒を留去した。得られた粗生成物を、ヘキサンを溶媒としたシリカゲルカラムで精製して、化合物11を3.30g得た。
【0211】
H NMR(CDCl(ppm)): 0.826(m, 18H), 1.08-1.47(m, 20H), 1.95(m, 4H), 6.65(d, 1H), 6.66(s, 1H), 6.98(s, 1H)
【0212】
参考例15
(化合物12の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した300mLフラスコに、化合物8(1.11g、2.85mmol)、化合物11(3.16g、5.70mmol)、トルエン(90mL)及びメチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)(606mg、1.50mmol)を入れて均一溶液とし、25℃で30分間アルゴンバブリングを行った。90℃に昇温後、酢酸パラジウム(6.7mg、1mol%)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(37.0mg、3.5mol%)を加えた。その後、100℃で攪拌しながら、炭酸ナトリウム水溶液(16.7wt%、19.0g、30.0mmol)を30分かけて滴下した。滴下後、100℃で2時間攪拌を行った。その後、反応液に純水を加え、トルエン層を分離後、硫酸ナトリウムで乾燥し、粗生成物を得た。ヘキサンを展開溶媒に用いたシリカゲルカラムで粗生成物の精製を行い、化合物12を2.25g得た。
【0213】
1H NMR(CDCl(ppm)) : 0.826(m, 36H), 1.08-1.47(m, 40H), 1.95(m, 8H), 6.71(d, 2H), 7.04(d, 2H), 7.77(s, 2H), 7.79(s, 2H)
【0214】
参考例16
(化合物13の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物12(2.25g、2.08mmol)、DMF(40mL)及びテトラヒドロフラン(THF)(40mL)を入れて均一溶液とした。−50℃まで冷却後、NBS(814mg、4.58mmol)を加え、2.5時間かけて0℃まで昇温した。
その後、反応溶液に純水を加え、ヘキサンを用いて有機層の抽出を行った。その後、反応液に純水を加え、トルエン層を分離後、硫酸ナトリウムで乾燥し、粗生成物を得た。ヘキサンを展開溶媒に用いたシリカゲルカラムで粗生成物の精製を行い、化合物13を2.11g得た。
【0215】
1H-NMR(CDCl(ppm)) : 0.826(m, 36H), 1.08-1.47(m, 40H), 1.95(m, 8H), 6.72(s, 2H), 7.75(s, 2H), 7.77(s, 2H)
【0216】
実施例5
(重合体Dの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物14(アメリカン・ダイ・ソース社製)(96.9mg、0.183mmol)、化合物13(238.6mg、0.192mmol)、トルエン(10mL)及びメチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)(60.6mg、0.15mmol)を入れて均一溶液とし、25℃で30分間アルゴンバブリングを行った。90℃に昇温後、酢酸パラジウム(0.67mg、1mol%)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(3.70mg、3.5mol%)を加えた。その後、100℃で攪拌しながら、炭酸ナトリウム水溶液(16.7wt%、1.90g、3.00mmol)を30分かけて滴下した。4時間後、フェニルホウ酸(3.66mg、0.03mmol)、酢酸パラジウム(0.67mg、1mol%)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(3.70mg、3.5mol%)を加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム2gと水20mLを加え、2時間還流下で攪拌を行った。水層を除去後、有機層を水20mlで2回、3wt%の酢酸水溶液20mLで2回、さらに水20mLで2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン30mLに再度溶解し、アルミナ/シリカゲルカラムを通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーをろ過後、乾燥し、精製した重合体280mgを得た。以下、この重合体を重合体Dと呼称する。GPCで測定した重合体Dの分子量(ポリスチレン換算)はMw=116000、Mn=49000であった。重合体Dの光吸収末端波長は755nmであった。
【0217】
実施例6
実施例3において重合体Bの代わりに重合体Aを用いた以外は同様に素子を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0218】
参考例17
(化合物7cの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物6cを1.33g(2.80mmol)、脱水DMFを20mL入れて均一な溶液とした。該溶液を−30℃に保ち、ここにNBS 1040mg(5.84 mmol)を加え、30分かけて温度を−30℃から−10℃に上昇させた。液体クロマトグラフィー(LC)で化合物6cの消失を確認後、1Mチオ硫酸ナトリウム水溶液50mlを加えて反応を停止し、エーテルで反応生成物を抽出した。エーテル溶液である有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラム(溶媒:ヘキサン)で精製し、化合物7cを1.65g(93%)得た。
【0219】
H NMR in CDCl(ppm):6.66(1H)、6.63(1H)、1.90(m、4H)、1.56‐1.02(b、20H)、0.87(s、6H)、0.85(s、12H)
【0220】
実施例7
(重合体Fの合成)

実施例2において化合物7bの代わりに化合物7cを用いた以外は同様に合成を行い、重合体Fを得た。GPCで測定した重合体Fの分子量(ポリスチレン換算)はMw=54000、Mn=21000であった。重合体Fの光吸収末端波長は930nmであった。
【0221】
実施例8
実施例3において重合体Bの代わりに重合体Fを用いた以外は同様に素子を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0222】
実施例9
(重合体Gの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物8(101.7mg、0.262mmol)、化合物13(343.1mg、0.276mmol)、THF(10mL)を入れて均一溶液とし、25℃で30分間アルゴンバブリングを行った。60℃に昇温後、トリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(5.49mg、0.006mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレート(6.96mg、0.024mmol)を加えた。その後、THFが還流する温度で攪拌しながら、炭酸カリウム水溶液(27.6wt%、1.50g、3.00mmol)を30分かけて滴下した。30分後、フェニルホウ酸(3.66mg、0.03mmol)を加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム2gと水20mLを加え、2時間還流下で攪拌を行った。水層を除去後、有機層を水20mlで2回、3wt%の酢酸水溶液20mLで2回、さらに水20mLで2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン30mLに再度溶解し、アルミナ/シリカゲルカラムを通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーをろ過後、乾燥し、精製した重合体242mgを得た。以下、この重合体を重合体Gと呼称する。GPCで測定した重合体Gの分子量(ポリスチレン換算)はMw=39000、Mn=15000であった。重合体Gの光吸収末端波長は930nmであった。
【0223】
実施例10
実施例3において重合体Bの代わりに重合体Gを用いた以外は同様に素子を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0224】
実施例11
(重合体Hの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに化合物13(265.0mg、0.214mmol)、2,2’−ビピリジル(100mg)及び、トルエン(10mL)を加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)(177mg、0.643mmol)を加え、室温(25℃)で30分間攪拌した後、反応を停止した。
その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(1g)及び純水(10mL)を加え、1時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水10mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液10mLで2回、さらに水10mLで2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させ、アルミナ/シリカゲルカラムを通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、重合体Hを158mg得た。
GPCで測定した重合体Hの分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)が64,000、数平均分子量(Mn)が18,000であった。重合体Hの光吸収末端波長は910nmであった。
【0225】
実施例12
実施例3において重合体Bの代わりに重合体Hを用いた以外は同様に素子を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0226】
参考例18
(化合物19の合成)

1000ml三つ口フラスコに1,6−ジブロモピレン(化合物18)3.60g(10.0mmol)と脱水THF300mlを入れ、THF溶液を−78℃に冷却し、さらにn−ブチルリチウム(1.6Mのヘキサン溶液)15.0mlをシリンジで滴下した。−78℃のまま2時間撹拌した後、1−ブロモ−3,7−ジメチルオクタン5.31g(24.0mmol)を滴下した。滴下終了後、室温(25℃)にし、15時間反応させた。得られた反応液を水にゆっくりと注いで反応を停止させ、トルエンで有機層を抽出し、有機層を2回水洗した。得られた有機層を濃縮し、ヘキサンで再結晶することにより、化合物19を1.20g(2.49mmol)得た。
【0227】
参考例19
(化合物20の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200ml三つ口フラスコに、化合物19を1.00g(2.07mmol)、クロロホルムを50ml入れ、室温(25℃)で撹拌し溶解させた。そこへ、臭素0.729g(4.56mmol)をクロロホルム20mlに溶解して得られた溶液を、室温で滴下した。12時間撹拌後、さらに臭素0.300g(1.88mmol)をクロロホルム10mlに溶解して得られた溶液を滴下し、5時間反応させた。得られた溶液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液100mlを加えて反応を終了し、そのまま室温で撹拌したところ固体が析出した。析出した固体(不溶物)を濾過し、回収した。得られた固体をクロロホルムとTHFとの混合溶媒に溶解させた後、熱濾過し、次いで、再結晶することにより、化合物20を0.95g(1.48mmol)得た。
【0228】
参考例20
(化合物21の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した100ml四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、化合物20を0.90g(1.40mmol)、ビスピナコレートジボロンを0.78g(3.08mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)を0.049g(0.083mmol)、Pd(dppf)Clを0.069g(0.083mmol)、酢酸カリウムを1.82g(18.5mmol)、1,4−ジオキサンを15mlそれぞれ添加し、100℃に加熱し、撹拌した。12時間後、反応液をセライトろ過し、溶媒を除去した。残った固体をヘキサンとトルエンの混合溶媒に溶かして活性炭を加え、90℃で2時間撹拌した。この懸濁液をセライトで熱ろ過し、溶媒を除去した後、ヘキサンで再結晶することにより、化合物21を0.523g(0.71mmol)得た。
【0229】
実施例13
(重合体Iの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物21(222.0mg、0.302mmol)、化合物13(395.1mg、0.318mmol)、トルエン(10mL)及びメチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)(60.6mg、0.15mmol)を加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。90℃に昇温後、酢酸パラジウム(0.67mg、0.003mmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(3.70mg、0.0105mmol)を加えた。その後、100℃で攪拌しながら、炭酸ナトリウム水溶液(16.7wt%、1.90g、3.00mmol)を30分かけて滴下した。50分後、フェニルホウ酸(3.66mg、0.03mmol)を加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。
その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(1g)及び純水(10mL)を加え、1時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水10mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液10mLで2回、さらに水10mLで2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させ、アルミナ/シリカゲルカラムを通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、重合体Iを392mg得た。
GPCで測定した重合体Iの分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)が103,000、数平均分子量(Mn)が50,000であった。重合体Iの光吸収末端波長は805nmであった。
【0230】
実施例14
実施例3において重合体Bの代わりに重合体Iを用いた以外は同様に素子を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0231】
参考例21
(化合物5dの合成)

