説明

高分子原料で作られた漁具、船具等の海洋廃棄物を熱分解による油化と固化による燃料の製造装置

【課題】長期間海で使用された船具、漁具等の材質が廃プラスチックと同等の物で作られた網、ロープ、ブイなどの海水を吸着したものや油の汚れ、海藻、貝類の付着した海洋廃棄物を脱塩させる油化に於いて、残渣物より金属の分離と固化燃料と廃プラスチック油の製造は可能か。
【解決手段】熱分解により気化させて冷却による採油と固化する塩と残渣物のカーボンと付属する金属を共に水中に投下させ、浮遊するカーボン固化物と水に溶解する塩と沈む金属とに分離させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は海で用いられた船具、漁具などのロープ、網、浮子等で長く海水に浸かって塩と海藻と貝類の付着した海洋廃棄物の熱分解処理に関する。
【背景技術】
【0002】
船具、漁具として長年使用されてきたロープ、各種魚網、浮子等の高分子製品は長期に海水に浸かって塩分が付着浸漬し、また貝類、海藻等の異物が付着したためその廃棄物は活用されることなく大半は埋立て処分されてきた。
【0003】
埋立て処分にされてきた理由には、長い期間海に浸かっていた関係で多量に塩を噛んでいることや、小型の貝類の付着と海藻生殖がロープ、魚網の原料への再利用を阻害している。
特に養殖に使われた各種網は一部金属が使われている関係で金属の再活用ということも含んだ中で埋立てゴミに扱われている。
【0004】
原料への回帰が困難であれば燃料にしてはどうか。実際セメントキルンの一部に於いて燃料に用いられてはいるが、燃焼装置及び排気ダクト類内壁に塩が積層し、順次増大して壁面に固着が進む障害があった。そこで定期修理点検時に人力によってハツリ取り作業が行われてきた。
【0005】
高分子樹脂で作られながら原料に戻すことが困難な為の埋立てゴミは、燃料化を図る上にも塩分を除去させる工程と海藻、貝類の寄生物をどうするかということや、金属の除去が不可能という問題があり再利用がなされていない。
【特許文献1】特開2001−272017石川島播磨重工業株式会社
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、付着する貝類も海藻も無能化させると共に養殖網の金属も再利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の脱塩熱分解機は加熱させた高分子を熱分解により気化させ、気化ガスを冷却液化により油化させると共に残渣物を固化させて固形燃料に活用する。貝殻も海藻もすべて固化が可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の脱塩熱分解機は、長い年月海水に浸かって海藻や貝類の付着したロープ、網、浮子などで油の汚れや金属の付着した廃棄物を熱分解させることにより発生する気化ガスを冷却し液化させる。
油化後の残渣物は塩化ナトリウムと共に熱分解機底部より抜き出して水中に投下させることにより金属等は沈殿し、塩は水中に溶解するため浮上する残渣物が固形燃料として得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
前記塩化ナトリウムが浸漬または付着した廃棄物を電磁誘導加熱により油化させる。脱塩させた塩化ナトリウムと残渣物であるカーボンと他の金属及び非鉄金属類を水中に投下させ、水上に浮く残渣物と水に溶ける塩と水中に沈降する金属及び非鉄金属とに分離させる。
【実施例1】
【0010】
熱分解機は外周に電磁誘導コイルを巻き、冷却水をコイルに通水する。
コイルと加熱槽の間に絶縁と通磁性と耐熱性を有する断熱材で囲う。
【0011】
横置きの熱分解機を外周に施した電磁誘導コイルより磁束を与えて加熱する。熱分解機を構成する槽内に海洋廃プラスチックを収容し、原料である処理物を順次排出口側に移動させ、移動中も熱分解させながら下部に重設した熱分解機に未分解物を次室送りさせる。
【0012】
次室送りにより受領した次室の熱分解機の構造も前記に述べた工程も同じで溶解温度を違わせて順に数段下部へ下部へと構成させる。
【0013】
最下段の熱分解機まで供給口と排出口は連通させ、処理物は障害無く移送させる。未処理物と既にカーボンに分解した固形物と塩と混在した金属針金は共に最下段の排出口より排出される。
【0014】
この間各分解機の分解温度は最終分解工程に至るほど高温に制御させて処理物の未分解を無くする。
最下段に設けた熱分解機排出口は下部に設置した水槽の水の中に突っ込んで連通させ、外部よりの酸素を水により遮断させる。
【0015】
混在している塩化ナトリウムと残渣物であるカーボンを共に水中に掻き落とすと塩分は水に溶ける。
水に溶けないカーボンの固形物は水面に浮上する。浮上する固形物は図1に示すよう10.掻き上げスクリューコンベヤにより掻き上げシュートにて水切りし9.固形物箱等に収容する。
