説明

高分子型燃料電池用電極電解質およびその用途

【課題】プロトン伝導性や寸法安定性、熱水耐性、機械的特性に優れるとともに、安価に製造可能であり、触媒金属の回収することも可能な固体高分子型燃料電池用電極電解質を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される繰返し構成単位を含むスルホン酸基を有するポリアリーレン系共重合体;


を含んでなる高分子型燃料電池用電極電解質。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造単位からなる重合体を含む固体高分子型燃料電池用電極電解質、電極ペースト、電極、および膜−電極接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型燃料電池は、高出力密度が得られ、低温で作動可能であることから小型軽量化が可能であり、自動車用動力源、定置用発電電源、携帯機器用発電電源などとして実用化が期待されている。
【0003】
固体高分子型燃料電池はプロトン伝導性の固体高分子電解質膜の両面に一対の電極を設け、純水素あるいは改質水素を燃料ガスとして一方の電極(燃料極)へ供給し、酸素ガスあるいは空気を酸化剤としてもう一方の電極(空気極)へ供給し、発電を行うものである。
【0004】
かかる燃料電池の電極は触媒成分が分散した電極電解質から構成され(このため電極は、電極触媒層ということもある)、燃料極側の電極触媒層は、燃料ガスから、プロトンと電子を発生させ、空気極側の電極触媒層で酸素とプロトンと電子とから水を生成し、固体高分子電解質膜はプロトンをイオン伝導させる。そして、かかる電極触媒層を通して電力が取り出される。
【0005】
従来、固体高分子型燃料電池では、電極触媒層の電解質として、Nafion(商標)に代表されるパーフルオロアルキルスルホン酸系高分子が使用されている。この材料は優れたプロトン伝導性を有しているが、非常に高価であり、また分子内にフッ素原子を大量に有していることから、燃焼性が小さく、電極触媒に用いられる白金などの高価な貴金属の回収再利用を非常に困難にしている問題がある。
【0006】
一方これにかわる材料として、種々の非パーフルオロアルキルスルホン酸系高分子の検討も行われている。特に発電効率の高い、高温条件で用いることを狙い、耐熱性の高い芳香族スルホン酸系高分子を電解質として用いることが試みられている。
【0007】
たとえば、特開2005−50726号公報(特許文献1)には、スルホン化ポリアリーレン重合体を電極電解質として用いることが開示されており、さらに、特開2004−253267号公報(特許文献2)には、特定のスルホン化ポリアリーレンを用いることが開示されている。
【特許文献1】特開2005−50726号公報
【特許文献2】特開2004−253267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらの従来より電解質として知られていた材料は、高温下ではスルホン酸基の可逆的な脱離反応やスルホン酸が関与する架橋反応が発生することがあった。これにより、プロトン伝導性が低下したり、膜の脆化等が生じたりして、燃料電池の発電出力の低下や、膜が破断することにより発電不能に至る問題があった。
【0009】
また、このような問題をできるだけ回避するために、現状、燃料電池発電時の上限温度を限定し使用しており、発電出力に制限があった。
プロトン伝導性を上げるためにスルホン酸濃度を上げると、高温高湿条件下で、吸水に
よる膨潤が大きく、ガス流路を閉塞して、発電性能が低下する問題がある。
【0010】
また、ナフィオンをはじめとする従来より使用されていた電解質膜は、メタノール水溶液中で膨潤しやすく、十分なメタノール耐性を有さないことなどから、ダイレクトメタノール型燃料電池に利用する電解質膜としてはまだ不十分であった。
【0011】
すなわち、本発明の課題は、前述のような、価格的な問題や、触媒金属の回収に関する問題を解決するとともに、プロトン伝導性や寸法安定性、熱水耐性、機械的特性に優れた、固体高分子型燃料電池用電極電解質を提供し、さらに該電解質を含む、電極ペースト、電極、触媒付電解質膜を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。すなわち、スルホン酸基の導入量を増加させても高い電気的性質を付与でき、高温加湿条件下でも優れた膨潤抑制効果を有し、かつ高温低加湿条件下でも優れた電気的性質を有した膜を与えることが可能な重合体を使用することによって、プロトン伝導度の高い材料設計が可能となり、しかも高温条件下でのスルホン酸基の安定性を向上できるとともに、共重合体中のスルホン酸基を有さないユニットの組成比を増加させても、高いプロトン伝導性の共重合体が合成でき、熱水耐性や機械的特性に優れた材料設計が可能となり、上記問題を解決することを見出した。
【0013】
さらにこの重合体は、フッ素原子を含まないか、あるいは含んでもその含有量が大幅に低減されており、前述のような触媒金属の回収再利用に対する問題の解決が可能できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
本発明の構成は以下の通りである。
[1]下記一般式(I)で表される繰返し構成単位を含むことを特徴とするスルホン酸基を有するポリアリーレン系共重合体;
【0015】
【化1】

(式中、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF32−、からなる群より選ばれた少なく
とも1種の構造を示し、Wは直接結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−
、−COO−、−(CF2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH32−、−O−、−S−、−CO−、−SO2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、R30は−SO3Hまたは−O(CH2hSO3Hまたは−O(CF2hSO3H(hは1〜12の整数)で表される置換基を有する含窒素芳香族環を示す。
【0016】
pは0〜10の整数を示し、qは0〜10の整数を示し、rは1〜5の整数を示し、kは0〜4の整数を示す。) を含んでなる高分子型燃料電池用電極電解質。
[2]共重合体がさらに下記一般式(II)で表される構造を有すること[1]の高分子燃料電池用電極電解質。
【0017】
【化2】

(式中、A、Cは独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH
−、−COO−、−(CF2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CR’22−(R’は炭化水素基、環状炭化水素基)、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。s、tは0〜4の整数を示し、uは0または1以上の整数を示す。)
[3]Yが−CO−、−SO2−のいずれかを示し、W、Zが直接結合、−CO−、−SO2
−、−O−、−S−のいずれかを示し、p、qが0〜2、rが1〜2の整数である[1]ま
たは[2]の高分子燃料電池用電極電解質。
[4]Yが−CO−、−SO2−のいずれかを示し、W、Zが直接結合、−CO−、−SO2
−、−O−、−S−のいずれかを示し、p、qが0〜2、rが1〜2の整数であり、R30は−SO3Hまたは−O(CH2hSO3Hまたは−O(CF2hSO3H(hは1〜12
の整数)で表される置換基を少なくとも1個有するピリジン、イミダゾール、トリアゾールおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる化合物から誘導されたものである[1]ま
たは[2]の高分子燃料電池用電極電解質。
[5]上記共重合体が、下記一般式(III)で表される[1]〜[4]の高分子型燃料電池用電極電解質。
【0018】
【化3】

[式中、Zは直接結合または−CO−または−SO2−または−SO−を示す。nは2〜5の整数を示す。]
[6][1]〜[5]の電解質と触媒粒子および溶媒を含むことを特徴とする電極ペースト。
[7][1]〜[5]の電解質と触媒粒子とを含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極