参考例12において3,7−ジメチルオクチルマグネシウムブロミドのエーテル溶液(1M)の代わりにn−ドデシルマグネシウムブロミドのエーテル溶液(1M)を用いた以外は同様に合成を行い、化合物5dを得た。
【0232】
H NMR in CDCl(ppm):7.24(d、1H)、7.20(d、1H)、6.98(d、1H)、6.77(d、1H)、1.80(b、4H)、1.33(b、40H)、0.87(s、6H)
【0233】
参考例22
(化合物6dの合成)

参考例13において、化合物5cの代わりに化合物5dを用いた以外は同様に合成を行い、化合物6dを得た。
【0234】
H NMR in CDCl(ppm):6.99(d、1H)、6.93(d、1H)、6.68(d、1H)、6.59(d、1H)、1.79(b、4H)、1.31(b、40H)、0.85(s、6H)
【0235】
参考例23
(化合物11dの合成)

参考例14において、化合物6cの代わりに化合物6dを用いた以外は同様に合成を行い、化合物11dを得た。
【0236】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.826(t,12H),1.21(m,72H),1.43(m,8H),1.96(t,8H),6.65(d,1H),6.66(s,1H),6.98(s,1H)
【0237】
参考例24
(化合物12dの合成)

参考例15において、化合物11の代わりに化合物11dを用いた以外は同様に合成を行い、化合物12dを得た。
【0238】
1H-NMR(CDCl,δ(ppm)) : 0.862(t,12H),1.213(m, 72H),1.432(m,8H),1.968(t,8H),6.715(d,2H),7.045(d,2H),7.786(d,4H)
【0239】
参考例25
(化合物13dの合成)

参考例16において、化合物12の代わりに化合物12dを用いた以外は同様に合成を行い、化合物13dを得た。
【0240】
1H-NMR(CDCl, δ(ppm)) : 0.860(t,12H),1.213(m,72H),1.427(m,8H),1.949(t,8H),6.710(s,2H), 7.756(s,4H)
【0241】
参考例26
(化合物23の合成)

四つ口フラスコに、Chemistry of Materials, 2006, 18 (14), pp 3237−3241の記載に従って合成した化合物22(6.847g、10.00mmol)、ビスピナコラートジボロン(10.16g、40.00mmol)及びジオキサン (150mL)を加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリド(408.3mg、5mol%)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン (277.2mg、5mol%)及び塩基である酢酸カリウム (3.926g、40.00mmol)を加えた後、加熱環流を10時間行った。反応後、反応液をHPLCで分析し、化合物22の消失を確認した。
その後、フィルターを用いて反応溶液に難溶である塩基を分離した。次いで、溶媒をエバポレータで留去した。その後、展開溶媒にヘキサンを用いたシリカゲルカラムを用いて反応生成物の精製を行い、得られた成分のメタノール洗浄を3時間行うことで、淡褐色粉末を得た。該粉末をヘキサン(100mL)に溶解させた後、エタノール(100mL)を加えた状態で放置することで再結晶を行い、化合物23を1.386g得た。
【0242】
実施例15
(重合体Jの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換したフラスコに、化合物23(223.5mg、0.287mmol)、化合物13d(408.4mg、0.302mmol)及び、THF(10mL)を加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、トリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(5.49mg、0.006mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレート(6.96mg、0.024mmol)を加えた。80℃で攪拌しながら、炭酸カリウム水溶液(27.6wt%、1.50g、3.00mmol)を30分かけて滴下した。15分後、フェニルホウ酸(3.66mg、0.03mmol)を加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。
その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(1g)及び純水(10mL)を加え、1時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水10mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液10mLで2回、さらに水10mLで2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させ、アルミナ/シリカゲルカラムを通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、重合体Jを359mg得た。
GPCで測定した重合体Jの分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)が80,000、数平均分子量(Mn)が25,000であった。重合体Jの光吸収末端波長は815nmであった。
【0243】
実施例16
実施例3において重合体Bの代わりに重合体Jを用いた以外は同様に素子を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0244】
実施例17
(重合体Kの合成)

