説明

高分子粒子の製造装置及び製造方法

本発明は、高分子粒子の製造装置及び製造方法に関する。本発明は、単分散性に優れていて、且つ架橋度及び重合度などの物性が均一な高分子粒子を効率的に製造することができる装置及び方法を提供する。また、本発明では、高い架橋度を有するか、またはコア−シェルまたはコア−ダブルシェル構造を有しながらも、目的とする粒径内で優れた単分散性を示す粒子を効果的に製造することができる。また、本発明では、前記高分子粒子製造工程の再現性を優秀に維持することができる。さらに、本発明は、粒径、形状、架橋度、重合度または構造などと重合液の固形分濃度などを目的によって効果的に制御することができる装置及び方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子粒子の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリメチルメタクリレート(PMMA;poly(methyl methacrylate))粒子またはポリスチレン(PS;polystyrene)粒子などの高分子粒子は、FPD(Flat Panel Display)、反射防止コーティング(anti−glare coating)用フィラー、LC(liquid chromatography)カラム用フィラー、異方性導電フィラー(ACF;anisotropic conductive filler)、重合トナー、e−ペーパー及びPCM(phase change material)などの様々な分野において活用されている。
【0003】
現在まで高分子粒子は、主にバッチ式工程(batch process)で製造されているが、これは、目的とするサイズ、架橋度及び構造を有する単分散高分子粒子を連続的に合成することが不可能からである。
【0004】
例えば、米国特許登録第5,863,996号は、高分子粒子のバッチ式製造工程を開示している。このような高分子粒子のバッチ式製造工程では、目的物を得るために、単量体または単量体を含む反応物をバッチ式反応器内に供給し、重合反応を行う工程に引き続いて、重合体の冷却、除去及び洗浄工程などの多数の工程を必要とする。これにより、バッチ式工程では、高分子粒子を製造するのに長時間がかかるだけでなく、製造コストも大きく上昇する。
【0005】
特に、高分子粒子が各種用途に効果的に適用されるためには、単分散性(monodispersity)などの物性が優れている必要がある。しかし、従来の工程では、多分散粒子が生成されるなど、製造された粒子の物性を均一に維持することが非常に困難である。
【0006】
したがって、従来の工法では、単分散性粒子などを得るために、製造工程後に分離工程及び粒子凝集(aggregation)解消のための分散工程(例えば、超音波処理)などを追加に必要とし、生産性悪化や製造コスト上昇が不可避である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許登録第5,863,996号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高分子粒子の製造装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、原料供給装置に連結されている原料混合装置と;前記原料混合装置に連結され、前記原料混合装置から供給された混合物の重合反応を行うことができるように設置されていて、且つ縦横比が3,000以上の管状反応器と;を含む高分子粒子の製造装置を提供する。
【0010】
本発明は、原料供給装置を使用して、重合される単量体を含む原料を原料混合装置に投入し、前記混合装置内で原料を混合する第1段階と;第1段階を経て得られた混合物を縦横比が3,000以上の管状反応器に投入し、前記反応器内で混合物の線速度を0.5m/min以上に維持した状態で、前記混合物の重合反応を行う第2段階と;を含む高分子粒子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、単分散性(monodispersity)に優れていて、且つ架橋度及び重合度などの物性が均一な高分子粒子を効率的に製造することができる装置及び方法を提供する。本発明では、高い架橋度を有するか、またはコア−シェル(core−shell)またはコア−ダブルシェル(core−double shell)構造を有しながらも、目的とする粒径内で優れた単分散性を示す粒子を効果的に製造することができる。また、本発明では、前記高分子粒子製造工程の再現性を優秀に維持することができる。さらに、本発明は、粒径、形状、架橋度、重合度または構造などと重合液の固形分濃度などを目的によって効果的に制御することができる装置及び方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一態様による高分子粒子の製造装置の模式図である。
【図2】本発明の一態様による高分子粒子の製造装置の模式図である。
【図3】本発明の一態様による高分子粒子の製造装置の模式図である。
【図4】本発明の一態様による高分子粒子の製造装置の模式図である。
【図5】本発明の実施例及び比較例で製造された高分子粒子のSEM写真を示す。
【図6】本発明の実施例及び比較例で製造された高分子粒子のSEM写真を示す。
【図7】本発明の実施例及び比較例で製造された高分子粒子のSEM写真を示す。
【図8】本発明の実施例及び比較例で製造された高分子粒子のSEM写真を示す。
【図9】本発明の実施例及び比較例で製造された高分子粒子のSEM写真を示す。
【図10】本発明の実施例及び比較例で製造された高分子粒子のSEM写真を示す。
【図11】本発明の実施例及び比較例で製造された高分子粒子のSEM写真を示す。
【図12】本発明の実施例及び比較例で製造された高分子粒子のSEM写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、原料供給装置に連結されている原料混合装置と;前記原料混合装置に連結され、前記原料混合装置から供給された混合物の重合反応を行うことができるように設置されていて、且つ縦横比が3,000以上の管状反応器と;を含む高分子粒子の製造装置に関する。
