説明

高分子材料からなる顆粒製造装置

【課題】粒状化機構において冷却水に伝達される廃熱が装置の性能を増大させたり、そのエネルギー効率を向上させたりするために用いられる製造装置1を提供する。
【解決手段】高分子材料からなる顆粒製造装置はプラスチック材料顆粒を製造するための水冷粒状化機構6を有する。粒状化機構の下流に配置される排出経路7はプラスチック材料顆粒と冷却水を含む出発混合流を排出するために用いられる。排出経路の下流に配置される顆粒熱交換器11はプラスチック材料顆粒と冷却水の少なくとも一部を含む温度制御混合流の温度を制御するために用いられる。顆粒熱交換器は伝達熱交換器媒体のための入口16と出口19を有する。顆粒熱交換器の下流に配置される乾燥機構31はプラスチック材料顆粒を乾燥させるために用いられる。顆粒熱交換器は並行に、すなわち直列ではなく延びる温度制御混合流のための複数の流体通路14を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高分子材料からなる顆粒製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの装置はEP 1 522 395 A2、DE 43 37 205 A1、DE 198 24 788 A1及びDE 10 2008 023 046 Aにより知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP 1 522 395 A2公報
【特許文献2】DE 43 37 205 A1公報
【特許文献3】DE 198 24 788 A1公報
【特許文献4】DE 10 2008 023 046 A公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような装置においては、従来から装置の性能をより増大させ、エネルギー効率をより向上させることが課題であった。本発明の目的は、装置の性能を増大させるため、あるいはそのエネルギー効率を向上させるために、粒状化機構において冷却水へ伝達される廃熱を使用することである。
【0005】
この目的は、本発明により請求項1において開示される特徴による第1の形態にしたがって、また請求項9において開示される特徴による第2の形態にしたがって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、高分子材料からなる顆粒製造装置であって、プラスチック材料顆粒を製造するための水冷粒状化機構と、プラスチック材料顆粒と冷却水を含む出発混合流を排出するために粒状化機構の下流に配置される排出経路と、プラスチック材料顆粒と冷却水の少なくとも一部を含む温度制御混合流の温度を制御するために排出経路の下流に配置される顆粒熱交換器とを備え、顆粒熱交換器は伝達熱交換器媒体のための入口と伝達熱交換器媒体のための出口を有し、プラスチック材料顆粒を乾燥するために顆粒熱交換器の下流に配置される乾燥機構を備え、顆粒熱交換器は温度混合流に対して並行に、すなわち直列ではなく延びる複数の流体通路を有していることを特徴とする。
【0007】
プラスチック材料顆粒/冷却水混合流の温度を制御するための熱交換器を顆粒製造工程の品質を改善するために使用できることが本発明によって認識された。顆粒熱交換器は温度制御混合流を冷却あるいは加熱することができる。顆粒熱交換器が制御された方法において随意に冷却あるいは加熱することができるような方法で装置を設計することができる。
【0008】
顆粒熱交換機による冷却は、粒状化機構を介してより高い温度で冷却水を導くことができるので、例えば、空胞の形成を避けることができる。これは冷却速度の、したがって顆粒の収縮挙動のより柔軟な影響に寄与できる。製造されるプラスチック材料顆粒の結晶質の及び非晶質の構造の形成を冷却速度を規定することにより目標とする方法で強制することも、またはこのタイプの構造形成が望まれていないならば避けることもできる。顆粒熱交換機を使用して冷却することによって、圧力の損失に関して及び顆粒の摩耗に関して装置の後の顆粒搬送経路で使用される気体搬送中のその気体搬送動作を改善するために柔らかいプラスチック材料製造物を冷却することができる。冷却顆粒熱交換器において行われる伝達熱搬送媒体の加熱を出発生成物として粒状化機構の押出機に供給されるプラスチック材料粉あるいはプラスチック材料顆粒を予熱するために使用することができる。冷却顆粒熱交換器において伝達熱搬送媒体に伝達される熱を冷却水を生成するために吸収式冷凍機を用いて使用することができる。
【0009】
顆粒熱交換器が温度制御混合流を加熱するために用いられるならば、後者(温度制御混合流の加熱)を炭化水素と残留モノマーあるいは他の揮発性材料から脱ガス若しくは脱臭するために使用することができる。プラスチック材料顆粒の加熱を、例えばPP、HDPE(High Density Polyethylene、高密度ポリエチレン)、LLDPE(Linear Low Density Polyethylene、鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(Low Density Polyethylene、低密度ポリエチレン)、酢酸ビニルの少量あるいは他のコモノマーを含むLDPEのようなポリオレフィンの例について脱ガスを改善するか促進するために用いることができる。顆粒熱交換器による温度制御混合流の加熱もまたPETを、特にチップの形態で結晶化させるために用いることができる。顆粒熱交換器によるプラスチック材料顆粒の冷却をプラスチック材料顆粒の下流の水力搬送体(downstream hydraulic conveyance)を加熱するために用いることができる。水力搬送の水力媒体は顆粒熱交換器において温度制御混合流の廃熱を用いてここで加熱される。水力搬送の熱損失をこれにより補償することができる。
【0010】
顆粒熱交換器をチューブ束熱交換器として構成することができる。チューブ束のチューブは直線状かU形であってもよい。チューブは製造される顆粒の粒の標準的な直径の大きさの5から15倍の標準的な内径を有してもよい。丸でない横断面を持つチューブも熱交換器チューブとして用いられてもよい。チューブは、例えば、長方形の横断面を有してもよい。顆粒熱交換器は板状の熱交換器として構成されてもよい。この型の板状の熱交換器の例はEP 0 444 338 B1により示される。板状の熱交換器としての構造において、伝達熱交換器媒体は板状の熱交換器の板を流れることができ、温度制御混合流は板状の熱交換器の板の間を流れることができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、粒状化機構と乾燥機構との間で顆粒熱交換器を跨設するバイパス経路を備えていることを特徴とする。
【0012】
