説明

高効率及び高輝度を有する積層型有機発光素子

【課題】高効率及び高輝度を有する積層型有機発光素子を提供すること。
【解決手段】外部電源が接続された陽極、外部電源が接続された陰極、これらの陽極と陰極との間に位置して発光層を含む2以上の発光部、及びこれらの発光部の間に位置する内部電極を含む積層型有機発光素子において、前記内部電極は、仕事関数が4.5eV以下である金属、その合金及びその酸化物よりなる群から選ばれる物質よりなる単一層の内部電極であり、前記発光部はそれぞれが発光部に含まれている発光層とこの発光部が接する電極のうち外部電源が接続された陽極方向の電極との間に電子親和度が4eV以上である有機物が含有された有機物層を含むことを特徴とする積層型有機発光素子とこの積層型有機発光素子を含むディスプレイ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は積層型有機発光素子に係り、詳しくは、積層された発光部の間に単一層の内部電極を含む積層型有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子は電気エネルギーを光エネルギーに変える半導体素子である。有機発光素子は、通常、外部の電力を素子に加えるための2本の反対電極(陽極、陰極)と、これら電極の間に位置するものであって、正孔と電子が再結合するときに可視領域波長の光を発光する有機物層と、を含んでなる。この種の有機発光素子に順方向の電界を加えると、陽極と陰極からそれぞれ正孔と電子が有機物層に注入され、前記有機物層において正孔と電子が結合して励起子が形成され、この励起子が底面状態に落下しながら発光が起こる。近年、このような構成を有する有機発光素子において、電極から有機発光層へと正孔と電子を一層効率よく注入及び伝達するために、前記有物層に多層の有機物層構造を使用する技術が適用されている(例えば、下記の非特許文献1参照)。この技術によれば、有機発光素子の駆動電圧が格段に下げられると共に、素子の発光効率が高められる。
一方、現在の有機発光素子から高い輝度を得るために数多くの試みが行われている。その方法の一つが、素子に電界を加えて得られる電流密度を高めることである。しかしながら、通常、高い電流密度は、熱などへの安定性に劣っている有機物層物質及び有機発光素子の薄膜構造に悪影響を及ぼすため、素子の安定性を劣化させると知られている。この理由から、低い電流密度下で高い輝度を得るための各種の方法への研究に力が注がれている。
【0003】
低い電流密度下で高い輝度を得るための方法には、2つの考え方がある。一つは、正孔と電子の再結合による励起子の発生効率および/または励起子が底面状態に落下する間に生じる光子の発生効率が一層高い有機物質を使用する方法である。もう一つは、陽極、陰極、及び陽極と陰極から正孔と電子を注入されて発光可能な発光層を含む発光部よりなる有機発光素子ユニットを2以上シリアル積層する方法である。この明細書においては、このように2以上の有機発光素子ユニットが積層されている構造を有する有機発光素子を‘積層型有機発光素子’と称する。前記発光部は、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などを含む多層の有機物層よりなっても良い。
【0004】
この種の積層型有機発光素子を製造する方法に関する従来の技術としては、下記のようなものが挙げられる。
例えば、下記の特許文献1には、相異なる波長の光が発光可能な個別の有機発光素子ユニットが積層されることにより、所望のカラーの光が得られる積層型有機発光素子が記載されている。この積層型有機発光素子においては、ぞれぞれの有機発光素子ユニットが2本の電極とこれらの電極間に位置する発光層よりなり、それぞれの有機発光素子ユニットがいずれも独立的に発光駆動可能に前記電極のいずれもに外部電源が印加されている。
また、例えば、下記の特許文献2には、同じ波長の光が発光可能な個別の有機発光素子ユニットが積層されることにより、より高輝度の光が得られる積層型有機発光素子が記載されている。この積層型有機発光素子は、構造面からみるときに下記の特許文献1に記載の積層型有機発光素子と類似しているとはいえ、外部電源が全体素子の両端、つまり、外部電極にのみ印加可能になっており、内部電極は外部電源と短絡されているという点で相違点がある。
【0005】
このような積層型有機発光素子においては、積層された有機発光素子ユニットの間に位置する電極、つまり、内部電極を形成するに当たり、主として内部の陽電極としてはインジウム錫酸化物または金(Au)など仕事関数が大きな伝導性の薄膜電極が使われ、内部の陰電極としては、アルミニウム(Al,4.28eV)、銀(Ag,4.26eV)またはカルシウム(Ca,2.87eV)などの金属薄膜電極が使われる。このような積層型有機発光素子においては、有機発光素子ユニットの間に2層の内部電極、つまり、内部の陽電極と内部の陰電極が接触状態にある。図1には、このように有機発光素子ユニットの間に2層の内部電極が接触されている積層型有機発光素子の構造例が示してある。
【0006】