[8][7]の電極を、高分子電解質膜の少なくとも片面に備える膜−電極接合体。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、側鎖にスルホン酸基を含む含窒素複素環が導入された芳香族ユニット
と、スルホン酸基を有さないユニットとを含んでいるので、高いプロトン伝導率と向上した機械的強度を有する電極電解質が得られる。また、本発明によればスルホン化してスルホン酸基を導入する必要がないので、煩雑な工程を必要とせず、安価で、触媒金属の回収が容易であり、プロトン伝導性や寸法安定性に優れ、熱水耐性や機械的特性に優れた、固体高分子型燃料電池用電極電解質が提供される。さらに該電解質を含む、電極ペースト、電極、触媒付電解質膜を提供し、固体高分子型燃料電池の発電性能向上に寄与するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明について説明する。
(電極電解質)
本発明の固体高分子型燃料電池用電極電解質は、特定の構成単位をポリアリーレンに導入して得られた強酸性セグメントを含んだポリアリーレン系重合体を含む。
【0021】
なお、本明細書において重合体における繰返し構成単位を「ユニット」といい、以下、疎水性を有する繰返し構成単位を「疎水ユニット」、スルホン酸基を有する構造単位を「スルホン酸ユニット」ということもある。
ポリアリーレン系重合体
本発明で使用される共重合体は、側鎖にスルホン酸基を含む含窒素複素環を有する単量体を重合によって出来る主鎖がフェニレン結合である共重合体である。
【0022】
本発明に使用される側鎖にスルホン酸基を含む含窒素複素環を有する共重合体は、下記一般式(I)で表されるスルホン酸基を有する繰返し構成単位(スルホン酸ユニット)を含むものである。より好ましくは、前記式(I)で表される繰返し構成単位と、下記一般
式(II)で表されるスルホン酸基を有さない繰返し構成単位(疎水性ユニット)とを含み、下記一般式(III)で表される共重合体である。
<スルホン酸ユニット>
【0023】
【化4】

一般式(I)において、
Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2l−(
lは1〜10の整数である)、−C(CF32−、からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。より好ましくは、−CO−、−SO2−である。
【0024】
Wは直接結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(C
2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。より好ましくは、Wは直接結合、−CO−、−SO2−、−O−、−S−である。
【0025】
Zは直接結合または、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH32−、−O−、−S−、−CO−、−SO2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構
造を示す。より好ましくは、直接結合、−O−、−CO−、−SO2−である。R30は−
SO3Hまたは−O(CH2hSO3Hまたは−O(CF2hSO3H(hは1〜12の整
数)で表される置換基少なくとも1個有する含窒素芳香族環を示す。
【0026】
含窒素複素環とは、環状構造を有する有機化合物の中で、炭素原子の他、窒素を含む環のことである。なお窒素は、環状構造中に2個以上含んでいてもよく、さらには、硫黄を含んでいてもよい。
【0027】
含窒素複素環としては、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ブリン、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリン、インドリジン、イソインドール、3H-インドール、2H-ピロール、1H-インダゾール、プリン、フタラジン、ナフチリジン、シンノリン、プテリジン、カルボリン、フェナントリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、ピロリン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、イソインドリン、キヌクリジンからなる含窒素複素環およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる化合物から誘導される少なくとも1種の基であることが好ましく、イミダゾール、ピリジン、トリアゾールが好ましい。
【0028】
pは0〜10の整数を示し、より好ましくは、0〜4の整数、さらに好ましくは0〜2の整数である。
qは0〜10の整数を示し、より好ましくは、0〜4の整数、さらに好ましくは0〜2の整数である。
【0029】
rは1〜5の整数を示し、より好ましくは、1〜3の整数、さらに好ましくは1〜2の整数である。
kは0〜4の整数を示し、より好ましくは、0〜3の整数、さらに好ましくは0〜2の整数である。
<疎水性ユニット>
【0030】
【化5】

一般式(II)において、A、Cは独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−
SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CR’22−(R’は炭化水素基または環状炭化水素基)、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。ここで、−C(CR’22−で表される構造のうち、R’が環状炭化水素基であるものの具体的な例として、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基などが挙げられる。
【0031】
これらのうち、直接結合または、−CO−、−SO2−、−C(CF32−、−C(C
R’22−(R’は炭化水素基または環状炭化水素基)、−O−が好ましい。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、酸素原子が好ましい。
【0032】
1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル
基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
【0033】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。アリル基としては、プロペニル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
【0034】
s、tは0〜4の整数を示す。uは0または1以上の整数を示し、上限は通常100、
好ましくは1〜80である。
s、tの値と、A、B、C、R1〜R16の構造についての好ましい組み合わせとしては

(1)s=1、t=1であり、Aが−C(CF32−または、−C(CR’22−(R’は炭化水素基または環状炭化水素基)であり、Bが酸素原子であり、Cが−CO−または、−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(2)s=1、t=0であり、Bが酸素原子であり、Cが−CO−または、−SO2−で
あり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(3)s=0、t=1であり、Aが−C(CF32−または、−C(CR’22−(R’は炭化水素基または環状炭化水素基)であり、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子またはニトリル基である構造、
(4)s=1、t=1、2であり、Aが−C(CF32−または、−C(CR’22−(R’は炭化水素基または環状炭化水素基)であり、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(5)s=0、t=1、2であり、Aが−C(CF32−または、−C(CR’22−(R’は炭化水素基または環状炭化水素基)であり、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子またはニトリル基である構造
が挙げられる。
<ポリマー構造>
【0035】
【化6】

一般式(III)において、A、B、C、W,Y,Z,k、p、q、r、s、t、u、R30、およびR1〜R16は、それぞれ上記一般式(I)および(II)中のA、B、C、
W,Y,Z,k、p、q、r、s、t、u、R30、およびR1〜R16と同義である。x、
yはx+y=100モル%とした場合のモル比を示す。
【0036】
本発明で用いられるスルホン酸基を有する共重合体は、式(2)で表される繰返し構成単位すなわちxのユニットを0.5〜100モル%、好ましくは10〜99.999モル%の割合で、式(3)で表される繰り返し構成単位すなわちyのユニットを99.5〜0モル%、好ましくは90〜0.001モル%の割合で含有している。
<ポリマーの製造方法>
スルホン酸基を有する共重合体の製造には、例えば下記に示すA法、B法の2通りの方法を用いることができる。
(A法)例えば、特開2004−137444号公報に記載の方法で、上記一般式(I)で表される構造単位となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーと、上記一般式(II)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、スルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを製造し、このスルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。
(B法)例えば、特開2001−342241号公報に記載の方法で、上記一般式(I)で表される骨格を有しスルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しないモノマーと、上記一般式(II)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、この共重合体を、スルホン化剤を用いて、スルホン化することにより合成することもできる。本発明のスルホン化ポリアリーレンは、A法に示す方法により製造することが好ましい。
(A法)において使用可能な上記一般式(I)で表される構造単位となりうるスルホン酸モノマーとしては、下記の一般式(1)で表される芳香族化合物が挙げられる。
【0037】
【化7】

