説明

高分子組成物および異方性光散乱を有する物品、ならびにその製造および使用方法

【課題】光を異方性散乱させ、導波デバイスおよびフィルムから光を抽出する、またはその両方に使用され得る高分子組成物の提供。
【解決手段】光学異方性を有する接着材料と、前記接着材料内に、複数の細長構造体として配置される光学異方性を有する分散相材料と、を含む高分子組成物であって、細長構造体は、それぞれ主軸を有し、前記細長構造体の主軸が、実質的に配列され、前記分散相材料の屈折率が、前記接着材料の屈折率と、少なくとも0.01異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長分散相高分子材料を別の高分子材料中に配置させた高分子組成物、および該組成物を含有する物品、ならびに該組成物の製造および使用方法に関する。更に、本発明は、細長分散相材料を接着材料中に配置させた接着剤組成物、および該組成物を含有する物品、ならびに該組成物の製造および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学フィルムおよび他のデバイスは、装飾的物品として使用するため、およびディスプレイの特性を向上させるまたは変更するためなど、様々な用途に開発されてきた。特に、光を異方性反射またはその他散乱させることが望ましい場合がある。例えば、多くのディスプレイおよび投影スクリーンの用途では、使用者または鑑賞者は、ディスプレイまたは投影スクリーンの端に位置する場合があるため、水平視野角が広いことが望ましい。他方、使用者または鑑賞者は、典型的には、ディスプレイまたは投影スクリーンに関して目の高さまたは目の高さ付近に位置するため、垂直視野角は、典型的には、それ程広い必要はない。従って、水平視野角は比較的広いが、垂直視野角は比較的狭い異方性ディスプレイを有することが望ましい場合がある。
【0003】
視野角を調整する方法の1つは、一次元的なレンズ構造体がプラスチック基材上に成形される、レンチキュラーレンズスクリーンなどの表面構造体の使用等が挙げられる。光は、円柱状のレンズ構造体で拡散フィルム上に集束され、非対称的な拡散が達成される。しかし、レンチキュラースクリーンには、一連の触知可能な溝があり、これを周波数として表すことができる。この周波数は、液晶をベースにする投影ディスプレイ中のピクセル周波数に干渉し、モアレじまを発生させる可能性がある。このため、現在のレンチキュラースクリーンは、ピクセル周波数がより高い、高精細画像ディスプレイでは制限されている。
【0004】
光学フィルムおよびデバイスに関する別の問題は、光学フィルムまたはデバイスからの光の抽出である。多くのフィルムおよびデバイスは、光が、例えば、導波管と周囲の環境(例えば、空気)との屈折率の差による全内部反射により導波管内に留まる導波管の役割をする。例えば、全内部反射を使用して、光の強度をほとんど損失することなく、光ファイバーで光を伝送する。しかし、導波管に沿った様々な点で光を抽出する(例えば、看板または他のディスプレイを作製する)か、または望ましくない全内部反射を克服することが望ましい場合がある。例えば、発光ダイオード、有機発光デバイス、ルミネセンスフィルム、および蛍光フィルムは、光を放射するように製造される。しかし、全内部反射は、少なくとも部分的に、端部以外における発光を阻止する。このため、非端部表面からの光の抽出を容易にすることができる製品を有することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、全般に、光を異方性散乱させ、導波デバイスおよびフィルムから光を抽出する、またはその両方に使用され得る高分子組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、例えば、接着材料などの第1の高分子材料と、第1の高分子材料内に複数の細長構造体として配置される第2の高分子材料とを含む高分子組成物である。細長構造体は、それぞれ、主軸を有し、主軸は実質的に配列されている。第1の高分子材料の屈折率は、第2の高分子材料の屈折率とは少なくとも0.01異なる。幾つかの場合、感圧接着材料が、第1の高分子材料として選択される。細長構造体の配向、および屈折率の差により、非対称的に光を散乱させる高分子組成物が得られる。
【0007】
別の実施形態は、基材および高分子組成物を含む物品である。この物品は、導波管と共に使用され得るか、または導波管を具備することもでき、高分子組成物は、光導波路上に配置され、光導波路から光を抽出する。別の場合、物品は、ディスプレイを具備するか、またはディスプレイ上に配置され、少なくとも1方向で、ディスプレイの視野角を増大させる。
【0008】
本発明の更に別の実施形態は、物品を製造する方法である。高分子組成物は、第1の高分子材料と、第1の高分子材料中に分散される第2の高分子材料とを使用して形成される。第1の高分子材料の屈折率は、第2の高分子材料の屈折率と少なくとも0.01異なる。次いで、高分子組成物は、基材上に分配される。この分配により、第2の高分子材料が第1のポリマー内に複数の細長構造体を形成する。細長構造体は、それぞれ主軸を有し、細長構造体の主軸は実質的に配列されている。
【0009】
本発明の別の実施形態は、光を閉じ込めるように形成され、配置される媒体と、媒体の少なくとも一部に配置される光抽出素子を具備する物品である。光抽出素子は、前述の高分子組成物を含む。
【0010】
本発明の上記の概要は、本発明の開示される各実施形態、または全ての実行を記載するものではない。以下の図面および詳細な説明で、これらの実施形態を更に詳しく例示する。
【0011】
添付の図面と関連して、本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮すると、本発明をより完全に理解できるであろう。
【0012】
本発明は、様々な修正および代替形態が可能であるが、その明細を図面の例によって示し、詳細に説明する。しかし、本発明を記載される特定の実施形態に限定する意図はないことを理解すべきである。反対に、本発明の趣旨および範囲内に入る全ての修正、同等物、および代替を包含することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のフィルムの概略上面断面図である。
【図2】本発明の、光導波構造体上に配置された図1のフィルムの概略側面図である。
【図3】全内部反射により、その他光を伝搬するまたは閉じ込めるフィルムまたはデバイス上にある、図1の本発明のフィルムの概略断面図である。
【図4】ポリマーマトリックス中の分散相繊維による光の散乱を示すため、図1のフィルムの一部を表す、互いに直交する概略断面図である。
【図5】ポリマーマトリックス中の分散相繊維による光の散乱を示すため、図1のフィルムの一部を表す、互いに直交する概略断面図である。
【図6】本発明の3種類のフィルム(上から3本の線)、ならびに、接着材料を有するが分散相材料を有していないフィルム(一番下の線)、および接着材料を有していないフィルム(下から二番目)に対する相対強度(y軸)対波長(x軸)(nm)のグラフである。
【図7】本発明のフィルムに対する消光比(y軸)対拡散角度(x軸)のグラフである。
【図8】本発明のフィルムの一実施形態に対するゲイン(y軸)対水平視野角(実線)および垂直視野角(点線)のグラフである。
【図9】本発明のフィルムの第2の実施形態に対するゲイン(y軸)対水平視野角(実線)および垂直視野角(点線)のグラフである。
【図10】本発明のフィルムの第3の実施形態に対するゲイン(y軸)対水平視野角(実線)および垂直視野角(点線)のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、別の高分子材料中に配置された細長分散相高分子材料を有する高分子組成物、および該組成物を含有する物品、ならびに該組成物の製造および使用方法に適用可能であると考えられる。更に、本発明は、接着材料中に配置される細長分散相材料を有する接着剤組成物、および該組成物を含有する物品、ならびに該組成物の製造および使用方法に関する。本発明は、そのように限定されないが、以下に記載される実施例の検討を通して、本発明の様々な態様が理解されるであろう。
【0015】
以下の用語は、別途明記されなければ、以下のように定義される。
「延伸除去可能な」は、感圧接着剤が、(好ましくは、基材表面から45°以下の角度で30センチメートル/分の速度で)引張され、伸長された時、基材表面に相当の損傷(例えば、引裂)を与えることなく、かつ、好ましくは、ヒトが肉眼で見ることができる相当の残留物を基材に残すことなく、基材表面から脱離することを意味する。
【0016】
「実質的に連続的な」は、機械方向の長さが少なくとも0.5センチメートルの接着剤組成物のサンプルで、サンプル中に存在する繊維の少なくとも50%が連続的である(即ち、破壊していない)ことを意味する。
【0017】
「引張強度」は、引用により本明細書に援用される、ASTM D 882−97に従って試験した場合の、破壊時の最大引張強度を意味する。
【0018】
本発明の高分子組成物は、少なくとも2種類の高分子材料を含み、1種類の高分子材料が、他の高分子材料内に複数の細長構造体として分散される。このような高分子組成物の特に有用な例に1つは、接着材料と、細長構造体として接着材料内に分散される分散相材料とを含む接着剤組成物である。分散相材料のこのような細長構造体は、構造体の最長の長さ寸法に対応する主軸を有する。細長構造体の主軸は、高分子組成物中に、少なくともドメイン内で実質的に配列している。接着材料は、分散相材料の屈折率と少なくとも0.01異なる、少なくとも1つの屈折率を有する。幾つかの実施形態では、高分子組成物は、接着材料として感圧接着材料を含む、感圧接着剤組成物である。本発明は、本発明および設計考察を説明するため、接着材料を含む高分子組成物に関して本明細書で検討されるが、本発明は、実質的に配列される細長構造体として、別の高分子材料内に分散される高分子材料を含有する、他の非接着剤高分子組成物にも適用され得ることが理解されるであろう。
【0019】
接着材料と分散相材料との回折率の差、および細長構造体の配向は、高分子組成物に有用な光学特性を付与する。例えば、高分子組成物は、光を異方性散乱させることができる。この光は、高分子組成物中を透過され得るか、または高分子組成物によって反射され得る。最大の散乱角は、細長構造体の主軸に対して実質的に垂直な方向で生じる。最小の散乱角は、細長構造体の主軸に対して実質的に平行な方向で生じる。例えば、細長構造体の主軸が垂直方向に配向した高分子組成物中では、最大の散乱角は、水平な方向で観察され、最小の散乱角は、垂直な方向で観察される。このように、この高分子組成物を利用し、光源上に設置されるフィルムは、配向した細長構造体を用いる結果、垂直視野角は、ほとんどまたは全く増大せず、散乱角が増大するため、水平視野角が実質的に増大し得る。この構成は、ディスプレイおよび投影スクリーンで特に有用となり得る。
【0020】
光学的特性に加えて、必要に応じて、分散相材料は、接着材料の機械的特性を向上させるか、または変化させることができる。特に、分散相高分子材料は、必要に応じて、またそのように選択される場合、高分子組成物(例えば、感圧接着剤組成物)を補強する役割をすることができる。本発明の補強された組成物は、分散材料を有しない類似の組成物と比較して、組成物の引張強度が高くなることで表されるように、凝集強度が改善され得る。これらの機械的特性の更なる説明、およびこれらの特性を示す実施例は、本明細書と同日に提出された、代理人整理番号55694USAの、「繊維状補強材料を有する感圧接着剤(Pressure Sensitive Adhesives With A Fibrous Reinforcing Material)」と題される米国特許出願第 号に記載されており、該特許出願は引用により本明細書に援用される。
【0021】
典型的には、分散相材料の細長構造体は、接着材料と分散相材料を混合した後、剪断力を加えて分散相材料を伸長させることにより作り出される。剪断力を所望の方向に加えることにより、分散相材料の細長構造体を作り出し、配向させる。剪断力を加える好適な方法の1つは、組み合わせた接着剤と分散相材料を基材上に分配することを含み、分配は、例えば、既知の押出しおよび塗工技術などで剪断力を加えることを含む。必然的ではないが、一般に、剪断力は高温で加えられ、次いで、細長構造体の形状および大きさに硬化させるため、高分子組成物は室温(または、使用温度、若しくは保管温度)まで冷却される。
【0022】
図1は、本発明の高分子組成物の層100の一実施形態の上面図である。層100は、接着材料の実質的に連続的な相102と、分散相材料の細長構造体104とを含む。高分子組成物に入射する光は、透過光として背部からであれ、反射光として上部からであれ、長い矢印106で表されるように、細長構造体104の主軸に垂直な方向に選択的に散乱される。対照的に、短い方の矢印108で表されるように、細長構造体の主軸に平行な方向で生じる散乱の方が、ずっと少ない。
【0023】
接着材料
接着材料は、1種類の接着剤、または2種類以上の接着剤の組合せとすることができる。種々様々な接着剤を本発明の高分子組成物に使用することができる。必然的ではないが、典型的には、接着材料は、実質的に連続的なマトリックスを形成し、このマトリックス内に、分散相材料の細長構造体が配置される。一般に、接着材料および分散相材料は、所望の光学的および機械的特性、ならびに2種類(またはそれより多くの)材料の適合性に基づいて選択され得る。特に、感圧接着剤は、有用な高分子組成物を形成することができる。更に、前記に示されるように、高分子組成物は接着材料なしでも形成され得る。一般に、所望の光学的および機械的特性を実現するように、好適で適合性のある分散相材料を選択することもできる限り、任意のポリマーを使用できる。
【0024】
例として、好適な感圧接着材料には、天然ゴム、合成ゴム、スチレンブロックコポリマー、ポリビニルエーテル、アクリレート、メタクリレート、ポリオレフィン、およびシリコーンをベースにした感圧接着剤などが挙げられる。好適な非PSA材料には、屈折率が分散相材料の屈折率と少なくとも0.03異なる、任意の熱可塑性ポリマーなどが挙げられる。好適なポリマーには、例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン(例えば、直鎖低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、およびポリプロピレンなど)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、およびポリアミドなどが挙げられる。
【0025】
例えば、感圧接着剤はアクリル感圧接着剤とすることができる。アクリル感圧接着剤には、例えば、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−メチル−ブチルアクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレート、およびn−ブチルアクリレートなどのアルキルエステル成分、および任意に、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、フマレート、およびスチレンマクロマーなどのコモノマー成分を含むことができる。例として、アクリル感圧接着剤は、アクリル酸またはメタクリル酸を0〜20質量%、イソオクチルアクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレート、またはn−ブチルアクリレート組成物を80〜100質量%含むことができる。本発明の接着材料の1つは、アクリル酸またはメタクリル酸を2〜15質量%、イソオクチルアクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレート、またはn−ブチルアクリレートを85〜98質量%含む。別の接着材料は、アクリル酸を2〜10質量%、スチレンマクロマーを2〜10質量%、イソオクチルアクリレートを85〜96質量%含む。
【0026】
感圧接着剤は、自己粘着性とすることができるか、または粘着付与剤を添加して感圧接着剤を形成することができる。好適な粘着付与剤には、例えば、ロジンエステル樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、およびテルペン樹脂などが挙げられる。
【0027】
分散相材料
分散相材料は、1種類の化合物、または2種類以上の化合物の組合せとすることができる。複数の化合物を使用する場合、化合物は互いに混和性、または非混和性とすることができる。非混和性の分散相化合物を使用する場合、典型的には、1種類より多くの分散相が高分子組成物中に存在する。
【0028】