実施例9において化合物13の代わりに化合物13dを用いた以外は同様にして合成を行い、重合体Kを得た。
GPCで測定した重合体Kの分子量(ポリスチレン換算)はMw=64000、Mn=22000であった。重合体Kの光吸収末端波長は930nmであった。
【0245】
実施例18
実施例3において重合体Bの代わりに重合体Kを用いた以外は同様に素子を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0246】
参考例27
(化合物24の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した100mL四つ口フラスコに、化合物4を1.04g(5.00mmol)、脱水THFを35ml入れて均一な溶液とした。フラスコを−20℃に保ちながら、2−ヘキシルデシルマグネシウムブロミドのエーテル溶液(1M)を15.0mL加えた。その後、30分かけて温度を−5℃まで上げ、そのまま30分攪拌した。その後、10分かけて温度を0℃に上げ、そのまま1.5時間攪拌を行った。その後、水を加えて反応を停止し、ジエチルエーテルで反応生成物を抽出した。ジエチルエーテル溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、クロロホルムを展開溶媒として用いたシリカゲルカラムに通し、ろ液の溶媒を留去し、化合物24を1.30g得た。
【0247】
参考例28
(化合物5eの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した100mL四つ口フラスコに、化合物24を1.30g(2.99mmol)と脱水THFを30ml入れて均一な溶液とした。フラスコを−20℃に保ちながら、3,7−ジメチルオクチルマグネシウムブロミドのエーテル溶液(1M)を15.0mL加えた。その後、30分かけて温度を−5℃まで上げ、そのまま30分攪拌した。その後、10分かけて温度を0℃に上げ、そのまま1.5時間攪拌を行った。その後、水を加えて反応を停止し、ジエチルエーテルで反応生成物を抽出した。ジエチルエーテル溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、クロロホルムを展開溶媒として用いたリカゲルカラムに通し、ろ液の溶媒を留去し、化合物5eを1.20g得た。
【0248】
参考例29
(化合物6eの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物5eを1.20g(2.08mmol)、トルエンを30mL入れて均一な溶液とした。該溶液にp−トルエンスルホン酸ナトリウム1水和物を100mg入れて100℃で1.5時間攪拌を行った。反応液を室温(25℃)まで冷却後、水50mLを加え、トルエンで反応生成物を抽出した。トルエン溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(溶媒:ヘキサン)で生成し、化合物6eを802mg得た。
【0249】
1H-NMR(CDCl,δ(ppm)) : 0.833(m,15H),1.0-1.5(m,35H), 1.850(m,4H),6.688(m, 2H),6.966(d,1H), 7.028(d,1H)
【0250】
参考例30
(化合物7eの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した300mLフラスコに化合物6e(400mg、0.716mmol)、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)(20mL)を入れて均一溶液とした。25℃で30分間アルゴンバブリングを行った後、−40℃まで冷却し、NBS(280.4mg、1.575mmol)を加え、2時間かけて0℃まで昇温した。反応溶液に水50mLを加え、ジエチルエーテルで抽出し、抽出したジエチルエーテル溶液を硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し、溶媒を留去した。得られた粗生成物を、ヘキサンを溶媒としたシリカゲルカラムで精製して、化合物7eを437mg得た。
【0251】
1H-NMR(CDCl, δ(ppm)) : 0.833(m,15H),1.0−1.5(m,35H),1.850(m,4H),6.660(s,1H),6.980(s,1H)
【0252】
実施例19
(重合体Lの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mL四つ口フラスコに、化合物8(110.6mg、0.285mmol)、化合物7e(215.0mg、0.300mmol)及び、テトラヒドロフラン(THF)(10mL)を加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、トリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(5.49mg、0.006mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレート(6.96mg、0.024mmol)を加えた。80℃で攪拌しながら、炭酸カリウム水溶液(27.6wt%、1.50g、3.00mmol)を30分かけて滴下した。30分後、フェニルホウ酸(3.66mg、0.03mmol)を加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。
その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(1g)及び純水(10mL)を加え、1時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水10mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液10mLで2回、さらに水10mLで2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させ、アルミナ/シリカゲルカラムを通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、重合体Lを242mg得た。重合体Lの光吸収末端波長は930nmであった。
【0253】
実施例20
実施例3において重合体Bの代わりに重合体Lを用いた以外は同様に素子を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0254】
実施例21
実施例3において重合体Bの代わりに重合体Dを用いた以外は同様に素子を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0255】
参考例31
(重合体Mの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した100mLフラスコに、化合物25(9,9−Dioctyl−2,7−dibromofluorene)(Aldrich社製)を308mg(0.560mmol)、化合物8 (4,7−bis(4,4,5,5−tetramethyl−1,3,2−dioxaborolan−2−yl)−2,1,3−benzothiadiazole)(Aldrich社製)110mg(0.552mmol)、メチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)200mgを加え、トルエン15mLに溶解させ、得られたトルエン溶液をアルゴンで30分バブリングした。その後、酢酸パラジウム4.0mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(Tris(2−methoxyphenyl)phosphine)18.8mg、炭酸ナトリウム水溶液(16.7wt%)8.0mLを加え、100℃で6時間攪拌を行った。その後、フェニルホウ酸50mgを加え、さらに100℃で2時間反応させた。その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム1gと水10mLを加え、2時間還流下で攪拌を行った。反応終了後、水層を除去し、トルエン層を水20mlで2回、酢酸水溶液(3wt%)20mLで2回、さらに水20mLで2回洗浄し、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエン5mLに再度溶解した。トルエン溶液を、アルミナ/シリカゲルカラムを通して精製し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、重合体92mgを得た。以下、この重合体を重合体Mと呼称する。GPCで測定した重合体Mの分子量(ポリスチレン換算)はMw=45000、Mn=21000であった。重合体Mの光吸収末端波長は545nmであった。
【0256】
(比較例2)
実施例3において、重合体Bの代わりに重合体Mを用いた以外は同様に素子を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0257】
参考例32
(化合物26の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した500mLフラスコに臭化銅(I)5.65g(39.4mmol)、臭化リチウム6.84g(78.8mmol)、THF280mLを入れて攪拌して懸濁液とした。フラスコを−78℃に冷却し、2−エチルヘキシルマグネシウムブロミドの1Mジエチルエーテル溶液39.4mLを10分かけて懸濁液に滴下した。反応液を−78℃で30分攪拌した後、−78℃で塩化オキサリル2.00g(15.8mmol)を10分かけて反応液に滴下した。滴下後、反応液を−78℃で1.5時間攪拌し、さらに、室温(25℃)で30分攪拌し、得られた溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を160mL加えて反応を停止した。酢酸エチルを加えて有機層を抽出し、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液をエバポレーターで濃縮して得られた油状の物質をシリカゲルカラムで精製して1.30gの淡黄色液体として化合物26を得た。シリカゲルカラムの展開溶媒には、ヘキサンと酢酸エチルとを容積比99:1で混合した溶液を用いた。
【0258】
参考例33
(化合物28の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した300mLフラスコに化合物26を1.33g(4.72mmol)、Chemistry of Materials Vol. 8 No. 2, (1996)に記載されている方法に従って合成した化合物27を1.20g(4.31mmol)、エタノール60mLを加え、5時間還流下で攪拌を行った。その後、溶媒をエバポレーターで留去して得られた濃赤色の固体をシリカゲルカラムで精製して目的の化合物28を1.22g得た。シリカゲルカラムの展開溶媒には、ヘキサンとクロロホルムとを容積比99:1で混合した溶液を用いた。
【0259】
参考例34
(化合物29の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した300mLフラスコに化合物28を1.22g(2.32mmol)、クロロホルムを100mL入れ均一溶液とした。フラスコを−10℃に保ち、NBS0.87gを30分かけて加えた。フラスコを室温に戻し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液100mLを加えて反応を停止した。得られた溶液をクロロホルムで抽出して有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。ろ液をエバポレーターで濃縮して得られたワックス状固体をシリカゲルカラムで精製して目的の化合物29を1.00g得た。シリカゲルカラムの展開溶媒には、ヘプタンとクロロホルムとを容積比98:2で混合した溶液を用いた。
【0260】
実施例22
(重合体Nの合成)

参考例11において、化合物10に代えて化合物29を用いることによって重合体Nを得た。重合体Nは、ポリスチレン換算の重量平均分子量が126000であり、ポリスチレン換算の数平均分子量が56000であった。重合体Nの光吸収末端波長は765nmであった。
【0261】
実施例23
実施例3において重合体Bの代わりに重合体Nを用いた以外は同様に素子を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0262】
表1 光電変換素子評価結果

【0263】
実施例24
(有機トランジスタの作製)
厚さ300nmのシリコンの熱酸化膜と、アンチモンが高濃度にドーピングされたn−型シリコンとを有するシリコン基板をアセトン中で10分間超音波洗浄した後、オゾンUVを20分間照射した。その後、トルエン10mL中にオクタデシルトリクロロシランをシリンジで5滴加えたトルエン溶液をシリコン基板上にスピンコートすることにより熱酸化膜の表面をシラン処理した。シリコンの熱酸化膜がゲート絶縁層として作用し、アンチモンを高濃度でドーピングしたシリコンはゲート電極として作用する。
次に、重合体Jをオルトジクロロベンゼンに溶解し、重合体Jの濃度が0.5重量%の溶液を調製し、該溶液をメンブランフィルターでろ過して塗布液を作製した。該塗布液を、上記シラン処理したn−型シリコン基板上にスピンコート法により塗布し、厚みが約60nmである重合体Jの塗布膜を形成した。その後、該塗布膜を窒素雰囲気中で170℃にて30分加熱することにより、重合体Jの有機半導体薄膜を形成した。
次に、有機半導体薄膜上にメタルマスクを配置し、真空蒸着法により、有機半導体薄膜上に三酸化モリブデン及び金を順に積層し、三酸化モリブデンと金の積層構造を有するソース電極及びドレイン電極を作製することにより、有機トランジスタを製造した。
有機トランジスタの電気特性を、半導体特性評価システム(半導体パラメータアナライザー4200−SCS、KEITHLEY社製)を用いて測定した。ゲート電極に印加する負のゲート電圧を増加させると、負のドレイン電流も増加することから、有機トランジスタは、p型の有機トランジスタであることを確認することができた。有機トランジスタにおけるキャリアの電界効果移動度μは、有機トランジスタの電気特性の飽和領域におけるドレイン電流Idを表す下記式(a)を用いて算出した。
Id=(W/2L)μCi(Vg−Vt) ・・・(a)
(式中、Lは有機トランジスタのチャネル長、Wは有機トランジスタのチャネル幅、Ciはゲート絶縁膜の単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、Vtはゲート電圧のしきい値電圧を表す。)
キャリアの電界効果移動度(キャリア移動度)は0.074cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。
【0264】
実施例25
重合体Jに代えて重合体Gを用いた以外は、実施例24と同様の方法で有機トランジスタ素子を作製し、トランジスタ特性を評価した。キャリア移動度は0.153cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。
【0265】
実施例26
重合体Jにかえて重合体Iを用いた以外は、実施例24と同様の方法で有機トランジスタ素子を作製し、トランジスタ特性を評価した。キャリア移動度は6.80×10−4cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。
【0266】
実施例27
重合体Jにかえて重合体Hを用いた以外は、実施例24と同様の方法で有機トランジスタ素子を作製し、トランジスタ特性を評価した。キャリア移動度は0.029cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。
【0267】
実施例28
重合体Jにかえて重合体Lを用いた以外は、実施例24と同様の方法で有機トランジスタ素子を作製し、トランジスタ特性を評価した。キャリア移動度は5.49×10−3cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。
【0268】
実施例29
重合体Jにかえて重合体Dを用いた以外は、実施例24と同様の方法で有機トランジスタ素子を作製し、トランジスタ特性を評価した。キャリア移動度は3.80×10−3cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。
【0269】
実施例30
実施例24において、重合体Jにかえて重合体F、オクタデシルトリクロロシランにかえてβ‐PTS(ベータフェニルトリクロロシラン)、オルトジクロロベンゼンにかえてクロロホルム、熱処理温度を170℃にかえて120℃にした以外は同様にして有機トランジスタ素子を作成し、トランジスタ特性を評価した。キャリア移動度は7.3×10−3cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。
【0270】
表2 有機トランジスタ素子評価結果

【0271】
参考例35
(化合物30の合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物6cを2.16g(4.55 mmol)、脱水THFを100mL入れて均一な溶液とした。該溶液を−78℃に保ち、該溶液に2.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液4.37mL(11.4mmol)を10分かけて滴下した。滴下後、−78℃で30分攪拌し、次いで、室温(25℃)で2時間攪拌した。その後、フラスコを−78℃に冷却し、トリブチルスズクロリドを4.07g(12.5mmol)加えた。添加後、−78℃で30分攪拌し、次いで、室温(25℃)で3時間攪拌した。その後、水200mlを加えて反応を停止し、酢酸エチルで反応生成物を抽出した。酢酸エチル溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、ろ液をエバポレーターで濃縮し、溶媒を留去した。得られたオイル状の物質をシリカゲルカラムで精製した(展開溶媒:ヘキサン)。シリカゲルカラムのシリカゲルには、あらかじめ5wt%のトリエチルアミンを含むヘキサンに5分間浸し、その後、ヘキサンで濯いだシリカゲルを用いた。精製後、化合物30を3.52g(3.34mmol)得た。
【0272】
H NMR in CDCl(ppm):6.72(d、1H)、6.68(d、1H)、1.95−1.80(b、4H)、1.65−1.00(b、56H)、0.90−0.83(m、36H)
【0273】
参考例36
(化合物31の合成)