【0014】
以下、本発明の製造装置をさらに詳しく説明する。
本発明の製造装置は、目的とする高分子粒子を連続的に製造する工程に適用される、連続製造装置として使用されることができる。
【0015】
本発明の製造装置に含まれる原料供給装置の具体的な種類は、特に限定されない。本発明では、供給装置として、原料の投入流量を調節し、原料混合装置または管状反応器の内部に原料を供給することができる装置を使用することができる。本発明において用語「投入流量」は、単位時間当たり原料混合装置または管状反応器の内部に投入される原料の体積を意味する。本発明において前述のような供給装置を使用して、原料投入時に、当該流量の制御を通じて粒径、形状、重合度または架橋度などが効果的に制御された高分子粒子を得ることができる。本発明では、前述のような供給装置として、定量ポンプを使用することができるが、本発明において使用することができる供給装置が、これに限定されるものではない。
【0016】
また、本発明の装置は、前述のように原料混合装置に連結された原料供給装置を2つ以上含むことができる。通常、高分子粒子を製造するための原料は、単量体、架橋剤、重合開始剤、触媒、安定剤または溶媒などのような多様な成分を含む。本発明では、必要に応じて、2つ以上の供給装置を使用して、単一成分を分割するか、または2つ以上の成分が各々別々に混合された2以上の原料を同時にまたは順次に混合装置または管状反応器の同一場所または複数の場所に投入することができる。
【0017】
本発明の装置は、前記原料供給装置に連結された原料混合装置を含む。本発明において用語「Aに連結されたB」は、原料または当該反応物などの流れがAからB、またはBからAに制御されて移動することができるように設置された状態を意味する。また、前記用語は、AとBが直接連結されている場合はもちろん、AとBが別途の装置を介して連結されている場合(例えば、A−C−B)をも含む。
【0018】
本発明の製造装置では、前述のように、原料混合装置を使用して、供給装置から供給された原料が管状反応器に投入される前に、原料の混合工程を行うことができる。これにより、管状反応器内の原料流入口及び排出口にわたって、原料または反応物の均一な混合状態を維持することができ、これにより、架橋度、重合度、形状及び粒径などの物性が均一な高分子粒子を製造することができる。特に、本発明の管状反応器が、後述するように、その内部で分散重合が行われることができるように設置される場合、前記反応器の前段に設置された混合装置は、シード(seed)のサイズに均一性を確保し、単分散性粒子を効果的に製造するようにできる。
【0019】
本発明において使用することができる混合装置の種類は、投入された原料を混合した後、当該混合物を投入流量を制御しつつ管状反応器に投入することができるものなら、特に限定されない。本発明では、例えば、Tミキサー、マイクロチャネルミキサー(microchannel mixer or micromixer)または静的ミキサー(static(in−line) mixer)などを使用することができる。本発明では、特に前記混合装置としてマイクロチャネルミキサーを使用することができる。前記マイクロチャネルミキサーは、内部に微細なチャネルが形成されている形態を有し、原料の均一な混合及びシード粒子(seed particle)の均一性を確保するのに適している。
【0020】
本発明の製造装置は、前記混合装置に連結されていて、前記装置から投入された混合物の重合反応が行われることができるように設置された管状反応器を含む。
【0021】
本発明において前記管状反応器の内部で行われる重合反応の種類は、特に限定されないが、前記反応は、分散重合(dispersionpolymerization)反応であることが好ましい。高分子粒子を製造するための方法としては、乳化重合(emulsion polymerization)、懸濁重合(suspension polymerization)及び分散重合(dispersion polymerization)などが知られている。これらのうち乳化重合及び懸濁重合の場合、互いに非混和性を有する重合原料が反応系内で相分離されて存在する状態で反応が進行され、高分子粒子が製造される。すなわち、懸濁重合の場合、重合される単量体が溶媒(例えば、水)及び開始剤と互いに非混和性を有する。これにより、均質化装置などを使用して、前記単量体及び開始剤を強く撹拌し、微細懸濁液を製造した後、反応を進行して粒子を製造し、この場合、製造される微細懸濁液内のエマルジョン粒子サイズの制御が容易でないため、単分散性を確保することが容易ではない。また、乳化重合の場合、重合される単量体及び開始剤が溶媒(例えば、水)と非混和性を有する。乳化重合の場合、撹拌のために形成された相分離状態で反応が進行されて粒子が生成され、この場合にも、形成されたミセル(micelle)の均一性を確保することが容易でないため、単分散性の確保が容易ではない。特に乳化重合の場合、実用的な粒径、例えば、約1μm〜10μmの粒径を有しながら単分散性を示す粒子の製造が難しい。
【0022】
分散重合の場合、単量体、安定剤及び分散剤などの原料が相分離されず、均一な単一相を成した状態で、開始剤の分解などにより反応が進行される。すなわち、分散重合では、分散媒の下で反応が進行されてシード(seed)が生成され、単分散性を有する粒子が製造されることができる。
【0023】
本発明では、前述のような反応が進行される管状反応器の縦横比(aspect ratio)が3,000以上、好ましくは9,000以上、より好ましくは10万以上、さらに好ましくは15万以上であることができる。本発明において用語「縦横比」は、管状反応器の長さ(L)対内径(D)の割合(L/D)を意味する。本発明では、管状反応器の縦横比を3,000以上に制御し、管状反応器内での残留単量体により粒子の単位活動性が低下し、そのため、高分子粒径または架橋度などの物性が不均一になる現象を防止することができる。本発明において管状反応器の縦横比の上限は、特に限定されない。但し、管状反応器の縦横比が大きすぎれば、反応器の内部で原料の円滑な流れを確保しにくく、製造された粒子の物性が不均一になるおそれがあるので、300万以下、好ましくは200万以下、より好ましくは100万以下の範囲に制御されることができる。