Xは、フッ素を除くハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、または、−OSO2Rbか
ら選ばれる原子または基を示す。ここで、Rbはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。具体的には、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基を挙げることができる。
【0038】
Y、W、Z、p、qとしては、前記式(1)で例示したものと同じものが例示される。
Raは炭素原子数1〜20の炭化水素基を示す。より好ましくは炭素原子数4〜20の炭化水素基である。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル
基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンタンメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]へプチル基、ビシクロ[2.2.1]へプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、5員の複素環を有する炭化水素基などが挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。
【0039】
20は−SO3Rcまたは−O(CH2hSO3Rcまたは−O(CF2hSO3Rc(
hは1〜12の整数、Rcは炭素原子数1〜20の炭化水素基を示す)で表される置換基を少なくとも1個有する含窒素複素環を示す。Rcはより好ましくは炭素原子数4〜20の炭化水素基である。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチ
ル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンタンメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]へプチル基、ビシクロ[2.2.1]へプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、5員の複素環を有する炭化水素基などが挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。
【0040】
このような芳香族化合物の具体的な例として、下記の構造が挙げられる。
【0041】
【化8】

【0042】
【化9】

【0043】
【化10】

【0044】
【化11】

【0045】
【化12】

【0046】
【化13】

【0047】
【化14】

【0048】
【化15】

【0049】
【化16】

【0050】
【化17】

【0051】
【化18】

【0052】
【化19】

【0053】
【化20】

【0054】
【化21】

【0055】
【化22】

【0056】
【化23】

(B法)において用いることのできる、上記一般式(I)で表される構造単位となりうるスルホン酸を有しないモノマーとしては、下記一般式(4)で表される。
【0057】
【化24】