様々な分散相材料を使用することができる。典型的には、分散層材料は、高分子材料である。少なくとも幾つかの実施形態では、分散相材料は、弾性であり、半結晶性の高分子材料とすることができる。半結晶性のポリマーは、無定形ドメインと結晶性ドメインの両方を同時に有することができる。好適な半結晶性ポリマーの例には、ポリカプロラクトン(PCL)、アイソタクチックポリブテン(PB)、ポリフッ化ビニリデン、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリ(エチレン−co−ブテン、ヘキセン、またはオクテン)などのメタロセンポリオレフィン、およびエチレン−ブテン−ヘキセンターポリマーなどの他のエチレンコポリマーなどが挙げられる。他の好適なポリマーには、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、およびポリビニルブチラールなどが挙げられる。
【0029】
分散相材料は、典型的には、加工および使用温度で、接着材料と適合性があって非混和性であるか、または、接着材料には、ごく僅かしか溶解しない。分散相材料と接着材料との混合中の非混和性および適合性により、典型的には、必要に応じて、接着材料内に分散相材料を実質的に均一に分散させることができる。
【0030】
接着剤および分散相材料、ならびに各材料の量および加工条件は、典型的には、所望の分散相モルフォロジーが得られるように選択される。分散相材料の細長構造体の多種多様な形状を形成することができる。このような形状には、例えば、繊維、フィラメント、ロッド、エリプソイド、シート、およびリボンなどが挙げられる。更に、これらの形状は、直線状、ジグザグ、シヌソイド、または他の形態を有することができる。更に、細長構造体の断面形状は、例えば、円形、楕円形、長方形、正方形、三角形または不規則とすることができる。
【0031】
例えば、分散相材料と接着材料との剪断粘度比、これら2つの材料間の界面張力、剪断速度、および延伸比などの様々な要因が、分散相モルフォロジーの決定に寄与し得る。
【0032】
剪断力が加えられる加工温度における剪断粘度は、分散相材料により形成される構造体の寸法および形状に影響を与える。分散相材料と接着材料の剪断粘度の比は、典型的には、0.1〜10の範囲である。剪断力が加えられる温度における、分散相材料と接着材料の剪断粘度の比が、1付近(例えば、0.5〜2)である場合、分散相材料から細いフィラメントまたは繊維を形成することができる。剪断粘度比が1付近より低い(例えば、0.5以下)場合、典型的には、分散相材料からシートまたはリボンが形成される。剪断粘度比が1付近より高い(例えば、2以上)場合、短いロッドまたはエリプソイドを形成することができるが、剪断粘度比が非常に高い場合、典型的には、分散相はほとんどまたは全く伸長しない(例えば、分散相はスフェロイド状のままである)。剪断粘度は、例えば、マサチューセッツ州カントンのインストロン社(Instron Corporation,Canton,MA)から入手可能な、インストロンキャピラリーレオメータ(Instron Capillary Rheometer)などのキャピラリーレオメータを使用して測定できる。
【0033】
界面張力は、分散相モルフォロジーの要因となり得る。一般に、低界面張力が望ましい。界面張力が大きすぎるか、または溶融強度が低すぎる場合、分散相材料の繊維またはフィラメントは、剪断流れおよび冷却工程中に破壊する可能性がある。しかし、界面張力が低すぎる場合、接着材料内の分散相材料の液滴は、剪断流れの間に、分散相材料の他の液滴と合体することが困難になり得る。このため、長い繊維またはフィラメントを得る能力が妨げられる可能性がある。
【0034】
剪断速度および延伸比も、分散相のモルフォロジーに影響を与える。一般に、剪断速度が高い方が、細長構造体はより長くなる。しかし、剪断速度が高すぎる場合、細長構造体は、剪断中に破壊する可能性がある。細長構造体が破壊する剪断速度は、構造体の厚さおよび前述の他のパラメータによって変わる。更に、延伸比が大きい方が、細長構造体は一般により長くなる。
【0035】
分散相材料の溶融温度は、典型的には、高分子組成物の使用温度より高い。同様に、分散相材料の溶融温度は、典型的には、高分子組成物または高分子組成物で製造される任意の物品の保管温度より高い。分散相材料の溶融温度は、少なくとも70℃であることが好ましい。溶融温度は、例えば、示差走査熱量計(「DSC」)で測定できる。
【0036】
幾つかの実施形態では、分散相材料は、実質的に連続的な繊維として存在する。一実施形態では、繊維は、平均で、長さが少なくとも約0.5センチメートルであり、平均で、長さが約2〜約5cm、またはそれより長くなり得る。
【0037】
散漫な光散乱が望ましい場合、分散相の細長構造体の断面寸法(例えば、直径)は、典型的には、散乱される光の波長の数倍以下とすべきである。そうでない場合は、鏡面反射光散乱が支配的である。しかし、分散相の直径が小さすぎる(例えば、散乱される光の波長の約1/30)場合、散乱はほとんど起こらない。典型的には、効率的な光散乱は、細長構造体の断面寸法と同じかまたはそれより短い波長(例えば、断面寸法の半分以下)を有する光で起きる。幾つかの実施形態では、断面寸法が約0.05〜約5マイクロメートル、好ましくは約0.1〜約3マイクロメートルの分散相材料の繊維を形成することができる。このような繊維は、可視光(約380〜750nm)の効率的な光散乱に特に有用である。
【0038】
混合中、剪断力を加える前に、分散相材料は、例えば、平均粒径が約20マイクロメートル以下であり、典型的には約10マイクロメートル以下の実質的に球状粒子の形態とすることができる。また、分散相材料を他の形態で、混合物に提供することができる。
【0039】
一般に、分散相材料は、高分子組成物の約2質量%〜約70質量%である。典型的には、分散相材料は、高分子組成物の約5質量%〜約50質量%である。多くの場合、分散相材料の量が多い方が、光散乱が多くなる。ほとんどの含有量では(高分子組成物が非常に希薄でなければ)、散乱された光は、典型的には何回かの散乱事象を経る。典型的には、含有量が多い方が、高分子組成物を通る複数の散乱事象を経る光のパーセンテージが増大し、光の光子あたりの事象の平均数も増大する。
【0040】
後述のように、高分子組成物の所望の特性に応じて、高分子組成物内に他の材料も含むことができる。一般に、接着材料は、高分子組成物の約30質量%〜約98質量%である。典型的には、接着材料は、高分子組成物の約50質量%〜約95質量%である。
【0041】
他の材料
高分子組成物の光学的または物理的特性を変化させるため、必要に応じて、例えば、油、可塑剤、酸化防止剤、抗オゾン化物質(antiozonants)、UV安定化剤、水素添加ブチルゴム、顔料、染料、および硬化剤などの他の材料を添加することができる。例えば、高分子組成物に顔料および染料を添加し、組成物の色を変えることができる。幾つかの実施形態では、顔料または染料は、組成物に色を付与する。他の実施形態では、組成物の色を低減する、またはなくすのに、顔料または染料が使用される。このような色は、接着剤および分散相材料の屈折率が波長に依存するために生じる可能性がある。
【0042】
更に、必要に応じて、高分子組成物に追加の散漫散乱材料または鏡面反射散乱材料を含むことができる。この散乱材料は、接着材料の屈折率とは異なる、少なくとも1つの屈折率を有する。この追加の散乱材料は、接着材料内で実質的に配向していない。例えば、散乱材料は、実質的に球状であるか、または接着材料内で不規則に配向している。
【0043】
混合
分散相材料は、混合組成物が伸び剪断力(elongation shear force)を受ける前に、接着材料と混合される。分散相材料と接着材料との混合は、接着材料中に分散相材料の分散、好ましくは微細な分散を生じさせる任意の方法によって行うことができる。例えば、溶融混練(melt blending)、溶剤混合(solvent blending)、または、分散相材料と接着材料とを十分にブレンドできる、他の任意の好適な物理的方法などがある。
【0044】
溶融混練デバイスには、分散混合、分配混合、または分散混合と分配混合の組合せを実現するものが挙げられる。バッチ法、または連続法の両方による溶融混練を使用することができる。バッチ法の例には、ブラベンダー(BRABENDER)(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(BrabenderInstruments)から入手可能なブラベンダープレップセンター(BRABENDER PREP CENTER)を使用)、またはバンベリー(BANBURY)内部混合およびロールミル(コネチカット州アンソニア、ファーレル社(FARREL COMPANY)から入手可能な装置を使用)などが挙げられる。バッチ混合後、必要に応じて、作り出された分散体を急冷し、溶融温度より低温で保管して、後で加工することができる。
【0045】
連続法による混合の例には、一軸スクリュー押出し、ツインスクリュー押出し、ディスク押出し、レシプロケーティング一軸スクリュー押出し、およびピンバーレル一軸スクリュー押出しなどが挙げられる。連続法には、キャビティトランスファー混合機(例えば、英国シュローズベリーのラプラテクノロジー社(RAPRA Technology,Ltd.)から入手可能なCTM)などの分配要素、ピン混合要素、および静的混合要素、ならびに、例えば、クリスラウウェンダール(Chris Rauwendaal)により出版された、ポリマー加工における混合、「一軸スクリュー押出機での混合」(マーセルデッカー社(Marcel Dekker Inc.):ニューヨーク(1991年)129、176−177、および185−186頁)に記載される分散要素(例えば、マドック(MADDOCK)混合要素、またはサクストン(SAXTON)混合要素)などが挙げられる。
【0046】
高分子組成物形成方法の例
高分子組成物は、伸長剪断力を受け、分散相材料の細長構造体を作り出す。例えば、伸長剪断力(例えば、ドローダイ、フィルムダイ、またはロータリーロッドダイ)でブレンドした組成物を引き出し、または押し出し、続いて、引き出された接着剤組成物を例えば、個々の基材、または移動ウェブ上の基材などの基材に接触させるような、ホットメルト塗工などの連続形成方法により、細長構造体を形成することができる。関連する連続形成方法は、高分子組成物およびバッキング材料をフィルムダイから同時押出しし、積層製品を冷却することを含む。他の連続形成方法は、高分子組成物を迅速移動ウェブ、または予備形成された他の好適な基材に直接接触させることを含む。この方法を使用し、ロータリーロッドダイなどの可撓性ダイリップを有するダイを使用して、高分子組成物を移動する予備形成ウェブに塗布することができる。
【0047】
これらの連続法のいずれかにより形成した後、高分子組成物の温度を分散相材料の溶融温度より低くすることにより、分散相材料の細長構造体を固化することができる。例えば、直接法(例えば、チルロールまたは水浴)または間接法(例えば、空気または気体の衝突噴流)のいずれかを使用して、高分子組成物を急冷することにより温度を低下させることができる。次いで、組成物を周囲の温度まで冷却する。
【0048】
光学的特性
接着材料と分散相材料の屈折率の差、および分散相材料の細長構造体の配向は、接着材料自体の物とは異なる光学的特性を高分子組成物に付与する。特に、分散相材料の細長構造体の配列により、細長本体の主軸に垂直な方向に選択的に散乱するようになる。例えば、配向した分散相材料の繊維では、散乱光は、配向方向に垂直な平面にある光帯のように見える場合があり、強度は角度が鏡面反射方向から離れて増大するにつれ、低下する。
【0049】
例えば、接着剤および分散相成分に使用される材料、接着剤および分散相材料の屈折率、細長構造体の配向の程度、細長構造体の寸法および形状、高分子組成物の厚さ、分散相材料と接着材料の相対的な量(即ち、含有量)、高分子組成物内の細長構造体の分布の均一性、および他の材料の存在(例えば、他の散乱材料、染料、または顔料)などの多くの要因が高分子組成物の光学的特性に影響を与える。
【0050】
一般に、分散相材料の少なくとも1つの屈折率は、接着材料の少なくとも1つの屈折率と、少なくとも0.01異なる。全光散乱は、分散相材料と接着材料の屈折率の差、ならびに光路内の細長構造体の数(含有量およびフィルムの厚さ)に依存する。光の全散乱は、一般に、2つの材料の屈折率の差の二乗に比例し、散乱ドメインの数に直線的に比例する。接着材料と分散相材料の屈折率の差は、一般に、少なくとも0.01、0.03、0.05、またはそれより大きい。多くの場合、全散乱効率は、
全散乱効率∝Δn2*t*w%
のようにモデル化され得るが、式中、Δnは、接着材料と分散相材料の屈折率の差であり、tは、高分子組成物の厚さであり、w%は、分散相材料の質量パーセントである。従って、透過光または反射光のパーセンテージとしての散乱光の量は、屈折率の差、厚さ、および分散相材料の質量パーセントを選ぶことにより選択され得る。幾つかの実施形態では、分散相材料の質量パーセントは、5%〜50%の範囲であり、典型的には、10%〜40%の範囲である。高分子組成物の厚さは、光散乱効率、ならびに接着剤の機械的強度に影響を与える。厚さは、例えば、5マイクロメートル〜250マイクロメートルの範囲とすることができ、幾つかの実施形態では、50マイクロメートル〜125マイクロメートルの範囲である。
【0051】
幾つかの実施形態では、接着材料または分散相材料(または両方)は、複屈折である(即ち、材料の屈折率は、直交する少なくとも2つの方向で少なくとも0.01異なる)。例えば、平面層に形成される複屈折材料は、平面内の方向(x−およびy−方向として選ばれる)で、異なる(即ち、nx≠ny)複数の屈折率を有し得る。このような複屈折材料を使用すると、偏光依存型の光学的特性が得られる場合がある。少なくとも1種類の複屈折材料が使用される場合、例えば、接着剤と分散相材料の光学的指数の差は、高分子組成物に入射する光の2つの直行偏光では異なる可能性がある。屈折率の差が大きい方が、典型的には、散乱の角度が大きくなり、1つの偏光に対する光の散乱が多くなる。少なくとも幾つかの場合、2つの偏光に対する散乱力の比は、各偏光に対する2つの材料間の屈折率の差の二乗である。一実施形態では、光の1つの偏光に対して、接着剤と分散相材料の屈折率が実質的に一致し(即ち、差が0.01未満である)、その偏光の光が高分子組成物を実質的に透過する複屈折材料が使用される。光の他の偏光では、接着剤と分散相材料の屈折率が、少なくとも0.01異なり、その結果、その偏光を有する光が散乱する。
【0052】
細長構造体の配向の程度は、光学的特性にも影響を与える。典型的には、細長構造体の配向の程度が高い方が、細長構造体の主軸に対して垂直な光が、より選択的に散乱する。配向の程度の一例として、高分子組成物は、細長構造体の少なくとも50%、75%、または更に90%の主軸が、細長構造体の長さ全体にわたって、実質的に配列されている(例えば、互いに20°以内、好ましくは10°以内で配列されている)、細長構造体を含有することができる。
【0053】
細長構造体の寸法および形状も、光学的特性に影響を与える。例えば、細長構造体の断面寸法(例えば、直径)が高分子組成物に入射する光の波長のおよそ数倍以下である場合には、拡散反射が得られる。細長構造体の断面寸法が増大するにつれ、鏡面反射の量は、典型的には増加する。更に、細長長い構造体の方が、同じ材料と断面寸法を有する細長い短い構造体よりも、典型的には、選択的な方向に散乱する光が多くなる。従って、長い繊維では、繊維の長さに垂直に散漫散乱する光の量が多くなる傾向がある。材料のロッドが短い方が、典型的には、垂直方向での選択的な散乱が少なくなる。
【0054】
細長構造体の三次元形状および寸法は、散乱光がどのように空間方向に分布するかに影響を与える。球状粒子では、光散乱分布は、光軸の周りに対称的であり、入射光の軸と定義される。粒子が非球状である場合は、一般に、光散乱は、光軸の周囲に対称的に分布する。典型的には、光散乱は、粒子の断面がより曲線状の平面では、より広範囲に広がる。エリプソイドの断面を有する粒子では、光は、短い方の軸の周りよりも長い方の軸の周りに、より多く広がる。非対称の程度は、粒子のアスペクト比(断面が円からどれ程か離れているか)に依存する。繊維では、光は、繊維の配向に垂直な方向に選択的に散乱される。繊維の配向に平行な方向では、高分子組成物は、光学的平行板の役割をする。従って、光はほとんど散乱されない。フィルムは、一軸光拡散板に似ている。最良の効果を得るには、繊維のアスペクト比は、少なくとも50、100、または更に1000、またはそれより大きいことが好ましい。細長粒子のアスペクト比が小さいほど、粒子の断面は、エリプソイドである可能性が高い。この場合、光の幾つかは、繊維配向に平行な方向に散乱される。このような繊維は、エリプソイド拡散板の役割をする。高アスペクト比繊維を有する高分子組成物を、球状粒子を含有する対称性の小さい拡散板素子と組合わせても、エリプソイド拡散板を作製できる。
【0055】