しかしながら、上記の如き構造を有する積層型有機発光素子においては、電子が注入可能な金属薄膜(内部の陰電極)の上にインジウム錫酸化物系の透明な酸化膜電極(内部の陽電極)を形成するに当たり、これらの薄膜間の物理的な接着力が不良なために電極が効率よく形成し得ないという不具合がある。また、内部の陽電極を形成するためにインジウム錫酸化物を用いる場合には、この物質の特性上スパッタ工程を用いる必要があるが、このスパッタ工程を用いる場合には、入射する原子の運動エネルギーが蒸発法を用いる場合(<1eV)に比べて余計に高い(<KeV)という不具合がある。このため、スパッタ工程によってインジウム錫酸化物から内部の陽電極を形成する場合には、既に形成されている有機半導体薄膜に激しいフィジカルダメージを与えることが知られている(例えば、下記の非特許文献2参照)
一方、例えば、下記の特許文献3には、積層された発光部の間に2層の内部電極が接触されておらず、比抵抗が10Ωcm以上である単一不導体薄膜よりなる単一層の内部電極を含む積層型有機発光素子が記載されている。前記単一不導体薄膜は、積層型有機発光素子に電界が加えられると、正孔と電子を同時に生じさせてこららをそれぞれ正孔輸送層と電子輸送層に注入可能な物質よりなっている。しかしながら、この技術は、前記単一不導体薄膜の構成物質が高価であり、しかも、単一不導体薄膜の形成工程が煩雑であるという不具合がある。
【0007】
これらの理由から、この技術分野においては、積層された発光部の間に2層の内部電極を含む場合の不具合が克服できると共に、製造工程が容易に行える積層型有機発光素子への開発が望まれている。
【特許文献1】WO95/06400
【特許文献2】WO99/03158
【特許文献3】ヨーロッパ特許第1351558A1
【非特許文献1】Applied Physics Letters,vol. 51,no. 12,pp. 913-915,1987
【非特許文献2】Journal of Applied Physics, vol. 86, no.8, pp. 4607-4612, 1999
【発明の開示】
【0008】
本発明者らは、外部電源が接続された陽極、外部電源が接続された陰極、これらの陽極と陰極との間に位置して発光層を含む2以上の発光部、及びこれらの発光部の間に位置する内部電極を含む積層型有機発光素子において、前記各発光部のうちこの発光部に含まれている発光層と、この発光部が接する内部電極のうち外部電源が接続された陽極方向の内部電極との間に電子親和度が4eV以上である有機物を含む層を形成する場合、前記内部電極を仕事関数が4.5eV以下である金属、その合金またはその酸化物よりなる単一層の内部電極に構成できるということを知見した。
【0009】
そこで、本発明は、積層された発光部の間に単一層の内部電極を含む積層型有機発光素子を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、外部電源が接続された陽極、外部電源が接続された陰極、これらの陽極と陰極との間に位置して発光層を含む2以上の発光部、及びこれらの発光部の間に位置する内部電極を含む積層型有機発光素子において、前記内部電極は、仕事関数が4.5eV以下である金属、その合金及びその酸化物よりなる群から選ばれる物質よりなる単一層の内部電極であり、前記発光部はそれぞれこの発光部に含まれている発光層と、この発光部が接する電極のうち外部電源が接続された陽極方向の電極との間に電子親和度が4eV以上である有機物が含有された有機物層を含むことを特徴とする積層型有機発光素子を提供する。
【0011】
本発明による積層型有機発光素子の構造例は図2に示してある。
【0012】
また、本発明は、前記積層型有機発光素子を含むディスプレイを提供する。
【0013】
この明細書中に使われる用語の定義は、下記の通りである。
【0014】
発光部とは、通常の単一型有機発光素子における陽極と陰極との間に存在するものであって、陽極と陰極からそれぞれ正孔と電子を注入されて発光可能な発光層を含む有機物層の単位を意味する。これは、電極と発光部を含む有機発光素子ユニットとは区別される。前記発光部は、発光層の役割を果たす単一層の有機物層よりなっても良く、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などを含む多層の有機物層よりなっても良い。
【0015】
内部電極とは、積層型有機発光素子内に積層された個別の発光部の間に位置する電極を意味し、これは、積層型有機発光素子の最外郭に位置する外部電極とは区別される。
【0016】
積層型有機発光素子とは、単一型有機発光素子ユニットが積層されている構造であって、外部電源が接続された陽極、外部電源が接続された陰極、これらの陽極と陰極との間に位置して発光層を含む2以上の発光部、及び積層された発光部の間に内部電極を含むタイプの有機発光素子を意味する。
【0017】
一方、HOMOは、最高被占軌道(Highest Occupied Molecular Orbital)を意味し、LUMOは、最低空軌道(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)を意味する。
【0018】
発明の効果