500mlフラスコに、4,5−ジフルオロ−1,2−ジアミノベンゼン(東京化成工業製)を10.2g(70.8mmol)、ピリジンを150mL入れて均一溶液とした。フラスコを0℃に保ったまま、フラスコ内に塩化チオニル16.0g(134mmol)を滴下した。滴下後、フラスコを25℃に温めて、6時間反応を行った。その後、水250mlを加え、クロロホルムで反応生成物を抽出した。クロロホルム溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。ろ液をエバポレーターで濃縮して析出した固体を再結晶で精製した。再結晶の溶媒には、メタノールを用いた。精製後、化合物31を10.5g(61.0mmol)得た。
【0274】
H NMR(CDCl、ppm):7.75(t、2H)
19F NMR(CDCl、ppm):−128.3(s、2F)
【0275】
参考例37
(化合物32の合成)

100mLフラスコに化合物31を2.00g(11.6mmol)、鉄粉0.20g(3.58mmol)をいれ、フラスコを90℃に加熱した。このフラスコに臭素31g(194mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後、90℃で38時間攪拌した。その後、フラスコを室温(25℃)まで冷却し、クロロホルム100mLを入れて希釈した。得られた溶液を、5wt%の亜硫酸ナトリウム水溶液300mLに注ぎ込み、1時間攪拌した。得られた混合液の有機層を分液ロートで分離し、水層をクロロホルムで3回抽出した。得られた抽出液を先ほど分離した有機層と合わせて硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液をエバポレーターで濃縮し、溶媒を留去した。得られた黄色の固体を、55℃に熱したメタノール90mLに溶解させ、その後、25℃まで冷却した。析出した結晶をろ過回収し、その後、室温(25℃)で減圧乾燥して化合物32を1.50g得た。
【0276】
19F NMR(CDCl、ppm):−118.9(s、2F)
【0277】
実施例31
(重合体Pの合成)

フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物30を500mg(0.475mmol)、化合物32を141mg(0.427mmol)、トルエン32mlを入れて均一溶液とした。得られたトルエン溶液を、アルゴンで30分バブリングした。その後、トルエン溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを6.52mg(0.007mmol)、トリス(2−トルイル)ホスフィン13.0mgを加え、100℃で6時間攪拌した。その後、反応液にフェニルブロミドを500mg加え、さらに5時間攪拌した。その後、フラスコを25℃に冷却し、反応液をメタノール300mLに注いだ。析出したポリマーをろ過して回収し、得られたポリマーを、円筒ろ紙に入れ、ソックスレー抽出器を用いて、メタノール、アセトン及びヘキサンでそれぞれ5時間抽出した。円筒ろ紙内に残ったポリマーを、トルエン100mLに溶解させ、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム2gと水40mLを加え、8時間還流下で攪拌を行った。水層を除去後、有機層を水50mlで2回洗浄し、次いで、3wt%の酢酸水溶液50mLで2回洗浄し、次いで、水50mLで2回洗浄し、次いで、5%フッ化カリウム水溶液50mLで2回洗浄し、次いで、水50mLで2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン50mLに再度溶解し、アルミナ/シリカゲルカラムを通した。得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーをろ過後、乾燥し、精製された重合体185mgを得た。以下、この重合体を重合体Pと呼称する。GPCで測定した重合体Pの分子量(ポリスチレン換算)はMw=29000、Mn=14000であった。重合体Pの光吸収末端波長は890nmであった。
【0278】
実施例32
(インク及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
スパッタ法によりITO膜を150nmの厚みで付けたガラス基板を、オゾンUV処理することで、表面処理を行った。次に、重合体P及びフラーレンC60PCBM(フェニルC61−酪酸メチルエステル)(phenyl C61-butyric acid methyl ester、フロンティアカーボン社製)を、重合体Pに対するC60PCBMの重量比が3となるよう、オルトジクロロベンゼンに溶解し、インク2を製造した。インク2中、重合体Pの重量とC60PCBMの重量との合計は、インク2の重量に対して2.0重量%であった。該インク2を用い、スピンコートにより基板上に塗布して、重合体Pを含む有機膜を作製した。該有機膜の膜厚は、約100nmであった。有機膜の光吸収末端波長を測定したところ、890nmであった。その後、有機膜上に真空蒸着機によりフッ化リチウムを厚さ2nmで蒸着し、次いでAlを厚さ100nmで蒸着した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正方形であった。得られた有機薄膜太陽電池にソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO-SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm2)を用いて一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定して光電変換効率、短絡電流密度、開放端電圧、フィルファクター(曲線因子)を求めた。Jsc(短絡電流密度)は12.2mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は0.71Vであり、ff(フィルファクター(曲線因子))が0.64であり、光電変換効率(η)は、5.54%であった。
【0279】
実施例33
(インク及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
実施例32において、フラーレンC60PCBMの代わりにフラーレンC70PCBM([6,6]フェニル−C71酪酸メチルエステル([6,6]-Phenyl C71 butyric acid methyl ester))を用いた以外は同様にして有機薄膜太陽電池を作製し、光電変換効率、短絡電流密度、開放端電圧、フィルファクター(曲線因子)を求めた。有機膜の光吸収末端波長は890nm、Jsc(短絡電流密度)は15.9mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は0.715Vであり、ff(フィルファクター(曲線因子))は0.59であり、光電変換効率(η)は、6.72%であった。
【0280】
表3 光電変換素子評価結果

【0281】
参考例38
(化合物36の合成)

四つ口フラスコに、化合物32を12.30g(37.28mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロンを23.67g(93.20mmol)、酢酸カリウムを9.15g(93.20mmol)及び、ジオキサンを500mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応溶液にジフェニルホスフィノフェロセンパラジウムジクロリドを1.52g(1.86mmol)、ジフェニルホスフィノフェロセンを1.03mg(1.86mmol)加えた後、加熱還流を60時間行った。還流後、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。反応溶液をセライトろ過して不溶分を分離した後、ろ液を乾燥させて溶媒を除去し、褐色固体を得た。得られた褐色固体に、熱ヘキサン200mLを加えてろ過し、ろ液を乾燥させて溶媒を除去して粗結晶を得た。続いて、粗結晶をヘキサンで再結晶した。再結晶を2回行い、化合物36を3.12g得た。
【0282】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 1.45(s, 24H)
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -117(s, 2F)
【0283】
参考例39
(化合物37の合成)

四つ口フラスコに、化合物11を1.352g(2.442mmol)、及び、テトラヒドロフランを25mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを21.6mg(0.024mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを27.4mg(0.094mmol)及び、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を5.90g(11.79mmol)加えた。反応溶液を80℃で攪拌しながら、0.500gの化合物36(1.179mmol)を10mLのテトラヒドロフランに溶かした溶液を、20分かけて滴下した。2時間後、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。反応溶液に水及びヘキサンを加え、有機層を抽出し、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の精製を行った後、精製した有機層を乾燥させて溶媒を除去し、化合物37を665mg得た。
【0284】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.82(m, 36H), 1.08-1.47(m, 40H), 1.95(m, 8H),
6.71(d, 2H), 7.07(d, 2H), 7.92(d, 2H)
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -125(s, 2F)
【0285】
参考例40
(化合物38の合成)

四つ口フラスコに、化合物37を657mg(0.588mmol)、テトラヒドロフラン(THF)を10mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応溶液を0℃まで冷却後、NBSを230mg(1.30mmol)加え、40℃まで昇温した。1時間後に、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。その後、反応溶液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、さらにヘキサンを加えて有機層の抽出を行った。その後、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の分離を行い、分離して得られた成分を乾燥させて溶媒を除去し、化合物38を685mg得た。
【0286】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.82(m, 36H), 1.08-1.47(m, 40H), 1.95(m, 8H),
6.73(s, 2H), 7.90(s, 2H)
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -129(s, 2F)
【0287】
参考例41
(化合物39の合成)

四つ口フラスコに、マグネシウムを3.50g(144.1mmol)、テトラヒドロフランを72 mL、3,7,11−トリメチルドデシルブロマイドを20.98g(72.03mmol)加え、1 mol/Lのグリニャー試薬を調製した。別の四つ口フラスコをに、化合物4を5.00g(24.01mmol)、テトラヒドロフランを200mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応溶液を−40℃に冷却後、調製したグリニャー試薬を加え、0℃まで昇温しながら攪拌した。3時間後に、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。
反応溶液に水及びクロロホルムを加え、有機層の抽出を行い、展開溶媒にクロロホルムを用いたカラムで有機層の精製を行った後、精製した有機層を乾燥させることで、化合物39を含む混合オイルを得た。
【0288】
参考例42
(化合物40の合成)