第2の態様によるバイパス経路は装置の信頼できる動作を確保する。量制御ユニットが顆粒熱交換器とバイパス経路との間で流量配分を規定するために設けられてもよい。量制御ユニットを、反らせ板(deflector)によって、また一方ではバイパス経路の分岐の後および顆粒熱交換器の前の、他方ではバイパス経路における制御可能バルブによって実現することができ、あるいは2つの前記のバルブ位置の1つにおける少なくとも1つの絞りバルブによって実現することもできる。
【0013】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様において、温度制御混合流は重力の効果に逆らって流体通路を通って搬送されることを特徴とする。
【0014】
第3の態様による重力の効果と逆の搬送方向は特に顆粒において適しており、その比重は冷却水のそれ未満である。
【0015】
本発明の第4の態様は、第1の態様または第2の態様において、温度制御混合流は重力の影響の下で流体通路を通って搬送されることを特徴とする。
【0016】
第4の態様による重力の方向における搬送方向は特に顆粒において適しており、その比重は冷却水のそれよりも高い。重力の方向における搬送方向は重力の方向と逆に顆粒熱交換器の伝達熱搬送媒体の向流(counter-flow)を許容し、そのため顆粒熱交換器内で伝達熱搬送媒体が蒸発できる。この蒸発の可能性は顆粒熱交換器の特定の応用に対して有利となる可能性がある。
【0017】
本発明の第5の態様は、第1の態様から第4の態様のいずれかの態様において、濃縮機構を備え、その顆粒流入経路は排出経路により供給され、濃縮機構は冷却水流のための第1の出口と、温度制御混合流のための第2の出口とを有し、濃縮機構の第1の出口は粒状化機構への冷却水のための復帰経路に流体接続し、濃縮機構の第2の出口は顆粒熱交換器に流体接続していることを特徴とする。
【0018】
第5の態様による濃縮機構は、顆粒熱交換器においてプラスチック材料顆粒と伝達熱搬送媒体との間の熱伝達の効率を増大させる。それ故プラスチック材料顆粒における温度の影響を顆粒熱交換器の所定の設計を取ることで増大させることができる。
【0019】
本発明の第6の態様は、第5の態様において、濃縮機構は顆粒熱交換器の入口において一体となっていることを特徴とする。
【0020】
第6の態様による濃縮機構の一体化は小型で低い熱損失をもたらす。濃縮機構は顆粒熱交換器の容器壁の拡張部位の領域に配置されてもよい。顆粒熱交換器の入口の環状経路は濃縮機構の構成要素としてもよい。環状経路を保持ふるい(retaining sieve)によって拡張部位の内部から隔てられることができる。
【0021】
本発明の第7の態様は、第5の態様または第6の態様において、冷却水熱交換器は濃縮機構と粒状化機構との間の復帰経路に配置されていることを特徴とする。
【0022】
第7の態様による冷却水熱交換器を冷却水の温度を制御するために用いることができる。必要ならば冷却水熱交換器を使用して冷却水を冷却することができる。冷却水熱交換器の伝達熱交換器媒体によって吸収されるエネルギーを復帰させることができる。
【0023】
本発明の第8の態様は、第1の態様から第7の態様のいずれかの態様において、伝達熱交換器媒体のための顆粒熱交換器の入口は、乾燥機構の下流に配置され、分離された冷却水のための分離経路に流体接続し、伝達熱交換器媒体のための顆粒熱交換器の出口は粒状化機構への冷却水のための復帰経路に流体接続していることを特徴とする。
【0024】
第8の態様による装置の乾燥機構の後の分離経路への顆粒熱交換器の接続を顆粒熱交換器において温度制御混合流を加熱するために用いることができる。この場合、冷却水自体は顆粒熱交換器の伝達熱交換器媒体として使用される。このタイプの配置は特にプラスチック材料顆粒を脱ガスあるいは脱臭するために顆粒熱交換器を使用するときに有利である。
【0025】
本発明の第9の態様は、高分子材料からなる顆粒製造装置であって、プラスチック材料顆粒を製造するための水冷粒状化機構と、粒状化機構の下流に配置され、プラスチック材料顆粒と冷却水を含む出発混合流を排出するための排出経路と、排出経路の下流に配置され、出発混合流の冷却水の少なくとも一部を含む復帰冷却水流からエネルギーを復帰させるためのエネルギー復帰機構を備え、ORC回路媒体のための少なくとも一つのORC回路からなるエネルギー復帰機構は、ORCタービンと、ORCタービンの前のORC回路におけるORC蒸発器と、ORCタービンの後のORC回路におけるORC凝縮器からなることを特徴とする。
【0026】
この発明の第2の形態によると、ORC回路(Organic Rankine Cycle、有機ランキンサイクル)が復帰冷却水流に含まれる熱を使用するための有利な変形であることが認識された。復帰冷却水流は、プラスチック材料顆粒と、冷却水の少なくとも一部および/または出発混合流からの冷却水の分離の後の冷却水流および/または出発混合流自体を含むすでに上記した温度制御混合流であってもよい。エネルギー復帰機構は全体のシステムのエネルギー消費を減らす。ポンプはORCシステムに配置されてもよい。このポンプは有機媒体を圧縮するのに使用されてもよい。ORC回路はORCタービンでORC回路媒体の凝縮が生じないような方法で設計されてもよい。ORCタービンは膨張タービンとして動作することもある。
【0027】
ORC回路に代わるものとして、塩類溶液に基づく熱搬送媒体か熱交換器媒体による熱搬送媒体回路が用いられてもよい。一般的に、冷却剤、例えば水やNHを例えば臭化リチウム、イオン液体や水などの吸着剤から放出するために温度制御混合流を用いることができる。
【0028】
本発明の第10の態様は、第9の態様において、ORC蒸発器はORCタービンの前のORC回路におけるORC蒸発器ユニットとORC蒸発器ユニットの前のORC回路におけるORC予熱器ユニットを有し、ORC蒸発器ユニットおよび/またはORC予熱器ユニットは復帰冷却水流による熱交換器として構成されていることを特徴とする。
【0029】
第10の態様による有機媒体の2段階ORC蒸発器はORC回路媒体の要求に特によく適応する。リストリクター(restrictor)はORC予熱ユニットとORC蒸発器ユニットとの間に配置されてもよい。
【0030】
本発明の第11の態様は、第9の態様または第10の態様において、ORCタービンとORC凝縮器との間のORC回路媒体から伝達熱交換器媒体へ熱を放出するためのORC回路におけるORC冷却器と、ORC凝縮器とORC蒸発器との間の伝達熱交換器媒体からORC回路媒体へ熱を放出するためのORC回路における予備の予熱器とを備えていることを特徴とする。
【0031】
第11の態様による設計は、凝縮の後のORC回路媒体の予備の予熱のためにORCタービンの出口でORC回路媒体に含まれる熱を使用し、それによりORC回路の効率を増大させる。
【0032】
本発明の第12の態様は、第9の態様から第11の態様のいずれかの態様において、濃縮機構を備え、その顆粒流入経路は排出経路により供給され、冷却水流のための第1の出口と、出発混合流よりもより高い顆粒分率を有するプラスチック材料顆粒および冷却水を含む混合流のための第2の出口を有し、濃縮機構の第1の出口はORC蒸発器と流体接続していることを特徴とする。