本発明による積層型有機発光素子においては、積層される発光部の数に比例して発光効率と輝度を高められ、発光部の波長によって所望の発光が得られる。のみならず、内部電極を単一層の内部電極に構成することにより、従来の2層の内部電極が接触されていた場合に比べて製造工程が容易になると共に、製造コストが低いというメリットがある。さらに、内部電極の形成に当たり、スパッタ工程を行うべき物質を使用する必要がないため、全体としての素子安全性の向上に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付した図面に基づき、本発明について詳細に説明する。
【0020】
従来の技術による積層型有機発光素子においては、前述したように、積層された発光部の間に2層の内部電極、すなわち、内部の陽電極と内部の陰電極が接触状態に存在していた。このように、従来の有機発光素子においては、内部の陽電極物質としては、通常、正孔注入のために仕事関数が比較的に大きな物質が使われ、内部の陰電極物質としては、通常、電子注入のために仕事関数が比較的に小さな物質が使われていた。
【0021】
しかしながら、本発明者らは、積層型有機発光素子に積層されているそれぞれの発光部がこの発光部に含まれている発光層と、この発光部が接する電極のうち外部陽極方向の電極との間に電子親和度が4eV以上である有機物を含有する有機物層を形成する場合、内部電極として、仕事関数が比較的に小さな物質、例えば、仕事関数が4.5eV以下である金属、その合金及びその酸化物よりなる群から選ばれる物質よりなる単一層の内部電極が使用可能であるということを知見した。
【0022】
図3に基づきその作用原理について具体的に説明すれば、下記の通りである。
【0023】
本発明において、電子親和度とは、真空準位とLUMOのエネルギー準位との間の差分を意味し、ここで、LUMOエネルギー準位は、イオン化ポテンシャルを測定することによりHOMOエネルギー準位を検出した後、このHOMOエネルギー準位にオプティカルバンドギャップを加算することにより得られる。
【0024】
電子親和度が4eV以上である有機物を用いて発光部に含まれている発光層と、この発光部が接する電極のうち外部電源が接続された陽極方向の電極との間に有機物層を形成する場合、この有機物層のLUMOエネルギー準位は発光部内において隣り合う正孔輸送層または発光層のHOMOエネルギー準位とは大差なく(現存するほとんどの正孔輸送層のHOMO準位は5.0−6.0eVである)、且つ、電子親和度が4eV以上である有機物層は電子親和度が極めて高いため、隣り合う正孔輸送層または発光層のHOMOエネルギー準位にある電子が、前記電子親和度が4eV以上である有機物層に向けてシフトし易くなる可能性がある。このとき、正孔輸送層または発光層のHOMOエネルギー準位にある電子が放出されれば、電子が放出されたその個所、すなわち、HOMOエネルギー準位に正孔が形成され、必要に応じて、前記HOMOエネルギー準位の正孔は発光層までHOMOエネルギー準位を通って移動することができる。このため、電子親和度が4eV以上である有機物は、従来の陽極及び/または正孔注入層の役割を果たすことができる。また、前記電子親和度が4eV以上である有機物層のLUMOエネルギー準位に移動した電子は分子間を移動することができ、且つ、電気伝導が可能なために外部電源が接続された外部陽極と外部陰極との間の電位差によって外部陽極方向の隣接電極に向けて移動する。
【0025】
ここで、電子親和度を4eV以上に限定した理由は、電子親和度が4eV以上である有機物層に隣り合う正孔輸送層または発光層から電子を受けると同時に正孔を注入するために、且つ、金属の内部電極への電子注入を容易にするために必要である。
【0026】
電子親和度が4eV以上である有機物は、電子親和度が高くて電子の移動度が大きな物質であることが好ましい。これは、移動度が大きい物質が、素子のしきい値電圧及び駆動電圧を下げられるためである。
【0027】
このような作用原理によって発光部のうちこの発光部に含まれている発光層とこの発光部が接する電極のうち外部陽極方向の電極との間に位置する電子親和度が4eV以上である有機物層が陽極の役割を果たすことができるので、本発明による積層型有機発光素子においては、発光部の間に別途の内部陽電極を形成することなく、従来に主として有機発光素子の陰極物質として使われているものとして、すなわち、外部電圧を加えたときに有機発光素子の有機物層に電子を注入する役割を果たすことができるものとして知られている仕事関数が4.5eV以下である金属、その合金またはその酸化物をもって単一層の内部電極を形成することができる。
【0028】
前記電子親和度が4eV以上である有機物の具体例としては、下記式1で表わされる化合物が挙げられる。
【化1】

式中、R〜Rはそれぞれ水素、ハロゲン原子、ニトリル(−CN)、ニトロ(−NO)、スルホニル(−SOR)、スルホキシド(−SOR)、スルホンアミド(−SONR)、スルホン酸塩(−SOR)、トリフルオロメチル(−CF)、エステル(−COOR)、アミド(−CONHRまたは−CONRR’)、置換または非置換の直鎖または分枝鎖のC−C12アルコキシ、置換または非置換の直鎖または分枝鎖のC−C12アルキル、置換または非置換の芳香族または非芳香族の異型環、置換または非置換のアリール、置換または非置換のモノまたはジアリールアミン、及び置換または非置換のアラルキルアミンよりなる群から選ばれ、前記R及びR’はそれぞれ置換または非置換のC−C60のアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換の5−7元異型環よりなる群から選ばれる。