四つ口フラスコに、参考例41で合成した化合物39を含む混合オイルを全量、トルエンを100mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。次に、反応溶液にパラ−トルエンスルホン酸1水和物を500mg加えた後、120℃に昇温して攪拌を行い、1時間後に、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。反応溶液に水及び酢酸エチルを加え、有機層の抽出を行った。展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の精製を行った後、精製した有機層を乾燥させて溶媒を除去し、化合物40を15.6g得た。
【0289】
1H-NMR(CDCl3, ・(ppm)) : 0.80〜0.88 (m, 24H), 0.97〜1.62 (m, 34H), 1.87 (q, 4H),
6.67 (d, 1H), 6.69 (d, 1H), 6.96 (d, 1H), 7.03 (d, 1H)
【0290】
参考例43
(化合物41の合成)

四つ口フラスコに、化合物40を7.995g(13.00mmol)、テトラヒドロフランを160mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応溶液を−30℃に冷却後、N−ブロモスクシイミドを1.85g(10.4mmol)加え、−10℃で2時間攪拌した。液体クロマトグラフィーにより90%の原料が消失したことを確認し、反応を停止した。反応溶液に水及びジエチルエーテルを加え、有機層の抽出を行い、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の精製を行った。精製した有機層を乾燥させて溶媒を除去し、化合物41を7.47g得た。
【0291】
1H-NMR(CDCl3, ・(ppm)) : 0.82〜0.88 (m, 24H), 0.95〜1.60 (m, 34H), 1.82 (q, 4H),
6.64 (s, 1H), 6.65 (s, 1H), 6.98 (d, 1H)
【0292】
参考例44
(化合物42の合成)

四つ口フラスコに、化合物41を1.729g(2.491mmol)、及び、塩化メチレンを25mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを21.6mg(0.024mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを27.4mg(0.094mmol)及び、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を5.90g(11.79mmol)加えた。反応溶液を45℃で攪拌しながら、0.500gの化合物36(1.179mmol)を20mLの塩化メチレンに溶かした溶液を、20分かけて滴下した。2時間後、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。反応溶液に水及びヘキサンを加え、有機層の抽出を行い、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の精製を行った後、精製した有機層を乾燥させて溶媒を除去し、化合物42を1.21g得た。
【0293】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.70-0.95(m, 48H), 0.96-1.60(m, 68H), 1.97(m, 8H),
6.72(d, 2H), 7.08(d, 2H), 7.93(d, 2H)
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -125(s, 2F)
【0294】
参考例45
(化合物43の合成)

四つ口フラスコに、化合物42を1.214g(0.868mmol)、テトラヒドロフラン(THF)を40mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応溶液を0℃まで冷却後、NBSを340mg(1.91mmol)加え、40℃まで昇温した。1時間後に、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。その後、反応溶液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、さらにヘキサンを加えて有機層の抽出を行った。その後、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の分離を行い、分離して得られた成分を乾燥させて溶媒を除去し、化合物43を1.23g得た。
【0295】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.65-0.96(m, 48H), 0.98-1.62(m, 68H), 1.95(m, 8H),
6.73(s, 2H), 7.90(s, 2H)
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -129(s, 2F)
【0296】
参考例46
(化合物44の合成)

四つ口フラスコに、化合物11dを3.388g(5.556mmol)、及び、塩化メチレンを50mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを86.4mg(0.094mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを109.5mg(0.377mmol)及び、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を11.79g(23.58mmol)加えた。反応溶液を45℃で攪拌しながら、1.000gの化合物36(2.358mmol)を50mLの塩化メチレンに溶かした溶液を、20分かけて滴下した。2時間後、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。反応溶液に水及びヘキサンを加え、有機層の抽出を行い、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の精製を行った後、精製した有機層を乾燥させて溶媒を除去し、化合物44を1.88g得た。
【0297】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.86(t, 12H), 0.95-1.50(m, 80H), 1.97(m, 8H),
6.71(d, 2H), 7.07(d, 2H), 7.92(d, 2H)
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -125(s, 2F)
【0298】
参考例47
(化合物45の合成)

四つ口フラスコに、化合物44を1.884g(1.532mmol)、テトラヒドロフラン(THF)を60mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応溶液を0℃まで冷却後、NBSを600mg(3.37mmol)加え、40℃まで昇温した。1時間後に、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。その後、反応溶液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、さらにヘキサンを加えて有機層の抽出を行った。その後、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の分離を行い、分離して得られた成分を乾燥させて溶媒を除去し、化合物45を1.88g得た。
【0299】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.86(t, 12H), 1.18-1.50(m, 80H), 1.95(m, 8H),
6.72(s, 2H), 7.90(s, 2H)
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -129(s, 2F)
【0300】
参考例48
(化合物46の合成)

四つ口フラスコに、化合物4を6.00g(28.81mmol)、テトラヒドロフランを240mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応溶液を−40℃に冷却後、n−ペンタデシルマグネシウムブロミドを0.5mol/L含むテトラヒドロフラン溶液を173mL加え、0℃まで昇温しながら攪拌した。3時間後に、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。
反応溶液に水及びクロロホルムを加え、有機層の抽出を行い、展開溶媒にクロロホルムを用いたカラムで有機層の精製を行った後、精製した有機層を乾燥させることで、化合物46を含む混合オイルを得た。
【0301】
参考例49
(化合物47の合成)

四つ口フラスコに、参考例48で合成した化合物46を含む混合オイルを全量、トルエンを120mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。次に、反応溶液にパラ−トルエンスルホン酸1水和物を600mg加えた後、120℃に昇温して攪拌を行い、1時間後に、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。反応溶液に水及び酢酸エチルを加え、有機層の抽出を行った。展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の精製を行った後、精製した有機層を乾燥させて溶媒を除去し、化合物47を18.4g得た。
【0302】
1H-NMR(CDCl3, ・(ppm)) : 0.82(t, 6H), 1.21(m, 48H), 1.43(m, 4H), 1.96(t, 4H),
6.67 (d, 1H), 6.69 (d, 1H), 6.96 (d, 1H), 7.03 (d, 1H)
【0303】
参考例50
(化合物48の合成)

四つ口フラスコに、化合物47を23.2g(37.8mmol)、テトラヒドロフランを340mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応溶液を−30℃に冷却後、N−ブロモスクシイミドを6.05g(34.0mmol)加え、−10℃で2時間攪拌した。液体クロマトグラフィーにより90%の原料が消失したことを確認し、反応を停止した。反応溶液に水及びジエチルエーテルを加え、有機層の抽出を行い、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の精製を行った。精製した有機層を乾燥させて溶媒を除去し、化合物48を23.3g得た。
【0304】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.83(t, 6H), 1.23(m, 48H), 1.44(m, 4H), 1.98(t, 4H),
6.65(d, 1H), 6.66(s, 1H), 6.98(s, 1H)
【0305】
参考例51
(化合物49の合成)

四つ口フラスコに、化合物48を1.695g(2.442mmol)、及び、塩化メチレンを50mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを21.6mg(0.024mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを27.4mg(0.094mmol)及び、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を5.90g(11.79mmol)加えた。反応溶液を45℃で攪拌しながら、0.500gの化合物36(1.179mmol)を10mLの塩化メチレンに溶かした溶液を、20分かけて滴下した。2時間後、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。反応溶液に水及びヘキサンを加え、有機層の抽出を行い、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の精製を行った後、精製した有機層を乾燥させて溶媒を除去し、化合物49を1.00g得た。
【0306】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.87(t, 12H), 0.90-1.46(m, 104H), 1.97(m, 8H),
6.71(d, 2H), 7.07(d, 2H), 7.93(s, 2H)
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -125(s, 2F)
【0307】
参考例52
(化合物50の合成)

四つ口フラスコに、化合物49を1.001g(0.716mmol)、テトラヒドロフラン(THF)を30mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応溶液を0℃まで冷却後、NBSを280mg(1.573mmol)加え、40℃まで昇温した。1時間後に、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。その後、反応溶液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、さらにヘキサンを加えて有機層の抽出を行った。その後、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の分離を行い、分離して得られた成分を乾燥させて溶媒を除去し、化合物50を1.04g得た。
【0308】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.87(t, 12H), 0.95-1.50(m, 104H), 1.95(m, 8H),
6.72(s, 2H), 7.90(s, 2H)
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -129(s, 2F)
【0309】
参考例53
(化合物51の合成)

四つ口フラスコに、マグネシウムを3.50g(144.1mmol)、テトラヒドロフランを72mL、n−オクタデシルブロマイドを24.01g(72.03mmol)加え、1 mol/Lのグリニャー試薬を調製した。別の四つ口フラスコに、化合物4を5.00g(24.01mmol)、テトラヒドロフランを200mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応溶液を−40℃に冷却後、調製したグリニャー試薬を加え、0℃まで昇温しながら攪拌した。3時間後に、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。
反応溶液に水及びクロロホルムを加え、有機層の抽出を行い、展開溶媒にクロロホルムを用いたカラムで有機層の精製を行った後、精製した有機層を乾燥させることで、化合物51を含む混合オイルを得た。
【0310】
参考例54
(化合物52の合成)

