高周波誘導加熱装置
【課題】簡単な構成により均一な温度分布で加熱できる高周波誘導加熱装置を提供する。
【解決手段】板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して板状導電性材料の幅方向に沿って配置された第1フェライトコアと、板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して板状導電性材料の幅方向に沿って配置されるとともに、第1フェライトコアとの間に所定の間隔を開けて両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2フェライトコアとを有し、第1と第2のフェライトコアの少なくともいずれか一方に対し幅方向における両端面近傍に1対の膨出部を形成する。
【解決手段】板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して板状導電性材料の幅方向に沿って配置された第1フェライトコアと、板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して板状導電性材料の幅方向に沿って配置されるとともに、第1フェライトコアとの間に所定の間隔を開けて両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2フェライトコアとを有し、第1と第2のフェライトコアの少なくともいずれか一方に対し幅方向における両端面近傍に1対の膨出部を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波誘導加熱装置に関し、さらに詳細には、板状の導電性の材料(本明細書においては、「板状の導電性の材料」を、単に「板状導電性材料」と適宜に称することとする。)を加熱する際に用いて好適な高周波誘導加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の形状を備えた被加熱物、例えば、板状導電性材料を加熱する際に、当該板状導電性材料がアルミニウムやステンレス鋼のような非磁性体材料またはキューリー温度を超えた磁性体材料である場合には、一般に、当該板状導電性材料の上下に誘導コイルを配置した構造(トランスバース型構造)を備えた高周波誘導加熱装置が用いられていた。
【0003】
このトランスバース型構造を備えた高周波誘導加熱装置(本明細書においては、「トランスバース型構造を備えた高周波誘導加熱装置」を単に「トランスバース型高周波誘導加熱装置」と適宜に称する。)においては、板状導電性材料の上下に配置された誘導コイルが作る磁束が当該板状導電性材料を貫通することにより、当該板状導電性材料が加熱されることになる。
【0004】
ここで、図1(a)には従来のトランスバース型高周波誘導加熱装置の概念構成斜視説明図が示されており、また、図1(b)には図1(a)のA−A線による断面構成説明図が示されている。
【0005】
この従来のトランスバース型高周波誘導加熱装置10は、長手方向において板状導電性材料12の幅方向における長さL1と同じ長さを有して形成され、板状導電性材料12を通過させる所定の間隙g1を開けて対向して配置された一対の磁性部材たる断面U字形状のフェライトコア14およびフェライトコア16と、高周波発振器(図示せず。)により発生された高周波電流を導通する線路たるフィーダー(図示せず。)を介して当該高周波発振器から高周波電流を給電される誘導コイル18、誘導コイル20、誘導コイル22および誘導コイル24を有して構成されている。
【0006】
なお、所定の間隙g1は、板状導電性材料12の厚さや板状導電性材料の上下の位置の変動あるいは加熱効率により決定される。
【0007】
より詳細には、フェライトコア14とフェライトコア16とは、断面がU字形状を構成する凹凸面を互いに対向させ、フェライトコア14およびフェライトコア16の長手方向が板状導電性材料12の搬送方向と直交するように配置され、板状導電性材料12がフェライトコア14とフェライトコア16とにより形成された間隙g1内を搬送されるようになされている。
【0008】
また、誘導コイル18は、フェライトコア14の凸部14aを囲うように配設され、誘導コイル20は、フェライトコア14の凸部14bを囲うように配設され、誘導コイル22は、フェライトコア16の凸部16aを囲うように配設され、誘導コイル24はフェライトコア16の凸部16bを囲うように配設されている。
【0009】
以上の構成において、トランスバース型高周波誘導加熱装置10の誘導コイル18、誘導コイル20、誘導コイル22、誘導コイル24に高周波発振器からフィーダーを介して高周波電流が給電されると、誘導コイル18、誘導コイル20、誘導コイル22および誘導コイル24により生成された磁束が所定の間隙g1を通過する板状導電性材料12を貫通することとなり、これにより板状導電性材料12の表面に渦電流が誘導されて板状導電性材料12が加熱されることになる。
【0010】
ここで、図2には、こうした従来のトランスバース型高周波誘導加熱装置10において加熱される板状導電性材料12の幅方向における温度分布が示されている。
【0011】
図2に示されているように、従来のトランスバース型高周波誘導加熱装置10においては、板状導電性材料12の幅方向における両方の端部の近傍において温度が低い部分が発生している。
【0012】
つまり、板状導電性材料12の幅方向における一方の端部の近傍の点P付近で低温部が生じ、他方の端部の近傍の点Q付近で低温部が生じている。
【0013】
こうした板状導電性材料12の幅方向における両方の端部の近傍に生じる低温部は、例えば、板状導電性材料12の幅方向の長さL1が400〜500mmのときに、それぞれの端部から50〜100mmの位置に生じるものであった。
【0014】
このように、従来のトランスバース型高周波誘導加熱装置によれば、板状導電性材料の幅方向における両方の端部の近傍において温度が低い部分が生じることにより、板状導電性材料の温度分布の均一化が阻害されることになるという問題点があった。
【0015】
なお、本願出願人が特許出願時に知っている先行技術は、上記において説明したようなものであって文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成により均一な温度分布で加熱することができるようにした高周波誘導加熱装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明による高周波誘導加熱装置は、一対の断面U字形状のフェライトコアの凹凸面を互いに対向させて、対向したフェライトコアが形成する間隙内に板状導電性材料を通過させるようにし、各フェライトコアの凸部の内面や外面あるいは対向する凸部の対向面の幅方向における両端面の近傍に、少なくとも1対の膨出部を形成するようにしたものである。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本発明による高周波誘導加熱装置は、それぞれU字形状の磁性材を隙間なく連設して形成された一対の断面U字形状のフェライトコアの凹凸面を互いに対向させて、対向したフェライトコアが形成する間隙内に板状導電性材料を通過させるようにする際に、幅方向における両端面の近傍に位置する1対の磁性材を他の磁性材よりも板状導電性材料に近接して配置するようにしたものである。