【0029】
前記R及びR’において、前記C−C60のアルキル、アリール及び異型環はそれぞれ1以上のアミン、アミド、エーテル及びエステル基よりなる群から選ばれるいずれか1以上の基に置換可能である。
【0030】
また、前記式中、アリールはフェニル、ビフェニル、テルフェニル、ベンジル、ナフチル、アントラセニル、テトラセニル、ペンタセニル、ペリレニル及びコロネニルよりなる群から選ばれ、これらは単一または多重に置換または非置換可能である。
【0031】
〜Rに電子吸引基{水素、ハロゲン原子、ニトリル(−CN)、ニトロ(−NO)、スルホニル(−SOR)、スルホキシド(−SOR)、スルホンアミド(−SONR)、スルホン酸塩(−SOR)、トリフルオロメチル(−CF)、エステル(−COOR)、アミド(−CONHRまたは−CONRR’)など}を付けると、電子が化学式1のコア構造のπ−軌道に入ってきたときに電子をこの電子吸引基が引き寄せて安定化させることにより(すなわち、再局在化させることにより)、電子親和度が高められる(すなわち、LUMO準位が下がる)。
【0032】
本発明においては、前記式において、R〜Rがいずれも−CNである化合物を使用することが好ましい。
【0033】
前記式1で表わされる化合物の具体例及び合成方法などについては、大韓民国特許出願第10−2003−87159号に記載されており、この文献の内容はいずれもこの明細書の内容に含まれるものとする。
【0034】
前記電子親和度が4eV以上である有機物の他の具体例としては、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4TCNQ、LUMOエネルギー準位=5.24eV)、フッ化3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸2無水化物(PTCDA)、シアノPTCDA、ナフタレンテトラカルボン酸2無水化物(NTCDA)、フッ化NTCDA、シアノNTCDAなどが挙げられる。
【0035】
本発明において、単一層の内部電極を形成するための物質としては、仕事関数が比較的に小さな物質、例えば、仕事関数が4.5eV以下、好ましくは4.3eV以下、さらに好ましくは3.5eVないし4.3eVである金属、その合金及びその酸化物よりなる群から選ばれる物質を使用することができる。このような物質は、比較的に低い仕事関数を有するため、有機発光素子の陰極として使われる場合、電子の注入が効率よく行えると知られている。
【0036】
また、本発明において単一層の内部電極物質として使われる仕事関数が4.5eV以下である金属は、熱によって溶融される物質であるため、内部電極の形成に当たり熱蒸発法を用いることにより、スパッタ工程を用いる場合に起こる素子のフィジカルダメージを極力抑えることができ、工程コストも相対的に安いというメリットがある。仕事関数が4.5eV以下である合金や酸化物のうちには熱蒸発法が適用可能な物質もあるが、必ずしもそうであるとは限らない。このとき、溶融点が高い場合には電子ビーム蒸発スパッタ工程を用いる。
【0037】
単一層の内部電極を形成するための金属の具体例としては、アルミニウム(Al,4.28eV)、銀(Ag,4.26eV)、亜鉛(Zn,4.33eV)、ニオブ(Nb,4.3eV)、ジルコニウム(Zr,4.05eV)、錫(Sn,4.42eV)、タンタル(Ta,4.25eV)、バナジウム(V,4.3eV)、水銀(Hg,4.49eV)、ガリウム(Ga,4.2eV)、インジウム(In,4.12eV)、カドミウム(Cd,4.22eV)、ホウ素(B,4.4eV)、ハフニウム(Hf,3.9eV)、ランタン(La,3.5eV)、チタン(Ti,4.3eV)、及びこれらの中で選ばれる金属とネオジウ厶またはパレイディア厶の合金など,そしてカルシウム(Ca,2.87eV)、マグネシウム(Mg,3.66eV)、リチウム(Li,2.9eV)、ナトリウム(Na,2.75eV)、カリウム(K,2.3eV)、セシウム(Cs,2.14eV)及びこれらの合金などが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるとは限らない。前記内部電極は、アルミニウム(Al,4.28eV)、銀(Ag,4.26eV)及びこれらの合金よりなる群から選ばれることが好ましい。
【0038】
上記の如き物質から形成される単一層の内部電極の膜厚は、可視光領域の波長の透過度及び電気伝導度を考慮して調節することができる。これについて詳細に説明すれば、下記の通りである。内部電極は、素子の内部における生成光を外部に最大限に放出させるために可視光領域における透過度に優れている必要があり、このためには、内部電極の膜厚を最大限に薄くした方が良い。しかしながら、伝導性に優れている金属であるとしても、薄膜よりなる場合には伝導度が下がる。このため、本発明においては、内部電極が光学的な透過度を失わないつつも十分に良好な電気伝導度を満足するように内部電極の膜厚を調節することが好ましい。すなわち、本発明においては、好ましくは、内部電極の膜厚が1−100Åの範囲である。