【0033】
第12の態様による濃縮機構は、一方では冷却水流に含まれ、第1の出口を経由して案内され、他方では第2の出口を経由して混合流において案内される熱エネルギーを別々に使用する可能性をもたらす。
【0034】
本発明の第13の態様は、第10の態様から第12の態様のいずれかの態様において、ORC予熱器ユニットは濃縮機構の第2の出口と流体接続していることを特徴とする。
【0035】
混合流のエネルギーの使用可能性は第13の態様による構成によって生み出される。
【0036】
本発明の第14の態様は、第9の態様から第13の態様のいずれかの態様において、ORC回路媒体は0および2600kJ/kgの間の範囲の蒸発エンタルピーおよび/または0および6kJ/kgKの間の範囲の熱容量を有していることを特徴とする。
【0037】
第14の態様によるパラメータを有するORC回路媒体は、装置におけるエネルギー復帰機構のためのORC回路の要求によく適応することが証明された。ORC回路媒体の高い熱容量は回路媒体の必要とされる循環量を減少させ、それによりエネルギー復帰機構における部品の必要とされる全体的な寸法を減少させる。ORC回路媒体の高い熱容量は、もし存在するならば、予熱器において、冷却水あるいは混合流から相応に高い熱分を除去する。ORC回路媒体は、乾燥した逆行する膨張挙動、すなわちORC回路媒体のT/Sグラフにおいて臨界点を超えて上昇する勾配を有する飽和蒸気曲線を有することもある。ORC回路媒体は、10℃と120℃の間の温度範囲および1バールと16バールの間の圧力範囲において動作することができる。ORC回路媒体としてR245fa、イソブタンあるいはイソブテンが使用されることもある。
【0038】
本発明の第15の態様は、第9の態様から第14の態様のいずれかの態様において、粒状化機構と乾燥機構との間でエネルギー復帰機構を跨設するバイパス経路を備えていることを特徴とする。
【0039】
第15の態様によるバイパス経路はエネルギー復帰機構での装置の信頼できる動作を確保する。
【0040】
装置の2つの形態に関する上記の特徴を相互のいかなる組み合わせにおいてもまた理解することができる。
【0041】
発明の実施例が以下に図面を用いてより詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】高分子材料からなる顆粒製造装置、すなわちプラスチック材料粒状化システムの一般図を概略的に示す。
【図2】図1と同様の図で、他のプラスチック材料粒状化システムの一般図を示す。
【図3】図1と同様の図で、他のプラスチック材料粒状化システムの一般図を示す。
【図4】図3に示される濃縮機構に代わるものとして使用される濃縮機構の実施例を示す。
【図5】図1と同様の図で、他のプラスチック材料粒状化システムの一般図を示す。
【図6】図1と同様の図で、他のプラスチック材料粒状化システムの一般図を示す。
【図7】図1と同様の図で、他のプラスチック材料粒状化システムの一般図を示す。
【図8】図1と同様の図で、他のプラスチック材料粒状化システムの一般図を示す。
【図9】図1と同様の図で、他のプラスチック材料粒状化システムの一般図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は高分子材料からなる顆粒製造装置1の第1の構造を示す。装置1はプラスチック材料粒状化システムとも呼ばれる。
【0044】
装置1は高分子溶融物を製造するための押出機2を有している。押出機に代えて溶融ポンプを設けることもできる。
【0045】
高分子溶融物が押圧される多孔板3が押出機2の出口に配置されている。切断機構4は多孔板3の真後ろで高分子溶融物の搬送経路に配置されている。切断機構4は多孔板3で形成される個々の高分子ひもを個々の顆粒の粒に切断する。切断工程は冷却水が切断した顆粒を冷却するために導かれる粒状化フード5で行われ、前記冷却水は粒状化水とも呼ばれる。押出機2、多孔板3、切断機構4および粒状化フード5はプラスチック材料顆粒を製造するための水冷式粒状化機構6の構成要素である。粒状化フード5の出口と流体接続している排出経路7は、冷却水の搬送経路において粒状化フード5の下流に配置されている。排出経路7は製造されたプラスチック材料顆粒と粒状化フード5を通して導かれる冷却水を含む出発混合流を粒状化フード5から排出するために使用される。
【0046】
バイパス分岐8は排出経路7のさらに先の搬送経路に配置されている。排出経路7はそこで熱交換器供給経路9とバイパス経路10に分岐する。熱交換器供給経路9は顆粒熱交換器11に流体接続している。後者(顆粒熱交換器)は製造されたプラスチック材料顆粒および冷却水の少なくとも一部を含む温度制御混合流の温度を制御するために使用される。量制御ユニットは顆粒熱交換器11とバイパス経路10との間の流量配分を規定するために使用される。バイパス経路10における水量流を通過流センサー11aにより測定することができる。量制御ユニットはバイパス分岐8の部位で適合性のある、反らせ板(deflector)ユニットとして実現できる。代替手段として、量制御ユニットは制御可能バルブや例えばフラップ(flaps)やスライド(slides)の形状の停止部材12、13によって実現できる。停止部材12はバイパス分岐8と顆粒熱交換器11の間で温度制御混合流の搬送経路に配置されている。停止部材13はバイパス分岐8の後のバイパス経路10に配置されている。さらなる変形において、量制御ユニットは停止部材12の部位か停止部材13の部位のどちらかにおいて絞りバルブによって実現できる。調整ユニット13aは絞りバルブの停止部材12、13と制御あるいは信号接続を有することができる。この接続は図面では示されていない。調整ユニット13aはまた、やはり示されない方法で、通過流センサー11aと信号接続を有する。調整ユニット13aにおいて、バイパス経路10を通る通過流センサー11aによって測定される実際の通過流値は、所定の望ましい通過流値と比較され、変位が所定の許容値を超えるならば、反らせ板ユニット、停止部材12、13あるいは絞りバルブを作動させることによって望ましい値に調整される。
【0047】
顆粒熱交換機11は温度制御混合流とORC(Organic Rankine Cycle、有機ランキンサイクル)回路媒体との間の熱交換のために使用される。ORC回路媒体は顆粒熱交換器11における熱伝達のための伝達熱交換器媒体である。顆粒熱交換器11はチューブ束熱交換器として構成される。温度制御混合流は、まっすぐに延びるチューブ束からなる熱交換器チューブ14によって底部から頂部へ、換言すれば重力の効果に逆らって搬送される。顆粒熱交換機11の熱交換器チューブ14は、温度制御混合流に対して並行に延びる、すなわち直列ではない、複数の流体通路である。
【0048】