【0019】
ここで、1対の膨出部を形成したり、あるいは、1対の磁性材を他の磁性材よりも板状導電性材料に近接して配置する際における、幅方向における両端面の近傍とは、従来の高周波誘導加熱装置を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料の幅方向における両方の端部近傍の低温部(以下、単に「従来技術低温部」と適宜に称する。)に対応する位置とすることが好ましい。
【0020】
即ち、本発明のうち請求項1に記載の発明は、板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、上記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、上記第1のフェライトコアとの間に上記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて上記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアとを有し、上記第1のフェライトコアと上記第2のフェライトコアとの少なくともいずれか一方に対し、該一方の幅方向における両端面の近傍に少なくとも1対の膨出部を形成するようにしたものである。
【0021】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、上記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、上記第1のフェライトコアとの間に上記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて上記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアとを有し、上記第1のフェライトコアと上記第2のフェライトコアとのそれぞれに対し、幅方向における両端面の近傍に膨出部を少なくともそれぞれ1対ずつ形成するようにしたものである。
【0022】
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、上記膨出部は、上記第1のフェライトコアと上記第2のフェライトコアとの少なくともいずれか一方の長手方向に延長する側面において、上記所定の間隔内を搬送される上記板状導電性材料の近傍に形成されるようにしたものである。
【0023】
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、請求項1に記載の発明において、上記膨出部は、上記第1のフェライトコアと上記第2のフェライトコアとの対向する上記両端の凸部のうちの少なくともいずれか一方の凸部の少なくともいずれか一方の対向面に形成されるようにしたものである。
【0024】
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、本発明のうち請求項2に記載の発明において、上記膨出部は、上記第1のフェライトコアおよび上記第2のフェライトコアの長手方向に延長する側面において、上記所定の間隔内を搬送される上記板状導電性材料の近傍に形成されるようにしたものである。
【0025】
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、本発明のうち請求項2に記載の発明において、上記膨出部は、上記第1のフェライトコアと上記第2のフェライトコアとの対向する上記両端の凸部の少なくともいずれか一方の対向面に形成されたるようにしたものである。
【0026】
また、本発明のうち請求項7に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の発明において、上記膨出部は、所定の形状の磁性体を接着して形成されるようにしたものである。
【0027】
また、本発明のうち請求項8に記載の発明は、板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、U字形状の磁性材を隙間なく連設して、板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、U字形状の磁性材を隙間なく連設して、上記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、上記第1のフェライトコアとの間に上記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて上記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアとを有し、上記第1のフェライトコアを構成する上記磁性材と上記第2のフェライトコアを構成する上記磁性材との少なくともいずれか一方に関し、該一方の幅方向における両端面の近傍に位置する少なくとも1対の磁性材を他の磁性材よりも上記板状導電性材料に近接して配置するようにしたものである。
【0028】
また、本発明のうち請求項9に記載の発明は、板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、U字形状の磁性材を隙間なく連設して、板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、U字形状の磁性材を隙間なく連設して、上記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、上記第1のフェライトコアとの間に上記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて上記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアとを有し、上記第1のフェライトコアを構成する上記磁性材と上記第2のフェライトコアを構成する上記磁性材とのそれぞれに関し、幅方向における両端面の近傍に位置する少なくとも1対の磁性材を他の磁性材よりも上記板状導電性材料に近接して配置するようにしたものである。
【0029】
また、本発明のうち請求項10に記載の発明は、本発明のうち請求項8または9のいずれか1項に記載の発明において、上記第1のフェライトコアを構成する上記磁性材と上記第2のフェライトコアを構成する上記磁性材とはそれぞれ同一の形状を有しており、上記両端面の近傍に位置する少なくとも1対の磁性材と他の磁性材とをずらして配置するようにしたものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、以上説明したように構成されているので、簡単な構成により均一な温度分布で加熱することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による高周波誘導加熱装置の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0032】
