説明

高周波モデム及びこれを用いた映像監視システム

【課題】簡単な構成でシリアル通信機器の双方向通信を可能とすると共に監視カメラの追加、変更が可能な映像監視システムを提供する。
【解決手段】高周波モデム12a、12b、…は、監視室から送られてくる制御命令を混合器33でモデム部32に分岐すると共に、モデム部32から出力される応答信号と映像変調器31で変調された監視映像信号とを混合器33で混合して監視室へ送信する。モデム部32は、双方向フィルタ41、制御命令を復調する復調部42、制御命令に対する応答信号を変調する変調部43、監視室からの制御命令に応じたカメラ制御及び応答処理を行なうCPU44、シリアルI/F48を備えている。CPU44は、監視室からの制御命令に従って変調部43に対するキャリア・オン/オフ制御を行ない、監視室との間で双方向通信を行なうと共に、プロトコルの変換処理、書替え処理等を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばブロードバンドLAN方式による映像監視システム及び該映像監視システムに用いられる高周波モデムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばスタジアム内あるいはビル内における防災、防犯等を目的として例えばCATV技術を応用した映像監視システムが使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
従来の映像監視システムは、所定の監視領域に複数の監視カメラを設置し、各監視カメラにより撮影した映像信号をそれぞれ変調器により高周波信号に変調し、周波数多重して同軸ケーブル等の1本の伝送線路により監視室に送出している。監視室では、各監視カメラから伝送線路により送られてくる映像信号を選択して復調し、モニタに順次表示することにより監視している。
【0004】
また、監視方向を上下左右の任意方向に制御できるパン・チルト制御が可能な監視カメラを使用する場合には、監視室及び監視カメラ側に高周波モデムを設け、監視室からカメラ制御信号を高周波モデムにより変調して監視カメラ側に送出し、監視カメラ側では、監視室から送られてくるパン・チルト制御信号を高周波モデムで復調して指定された動作を行なっている。
【特許文献1】特開2003−258656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように従来の映像監視システムでは、監視室及び監視カメラ側にシリアル通信機器を設けて監視制御を行なっている。しかし、パン・チルト制御が可能な監視カメラを使用する場合、監視室では、監視カメラ側から例えばカメラ位置、プリセットデータ、ステータス等の制御データを取得する必要があり、シリアル通信機器にて双方向通信を行なう必要がある。
【0006】
シリアル通信機器により双方向通信を行なう場合、従来では異なる周波数(高周波信号)にそれぞれ所定のチャンネルを割当てることにより双方向通信を可能としている。
【0007】
しかし、映像監視システムでは、監視カメラにより撮影した映像信号の伝送に広い帯域が使用されるので、カメラ制御信号の伝送に使用する帯域は非常に狭い帯域に制限される。従って、従来のように異なる周波数に各チャンネルを割当てる方式では、所定の帯域内で使用できる周波数の数が制限されてしまい、監視カメラをあまり多く設置することができないという問題がある。
【0008】
また、従来の映像監視システムでは、システムで使用しているパン・チルト機能付きの監視カメラを故障等により交換あるいは追加する場合、納入時と同じカメラしか使用することができない。これは監視カメラのパン・チルト制御用のカメラプロトコルがカメラのメーカーや機種毎に異なっており、納入時のカメラプロトコルでシステムの設計を行なっているためである。なお、監視室側の制御CPUにより、カメラの機種毎にプロトコルの切替を行なうことも可能であるが、制御CPUの処理が複雑になり、信号の構成も複雑になり迅速なカメラ切替えによる監視が困難となる。
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、簡単な構成でシリアル通信機器の双方向通信を可能とし、また、システム納入時のカメラにこだわらずに監視カメラの追加、変更が可能な高周波モデム及びこれを用いた映像監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、監視領域を撮影する複数の監視カメラと、前記各監視カメラにより撮影された映像信号をモニタ表示して監視すると共に該監視カメラを制御する監視室と、前記各監視カメラに対応して設けられ、前記監視室と各監視カメラとの間の送受信データを復調及び変調し、共用の高周波幹線を介して伝送する映像監視システムの高周波モデムにおいて、前記高周波モデムは、前記監視室から前記高周波幹線を介して機器アドレスと共に送出される制御命令を復調する復調部と、前記復調部により復調された機器アドレス及び制御命令に従って対応する監視カメラを制御する制御部と、前記制御命令に対する監視カメラの応答信号を変調し、前記高周波幹線を介して前記監視室へ送信する変調部とを備え、前記制御部は、常時は前記変調部のキャリア出力をオフし、前記監視カメラの応答信号の送出時のみ前記変調部のキャリア出力をオン状態に切替え、前記監視室との間のシリアル通信機器による双方向通信を可能としたことを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に係る高周波モデムにおいて、前記制御部は、監視室との間の通信プロトコルと監視カメラとの間のカメラプロトコルを相互に変換するプロトコル変換手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第1の発明に係る高周波モデムにおいて、前記制御部は、監視室からの制御命令に従って監視カメラに対するカメラプロトコルを書替える手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第1の発明に係る高周波モデムにおいて、前記制御部は、監視室からの制御命令に従って復調部及び変調部における送受信キャリアの周波数を変更する手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、監視領域を撮影する複数の監視カメラと、前記各監視カメラにより撮影された映像信号をモニタ表示して監視すると共に該監視カメラを制御する監視室と、前記各監視カメラに対応して設けられ、前記監視室と各監視カメラとの間の送受信データを復調及び変調し、共用の高周波幹線を介して伝送する高周波モデムとを具備した映像監視システムにおいて、前記高周波モデムは、第1ないし第4の発明の何れかに記載の高周波モデムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、監視カメラ側の高周波モデムは、制御部により変調器のキャリアをオン/オフ制御して双方向通信を行なうことにより、シリアル通信機器による双方向通信が可能であり、かつ、制御機器の数に関係なく双方向通信が可能である。