まっすぐな経路に代わるものとして、熱交換器チューブ14はU形に曲げられた経路を持つこともできる。熱交換器チューブ14は、製造される顆粒の粒の標準的な直径の4から10倍の大きさの直径を有することができる。チューブ束熱交換器に代えて、顆粒熱交換機11は、例えば、EP 0 444 338 B1の方法で、板状の熱交換器として構成されることもでき、それはまた温度混合流に対して並行に延びる複数の流体通路を有している。
【0049】
中にチューブ束が配置されている顆粒熱交換器11の円筒状の熱交換器容器15の上部領域において、ORC回路媒体のための入口16が熱交換器容器15の方へ通じている。入口16は、出発混合流の冷却水の少なくとも一部を含む復帰冷却水流からエネルギーを復帰させるためのエネルギー復帰機構18のORC回路17の構成要素である。図1の例において、復帰冷却水流は、バイパス経路10が閉じられたときには出発混合流と同じである。
【0050】
ORC回路17の出口19は熱交換器容器15の下部領域において後者(熱交換器容器)から外へ通じている。リストリクター20は、ORC回路媒体の搬送方向において出口19から下流へ配置されている。リストリクター20は、顆粒熱交換器11におけるORC回路媒体に対して十分に蒸発しない圧力下に顆粒熱交換器11においてORC回路媒体を保つ。蒸発器ユニット21は、ORC回路17におけるORC回路媒体の搬送経路においてリストリクター20の下流に配置されている。蒸発器ユニット21は蒸発器容器を有し、ORC予熱ユニットを形成している顆粒熱交換器11とともに、ORC蒸発器の構成要素である。ORCタービン22は、ORC回路17におけるORC回路媒体の搬送経路において蒸発器ユニット21の下流に配置されている。ORCタービン22は発電機23と機械的な接続を有している。発電機23は生成される電流を電流回路網に供給する。ORC凝縮器24は、ORC回路17におけるORC回路媒体の搬送経路においてORCタービン22の下流に配置されている。ORC回路17のORC回路媒体の搬送を循環させるためのORCポンプ25は、ORC回路17の搬送経路においてORC凝縮器24の下流に配置されている。
【0051】
ORC回路媒体は0と2600kJ/kgの間の範囲における蒸発エンタルピーを有し、0と6kJ/kgKの間の範囲における熱容量を有する。ORC回路媒体は、乾燥した、すなわち逆行する膨張挙動を有することもある。ORC回路媒体はこのようにして、回路媒体のT/Sグラフにおいて上昇する勾配を有する飽和蒸気曲線を有する。この場合におけるT/Sグラフは絶対温度Tと回路媒体のエントロピーSとの間に依存関係をもたらす。ORC回路17は10℃と120℃との間の温度範囲および1バールと16バールとの間の圧力範囲で動作される。R245faおよびイソブタンあるいはイソブテンがORC回路媒体として用いられる。
【0052】
熱交換器供給経路9とチューブ束との間の熱交換器容器15の入口側拡張部位26の領域において、プラスチック材料塊を保持することができる保持ふるい27を温度制御混合流の流路に配置することができる。
【0053】
熱交換器容器15の収縮部29を経由して顆粒熱交換器11のチューブ束と流体接続している熱交換器排出経路28は、バイパス口30を経由してバイパス経路10と結合している。バイパス経路10はこのようにして粒状化機構6とプラスチック材料顆粒を乾燥させるための下流乾燥機構31との間で顆粒熱交換器11に跨設されている。温度混合流に対してバイパス口30の後に延びる混合流経路32において乾燥機構31の入口に配置されているものは塊分離器33である。混合流経路32においてその下流に配置されているものはプラスチック材料顆粒の搬送経路において下流に配置された乾燥器35と一体となっている顆粒/水分離器34である。顆粒搬送経路において乾燥器35の下流に配置されているものは乾燥したプラスチック材料顆粒をふるいにかけるためのふるい器36である。貯蔵サイロの形状の顆粒容器37は顆粒の搬送経路におけるふるい器36の下流に配置されている。セル・ホイール・スルース(cellular wheel sluice)38の形状の供給部材は顆粒容器37の下の供給側に配置されている。他に示されていない気体搬送システムの搬送経路39はセル・ホイール・スルース38の下流に配置されている。気体搬送システムを用いて、製造され、乾燥されたプラスチック材料顆粒を目的とする場所に供給することができる。
【0054】
顆粒/水分離器34で分離された冷却水は冷却水経路40を経由して後者(顆粒/水分離器)を出る。ふるい機構41はさらに冷却水の搬送経路の中に配置されている。冷却水の搬送経路においてふるい機構41の下流に配置されているものは冷却水タンク42である。冷却水の循環回路搬送のための搬送ポンプ43は冷却水の搬送経路において冷却水タンク42の下流に配置されている。冷却水熱交換器44は冷却水の搬送経路において搬送ポンプ43の下流に配置されている。冷却水熱交換器44から冷却水は供給経路45を経由して再び粒状化フード5に供給される。冷却水熱交換器44を用いて、粒状化フード5の前で冷却水は所定の粒状化温度となる。粒状化フード5への入口での冷却水温度は標準的には40℃から70℃である。冷却水は、粒状化機構6で製造される、標準的には5Kから20Kの熱い顆粒の粒と共に熱交換によって加熱される。
【0055】
温度センサーTが供給経路45に接続されてもよい。前記温度センサーは粒状化フード5の入口で冷却水の実際の温度を測定することができる。
【0056】
顆粒熱交換器11の手段によって、蒸発器ユニット21におけるその後の蒸発のためのORC回路媒体の効率的な予熱が確保される。ORC回路媒体は顆粒熱交換器11において直交する向流流れ(cross counter flow)で予熱される。エネルギー復帰機構18を用いて生成される電流を供給網にフィードバックすることができる。結果として、全体のシステムの正味の電流の消費は相応に減らされる。エネルギー復帰機構18を用いて生成される電流を、少なくとも一部は、プラスチック材料粒状化システムの構成要素を動作させるため、例えば、搬送ポンプ43を動作させるため、切断機構4の駆動部Mを動作させるため、あるいは押出機2を動作させるために用いることができる。セル・ホイール・スルース38をエネルギー復帰機構18によって生成されるエネルギーにより動作させることもできる。
【0057】
プラスチック材料粒状化システムを始動するとき、熱交換器供給経路9は閉鎖され、出発混合流はまずバイパス経路10を経由して導かれる。このような適応により顆粒熱交換器11をシステムの動作中にバイパス経路10を経由して跨設することもできる。
【0058】
保持ふるい27のメッシュ寸法は熱交換器チューブ14の内径よりも小さい。
【0059】
図2は、装置1の代わりに用いることができる高分子材料からなる顆粒を製造するための装置46の別の構成を示す。図1に関してすでに上記したものに対応する構成要素および機能は同じ符号を有し、詳細には再び説明しない。