なお、以下の説明においては、図1(a)(b)を参照しながら説明した従来の高周波誘導加熱装置と同一または相当する構成については、上記において用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その詳細な構成ならびに作用の説明は適宜に省略することとする。
【0033】
まず、図3(a)(b)乃至図4を参照しながら、本発明による高周波誘導加熱装置の第1の実施の形態について説明する。
【0034】
即ち、図3(a)には本発明の第1の実施の形態による高周波誘導加熱装置の概略構成斜視説明図が示されており、また、図3(b)には図3(a)のB−B線による断面構成説明図が示されており、また、図4には図3(a)におけるC矢視図が示されている。
【0035】
この図3(a)(b)乃至図4に示す高周波誘導加熱装置30は、トランスバース型高周波誘導加熱装置であって、板状導電性材料12を通過させる所定の間隙g1を開けて対向して配設された一対の磁性部材たる断面U字形状のフェライトコア14およびフェライトコア16と、フェライトコア14およびフェライトコア16に膨出部として接着された磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38と、高周波発振器(図示せず。)により発生された高周波電流を導通する線路たるフィーダー(図示せず。)を介して当該高周波発振器から高周波電流を給電される誘導コイル40および誘導コイル42とを有して構成されている。
【0036】
なお、所定の間隙g1は、板状導電性材料12の厚さや板状導電性材料12の上下の位置変動あるいは加熱効率により決定される。
【0037】
より詳細には、フェライトコア14とフェライトコア16とは、断面がU字形状を構成する凹凸面を互いに対向させ、フェライトコア14およびフェライトコア16の長手方向が板状導電性材料12の搬送方向と直交するようにして配設され、板状導電性材料12がフェライトコア14とフェライトコア16とにより形成された間隙g1内を搬送されるようになされている。
【0038】
また、誘導コイル40は、フェライトコア14の凸部14aと凸部14bとを連結する連結部14cを囲うように配置され、同様に、誘導コイル42は、フェライトコア16の凸部16aと凸部16bとを連結する連結部16cを囲むように配置されている。
【0039】
さらに、磁性体32および磁性体32と対をなす磁性体34は、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaに接着され、磁性体36および磁性体36と対をなす磁性体38は、フェライトコア14の凸部14aに対向するフェライトコア16の凸部16aの外面16aaに接着される。
【0040】
ここで、フェライトコア14およびフェライトコア16の長手方向における磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38を接着する位置は、フェライトコア14およびフェライトコア16の長手方向において、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料12の幅方向における両方の端部近傍の低温部たる従来技術低温部に対応する位置とする。
【0041】
また、板状導電性材料12に対するフェライトコア14およびフェライトコア16の高さ方向における磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38を接着する位置は、物理的干渉により、磁性体32の下面32aおよび磁性体34の下面34aがフェライトコア16の凸部16aと対向するフェライトコア14の凸部14aの対向面14eと同じ高さ位置とし、磁性体36の上面36aおよび磁性体38の上面38aがフェライトコア14の凸部14aと対向するフェライトコア16の凸部16aの対向面16eと同じ高さ位置とする。
【0042】
さらに、磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38の大きさは、板状導電性材料12の材質、厚みあるいは温度分布(特に、板状導電性材料12の幅方向における両方の端部近傍に生じる低温部)に基づき適宜に変更可能であるものとする。
【0043】
より詳細には、磁性体32は、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaにおけるフェライトコア14の長手方向において、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料12の幅方向における一方の端部近傍の低温部の点P、即ち、従来技術低温部の点Pに対応した位置に接着されている。
【0044】
また、磁性体32と対をなす磁性体34は、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaにおけるフェライトコア14の長手方向において、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料12の幅方向における他方の端部近傍の低温部の点Q、即ち、従来技術低温部の点Qに対応した位置に接着されている。
【0045】
また、磁性体36は、フェライトコア16の凸部16aの外面16aaにおけるフェライトコア16の長手方向において、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料12の幅方向における一方の端部近傍の低温部の点P、即ち、従来技術低温部の点Pに対応した位置に接着されている。
【0046】
また、磁性体36と対をなす磁性体38は、フェライトコア16の凸部16aの外面16aaにおけるフェライトコア16の長手方向において、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料12の幅方向における他方の端部近傍の低温部の点Q、即ち、従来技術低温部の点Qに対応した位置に接着されている。
【0047】