図4および5は、高アスペクト比繊維の光学的特性を表す。細長構造体が繊維またはフィラメントを形成する場合、これらの構造体は、それらの断面寸法と比較して非常に長い場合がある。これらの構造体の光学的特性はそれぞれの長さが不定である円筒の配列を使用してモデル化され得る。図4を参照すると、このような配列からの単一の繊維404の主軸を通る断面図が示されており、繊維404は接着材料402に埋設されている。接着材料402の表面406に垂直入射する光線401は、図4の点Aで表されるように、繊維404に対する非垂直入射により屈折される。屈折の角度は、典型的には、光線401が繊維404に入射する、繊維404の中心からの距離xに依存する。光線が繊維404を出射するとき(点B)、および光線が表面408(点C)で接着材料402を出射するとき、更に屈折が起きる。これらの屈折の角度は、前に起きる(一回以上の)屈折に依存する。その結果、様々な光線が様々な量で屈折され、そのため入射光に拡散効果を作り出す。主軸に沿った繊維404の縦断面図を示す、図5を参照すると、垂直入射光線401は、接着材料402および繊維404の表面に垂直入射するため、光線は、縦断面では屈折しない。従って、非常に異方性の拡散効果が作り出される。この対称的な拡散効果の結果として、例えば、より多くの鑑賞者に到達するように水平方向では高レベルの拡散が望ましいが、鑑賞者がいない場所に光を向けないことにより光を節約するため、垂直方向ではより低レベルの拡散が望ましい場合がある、後方投影スクリーンに本発明の材料は有用である。
【0056】
所定の含有量の分散相材料および所定の種類の細長構造体では、高分子組成物の層が厚い方が、典型的には、光散乱が多くなる。幾つかの粘着テープ用途では、好適な基材上の高分子組成物の厚さは、25〜750μmの範囲とすることができる。また、分散相材料の含有量が高い方が、典型的には散乱が増大する。
【0057】
更に、高分子組成物内の細長構造体の分布の均一性は、散乱の均一性に影響を与える。典型的には、分散相材料は、接着材料内に均一に分散される。しかし、必要に応じて、既知の技術を使用して分散相材料を不均一に分布させ、不均一な光散乱を得ることができる。
【0058】
追加の非配向(例えば、球状、または不規則な配向)の散乱材料の存在も、高分子組成物の光学的特性に影響を与える。非配向の散乱材料を使用して、好ましい方向と好ましくない方向での光散乱の比を調整することができる。更に、染料、または顔料などの着色材料の存在は、高分子組成物の色を変化させ、前述のように色を付加または低減することができる。
【0059】
高分子組成物は、典型的には、透明、半透明、または僅かに〜中程度に濁って見える。外観は、接着剤および分散相材料、ならびに組成物中の分散相材料の量および細長構造体のモルフォロジーに依存する。
【0060】
偏光した光が、高分子組成物に入射する場合、散乱のため、分散相で幾分、偏光解消がなされる場合がある。典型的には、断面寸法が小さい細長構造体ほど、偏光解消が少ない。従って、高い消光偏光比を維持すると同時に、直線偏光した光を散乱する拡散フィルムを設計することが可能である。
【0061】
物理的特性
高分子組成物の物理的特性は、少なくとも一部には、接着剤および分散相成分に選択される材料、ならびに高分子組成物内の分散相材料の構造の結果である。幾つかの実施形態では、高分子組成物は、ASTM 882−97により測定される場合、約0.1MPa以上の降伏強度を有する。降伏強度は、0.2MPa以上とすることができる。更に、高分子組成物の引張強度は、ASTM 882−97により測定される場合、降伏強度の少なくとも約150%とすることができる。
【0062】
幾つかの実施形態では、高分子組成物の破壊時の伸びは、ASTM 882−97により測定される場合、少なくとも約50%であり、約200%より大きい、または300%以上の場合もある。幾つかの実施形態では、破壊時の伸長は、800%以上である。
【0063】
更に、感圧接着剤組成物の幾つかの実施形態では、ポリプロピレン基材パネルから15°〜35°の角度で、高分子組成物を除去するのに必要な力の量は、約20N/dm以下である。このように除去力が小さいため、基材から感圧接着剤組成物を除去することが容易になる。ある実施形態では、基材からこのような角度で、感圧接着剤組成物を除去するのに必要な力は、約7N/dmと低い。
【0064】
幾つかの実施形態では、高分子組成物の引張強度は、ASTM 882−97により測定される場合、接着剤単独の引張強度より少なくとも約2倍大きい。ある実施形態では、分散相材料は、機械方向での接着材料の引き剥がし力を増大させる。例えば、特定の基材(例えば、ガラス)に接着された高分子組成物の180°引き剥がし接着力は、分散相材料のない接着材料の180°引き剥がし接着力と比較して30%以上増大し得る。
【0065】
更に、高分子組成物は、延伸除去(stretch removable)特性を有することができる。幾つかの実施形態では、本発明の高分子組成物は、必要に応じて、実質的にタック特性が低下しない状態で、これらの特性を有することができる。
【0066】
良好な降伏強度および引張強度を有するこれらの実施形態では、好ましい分散相材料の降伏強度は、約20MPa以下である。分散相材料の降伏強度に対するその引張強度は、降伏強度の約150%であることが好ましい。これらの値は、ASTM 882−97を使用して測定される。
【0067】
高分子組成物の用途
高分子組成物を様々な用途に使用することができる。例えば、高分子組成物をシート(sheeting)製品(例えば、装飾、反射、およびグラフィカル製品)、ラベルストック、テープバッキング、および他のポリマー、または非ポリマー基材に塗布し、例えば、装飾テープおよびディスプレイ用途の光学フィルムを形成することができる。高分子組成物は信号、広告、および照明などの光抽出用途にも使用できる。光抽出用途の例には、高分子組成物を、典型的には基材バッキングと共に、発光ダイオード(LED)、有機発光デバイス(OLED)、ルミネセンスフィルム、または蛍光フィルム上に配置することなどが挙げられる。ディスプレイに関して、透明基材上に配置される高分子組成物を、例えば、投影ディスプレイと共にディスプレイフィルムとして使用し、一方向(例えば、垂直方向)での狭い視野角と別の方向(例えば、水平方向)での広い視野角を実現することができる。
【0068】
基材は、所望の用途に応じて、任意の好適な種類の材料とすることができる。例えば、基材には、ポリプロピレン(例えば、二軸配向ポリプロピレン(BOPP))、ポリエチレン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、他のポリマーおよびプラスチック基材、または剥離ライナー(例えば、シリコーン化ライナー)などを挙げることができる。幾つかの実施形態、特に高分子組成物を含有する物品が除去可能であるように設計される実施形態では、接着剤組成物および基材を含む物品が延伸除去可能となるように、基材は延伸可能である。基材は、必然的ではないが、典型的には、透明、または半透明であり、特に散乱光が分散相材料によって散乱する前、または散乱した後に、基材中を進行する場合、透明、または半透明である。必要に応じて、着色した基材も使用することができる。高分子組成物の反対側の基材表面、または、高分子組成物自体の表面をエンボス加工、微細構造化、またはその他の方法で変化させ、所望のテクスチャを付与することができるが、これにより、物品の光学的特性も変化させることができる。例えば、変化した表面は、光の散漫散乱を増加させることができる。
【0069】
一例として、本発明の高分子組成物を利用して、テープまたは他の接着フィルムを形成することができる。テープを形成するため、高分子組成物は好適な基材の少なくとも一部に塗工される。必要に応じて、剥離ライナー(例えば、低接着バッキング)を高分子組成物の基材とは反対側に貼付することができる。両面塗工テープが形成される場合、高分子組成物は、例えば、基材の両面の少なくとも一部に同時押し出しする、または積層することによって塗工される。更に、高分子組成物を少なくとも1枚の剥離ライナー上に塗工し、転写テープまたはフィルムを形成することができる。
【0070】
高分子組成物の別の用途は、図2および3に表されるように、光を閉じ込める媒体から光を結合させることを助ける。光を閉じ込める媒体200、および300は、例えば、フィルム(例えば、ルミネセンス、または蛍光フィルム)、デバイス(例えば、LED,またはOLED)、または光ファイバー、プレート、若しくは他の光伝搬構造体とすることができる。全内部反射により、これらの光を閉じ込める媒体内に光を捕捉することができる。これは、光を閉じ込める媒体内の光310(図3)が、光を閉じ込める媒体と空気などの別の媒体との間の界面312(図3)で反射される時に起きる。
【0071】
幾つかの場合、全内部反射が望ましく、光ファイバーまたは光学プレートなどの光導波路を進行する光では、特に望ましい。光ファイバーまたは光学プレートは、任意の形状または幾何学形態を有することができ、例えば、ガラスまたはプラスチックなどの任意の適切な材料から作製することができる。光ファイバーまたは光学プレートのある部分から選択的に光を抽出するか、または全光導波路から光を抽出することが望ましい場合がある。例えば、光導波路は、文字、記号、または画像の形態の形状にすることができ、光伝搬媒体の長さの複数の部分に沿って光を抽出し、電飾を施された1つの文字、複数の文字、単語、他の文、1つまたは複数の記号、画像、または他の任意の形状を作り出すことが望ましい場合がある。例えば、抽出される光を使用して、信号、または広告を形成するか、または照明を提供することができる。更に、例えば、有色光源を使用して、または、染料若しくは顔料を高分子組成物に付与することにより、抽出される光を着色することができる。
【0072】
屈折率が周囲の媒体より大きい光ファイバーまたは光学プレートなどの光導波路は、全内部反射に基づいて効率的に光を伝送することができる。光導波路の内側に制約される光は、別々のモードで見い出される。モードの数は、光導波路と周囲との指数の差、および光導波路の厚さまたは直径に依存する。多モードでは、光は大きい方の錐角に沿って光導波路を伝達され得る。各モードは、光導波路中の異なる空間的位置を有する。高次モードの方が、典型的には、光導波路の境界における入射角度が大きい。高い屈折率差と大きい光導波路を使用することにより、より効率的な光結合および伝送が得られる。最も効率的な光の抽出では、光導波路の内側に制約される光は、高次モードにあることが好ましく、高次モードでは、より多くの光が光導波路の境界付近に分布する。これは、より多くの光を、光導波路の高次モードに意図的に結合させるか、または光導波路を曲げて光を高次モードに再分布させることにより起こり得る。
【0073】
幾つかの場合、全内部反射は問題となる。例えば、光の重要な部分が全内部反射により、LED、OLED、ルミネセンスフィルム、蛍光フィルム、または他の発光フィルムまたはデバイスの内側に捕捉される可能性がある。デバイスまたはフィルムの端部から光が損失する。
【0074】
高分子組成物および任意に好適な基材を使用して作製されるフィルムを使用して、これらのデバイスおよびフィルムから光を抽出することができる。高分子組成物を含有するフィルム202、302は、光が抽出されるデバイスまたはフィルムの部分に位置している。典型的には、高分子組成物は、デバイスまたはフィルムの屈折率に近い屈折率を有するように選択される。典型的には、高分子組成物の接着材料と、デバイスまたはフィルムの屈折率の差は、0.15以下であり、0.1または0.05以下とすることができる。屈折率が近いため、光314(図3)を高分子組成物に結合させることができる。一般に、接着材料と、デバイスまたはフィルムの屈折率が近いほど、より多くの光を抽出することができる。
【0075】
デバイスまたはフィルムから高分子組成物に入る光は、光が散乱し、光の少なくとも一部が散乱してフィルムから出るように、分散相材料316と相互作用する。更に、分散相材料の細長構造体の配列(図2の矢印216および図3の分散相材料306の配向により表される)のため、光208、308は、前述のように選択的な方向で非等方的に抽出される。図2および3に表されるように、高分子組成物は、例えば、光ファイバーの全部分の周囲など、表面の全部分に、または、表面の制限された部分のみに配置され得る。高分子組成物の配置および分散相材料の細長構造体の配向が、典型的には、どこで、どれくらいの量の光が抽出されるかを決定する。幾つかの実施形態では、高分子組成物が配置されている点でフィルムまたはデバイスから放射される光は、高分子組成物無しで放射される光の少なくとも2倍、3倍、または4倍とすることができる。
【0076】
光が光導波路に沿った方向に進行する場合、進行方向に対する、細長構造体の配向は、散乱の量に影響を与える。細長構造体の主軸が光の進行方向と垂直に配向する場合、得られる散乱の量が最も多い。更に、高分子組成物を含有するフィルムに入射する光は、フィルム表面の垂線に対してある角度を有するため、散乱光分布は、また、フィルム表面の垂線に対して対称的に分布しない。むしろ、散乱光は、典型的には、結合端面とは別の端面の方へ分布する。通常、光源から導波管へ結合される光は、一端を形成する。この端面を、「結合端面」と呼ぶことができる。全反射では、境界に入射する光は、臨界角度より大きい入射角を有していなければならない。接着フィルムが導波管に貼付される場合、フィルムに入射する光は、入射角が大きい(表面の垂線から離れる)。拡散光は、入射光の軸の周りに集中する。従って、拡散光の分布は、表面の垂線の周囲に集中せず、むしろ、導波管の他端(結合端面の反対側)に傾いている、入射光の軸方向に集中する。反射鏡を他端に設置し、光を幾らか反射させて戻すことにより、散乱光の分布は、表面の垂線方向に対して、より対称的になる。
【0077】
幾つかの実施形態では、デバイスまたはフィルムは、電極、または、金属(例えば、銀、またはアルミニウム)などの反射材料から作製される他の要素を含む。また、デバイスまたはフィルムに高分子組成物を配置すると、反射材料からの鏡面反射の少なくとも一部を減少させるか、または拡散させることができる。
【0078】
幾つかの実施形態では、細長構造体の配向が異なるドメインを有する、テープ、フィルム、または他の物品を形成することができる。このようなフィルムは、例えば、基材上に様々な方向に高分子組成物を分配することにより、または所望の配向状態にある細長構造体を有する、予備形成された高分子組成物を付着させる(例えば、転写テープを使用して高分子組成物を転写する)ことにより形成することができる。様々なドメインは、同じまたは異なる、分散相材料、分散相材料含有量、厚さ、配向の程度、ならびに、細長構造体の形状および寸法を含むことができる。このような実施形態を装飾的な目的のために、画像、記号、文字、または単語を形成するために、および他の用途に使用することができる。
【0079】
更に、2種類以上のフィルムを使用して光の散乱を制御または向上させることができる。例えば、細長構造体が様々な方向に配列した表面に2種類以上のフィルムを貼付し、選択的なまたは予め決定された様々な方向に光を散乱させることができる。
【0080】
高分子組成物は、典型的にはフィルムの形態であり、他の様々な光学成分と共に使用することができる。このような成分の例には、他の光学フィルム、レンチキュラー拡散板、対称またはバルク型拡散板、ミラー、カラーフィルムまたはフィルター、およびビームスプリッターなどが挙げられる。
【0081】
高分子組成物は、典型的にはフィルムの形態であり、前方または後方の投影モニターに使用されるものなどの、前方または後方の投影スクリーン、テレビ、および他のデバイスと共に使用することができる。フィルムは典型的には、スクリーン上に配置され、水平若しくは垂直視野角、またはその両方を調整するのに使用される。フィルムを吸収偏光板と共に使用して(例えば、吸収偏光板に積層して)環境光バックグランドを低減し、後方投影スクリーンの対照比を増加させることもできる。このような形態を液晶ディスプレイの背面光または正面光電飾に使用することもできる。フィルムをミラーと共に使用して(ミラーに積層して)、正面投影スクリーンと共に使用することができる。
【0082】
別の例として、幾つかの照明用途では、例えば、安全または維持管理のため、少数の光源が望ましい。この場合、1つの光源からの光をコアの大きい光ファイバーに結合させ、複数の場所に送達することができる。電飾が必要な場所を除いて、光ファイバーに沿った効率的な伝送が望ましい。前述のフィルムをこの目的に使用することができる。フィルムが貼付される場所だけは、光ファイバー外で結合される。光は、接着フィルムが貼付されない繊維の部分に沿って効率的に送達される。
【0083】
本明細書に記載される物品を液晶ディスプレイに使用することもできる。例えば、物品は、液晶ディスプレイの拡散素子として特に有用となる可能性がある。
【実施例】
【0084】
以下の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、それらは本発明を限定するものではない。これらの実施例は、説明を目的とするだけに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定することを意味しない。本明細書の実施例および残りの部分における部、パーセンテージ、比などは、別途明記されない限り、全て重量を基準にしている。実施例に記載される接着剤のUV硬化は、全て、UVに面する接着剤側で起きた。以下の実施例では、感圧接着剤は「PSA」と省略される。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
【表3】