【0060】
重力の効果に逆らって顆粒熱交換器を経由する図1による構造における温度制御混合流の搬送と対照的に、図2による構造における顆粒熱交換器11を経由する温度制御混合流の搬送は流体通路を経由して、すなわち、熱交換器チューブ14を経由して重力の影響の下で行われる。図1による配置と比較して、図2による構造の顆粒熱交換器11はこのように高く配置されている。したがって、ORC回路媒体に対する入口16もまた熱交換器容器15の下部領域に配置され、出口19は熱交換器容器15の上部領域に配置されている。図2による顆粒熱交換器11はORC予熱器ユニットとしてまたORC蒸発器ユニットとして双方で動作することができる。図2によるORC回路17において、顆粒熱交換器11は同時にORC蒸発器でもある。図1によるORC回路17におけるリストリクター20を図2によるORC回路17においては省略することができる。ORC蒸発器ユニット21もまた図2によるORC回路17においては省略される。
【0061】
図1および2による顆粒熱交換器11の配置可能性に代わるものとして、顆粒熱交換器11を、水平に延びるあるいはU形で、若しくは熱交換器板で、それぞれの場合に温度制御混合流に対して並行に延びる複数の流体通路として所定の熱交換器チューブ14により構成することもできる。
【0062】
図3は装置1の代わりに用いることができる高分子材料からなる顆粒を製造するための装置47の他の構成を示す。図1に関してすでに上記したものに対応する構成要素および機能は同じ符号を有し、詳細には再び説明しない。
【0063】
図3において、図1による装置において明確に構成されるORC回路17は図3による装置47においては省略される。
【0064】
装置47においては、濃縮機構48がバイパス分岐8の後の温度制御混合流の搬送経路に配置されている。熱交換器供給回路9が少なくとも部分的に開かれているならば、濃縮機構48の混合流の流入は排出経路7によって供給される。濃縮機構48はDE 100 61 892 C1に記載されている方法によって設計されてもよい。
【0065】
濃縮機構48は、濃縮機構48において温度制御混合流から分離された冷却水のさらなる搬送のための第1の出口49と製造された高分子材料顆粒と冷却水の分離されていない部分を含み、顆粒熱交換器11に供給される濃縮された温度制御混合流のさらなる搬送のための第2の出口50を有する。
【0066】
濃縮機構48の第1の出口49、すなわち冷却水出口は出口チューブ経路51と冷却水口52を経由して顆粒/水分離器34とふるい機構41との間の冷却水経路40へ流体接続している。さらに冷却水熱交換器53が出口チューブ経路51に配置されている。出口チューブ経路51は粒状化機構6への冷却水のための復帰回路である。バイパス経路10における冷却水流の調整と同様に、出口チューブ経路51における体積流量も出口チューブ経路51における相当する通過流センサーと濃縮機構48の側で相当する調整金具あるいは出口49、50における停止部材により調整することができる。
【0067】
濃縮機構48は他の方法として顆粒熱交換器11の入口で後者(顆粒熱交換器)と一体とされてもよい。濃縮機構48に代えて用いることができる濃縮機構54のこの型の構造は図4に示される。濃縮機構54は拡張部位26の領域と顆粒熱交換器11の熱交換器容器15の下部部位55に配置されている。拡張部位26と熱交換器容器15の下部部位55の内壁から離れて間隔をあけられているものは保持ふるい56である。これは、熱交換器容器15の内部58から濃縮機構54において分離された冷却水に対して環状経路57を隔てており、そのため顆粒が環状経路57に入り込むことができない。環状経路57は複数の接続経路部位59を経由して出口チューブ経路51と流体接続している。出発混合流の冷却水の一部は出口チューブ経路51を経由して分離される。冷却水の残りは温度制御混合流に残る。このように濃縮された温度制御混合流を顆粒熱交換器11でより強く冷却することができる。出口チューブ経路51で分離された冷却水を冷却水熱交換器53を用いて冷却することができる。
【0068】
粒状化フード5と濃縮機構48、54の間の排出経路7の経路は短く、例えばほんの数mである。
【0069】
熱交換器能力を、粒状化フード5の入口で実際の冷却水の温度が所定の限界内で所定の要求される温度に一致するような方法で温度センサーTと冷却水熱交換器44に、そしてオプションとして冷却水熱交換器53と共に信号接続を有する制御機構Sの手段により調整することができる。
【0070】
ポリオレフィンに対するプラスチック材料粒状化システムとしての装置47の動作のための数値例は以下に与えられる。50t/hのポリオレフィン顆粒の質量流量が粒状化される。粒状化フード5への粒状化水の入口温度は80℃である。冷却水回路において輸送される冷却水量は500m/hである。出発混合流において、熱い顆粒を冷却することによって、そこに含まれる冷却水は約95℃の温度に加熱される。出発混合流は濃縮機構48または54において、出口チューブ経路51を経由して前方へ搬送される95℃の温度での250m/hの冷却水部分流へ、および顆粒熱交換器11へ供給される250m/hの冷却水の温度制御混合流へもまた分けられる。温度制御混合流はORC回路媒体に熱を放出する。結果として、温度制御混合流は65℃の温度に冷却される。温度制御混合流に含まれるプラスチック材料顆粒の以降の乾燥の間、後者(プラスチック材料顆粒)は冷却のためにより緩やかに乾燥した。乾燥の間摩耗やほこりがわずかに発生する。冷却水タンク42においては、65℃(顆粒/水分離器34においてあるいは乾燥機構31において分離される)と95℃(濃縮機構48または54において分離される)での2つの冷却水部分流が混合され、約80℃の冷却水温度を生成する。出口チューブ経路51において冷却水熱交換器53を用いる冷却水の温度制御は不要であり、それでこの冷却水熱交換器53もまた省略することができる。いかなる残りの温度差も冷却水熱交換器44の手段により補償することができる。
【0071】
プラスチック材料顆粒システムとしての装置47の動作におけるさらなる数値例がPC(ポリカーボネート)の熱粒状化中に以下に説明される。この場合において、冷却水は粒状化フード5に約90℃の温度で入る。粒状化フード5を出る際に、温度制御混合流は110℃の温度となる。濃縮機構48または54において、出発混合流は、全体の冷却水流の約半分が搬送され、出口チューブ経路51を経由して出口冷却水流へ、冷却水流の他の半分が温度制御混合流へ分けられる。顆粒熱交換器11において、温度制御混合流は約70℃に冷却される。過熱された冷却水流は冷却水回路において測地学的過剰圧力(geodetic excess pressure)の下で導かれる。
【0072】
冷却水タンク42において、70℃と110℃の温度での2つの部分流が、粒状化フード5の入口で必要とされる温度に相当する90℃の平均温度を生成するために混ざる。