具体的には、例えば、フェライトコア14およびフェライトコア16の長手方向の長さL2が480〜600mm、幅方向の長さL3が60〜90mm、高さ方向の長さL4が45mmのときには、縦方向の長さL5が30mm、横方向の長さL6が60mm、厚さ方向の長さL7が15mmの直方体の磁性体32は、フェライトコア14の一方の端面14dから50〜80mmの位置に、下面32aが凸部16aと対向する凸部14aの対向面14eと同じ高さ位置となるよう接着され、また、縦方向の長さL5が30mm、横方向の長さL6が60mm、厚さ方向の長さL7が15mmの直方体の磁性体34は、フェライトコア14の他方の端面14fから50〜80mmの位置に、下面34aが凸部16aと対向する凸部14aの対向面14eと同じ高さ位置となるよう接着され、また、縦方向の長さL5が30mm、横方向の長さL6が60mm、厚さ方向の長さL7が15mmの直方体の磁性体36は、フェライトコア16の一方の端面16dから50〜80mmの位置に、下面36aが凸部14aと対向する凸部16aの対向面16eと同じ高さ位置となるよう接着され、また、縦方向の長さL5が30mm、横方向の長さL6が60mm、厚さ方向の長さL7が15mmの直方体の磁性体38は、フェライトコア16の他方の端面16fから50〜80mmの位置に、下面38aが凸部14aと対向する凸部16aの対向面16eと同じ高さ位置となるよう接着される。
【0048】
なお、上記した磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38の適正な大きさや、それらをフェライトコア14およびフェライトコア16に接着する適正な位置は、例えば、実験を繰り返して実験的に求めることができる。
【0049】
以上の構成において、トランスバース型高周波誘導加熱装置30の誘導コイル40および誘導コイル42に高周波発振器からフィーダーを介して高周波電流が給電されると、誘導コイル40および誘導コイル42が作る磁束が所定の間隙g1を通過する板状導電性材料12を貫通することとなり、これにより板状導電性材料12に渦電流が誘導されて板状導電性材料12が加熱されることとなる。
【0050】
ここで、トランスバース型高周波誘導加熱装置30により板状導電性材料12の表面に誘導される渦電流について説明すると、トランスバース型高周波誘導加熱装置30により板状導電性材料12の表面に誘導される渦電流は、例えば、図5(a)に示すように、互いに対向するフェライトコア14の凸部14aおよびフェライトコア16の凸部16aと、互いに対向するフェライトコア14の凸部14bおよびフェライトコア16の凸部16bとを周回するとともに、各磁性体32、34、36、38が接着された領域近傍に集中するようにして発生される。
【0051】
なお、図5(a)においては、図示を簡略化して本発明の理解を容易にするために、フェライトコア14における2つの凸部14aと凸部14bとを連結する連結部14cの図示を省略するとともに、フェライトコア16における2つの凸部16aと凸部16bとを連結する連結部16cの図示を省略している。
【0052】
即ち、図5(a)を参照しながら板状導電性材料12に誘導される渦電流について説明すると、フェライトコア14に関しては、磁性体32と磁性体34とが接着されていない凸部14bでは、凸部14bに対して渦電流が時計回り方向に周回しながら広範囲に発生しているのに対し、磁性体32と磁性体34とが接着された凸部14aでは、凸部14aに対して反時計回り方向に周回しながら発生する渦電流が、磁性体32および磁性体34の接着された領域近傍に集中するようになる。
【0053】
同様に、フェライトコア16に関しては、磁性体36と磁性体38とが接着されていない凸部16bでは、凸部16bに対して渦電流が時計回り方向に周回しながら広範囲に発生しているのに対し、磁性体36と磁性体38とが接着された凸部16aでは、凸部16aに対して反時計回り方向に周回しながら広範囲に発生する渦電流が、磁性体36および磁性体38の接着された領域近傍に集中するようになる。
【0054】
このように、フェライトコア14の凸部14aとフェライトコア16の凸部16aとにより挟まれた空間S1では、フェライトコア14の凸部14bとフェライトコア16の凸部16bとにより挟まれた空間S2よりも、板状導電性材料12の幅方向における磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38が接着された位置に対応する位置でより効果的に加熱されることになる(図5(b)を参照する。)。
【0055】
即ち、トランスバース型高周波誘導加熱装置30では、板状導電性材料12における磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38が接着された位置に対応する領域近傍に渦電流が集中することにより、磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38が接着された位置に対応する位置、つまり、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる板状導電性材料12の幅方向における両方の端部近傍の低温部たる従来技術低温部においてより効率的に加熱されることになるため、板状導電性材料12の幅方向において低温部が発生することがなくなり、板状導電性材料12の温度分布を均一にすることができる。
【0056】
つまり、トランスバース型高周波誘導加熱装置30によれば、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaにおける従来技術低温部に対応する位置に磁性体32および磁性体34を接着し、フェライトコア16の凸部16aの外面16aaにおける従来技術低温部に対応する位置に磁性体36および磁性体38を接着することにより、板状導電性材料12の表面に誘導される渦電流が磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38の接着された位置に集中するようになり、板状導電性材料12において磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38が接着された位置、つまり、板状導電性材料12における従来技術低温部が効果的に加熱されることとなり、板状導電性材料12の幅方向における低温部の発生が解消され、板状導電性材料12を加熱する際の温度分布を均一化することができる。
【0057】
次に、本願発明者が上記したトランスバース型高周波誘導加熱装置30を用いて行った実験の結果について、詳細に説明する。
【0058】
この実験においては、互いに対向して設けられたフェライトコア14およびフェライトコア16に磁性体を一対だけ設けた高周波誘導加熱装置と磁性体を三対設けた高周波誘導加熱装置とにおいて加熱された板状導電性材料12の温度分布を測定した。
【0059】
具体的な実験条件としては、磁性体を一対だけ設けた高周波誘導加熱装置では、フェライトコア14およびフェライトコア16の長手方向の長さL2を480mm、幅方向の長さL3を60mm、高さ方向の長さL4を45mmとし、縦方向の長さL5が30mm、横方向の長さL6が60mm、厚さ方向の長さL7が15mmの磁性体32をフェライトコア14の凸部14aの一方の端面14dから70mmの位置に接着し、磁性体32と同じ寸法の磁性体34をフェライトコア14の凸部14aの他方の端面14fから70mmの位置に接着し、誘導コイル40および誘導コイル42はそれぞれフェライトコア14の凸部14aと凸部14bとの連結部14cおよびフェライトコア16の凸部16aと凸部16bとの連結部16cに巻回され(図6(a)(b)を参照する。)、高周波発振器としてSST−40(島田理化工業株式会社製)を用い、発振周波数18kHz、出力トランス5:2、コンデンサ5.16μF*(1p)*1s(なお、「コンデンサ5.16μF*(1p)*1s」は、5.16μF容量のコンデンサを並列に1つ接続し、当該並列に接続したコンデンサを直列に1つ接続していることを示す。)とし、板状導電性材料12として厚さ100μmのアルミ箔を搬送速度4.5m/minで搬送して高周波誘導加熱したときのアルミ箔における温度分布をサーモグラフィーで測定した。