【0016】
また、制御部は、監視室との間の通信プロトコルと監視カメラとの間のカメラプロトコルを相互に変換するプロトコル変換手段を備えることにより、監視室との間の通信プロトコルは、カメラプロトコルが変更された場合でも影響を受けず、常に1種類のプロトコルでデータの送受信を制御することができる。また、各監視カメラに対するカメラプロトコルを監視室に対する通信プロトコルとは無関係に設定することが可能であり、監視カメラを追加、変更する場合でも、システム納入時のカメラにこだわらず、任意プロトコルの監視カメラを使用することが可能である。
【0017】
また、制御部は、監視室からの制御命令に従って復調部及び変調部における送受信キャリアの周波数を変更することにより、複数の周波数の信号を重複させることができ、複数の機器間の通信が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る高周波モデムを使用した映像監視システムの全体の構成を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように例えばスタジアムあるいはビル等の監視領域内に複数台の監視カメラ10a、10b、…が設置される。上記監視カメラ10a、10b、…は、監視方向を上下左右の任意方向に制御できるパン・チルト機能及びズーム機能等を備えている。上記監視カメラ10a、10b、…は、例えばNTSC方式の映像信号を監視画像として出力すると共に音声信号を出力する。
【0020】
上記監視カメラ10a、10b、…側には、シリアル通信ライン11a、11b、…を介してそれぞれ固有のアドレスを有する高周波モデム12a、12b、…が設けられる。高周波モデム12a、12b、…は、同軸ケーブル等の高周波ライン13a、13b、…により混合器14a、14b、…を介して高周波幹線15に接続される。上記高周波モデム12a、12b、…については詳細を後述する。なお、混合器14a、14b、…は、混合及び分岐機能を備えている。
【0021】
上記高周波幹線15は、監視領域から遠隔した場所に設置される監視室20の機器に接続される。監視室20には、制御CPU21、この制御CPU21に対する操作用機器22、高周波モデム(RFモデム)23、混合器24、映像復調器25及びモニタ装置26等が設けられる。上記制御CPU21と高周波モデム23との間は、シリアル通信ライン27で接続されている。
【0022】
上記制御CPU21は、操作用機器22の操作に応じて監視カメラ10a、10b、…に対するパン・チルト制御信号、カメラ位置、プリセットデータ、ステータス等のカメラデータを取得するための制御命令、カメラプロトコルを確認するための制御命令を出力する。上記制御CPU21から出力される各種制御命令は、シリアル通信ライン27により高周波モデム23へ送られる。高周波モデム23は、制御CPU21から出力される制御命令により所定周波数の高周波信号を変調し、混合器24を介して高周波幹線15へ出力する。
【0023】
また、混合器24は、監視カメラ10a、10b、…から高周波幹線15により送られてくる応答信号あるいは監視映像信号(高周波信号)を高周波モデム23、映像復調器25に入力する。高周波モデム23は、監視カメラ10a、10b、…側の高周波モデム12a、12b、…から送られてくる応答信号を復調して制御CPU21に入力する。また、映像復調器25は、監視カメラ10a、10b、…側の高周波モデム12a、12b、…から送られてくる監視映像信号(高周波信号)を選択及び復調してモニタ装置26に表示する。
【0024】
上記監視室20側の高周波モデム23は、監視カメラ側への制御命令を例えば周波数が50MHzのチャンネルを使用して監視カメラ側の高周波モデム12a、12b、…へ送信する。また、監視カメラ側の高周波モデム12a、12b、…は、各監視カメラ10a、10b…の応答信号を例えば周波数が70MHzのチャンネルを使用して監視室20へ送信する。
【0025】
次に、監視カメラ10a、10b、…側に設けられる高周波モデム12a、12b、…の詳細を図2により説明する。なお、高周波モデム12a、12b、…は、同一構成であるので、高周波モデム12aについて説明する。
【0026】
高周波モデム12aは、映像変調器31、モデム部32及び混合器33により構成され、高周波幹線15から混合器14a及び高周波ライン13aを介して送られてくる制御命令を混合器33でモデム部32に分岐すると共に、このモデム部32から出力される応答信号と映像変調器31で変調された監視映像信号とを混合器33で混合し、高周波ライン13aより混合器14aを介して高周波幹線15へ出力する。上記映像変調器31は、監視カメラ10aから映像信号ライン34を介して送られてくる監視映像信号を所定の高周波信号に変調する。
【0027】
また、上記モデム部32は、双方向フィルタ41、制御命令(コマンド)を復調する制御系の復調部42、制御命令に対する応答信号を変調する制御系の変調部43、監視室20からの制御命令に応じたカメラ制御及び応答処理を行なう制御部であるCPU44、このCPU44と監視カメラ10aとの間に設けられる例えばRS232C、RS422、RS485等のシリアルI/F(インタフェース)48を備えている。このシリアルI/F48は、シリアル通信ライン11aにより監視カメラ10aの制御系端子に接続される。
【0028】
上記双方向フィルタ41は、50MHzの受信信号(制御命令)と70MHzの送信信号(応答信号)とを分離するもので、50MHzの受信信号を復調部42に入力し、変調部43で変調された70MHzの応答信号を混合器33へ出力する。
【0029】