【0024】
本発明において管状反応器は、平均内径(D)が0.5mm〜10mmであることができる。本発明では、管状反応器の平均内径を前記範囲に制御することによって、原料が反応器内で凝集しないようにし、円滑な流れを確保し、反応器内での線速度を効果的に制御することができる。
【0025】
本発明において管状反応器の材質は、特に限定されず、ステンレスなどのような一般的な素材が使用されることができる。しかし、反応器の腐食または原料の凝集または付着による流れ性の低下などを防止するために、管状反応器は、フッ素系樹脂よりなるか、またはその内部がフッ素系樹脂でコーティングされてもよい。本発明において使用することができるフッ素系樹脂の種類は、特に限定されず、例えば、テフロン(登録商標)(Teflon)、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;polytetrafluoroethylene)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP;tetrafluoroethylene−hexafluoropropylene copolymer)、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA;tetrafluoroethylene−perfluoroalkylvinylether copolymer)またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)などを使用することができる。
【0026】
本発明において、管状反応器は、例えば、温度調節が可能なチャンバ(例えば、恒温チャンバ)内に設置されてもよい。これにより、使用する原料及び目的とする粒子などによって反応器の内部の温度及び圧力などの反応条件を制御することができる。
【0027】
図1は、本発明の製造装置の1つの例示を示す図である。すなわち、本発明の製造装置は、図1に示されたように、1つ以上の原料供給装置1、1'と、前記原料供給装置1、1'に連結されたマイクロチャネルミキサーのような混合装置2と、前記混合装置2に連結されている管状反応器3とを含むことができる。また、前記混合装置2及び管状反応器3は、適切な恒温チャンバ4内に設置されてもよい。本発明では、装置の設置効率などを考慮して、前記管状反応器3を図1に示されたようにコイル形状で設置することができるが、本発明において反応器の設置形状が前記コイル形状に限定されるものではない。
【0028】
本発明の高分子粒子の連続製造装置は、必要に応じて、従来のバッチ式装置(batch−type device)を含む、多様な追加的な装置に連結されてもよい。これにより、本発明では、製造された高分子粒子に追加的な工程を行い、多様な機能性を有する粒子を製造することができる。図2は、本発明の製造装置の他の例示として、管状反応器3が通常のバッチ式装置5に連結されている場合を示す。
【0029】
本発明の製造装置は、必要に応じて、図3または図4に示されたように、管状反応器3'を含む追加的な高分子粒子の製造装置に連結されてもよい。
【0030】
すなわち、本発明の製造装置は、前述の管状反応器(以下、「第1管状反応器」ということがある)に連結された第2管状反応器と、前記第2管状反応器に連結された原料供給装置とをさらに含むことができる。
【0031】
本発明において、上記のように2個以上の管状反応器を連結させることによって、第1管状反応器内で反応が行われた反応物をさらに第2管状反応器に投入し、その内部で追加的な反応を進行することができる。この場合、前記第2管状反応器に連結された原料供給装置は、架橋剤または第1管状反応器内で形成された粒子の表面でシェル(shell)を形成することができる追加的な原料を第2管状反応器の内部に投入することができるように設置されてもよい。 本発明の製造装置が2個以上の管状反応器を含む場合、前記装置は、第1管状反応器(具体的には、第1管状反応器の排出口)、第2管状反応器(具体的には、第2管状反応器の流入口)及び第2管状反応器に連結されている原料供給装置に連結されている混合装置をさらに含むことができる。これにより、第1管状反応器からの反応物及び第2原料供給装置からの原料(架橋剤またはシェル形成原料)を均一に混合し、当該混合物を第2管状反応器に投入し、効果的な反応を進行することができる。
【0032】
本発明の製造装置が、上記のように追加的な管状反応器(第2管状反応器)、原料供給装置または混合装置などを含む場合、その具体的な種類は、特に限定されない。本発明では、例えば、前述の管状反応器、原料供給装置及び混合装置の範疇内で反応目的によって追加的な反応器などを適宜選択することができる。例えば、本発明では、前記第2管状反応器の縦横比は、目的とするコア−シェル構造の高分子粒子のシェルの厚さによって決定されることができ、これにより、前記第2管状反応器の縦横比を第1管状反応器と同一に制御するか、または第1管状反応器の縦横比の約1/4水準以上、好ましくは約1/2水準に制御することができるが、これに限定されるものではない。
【0033】
本発明の製造装置が2個の管状反応器を含む場合、前記各々の反応器は、図3に示されたように、同一のチャンバ(例えば、恒温チャンバ)4内に設置されてもよく、必要に応じて、図4に示されたように、別途のチャンバ(例えば、恒温チャンバ)4、4'内に設置されてもよい。このように、反応器を別途のチャンバ内に設置する場合、各々の反応器内での重合条件(例えば、重合温度及び圧力など)を互いに異なるように設定することができる。
【0034】