【0060】
さらに、磁性体を三対設けた高周波誘導加熱装置では、フェライトコア14およびフェライトコア16の長手方向の長さL2を480mm、幅方向の長さL3を60mm、高さ方向の長さL4を45mmとし、縦方向の長さL5が30mm、横方向の長さL6が60mm、厚さ方向の長さL7が15mmの磁性体32をフェライトコア14の凸部14aの一方の端面14dから50mmの位置に接着し、磁性体32と同じ寸法の磁性体34をフェライトコア14の凸部14aの他方の端面14fから50mmの位置に接着し、磁性体32と同じ寸法の磁性体36をフェライトコア16の凸部16aの一方の端部16dから50mmの位置に接着し、磁性体32と同じ寸法の磁性体38をフェライトコア16の凸部16aの他方の端部16fから50mmの位置に接着し、磁性体32と同じ寸法の磁性体72をフェライトコア14の凸部14bの一方の端部14gから50mmの位置に接着し、磁性体32と同じ寸法の磁性体74をフェライトコア14の凸部14b他方の端部14hから50mmに位置に接着し、誘導コイル40および誘導コイル42はそれぞれフェライトコア14の凸部14aと凸部14bとの連結部14cおよびフェライトコア16の凸部16aと凸部16bとの連結部16cに巻回され(図7(a)(b)を参照する。)、高周波発振器としてSST−40(島田理化工業株式会社製)を用い、発振周波数18kHz、出力トランス5:2、コンデンサ5.16μF*(1p)*1s(なお、「コンデンサ5.16μF*(1p)*1s」は、5.16μF容量のコンデンサを並列に1つ接続し、当該並列に接続したコンデンサを直列に1つ接続していることを示す。)とし、板状導電性材料12として厚さ100μmのアルミ箔を搬送速度4.5m/minで搬送して高周波誘導加熱したときのアルミ箔での温度分布をサーモグラフィーで測定した。
【0061】
これらの実験結果を図8および図9に示す。図8(a)には、磁性体を一対だけ設けた高周波誘導加熱装置により加熱されたアルミ箔の幅方向における温度分布を測定した測定結果が示され、図8(b)には、磁性体を一対だけ設けた高周波誘導加熱装置により加熱されたアルミ箔の温度分布を撮影した撮影結果が示され、図9(a)には、磁性体を三対設けた高周波誘導加熱装置により加熱されたアルミ箔の幅方向における温度分布を測定した測定結果が示され、図9(b)には、磁性体を三対設けた高周波誘導加熱装置により加熱されたアルミ箔の温度分布を撮影した撮影結果が示されている。
【0062】
図8(a)(b)に示すように、磁性体を一対だけ設けた高周波誘導加熱装置では、磁性体を接着しない高周波誘導加熱装置に比べてアルミ箔の両方の端部近傍に生じる低温部における温度が高くなった。
【0063】
さらに、図9(a)(b)に示すように、磁性体を三対設けた高周波誘導加熱装置では、磁性体を一対だけ設けた高周波誘導加熱装置に比べてアルミ箔の両方の端部近傍に生じる低温部における温度がより高くなり、アルミ箔の両方の端部近傍に生じる低温部が当該低温部以外の温度により近くなっている。
【0064】
次に、図10を参照しながら、本発明による高周波誘導加熱装置の第2の実施の形態について説明する。
【0065】
なお、以下の説明においては、図3乃至図4を参照しながら説明した本発明による高周波誘導加熱装置の第1の実施の形態と同一または相当する構成については、上記において用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その構成ならびに作用の詳細な説明は適宜に省略することとする。
【0066】
ここで、図10(a)には本発明による第2の実施の形態による高周波誘導加熱装置の概略構成説明図が示されており、また、図10(b)には図10(a)のD−D線による断面構成説明図が示されている。
【0067】
この図10(a)(b)に示す高周波誘導加熱装置50は、トランスバース型高周波誘導加熱装置であって、板状導電性材料12を通過させる所定の間隙を開けて対向して配置された一対の磁性部材たる断面U字形状のフェライトコア52およびフェライトコア54と、高周波発振器(図示せず。)により発生された高周波電流を導通する線路たるフィーダー(図示せず。)を介して当該高周波発振器から高周波電流を給電される誘導コイル40および誘導コイル42を有して構成されている。
【0068】
なお、上記した所定の間隙は、板状導電性材料12の厚さや板状導電性材料12の上下の位置変動あるいは加熱効率により決定される。
【0069】
より詳細には、フェライトコア52は、複数の断面U字形状の磁性材52aを隙間なく連設して構成されており、同様に、フェライトコア54は、複数の断面U字形状の磁性材54aを隙間なく連設して構成されており、フェライトコア52とフェライトコア54とは、断面がU字形状を構成する凹凸面を互いに対向させ、フェライトコア52およびフェライトコア54の長手方向が板状導電性材料12の搬送方向と直交する、即ち、フェライトコア52およびフェライトコア54の長手方向と板状導電性材料12の幅方向とが一致するようにして配置され、板状導電性材料12がフェライトコア52とフェライトコア54とにより形成された間隙内を搬送されるようになされている。
【0070】
また、誘導コイル40はフェライトコア52の凸部52bと凸部52cとを連結する連結部52dを囲うように配置され、同様に、誘導コイル42は、フェライトコア54の凸部54bと凸部54cとを連結する連結部54dを囲うように配置されている。
【0071】
ここで、フェライトコア52は長手方向において、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料12の幅方向における両方の端部近傍の低温部、即ち、従来技術低温部に対応する位置の磁性材52a−1と磁性材52a−2とが所定量だけ下方側に突出した位置に配置されるようになされており、フェライトコア54は長手方向において、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料12の幅方向における両方の端部近傍の低温部、即ち、従来技術低温部に対応する位置の磁性材54a−1と磁性材54a−2とが所定量だけ上方側に突出した位置に配置されるようになされている。
【0072】
即ち、フェライトコア52の長手方向において、従来技術低温部の点Pに対応した位置にある磁性材52a−1と従来技術低温部の点Qに対応した位置にある磁性材52a−2とは、他の磁性材52aよりも所定量だけ下方側に突出し、板状導電性材料12に近接して配設されている。