上記CPU44は、受信用バッファ45a及び送信用バッファ45bを備え、復調部42、変調部43及びシリアルI/F48に対し、制御ライン46a、46b、47a、47bにより接続される。上記CPU44は、固有のアドレスを有しており、監視室20との間は所定の通信プロトコルで信号の送受信を行ない、監視カメラ10aとの間はカメラに対応したカメラプロトコルで信号の送受信を行なう。また、CPU44は、監視室20に対する通信プロトコルと監視カメラに対するカメラプロトコルとを相互に変換するプロトコル変換機能を有し、監視室20から送られてくる制御命令を受信して監視カメラ10aを制御すると共に監視カメラ10aの応答信号を監視室20へ送信する。この場合、CPU44は、シリアルI/F48に対する送受信切替制御、変調部43に対するキャリア(搬送波)・オン/オフ制御を行なう。
【0030】
すなわち、CPU44は、監視室20との間で通信を行なう場合、制御ライン46aからキャリア・オン/オフ制御信号を出力して変調部43のキャリアをオン/オフ制御する。通常の状態では、変調部43のキャリアをオフ状態に保持し、監視カメラ10aからカメラ応答信号が出力された場合に変調部43のキャリアをオンしてカメラ応答信号を監視室20へ送信する。このようにCPU44により変調部43のキャリア・オン/オフ制御を行ない、監視室20と高周波モデム12aとの間のシリアル通信機器による双方向通信を可能としている。
【0031】
また、CPU44は、監視カメラ10aとの間で通信を行なう場合、制御ライン46bからシリアルI/F48へ送受信切替制御信号を出力して送受信の切替制御を行なう。
【0032】
更にCPU44は、監視室20からの制御命令により、必要に応じてカメラプロトコルの書替え制御、復調部42及び変調部43に対する周波数変更制御等を行なう。監視室20からの制御命令に従って復調部42及び変調部43の周波数を変更する場合、CPU44は制御ライン47a、47bから周波数変更指示を出力して復調部42及び変調部43の設定周波数を変更する。なお、本実施例のCPU44としては、バッテリでメモリをバックアップした制御用マイコンあるいは、オンボードで書替可能なフラッシュメモリ内蔵のマイコンが市場に出ているのでこれを用いることができる。
【0033】
上記のように構成された映像監視システムは、
[1.映像監視制御]
[2.双方向通信制御]
[3.モデム内プロトコル変換制御]
[4.モデム内のプロトコル書替制御]
等の各種制御機能を備えている。
【0034】
以下、上記各制御機能について説明する。
【0035】
[1.映像監視制御]
監視領域に設置された各監視カメラ10a、10b、…は、監視室20からの指示に従って、所定の監視領域を撮影する。上記各監視カメラ10a、10b、…で撮影された監視映像信号は、それぞれ高周波モデム12a、12b、…内の映像変調器31で予め設定された周波数(設定チャンネル)の高周波信号に変調される。
【0036】
上記映像変調器31で変調された高周波信号(映像信号)は、混合器33から高周波ライン13a、13b、…により混合器14a、14b、…を介して高周波幹線15へ送られ、周波数多重されて監視室20へ送信される。
【0037】
監視室20へ送られた高周波信号(映像信号)は、混合器24を介して映像復調器25に入力される。この映像復調器25は、各監視カメラ10a、10b、…から高周波モデム12a、12b、…の映像変調器31により変調されて送られてくる高周波信号(映像信号)を一定の時間間隔で自動的に順次切替え、あるいは監視員の指示に従って特定の監視カメラ10a、10b、…の監視映像信号を選択し、復調してモニタ装置26に表示する。
【0038】
上記のように監視室20は、各監視カメラ10a、10b、…から高周波幹線15により送られてくる監視映像信号を復調し、一定時間間隔で切替え、あるいは監視員の指示に従って選択し、モニタ装置26に表示することにより監視している。
【0039】
[2.双方向通信制御]
監視室20は、監視カメラ10a、10b、…の監視方向等を制御する場合、制御しようとする監視カメラの現在の情報、例えば位置情報、プリセットデータ、ステータス等を双方向通信によって取得し、それに基づいてパン・チルト制御信号等を出力する。
【0040】
上記監視室20と監視カメラ側の高周波モデム12a、12b、…との間における双方向通信は、次のようにして行なわれる。
(1)監視室20の制御CPU21は、監視員による操作用機器22の操作、例えば監視カメラ10a、10b、…の選択、この選択した監視カメラに対する電源のオン/オフ、位置情報の取得、パン・チルト等の操作に応じて制御命令を機器アドレス例えばモデムアドレスと共に出力する。制御CPU21から出力される制御命令は、高周波モデム23で所定チャンネルの高周波信号に変調された後、混合器24を介して高周波幹線15に出力され、監視カメラ側に送信される。
【0041】
(2)高周波幹線15に接続されている監視カメラ側の全ての高周波モデム12a、12b、…は、監視室20の制御CPU21から高周波幹線15により送られてくる制御命令を受信し、復調部42で復調する。
(3)各高周波モデム12a、12b、…の復調部42で復調された制御命令は、CPU44の受信用バッファ45aに蓄えられる。
(4)各高周波モデム12a、12b、…のCPU44は、受信用バッファ45aに蓄えられた制御命令のアドレスを自己のアドレスに一致するかどうかを判別し、一致した場合は以下の処理を実行し、一致しなかった場合は受信用バッファ45aに蓄えたデータを破棄して処理を終了する。
【0042】
以下、高周波モデム12aにおけるCPU44のアドレスが一致した場合について動作を説明する。
(5)アドレスが一致したCPU44は、制御ライン46bから送受信切替信号をシリアルI/F48に出力し、このシリアルI/F48を送信に切替える。
(6)上記CPU44は、受信用バッファ45aに蓄えた制御命令をシリアル通信ライン11aにより監視カメラ10aへ送信する。
(7)次にCPU44は、制御ライン46bから送受信切替信号をシリアルI/F48に出力し、このシリアルI/F48を受信に切替える。
【0043】
(8)監視カメラ10aは、CPU44からの制御命令に従って動作し、制御命令に対する応答信号をシリアル通信ライン11aよりシリアルI/F48に出力する。
(9)上記監視カメラ10aから出力された応答信号は、シリアルI/F48を介してCPU44の送信用バッファ45bに蓄えられる。