また、本発明の製造装置は、必要に応じて、2個以上の管状反応器などを含むことができる。例えば、本発明の製造装置は、前記第2管状反応器に連結されている第3管状反応器と、前記第3管状反応器の内部に原料を供給することができる原料供給装置とをさらに含むことができる。また、上記の場合、本発明の製造装置は、前記第2管状反応器、第3管状反応器及び前記第3管状反応器に連結された原料供給装置に連結された原料混合装置をさらに含むことができる。
【0035】
本発明の製造装置が、上記のように互いに連結された2つ以上の管状反応器を含む場合、特に架橋された構造(crosslinked structure)、コア−シェル(core−shell)構造またはコア−ダブルシェル構造を有しながらも、優れた単分散性を示す粒子を効果的に製造することができる。本発明において用語「コア−シェル構造の高分子粒子」は、粒子内に単一のコア及びそれを取り囲む単一のシェルが形成される場合は勿論、コア及びそれを取り囲むシェルを含み、前記シェルが2以上の層で形成される場合(例えば、core−shell−shell structure)をも含む。
【0036】
前述のように、分散重合の場合、乳化重合または懸濁重合に比べて、単分散性に優れていて、且つ実用的な粒径を有する粒子の製造に有利である。しかし、分散重合の場合にも、分散重合を用いて架橋された高分子粒子またはコア−シェル構造の粒子を製造する場合には、粒径分布が広くなり、粒子の形状が損傷され、製造された粒子が凝集しやすい傾向がある。しかし、本発明のように、製造装置に2つ以上の管状反応器を連結させて、例えば、第1管状反応器で排出された反応物を連続または断続的に第2管状反応器などに投入し、追加的な反応を行うことによって、単分散性及び均一な形状などを有する架橋された高分子粒子(crosslinked polymerpartice)またはコア−シェル構造の高分子粒子を効果的に製造することができる。
【0037】
本発明の前記装置によれば、単分散性に優れていて、且つ重合度または架橋度などの物性も均一に製造された高分子粒子、架橋された高分子粒子またはコア−シェル高分子粒子を効果的に製造することができる。
【0038】
本発明の装置は、具体的に、0.1μm〜10μm、好ましくは0.1μm〜5μm、より好ましくは2μm〜5μmの平均直径を有する高分子粒子を製造するための装置であることができる。また、本発明の装置は、例えば、CV(Coefficient of variation)数値が5以下、好ましくは4以下、より好ましくは約3の高分子粒子を製造するための装置であることができる。
【0039】
また、本発明は、原料供給装置を使用して、重合される単量体を含む原料を原料混合装置に投入し、前記混合装置内で原料を混合する第1段階と;第1段階を経て得られた混合物を縦横比が3,000以上の管状反応器に投入し、前記反応器内で混合物の線速度を0.5m/min以上に維持した状態で前記混合物の重合反応を行う第2段階と;を含む高分子粒子の製造方法に関する。
【0040】
本発明では、前記高分子粒子の製造を、例えば、前述の製造装置を使用して連続的に行うことができる(高分子粒子の連続製造方法)。
【0041】
本発明の第1段階は、原料供給装置を使用して、重合される単量体を含む原料を混合装置に投入し、前記混合装置内で原料を混合する段階である。
【0042】
本発明の第1段階で使用する供給装置は、前述のように、原料の投入流量を制御することができる定量ポンプであることができ、これにより、第1段階では、原料の投入流量を約0.1mL/min〜80mL/minに調節することができる。本発明では、使用される管状反応器の内径または縦横比を考慮して、原料の投入流量を前述の範囲に制御することによって、管状反応器の内部での原料の線速度を制御し、その結果、原料の滞留時間または反応時間を制御することができる。
【0043】
本発明の第1段階で投入される原料の種類は、特に限定されない。前記原料は、高分子粒子の製造、例えば、分散重合を用いた高分子粒子の製造に通常使用される成分を含むことができる。
【0044】
本発明において、前記原料は、高分子粒子を形成する単量体を含むことができる。この場合、含まれることができる単量体の種類としては、アルキル(メタ)アクリレート、脂環式(alicyclic)(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルアセテート、アルケニル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、アルキルアリール(メタ)アクリレート、アラルキル(メタ)アクリレート、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、窒素含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びその他のビニル系単量体などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明において使用することができる前記単量体の具体的な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、コシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アセトアセトキシ(メタ)アクリレート、γ−プロピルトリ(C−C)アルコキシシリル(メタ)アクリレート、γ−プロピルトリ( C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、γ−プロピルジ(C−C)アルコキシ( C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、γ−プロピルジ(C−C)アルキル( C−C)アルコキシシリル(メタ)アクリレート、ビニルトリ(C−C)アルコキシシリル(メタ)アクリレート、ビニルジ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、ビニル(C−C)アルコキシジ( C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、ビニルトリ(C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン、ビニルキシレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン、シクロペンタジエン、アリル単量体、ビニルホルムアミド、ビニルクロライド、ビニルフルオライド、ビニルブロマイド、ビニリデンクロライド、ビニリデンフルオライド及びビニリデンブロマイドなどの1種または2種以上の混合物が含まれることができるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