【0073】
一方、フェライトコア54の長手方向において、従来技術低温部の点Pに対応した位置にある磁性材54a−1と従来技術低温部の点Qに対応した位置にある磁性材54a−2とは、他の磁性材54aよりも所定量だけ上方側に突出し、板状導電性材料12に近接して配設されている。
【0074】
以上の構成において、トランスバース型高周波誘導加熱装置50の誘導コイル40および誘導コイル42に高周波発振器からフィーダーを介して高周波電流が給電されると、誘導コイル40および誘導コイル42が作る磁束が所定の間隙を通過する板状導電性材料12を貫通することとなり、これにより板状導電性材料12に渦電流が誘導されて板状導電性材料12が加熱されることとなる。
【0075】
ここで、トランスバース型高周波誘導加熱装置50により板状導電性材料12の表面に誘導される渦電流について説明すると、トランスバース型高周波誘導加熱装置50により板状導電性材料12の表面に誘導される渦電流は、例えば、図11(a)に示すように、互いに対向するフェライトコア52の凸部52bおよびフェライトコア54の凸部54bと、互いに対向するフェライトコア52の凸部52cおよびフェライトコア54の凸部54cとを周回するとともに、互いに対向する磁性材52a−1および磁性材54a−1ならびに互いに対向する磁性材52a−2および磁性材54a−2の領域近傍に集中するようにして発生される。
【0076】
なお、図11(a)においては、図示を簡略化して本発明の理解を容易にするために、フェライトコア52およびフェライトコア54の詳細な図示を省略している。
【0077】
即ち、図11(b)を参照しながら板状導電性材料12の表面に誘導される渦電流について説明すると、フェライトコア52を構成する磁性材52a−1とフェライトコア54を構成する磁性材54a−1との間の間隙g2およびフェライトコア52を構成する磁性材52a−2とフェライトコア54を構成する磁性材54a−2との間の間隙g2が、フェライトコア52を構成する他の磁性材52aとフェライトコア54を構成する他の磁性材54aとの間の間隙g3よりも板状導電性材料12に近接しているので、板状導電性材料12の表面において磁性材52a−1および磁性材54a−1の位置近傍の領域と磁性材52a−2および磁性材54a−2の位置近傍の領域とに渦電流が集中するようになる。
【0078】
従って、トランスバース型高周波誘導加熱装置50では、板状導電性材料12において磁性材52a−1および磁性材54a−1の位置近傍の領域と磁性材52a−2および磁性材54a−2の位置近傍の領域とに渦電流が集中することにより、板状導電性材料12の従来技術低温部において効率的に加熱されることとなり、板状導電性材料12の幅方向において低温部の発生がなくなり、板状導電性材料12の温度分布を均一にすることができる。
【0079】
即ち、トランスバース型高周波誘導加熱装置50によれば、フェライトコア52の板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置の磁性材52a−1と磁性材52a−2とがフェライトコア52を構成する他の磁性材よりも下方側に位置し、フェライトコア54の導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置の磁性材54a−1と磁性材54a−2とがフェライトコア54を構成する他の磁性材よりも上方側に位置することにより、板状導電性材料12の表面に誘導される渦電流が磁性材52a−1、磁性材52a−2、磁性材54a−1および磁性材54a−2の位置に集中するようになり、板状導電性材料12において磁性材52a−1、磁性材52a−2、磁性材54a−1および磁性材54a−2が位置する領域、つまり、板状導電性材料12の従来技術低温部が効率的に加熱されることとなり、板状導電性材料12の幅方向において低温部が生ずることがなく、板状導電性材料12の温度分布が均一化される。
【0080】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(11)に示すように変形することができるものである。
【0081】
(1)上記した実施の形態において、磁性体32および磁性体32と対をなす磁性体34をフェライトコア14における板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置に接着するとともに、磁性体36および磁性体36と対をなす磁性体38をフェライトコア16における板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置に接着するようにしたが、これに限られるものでなはいことは勿論である。例えば、磁性体32および磁性体34をフェライトコア14と一体化するとともに、磁性体36および磁性体38をフェライトコア16と一体化する、即ち、フェライトコアの形状が板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置で直方体形状で突出した形状とするようにしてもよい。
【0082】
具体的には、例えば、図12に示すトランスバース型高周波誘導加熱装置60のように、フェライトコア62の凸部62aの外面62aaを突出形成して膨出部部65および膨出部66を形成し、フェライトコア64の凸部64aの外面64aaを突出形成して膨出部67および膨出部68を形成するようにしてもよい。
【0083】
要するに、フェライトコアにおける板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する領域が他の領域より膨出して形成され、フェライトコアにおける板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する領域が他の領域よりも大きくなるようにすればよい。
【0084】
(2)上記した実施の形態において、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaおよびフェライトコア16の凸部16aの外面16aaに接着される磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38を直方体形状としたが、これに限られるものではないことは勿論であり、磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38の形状としては、立方体形状や円柱形状などの適宜の形状を選択することができる。
【0085】
(3)上記した実施の形態においては、板状導電性材料12の搬送方向における出口側に位置するフェライトコア14の凸部14aの外面14aaに磁性体32および磁性体34を接着し、フェライトコア16の凸部16aの外面16aaに磁性体36および磁性体38を接着するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、搬送方向の入口側に位置するフェライトコア14の凸部14bの外面14baに磁性体32および磁性体34を接着し、フェライトコア16の凸部16bの外面16baに磁性体36および磁性体38を接着するようにしてもよい。