(10)監視カメラ10aからの応答信号を受信したCPU44は、制御ライン46aから変調部43にキャリア・オン/オフ制御信号を出力し、変調部43のキャリアをオンにする。
【0044】
(11)次いでCPU44は、送信用バッファ45bに蓄えた監視カメラ10aの応答信号を変調部43に出力し、所定チャンネルの高周波信号に変調する。この変調された応答信号は、双方向フィルタ41、混合器33、混合器14aを介して高周波幹線15へ送られ、この高周波幹線15により監視室20へ送信される。
【0045】
(12)上記応答信号を送信したCPU44は、制御ライン46aからキャリア・オン/オフ制御信号を変調部43に出力してキャリアをオフする。
【0046】
以上で、監視室20と各監視カメラ10a、10b、…との間における制御命令の双方向通信処理を終了する。
【0047】
上記のように監視カメラ10a、10b、…側の高周波モデム12a、12b、…は、CPU44により変調部43のキャリアをオン/オフ制御して双方向通信を行なうようにしているので、シリアル通信機器による双方向通信が可能であり、かつ、1つのチャンネルであっても制御機器の数に関係なく双方向通信が可能である。従って、1つのチャンネルを利用して多数の監視カメラ10a、10b、…を制御することができる。また、監視室20と監視カメラ側の高周波モデム12a、12b、…との間でデータの衝突によりデータを送信できなかった場合には、リトライが可能である。
【0048】
[3.モデム内プロトコル変換制御]
監視カメラ側の高周波モデム12a、12b、…に設けられるCPU44は、監視室20から送られてくる制御命令に従って監視カメラ10a、10b、…を制御する際、監視室20に対する通信プロトコル(監視システムプロトコル)と監視カメラ10a、10b、…に適合するカメラプロトコルとの変換処理を行なっている。
【0049】
図3は監視室20と監視カメラ側の高周波モデム12a、12b、…との間の通信プロトコルの例を示したもので、例えば「STX」、1バイトの「送信先アドレス」、1バイトの「送信元アドレス」、1バイトの「コマンド」、「可変長データ」、「ETX」等により構成される。
【0050】
また、CPU44と監視カメラ10a、10b、…との間のカメラプロトコルは、例えば図4(a)、(b)に示すように構成されている。図4はパケットサイズ例のカメラプロトコル例を示し、固定長11バイト、16バイトである。
【0051】
図4(a)はCPU44から監視カメラ10a、10b、…への送信データであり、例えば「STX」、「宛先アドレス」、「送信元アドレス」、「CMD」、「DATE」、「SUM」、「ETX」により構成される。上記「CMD」及び「DATE」は、カメラ制御命令あるいはカメラ情報取得コマンドである。
【0052】
図4(b)は監視カメラ10a、10b、…からの応答信号(受信データ)であり、「STX」、「宛先アドレス」、「送信元アドレス」、「DATE」、「DATE」、「SUM」、「ETX」により構成される。上記「DATE」、「DATE」は、監視カメラ10a、10b、…の応答信号(カメラ情報)である。
【0053】
そして、上記モデム内プロトコル変換処理は、次のようにして行なわれる。
(1)監視室20の制御CPU21から制御命令は、高周波モデム23で所定チャンネルの高周波信号に変調され、図3に示す通信プロトコルに従って混合器24より高周波幹線15に出力され、監視カメラ側に送信される。
【0054】
(2)高周波幹線15に接続されている監視カメラ側の全ての高周波モデム12a、12b、…は、監視室20の制御CPU21から高周波幹線15により送られてくる制御命令を受信し、復調部42で復調する。
(3)各高周波モデム12a、12b、…の復調部42で復調された制御命令は、CPU44の受信用バッファ45aに蓄えられる。
(4)各高周波モデム12a、12b、…のCPU44は、受信用バッファ45aに蓄えられた制御命令のアドレスを自己のアドレスに一致するかどうかを判別し、一致した場合は以下の処理を実行し、一致しなかった場合は受信用バッファ45aに蓄えたデータを破棄して処理を終了する。以下、高周波モデム12aにおけるCPU44のアドレスが一致した場合について動作を説明する。
【0055】
(5)アドレスが一致したCPU44は、受信用バッファ45aに蓄えられた制御命令を解析し、接続されている監視カメラ10aのプロトコル、すなわち、図4(a)に示すカメラプロトコルに変換して受信用バッファ45aに蓄える。
【0056】
(6)上記CPU44は、送受信切替信号によりシリアルI/F48を送信に切替え、上記受信用バッファ45aに蓄えた制御命令をシリアル通信ライン11aにより監視カメラ10aへ送信する。
(7)次にCPU44は、送受信切替信号によりシリアルI/F48を受信に切替える。
【0057】
(8)監視カメラ10aは、CPU44からの制御命令に従って動作し、図4(b)に示す制御命令に対応した応答信号をシリアル通信ライン11aよりシリアルI/F48に出力する。
(9)上記監視カメラ10aからシリアルI/F48に出力された応答信号は、CPU44の送信用バッファ45bに蓄えられる。
(10)上記CPU44は、送信用バッファ45bに蓄えたデータを解析し、図3に示すように監視室20に対する通信プロトコルに変換して送信用バッファ45bに蓄える。
【0058】
(11)次にCPU44は、キャリア・オン/オフ制御信号を制御ライン46aに出力して変調部43のキャリアをオンにする。
【0059】
(12)CPU44は、上記通信プロトコルに変換した応答信号を変調部43に出力し、所定チャンネルの高周波信号(70MHz)に変調する。この変調された応答信号(キャリア)は、双方向フィルタ41、混合器33及び混合器14aを介して高周波幹線15へ送られ、この高周波幹線15により監視室20へ送信される。
【0060】
(13)上記応答信号を送信したCPU44は、キャリア・オン/オフ制御信号を制御ライン46aから変調部43に出力してキャリアをオフする。
【0061】
上記のように各高周波モデム12a、12b、…内のCPU44は、監視室20から送られてくる制御命令を各監視カメラ10a、10b、…に適合したカメラプロトコルに変換し、また、各監視カメラ10a、10b、…からの応答信号を監視室20との通信に適合した通信プロトコルに変換して送信する。
【0062】