本発明の第1段階で、前記原料は、架橋された高分子粒子の製造のための、適切な架橋剤または架橋性単量体をさらに含むことができる。この場合に使用されることができる架橋剤などの種類も、この分野における一般的な成分を使用することができる。このような架橋剤または架橋性単量体の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2、2−ジメチルプロパン−1、3−ジ(メタ)アクリレート、1、3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシレート化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリルプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン(DVB)、ビニルウレタン、ジアリルエーテル、ジアリルエステル、ビニルポリエステル、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジアリルオキシアセト酸、ジビニルピリジン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレート、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルシラン、トリビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルシラン、メチルトリビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、トリビニルフェニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、テトラビニルシラン、ジメチルビニルジシロキサン、ポリ(メチルビニルシロキサン)、ポリ(ビニルヒドロシロキサン)及びポリ(フェニルビニルシロキサン)などの1種または2種以上の混合が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
また、本発明の第1段階の前記原料には、重合効率の改善の観点から、適切な重合開始剤、触媒または安定剤が含まれることができるが、この時に使用されることができる重合開始剤などとしては、この分野における一般的な成分を使用することができる。例えば、本発明では、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシド、アルキルヒドロペルオキシド、ペルスルフェート、アゾ系開始剤及びレドックス開始剤などの1種または2種以上の混合を使用することができる。具体的には、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、t−アミルペルオキシピバレート、クメンヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、2、2'−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)及び2、2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)などの1種または2種以上の混合を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、前述の種類に限定されず、必要に応じて、この分野における一般的な重合開始剤、触媒または安定剤を適宜選択使用することができる。
【0047】
本発明において、前記各成分は、適切な溶媒または分散媒に溶解または分散された管状反応器に投入されることができる。この場合に使用されることができる溶媒の例としては、炭化水素(例えば、アルカン)、フルオル化炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、アルコール及び水などの1種または2種以上の混合が含まれることができるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
本発明の第1段階では、前述の原料の各成分を所定溶媒にすべて溶解させた状態で、供給装置を使用して混合装置の内部に一度に投入することもでき、場合によっては、各々の原料の成分を適宜分離した後、2つ以上の供給装置を使用して、前記分離された原料を1つまたは2つ以上の別途の場所で同時または順次に投入することもできる。本発明では、例えば、重合される単量体;及び重合開始剤を各々適切な溶媒に別々に溶解させた後、前記2つの種類の混合物を別途の供給装置を介して管状反応器に注入することが好ましい。
【0049】
本発明の第1段階では、前述したような原料を混合装置に投入し、混合工程を行う。これにより、管状反応器に投入された原料が均一な混合状態を維持し、目的とする高分子粒子を効果的に製造することができる。特に、後述する本発明の第2段階で原料の分散重合を進行する場合、前記混合工程を通じてシード粒子サイズの均一性を確保し、高分子粒子の単分散性を確保することができる。
【0050】
本発明の第2段階では、第1段階で混合された原料混合物を管状反応器内に投入し、前記反応器内で、重合反応、例えば、分散重合反応を行う。
【0051】