四つ口フラスコに、参考例53で合成した化合物51を含む混合オイルを全量、トルエンを200mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。次に、反応溶液にパラ−トルエンスルホン酸1水和物を1000mg加えた後、120℃に昇温して攪拌を行い、1時間後に、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。反応溶液に水及び酢酸エチルを加え、有機層の抽出を行った。展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の精製を行った後、精製した有機層を乾燥させて溶媒を除去し、化合物52を23.1g得た。
【0311】
1H-NMR(CDCl3, ・(ppm)) : 0.81(t, 6H), 1.21(m, 60H), 1.43(m, 4H), 1.96(t, 4H),
6.67 (d, 1H), 6.69 (d, 1H), 6.96 (d, 1H), 7.03 (d, 1H)
【0312】
参考例55
(化合物53の合成)

四つ口フラスコに、化合物52を1.500g(2.145mmol)、テトラヒドロフランを150mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応溶液を−30℃に冷却後、N−ブロモスクシイミドを343.3mg(1.931mmol)を加え、−10℃で2時間攪拌した。液体クロマトグラフィーにより90%の原料が消失したことを確認し、反応を停止した。反応溶液に水及びジエチルエーテルを加え、有機層の抽出を行い、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の精製を行った。精製した有機層を乾燥させて溶媒を除去し、化合物53を1.657g得た。
【0313】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.83(t, 6H), 1.21(m, 60H), 1.43(m, 4H), 1.97(t, 4H),
6.65(d, 1H), 6.66(s, 1H), 6.97(s, 1H)
【0314】
参考例56
(化合物54の合成)

四つ口フラスコに、化合物53を1.657g(2.129mmol)、及び、塩化メチレンを22mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを38.8mg(0.042mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを49.2mg(0.170mmol)及び、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を5.30g(10.60mmol)加えた。反応溶液を45℃で攪拌しながら、0.450gの化合物36(1.061mmol)を20mLの塩化メチレンに溶かした溶液を、20分かけて滴下した。2時間後、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。反応溶液に水及びヘキサンを加え、有機層の抽出を行い、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の精製を行った後、精製した有機層を乾燥させて溶媒を除去し、化合物54を1.657g得た。
【0315】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.88(t, 12H), 0.95-1.53(m, 128H), 1.97(m, 8H),
6.71(d, 2H), 7.08(d, 2H), 7.93(d, 2H)
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -125(s, 2F)
【0316】
参考例57
(化合物55の合成)

四つ口フラスコに、化合物54を1.166g(0.744mmol)、テトラヒドロフラン(THF)を120mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応溶液を0℃まで冷却後、NBSを291mg(1.64mmol)加え、40℃まで昇温した。1時間後に、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。その後、反応溶液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、さらにヘキサンを加えて有機層の抽出を行った。その後、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の分離を行い、分離して得られた成分を乾燥させて溶媒を除去し、化合物55を1.18g得た。
【0317】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.87(t, 12H), 0.95-1.50(m, 128H), 1.95(m, 8H),
6.72(s, 2H), 7.90(s, 2H)
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -129(s, 2F)
【0318】
参考例58
(化合物56の合成)

四つ口フラスコに、化合物8を1.501g(3.868mmol)、化合物41を6.045g(8.710mmol)、及び、テトラヒドロフランを150mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを70.8mg(0.0773mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを89.7mg(0.309mmol)を加えた。反応液を45℃で攪拌しながら、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液19.36g(38.65mmol)を10分かけて滴下した。2時間後、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。反応液中に水を入れ、さらにヘキサンを加えて有機層の抽出を行い、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の精製を行った後、有機層を乾燥することで化合物56を5.432g得た。
【0319】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.70-0.86(m, 48H), 0.90-1.60(m, 68H), 1.97(m, 8H),
6.71(d, 2H), 7.04(d, 2H), 7.77(d, 2H), 7.80(d, 2H)
【0320】
参考例59
(化合物57の合成)

四つ口フラスコに、化合物56を5.265g(3.865mmol)、テトラヒドロフラン(THF)を100mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応液を−30℃まで冷却後、NBSを1.513g(8.501mmol)加え、−10℃まで30分かけて昇温し、1時間後、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。その後、反応液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、さらにヘキサンを加えて有機層の抽出を行った。その後、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の分離を行い、分離して得られた成分を乾燥させることで、化合物57を4.24g得た。
【0321】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.77-0.91(m, 48H), 0.95-1.60(m, 68H), 1.96(m, 8H),
6.72(s, 2H), 7.75(s, 2H), 7.77(s, 2H)
【0322】
参考例60
(化合物58の合成)

四つ口フラスコを用い、化合物8を6.36g(16.39mmol)、化合物48を23.32g(33.60mmol)、及び、テトラヒドロフランを600mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを300.2mg(0.328mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを380.5mg(1.311mmol)加えた。反応液を45℃で攪拌しながら、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液81.97g(163.94mmol)を10分かけて滴下した。2時間後、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。反応液中に水を入れ、さらにヘキサンを加えて有機層の抽出を行い、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の精製を行った後、有機層を乾燥することで化合物58を15.02g得た。
【0323】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.87(t, 12H), 0.90-1.46(m, 104H), 1.97(m, 8H),
6.71(d, 2H), 7.04(d, 2H), 7.77(d, 2H), 7.80(d, 2H)
【0324】
参考例61
(化合物59の合成)

四つ口フラスコを用に、化合物58を15.89g(11.66mmol)、テトラヒドロフラン(THF)を320mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応液を−30℃まで冷却後、NBSを4.57g(25.68mmol)加え、−10℃まで30分かけて昇温し、液体クロマトグラフィーにより1時間後に原料の消失を確認した。その後、反応液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、さらにヘキサンを加えて有機層の抽出を行った。その後、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の分離を行い、分離して得られた成分を乾燥させることで、化合物59を15.24g得た。
【0325】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.88(t, 12H), 0.93-1.52(m, 104H), 1.95(m, 8H),
6.72(s, 2H), 7.75(s, 2H), 7.77(s, 2H)
【0326】
参考例62
(化合物60の合成)

四つ口フラスコに、化合物8を1.164g(3.000mmol)、化合物53を4.669g(6.000mmol)、及び、テトラヒドロフランを100mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを27.47mg(0.030mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを34.82mg(0.120mmol)加えた。反応液を45℃で攪拌しながら、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液15.00g(30.00mmol)を10分かけて滴下した。2時間後、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。反応液中に水を入れ、さらにヘキサンを加えて有機層の抽出を行い、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の精製を行った後、有機層を乾燥することで化合物60を2.985g得た。
【0327】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.88(t, 12H), 0.95-1.53(m, 128H), 1.97(m, 8H),
6.71(d, 2H), 7.04(d, 2H), 7.76(d, 2H), 7.80(d, 2H)
【0328】
参考例63
(化合物61の合成)

四つ口フラスコに、化合物60を2.985g(1.950mmol)、テトラヒドロフラン(THF)を60mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応液を−30℃まで冷却後、NBSを970mg(4.875mmol)加え、−10℃まで30分かけて昇温し、1時間後、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。その後、反応液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、さらにヘキサンを加えて有機層の抽出を行った。その後、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の分離を行い、分離して得られた成分を乾燥させることで、化合物61を2.72g得た。
【0329】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.87(t, 12H), 0.95-1.50(m, 128H), 1.95(m, 8H),
6.72(s, 2H), 7.75(s, 2H), 7.78(s, 2H)
【0330】
実施例34
(重合体Vの合成)

四つ口フラスコに、化合物38を191.3mg(0.150mmol)、及び、塩化メチレンを24mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを2.75mg(0.003mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを3.48mg(0.012mmol)、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を0.8g(1.6mmol)加えた。反応溶液をオイルバスの温度が40℃の条件で撹拌しながら、63.6mgの化合物36(0.150mmol)を6mLの塩化メチレンに溶解させた溶液を10分かけて滴下し、30分間攪拌した。その後、反応溶液にフェニルホウ酸を15.0mg(0.123mmol)加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。なお、反応はアルゴン雰囲気下で行った。
その後、反応溶液にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを1g及び純水を10mL加え、3時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水50mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液50mLで2回、さらに水50mLで2回洗浄し、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させた。トルエン溶液をアルミナ/シリカゲルカラムに通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、重合体Vを50mg得た。
GPCで測定した重合体Vの分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)が25,000であり、数平均分子量(Mn)が10,000であった。重合体Vの吸収端波長は940nmであった。
【0331】
実施例35
(重合体Wの合成)

四つ口フラスコに、化合物43を440.0mg(0.280mmol)、及び、塩化メチレンを50mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを5.49mg(0.006mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを6.96mg(0.024mmol)、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を1.5g(3.0mmol)加えた。反応溶液をオイルバスの温度が40℃の条件で撹拌しながら、120.0mgの化合物36(0.280mmol)を12mLの塩化メチレンに溶解させた溶液を10分かけて滴下し、30分間攪拌した。その後、反応溶液にフェニルホウ酸を150mg(1.23mmol)加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。なお、反応はアルゴン雰囲気下で行った。
その後、反応溶液にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを10g及び純水を100mL加え、3時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水500mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液200mLで2回、さらに水200mLで2回洗浄し、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させた。トルエン溶液をアルミナ/シリカゲルカラムに通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、重合体Wを150mg得た。
GPCで測定した重合体Wの分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)が8,500であり、数平均分子量(Mn)が4,000であった。重合体Wの吸収端波長は940nmであった。
【0332】
実施例36
(重合体Xの合成)