このため監視室20と監視カメラ側の各高周波モデム12a、12b、…との間の通信は、カメラプロトコルが変更された場合でも影響を受けず、常に1種類の通信プロトコルでデータの送受信を行なうことができる。従って、監視室20側の処理を軽減することができると共に、監視室20側と監視カメラ側のシステム切り分けが容易であり、問題発生時に対応がし易くなる。
【0063】
また、各監視カメラ10a、10b、…に対するカメラプロトコルは、監視室20に対する通信プロトコルとは無関係に設定することが可能であり、監視カメラを追加、変更する場合でも、システム納入時のカメラにこだわらず、任意プロトコルの監視カメラを使用することが可能である。なお、プロトコルの異なる監視カメラを追加、変更する場合には、その追加、変更する監視カメラに適合したカメラプロトコルをCPU44に設定する。
【0064】
[4.モデム内のプロトコル書替制御]
監視カメラ10a、10b、…を追加、変更する場合、システム納入時のカメラと異なるプロトコルの監視カメラを使用する場合には、監視カメラ側の高周波モデム12a、12b、…に設けられているCPU44のカメラプロトコルを書替える必要がある。
【0065】
以下、監視室20からの制御命令により高周波モデム12a、12b、…内のCPU44のカメラプロトコルを書替える場合の処理について説明する。
【0066】
(1)監視室20の監視員は、操作用機器22を操作し、追加/変更する監視カメラのモデムアドレスを指定すると共に、その監視カメラに適合したカメラプロトコルの送信を指示する。この場合、追加/変更する監視カメラに対するカメラプロトコルは、その都度、外部から制御CPU21に入力しても、あるいは予め複数種のプロトコルを制御CPU21に格納しておき、対応するカメラプロトコルを操作用機器22により選択しても良い。
【0067】
制御CPU21は、監視員の入力操作に基づいてプロトコル書替えの制御命令をモデムアドレス及びプロトコルデータと共に出力する。上記制御CPU21から出力される制御命令は、高周波モデム23で高周波信号に変調された後、混合器24を介して高周波幹線15に出力され、監視カメラ側に送信される。
【0068】
(2)高周波幹線15に接続されている監視カメラ側の全ての高周波モデム12a、12b、…は、監視室20の制御CPU21から高周波幹線15により送られてくる制御命令を受信し、復調部42で復調する。
(3)各高周波モデム12a、12b、…の復調部42で復調された制御命令、モデムアドレス、プロトコルデータは、CPU44の受信用バッファ45aに蓄えられる。
【0069】
(4)各高周波モデム12a、12b、…のCPU44は、受信用バッファ45aに蓄えられた制御命令のアドレスを自己のアドレスに一致するかどうかを判別し、一致した場合は以下の処理を実行し、一致しなかった場合は受信用バッファ45aに蓄えたデータを破棄して処理を終了する。以下、高周波モデム12aにおけるCPU44のアドレスが一致した場合について動作を説明する。
【0070】
(5)アドレスが一致したCPU44は、受信用バッファ45aに蓄えられた制御命令に従って動作し、それまで使用していたカメラプロトコルを監視室20から送られてきたカメラプロトコルに書替える。
(6)上記CPU44は、カメラプロトコルを書替えると、応答信号を送信用バッファ45bに蓄える。
【0071】
(7)次にCPU44は、キャリア・オン/オフ制御信号を制御ライン46aに出力して変調部43のキャリアをオンにする。
【0072】
(8)CPU44は、上記送信用バッファ45bに蓄えた応答信号を変調部43に出力して高周波信号に変調する。この変調された応答信号は、双方向フィルタ41、混合器33及び混合器14aを介して高周波幹線15へ送られ、この高周波幹線15により監視室20へ送信される。
【0073】
(9)上記応答信号を送信したCPU44は、キャリア・オン/オフ制御信号により変調部43のキャリアをオフする。
【0074】
上記のように監視カメラを追加/変更した高周波モデム12a内のCPU44は、監視室20からの制御命令に従ってカメラプロトコルの書替え処理を実行する。上記CPU44のカメラプロトコルを書替えることにより、その後、監視室20から送られてくる制御命令はCPU44において、追加/変更した監視カメラ10aに適合したプロトコルに変換され、監視方向の制御等の処理が正しく実行される。
【0075】
なお、上記の例では、監視室20から送信したプロトコルデータによってCPU44のカメラプロトコルを書替える場合について説明したが、その他、例えばCPU44に予め複数種のカメラプロトコルを格納しておき、監視カメラに適合したプロトコルを選択するようにしても良い。この場合、CPU44は、接続されている監視カメラに対し、予め用意したプロトコル確認用の制御命令を送信し、その応答信号に基づいて監視カメラが使用しているプロトコルを識別する。
【0076】
例えば図4(a)に示すカメラプロトコルにおいて、「CMD」、「DATA」として「カメラ取得コマンド」をCPU44から監視カメラ10aに送信する。上記「カメラ取得コマンド」を送信しても、監視カメラ10aから応答がなかった場合、あるいは応答信号中にエラーコードが含まれていた場合、CPU44は送信データのフォーマットを変更、例えばボーレート、ストップビット、パリティ等を変更して再度送信する。フォーマットを変更しても通信を確立できない場合には、別のカメラプロトコルを送信して監視カメラ10aのプロトコルを識別する。
【0077】
CPU44は、上記「カメラ取得コマンド」を送信し、監視カメラ10aから正常な応答信号が送られてきた場合、図4(b)に示す受信データの「DATA」、「DATA」からカメラプロトコルを識別してプロトコル、ボーレートを決定し、以後そのカメラプロトコルを用いて監視カメラ10aとの間の通信を行なう。
【0078】
上記のように高周波モデム12a、12b、…に設けられたCPU44において、追加/変更された監視カメラのプロトコルを判断してプロトコルの切替えを行なうことにより、高周波モデム12a、12b、…と監視室20との間で伝送する信号数を減少でき、監視室20の負担を軽減することができる。
【0079】
また、高周波モデム12a、12b、…は、上記した制御機能の他、監視室20からの制御命令に基づき、CPU44から制御ライン47a、47bを介して復調部42及び変調部43に周波数変更指示を与え、送受信キャリアの周波数をそれぞれ異なる値に変更できる機能を備えている。
【0080】