一般式(4)において、式中、X,Y、Z、W、p、q、rは、式(I)および(1)で示した定義と同一である。
【0058】
21は、含窒素複素環を示し、具体的には、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ブリン、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリン、インドリジン、イソインドール、3H-インドール、2H-ピロール、1H-インダゾール、プリン、フタラジン、ナフチリジン、シンノリン、プテリジン、カルボリン、フェナントリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、ピロリン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、イソインドリン、キヌクリジンからなる含窒素複素環およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる化合物などを挙げることができる。上記化合物において塩素原子が臭素原子に置き換わった化合物、−CO−が−SO2−に置き換わった化合物なども挙げられる。
なお窒素は、環状構造中に2個以上含んでいてもよく、さらには、硫黄を含んでいてもよい。
【0059】
スルホン酸基を有するポリアリーレンを得るためは、まず、これらの、上記一般式(I)で表される構造単位となりうるモノマーと、上記一般式(II)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、前駆体のポリアリーレンを得ることが必要である。
【0060】
この共重合は、触媒の存在下に行われるが、この際使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(1)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
【0061】
これらの触媒成分の具体的な例、各成分の使用割合、反応溶媒、濃度、温度、時間等の重合条件としては、特開2001−342241号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0062】
スルホン酸基を有するポリアリーレンは、この前駆体のポリアリーレンをスルホン酸基を有するポリアリーレンに変換して得ることができる。この方法としては、下記の3通りの方法がある。
【0063】
(A法)前駆体のスルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを、特開2004−137444号公報に記載の方法で脱エステル化する方法。
(B法)前駆体のポリアリーレンを、特開2001−342241号公報に記載の方法でスルホン化する方法。
(C法)前駆体のポリアリーレンに、特願2003−295974号(特開2005−60625号公報)に記載の方法で、アルキルスルホン酸基を導入する方法。
【0064】
上記のような方法により製造される、一般式(3)のスルホン酸基を有するポリアリーレンの、イオン交換容量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。0.3meq/g未満では、プロトン伝導度が低く発電性能が低い。一方、5meq/gを超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがあるため好ましくない。
【0065】
上記のイオン交換容量は、例えば一般式(I)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーと、上記一般式(II)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーの種類、使用割合、組み合わせを変えることにより、調整することができる。
【0066】
このようにして得られるスルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
【0067】
このようなポリアリーレン系重合体は、新規な多スルホン化モノマーから誘導された構成単位を含んでいるので、従来のモノスルホン化モノマーを用いた場合と比較して、イオン交換量を大幅に大きくでき、しかも、従来のポリマーと比較して高いプロトン伝導度を有する傾向にある。したがって、共重合体中のスルホン酸基を有さないユニットの組成比を増加させても、高いスルホン酸濃度の共重合体が合成でき、熱水耐性や機械的特性に優れた材料設計が可能となる。このような重合体は、燃料電池のプロトン伝導膜、電極電解質、結着剤として好適に使用できる。また、このようなポリアリーレン系重合体を含む電極電解質は、膜電極接合体としても好適である。
【0068】
本発明に係る電極電解質は、上記した重合体を含むものであればよく、このため、上記重合体のみから構成されるものであっても、さらに他の電解質を含んでいてもよい。他の電解質としては、従来より用いられていたNafion、Flemion、Aciplexも代表されるパーフルオロカーボン重合体、ポリスチレンスルホン酸などのビニル系ポリマーのスルホン化物、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子に、スルホン酸基またはリン酸基を導入したポリマーなどの有機系ポリマーが挙げられる。他の電解質を含む場合、その使用割合は、全電極電解質中に50重量%以下、好適には30重量%であることが望ましい。
(電極ペースト)
本発明の電極ペーストは、上記の電極電解質、触媒粒子、溶媒からなり、必要に応じて分散剤、炭素繊維などの他の成分を含んでいてもよい。
触媒粒子
触媒粒子は、触媒が、カーボン、金属酸化物の担体に担持されたもの、または、触媒の単体からなる。
【0069】
触媒としては、白金または白金合金が用いられる。白金合金を使用すると、電極触媒としての安定性や活性をさらに付与させることもできる。このような白金合金としては、白金以外の白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、鉄、コバルト、チタン、金、銀、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、亜鉛およびスズから選ばれる1種以上と白金との合金が好ましく、該白金合金には白金と合金化される金属との金属間化合物が含有されていてもよい。
【0070】
触媒は、単体でも、担体に担持された状態でも、触媒粒子を形成している。
上記触媒を担持する担体としては、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが、電子伝導性と比表面積の大きさから好ましく用いられる。また、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素などを用いてもよい。
【0071】
上記オイルファーネスブラックとしては、キャボット社製「バルカンXC−72」、「バルカンP」、「ブラックパールズ880」、「ブラックパールズ1100」、「ブラックパールズ1300」、「ブラックパールズ2000」、「リーガル400」、ライオン社製「ケッチェンブラックEC」、三菱化学社製「#3150、#3250」などが挙げられる。また、上記アセチレンブラックとしては電気化学工業社製「デンカブラック」などが挙げられる。
【0072】
これらのカーボンの形態としては、粒子状のほか、繊維状も用いることができる。また、カーボンに担持される触媒の量としては、有効に触媒活性が発揮できる量であれば特に制限されるものではないが、担持量がカーボン重量に対して、0.1〜9.0g-metal/g-carbon、好ましくは0.25〜2.4g-metal/g-carbonの範囲である。
【0073】
また、担体としては、カーボンの他に、金属酸化物、たとえば、チタニア、酸化亜鉛、シリカ、セリア、アルミナ、アルミナスピネル、マグネシア、ジルコニアなどであってもよい。
【0074】
溶媒
本発明の電極ペーストの溶媒としては、前記電解質を溶解または分散しうる溶媒であればよく、特に限定されるものではない。また1種類のみでなく、2種以上の溶媒を用いることもできる。
【0075】
具体的には、水、
メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−ブタノール、n−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル1−プロパノール、シクロヘキサノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、などのアルコール類、
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの多価アルコール類、
ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ブチルエーテル、フェニルエーテル、イソペンチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、シネオール、ベンジルエチルエーテル、アニソール、フェネトール、アセタールなどのエーテル類、
アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2−オクタノンなどのケトン類、
γ-ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル
、酢酸sec-ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセタート、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのエステル類、
ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン、テトラメチル尿素などの非プロトン性極性溶媒、
トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素系溶媒、を挙げることができ、これらは1種類以上を組み合わせて用いることもできる。
【0076】
分散剤
必要に応じて含まれてよい分散剤としては、オレイン酸・N−メチルタウリン、オレイン酸カリウム・ジエタノールアミン塩、アルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、特殊変成ポリエーテルエステル酸のアミン塩、高級脂肪酸誘導体のアミン塩、特殊変成ポリエステル酸のアミン塩、高分子量ポリエーテルエステル酸のアミン塩、特殊変成燐酸エステルのアミン塩、高分子量ポリエステル酸アミドアミン塩、特殊脂肪酸誘導体のアミドアミン塩、高級脂肪酸のアルキルアミン塩、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩、ラウリルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、αーオレフィンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルジナトリウム塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等のアニオン界面活性剤、ベンジルジメチル{2−[2−(P−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトオキシ]エチル}アンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル-2-牛脂イミダゾリン4級塩、2−ヘプタデセニルーヒドロキシエチルイミダゾリン、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリアクリルアミドアミン塩、変成ポリアクリルアミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物等のカチオン界面活性剤、および
ジメチルヤシベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ラウリルアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、3−[ω-フルオロアクカノイルーN−エチルアミノ]-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、N−[3-(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]-N,N−ジメチル-N-カルボキシメチレンアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤、およびヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、オレイン酸ジエタノールアミド(1:1型)、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリエチレングリコールラウリルアミン、ポリエチレングリコールヤシアミン、ポリエチレングリコールステアリルアミン、ポリエチレングリコール牛脂アミン、ポリエチレングリコール牛脂プロピレンジアミン、ポリエチレングリコールジオレイルアミン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ジメチルステアリルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、ポリビニルピロリドン、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、砂糖の脂肪酸エステル、等の非イオン界面活性剤、およびラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等の両性界面活性剤などを挙げることができる。これらは1種単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。これらのなかでも、好ましくは、塩基性基を有する界面活性剤であり、より好ましくはアニオン性もしくは、カチオン性の界面活性剤であり、さらに好ましくは、分子量5千〜3万の界面活性剤である。
【0077】
電極ペーストに上記の分散剤を添加すると、保存安定性および流動性に優れ、塗工時の生産性が向上する。
炭素繊維
本発明に係る電極ペーストでは、必要に応じてさらに触媒が担持されていない炭素繊維を添加することができる。
【0078】
本発明で必要に応じて用いられる炭素繊維しては、レーヨン系炭素繊維、PAN系炭素繊
維、リグニンポバー系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維等を用いることができ、好ましくは、気相成長炭素繊維である。
【0079】
電極ペーストに炭素繊維を添加すると、電極中の細孔容積が増加することにより、燃料ガスや酸素ガスの拡散性が向上し、また、生成する水によるフラッディング等を改善でき、発電性能が向上する。
【0080】
その他の添加物