【0073】
顆粒熱交換器11において、熱交換器チューブ14の相応する長さを仮定すると、冷却水の過熱があっても静水圧によって蒸気の泡の形成を避けることができる。
【0074】
ORC回路に代えて、冷却水の加熱が冷却水回路で必要とされるならば、プラスチック材料製造工程に応じて、冷却水を加熱するためにさらなる熱交換器を用いることによってエネルギー復帰を理解することもできる。ヒートポンプを動作させるために顆粒熱交換器11における伝達熱交換器媒体の加熱を使用することもできる。
【0075】
出口チューブ経路51における冷却水熱交換器53をPC熱粒状化において省略することもできる。
【0076】
装置47の動作はLDPE(Low Density Polyethylene、低密度ポリエチレン)顆粒の製造の例を用いて以下に説明される。この場合における冷却水は500m/hおよび60℃の温度の流れにより粒状化フード5に入る。粒状化フード5の出口で、出発混合流は約75℃の温度を有する。濃縮機構48または54において、出発混合流は150m/hの冷却水の温度制御混合流と出口チューブ経路51において350m/hの冷却水流の出口冷却水流に分けられる。温度制御混合流は顆粒熱交換器11において90℃の温度に加熱される。
【0077】
図5は装置1の代わりに用いることができる高分子材料からなる顆粒を製造するための装置60の別の構成を示す。図1に関してすでに上記したものに対応する構成要素および機能は同じ符号を有し、詳細には再び説明しない。
【0078】
装置60においてORC回路は省略されている。冷却水自体は、顆粒熱交換器において温度制御混合流でその熱を交換する伝達熱交換器媒体として使用される。伝達熱交換器媒体に対する入口16は顆粒/水分離器34の出口で冷却水経路40と流体接続している。冷却水の搬送経路における顆粒/水分離器34の出口と入口16との間の伝達熱交換器媒体に対する供給経路61において配置されているものは、第1に冷却水中間容器62であり、他の搬送経路においては入口16の前で冷却水を加熱するための予熱交換器63である。
【0079】
伝達熱交換器媒体に対する出口19は復帰経路64を経由して冷却水タンク42への冷却水経路40の部位と流体接続している。排出チューブ経路51の冷却水口52もまたこの部位に配置されている。
【0080】
顆粒熱交換器11から出た温度制御混合流は乾燥機構31に入る。そこで分離された冷却水は予熱交換器63において100℃の温度に加熱され、LDPEを脱ガスするために顆粒熱交換器11において生成されたLDPE顆粒を加熱するのに用いられる。この場合、伝達熱交換器媒体は85℃に冷える。2つの冷却水熱交換器44および53は、供給経路45においておよび粒状化フード5の入口で冷却水が再び60℃の必要とされる温度を有するような方法で動作される。
【0081】
装置60において、顆粒容器37は脱ガスサイロで構成される。
【0082】
LDPEはエチレン酢酸ビニル共重合体(copolymer ethylene vinyl acetate)を有してもよい。粒状化フード5における粒状化のための水の温度はエチレン酢酸ビニル共重合体(ethylene vinyl acetate copolymer)の増加する量により低められる。
【0083】
図6は装置1の代わりに用いることができる高分子材料からなる顆粒を製造するための装置65の別の構成を示す。図1に関してすでに上記したものに対応する構成要素および機能は同じ符号を有し、詳細には再び説明しない。
【0084】
押出機2のための駆動モーター66が図6において示されている。押出機2において押出のための粉末状の出発材料の供給は図6において矢印67で概略的に表示されている。
【0085】
装置65におけるORC蒸発器は、顆粒熱交換器11から離れて、ORC予熱ユニットとして、顆粒熱交換器11とORCタービン22との間のORC回路17において配置されているORC蒸発器ユニット68も構成している。ORC蒸発器ユニット68は濃縮機構48の出口チューブ経路51に配置されている。ORC蒸発器ユニット68は冷却水入口69と冷却水出口70を有する。ORC蒸発器ユニット68はまた、顆粒熱交換器機構11と同じく、複数の経路において冷却水入口69と冷却水出口70との間で冷却水が往復して導かれる水平に延びる熱交換器チューブを持つチューブ束熱交換器として構成される。蒸発器ユニット68の他の構造もまた可能である。ORC回路17のORC入口72はケース側でORC蒸発器ユニット68の蒸発器容器71に通じており、ORC回路17のORC出口73はそこから外へ通じている。図6はORC蒸発器ユニット68の熱交換器動作を並流(co-current flow)で示している。ORC蒸発器ユニット68において冷却水とORC回路媒体との間の熱伝達の向流(counter-current flow)動作もまた可能である。
【0086】
ORCタービン22とORC凝縮器24との間でORC回路17に配置されているものはORC回路媒体から他の伝達熱交換器媒体へ、例えば水へ熱を放出するためのORC冷却器74である。ORCポンプ25と顆粒熱交換器11との間でORC回路17に配置されているものは他の伝達熱交換器媒体からORC回路媒体へ熱を放出するためのORC予熱器75である。ORC冷却器74は、図6において破線で示される伝達熱交換器媒体回路76を経由してORC予熱器75と流体接続している。
【0087】
装置65において、濃縮機構48の第1の出口49はORC蒸発器ユニット68と流体接続している。ORC予熱ユニット、すなわち顆粒熱交換器11は濃縮機構48の第2の出口50と流体接続している。
【0088】
図6において破線で示されているように、装置65は粒状化機構6と乾燥機構31との間でバイパス経路10を有してもよい。
【0089】
装置65によるポリオレフィン顆粒の製造における数値例が以下に同様に示される。冷却水は粒状化フード5に80℃の温度と500m/hの冷却水流で入る。粒状化機構6は50t/hのポリオレフィン顆粒の質量流量を製造する。出発混合流は93℃の温度で粒状化フード5を出る。出発混合流の分割は濃縮機構48において400m/hの出口チューブ経路51における冷却水流と100m/hの水分率の温度制御混合流とに行われる。温度制御混合流は100m/hの冷却水流と50m/hから55m/hのプラスチック材料顆粒体積流量からなる。顆粒熱交換器11においては、温度制御混合流は75℃に冷却される。ORC蒸発器ユニット68においては、93℃の温度で入る冷却水は82℃の温度に冷却される。乾燥機構31において、ポリオレフィン顆粒が分離され、そこで50t/hの製造物が実現される。乾燥機構31において75℃の温度で分離された冷却水と82℃の温度でORC蒸発器ユニット68を出た冷却水は冷却水タンク42で約80℃の混合温度に混合する。基本的には、装置65において冷却水温度を調整するためのさらなる熱交換器を省略することができる。他の方法として、一方では供給経路45に、他方ではORC蒸発器ユニット68と冷却水タンク42との間の出口チューブ経路51に熱交換器44または53を設けることが可能である。これはORC回路なしで装置65を動作させるために使用することができる。