【0016】
無酸素状態を保持させるため排出シュートを水中に突っ込み残渣物自体の残熱により水分を切る必要がある。但し早く水中より引き上げると残熱と空気中の酸素との結合で発火する恐れがある。
【0017】
図1の実施例は1.電磁誘導コイルを2.熱分解機に巻きつけ、コイルには冷却水を通水させて分解槽とコイル間に断熱材を置き、処理物供給用の4.ロータリーバルブを設けて前記処理物供給時の空気混入を防止する真空維持装置を設けて空気の浸入を遮断させる。
【0018】
図1の説明は熱分解槽内に酸素が混入すると熱分解時に燃焼が生じる。
絶えず分解槽内に空気の混入の防止を維持させる必要があり常時維持を図る。
【0019】
第一槽に処理物を供給させ、ある程度の高温に於いて処理物をゲル化させて次室に送致し、第一槽熱分解機よりも次槽は分解温度を高くさせて順次最終槽を高温に保持させる。蒸発するガスは5.連通シュートを通り低温側に移動する。
【0020】
移動するガスにより前室の上部に設けた15.脱ガス口より油蒸気と塩化水素ガスは排出されて冷却により液化する。
液化させる熱交換器と塩化水素ガスの処理は、本請求の特許の範囲ではないので省略する。
【0021】
6.連通シュートのロータリーバルブを開にすると最終熱分解機より排出する固形物、残渣物、付属金属等は下部に設けた8.水槽の14.水中に落下する。
連通シュートは水中に端部を突っ込んでいるので、空気が連通シュートより逆流しない水シールと処理物の冷却の効果がある。
【0022】
水槽内に設置させた7.掻き上げスクリューコンベヤにより槽外に固形物を取り出し、9.槽外の固形物箱に収納する。
残渣物を一度水中に落下させることで熱分解による高温を保持している固形物を瞬時に水冷却させ、固形物の内部よりの保持熱がなお残った状態で水槽外に持ち出すのは燃焼しない適度の温度が好ましい。
【0023】
水で冷却させ、水より取り出して放置させて水分を調整乾燥させる程度の時間を取ると自然放熱で乾燥する。
【0024】
熱分解で分離して混在した塩は水中に放出されて固形物と別れ、水中で溶解して水の塩分濃度を濃くする。
放置すると塩分が再度固形物に付着するためPH装置で測定しながら16.塩水排出口より抜き出し、適当な水量を加水する。
【0025】
塩水排出口より抜き出した塩水はPH装置でPH測定して中和させる。以下省略する。
【0026】
図2の説明は熱分解槽より分解残渣物を水中に落下させる。
熱分解温度は400℃に上がるため残渣物のうち固形燃料が90℃前後で燃焼する。
分解槽を水中に突っ込み空気を遮断させる工程に於いて、混合した塩分を水に溶解させる。
【0027】
前記の工程に於いて連続に作業を行うと水の塩分濃度が濃くなる。脱塩作業時適量を排水させて次工程のPH装置でもって排水を中性に改善させて放流するか、更に濃縮させて塩を製造させることを特徴とする脱塩装置である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
脱塩工程に於いて気化させた廃プラスチックガスと水蒸気とを更に加熱させる作用で完全に脱気させ、残った残渣物と塩との混合物を水中に浸漬させて分離させる工程は簡単で安価である。
熱分解によって海藻も貝殻も付着した塩も油も炭化と脱塩によって容易に解決が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】脱塩熱分解機の実施方法の示す設置図である。
【図2】脱塩装置の実施方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 電磁誘導コイル
2 熱分解機
3 原料供給ホッパー
4 ロータリーバルブ
5 連通シュート
6 連通シュートロータリーバルブ
7 掻き上げスクリューコンベヤ
8 水槽
9 固形物入れ箱
10 掻き上げ機
11 連通排出シュート
12 シュート
13 浮遊残渣物入れ
14 水位
15 脱ガス口
16 塩水排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを熱分解により油と脱塩物と残渣物とに分別させる脱塩装置は、熱分解装置の残渣物排出口を熱分解槽よりも下部に置いた水槽と、水槽に水を張って前記排出口を水に突っ込み、水中に沈めた掻き上げ機と水の排出口とを水槽の上部と下部に設けた脱塩装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−24425(P2010−24425A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211177(P2008−211177)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(501386924)有限会社 ラムサ・ABE (26)
【Fターム(参考)】