本発明に係る電極ペーストでは、必要に応じてさらに他の成分を添加することができる。例えば、フッ素系ポリマーやシリコン系ポリマーなどの撥水剤を添加してもよい。撥水剤は生成する水を効率よく排出する効果をもち、発電性能の向上に寄与する。
【0081】
組成
本発明に係るペースト中の触媒粒子の使用割合は、重量比で1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜15重量%であることが望ましい。また、電極電解質の使用割合は、重量比で0.5重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜15重量%であることが望ましい。さらに、溶剤の使用割合は、重量比で5重量%〜95重量%、好ましくは15重量%〜90重量%であることが望ましい。
【0082】
必要に応じて用いられる分散剤の使用割合は、重量比で0重量%〜10重量%、好ましくは0重量%〜2重量%であり、必要に応じて用いられる炭素繊維の使用割合は、重量比で0重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜10重量%である。(なお、合計で100重量%を超えることはない)
触媒粒子の使用割合が、上記範囲未満であると、電極反応率が低下することがある。また、上記範囲より大きいと、電極ペーストの粘度が増加し、塗工時に塗りむらが発生することがある。
【0083】
電解質の使用割合が、上記範囲未満であると、プロトン伝導度が低下する。さらに、バインダーとしての役割を果たせなくなり、電極を形成できない。また、上記範囲より大きいと、電極中の細孔容積が減少する。
【0084】
溶剤の使用割合が、上記範囲内にあると、発電に必要な電極中の細孔容積が十分確保できる。また上記範囲にあれば、ペーストとしてのハンドリングに好適である。
分散剤の使用割合が、上記範囲内にあると保存安定性に優れた電極ペーストが得られる。炭素繊維の使用割合が、上記範囲未満であると、電極中の細孔容積の増加効果が低い。また、上記範囲より大きいと、電極反応率が低下することがある。
【0085】
ペーストの調製
本発明に係る電極ペーストは、例えば上記各成分を所定の割合で混合し、従来公知の方法で混練することにより調製することができる。
【0086】
各成分の混合順序は特に限定されないが、例えば全ての成分を混合して一定時間攪拌を行うか、分散剤以外の成分を混合して一定時間攪拌を行った後、必要に応じて分散剤を添加して一定時間攪拌を行うことが好ましい。また、必要に応じて、溶媒の量を調整して、ペーストの粘度を調整してもよい。
(電極および膜-電極接合体)
本発明の膜電極接合体における電極ペーストをガス拡散層上に塗布し、乾燥させることにより電極を形成させることができる。その他にも、以上のような本発明に係る電極ペーストを、転写基材上に塗布し、溶媒を除去することによっても、本発明の電極が得られる。このような電極を高分子電解質の少なくとも片面に形成することで、本発明の膜-電極接合体が得られる。
【0087】
転写基材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系ポリマーからなるシート、または表面を離型剤処理したガラス板や金属板、ポリエチレンテレフタレート(PET)のシートなども用いることができる。
【0088】
塗布方法としては、刷毛塗り、筆塗り、バーコーター塗布、ナイフコーター塗布、ドクターブレード法、スクリーン印刷、スプレー塗布などがある。
転写基材上に塗布された電極を、乾燥して溶媒を除去したのち、固体高分子電解質膜の少なくとも片面に転写させると、本発明の膜-電極接合体が得られる。
【0089】
本発明の膜電極接合体に用いられる、固体高分子電解質膜は、プロトン伝導性の固体高分子膜であれば、特に限定されない。
たとえば、Nafion(DuPont社製)、Flemion(旭硝子製)、Aciplex(旭化成製)などのパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーからなる電解質膜、
パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーに、ポリテトラフルオロエチレンの繊維や多孔質膜と複合化した補強型電解質膜、
ポリテトラフルオロエチレングラフトスルホン化ポリスチレンなどの部分フッ素化スルホン化ポリマーからなる電解質膜、
スルホン化ポリアリーレン、スルホン化ポリフェニレン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルニトリル、スルホン化ポリフェニレンエーテル、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリベンズイミダゾール、スルホン化ポリベンズオキサゾール、スルホン化ポリベンズチアゾールなど
の芳香族スルホン化ポリマーからなる電解質膜、
スルホン化ポリスチレン、スルホン酸含有アクリル系ポリマーなどの脂肪族スルホン化ポリマーからなる電解質膜、
これらを多孔質膜と複合化した細孔フィリング型電解質膜、
ポリベンズオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズチアゾールなどのポリマーにリン酸、硫酸などを含浸させた酸含浸型ポリマーからなる電解質膜、などがあげられる。これらのうち、芳香族スルホン化ポリマーからなる電解質膜が好ましい。
【0090】
また、上記電極用電解質を構成する重合体を固体高分子電解質として使用することもできる。
電極を固体高分子電解質膜に転写するには、ホットプレス法を用いることができる。ホットプレス法では、カーボンペーパーまたは離型シートに前記電極ペーストを塗布したもものの、電極ペースト塗布面と電解質膜とを圧着する方法である。ホットプレスは、通常、50〜250℃の温度範囲で、1分〜180分の時間、10〜500kg/cm2の圧力をかけて行う。
【0091】
本発明の膜-電極接合体を得るための別の方法として、電極層と電解質膜とを段階的に
塗布、乾燥を繰り返す方法がある。塗布や乾燥の順序に特に制限はない。
例えば、PETフィルム等の基材上に、電解質膜の溶液を塗布し乾燥して、電解質膜を作
成した後、この上に本発明の電極ペーストを塗布する。次に基材をはがして、もう一方の面に電極ペーストを塗布する。最後に溶媒を除去すると膜-電極接合体(なお、かかる膜-電極接合体を触媒付電解質膜ということもある)が得られる。塗布方法は上記と同様の方法をあげることができる。
【0092】
溶媒の除去は、乾燥温度20℃〜180℃、好ましくは50℃〜160℃、乾燥時間5分〜600分、好ましくは30分〜400分で行う。
必要に応じて、電解質膜を水浸漬して、溶媒を除去してもよい。水温は5℃〜120℃、好ましくは15℃〜95℃、水浸漬時間は1分〜72時間、好ましくは5分〜48時間である。
【0093】
また上記の方法とは逆に、先に電極ペーストを塗布し、電極層を形成したあとに、電解質膜の溶液を塗布して、電解質膜を作成し、次にもう一方の電極層(触媒層ともいう)を同様に形成して触媒付電解質膜としてもよい。
【0094】
電極層の厚さは、特に制限されるものではないものの、触媒として担持された金属が、単位面積あたり、0.05〜4.0mg/cm2、好ましくは0.1〜2.0mg/cm2の範囲にあることが望ましい。この範囲にあれば、十分に高い触媒活性が発揮され、また効率的にプロトンを伝導することができる。
【0095】
電極層の細孔容積は、0.05〜3.0ml/g、好ましくは0.1〜2.0ml/gの範囲にあることが望ましい。なお電極層の細孔容積は、水銀圧入法、ガス吸着法などの方法により測定される。
【0096】
電解質膜の厚さとしては、特に制限されるものではないが、厚くなると発電効率が低下したり軽量化が困難となったりするので、10〜200μm程度の厚さであればよいが、この限りではない。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお実施例における各種の測定項目は、下記のようにして求めた。また、実施例において、「%」とは特に断りのない限り「重量%」を意味する。
【0097】
各種測定に用いられるスルホン化ポリマーフィルムは、スルホン化ポリマーをN−メチルピロリドン/メタノール溶液に溶解させた後、キャスティング法によって製造された。[重量平均分子量]
共重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、溶媒にNMP緩衝溶液を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。NMP緩衝溶液は、NMP(3L)/リン酸(3.3mL)/臭化リチウム(7.83g)の比率で調整した。
[スルホン酸基の当量]
得られたスルホン化ポリマーの水洗水が中性になるまで蒸留水で洗浄して、フリーの残存している酸を除去した後、乾燥させた。この後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として、NaOHの標準液にて滴定し、中和点から、スルホン酸基の当量(イオン交換容量)(meq/g)を求めた。
[破断強度および弾性率の測定]
破断強度および弾性率の測定は、JIS K7113に準じて行った(引っ張り速度:50mm/min)。ただし、弾性率は、標線間距離をチャック間距離とし算出した。J
IS K7113に従い、温度23±2℃、相対湿度50±5%の条件下で48時間試料の状態調整を行った。ただし、試料の打ち抜きは、JIS K6251に記載の7号ダンベルを用いた。引っ張り試験測定装置は、INSTRON製5543を用いた。
[プロトン伝導度の測定]
交流抵抗は、5mm幅の短冊状の試料膜の表面に、白金線(f=0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。すなわち、85℃、相対湿度90%の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。抵抗測定装置として、(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを用い、恒温恒湿装置には、(株)ヤマト科学製のJW241を使用した。白金線は、5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mmに変化させ、交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から、膜の比抵抗を算出し、比抵抗の逆数からプロトン伝導度を算出した。
【0098】
比抵抗R(Ω・cm)=0.5(cm)×膜厚(cm)×抵抗線間勾配(Ω/cm)
[耐熱試験]
2cm×3cmにカットしたフィルムを、ベンコットに挟み、カラス製の試料管に入れ、コンパクト精密恒温槽(AWC−2)で、空気条件下で160℃×24時間加熱する。加熱したフィルムを、NMP緩衝溶媒に0.2wt%の濃度で溶解させ、GPC(NMP緩衝溶媒)(東ソー(株)HCL-8220製)で分子量およびエリア面積(A24)を求める。加熱前のフィルムも同条件で測定を行い分子量およびエリア面積(A0)を求め、分子量の変化、および下記式にて不溶分率を求める。
不溶率(%)=(A24−A0)/(A0)
NMP緩衝溶液は、NMP(3L)/リン酸(3.3mL)/臭化リチウム(7.83g)の比率で調整した。
(合成例1)
<スルホン酸ユニットの合成>
撹拌羽根、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの3口フラスコにフルオロベンゼン2306.4g(24mol)を取り、氷浴で10℃まで冷却し、2,5−ジクロロ安息香酸クロライド1005.4g(4.8mol)、塩化アルミニウム832.1g(6.3mol)を反応温度が40℃を超えないように徐々に添加した。添加後、40℃で8時間撹拌した。反応終了後、氷水に滴下し、酢酸エチルから抽出を行った。1%炭酸水素ナトリウム水溶液により中和した後、飽和食塩水で洗浄し、濃縮を行った。メタノールから再結晶を行うことにより、下記式(30−1)を得た。収量1033g。
【0099】
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた7Lの3口フラスコに下記式(30−1)1323.6.4g(4.9mol)、2−ヒドロキシピリジン467.9g(4.9mol)、炭酸カリウム748.0g(5.4mol)、を取り、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)5L、トルエン1Lをとり、オイル
バス中、窒素雰囲気下で加熱し撹拌下130℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean-Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。その後、大部分のトルエンを除去し、130℃で10時間反応を続けた。得られた反応液を放冷後、濾液を20Lの水/メタノール(9/1)中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥した。撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた7Lの3口フラスコに乾燥物を取り、トルエン5L中で100℃で撹拌し、残留した水分を留去し溶解させた。放冷後、結晶化物を濾過することにより目的物(30−2)を得た。収量1300g。
【0100】
撹拌機、温度計、冷却管、窒素導入の三方コックを取り付けた5Lの3口フラスコに下記式(30−2)585.1g(1.7mol)を濃硫酸387gに溶解させ、20℃で氷冷した。発煙硫酸(60%)1062.5gを徐々に加え、90℃で8時間撹拌した。反応終了後、氷中に溶解させた後、水酸化ナトリウム水溶液で中和した。濃縮により水を除去し、ジメチルスルホキシドに溶解した。不溶物をろ過で取り除き、可溶部分を濃縮した。少量のジメチルスルホキシドに溶解し、アセトン中に凝固し、固化物を濾過することにより目的物(30−3)を得た。収量745g
撹拌機、温度計、冷却管、窒素導入の三方コックを取り付けた5Lの3口フラスコに下記式(30−3)1054g(1.9mol)をスルホラン1Lに溶解させた後、塩化ホスホリル920gを徐々に滴下した。滴下終了後、70℃で8時間撹拌した後、反応溶液を氷中に滴下、酢酸エチルにより抽出した。炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を濃縮後、ヘキサンに凝固することにより目的の化合物(30−4)を得た。収量373g。
【0101】
撹拌羽根、温度計、窒素導入管を取り付けた1Lの3口フラスコに下記式(30−4)324.7g(0.6mol)、ネオペンチルアルコール105.8g(1.2mol)をピリジン378gに溶解させ、5〜10℃で8時間反応させた。反応終了後、1%塩酸・氷水に滴下した後、酢酸エチルから抽出を行った。1%炭酸水素ナトリウム水溶液により中和した後、飽和食塩水で洗浄し、濃縮を行った。酢酸エチル/メタノールから再結晶を行うことにより、下記式(30−5)を得た。収量193g。
【0102】
【化25】