【0090】
図7は装置1の代わりに用いることができる高分子材料からなる顆粒を製造するための装置77の別の構成を示す。図1に関してすでに上記したものに対応する構成要素および機能は同じ符号を有し、詳細には再び説明しない。図7による概略図は図1から3および図5、6によるそれとは抽象化の度合いにおいて異なっている。
【0091】
停止バルブ78もまた出口チューブ経路51において図7に図示されている。これが閉じられると、濃縮機構48は機能せず、すべての顆粒/水流は顆粒熱交換器11を経由して流れる。
【0092】
装置77において、顆粒熱交換器11は回路で導かれる塩類溶液の形態での熱交換器媒体により動作する。相応しい熱交換器媒体は臭化リチウム(lithium bromide)またはイオン性液体(ionic liquids)である。顆粒熱交換器11の入口で、入口16を経由して顆粒熱交換器11に供給される熱交換器媒体の温度はまだ低い。したがって、塩類濃度は低い。顆粒熱交換器11において、熱交換器媒体は顆粒/水流から、すなわち温度制御混合流から熱を吸収し、そして顆粒熱交換器11においてそれが高い塩類濃度で出口19を経由して液体形態で後者(顆粒熱交換器)を出るまで加熱される。顆粒熱交換器11における熱交換器媒体の加熱によって、熱交換器媒体の一部は蒸発し、蒸気出口79を経由して顆粒熱交換器11を出る。
【0093】
出口19は顆粒熱交換器11を復熱器80に接続する。入口16は復熱器80を顆粒熱交換器11に接続する。蒸気出口79は顆粒熱交換器11を凝縮器81に接続する。蒸気はそこで冷却水により冷却され、凝縮し、冷却水は冷却水入口82を経由して凝縮器81に供給され、冷却水出口83を経由して排出される。凝縮器81は真空状態で組み込まれてもよく、生成された凝縮物は5℃と8℃の間の範囲で非常に低い温度を有する。凝縮物は凝縮物経路84を経由して凝縮器81から除去される。後者(凝縮物経路)を停止バルブ85で閉じることができる。凝縮物は凝縮物経路84を経由して凝縮器81から蒸発器86へ供給される。蒸発器86において負圧の下で生じることができる蒸発の間に、蒸発している凝縮物は入口87を経由して蒸発器86に供給され、出口88を経由してそこから除去される熱搬送媒体を冷却する。蒸発器86において使用される熱搬送媒体は同様に水であってもよい。熱搬送媒体は入口87で14℃の温度を有し、出口88で蒸発器86に供給される凝縮物の温度により、例えば7℃の温度を有する。経路88および87は冷却水回路の一部である。装置77でのこの回路における冷却水の生成の間、圧縮器は不要である。
【0094】
蒸気経路89を経由して蒸発器86から除去された蒸気は吸収器90において塩類溶液熱搬送回路に戻される。吸収器90の内容物は入口91を経由して吸収器に供給され、出口92を経由してそこから除去される冷却水により冷却される。吸収器90においては、塩類溶液はそれ故低温状態で存在する。塩類溶液熱交換器回路において塩類溶液を循環させるために、循環ポンプ93が使用される。後者(循環ポンプ)は吸収器90を復熱器80に接続する供給経路94に配置されている。
【0095】
出口19を経由して復熱器80に供給される高温の塩類溶液とともに供給経路94を経由して吸収器90によって供給される低温の塩類溶液の混合が復熱器80において行われる。供給経路94における塩類溶液の温度よりも高い混合温度を有する塩類溶液は入口16を経由して顆粒熱交換器11に供給される。復熱器80は塩類溶液復帰経路95を経由して吸収器90と流体接続している。
【0096】
顆粒熱交換器11における顆粒/水流の熱は熱搬送媒体、すなわち塩類溶液から熱を除去するために使用される。この熱の除去は吸収冷凍システムにおける図7による装置77において使用される。冷媒、本例においては、水が熱搬送媒体、すなわち塩類溶液から蒸気の形態で放出される。顆粒熱交換器11はそれ故装置77において放出器とも呼ばれる。
【0097】
図8は装置77の代わりに用いることができる高分子材料からなる顆粒を製造するための装置96の他の構成を示す。図1から7に関して、特に図7に関してすでに上記したものに対応する構成要素および機能は同じ符号を有し、詳細には再び説明しない。
【0098】
図8による構成において、出口チューブ経路51において配置されているものはチューブ束熱交換器であってもよい予熱交換器97である。予熱交換器97は、出口チューブ経路51を経由して予熱交換器97を通って導かれる粒状化水から熱を吸収し、供給経路98を経由して予熱交換器97に供給され、排出経路99を経由して予熱交換器97を出る塩類溶液熱搬送媒体に後者(熱)を放出する。供給経路98は復熱器80を予熱交換器97に接続している。排出経路99は予熱交換器97を顆粒熱交換器11に接続し、同時にその熱交換器媒体入口である。
【0099】
その他の点では、装置96は装置77に一致している。
【0100】
図8は出口チューブ経路51が直接的に冷却水タンク42に接続される必要がなく、冷却水経路40に通じることもできることを概略的に示している。
【0101】
図9は装置77の代わりに用いることができる高分子材料からなる顆粒を製造するための装置100の他の構成を示す。図1から8に関して、特に図7および8に関してすでに上記したものに対応する構成要素および機能は同じ符号を有し、詳細には再び説明しない。
【0102】
装置100において、予熱交換器と顆粒熱交換器は塩類溶液熱搬送媒体の加熱の順番に関して交換した役割を有する。顆粒熱交換器11の出口19は、図8による装置96の予熱交換器97の側で、すなわち出口チューブ経路51において装置100に配置されている放出熱交換器101と流体接続している。放出熱交換器101で加熱された塩類溶液は復帰経路102を経由して復熱器80に戻される。蒸気出口103は放出熱交換器101を凝縮器81に接続している。
【0103】
その他の点では、図9による装置100は図8による装置96に一致している。
【符号の説明】
【0104】
1 高分子材料からなる顆粒製造装置
6 粒状化機構
7 排出経路
10 バイパス経路
11 顆粒熱交換器
14 流体通路
16 入口
17 ORC回路
18 エネルギー復帰機構
19 出口
21 ORC蒸発器
22 ORCタービン
24 ORC凝縮器
31 乾燥機構
46 高分子材料からなる顆粒製造装置
47 高分子材料からなる顆粒製造装置
48 濃縮機構
49 第1の出口
50 第2の出口
51 復帰経路
53 冷却水熱交換器
54 濃縮機構
60 高分子材料からなる顆粒製造装置
61 分離経路
64 復帰経路
65 高分子材料からなる顆粒製造装置
68 ORC蒸発器ユニット
75 予熱器
77 高分子材料からなる顆粒製造装置
96 高分子材料からなる顆粒製造装置