本発明の第2段階では、管状反応器の内部での原料の線速度を0.5m/min以上、好ましくは1m/min以上、より好ましくは3m/min以上に維持することができる。本発明において用語「線速度」は、管状反応器の内部で単位時間当たり原料または反応物が流れる距離を意味し、これは、反応器への投入流量を制御して調節することができる。本発明では、反応器内での線速度を0.5m/min以上に制御し、反応器内で原料または反応物の円滑な流れを確保することができる。本発明において前記線速度は、特に管状反応器の縦横比が連係されて重要な役目をする。すなわち、前記線速度が低すぎれば、管状反応器の内部で生成された粒子が沈殿または凝集し、円滑な反応が進行されないおそれがある。しかし、線速度を過度に高める場合、反応器内での滞留時間の低下に起因して残留単量体の量が増加し、そのため、反応効率が低下することができる。しかし、本発明の場合、管状反応器の縦横比を制御し、それによって線速度を最適範囲に設定することによって、前述のような問題を誘発せずに、円滑に反応を進行することができる。本発明において線速度の上限は、特に限定されるものではないが、原料または反応物の反応器内での滞留時間などを考慮して、例えば、前記線速度を50m/min以下の範囲内に制御されることができる。
【0052】
本発明において、重合反応が行われる前記管状反応器の内部条件は、重合反応の種類、使用される原料及び目的とする高分子粒子などを考慮して適宜選択されることができる。本発明の一例示において、重合反応が行われる管状反応器の内部圧力は、0bar〜50barの範囲に制御されることができる。また、管状反応器の内部温度は、50℃〜100℃の範囲に制御されることができる。また、管状反応器内での反応時間または滞留時間は、約1時間〜10時間の範囲に制御されることができる。
【0053】
また、本発明の方法は、必要に応じて、第2段階を経て得られた反応物を第2管状反応器の内部に投入し、追加的な原料供給装置を使用して前記第2管状反応器の内部に原料、例えばシェル部形成原料を投入する第3段階と;第2管状反応器の内部で投入された原料を反応させる第4段階と;をさらに含むことができる。
【0054】
この場合、前記第3段階は、(1)前記反応物及び原料を混合装置に投入し、前記混合装置で混合する段階と;(2)段階(1)を経て得られた混合物を第2管状反応器に投入する段階と;を含むことができる。
【0055】
本発明では、上記のような段階を追加に行うことによって、特にコア−シェル構造の粒子を効果的に製造することができる。この場合、第2管状反応器への原料投入流量、反応器の内部での線速度及び反応条件などは、特に限定されず、例えば、発明の目的によって、前述した第1反応器での各条件の範囲内で適宜調節されることができる。
【0056】
また、本発明では、前記第3段階または第4段階で第2管状反応器の縦横比または反応器の内部での線速度などを制御して、シェル部の厚さ、形状または物性などを調節することができる。例えば、第2管状反応器内への原料の投入流量を調節し、反応器内での線速度を低める場合、シェル部の表面がしわ寄るように形成された粒子を製造することができる。反対に、投入流量を調節し、反応器内の線速度を増加させ、表面にしわのない滑らかな形状の粒子を得ることができる。
【0057】
また、本発明の方法では、必要に応じて、第4段階を経て得られた反応物を第3管状反応器の内部に投入し、追加的な原料供給装置を使用して前記第3管状反応器の内部に原料を投入する第5段階と;第3管状反応器の内部に投入された原料を反応させる第6段階と;をさらに含むことができる。また、前記第5段階は、(a)反応物及び原料を混合装置に投入し、前記混合装置で混合する段階と;(b)段階(a)を経て得られた混合物を第3管状反応器に投入する段階と;を含むことができる。
【0058】
本発明の方法によれば、単分散性に優れていて、且つ重合度または架橋度などの物性も均一に製造された高分子粒子、架橋された高分子粒子またはコア−シェル高分子粒子を効果的に製造することができる。
【0059】
本発明の方法で製造される前述した各高分子粒子は、例えば、0.1μm〜10μm、好ましくは0.1μm〜5μm、より好ましくは2μm〜5μmの平均直径を有することができる。また、本発明によって製造された粒子は、例えば、CV(Coefficient of variation)数値が5以下、好ましくは4以下、より好ましくは約3であることができる。
【0060】
本発明では、目的によって、装置内に追加的な管状反応器を設置するか、またはその縦横比または線速度などを制御することによって、高分子粒子のサイズ、形状、架橋度、重合度及び構造などの物性を効果的に制御することができる。また、本発明では、管状反応器に投入される原料の組成などを調節し、最終的に排出された反応溶液の固形分濃度などの物性も効果的に制御することができる。
【0061】
(実施例)
以下、本発明による実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の範囲が下記提示された実施例に限定されるものではない。
【0062】
(実施例1)
図1に示されたような高分子粒子の製造装置を使用して、ポリスチレン高分子粒子を製造した。具体的に、スチレン9.0重量部、エタノール36.5重量部及び安定剤4.4重量部を含む第1原料混合物(Feed 1);及び2、2'−アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)(2、2'−azobis(2−methylpropionitrile))0.5重量部、エタノール41.5重量部及び水8.1重量部を含む第2原料混合物(Feed 2)を製造した。次に、前記第1原料混合物を第1定量ポンプ(1)を使用して、そして前記第2原料混合物を第2定量ポンプ(1')を使用して、混合器(マイクロチャネルミキサー)(2)に投入した。前記混合器で第1及び第2原料混合物を混合した後、得られた混合物を管状反応器(縦横比:60万)(3)内に約3m/minの線速度が維持されるように投入した。その後、反応器内で、分散重合を行い、高分子粒子を製造した。この時、前記重合反応は、15barの圧力及び70℃の温度で行った。この段階を経て製造されたポリスチレン高分子粒子の平均直径は、約3μmであった。