【0088】
試験方法
引張試験
引張試験は、ASTM試験方法D882−97「薄いプラスチックシーティングの引張特性の標準試験方法」に従い、インストロン(INS(登録商標)TRON)材料試験機(マサチューセッツ州カントンのインストロン(Instron,Canton,MA)から市販)を使用し、30センチメートル/分(12インチ/分)のクロスヘッドスピードで実行した。この試験を使用して、「降伏強度」、「引張強度」、「破壊時の伸び率」の値を得た。
【0089】
180°引き剥がし粘着力
この引き剥がし粘着力試験は、ASTM D3330−90に記載の試験方法と同様であり、該試験に記載されるステンレス鋼基材の替わりにガラス、高密度ポリエチレン、またはポリプロピレン基材を使用する。使用される基材は、各特定の例で記載される。
【0090】
一定の温度(21℃)および湿度(相対湿度50%)で少なくとも24時間平衡状態にした接着剤塗工ストリップを、基材パネルに接着させた。基材パネルは、溶剤で洗浄したガラス、ポリプロピレン(PP)または高密度ポリエチレン(HDPE)のいずれかであり、ストリップの上に2キログラムのローラーを一回通過させた。接合したアセンブリを室温で一分間、放置した。次いで、IMASS滑り/引き剥がし試験機(モデル3M90、オハイオ州ストロングビルのインスツルメンターズ社(Instrumentors Inc.,Strongville, OH)から市販)を使用し、30センチメートル/分(12インチ/分)のクロスヘッドスピードで、アセンブリの機械方向の180°引き剥がし粘着力を試験した。
【0091】
延伸剥離試験方法
一定の温度(21℃)および湿度(相対湿度50%)で少なくとも24時間平衡状態にした接着剤塗工ストリップを、ストリップの上に2キログラムのローラーを一回通過させて、ポリプロピレン(PP)基材パネルに接着させた。接合したアセンブリを室温で一分間、放置した。次いで、IMASS滑り/引き剥がし試験機(モデル3M90、オハイオ州ストロングビルのインスツルメンターズ社(Instrumentors Inc.,Strongville, OH)から市販)を使用し、30センチメートル/分(12インチ/分)のクロスヘッドスピードで、15〜35°の間の角度で「手で」、または「機械で」引張ることにより、アセンブリの延伸剥離を試験した。手によるサンプルでは、脱離する前にサンプルが破壊した場合(即ち、サンプルが延伸剥離しなかった場合)、「破壊」と、または、サンプルが延伸剥離特性を示した場合、「有り」とデータを報告した。機械試験サンプルでは、サンプルが破壊した場合(即ち、サンプルが延伸剥離しなかった場合)、「破壊」とデータを報告し、または、サンプルが延伸剥離特性を示した場合、最大延伸剥離力をニュートン/デシメートルで報告している。
【0092】
プローブタック試験
ASTM D 2979−95に記載の試験方法に従い、TA−XY2テクスチャ試験機(英国、サリーのステイブルマイクロシステムズ(Stable Microsystems,Surrey,U.K.)から市販)を使用して、プローブタック測定を行った。
【0093】
溶剤抽出試験
接着剤組成物の分散相材料の連続性を決定するため、感圧接着剤マトリックスを溶解し、分散相材料を後に残した。接着剤組成物フィルムのストリップ(およそ、長さ7.5センチメートル×幅2.5センチメートル)をフィルムから機械方向に切り取った。オープンレームの端部でフィルムを輪にして、ストリップをオープンフレームに吊り下げた。フレームおよび接着剤ストリップを、感圧接着剤は溶解するが分散相材料は溶解しない溶剤中に浸漬した。24時間後、サンプルをチェックし、感圧接着剤が完全に溶解したか、および分散相材料はフレーム上に残っているかを決定した。繊維が少なくとも5〜8センチメートル連続していなかった場合は、フレーム上に何も残らなかった。繊維がフレーム上に残っていた場合は、サンプルを「合格」と、繊維がフレーム上に残っていなかった場合は、サンプルを「不合格」と評価した。
【0094】
分散相材料の引張特性
各分散相材料を102マイクロメートルの厚さにホットプレス成形することにより、分散相材料のフィルムを調製した。前述の引張試験方法を使用してフィルムを試験した。結果を表1に示す。更に、材料は弾性(変形時にはね返る)または可塑性(永久変形する)と特徴付けられる。
【0095】
【表4】