<疎水性ユニットの合成>
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン67.3g(0.20mol)、4,4'−ジクロロベンゾフェノン(4,4'−DCBP)60.3g(0.24mol)、炭酸カリウム71.9g(0.52mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)300mL、トルエン150mLをとり、オイルバス中、窒素雰囲気下で加熱し撹拌下130℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean-Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。反応温度を130℃から徐々に150℃まで上げた。その後、反応温度を徐々に150℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、150℃で10時間反応を続けた後、4,4'−DCBP10.0g(0.040mol)を加え、さらに5時間反応した。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解した。これをメタノール4Lに再沈殿し、目的の化合物95g(収率85%)を得た。
【0103】
得られた共重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算のMnは11,2
00であった。得られた化合物は式(30−6)で表されるオリゴマーであった。
【0104】
【化26】

<ポリマーの合成>
乾燥したDMAc239mLを上記一般式(30−5)で表される化合物62.27g(96.6mmol)と前記式(30−6)で合成した疎水性ユニット38.08g(3.4mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド3.27g(5.0mmol)、トリフェニルホスフィン10.49g(40mmol)、ヨウ化ナトリウム0.45g(3.0mmol)、亜鉛15.69g(240mmol)の混合物中に窒素下で加えた。
【0105】
反応系を撹拌下に加熱し(最終的には79℃まで加温)、3時間反応させた。反応途中で系中の粘度上昇が観察された。重合反応溶液をDMAc 658mLで希釈し、30分
撹拌し、セライトを濾過助剤に用い、濾過した。
【0106】
濾液に臭化リチウム50.34g(579.6mmol)を加え、内温110℃で7時間、窒素雰囲気下で反応させた。反応後、室温まで冷却し、水3.5Lに注ぎ、凝固した。凝固物をアセトンに浸漬し、濾過し洗浄した。洗浄物を1N硫酸1.7Kgで攪拌しながら洗浄を行った。濾過後、生成物は洗浄液のpHが5以上となるまで、イオン交換水で洗浄した。得られたポリマーの分子量をGPCで測定した結果、Mnは53,000、Mwは105,000であった。イオン交換容量は2.28meq/gであった。得られたポリマーは、下記一般式(30−7)であった。
【0107】
【化27】

(合成例2)
<疎水性ユニットの合成>
攪拌機、温度計、Dean-stark管、窒素導入管、冷却管をとりつけた1Lの三口フラスコに、2,6−ジクロロベンゾニトリル154.8g(0.9mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン269.0g(0.8mol)、炭酸カリウム143.7g(1.04mol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン1020mL、トルエン510mLを加えて攪拌した。オイルバスで反応液を150℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean-stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean-stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃に上げ、3時間攪拌を続けた後、2,6−ジクロロベンゾニトリル51.6g(0.3mol)を加え、さらに5時間反応させた。
【0108】
反応液を放冷後、トルエン250mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液をメタノール8Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過、乾燥後、テトラヒドロフラン500mLに溶解し、これをメタノール5Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末を濾過、乾燥し、目的物258gを得た。GPCで測定したMnは7,500であった。
得られた化合物は式(30−8)で表されるオリゴマーであることを確認した。
【0109】
【化28】

<ポリマーの合成>
前記式(30−5)を61.24g(95.0mmol)、疎水性ユニットを前記式(30−8)37.50g(5.0mmol)、臭化リチウム49.50g(570mmol)を用いる以外は合成例1と同様に行った。
【0110】
得られたポリマーの分子量をGPCで測定した結果、Mnは41,000、Mwは84,000であった。イオン交換容量は2.30meq/gであった。得られたポリマーは、下記一般式(30−9)であった。
【0111】
【化29】