【0063】
(実施例2)
図3に示されたように、2つの管状反応器が直列で連結されている高分子粒子の製造装置を使用して、連続反応工程により架橋されたポリスチレン粒子(平均直径:3.5μm)を製造した。具体的に、スチレン8.9重量部、エタノール18.3重量部及び安定剤2.1重量部を含む第1原料混合物(Feed 1);2、2'−アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)0.5重量部、エタノール41.2重量部及び水8.5重量部を含む第2原料混合物(Feed 2);そしてジビニルベンゼン(DVB)0.5重量部及びエタノール19.7重量部を含む第3原料混合物(Feed 3)を各々製造した。次に、第1原料混合物を第1定量ポンプ(1)を使用して、そして第2原料混合物を第2定量ポンプ(1')を使用して混合器(マイクロチャネルミキサー)(2)に投入し、投入された第1及び第2原料混合物を混合した後、これを第1管状反応器(縦横比:60万)(3)に投入した。その後、第1管状反応器内の線速度を約3m/minに維持した状態で、分散重合(重合圧力:15bar;重合温度:70℃)を行い、高分子粒子を製造した。次に、製造された高分子粒子を第2混合器(マイクロチャネルミキサー)(2')に投入し、第3原料混合物を第3定量ポンプ(1")を使用して前記第2混合器(2')に投入した。第2混合器(2')で高分子粒子及び第3原料混合物を混合した後、得られた混合物を第2管状反応器(縦横比:20万)(3')に投入した。第2管状反応器(3')内で反応(圧力:20bar;温度:70℃)を進行し、架橋されたポリスチレン粒子を製造した。
【0064】
(実施例3)
図4に示されたように、各々別々の恒温チャンバ内に設置された2つの管状反応器が直列で連結されている高分子粒子の製造装置を使用して、連続反応工程により架橋されたポリスチレン粒子(平均直径:3.5μm)を製造した。具体的に、スチレン8.9重量部、安定剤2.1重量部及びエタノール18.3重量部を含む第1原料混合物(Feed 1);2、2'−アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)0.5重量部、エタノール41.2重量部及び水8.5重量部を含む第2原料混合物(Feed 2);そしてペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)0.3重量部及びエタノール19.4重量部を含む第3原料混合物(Feed 3)を各々製造した。前記第1原料混合物を第1定量ポンプ1を使用して、そして第2原料混合物を第2定量ポンプ(1')を使用して混合器(マイクロチャネルミキサー)(2)に投入し、投入された第1及び第2混合物を混合した後、これを第1管状反応器(縦横比:60万)(3)に投入した。その後、管状反応器内で線速度を約3m/minに維持した状態で分散重合(重合圧力:15bar;重合温度:70℃)を行い、高分子粒子を製造した。次に、製造された高分子粒子を第2混合器(マイクロチャネルミキサー)(2')に投入し、前記第3原料混合物を第3定量ポンプ(1")を使用して前記第2混合器(2')に投入した。前記第2混合器(2')で高分子粒子及び第3原料混合物を混合した後、前記混合物を第2管状反応器(縦横比:20万)(3')に投入し、前記第2管状反応器(3')内で反応(圧力:15bar;温度:75℃)を進行し、架橋されたポリスチレン粒子を製造した。
【0065】
(実施例4)
第2管状反応器内で原料の線速度を約0.5m/minに維持することを除いて、実施例2と同一の方法で高分子粒子を製造した。
【0066】
(実施例5)
第2管状反応器内で原料の線速度を約3m/minに維持することを除いて、実施例2と同一の方法で高分子粒子を製造した。
【0067】
(実施例6)
図3に示された製造装置で、第3管状反応器(縦横比:20万)、第4原料供給装置及び第3混合装置を追加に設置し、第3混合装置が、第2管状反応器(3')、第3管状反応器及び第4原料供給装置に連結されるように配置した高分子粒子の製造装置を使用して、架橋されたポリスチレン粒子を製造した。具体的に、第2管状反応器(3')までは実施例2と同一の条件で反応を行うものの、第2管状反応器(3')の反応物を第3混合装置(マイクロチャネルミキサー)に投入し、また、定量ポンプ(第4原料供給装置)を使用して、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)0.3重量部及びエタノール19.4重量部を含む第4原料混合物(Feed4)を第3混合器(マイクロチャネルミキサー)に投入して混合し、これを再び第3管状反応器に注入して反応を進行した。この時、前記第3混合器で混合した混合物の第3管状反応器への投入流量は、約5ml/minに制御した。この時、前記第3管状反応器内での反応圧力は、約15barであり、温度は、約75℃に制御して反応を進行し、架橋されたポリスチレン粒子を製造した。
【0068】
(実施例7)
管状反応器及び連続式撹拌タンク反応器が直列で連結された装置を使用して架橋ポリスチレン粒子を製造した。具体的に、スチレン8.9重量部、安定剤2.1重量部及びエタノール18.3重量部を含む第1原料混合物(Feed 1);2、2'−アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)0.5重量部、エタノール41.2重量部及び水8.5重量部を含む第2原料混合物(Feed 2);そしてペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)0.5重量部及びエタノール19.7重量部を含む第3原料混合物(Feed 3)を各々製造した。次に、前記第1原料混合物を第1定量ポンプを使用して、そして第2原料混合物を第2定量ポンプを使用して混合器(マイクロチャネルミキサー)に投入し、投入された第1及び第2混合物を混合した後、これを第1管状反応器(縦横比:60万)に投入した。その後、前記反応器内で分散重合(重合圧力:15bar;重合温度:70℃)を行い、高分子粒子を製造した。次に、製造された高分子粒子を連続式撹拌タンク反応器に供給し、また、前記製造された第3混合物をも定量ポンプを通じて前記連続式撹拌タンク反応器に供給した。この時、合成された高分子粒子と第3原料混合物は、連続式撹拌タンク反応器に同時に注入され、且つ、連続式撹拌タンク反応器内に設置された撹拌器を作動させた(撹拌速度:300rpm)。連続式撹拌タンク反応器内で2時間反応を行い、架橋されたポリスチレン粒子を製造し、製造された粒子は、連続式撹拌タンク反応器の排出口に連結されたポンプを通じて排出させた。