【0096】
比較例C1
感圧接着剤PSA−1のサンプルを調製し、ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、75rpmであり、延伸比は4であった。得られたPSAフィルムの厚さは、127マイクロメートルであった。PSAフィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表2に示す。PSAフィルムの一部をPETバッキングに積層し、PSAテープを作製した。得られたテープをフュージョン(Fusion)H−バルブランプ(メリーランド州ゲイサーズバークのフュージョントータルウルトラバイオレットシステムズ社(Fusion total ultraviolet Systems,Inc.,Gaithersburg,MD)から市販)の下を、全紫外線線量300ミリジュール/cm2に対して15メートル/分のクロスヘッドスピードで通過させた。テープのガラスからの180°引き剥がし粘着力を試験した。結果を表3に表す。
【0097】
比較例C2
PSA−1を90部と、ENGAGE8200を10部と、ベンゾフェノン0.2部との混合物を140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、調製した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、75rpmであり、延伸比は4であった。得られたPSAフィルムの厚さは、127マイクロメートルであった。フィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表2に示す。PSAフィルムの一部をPETバッキングに積層し、PSAテープを作製した。得られたテープをフュージョン(Fusion)H−バルブランプ(メリーランド州ゲイサーズバークのフュージョントータルウルトラバイオレットシステムズ社(Fusion total ultraviolet Systems,Inc.,Gaithersburg,MD)から市販)の下を、全紫外線線量300ミリジュール/cm2に対して15メートル/分のクロスヘッドスピードで通過させた。テープのガラスからの180°引き剥がし粘着力を試験した。結果を表3に表す。
【0098】
比較例C3
PSA−1を90部と、LDPEを10部と、ベンゾフェノン0.2部との混合物を140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、調製した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、75rpmであり、延伸比は4であった。得られたPSAフィルムの厚さは、127マイクロメートルであった。フィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表2に示す。フィルムの一部をPETバッキングに積層し、PSAテープを作製した。得られたテープをフュージョン(Fusion)H−バルブランプ(メリーランド州ゲイサーズバークのフュージョントータルウルトラバイオレットシステムズ社(Fusion total ultraviolet Systems,Inc.,Gaithersburg,MD)から市販)の下を、全紫外線線量300ミリジュール/cm2に対して15メートル/分のクロスヘッドスピードで通過させた。テープのガラスからの180°引き剥がし粘着力を試験した。結果を表3に表す。
【0099】
実施例1
PSA−1を90部と、ENGAGE8490を10部と、ベンゾフェノン0.2部との混合物を140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、75rpmであり、延伸比は4であった。得られたフィルムの厚さは、127マイクロメートルであった。フィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表2に示す。フィルムの一部をPETバッキングに積層し、テープを作製した。得られたテープをフュージョン(Fusion)H−バルブランプの下を、紫外線線量300ミリジュール/cm2に対して15メートル/分のクロスヘッドスピードで通過させた。テープのガラスからの180°引き剥がし粘着力を試験した。結果を表3に表す。
【0100】
実施例2
PSA−1を90部と、ATTANE4202を10部と、ベンゾフェノン0.2部との混合物を140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、75rpmであり、延伸比は4であった。得られたフィルムの厚さは、127マイクロメートルであった。フィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表2に示す。フィルムの一部をPETバッキングに積層し、テープを作製した。得られたテープをフュージョン(Fusion)H−バルブランプ(メリーランド州ゲイサーズバークのフュージョントータルウルトラバイオレットシステムズ社(Fusion total ultraviolet Systems,Inc.,Gaithersburg,MD)から市販)の下を、紫外線線量300ミリジュール/cm2に対して15メートル/分のクロスヘッドスピードで通過させた。テープのガラスからの180°引き剥がし粘着力を試験した。結果を表3に表す。
【0101】
【表5】