本発明において、外部陽極と隣り合う発光部のうち外部陽極と発光層との間に電子親和度が4eV以上である有機物が含有された有機物層を含む場合、外部陽極は従来の有機発光素子の陽極形成時に使われていた仕事関数が比較的に大きな化合物に限定されることなく、前記内部電極の形成時に使われた仕事関数が比較的に小さな物質から形成することもできる。このため、外部陽極が形成可能な物質の具体例としては、前記内部電極を形成するために挙げられた物質の他に、仕事関数が大きなバナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物などの金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbなどの金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](PEDT)、ポリピロール及びポリアニリンなどの伝導性高分子などが挙げられる。しかしながら、本発明は必ずしもこれらに限定されるとは限らない。
【0039】
本発明において、外部陰極は、有機物層への電子注入が容易に行えるように仕事関数が小さな物質から形成することができる。その具体例としては、前記内部電極を形成するために挙げられた物質のほかに、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム及び鉛などの金属またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alなどの多層構造の物質などが挙げられる。しかしながら、本発明は必ずしもこれらに限定されるとは限らない。
【0040】
本発明の一実施の形態による積層型有機発光素子は、下記のようにして製造することができる。本発明に従い製造可能な積層型有機発光素子の構造例は、図2に示してある。すなわち、透明なガラス基板2の上に上記の如き陽極物質から陽極3を形成する。その上に発光層を含む発光部4を形成する。前記発光部は、必要に応じて単一層または多層に形成することができ、多層の発光部は正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層などを含むことができる。本発明においては、前記発光部のうちこの発光部に含まれている発光層と、この発光部が接する電極のうち外部陽極方向の電極との間に電子親和度が4eV以上である有機物を含む層を形成することを特徴とする。上述したように、前記電子親和度が4eV以上である有機物を含む層は正孔注入層または正孔輸送層であっても良く、正孔の注入と輸送をいずれも司る層であっても良い。次いで、前記内部電極物質を用いて数ないし数十Åの膜厚を有する内部電極5を形成する。そして、前記発光部4を形成する方法と同様にして発光部6を形成する。次いで、必要に応じて、内部電極と発光部を所望の回数だけ切り換えて繰り返し形成することができる。最後に、上述した如き外部陰極物質を用いて全体素子の陰極7を形成する。ここで、電極と有機物層よりなる発光部の形成に当たっては、この技術分野における周知の技術を用いることができる。
【0041】
さらに、この製造方法において、積層されたそれぞれの発光部は同じ物質から同じ構造を有するように形成しても良く、各発光部の相異なる物質から相異なる構造を有するように形成しても良い。
【0042】
本発明による積層型有機発光素子は、使われた材料に応じて前面発光、背面発光または両面発光の有機発光素子でありうる。
【0043】
本発明による積層型有機発光素子を含むディスプレイは、この技術分野における周知の方法によって製造することができる。
【0044】
本発明による積層型有機発光素子は、個別の有機発光素子ユニットをシリアル接続する効果を有するため、同じ電流密度下で各発光部の発光層から発せられる光子の密度が算術的に加算される効果を示し、これにより、積層された発光部の数に比例して発光効率と輝度が高くなる。
【0045】
さらに、本発明による積層型有機発光素子において、それぞれの発光部を赤色、緑色、青色及びこれらの組み合わせから選ばれる色の発光中心スペクトルを有するように製作し、これらを本発明に従い積層して全体としての積層素子を駆動すれば、所望のカラーまたは白色の発光素子を得ることができる。
【0046】
そして、本発明による積層型有機発光素子内に存在する発光部の膜厚を適宜に調節することにより、微小空洞効果による広範な白色光、すなわち、演色度(CRI:Color Rendition Index)で定義される正確な白色光ではないとはいえ、光学ピークが2以上と広く得られてこれらのピークがまるで結合されたかのように見える効果による白色光を得ることもできる。ここで、微小空洞効果とは、反射度が極めて大きな物質からなる内部電極を使用する場合、発光部における生成光の一部が外部に放出されずに反射されて素子の内部を進行しながら干渉を引き起こすが、このとき、適宜な条件になると、例えば、発光部内の有機物層の膜厚を適宜に調節すると、光の発光スペクトルが変わることを意味する。
【0047】