【0069】
(比較例1)
スチレン8重量部及びエタノール80重量部を含む第1原料混合物;2、2'−アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)4重量部及び水6.4重量部を含む第2原料混合物、そして架橋剤としてジビニルベンゼン(DVB)1.6重量部を使用して、従来の通常的なバッチ式反応によって、ポリスチレン高分子粒子を製造した。
【0070】
(比較例2)
管状反応器として縦横比が2,500の反応器を使用したことを除いて、実施例1と同一の方法で高分子粒子を製造した。
【0071】
(試験例1)
実施例1〜6、比較例1及び2で製造された高分子粒子の走査電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscopy)写真を撮影し、各々の場合の粒子の単分散性(monodispersity)を評価した。図5〜図10は、各々実施例1〜6で製造された粒子、そして図11及び図12は、各々比較例1及び2で製造された粒子の走査電子顕微鏡写真を示す。図5〜図10から分かるように、本発明によって製造された高分子粒子の場合、優れた単分散性を示すことを確認した。特に実施例4及び5の結果(図8及び図9)から、線速度、すなわち投入流量を制御することによって、粒子の表面形状を制御することができることを確認することができる。
【0072】
一方、従来のバッチ式反応で製造した比較例1の高分子粒子の場合、単分散性が非常に劣化する多分散粒子が生成されたことを確認することができ(図11)、縦横比が3,000未満の管状反応器を使用する場合、投入された原料の転換率が低下し、残留単量体が増加し、粒子の単位活動性が劣化し、粒子の沈殿が発生し、管状反応器の詰まり現象が誘発され、単分散性の粒子製造が不可能であることを確認することができた(図12)。
【符号の説明】
【0073】
1 第1定量ポンプ
1' 第2定量ポンプ
2 混合器
3 管状反応器
4 恒温チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料供給装置に連結されている原料混合装置、及び前記原料混合装置に連結され、前記原料混合装置から供給された混合物の重合を行うことができるように設置されていて、且つ縦横比が3,000以上の管状反応器を含む高分子粒子の製造装置。
【請求項2】
前記原料混合装置がマイクロチャネルミキサーである、請求項1に記載の高分子粒子の製造装置。
【請求項3】
前記重合が分散重合である、請求項1に記載の高分子粒子の製造装置。
【請求項4】
前記管状反応器は、縦横比が9,000以上である、請求項1に記載の高分子粒子の製造装置。
【請求項5】
前記管状反応器の内部は、フッ素樹脂よりなる、請求項1に記載の高分子粒子の製造装置。
【請求項6】
前記管状反応器に連結された第2管状反応器、及び前記第2管状反応器に連結された原料供給装置をさらに含む、請求項1に記載の高分子粒子の製造装置。
【請求項7】
前記管状反応器、前記第2管状反応器、及び前記第2管状反応器に連結された前記原料供給装置に連結された原料混合装置をさらに含む、請求項6に記載の高分子粒子の製造装置。
【請求項8】
前記高分子粒子が、架橋された高分子粒子またはコア−シェル構造の高分子粒子である、請求項1に記載の高分子粒子の製造装置。
【請求項9】
前記高分子粒子は、平均直径が0.1μm〜10μmである、請求項1に記載の高分子粒子の製造装置。
【請求項10】
前記高分子粒子は、CV数値が5以下である、請求項1に記載の高分子粒子の製造装置。
【請求項11】
原料供給装置を使用して、重合される単量体を含む原料を原料混合装置に投入し、前記混合装置内で原料を混合する第1段階、及び前記第1段階を経て得られた混合物を縦横比が3,000以上の管状反応器に投入し、前記反応器内で混合物の線速度を0.5m/min以上に維持した状態で前記混合物の重合を行う第2段階を含む高分子粒子の製造方法。
【請求項12】
前記第2段階で混合物の分散重合を行う、請求項11に記載の高分子粒子の製造方法。
【請求項13】
前記第2段階を経て得られた反応物を第2管状反応器の内部に投入し、追加の原料供給装置を使用して前記第2管状反応器の内部に原料を投入する第3段階、及び前記第2管状反応器の内部に投入された原料を反応させる第4段階をさらに含む、請求項11に記載の高分子粒子の製造方法。
【請求項14】
前記第3段階は、(1)反応物及び原料を混合装置に投入し、前記混合装置で混合する段階、及び(2)前記段階(1)を経て得られた混合物を第2管状反応器に投入する段階を含む、請求項13に記載の高分子粒子の製造方法。
【請求項15】
平均直径が0.1μm〜10μmの高分子粒子を製造する、請求項11に記載の高分子粒子の製造方法。
【請求項16】
CV数値が5以下の高分子粒子を製造する、請求項11に記載の高分子粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−509386(P2012−509386A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537368(P2011−537368)
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006881
【国際公開番号】WO2010/059000
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】