【0102】
【表6】

【0103】
比較例C4
PSA−1のサンプルを、ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、75rpmであり、延伸比は4であった。得られたPSAフィルムは、厚さが127マイクロメートルであり、PETバッキングに積層され、テープが作製された。得られたテープをフュージョン(Fusion)H−バルブランプ(メリーランド州ゲイサーズバークのフュージョントータルウルトラバイオレットシステムズ社(Fusion total ultraviolet Systems,Inc.,Gaithersburg,MD)から市販)の下を、紫外線線量300ミリジュール/cm2に対して15メートル/分のクロスヘッドスピードで通過させた。テープの機械方向およびウェブ横方向でのガラスからの180°引き剥がし粘着力を試験した。結果を表4に表す。
【0104】
実施例3
PSA−1を90部と、ATTANE4202を10部との混合物を140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、75rpmであり、延伸比は4であった。得られたフィルムは、厚さが127マイクロメートルであり、PETバッキングに積層され、テープが作製された。得られたテープをフュージョン(Fusion)H−バルブランプ(メリーランド州ゲイサーズバークのフュージョントータルウルトラバイオレットシステムズ社(Fusion total ultraviolet Systems,Inc.,Gaithersburg,MD)から市販)の下を、紫外線線量300ミリジュール/cm2に対して15メートル/分のクロスヘッドスピードで通過させた。テープの機械方向およびウェブ横方向でのガラスからの180°引き剥がし粘着力を試験した。結果を表4に表す。
【0105】
【表7】

【0106】
比較例C5
PSA−1のサンプルを、ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、50rpmであり、延伸比は8であった。得られたPSAフィルムは、厚さが51マイクロメートルであり、PETバッキングに積層され、テープが作製された。得られたテープをフュージョン(Fusion)H−バルブランプ(メリーランド州ゲイサーズバークのフュージョントータルウルトラバイオレットシステムズ社(Fusion total ultraviolet Systems,Inc.,Gaithersburg,MD)から市販)の下を、紫外線線量300ミリジュール/cm2に対して15メートル/分のクロスヘッドスピードで通過させた。テープの機械方向およびウェブ横方向でのガラスからの180°引き剥がし粘着力を試験した。結果を表5に表す。
【0107】
比較例C6
PSA−1を90部と、LDPEを10部との混合物を140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、50rpmであり、延伸比は8であった。得られたフィルムは、厚さが51マイクロメートルであり、PETバッキングに積層され、テープが作製された。テープの機械方向およびウェブ横方向でのガラスからの180°引き剥がし粘着力を試験した。結果を表5に表す。
【0108】
実施例4
PSA−1を90部と、ATTANE4202を10部との混合物を140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、50rpmであり、延伸比は8であった。得られたフィルムは、厚さが51マイクロメートルであり、PETバッキングに積層され、PSAテープが作製された。得られたテープをフュージョン(Fusion)H−バルブランプ(メリーランド州ゲイサーズバークのフュージョントータルウルトラバイオレットシステムズ社(Fusion total ultraviolet Systems,Inc.,Gaithersburg,MD)から市販)の下を、紫外線線量300ミリジュール/cm2に対して15メートル/分のクロスヘッドスピードで通過させた。テープの機械方向およびウェブ横方向でのガラスからの180°引き剥がし粘着力を試験した。結果を表5に表す。
【0109】
【表8】

【0110】
比較例C7
PSA−2のサンプルを、ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、75rpmであり、延伸比は4であった。得られたフィルムは、厚さが51マイクロメートルであり、PETバッキングに積層され、テープが作製された。様々な基材上でのテープの180°引き剥がし粘着力を試験した。結果を表6に表す。
【0111】
実施例5
PSA−2を90部と、ATTANE4202を10部との混合物を140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、75rpmであり、延伸比は4であった。得られたPSAフィルムは、厚さが127マイクロメートルであり、PETバッキングに積層され、テープが作製された。様々な基材上でのテープの180°引き剥がし粘着力を試験した。結果を表6に表す。
【0112】
【表9】

【0113】
比較例C8
感圧接着剤PSA−3のサンプルを得られた状態で使用し、ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、75rpmであり、延伸比は4であった。得られたPSAフィルムは、厚さが127マイクロメートルであり、PETバッキングに積層され、PSAテープが作製された。様々な基材上でのテープの180°引き剥がし粘着力を試験した。結果を表7に表す。
【0114】
実施例6
PSA−3を90部と、ATTANE4202を10部との混合物を140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、75rpmであり、延伸比は4であった。得られたフィルムは、厚さが127マイクロメートルであり、PETバッキングに積層され、テープが作製された。様々な基材上でのテープの180°引き剥がし粘着力を試験した。結果を表7に表す。
【0115】
【表10】

【0116】
比較例C9
PSA−4のサンプルを、ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、50rpmであり、延伸比は8であった。PSAフィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表8に示す。
【0117】
比較例C10
PSA−4を85部と、PSを15部との混合物を140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、50rpmであり、延伸比は8であった。フィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表8に示す。
【0118】
比較例C11
PSA−4を85部と、HDPEを15部との混合物を140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、50rpmであり、延伸比は8であった。PSAフィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表8に示す。
【0119】
実施例7
PSA−4を85部と、ATTANE4202を15部との混合物を140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、50rpmであり、延伸比は8であった。PSAフィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表8に示す。
【0120】
実施例8
PSA−4を85部と、PEBHを15部との混合物を140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、50rpmであり、延伸比は8であった。フィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表8に示す。
【0121】
【表11】

【0122】
実施例9〜13
表9に示される濃度のATTANE4202を有するPSA−5を使用して、実施例9〜13の混合物を調製し、140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。押出機のスクリュー回転数は、75rpmであり、延伸比は4であった。フィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表9に示す。
【0123】
【表12】

【0124】
実施例14〜16および比較例C12〜14
表10に示されるポリマーを15質量%有するPSA−4を使用して、実施例14〜16および比較例C12〜14の混合物を調製し、140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工し、51マイクロメートルの厚さにした。押出機のスクリュー回転数は、50rpmであり、延伸比は8であった。フィルムの延伸剥離特性は、前記の延伸剥離試験方法に記載されるように決定された。結果を表10に示す。
【0125】
【表13】