さらに、本発明においては、上記の如き単一層よりなる内部電極を用いることにより、従来の技術でのように2層の内部電極が接触されている場合に起こりうる物理的な接着力の劣化問題を克服することができる。そして、本発明による単一層の内部電極は、蒸発法が適用可能な物質から形成できるので、従来スパッタ工程を用いて内部陽電極を形成する場合に起こりうる有機発光素子のフィジカルダメージを減らして素子の安定性の向上に寄与することができる。さらに、本発明においては、内部電極を単一層に形成することにより、2層の内部電極薄膜間を接触しなければならなかった従来の技術に比べて工程が簡単であり、しかも、製造コストも安価になるというメリットがある。
【実施例】
【0048】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、後述する実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例により限定されることはない。
【0049】
実施例
参照例1:HATのHOMOとLUMO準位(UPSとUV−VIS吸光法)
ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン(HAT)のHOMO準位を検出するために紫外線分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)法を使用した。UPSとは、超高真空(<10−8Torr)の条件下で試料にヘリウムランプからの真空紫外線(21.20eV)を照射するとき、試料から放出される電子の運動エネルギーを分析することにより、金属の場合には仕事関数を、有機物の場合にはイオン化エネルギー、すなわち、HOMO準位及びフェルミエネルギー準位を検出する方法である。すなわち、真空紫外線(21.20eV)を試料に照射する場合、試料から放出される電子の運動エネルギーは、真空紫外線のエネルギーである21.2eVと測定しようとする試料の電子結合エネルギーとの差分となる。そして、試料から放出される電子の運動エネルギーの分布を分析することにより、試料内物質の結合エネルギー分布が分かる。このとき、電子の運動エネルギーが最大値を有する場合に試料の結合エネルギーは最小値を有し、これを用いることにより、試料の仕事関数(フェルミエネルギー準位)及びHOMO準位を決めることができる。
【0050】
この参照例においては、金膜を用いて金の仕事関数を検出し、前記金膜の上にHAT物質を蒸着しながらHAT物質からの電子の運動エネルギーを分析することにより、HATのHOMO準位を検出した。前記金膜と金膜の上に20nmの膜厚を有するHAT膜から得られるUPSデータを図4に示す。今度は、公開文献(H.Ishii et al, Advanced Materials, 11, 605-625(1999))に開示された専門用語に基づいて説明を進める。図7に示すように、x軸の結合エネルギーは、金属膜から測定された仕事関数を目安として得られた値である。すなわち、この参照例において、金の仕事関数は、照射光エネルギー(21.20eV)から結合エネルギーの最大値(15.92eV)を引いた値で表わされるが、この参照例において、金の仕事関数は5.28eVとして得られた。前記金膜の上に蒸着されたHATへの照射光エネルギーから結合エネルギーの最大値(15.19eV)と最小値(3.79eV)との差分を引いた値として定義されるHATのHOMO準位は9.80eVであり、フェルミエネルギー準位は6.02eVである。
【0051】
前記HATをガラスの表面に蒸着して得られる有機物を用いて図5に示す如き可視紫外分光光度計(UV−VIS)スペクトルを得た。このスペクトルの吸収端を分析したところ、3.26eVのバンドギャップを有することが分かった。これより、HATのLUMOは6.54eV以下の値を有することが分かる。この値は、HAT物質の励起結合エネルギーによる。すなわち、6.54eVは前記物質のフェルミ準位(6.02eV)よりも大きな値であって、LUMO準位がフェルミ準位よりも小さな値を有するためには、励起結合エネルギーが0.52eV以上になる必要があるということが分かる。有機物の励起結合エネルギーは、通常0.5eV、最大1eV以下の値を有するため、前記HATのLUMO準位は5.54〜6.02eVの間の値を有することが予測される。
【0052】
比較例1
単一層の発光部を含む単一型有機発光素子を下記のようにして製造した。
【0053】
(1)陽極の形成
まず、透明ガラス基板の上にインジウム亜鉛酸化物を用いて1500Åの膜厚を有する透明な陽極をスパッタ工程により形成した。次いで、前記陽極に対し、アルゴン(Ar)に水素(H)を約4%加えて得られる形成ガスを用いてプラズマ処理を施した。
【0054】
(2)発光部の形成
前記陽極の上に下記式1aで表わされる化合物(ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン;HAT)を真空蒸着して約500Åの膜厚を有する正孔注入層を形成した。
【化1a】