【0086】
(4)上記した実施の形態においては、磁性体32および磁性体32と対をなす磁性体34をフェライトコア14の凸部14aの外面14aaに接着し、磁性体36および磁性体36と対をなす磁性体38をフェライトコア16の凸部16aの外面16aaに接着するようにしたが、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaとフェライトコア16の凸部16aの外面16aaとに磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38を接着しても板状導電性材料12の従来技術低温部での温度上昇が不足して、板状導電性材料12の幅方向における温度分布が均一にはならない場合には、さらに、フェライトコア14の凸部14aの内面14abとフェライトコア16の凸部16aの内面16ab、フェライトコア14の凸部14bの外面14baとフェライトコア16の凸部16bの外面16baまたはフェライトコア14の凸部14bの内面14bbとフェライトコア16の凸部16bの内面16bbといった対向する凸部の同方向の面において、板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置で1対の磁性体を接着するようにしてもよい。
【0087】
具体的には、例えば、図13(a)に示すトランスバース型高周波誘導加熱装置100のように、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaに磁性体32および磁性体32と対をなす磁性体34を接着し、フェライトコア16の凸部16aの外面16aaに磁性体36および磁性体36と対をなす磁性体38を接着し、フェライトコア14の凸部14aの内面14abに磁性体43および磁性体43と対をなす磁性体44を接着し、フェライトコア16の凸部16aの内面16abに磁性体46および磁性体46と対をなす磁性体48を接着し、フェライトコア14の凸部14bの外面14baに磁性体72および磁性体72と対をなす磁性体74を接着し、フェライトコア16の凸部16bの外面16baに磁性体76および磁性体76と対をなす磁性体78を接着し、フェライトコア14の凸部14bの内面14bbに磁性体82および磁性体82と対をなす磁性体84を接着し、フェライトコア16の凸部16bの内面16bbに磁性体86および磁性体86と対をなす磁性体88を接着するようにしてよい。
【0088】
また、トランスバース型高周波誘導加熱装置100では、板状導電性材料12の従来技術低温部の温度上昇が大きすぎて板状導電性材料12の幅方向における温度分布が均一にならない場合は、例えば、図13(b)に示すトランスバース型高周波誘導加熱装置200のように、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaに磁性体32および磁性体32と対をなす磁性体34を接着し、フェライトコア16の凸部16aの外面16aaに磁性体36および磁性体36と対をなす磁性体38を接着し、フェライトコア14の凸部14bの外面14baに磁性体72および磁性体72と対をなす磁性体74を接着し、フェライトコア16の凸部16bの外面16baに磁性体76および磁性体76と対をなす磁性体78を接着するようにしてよい。
【0089】
このように、フェライトコア14ならびにフェライトコア16に接着する磁性体を増減することにより、板状導電性材料12の従来技術低温部における温度上昇を制御することができる。
【0090】
即ち、板状導電性材料や接着させる磁性体の材質や大きさなどに応じて、フェライトコアの長手方向に延長する側面、つまり、フェライトコアの凸部の外面および内面における磁性体の接着位置や接着数を可変することにより、板状導電性材料12の従来技術低温部における温度上昇を制御することができる。
【0091】
(5)上記した実施の形態においては、磁性体32および磁性体32と対をなす磁性体34をフェライトコア14の凸部14aの外面14aaに接着し、磁性体36および磁性材36と対をなす磁性体38をフェライトコア16の凸部16aの外面16aaとに接着するようにしたが、これに限られものもではないことは勿論であり、磁性体32および磁性体34をフェライトコア14の凸部14aのフェライトコア16の凸部16aに対向する対向面14eに接着させ、磁性体36および磁性体38をフェライトコア16の凸部16aのフェライトコア14の凸部14aに対向する対向面16eに接着させるようにしてもよい。
【0092】
具体的には、例えば、図14(a)に示すトランスバース型高周波誘導加熱装置300のように、フェライトコア14の凸部14aのフェライトコア16の凸部16aに対向する対向面14eにおける従来技術低温部の点Pに対応した位置に磁性体32を接着し、フェライトコア14の凸部14aのフェライトコア16の凸部16aに対向する対向面14eにおける従来技術低温部の点Qに対応した位置に磁性体32と対をなす磁性体34を接着し、フェライトコア16の凸部16aのフェライトコア14の凸部14aに対向する対向面16eにおける従来技術低温部の点Pに対応した位置に磁性体36を接着し、フェライトコア16の凸部16aのフェライトコア14の凸部14aに対向する対向面16eにおける従来技術低温部の点Qに対応した位置に磁性材36と対をなす磁性体38を接着するようにしてもよい。
【0093】
また、フェライトコア14の対向面14eとフェライトコア16の対向面16eとに磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38を接着しても、板状導電性材料12の従来技術低温部での温度上昇が不足して板状導電性材料12の幅方向における温度分布が均一にならない場合には、さらに、フェライトコア14の凸部14bのフェライトコア16の凸部16bに対向する対向面16gとフェライトコア16の凸部16bのフェライトコア14の凸部14bに対向する対向面16gとに磁性体を接着するようにしてもよい。
【0094】
具体的には、例えば、図14(b)に示すトランスバース型高周波誘導加熱装置400のように、トランスバース型高周波誘導加熱装置300の構成に加え、フェライトコア14の凸部14bのフェライトコア16の凸部16bに対向する対向面14gにおける従来技術低温部の点Pに対応した位置に磁性体80を接着し、フェライトコア14の凸部14bのフェライトコア16の凸部16bに対向する対向面14gにおける従来技術低温部の点Qに対応した位置に磁性材80と対をなす磁性体82を接着し、フェライトコア16の凸部16bのフェライトコア14の凸部14bに対向する対向面16gにおける従来技術低温部の点Pに対応した位置に磁性体84を接着し、フェライトコア16の凸部16bのフェライトコア14の凸部14bに対向する対向面16gにおける従来技術低温部の点Qに対応した位置に磁性材84と対をなす磁性体86を接着するようにしてもよい。