【0126】
実施例17〜22および比較例C15
表11に示される濃度のATTANE4202を有するPSA−4を使用して、実施例17〜22および比較例C15の混合物を調製し、140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工し、51マイクロメートルの厚さにした。押出機のスクリュー回転数は、50rpmであり、延伸比は8であった。フィルムの延伸剥離特性は、前記の延伸剥離試験方法に記載されるように決定された。結果を表11に示す。
【0127】
【表14】

【0128】
実施例23〜25および比較例C16
表12に示される濃度のATTANE4202を有するPSA−6を使用して、実施例23〜25および比較例C16の混合物を調製し、140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工し、51マイクロメートルの厚さにした。押出機のスクリュー回転数は、50rpmであり、延伸比は8であった。フィルムの延伸剥離特性は、前記の延伸剥離試験方法に記載されるように決定された。結果を表12に示す。
【0129】
【表15】

【0130】
実施例26〜27および比較例C17
表13に示される濃度のATTANE4202を有するPSA−7を使用して、実施例26〜27および比較例C17の混合物を調製し、140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工し、127マイクロメートルの厚さにした。押出機のスクリュー回転数は、75rpmであり、延伸比は4であった。フィルムの延伸剥離特性は、前記の延伸剥離試験方法に記載されるように決定された。結果を表13に示す。
【0131】
【表16】

【0132】
実施例28〜30および比較例C18
表14に示される濃度のATTANE4202を有するPSA−6を使用して、実施例28〜30および比較例C18の混合物を調製し、140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工し、51マイクロメートルの厚さにした。押出機のスクリュー回転数は、50rpmであり、延伸比は8であった。フィルムのプローブタック特性は、前記のプローブタック試験方法に記載されるように決定された。結果を表14に示す。
【0133】
【表17】

【0134】
実施例31〜32および比較例C19
表15に示される濃度のATTANE4202を有するPSA−7を使用して、実施例31〜32および比較例C19の混合物を調製し、140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工し、51または127マイクロメートルの厚さにした。フィルムのプローブタック特性は、前記のプローブタック試験方法に記載されるように決定された。結果を表15に示す。
【0135】
【表18】

【0136】
実施例33〜37および比較例C20
表16に示される濃度のATTANE4202を有するPSA−4を使用して、実施例33〜37および比較例C20の混合物を調製し、140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工し、51または127マイクロメートルの厚さにした。フィルムのプローブタック特性は、前記のプローブタック試験方法に記載されるように決定された。結果を表16に示す。
【0137】
【表19】

【0138】
比較例C21〜C22
表17に示されるELVAX240の濃度で、ELVAX240を有するPSA−8の混合物を調製し、米国特許第6,063,838号(パトノード(Patnode)ら)、実施例1〜17に記載のように、ホットメルト塗工した。フィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表17に示す。
【0139】
【表20】

【0140】
比較例C23〜C24
表18に示されるELVAX210の濃度で、ELVAX210を有するPSA−8の混合物を調製し、米国特許第6,063,838号(パトノード(Patnode)ら)、実施例1〜17に記載のように、ホットメルト塗工した。フィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表18に示す。
【0141】
【表21】

【0142】
比較例C25〜C26
表19に示されるELVAX240の濃度で、ELVAX240を有するPSA−9の混合物を調製し、米国特許第6,063,838号(パトノード(Patnode)ら)、実施例43〜44に記載のように、ホットメルト塗工した。フィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表19に示す。
【0143】
【表22】

【0144】
比較例C27〜C28
表20に示されるELVAX210の濃度で、ELVAX210を有するPSA−9の混合物を調製し、米国特許第6,063,838号(パトノード(Patnode)ら)、実施例43〜44に記載のように、ホットメルト塗工した。フィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表20に示す。
【0145】
【表23】

【0146】
比較例C29〜C30
表21に示されるELVAX450の濃度で、ELVAX450を有するPSA−8の混合物を調製し、米国特許第6,063,838号(パトノード(Patnode)ら)、実施例1〜17に記載のように、ホットメルト塗工した。フィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表21に示す。
【0147】
【表24】

【0148】
比較例C31〜C32
表22に示されるELVAX660の濃度で、ELVAX660を有するPSA−8の混合物を調製し、米国特許第6,063,838号(パトノード(Patnode)ら)、実施例1〜17に記載のように、ホットメルト塗工した。フィルムの引張特性は、前記の引張試験方法に記載されるように決定された。結果を表22に示す。
【0149】
【表25】

【0150】
実施例38〜41
表23に示される濃度のATTANE4202を有するPSA−5を使用して、実施例38〜41の混合物を調製し、140℃〜150℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で8〜10分間、混合した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、得られた混合物を2枚の剥離ライナー間に150℃でホットメルト塗工した。フィルムの溶媒抽出特性は、前記の溶媒抽出試験方法に記載されるように決定された。結果を表23に示す。
【0151】
【表26】