次いで、前記正孔注入層の上にNPBを真空蒸着して約400Åの膜厚を有する正孔輸送層を形成した。正孔輸送層の上に、Alq3にドーパント(製品名:C545T、コーダック社製)を1%ドープして真空蒸着することにより、300Åの膜厚を有する発光層を形成した。発光層の上に下記式2で表わされる化合物(大韓民国特許出願第10−2002−3025)を真空蒸着して200Åの膜厚を有する電子輸送層を形成した。
【化2】

【0055】
(3)陰極の形成
電子輸送層の上にLiFとAlを順次に蒸発法を用いて蒸着して陰極を形成した。
このようにして得られた有機発光素子の構造を図6に示す。
【0056】
比較例2
発光部の形成過程2を2回連続して繰り返し行った以外は、前記比較例1の方法と同様にして有機発光素子を製造することにより、発光部が2層に積層されているものの、内部電極{内部の陰電極(Al)、内部の陽電極(インジウム亜鉛酸化物)}を含まない積層型有機発光素子を得た。このようにして得られた積層型有機発光素子の構造を図7に示す。
【0057】
比較例3
発光部の形成過程2を2回連続して繰り返し行うが、第1の発光部を形成した後にAlにより約60Åの膜厚を有する単一層の内部電極を形成し、さらに第2の発光部を形成するが、第2の発光部の形成時にHAT有機物層の形成を省いた以外は、前記比較例1の方法と同様にして有機発光素子を製造することにより、発光部が2層に積層されており、これらの発光部の間にAlよりなる内部電極(別途の内部陽電極(インジウム亜鉛酸化物)無し)が位置しているが、第2の発光部にはHAT有機物層が存在しない積層型有機発光素子を得た。このようにして得られた積層型有機発光素子の構造を図8に示す。
【0058】
実施例1
第1の発光部を形成した後にAlにより約60Åの膜厚を有する単一層の内部電極を形成し、さらに第2の発光部を形成した以外は、前記比較例1の方法と同様にして有機発光素子を製造することにより、発光部が2層に積層されており、これらの発光部の間にAlよりなる内部電極が位置し、第2の発光部にもHAT有機物層が存在する積層型有機発光素子を得た。このようにして得られた積層型有機発光素子の構造を図8に示す。
【0059】
[実験の結果]
比較例1に従い得られた単一型有機発光素子の場合、印加電圧3.9Vにおける電流密度が10mA/cmであり、このときの発光効率は7.9cd/Aであり、輝度は790cd/mであった。そして、比較例2に従い得られた内部電極無し積層型有機発光素子の場合、印加電圧8.7Vにおける電流密度が10mA/cmであり、このときの発光効率は7.4cd/Aであり、輝度は742cd/mであった。さらに、比較例3に従い得られた第2の発光部にHAT有機物層が存在しない積層型有機発光素子の場合、印加電圧16.5Vにおける電流密度が10mA/cmであり、このときの発光効率は5cd/Aであり、輝度は500cd/mであった。一方、実施例1に従い得られた積層型有機発光素子の場合、比較例2と同様に印加電圧8.7Vにおける電流密度が10mA/cmであり、このときの発光効率は13.8cd/Aであり、輝度は1380cd/mであった。その結果を下記表1にまとめて示す。
【表1】

【0060】
比較例1と比較例2の結果を比較すれば、内部電極無しに発光部が積層されて発光部の膜厚が単に2倍に厚くなった有機発光素子(比較例2)においては、発光部が積層されていない有機発光素子(比較例1)に比べて同じ電流密度のための印加電圧が2倍ほど高くなったが、発光効率と輝度は殆ど変化しなかった。この結果から、有機発光素子の有機物層の膜厚が単に厚くなる場合には同じ電流密度、発光効率及び輝度を保持するために必要な駆動電圧が高くなるということが分かる。
比較例1、2、3及び実施例1の結果を比較すれば、実施例1による積層型有機発光素子の効率と輝度は、比較例1による単一型発光素子及び比較例2による内部電極なし積層型有機発光素子の効率と輝度に比べて2倍ほど高くなる。さらに、実施例1と比較例3を比較すれば、電子親和度が4eV以上である有機物(例えば、HAT)層を内部電極と発光層との間に位置させると、内部陽極が無くて内部陰極のみ存在しても駆動電圧は下がり、且つ、効率と輝度は高くなるということが分かる。そして、この結果より、2層の発光部の間に位置する本発明による単一層の内部電極は、前記電子親和度が4eV以上である有機物層と共に、積層された両発光部に対してそれぞれ内部陽極と内部陰極の役割、すなわち、正孔を注入する役割と電子を注入する役割を効率よく果たしているということが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】積層された発光部の間に2層の内部電極を含む従来の積層型有機発光素子の構造例を示す図。
【図2】積層された発光部の間に単一層の内部電極を含む本発明の一実施の形態による積層型有機発光素子を示す図。
【図3】本発明により単一層の内部電極を使用する積層型有機発光素子のうち有機発光素子ユニット内の有機物層と内部電極物質のエネルギー準位を示す図。
【図4】参照例1により金膜と金膜の上に20nmの膜厚を有するHAT膜から得られたUPSデータを示すグラフ。
【図5】参照例1によりガラスの表面に蒸着されたHAT有機物から得られたUV−VISスペクトルを示す図。
【図6】比較例1による非積層型及び単一型機発光素子の構造を示す図。