四つ口フラスコに、化合物43を50.5mg(0.032mmol)、及び、テトラヒドロフランを10mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを5.49mg(0.006mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを6.96mg(0.024mmol)、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を1.5g(3.0mmol)を加えた。反応溶液をオイルバスの温度が40℃の条件で撹拌しながら、12.4mgの化合物8(0.032mmol)を5mLのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を10分かけて滴下し、30分間攪拌した。その後、反応溶液にフェニルホウ酸を30.0mg(0.246mmol)加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。なお、反応はアルゴン雰囲気下で行った。
その後、反応溶液にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを1.5g及び純水を13.5mL加え、3時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水15mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液15mLで2回、さらに水15mLで2回洗浄し、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させた。トルエン溶液をアルミナ/シリカゲルカラムに通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、重合体Xを24mg得た。
GPCで測定した重合体Xの分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)が25,000であり、数平均分子量(Mn)が10,000であった。重合体Xの吸収端波長は940nmであった。
【0333】
実施例37
(重合体Yの合成)

四つ口フラスコに、化合物45を416.3mg(0.300mmol)、及び、塩化メチレンを10mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを10.99mg(0.012mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを13.93mg(0.048mmol)、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を1.5g(3.0mmol)加えた。反応溶液をオイルバスの温度が40℃の条件で撹拌しながら、127.2mgの化合物36(0.300mmol)を10mLの塩化メチレンに溶解させた溶液を10分かけて滴下し、30分間攪拌した。その後、反応溶液にフェニルホウ酸を30.0mg(0.246mmol)加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。なお、反応はアルゴン雰囲気下で行った。
その後、反応溶液にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを2.5g及び純水を22.5mL加え、3時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水30mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液30mLで2回、さらに水30mLで2回洗浄し、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させた。トルエン溶液をアルミナ/シリカゲルカラムに通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、重合体Yを156mg得た。
GPCで測定した重合体Yの分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)が76,000であり、数平均分子量(Mn)が31,000であった。重合体Yの吸収端波長は940nmであった。
【0334】
実施例38
(重合体Zの合成)

四つ口フラスコに、化合物45を277.5mg(0.200mmol)、及び、テトラヒドロフランを40mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを3.66mg(0.004mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを4.64mg(0.016mmol)、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を1.0g(2.0mmol)加えた。反応溶液をオイルバスの温度が40℃の条件で撹拌しながら、77.6mgの化合物8(0.200mmol)を10mLのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を10分かけて滴下し、30分間攪拌した。その後、反応溶液にフェニルホウ酸を20.0mg(0.164mmol)加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。なお、反応はアルゴン雰囲気下で行った。
その後、反応溶液にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを1.0g及び純水を9.0mL加え、3時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水10mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液10mLで2回、さらに水10mLで2回洗浄し、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させた。トルエン溶液をアルミナ/シリカゲルカラムに通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、重合体Zを44mg得た。
GPCで測定した重合体Zの分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)が35,000であり、数平均分子量(Mn)が15,000であった。重合体Zの吸収端波長は950nmであった。
【0335】
実施例39
(重合体Z2の合成)

四つ口フラスコに、化合物50を311.2mg(0.200mmol)、及び、塩化メチレンを10mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを7.32mg(0.008mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを9.28mg(0.032mmol)、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を1.0g(2.0mmol)加えた。反応溶液をオイルバスの温度が40℃の条件で撹拌しながら、84.8mgの化合物36(0.200mmol)を10mLの塩化メチレンに溶解させた溶液を10分かけて滴下し、30分間攪拌した。その後、反応溶液にフェニルホウ酸を20.0mg(0.164mmol)加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。なお、反応はアルゴン雰囲気下で行った。
その後、反応溶液にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを1.7g及び純水を15.0mL加え、3時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水20mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液20mLで2回、さらに水20mLで2回洗浄し、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させた。トルエン溶液をアルミナ/シリカゲルカラムに通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、重合体Z2を197mg得た。
GPCで測定した重合体Z2の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)が240,000であり、数平均分子量(Mn)が90,000であった。重合体Z2の吸収端波長は950nmであった。
【0336】
実施例40
(重合体Z3の合成)

四つ口フラスコに、化合物50を252.2mg(0.162mmol)、及び、テトラヒドロフランを20mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを3.66mg(0.004mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを4.64mg(0.016mmol)、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を1.0g(2.0mmol)加えた。反応溶液をオイルバスの温度が40℃の条件で撹拌しながら、62.9mgの化合物8(0.162mmol)を10mLのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を10分かけて滴下し、30分間攪拌した。その後、反応溶液にフェニルホウ酸を20.0mg(0.164mmol)加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。なお、反応はアルゴン雰囲気下で行った。
その後、反応溶液にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを1.0g及び純水を9.0mL加え、3時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水10mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液10mLで2回、さらに水10mLで2回洗浄し、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させた。トルエン溶液をアルミナ/シリカゲルカラムに通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、重合体Z3を165mg得た。
GPCで測定した重合体Z3の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)が300,000であり、数平均分子量(Mn)が100,000であった。重合体Z3の吸収端波長は950nmであった。
【0337】
実施例41
(重合体Z4の合成)

四つ口フラスコに、化合物55を344.9mg(0.200mmol)、及び、テトラヒドロフランを12mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを3.66mg(0.004mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを4.64mg(0.016mmol)、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を1.0g(2.0mmol)加えた。反応溶液をオイルバスの温度が40℃の条件で撹拌しながら、77.6mgの化合物8(0.200mmol)を10mLのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を10分かけて滴下し、30分間攪拌した。その後、反応溶液にフェニルホウ酸を20.0mg(0.164mmol)加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。なお、反応はアルゴン雰囲気下で行った。
その後、反応溶液にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを1.0g及び純水を9.0mL加え、3時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水10mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液10mLで2回、さらに水10mLで2回洗浄し、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させた。トルエン溶液をアルミナ/シリカゲルカラムに通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、重合体Z4を236mg得た。
GPCで測定した重合体Z4の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)が101,000であり、数平均分子量(Mn)が32,000であった。重合体Z4の吸収端波長は940nmであった。
【0338】
実施例42
(重合体Z5の合成)

四つ口フラスコに、化合物57を455.3mg(0.300mmol)、及び、テトラヒドロフランを30mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを5.50mg(0.006mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを7.0mg(0.024mmol)、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を1.5g(3.0mmol)加えた。反応液をオイルバス温度40℃で撹拌しながら、122.3mgの化合物8(0.315mmol)を10mLのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を10分かけて滴下し、30分間攪拌した。その後、反応液にフェニルホウ酸を30.0mg(0.246mmol)を加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。なお、反応はアルゴン雰囲気下で行った。
その後、反応液にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを2.5g及び純水を22.5mL加え、3時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水30mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液30mLで2回、さらに水30mLで2回洗浄し、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させた。トルエン溶液をアルミナ/シリカゲルカラムに通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、重合体Z5を343.9mg得た。
GPCで測定した重合体Z5の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)が70,000、数平均分子量(Mn)が27,000であった。重合体Z5の吸収端波長は940nmであった。
【0339】
実施例43
(重合体Z6の合成)

四つ口フラスコに、化合物59を912.0mg(0.600mmol)、及び、テトラヒドロフランを42mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを5.49mg(0.006mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを6.96mg(0.024mmol)、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を3.0g(6.0mmol)加えた。反応液をオイルバス温度40℃で撹拌しながら、232.9mgの化合物8(0.600mmol)を18mLのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を10分かけて滴下し、30分間攪拌した。その後、反応液にフェニルホウ酸を60.0mg(0.492mmol)加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。なお、反応はアルゴン雰囲気下で行った。
その後、反応液にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを5.0g及び純水を45.0mL加え、3時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水60mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液60mLで2回、さらに水60mLで2回洗浄し、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させた。トルエン溶液をアルミナ/シリカゲルカラムに通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、重合体Z6を779.0mg得た。
GPCで測定した重合体Z6の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)が116,000、数平均分子量(Mn)が40,000であった。重合体Z6の吸収端波長は950nmであった。
【0340】
実施例44
(重合体Z7の合成)