【0152】
実施例42
押出機のスクリュー回転数が100rpmであり、延伸比が4であったこと以外、実施例に記載のように実施例10のフィルムを形成した。PSA材料を酢酸エチルで洗い流し、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して、分散相繊維の直径を測定した。繊維は微細であり、直径が0.2〜0.3マイクロメートルであった。延伸比を変化させることにより、繊維の直径を制御することができ、60ナノメートル〜3マイクロメートルの値が得られる。
【0153】
実施例43
厚さが約127マイクロメートル、押出機のスクリュー回転数が100rpm、延伸比が4であったこと以外、実施例に記載のように実施例20のフィルムを形成した。分散相材料の細長構造体の直径は、約0.5マイクロメートルであった。繊維が垂直方向に配列した状態で、フィルムをガラススライドに貼付した。広帯域の白色光源からの平行な光がフィルムに向けられた。フィルムから拡散された光は、拡散ガラスウィンドウ上で視覚化される。ガラスウィンドウ上の拡散光スポットを手持ち式のデジタルカメラで捕えた。画像を分析し、光の水平分散が垂直分散より十分に大きい(少なくとも10倍)かを決定した。
【0154】
このフィルムの一片をガラススライドに貼付し、加熱ステージに設置した。広帯域の白色光源からの平行な光がフィルムに入射した。デジタルカメラを使用して拡散光スポットを監視した。加熱ステージの温度を室温から150℃まで変化させた。加熱ステージは、25℃〜100℃まで、毎分10℃の速度で加熱され、100℃で2分間休止し、次いで150℃まで、毎分2℃の速度で加熱され、10℃上昇するごとに2分間休止した。熱が増大するにつれ、拡散光スポットは、非対照的になることが観察された。熱が繊維の破壊を引き起こし、球状の粒子になると考えられる。
【0155】
実施例44
接着材料としてPSA−4を、および分散相材料としてATTANE4202を使用し、4種類のフィルムを形成した。フィルムAは、分散相材料を40重量%有し、厚さは約125マイクロメートルであった。押出機のスクリュー回転数は、100rpmであり、延伸比は4であった。フィルムBは、分散相材料を20質量%有し、厚さは約125マイクロメートルであった。押出機のスクリュー回転数は、100rpmであり、延伸比は4であった。フィルムCは、分散相材料を20重量%有し、厚さは約250マイクロメートルであった。押出機のスクリュー回転数は、100rpmであり、延伸比は2であった。フィルムDは、分散相材料を全く含まなかった。押出機のスクリュー回転数は、100rpmであり、延伸比は4であった。
【0156】
接着材料と分散相材料を150℃〜160℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で10〜15分間、混合することにより、これらの各フィルムのブレンド物を調製した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、150℃、スクリュー回転数100rpm、および延伸比2で、2枚の剥離ライナー(50マイクロメートルシリコンポリエステルライナー、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company,St.Paul,MN)製、およびペーパーライナー(paper line))間に得られた混合物をホットメルト塗工した。
【0157】
各フィルムをルミネセントフィルムの一部に配置し、ルミネセントフィルムから光を抽出した。ルミネセントフィルムは、青色光を吸収して緑色の蛍光を放射する蛍光染料を含有した。ルミネセントフィルムが内部反射により光を捕捉したため、フィルムの端部は明るい光を放射した。タングステン光源(モデル576、シュタールリサーチラボラトリーズ(Stahl Reserch Laboratories))を使用し、ルミネセントフィルムを照射した。バンド幅20nmで、450nmを中心にしたバンドパスフィルターを使用し、ルミネセントフィルムへの入射光から青色光(約450nm)以外、全てをろ波した。顕微鏡(ライツ透過型顕微鏡(Leitz Transmission Microscope))を使用し、4×/0.06(NA)の対物レンズを使用して緑色蛍光を集光した。顕微鏡の上部に分光器(ライツ(Leitz)MPV−Sp)を設置し、蛍光を記録した。各フィルム、ならびにルミネセントフィルム単独(「フィルム無し」と称される)に対して、抽出された光の量を決定した。結果を図6に表す。一番上から一番下までの線は、フィルムC、フィルムB、フィルムA、フィルム無し、およびフィルムDに対応する。
【0158】
実施例45
接着材料としてPSA−4を、および分散相材料としてATTANE4202を使用し、フィルムを形成した。フィルムは、分散相材料を20重量%有し、厚さは約250マイクロメートルであった。接着材料と分散相材料を150℃〜160℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で10〜15分間、混合することにより、フィルムを調製した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、150℃,スクリュー回転数100rpm、および延伸比2で、2枚の剥離ライナー(50マイクロメートルシリコンポリエステルライナー、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company,St.Paul,MN)製、およびペーパーライナー)間に得られた混合物をホットメルト塗工した。
【0159】
光ファイバー光源(ファイバー束を有するフォステック(Fostec)DDL、ニューヨーク州オーバーン(Auburn,NY))の後に偏光板を設置した。直線偏光した光は、次いで、フィルムに入射する。ファイバー光源、偏光板、およびフィルムホルダを回転式ステージに設置した。フィルムからの拡散光は、光検出器(ミノルタ輝度計(Minolta Luminance Meter)LS−100)の前に設置された分析器(型番03FPG003、カリフォルニア州アーヴィンのメレスグリオ(Melles Griot,Irvine,CA))を通過するが、光検出器は、小さい光錐(<2°)だけが検出器で検出されるような距離で設置された。分析器と偏光板を平行な位置および垂直な位置にして、それぞれの角度における消光比を光の強度の比として測定した。検出器および分析器に対して回転ステージを回転させることにより、様々な拡散角度が観察された。これらの測定の結果を図7にプロットする。50°の拡散角で、消光比はまだ100より大きい。これは、大きい散乱角ではそれぞれ、散乱光の偏光が比較的小さいことを示す。
【0160】
実施例46
接着材料としてPSA−4を、および分散相材料としてATTANE4202を使用し、フィルムを形成した。フィルムは、分散相材料を20重量%有し、厚さは約250マイクロメートルであった。接着材料と分散相材料を150℃〜160℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で10〜15分間、混合することにより、フィルムを調製した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、150℃、スクリュー回転数100rpm、および延伸比2で、2枚の剥離ライナー(50マイクロメートルシリコンポリエステルライナー、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company,St.Paul,MN)製、およびペーパーライナー)間に得られた混合物をホットメルト塗工した。
【0161】
引用により本明細書に援用される米国特許第6,163,402号に記載のように、ゲインカーブを決定した。水平方向(分散相材料の細長構造体の配向に垂直)および垂直方向(分散相材料の細長構造体の配向に平行)でのゲインカーブを測定した。ゲインは、ランバート拡散面と比較して標準化された、平行な入射光に対する視野角の関数としての輝度の尺度である。水平方向および垂直方向に対する結果を、図8に記載する。フィルムのピークゲインは、24.2であり、水平視野角(ピークゲインの半分の時に測定)は12度、垂直視野角は3度であった。400〜700nmでのこのフィルムの平均透過率は、86.5%であった。
【0162】
実施例47
接着材料としてPSA−4、および分散相材料としてATTANE4202を使用し、フィルムを形成した。フィルムは、分散相材料を20質量%有し、厚さは約500マイクロメートルであった。接着材料と分散相材料を150℃〜160℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で10〜15分間、混合することにより、フィルムを調製した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用し、150℃、スクリュー回転数100rpm、および延伸比2で、2枚の剥離ライナー(50マイクロメートルシリコンポリエステルライナー、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company,St.Paul,MN)製、およびペーパーライナー)間に得られた混合物をホットメルト塗工した。
【0163】
引用により本明細書に援用される米国特許第6,163,402号に記載のように、ゲインカーブを決定した。水平方向(分散相材料の細長構造体の配向に垂直)および垂直方向(分散相材料の細長構造体の配向に平行)でのゲインカーブを測定した。ゲインは、ランバート拡散面と比較して標準化された、平行な入射光に対する視野角の関数としての輝度の尺度である。水平方向および垂直方向に対する結果を、図9に記載する。フィルムのピークゲインは、7.9であり、水平視野角(ピークゲインの半分の時に測定)は26度、垂直視野角は5度であった。400〜700nmでのこのフィルムの平均透過率は、73.3%であった。
【0164】
実施例48
接着材料としてPSA−4、および分散相材料としてATTANE4202を使用し、フィルムを形成した。フィルムは、分散相材料を20質量%有し、厚さは約500マイクロメートルであった。接着材料と分散相材料を150℃〜160℃のブラベンダー(BRABENDER)混合機(ニュージャージー州サウスハッケンサック、C.W.ブラベンダーインスツルメンツ(C.W.Brabender Instruments,South Hackensack,NJ)から市販)中で10〜15分間、混合することにより、フィルムを調製した。ドローダイを装備したハーケ(HAAKE)一軸スクリュー押出機(ニュージャージー州パラマスのハーケ社(Haake,Inc.,Paramus,NJ)から市販)を使用して、スクリュー回転数100rpm、延伸比2、150℃で、2枚の剥離ライナー(50マイクロメートルシリコンポリエステルライナー、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company,St.Paul,MN)製、およびペーパーライナー)間に得られた混合物をホットメルト塗工した。このフィルムを可視ミラー(visible mirror)に積層した。このミラーは、引用により本明細書に援用される、米国特許第5,882,774号に記載のものなどの、多層光学フィルムであった。ミラーの平均反射率は、可視領域で99%より大きかった。
【0165】
引用により本明細書に援用される米国特許第6,163,402号に記載のように、ゲインカーブを決定した。水平方向(分散相材料の細長構造体の配向に垂直)および垂直方向(分散相材料の細長構造体の配向に平行)でのゲインカーブを測定した。ゲインは、ランバート拡散面と比較して標準化される、平行な入射光に対する視野角の関数としての輝度の尺度である。水平方向および垂直方向に対する結果を、図10に記載する。400〜700nmでのこのフィルムの平均透過率は、88.2%であった。
【0166】
本発明は、前述の特定の実施例に限定して考慮されるべきではないが、むしろ、添付の特許請求の範囲に明瞭に記載される、本発明の全ての態様を包含するものと理解されるべきである。様々な修正、同等の方法、ならびに本発明が適用可能な数多くの構造体は、当該明細書を検討することにより、本発明に関する分野の当業者に容易に理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着材料と、
前記接着材料内に、複数の細長構造体として配置される分散相材料と、
を含む高分子組成物であって、細長構造体は、それぞれ主軸を有し、前記細長構造体の主軸が、実質的に配列され、前記分散相材料の屈折率が、前記接着材料の屈折率と、少なくとも0.01異なる高分子組成物。
【請求項2】
前記接着材料が光学異方性である、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項3】
前記分散相材料が光学異方性である、請求項2に記載の高分子組成物。
【請求項4】
前記細長構造体が繊維である、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項5】
前記接着材料中に配置される非配向の散乱材料を更に含む、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項6】
前記分散相材料が、細長構造体を独立に形成する、少なくとも2種類の材料を含む、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項7】
前記細長構造体の断面寸法が、0.1〜3μmの範囲である、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項8】
前記接着材料が、少なくとも1種類の天然ゴム、合成ゴム、スチレンブロックコポリマー、ポリビニルエーテル、アクリレート、メタクリレート、ポリオレフィン、またはシリコーンを含む、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項9】
前記分散相材料が、ポリカプロラクトン、アイソタクチックポリブテン、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メチルメタクリレート)、超低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、またはメタロセンポリオレフィンの少なくとも1種類を含む、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項10】
染料または顔料を更に含む、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項11】
前記細長構造体の主軸が、平均で、少なくとも0.5cm延在する、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項12】
基材と、
前記基材上に配置される高分子組成物と、
を含む物品であって、前記高分子組成物が、
接着材料と、
前記接着材料内に、複数の細長構造体として配置される分散相材料と、
を含み、細長構造体は、それぞれ主軸を有し、前記細長構造体の主軸が、実質的に配列され、前記分散相材料の屈折率が、前記接着材料の屈折率と、少なくとも0.01異なる物品。
【請求項13】
前記高分子組成物が光導波路に接着し、前記高分子組成物が光導波路から光を抽出する、光導波路を更に含む、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記基材の反対側の前記高分子組成物の表面に配置される剥離ライナーを更に含む、請求項12に記載の物品。
【請求項15】
前記高分子組成物が複数のドメインを含み、各ドメイン内の前記細長構造体の前記主軸が、実質的に配列されている、請求項12に記載の物品。
【請求項16】
前記高分子組成物が、前記接着材料中に配置される非配向の散乱材料を更に含む、請求項12に記載の物品。
【請求項17】
前記接着剤組成物が、ディスプレイ上に配置される、発光ディスプレイを更に含む、請求項12に記載の物品。
【請求項18】
前記ディスプレイが、第1の方向に第1の視野角を、および第2の方向に第2の視野角を含み、前記第1の方向は前記第2の方向に垂直であり、前記接着剤組成物は、前記第2の視野角より広い第1の視野角を前記ディスプレイに提供する、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
前記接着剤組成物が、投影スクリーン上に配置される、投影スクリーンを更に含む、請求項12に記載の物品。
【請求項20】
前記接着剤組成物が、レンチキュラー拡散板素子上に配置される、レンチキュラー拡散板素子を更に含む、請求項12に記載の物品。
【請求項21】
前記物品が、液晶ディスプレイ中の拡散素子として使用される、液晶ディスプレイを更に含む、請求項12に記載の物品。
【請求項22】
優先的な光散乱方向を有する物品を作製する方法であって、
第1の高分子材料と、前記第1の高分子材料内に分散される第2の高分子材料とを含む、高分子組成物を形成する工程であって、前記第1の高分子材料の屈折率が、前記第2の高分子材料の屈折率と少なくとも0.01異なる工程と、
基材上に前記高分子組成物を分配する工程であって、前記分配の結果、前記第2の高分子材料が、前記第1の高分子材料内に複数の細長構造体を形成し、細長構造体は、それぞれ主軸を有し、前記細長構造体の主軸が実質的に配列されている工程と、
を含む方法。
【請求項23】
前記高分子組成物を分配する工程は、前記第2の高分子材料の剪断粘度が、前記第1の高分子材料の剪断粘度の0.5〜2倍の範囲内となる温度で、前記高分子組成物を基材上に分配する工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
高分子組成物を形成する工程が、前記第1の高分子材料と前記第2の高分子材料とを含む高分子組成物を形成する工程を含み、前記第1の高分子材料が接着材料を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
光を閉じ込めるように構成され、配列される媒体と、
前記媒体の少なくとも一部上に配置される光抽出素子と、
を含む物品であって、
前記光抽出素子が、
前記媒体と接触する接着材料であって、前記接着材料の屈折率が、前記媒体の屈折率と0.3以下異なる接着材料と、
前記接着材料内に、複数の細長構造体として配置される分散相材料であって、細長構造体は、それぞれ主軸を有し、前記細長構造体の主軸が、実質的に配列され、前記分散相材料の屈折率が、前記接着材料の屈折率と、少なくとも0.01異なる分散相材料と、
を含む物品。
【請求項26】
前記媒体が、発光素子を含む、請求項25に記載の物品。
【請求項27】
前記発光素子が、発光ダイオード、有機発光デバイス、ルミネセントフィルム、または蛍光フィルムを含む、請求項26に記載の物品。
【請求項28】
前記媒体が光導波路を含む、請求項25に記載の物品。
【請求項29】
前記光導波路が、光ファイバー、または光学プレートを含む、請求項28に記載の物品。
【請求項30】
前記光抽出フィルムが、前記媒体の1つ以上の部分に選択的に配置される、請求項25に記載の物品。
【請求項31】
前記光抽出フィルムが、前記媒体の1つ以上の部分に選択的に配置され、記号または画像を形成する、請求項25に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−167392(P2009−167392A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−314853(P2008−314853)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【分割の表示】特願2002−558443(P2002−558443)の分割
【原出願日】平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】