【図7】比較例2による2層の積層発光部を含むものの、発光部の間に内部電極が存在しない有機発光素子の構造を示す図。
【図8】実施例1による2層の積層発光部の間に単一層の内部電極が存在する積層型有機発光素子の構造を示す図。
【符号の説明】
【0062】
1:積層型有機発光素子
2:ガラス基板
3:外部の陽電極
4:発光部
5:内部電極
6:発光部
7:外部の陰電極
8,9:有機発光素子ユニット
10:外部電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源が接続された陽極、外部電源が接続された陰極、これら陽極と陰極との間に位置して発光層を含む2以上の発光部、及びこれらの発光部の間に位置する内部電極を含む積層型有機発光素子であって、
前記内部電極は、仕事関数が4.5eV以下である金属、その合金及びその酸化物よりなる群から選ばれる物質よりなる単一層の内部電極であり、
前記発光部はそれぞれこの発光部に含まれている発光層と、この発光部が接する電極のうち外部電源が接続された陽極方向の電極との間に電子親和度が4eV以上である有機物が含有された有機物層を含むことを特徴とする、積層型有機発光素子。
【請求項2】
前記電子親和度が4eV以上である有機物は、下記式1:
【化1】

[式中、R〜Rはそれぞれ水素、ハロゲン原子、ニトリル(−CN)、ニトロ(−NO)、スルホニル(−SOR)、スルホキシド(−SOR)、スルホンアミド(−SONR)、スルホン酸塩(−SOR)、トリフルオロメチル(−CF)、エステル(−COOR)、アミド(−CONHRまたは−CONRR’)、置換または非置換の直鎖または分枝鎖のC−C12アルコキシ、置換または非置換の直鎖または分枝鎖のC−C12アルキル、置換または非置換の芳香族または非芳香族の異型環、置換または非置換のアリール、置換または非置換のモノまたはジアリールアミン、及び置換または非置換のアラルキルアミンよりなる群から選ばれ、前記R及びR’はそれぞれ置換または非置換のC−C60のアルキル、置換または非置換のアリール、及び置換または非置換の5−7元異型環よりなる群から選ばれる。]
で表わされる化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項3】
前記式中、R〜Rはいずれもニトリル(−CN)であることを特徴とする、請求項2に記載の積層型有機発光素子。
【請求項4】
前記電子親和度が4eV以上である有機物は、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、フッ化3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸2無水化物(PTCDA)、シアノPTCDA、ナフタレンテトラカルボン酸2無水化物(NTCDA)、フッ化NTCDA、及びシアノNTCDAよりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項5】
前記内部電極は、アルミニウム(Al,4.28eV)、銀(Ag,4.26eV)、亜鉛(Zn,4.33eV)、ニオブ(Nb,4.3eV)、ジルコニウム(Zr,4.05eV)、錫(Sn,4.42eV)、タンタル(Ta,4.25eV)、バナジウム(V,4.3eV)、水銀(Hg,4.49eV)、ガリウム(Ga,4.2eV)、インジウム(In,4.12eV)、カドミウム(Cd,4.22eV)、ホウ素(B,4.4eV)、ハフニウム(Hf,3.9eV)、ランタン(La,3.5eV)、チタン(Ti,4.3eV)、カルシウム(Ca,2.87eV)、マグネシウム(Mg,3.66eV)、リチウム(Li,2.9eV)、ナトリウム(Na,2.75eV)、カリウム(K,2.3eV)、セシウム(Cs,2.14eV)及びこれら金属の合金よりなる群から選ばれるいずれか1種以上の物質よりなることを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項6】
積層された発光部がそれぞれ赤色、緑色、青色またはこれらの組み合わせから選ばれる色の発光中心スペクトルを有することにより、前記積層型有機発光素子は白色を実現することを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項7】
前記積層型有機発光素子は微小空洞効果により広範な白色を発光することを特徴とする、請求項1に記載の積層型有機発光素子。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層型有機発光素子を備えてなる、ディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−18931(P2012−18931A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194382(P2011−194382)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【分割の表示】特願2007−507245(P2007−507245)の分割
【原出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】