上記のように各高周波モデム12a、12b、…における復調部42及び変調部43の送受信キャリアの周波数を変更制御することにより、複数の周波数の信号を重複させることができ、複数の機器間でN:Nの通信が可能になる。
【0081】
次に、上記高周波モデム12a内のモデム部32について、更に詳細に説明する。
【0082】
図5は、上記モデム部32の詳細な構成を示すブロック図である。モデム部32には、モニタ表示部80が設けられており、モデム部32とモニタ表示部80との間は、詳細を後述するように接続端子76、81、及び接続端子106a、106bにより接続される。
【0083】
上記モデム部32には、高周波ライン13aに接続されるRFデータ入出力端子51、データ入力モニタ端子52、データ出力モニタ端子53が設けられる。
【0084】
上記RFデータ入出力端子51は、データ入力を分岐する入力用分岐器55、データ出力を分岐する出力用分岐器56、ローパスフィルタ57を介して双方向フィルタ41に接続される。
【0085】
上記高周波ライン13aからRFデータ入出力端子51に入力される制御命令は、入力用分岐器55、出力用分岐器56及びローパスフィルタ57を介して双方向フィルタ41に入力される。この場合、RFデータ入出力端子51に入力された制御命令は、入力用分岐器55で例えば−20dBの信号に分岐され、データ入力モニタ端子52よりモニタ信号として取り出される。
【0086】
上記双方向フィルタ41は、例えば50MHzの受信信号(制御命令)と70MHzの送信信号(応答信号)とを分離する。双方向フィルタ41から出力される出力データ(応答信号)は、ローパスフィルタ57、出力用分岐器56、入力用分岐器55を介してRFデータ入出力端子51より出力される。また、上記ローパスフィルタ57から出力されるデータ(応答信号)の一部は、出力用分岐器56で例えば−20dBの信号に分岐され、データ出力モニタ端子53よりモニタ信号として取り出される。
【0087】
上記双方向フィルタ41は、分離した受信信号を信号ライン61から出力する。この双方向フィルタ41の信号ライン61から出力される受信信号は、復調部42に設けられるバンドパスフィルタ(BPF)62により選択された後、高周波アンプ63で増幅され、レベル調整用のアッテネータ64を介してミキサ65に入力される。また、このミキサ65には、受信データ用の局部発振回路を構成する可変発振回路66から所定周波数の局部発振信号が入力される。可変発振回路66は、VCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)67及びPLL(Phase-Locked Loop)シンセサイザ68及びからなり、PLLコントローラ69及び受信チャンネル設定スイッチ例えばロータリエンコードSW(スイッチ)70によって発振周波数が設定される。ロータリエンコードSW70は、モデム部32の受信周波数を設定するためのものである。
【0088】
また、上記受信データ用の可変発振回路66は、CPU44から制御ライン47aを介してPLLシンセサイザ68に与えられる周波数変更指示によって発振周波数を設定できるようになっている。
【0089】
上記ミキサ65は、アッテネータ64でレベル調整された受信データと可変発振回路66から出力される局部発振信号とを混合し、目的とする受信データを例えば10.7MHzの中間周波信号に変換する。この中間周波信号は、10.7MHzのバンドパスフィルタ(BPF)71、72を介して例えばFSK復調器等の復調器73に入力される。この復調器73には、スケルチ調整用の可変抵抗器74が設けられている。上記復調器73は、バンドパスフィルタ71、72により選択された受信データ(制御命令)を復調し、CPU44へ出力する。
【0090】
上記CPU44は、シリアルI/F48を介して監視カメラ10aに接続される。また、CPU44は、シリアルI/F48に対し、制御ライン46bより送受信切替信号を出力して送受信の切替え制御を行なう。
【0091】
また、CPU44から出力される監視カメラ10aの応答信号は、上記復調器73で復調された受信データと共に接続端子76よりモニタ表示部80の接続端子81へ送られる。モニタ表示部80には、例えば電源のオン/オフ表示、送信データ、受信データ、受信キャリアの有無等を示す表示灯、例えば複数色の発光ダイオード82a、82b、…が設けられる。
【0092】
また、上記CPU44からは、出力ライン49よりカメラ応答信号が出力され、変調部43を構成するVCXO(Voltage Controlled Crystal Oscillator:電圧制御形水晶発振器)91へ送られる。このVCXO91は、例えば水晶発振子を備え、例えば61MHzの周波数で発振し、CPU44から出力ライン49を介して送られてくるカメラ応答信号によって変調される。上記VCXO91の発振出力、すなわちキャリアは、バンドパスフィルタ(BPF)92及び高周波スイッチ(RF−SW)93を介してミキサ94に入力される。また、高周波スイッチ93には、CPU44から制御ライン46aを介してキャリア・オン/オフ制御信号が与えられる。上記高周波スイッチ93は、CPU44からのキャリア・オン/オフ制御信号によって動作し、VCXO91からバンドパスフィルタ92を介してミキサ94へ送られるキャリアをオン/オフする。
【0093】
また、ミキサ94には、送信データ用の局部発振回路を構成する可変発振回路100が接続される。この可変発振回路100は、VCO101及びPLLシンセサイザ102からなり、PLLコントローラ69及び送信チャンネル設定スイッチ例えばロータリエンコードSW103によって発振周波数が設定される。ロータリエンコードSW103は、モデム部32の送信周波数を設定するためのものである。上記可変発振回路100の発振周波数は、通常の状態では例えば131MHzに設定される。
【0094】
また、上記送信データ用の可変発振回路100は、CPU44から制御ライン47bを介してPLLシンセサイザ102に与えられる周波数変更指示によって発振周波数を設定できるようになっている。
【0095】
そして、上記可変発振回路100の発振出力は、ミキサ94に入力され、高周波スイッチ93を介して出力されるキャリアと混合され、差の周波数信号が送信周波数(70MHz)として取り出される。上記ミキサ94から出力される信号は、ローパスフィルタ(LPF)95を介して取り出される。このローパスフィルタ95は、例えば70MHzのキャリアが通過するように周波数が設定されており、可変発振回路100から出力される例えば131MHzの局部発振周波数は阻止するようになっている。従って、高周波スイッチ93がオンし、ミキサ94からキャリアが出力されている状態では、キャリアがローパスフィルタ95を介して出力される。しかし、高周波スイッチ93がオフし、可変発振回路100の局部発振信号がミキサ94から出力されている場合には、ローパスフィルタ95で阻止される。