(合成例3)
<疎水性ユニットの合成>
撹拌羽根、温度計、窒素導入管、Dean-Stark管、冷却管を取り付けた1Lセ
パラブル3口フラスコに4、4’−ジフルオロベンゾフェノン 52.4g(240mm
ol)、4−クロロ−4'−フルオロベンゾフェノン 14.1g(60.0mmol)、4,4'−(1,3−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール 70.2g(203mmol)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン 23.7g(67.5mmol)、炭酸カリウム48.5g(351mmol)をはかりとった。DMAc 430mL、トルエン 220mLを加え、窒素雰囲気下、150℃で加熱還流した。反応によって生成する水をトルエンとの共沸により、Dean-Stark管から取り除いた。3時間後に水の生成が認められなくなったところで、トルエンを系外に取り除き、160℃で7時間撹拌した後、4−クロロ−、4’−フルオロベンゾフェノン7.0g(20.0mmol)を加え、さらに3時間撹拌した。
【0112】
放冷後、反応溶液に不溶の無機物を、セライトをろ過助剤に用いたろ過によって除いた。ろ液をメタノール2.0Lに注ぎ、反応物を凝固させた。沈殿した凝固物をろ過し、少量のメタノールで洗浄し、真空乾燥した。乾燥した生成物を、テトラヒドロフラン200mLに再溶解した。この溶液をメタノール2.0Lに注ぎ、再沈殿した。凝固物をろ過し、真空乾燥して、110g(収率80%)の目的物を得た。GPCで求めたポリスチレン換算のMnは6000であった。得られた化合物は式(30−10)で表されるオリゴマーであることを確認した。
【0113】
【化30】

<ポリマーの合成>
前記式(30−5)を60.46g(93.8mmol)、疎水性ユニットを前記式(30−10)37.20g(6.2mmol)、臭化リチウム48.88g(563mmol)を用いる以外は合成例1と同様に行った。
【0114】
得られたポリマーの分子量をGPCで測定した結果、Mnは39,000、Mwは88,000であった。イオン交換容量は2.29meq/gであった。得られたポリマーは、下記一般式(30−11)であった。
【0115】
【化31】

(合成例4)
<疎水性ユニットの合成>
撹拌羽根、温度計、窒素導入管、Dean-Stark管、冷却管を取り付けた3Lセ
パラブル3口フラスコに4、4’−ジフルオロベンゾフェノン 207.81g(952
mmol)、4−クロロ−4'−フルオロベンゾフェノン 42.46g(181mmol)、レゾルシノール 103.8g(943mmol)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン 36.7g(105mmol)、炭酸カリウム173.8g(1.3mol)をはかりとった。DMAc 1250mL、トルエン 500mLを加え、窒素雰囲気下、150℃で加熱還流した。反応によって生成する水をトルエンとの共沸により、Dean-Stark管から取り除いた。3時間後に水の生成が認められなくなったところで、トルエンを系外に取り除き、160℃で7時間撹拌した後、4−クロロ−4’−フルオロベンゾフェノン 12.3g(52.0mmol)を加え、さらに3時間撹拌した。
【0116】
放冷後、反応溶液に不溶の無機物を、セライトをろ過助剤に用いたろ過によって除いた。ろ液をメタノール5.0Lに注ぎ、反応物を凝固させた。沈殿した凝固物をろ過し、少量のメタノールで洗浄し、真空乾燥した。乾燥した生成物を、テトラヒドロフラン810mLに再溶解した。この溶液をメタノール3.2Lに注ぎ、再沈殿した。凝固物をろ過し、真空乾燥して、261g(収率75%)の目的物を得た。GPCで求めたポリスチレン換算のMnは4000であった。得られた化合物は式(30−12)で表されるオリゴマーであることを確認した。
【0117】
【化32】

<ポリマーの合成>
前記式(30−5)を58.59g(90.9mmol)、疎水性ユニットを前記式(30−12)36.40g(9.1mmol)、臭化リチウム47.37g(545mmol)を用いる以外は合成例1と同様に行った。
【0118】
得られたポリマーの分子量をGPCで測定した結果、Mnは29,000、Mwは63,000であった。イオン交換容量は2.27meq/gであった。得られたポリマーは、下記一般式(30−13)であった。
【0119】
【化33】

(合成例5)
合成例1の2−ヒドロキシピリジンをイミダゾールへ変更した以外は、同様の操作を行いモノマーを得た。得られた化合物は式(40−1)で表されるモノマーであることを確認した。
【0120】
【化34】

ポリマーの合成は、前記式(40−1)を59.53g(96.4mmol)、疎水性ユニットを前記式(30−6)40.32g(3.6mmol)、臭化リチウム50.23g(578mmol)を用い合成例1と同様に行った。
【0121】
得られたポリマーの分子量をGPCで測定した結果、Mnは32,000、Mwは54,000であった。イオン交換容量は2.26meq/gであった。得られたポリマーは、下記一般式(40−2)であった。
【0122】
【化35】

(合成例6)
前記式(40−1)を58.48g(94.7mmol)、疎水性ユニットを前記式(30−8)39.75g(5.3mmol)、臭化リチウム49.35g(568mmol)を用いる以外は合成例1と同様に行った。
【0123】
得られたポリマーの分子量をGPCで測定した結果、Mnは40,000、Mwは73,000であった。イオン交換容量は2.27meq/gであった。得られたポリマーは、下記一般式(40−3)であった。
【0124】
【化36】

(合成例7)
前記式(40−1)を57.68g(93.4mmol)、疎水性ユニットを前記式(30−10)39.62g(6.6mmol)、臭化リチウム48.67g(560mmol)を用いる以外は合成例1と同様に行った。
【0125】
得られたポリマーの分子量をGPCで測定した結果、Mnは45,000、Mwは93,000であった。イオン交換容量は2.27meq/gであった。得られたポリマーは、下記一般式(40−4)であった。
【0126】
【化37】

(合成例8)
前記式(40−1)を55.83g(90.4mmol)、疎水性ユニットを前記式(30−12)38.40g(9.6mmol)、臭化リチウム47.11g(542mmol)を用いる以外は合成例1と同様に行った。
【0127】
得られたポリマーの分子量をGPCで測定した結果、Mnは32,000、Mwは60,000であった。イオン交換容量は2.27meq/gであった。得られたポリマーは、下記一般式(40−5)であった。
【0128】
【化38】

(合成例9)
ジクロロベンゼンとニコチン酸クロライドを塩化アルミニウム存在下で反応させることにより下記一般式(50−1)を得た。発煙硫酸によりスルホン化、塩化ホスホリルによりクロロスルホン化、ネオペンチルアルコールによるエステル化反応は、合成例1と同様の方法で行い、下記一般式(50−2)を得た。
【0129】
【化39】

【0130】
【化40】

ポリマー合成は、前記式(50−2)を39.69g(98.7mmol)、疎水性ユニットを前記式(30−6)15.12g(1.4mmol)、臭化リチウム25.70
g(296mmol)を用いる以外は合成例1と同様に行った。
【0131】
得られたポリマーの分子量をGPCで測定した結果、Mnは34,000、Mwは67,000であった。イオン交換容量は2.26meq/gであった。得られたポリマーは、下記一般式(50−3)であった。
【0132】
【化41】

(合成例10)
ポリマー合成は、前記式(50−2)を39.42g(98.0mmol)、疎水性
ユニットを前記式(30−8)15.0g(2.0mmol)、臭化リチウム25.53
g(294mmol)を用いる以外は合成例1と同様に行った。
【0133】
得られたポリマーの分子量をGPCで測定した結果、Mnは33,000、Mwは70,000であった。イオン交換容量は2.25meq/gであった。得られたポリマーは、下記一般式(50−4)であった。
【0134】
【化42】