四つ口フラスコに、化合物61を506.5mg(0.300mmol)、及び、テトラヒドロフランを21mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、反応液にトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを2.75mg(0.003mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを3.48mg(0.012mmol)、2mol/Lのリン酸カリウム水溶液を1.5g(3.0mmol)加えた。反応液をオイルバス温度40℃で撹拌しながら、116.4mgの化合物8(0.300mmol)を9mLのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を10分かけて滴下し、30分間攪拌した。その後、反応液にフェニルホウ酸を30.0mg(0.246mmol)加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。なお、反応はアルゴン雰囲気下で行った。
その後、反応液にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを2.5g及び純水を22.5mL加え、3時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水30mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液30mLで2回、さらに水30mLで2回洗浄し、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させた。トルエン溶液をアルミナ/シリカゲルカラムに通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、重合体Z7を440.5mg得た。
GPCで測定した重合体Z7の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)が55,000、数平均分子量(Mn)が20,000であった。重合体Z7の吸収端波長は940nmであった。
【0341】
実施例45
(有機トランジスタの作製)
厚さ300nmの熱酸化膜を有する高濃度にドーピングされたn−型シリコン基板をアセトン中で10分間超音波洗浄した後、オゾンUVを20分間照射した。その後、トルエン10mlに5滴(シリンジで採取して滴下)の割合で希釈したβ−フェニチルトリクロロシランをスピンコートすることにより熱酸化膜表面をシラン処理した。
次に重合体Xを、オルトジクロロベンゼンに溶解し、重合体Xの濃度が0.5重量%の溶液を調製し、該溶液をメンブランフィルターでろ過して塗布液を作製した。該塗布液を、上記表面処理した基板上にスピンコート法により塗布し、重合体Xの塗布膜(厚み:約30nm)を形成した。さらに該塗布膜を窒素雰囲気中で170℃にて30分熱処理することにより、重合体Xの有機半導体薄膜を形成した。
更に、メタルマスクを用いた真空蒸着法により、有機半導体薄膜上に、有機半導体薄膜側から三酸化モリブデン及び金の積層構造を有するソース電極及びドレイン電極を作製することにより、有機トランジスタを製造した。
【0342】
実施例46
(有機トランジスタの評価)
有機トランジスタの電気特性を、半導体パラメータ4200(KEITHLEY社製)を用いて測定した。その結果、重合体Xを用いた有機トランジスタのドレイン電圧(Vd)に対するドレイン電流(Id)の変化曲線は、良好であり、ゲート電極に印加する負のゲート電圧を増加させると、負のドレイン電流も増加することから、有機トランジスタは、p型の有機トランジスタであることを確認することができた。有機トランジスタにおけるキャリアの電界効果移動度μは、有機トランジスタの電気特性の飽和領域におけるドレイン電流Idを表す下記式(a)を用いて算出した。
Id=(W/2L)μCi(Vg−Vt) ・・・(a)
(式中、Lは有機トランジスタのチャネル長、Wは有機トランジスタのチャネル幅、Ciはゲート絶縁膜の単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、Vtはゲート電圧のしきい値電圧を表す。)
その結果、キャリアの電界効果移動度(キャリア移動度)は0.03cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。結果を表4に示す。
【0343】
実施例47
重合体Xにかえて重合体Yを用いた以外は、実施例45と同様の方法で有機トランジスタ素子を作製し、実施例46と同様の方法でトランジスタ特性を評価した。キャリア移動度は0.07cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。結果を表4に示す。
【0344】
実施例48
重合体Xにかえて重合体Zを用いた以外は、実施例45と同様の方法で有機トランジスタ素子を作製し、実施例46と同様の方法でトランジスタ特性を評価した。キャリア移動度は0.06cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。結果を表4に示す。
【0345】
実施例49
重合体Xにかえて重合体Z2を用いた以外は、実施例45と同様の方法で有機トランジスタ素子を作製し、実施例46と同様の方法でトランジスタ特性を評価した。キャリア移動度は0.13cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。結果を表4に示す。
【0346】
実施例50
重合体Xにかえて重合体Z3を用いた以外は、実施例45と同様の方法で有機トランジスタ素子を作製し、実施例46と同様の方法でトランジスタ特性を評価した。キャリア移動度は0.25cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。結果を表4に示す。
【0347】
実施例51
重合体Xにかえて重合体Z4を用いた以外は、実施例45と同様の方法で有機トランジスタ素子を作製し、実施例46と同様の方法でトランジスタ特性を評価した。キャリア移動度は0.12cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。結果を表4に示す。
【0348】
実施例52
重合体Xにかえて重合体Z5を用いた以外は、実施例45と同様の方法で有機トランジスタ素子を作製し、実施例46と同様の方法でトランジスタ特性を評価した。キャリア移動度は0.04cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。結果を表4に示す。
【0349】
実施例53
重合体Xにかえて重合体Z6を用いた以外は、実施例45と同様の方法で有機トランジスタ素子を作製し、実施例46と同様の方法でトランジスタ特性を評価した。キャリア移動度は0.32cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。結果を表4に示す。
【0350】
実施例54
重合体Xにかえて重合体Kを用いた以外は、実施例45と同様の方法で有機トランジスタ素子を作製し、実施例46と同様の方法でトランジスタ特性を評価した。キャリア移動度は0.30cm/Vsであり、オン/オフ電流比は10であった。結果を表4に示す。
【0351】
表4 有機トランジスタ素子評価結果

【0352】
実施例55
(インク及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板を、オゾンUV処理して表面処理を行った。次に、重合体X及びフラーレンC60PCBM(フェニルC61−酪酸メチルエステル)(phenyl C61-butyric acid methyl ester、フロンティアカーボン社製)を、重合体Xの重量に対するC60PCBMの重量の比が3となるようにオルトジクロロベンゼンに溶解し、インク3を製造した。インク3の重量に対して、重合体Xの重量とC60PCBMの重量の合計は2.0重量%であった。該インク3をスピンコートによりガラス基板上に塗布し、重合体Xを含む有機膜を作製した。膜厚は約100nmであった。このようにして作製した有機膜の光吸収端波長は940nmであった。その後、有機膜上に真空蒸着機によりフッ化リチウムを厚さ2nmで蒸着し、次いでAlを厚さ100nmで蒸着し、有機薄膜太陽電池を製造した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正方形であった。得られた有機薄膜太陽電池にソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO-SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm2)を用いて一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定して光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。Jsc(短絡電流密度)は11.20mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は0.62Vであり、ff(フィルファクター(曲線因子))は0.67であり、光電変換効率(η)は4.63%であった。結果を表5に表す。
【0353】
実施例56
重合体Xにかえて重合体Yを用いた以外は、実施例55と同様の方法でインク及び有機薄膜太陽電池を作製し、評価した。Jsc(短絡電流密度)は5.00mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は0.69Vであり、ff(フィルファクター(曲線因子))は0.56であり、光電変換効率(η)は1.96%であった。結果を表5に表す。
【0354】
実施例57
重合体Xにかえて重合体Z2を用いた以外は、実施例55と同様の方法でインク及び有機薄膜太陽電池を作製し、評価した。Jsc(短絡電流密度)は6.67mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は0.71Vであり、ff(フィルファクター(曲線因子))は0.66であり、光電変換効率(η)は3.11%であった。結果を表5に表す。
【0355】
実施例58
重合体Xにかえて重合体Z3を用いた以外は、実施例55と同様の方法でインク及び有機薄膜太陽電池を作製し、評価した。Jsc(短絡電流密度)は10.73mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は0.58Vであり、ff(フィルファクター(曲線因子))は0.65であり、光電変換効率(η)は4.02%であった。結果を表5に表す。
【0356】
表5 光電変換素子評価結果


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される構造単位を有し、光吸収末端波長が700nm以上である高分子化合物。

(式中、Ar1及びAr2は、同一又は相異なり、3価の芳香族炭化水素基又は3価の複素環基を表す。X1及びX2は、同一又は相異なり、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO−、−C(R50)(R51)−、−Si(R)(R)−、−N(R)−、−B(R)−、−P(R)−又は−P(=O)(R)−を表す。R50、R51、R、R、R、R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。ただし、XとXが同一になることはない。また、XとArは、Arを構成する環において互いに隣接する位置に結合し、XとArは、Arを構成する環において互いに隣接する位置に結合している。)
【請求項2】
さらに、式(A−1)、式(B−1)、式(C−1)、式(D−1)又は式(E−1)で表される構造単位を有する請求項1に記載の高分子化合物。

〔式(A−1)〜式(E−1)中、Qは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R30)−又は−CR31=CR32−を表す。R30、R31及びR32は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。R20〜R25は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。R20とR21は、連結して環状構造を形成してもよい。環G〜環Nは、同一又は相異なり、芳香環を表す。〕
【請求項3】
式(A−1)、式(B−1)、式(C−1)、式(D−1)又は式(E−1)で表される構造単位が、式(A−2)、式(B−2)、式(C−2)、式(D−2)又は式(E−2)で表される構造単位である請求項2に記載の高分子化合物。


〔式(A−2)〜式(E−2)中、Q〜Qは、同一又は相異なり、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R30)−又は−CR31=CR32−を表す。R30、R31及びR32は、前記と同じ意味を表す。R40〜R49は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。R40とR41は、連結して環状構造を形成してもよい。R42とR43は、連結して環状構造を形成してもよい。Y1〜Yは、同一又は相異なり、窒素原子又は=CH−を表す。〕
【請求項4】
が−C(R50)(R51)−である請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項5】
が−O―である請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含む薄膜。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物と電子受容性化合物とを含む組成物。
【請求項8】
電子受容性化合物が、フラーレン誘導体である請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の組成物を含む薄膜。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の組成物と溶媒とを含むインク。

【公開番号】特開2011−246687(P2011−246687A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243448(P2010−243448)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】