【0096】
上記ローパスフィルタ95から出力されるキャリアは、高周波アンプ96で増幅された後、例えばアッテネータ97に入力される。このアッテネータ97の減衰量は、モニタ表示部80に設けられたゲインコントロール用の可変抵抗器105によって調整できるようになっている。この場合、アッテネータ97の制御端子と可変抵抗器105とは、接続端子106a、106b環介して接続される。
【0097】
そして、上記アッテネータ97でレベル調整された信号は、バンドパスフィルタ(BPF)98を介して双方向フィルタ41へ送られ、この双方向フィルタ41よりローパスフィルタ57、出力用分岐器56及び入力用分岐器55を介してRFデータ入出力端子51より送信データとして出力される。このRFデータ入出力端子51から出力される送信データは、高周波ライン13aにより混合器14aを介して高周波幹線15に送出される。
【0098】
上記のように構成されたモデム部32は、監視室20から送られてくる所定周波数の例えば50MHzの制御命令を受信できるように、予めデータ受信系統における可変発振回路66の発振周波数をロータリエンコードSW70により設定する。また、監視室20に対して所定周波数例えば70MHzの送信周波数で監視カメラの応答信号を送信できるように、予めデータ送信系統における可変発振回路100の発振周波数をロータリエンコードSW103により設定する。
【0099】
そして、監視室20から高周波幹線15を介して送られてくる制御命令(RF信号)は、混合器14a、14b、…及び高周波ライン13a、13b、…を介して高周波モデム12a、12b、…に入力される。すなわち、上記高周波ライン13a、13b、…介して送られてくる制御命令は、図5に示すようにモデム部32のRFデータ入出力端子51に入力され、入力用分岐器55、出力用分岐器56及びローパスフィルタ57を介して双方向フィルタ41に入力される。双方向フィルタ41に入力された制御命令は、信号ライン61より出力され、バンドパスフィルタ62を介して高周波アンプ63で増幅された後、アッテネータ64を介してミキサ65に入力される。
【0100】
ミキサ65は、アッテネータ64でレベル調整された受信データと可変発振回路66から出力される局部発振信号とを混合し、受信データを所定の中間周波信号に変換する。この中間周波信号は、バンドパスフィルタ71、72を介して復調器73に入力される。復調器73は、バンドパスフィルタ71、72で選択された受信データ(制御命令)を復調してCPU44へ出力する。
【0101】
CPU44は、復調器73で復調された制御命令を上記したように受信用バッファ45aに蓄え、制御命令のアドレスを自己のアドレスに一致するかどうかを判別し、一致しなかった場合は受信用バッファ45aに蓄えたデータを破棄して処理を終了する。
【0102】
CPU44は、制御命令のアドレスと自己のアドレスが一致した場合、制御命令の内容を解析し、監視カメラ例えば監視カメラ10aに対する制御命令であった場合には、制御ライン46bから送受信切替信号を出力してシリアルI/F48を送信に切替え、上記受信用バッファ45aに蓄えた制御命令をシリアルI/F48及びシリアル通信ライン11aを介して監視カメラ10aへ送信する。
【0103】
次にCPU44は、制御ライン46bから送受信切替信号をシリアルI/F48に出力し、このシリアルI/F48を受信に切替えてカメラ応答信号の受信に備え、監視カメラ10aからの応答信号を受信すると、その応答信号を送信用バッファ45bに蓄える。
【0104】
そして、CPU44は、制御ライン46aへキャリア・オン/オフ制御信号を出力して高周波スイッチ93をオンにすると共に、上記送信用バッファ45bに蓄えたカメラ応答信号を出力ライン49よりVCXO91へ出力し、VCXO91の発振出力、すなわちキャリアを変調する。上記VCXO91から出力されるキャリアは、バンドパスフィルタ92、高周波スイッチ93を介してミキサ94へ送られ、可変発振回路100から出力される局部発振信号と混合されて70MHzの高周波信号に変換される。
【0105】
上記ミキサ94から出力される高周波信号は、ローパスフィルタ95を介して取り出され、高周波アンプ96により増幅された後、アッテネータ97及びバンドパスフィルタ98を介して双方向フィルタ41へ送られ、更に、ローパスフィルタ57、出力用分岐器56及び入力用分岐器55を介してRFデータ入出力端子51より送信データとして出力される。このRFデータ入出力端子51から出力される送信データは、例えば高周波ライン13aにより混合器14aを介して高周波幹線15に送出され、監視室20へ伝送される。
【0106】
また、上記応答信号を送信したCPU44は、制御ライン46aにキャリア・オン/オフ制御信号を出力し、高周波スイッチ93を開いてキャリアをオフし、双方向送受信処理を終了する。
【0107】
また、上記CPU44は、監視室20から送られてきた制御命令を解析した結果、プロトコルの変換が必要な場合には、前記[3.モデム内プロトコル変換制御]の項で説明した手順に従って、監視室20から監視カメラ10aへの制御命令、及び監視カメラ10aから監視室20への応答信号についてプロトコルの変換処理を実行する。
【0108】
また、上記CPU44は、監視室20から送られてきた制御命令を解析した結果、カメラプロトコルの書替え命令であった場合には、前記[4.モデム内のプロトコル書替制御]の項で説明した手順に従って、カメラプロトコルの書替え処理を実行する。
【0109】
また、上記CPU44は、監視室20から送られてきた制御命令を解析した結果、復調部42に対する受信周波数変更命令であった場合には、制御ライン47aを介してデータ受信系統における可変発振回路66のPLLシンセサイザ68に周波数変更指示を与え、可変発振回路66の発振周波数を監視室20により指示された値に設定する。
【0110】
また、CPU44は、変調部43に対する送信周波数変更命令が与えられた場合には、制御ライン47bを介してデータ送信系統における可変発振回路100のPLLシンセサイザ102に周波数変更指示を与え、可変発振回路66の発振周波数を監視室20により指示された値に設定する。