(合成例11)
ポリマー合成は、前記式(50−2)を39.22g(97.5mmol)、疎水性ユニットを前記式(30−10)15.00g(2.5mmol)、臭化リチウム25.40g(293mmol)を用いる以外は合成例1と同様に行った。
【0135】
得られたポリマーの分子量をGPCで測定した結果、Mnは42,000、Mwは81,000であった。イオン交換容量は2.29meq/gであった。得られたポリマーは、下記一般式(50−5)であった。
【0136】
【化43】

(合成例12)
ポリマー合成は、前記式(50−2)を38.74g(96.3mmol)、疎水性
ユニットを前記式(30−12)14.80g(3.7mmol)、臭化リチウム25.09g(289mmol)を用いる以外は合成例1と同様に行った。
【0137】
得られたポリマーの分子量をGPCで測定した結果、Mnは32,000、Mwは66,000であった。イオン交換容量は2.26meq/gであった。得られたポリマーは、下記一般式(50−6)であった。
【0138】
【化44】

(比較合成例1)
乾燥したDMAc304mLを下記一般式(60−1)で表される化合物 62.1g(96.5mmol)と前記式(30−6)で合成した疎水性ユニット39.20g(3.5mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド3.27g(5.0mmol)、トリフェニルホスフィン10.49g(40mmol)、ヨウ化ナトリウム0.45g(3.0mmol)、亜鉛15.69g(240mmol)の条件で反応させた以外は、合成例1と同様の方法で実験操作を行った。
【0139】
【化45】

得られたポリマーの分子量をGPCで測定した結果、Mnは57,000、Mwは165,000であった。イオン交換容量は2.26meq/gであった。得られたポリマーは、下記一般式(60−2)であった。
【0140】
【化46】

合成例1〜12、比較合成例1でそれぞれ得られたスルホン化ポリマーの特性を表1に示す。
【0141】
【表1】

[実施例1〜12]
[ペースト1〜12の調製]
50mlのガラス瓶に直径10mmのジルコニアボール(商品名:YTZボール、株式会社ニッカトー製)25gを入れ、白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担持、(田中貴金属工業株式会社製:TEC10E50E)1.51g、蒸留水0.88g、合成例1〜12
で合成したスルホン化ポリマーの15%水−1,2−ジメトキシエタン溶液(重量比10:90)3.23g、1,2−ジメトキシエタン13.97gを加え、ウエーブローターで60分間攪拌し、粘度50cp(25℃)のペーストを得た。なお、合成例1〜12のペーストがそれぞれ実施例1〜12に相当する。
〔ガス拡散層の作製〕
カーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子とを、カーボンブラック:PTFE粒子=4:6の重量比で混合し、得られた混合物をエチレングリコールに均一に分散させたスラリーをカーボンペーパーの片面に塗布し、乾燥させて下地層とし、該下地層とカーボンペーパーとからなる拡散層3を二つ作製した。
[ガス拡散電極の作製]
上記で作製した拡散層上に、ペースト1を白金塗布量が0.5mg/cm2になるよう
にドクターブレードを用いて塗布した。これを95℃で10分間加熱乾燥し、ガス拡散電極層を形成させた。
[膜−電極接合体の作製]
合成例2のスルホン化ポリマーからなる電解質膜(膜厚30μm)の電解質膜を1枚用意し、上記で作製した一対のガス拡散電極層で挟み、圧力100kg/cm2下で、16
0℃×15minの条件でホットプレス成形して、膜−電極接合体を作成した。
〔発電評価〕
上記で得た膜―電極接合体の両側にガス流路を兼ねるセパレータを積層することにより、固体高分子型燃料電池を構成させた。これを単セルとして、一方を酸素極として空気を供給し、一方は燃料極として純水素を供給して発電させた。発電条件は、セル温度95℃、空気極側相対湿度75%、空気極側流量4L/min、燃料極側相対湿度40%、燃料極側流量1L/minで初期発電特性評価を行った。電流密度1.0A/cm2時の出力
電圧を表2に示す。初期特性評価後、セル温度95℃、空気極側相対湿度75%、空気極側流量0.6L/min、燃料極側相対湿度40%、燃料極側流量0.2L/minで、電流密度を0.1A/cm2に保持し、500時間連続発電を行った。500時間後、初
期発電特性評価条件と同条件で、電流密度1.0A/cm2時の出力電圧を測定した。測
定結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1の電極ペースト作成時のポリマーをNafion溶液(Dupont社製2020CS、20.1wt%溶液)に変更した以外は、同様の方法で電極ペースト、ガス拡散層、ガス拡散電極、膜−電極接合体を作成し、同様の条件で発電評価を行った。
【0142】
【表2】

表2に示したように、Nafionと比較し良好なセル電圧保持性を示すことがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される繰返し構成単位を含むことを特徴とするスルホン酸基を有
するポリアリーレン系共重合体;
【化1】

(式中、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF32−、からなる群より選ばれた少なく
とも1種の構造を示し、Wは直接結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−
、−COO−、−(CF2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH32−、−O−、−S−、−CO−、−SO2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、R30は−SO3Hまたは−O(CH2hSO3Hまたは−O(CF2hSO3H(hは1〜12の整数)で表される置換基を少なくとも1個有する含窒素芳香族環を示す。
pは0〜10の整数を示し、qは0〜10の整数を示し、rは1〜5の整数を示し、kは0〜4の整数を示す。)
を含んでなることを特徴とする高分子型燃料電池用電極電解質。
【請求項2】
共重合体がさらに下記一般式(II)で表される繰返し構成単位を含むことを特徴とする請求項1に記載の高分子燃料電池用電極電解質。
【化2】

(式中、A、Cは独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH
−、−COO−、−(CF2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CR’22−(R’は炭化水素基、環状炭化水素基)、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、R1〜R16は、互いに同一でも異なってい
てもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。s、tは0〜4の整数を示し、uは0または
1以上の整数を示す。)
【請求項3】
Yが−CO−、−SO2−のいずれかを示し、W、Zが直接結合、−CO−、−SO2−、−O−、−S−のいずれかを示し、p、qが0〜2、rが1〜2の整数であることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子燃料電池用電極電解質。
【請求項4】
Yが−CO−、−SO2−のいずれかを示し、W、Zが直接結合、−CO−、−SO2−、−O−、−S−のいずれかを示し、p、qが0〜2、rが1〜2の整数であり、R30は、−SO3Hまたは−O(CH2hSO3Hまたは−O(CF2hSO3H(hは1〜12
の整数)で表される置換基を少なくとも1個有するピリジン、イミダゾール、トリアゾー
ルおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる化合物から誘導されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子燃料電池用電極電解質。
【請求項5】
上記共重合体が、下記一般式(III)で表されることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
かに記載の高分子型燃料電池用電極電解質。
【化3】

[式中、Zは直接結合または−CO−または−SO2−または−SO−を示す。nは2〜5の整数を示す。]
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の電解質と触媒粒子および溶媒を含むことを特徴とする電極ペースト。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の電解質と触媒粒子とを含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極。
【請求項8】
請求項7に記載の電極を、高分子電解質膜の少なくとも片面に備える膜−電極接合体。

【公開番号】特開2008−288093(P2008−288093A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133086(P2007−133086)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】