97 冷却水熱交換器
99 入口
100 高分子材料からなる顆粒製造装置
101 冷却水熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子材料からなる顆粒製造装置(1;46;47;60;65;77;96;100)であって、
プラスチック材料顆粒を製造するための水冷粒状化機構(6)と、
プラスチック材料顆粒と冷却水を含む出発混合流を排出するために粒状化機構(6)の下流に配置される排出経路(7)と、
プラスチック材料顆粒と冷却水の少なくとも一部を含む温度制御混合流の温度を制御するために排出経路(7)の下流に配置される顆粒熱交換器(11)とを備え、
顆粒熱交換器(11)は伝達熱交換器媒体のための入口(16;99)と伝達熱交換器媒体のための出口(19)を有し、
プラスチック材料顆粒を乾燥するために顆粒熱交換器(11)の下流に配置される乾燥機構(31)を備え、
顆粒熱交換器(11)は温度混合流に対して並行に、すなわち直列ではなく延びる複数の流体通路(14)を有していることを特徴とする高分子材料からなる顆粒製造装置。
【請求項2】
粒状化機構(6)と乾燥機構(31)との間で顆粒熱交換器(11)を跨設するバイパス経路(10)を備えていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
温度制御混合流は重力の効果に逆らって流体通路(14)を通って搬送されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の装置。
【請求項4】
温度制御混合流は重力の影響の下で流体通路(14)を通って搬送されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の装置。
【請求項5】
濃縮機構(48;54)を備え、その顆粒流入経路は排出経路(7)により供給され、前記濃縮機構は冷却水流のための第1の出口(49)と、温度制御混合流のための第2の出口(50)とを有し、
濃縮機構(48、54)の第1の出口(49)は粒状化機構(6)への冷却水のための復帰経路(51)に流体接続し、
濃縮機構(48;54)の第2の出口(50)は顆粒熱交換器(11)に流体接続していることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項6】
濃縮機構(54)は顆粒熱交換器(11)の入口において一体となっていることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
冷却水熱交換器(53;97;101)は濃縮機構(48、54)と粒状化機構(6)との間の復帰経路(51)に配置されていることを特徴とする請求項5または請求項6記載の装置。
【請求項8】
伝達熱交換器媒体のための顆粒熱交換器(11)の入口(16)は、乾燥機構(31)の下流に配置され、分離された冷却水のための分離経路(61)に流体接続し、
伝達熱交換器媒体のための顆粒熱交換器(11)の出口(19)は粒状化機構(6)への冷却水のための復帰経路(64)に流体接続していることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項9】
高分子材料からなる顆粒製造装置(1;46、47;65)であって、
プラスチック材料顆粒を製造するための水冷粒状化機構(6)と、
粒状化機構(6)の下流に配置され、プラスチック材料顆粒と冷却水を含む出発混合流を排出するための排出経路(7)と、
排出経路(7)の下流に配置され、出発混合流の冷却水の少なくとも一部を含む復帰冷却水流からエネルギーを復帰させるためのエネルギー復帰機構(18)を備え、
ORC回路媒体のための少なくとも一つのORC回路(17)からなるエネルギー復帰機構(18)は、
ORCタービン(22)と、
ORCタービン(22)の前のORC回路(17)におけるORC蒸発器(11、21;11、68)と、
ORCタービン(22)の後のORC回路(17)におけるORC凝縮器(24)からなることを特徴とする高分子材料からなる顆粒製造装置。
【請求項10】
ORC蒸発器(11、21;11、68)はORCタービン(22)の前のORC回路(17)におけるORC蒸発器ユニット(21;68)とORC蒸発器ユニット(21;68)の前のORC回路(17)におけるORC予熱器ユニット(11)を有し、ORC蒸発器ユニット(68)および/またはORC予熱器ユニット(11)は復帰冷却水流による熱交換器として構成されていることを特徴とする請求項9記載の装置。
【請求項11】
ORCタービン(22)とORC凝縮器(24)との間のORC回路媒体から伝達熱交換器媒体へ熱を放出するためのORC回路(17)におけるORC冷却器(74)と、
ORC凝縮器(24)とORC蒸発器(11、68)との間の伝達熱交換器媒体からORC回路媒体へ熱を放出するためのORC回路(17)における予備の予熱器(75)とを備えていることを特徴とする請求項9または請求項10記載の装置。
【請求項12】
濃縮機構(48)を備え、その顆粒流入経路は排出経路(7)により供給され、冷却水流のための第1の出口(49)と、出発混合流よりもより高い顆粒分率を有するプラスチック材料顆粒および冷却水を含む混合流のための第2の出口(50)を有し、
濃縮機構(48)の第1の出口(49)はORC蒸発器(68)と流体接続していることを特徴とする請求項9から請求項11までのいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項13】
ORC予熱器ユニット(11)は濃縮機構(48)の第2の出口(50)と流体接続していることを特徴とする請求項10から請求項12までのいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項14】
ORC回路媒体は0および2600kJ/kgの間の範囲の蒸発エンタルピーおよび/または0および6kJ/kgKの間の範囲の熱容量を有していることを特徴とする請求項9から請求項13までのいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項15】
粒状化機構(6)と乾燥機構(31)との間でエネルギー復帰機構(18)を跨設するバイパス経路(10)を備えていることを特徴とする請求項9から請求項14までのいずれかの請求項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−171356(P2012−171356A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−32363(P2012−32363)
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【出願人】(501164665)コペリオン ゲーエムベーハー (20)
【Fターム(参考)】