【0111】
上記モデム部32の処理動作において、復調器73で復調された信号やCPU44から出力される監視カメラ応答信号等は、接続端子76からモニタ表示部80の接続端子81へ送られ、発光ダイオード82a、82b、…を駆動する。この発光ダイオード82a、82b、…の発光動作によってモデム部32におけるデータの送受信動作等を確認することができる。
【0112】
上記実施形態に示した映像監視システムは、高周波幹線15として既存のCATVラインを利用して実施することも可能である。この場合、映像監視システムが使用する周波数は、既存のCATVシステムで使用している周波数とは異なる値に設定する。
【0113】
また、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の一実施形態に係る映像監視システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態における高周波モデムの構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態における監視室と監視カメラ側の高周波モデムとの間の通信プロトコルの例を示す図である。
【図4】同実施形態における高周波モデムと監視カメラとの間のカメラプロトコルの例を示し、(a)は高周波モデムから監視カメラへの送信データ例、(b)は監視カメラからの受信データ例を示す図である。
【図5】同実施形態おける高周波モデムの詳細な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0115】
10a、10b、…、…監視カメラ、11a、11b、…、…シリアル通信ライン、12a、12b、…、…高周波モデム(RFモデム)、13a、13b、…、…高周波ライン、14a、14b、…、…混合器、15…高周波幹線、20…監視室、21…制御CPU、22…操作用機器、23…高周波モデム(RFモデム)、24…混合器、25…映像復調器、26…モニタ装置、27…シリアル通信ライン、31…映像変調器、32…モデム部、33…混合器、34…映像信号ライン、41…双方向フィルタ、42…復調部、43…変調部、44…CPU、45a…受信用バッファ、45b…送信用バッファ、46a、46b、47a、47b…制御ライン、48…シリアルI/F、49…CPU44の出力ライン、51…RFデータ入出力端子、52…データ入力モニタ端子52…データ出力モニタ端子、55…入力用分岐器、56…出力用分岐器、57…ローパスフィルタ(LPF)、58…ハイパスフィルタ(HPF)、61…信号ライン、62…バンドパスフィルタ(BPF)、63…高周波アンプ、64…アッテネータ、65…ミキサ、66…可変発振回路、67…VCO、68…PLLシンセサイザ、69…PLLコントローラ、70…ロータリエンコードSW、71、72…バンドパスフィルタ(BPF)、73…復調器、74…可変抵抗器、76…接続端子、80…モニタ表示部、81…接続端子、82a、82b、…、…発光ダイオード、91…VCXO、92…バンドパスフィルタ(BPF)、93…高周波スイッチ、94…ミキサ、95…ローパスフィルタ(LPF)、96…高周波アンプ、97…アッテネータ、98…バンドパスフィルタ(BPF)、100…可変発振回路、101…VCO、102…PLLシンセサイザ、103…ロータリエンコードSW、105…可変抵抗器、106a、106b…接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域を撮影する複数の監視カメラと、前記各監視カメラにより撮影された映像信号をモニタ表示して監視すると共に該監視カメラを制御する監視室と、前記各監視カメラに対応して設けられ、前記監視室と各監視カメラとの間の送受信データを復調及び変調し、共用の高周波幹線を介して伝送する映像監視システムの高周波モデムにおいて、
前記高周波モデムは、前記監視室から前記高周波幹線を介して機器アドレスと共に送出される制御命令を復調する復調部と、前記復調部により復調された機器アドレス及び制御命令に従って対応する監視カメラを制御する制御部と、前記制御命令に対する監視カメラの応答信号を変調し、前記高周波幹線を介して前記監視室へ送信する変調部とを備え、
前記制御部は、常時は前記変調部のキャリア出力をオフし、前記監視カメラの応答信号の送出時のみ前記変調部のキャリア出力をオン状態に切替え、前記監視室との間のシリアル通信機器による双方向通信を可能としたことを特徴とする高周波モデム。
【請求項2】
前記制御部は、監視室との間の通信プロトコルと監視カメラとの間のカメラプロトコルを相互に変換するプロトコル変換手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の高周波モデム。
【請求項3】
前記制御部は、監視室からの制御命令に従って監視カメラに対するカメラプロトコルを書替える手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の高周波モデム。
【請求項4】
前記制御部は、監視室からの制御命令に従って復調部及び変調部における送受信キャリアの周波数を変更する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の高周波モデム。
【請求項5】
監視領域を撮影する複数の監視カメラと、前記各監視カメラにより撮影された映像信号をモニタ表示して監視すると共に該監視カメラを制御する監視室と、前記各監視カメラに対応して設けられ、前記監視室と各監視カメラとの間の送受信データを復調及び変調し、共用の高周波幹線を介して伝送する高周波モデムとを具備した映像監視システムにおいて、
前記高周波モデムは、請求項1ないし請求項4の何れかに記載の高周波モデムであることを特徴とする映像監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−109367(P2008−109367A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289914(P2006−289914)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(504378814)八木アンテナ株式会社 (190)
【Fターム(参考)】