【0095】
(6)上記した実施の形態において、U字形状の磁性材を隙間なく連設してフェライトコアを形成する際に、板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置の磁性材を他の磁性材よりも上方側もしくは下方側にずらして突出するように構成したが、これに限られるものではないことは勿論であり、板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置の磁性材として他の磁性材の凸部よりも長い凸部を備えたものを用い、こうした磁性材によりフェライトコアを構成するようにしてもよい。
【0096】
(7)上記した実施の形態において、U字形状の磁性材を隙間なく連設してフェライトコアを形成する際に、板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置の磁性材を1つだけ上方側もしくは下方側にずらすようにして構成したが、これに限られるものではないことは勿論であり、板状導電性材料12の従来技術低温部が広いときには、当該従来技術低温部に対応するように複数の磁性材をずらすようにしてもよい。
【0097】
(8)上記した実施の形態における高周波誘導加熱装置30、高周波誘導加熱装置60、高周波誘導加熱装置100、高周波誘導加熱装置200、高周波誘導加熱装置300ならびに高周波誘導加熱装置400においては、それぞれのフェライトコア14、16が断面U字形状の単一の磁性部材により構成される場合を図示して説明したが、これに限られるものではないことは勿論であり、高周波誘導加熱装置50と同様に、複数の断面U字形状の磁性材を隙間なく連設してフェライトコア14、16を構成するようにしてもよい。この場合には、フェライトコア14、16を構成する各磁性材のなかで従来技術低温部の位置に対応する磁性材に、磁性体32、磁性体34、磁性体36、磁性体38、磁性体43、磁性体44、磁性体46、磁性体48、磁性体62、磁性体64、磁性体66、磁性体68、磁性体72、磁性体74、磁性体76、磁性体78、磁性体80、磁性体82、磁性体84または磁性体86をそれぞれ設けるようにすればよい。
【0098】
(9)上記した各変形例においては、上記(1)において説明した変形例と同様に、磁性体43、磁性体44、磁性体46、磁性体48、磁性体62、磁性体64、磁性体66、磁性体68、磁性体72、磁性体74、磁性体76、磁性体78、磁性体80、磁性体82、磁性体84または磁性体86を接着するのではなく、それらをフェライトコア14あるいはフェライトコア16と一体化する、即ち、フェライトコアの形状が板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置で直方体形状で膨出した形状とするようにしてもよい。
【0099】
(10)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(9)に示す変形例においては、板状導電性材料12を中心にして対称となるように、フェライトコア14とフェライトコア16とに対しそれぞれ磁性体32、磁性体34、磁性体36、磁性体38、磁性体43、磁性体44、磁性体46、磁性体48、磁性体62、磁性体64、磁性体66、磁性体68、磁性体72、磁性体74、磁性体76、磁性体78、磁性体80、磁性体82、磁性体84または磁性体86を形成したが、フェライトコア14とフェライトコア16とのいずれか一方にのみ形成するようにしてもよい。
【0100】
同様に、フェライトコア52とフェライトコア54とをそれぞれ構成する磁性材のなかで、従来技術低温部に対応する位置のフェライトコア52とフェライトコア54とのいずれか一方のみの磁性材を、対向するフェライトコアに他の磁性材よりも板状導電性材料12に近接するようにずらしてもよい。
【0101】
(11)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(10)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、焼鈍などの熱処理や表面処理における加熱手段や、洗浄または塗装後の乾燥工程における乾燥手段として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1(a)は、従来技術による高周波誘導加熱装置を示す概略構成斜視説明図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線による断面構成説明図である。
【図2】図2は、図1(a)(b)に示す従来技術による高周波誘導加熱装置により加熱された場合の板状導電性材料の幅方向の温度分布を示すグラフである。
【図3】図3(a)は、本発明の第1の実施の形態による高周波誘導加熱装置を示す概略構成斜視説明図であり、図3(b)は、図3(a)のB−B線による断面構成説明図である。
【図4】図4は、図3(a)におけるC矢視図である。
【図5】図5(a)は、図3(a)(b)に示す高周波誘導加熱装置により板状導電性材料の表面に誘導された渦電流の電流経路を概念的に示す説明図であり、図5(b)は、図3(a)(b)に示す高周波誘導加熱装置のB−B線によるフェライトコアの端面構成説明図である(誘導コイルの図示は省略している。)。
【図6】図6(a)は、本願発明者による実験に用いた高周波誘導加熱装置を示す構成説明図であり、図6(b)は、図6(a)に示す高周波誘導加熱装置のE−E線による断面構成説明図である。
【図7】図7(a)は、本願発明者による実験に用いた高周波誘導加熱装置を示す構成説明図であり、図7(b)は、図7(a)に示す高周波誘導加熱装置のF−F線による断面構成説明図である。
【図8】図8(a)(b)は、図6に示す高周波誘導加熱装置を用いて行った実験結果である。
【図9】図9(a)(b)は、図7に示す高周波誘導加熱装置を用いて行った実験結果である。
【図10】図10(a)は、本発明の第2の実施に形態による高周波誘導加熱装置を示す概略構成説明図であり、図10(b)は、図10(a)のD−D線による断面構成説明図である。
【図11】図11(a)は、図10(a)(b)に示す高周波誘導加熱装置により板状導電性材料の表面に誘導された渦電流の電流経路を概念的に示す説明図であり、図11(b)は、図10(a)(b)に示す高周波誘導加熱装置のD−D線によるフェライトコアの端面構成説明図である。
【図12】図12は、本発明による高周波誘導加熱装置の変形例を示す概略構成斜視説明図である。
【図13】図13(a)(b)は、本発明による高周波誘導加熱装置の変形例を示す概略構成斜視説明図である。
【図14】図14(a)(b)は、本発明による高周波誘導加熱装置の変形例を示す概略構成斜視説明図である。
【符号の説明】
【0104】
10、30、50、60、100、200、300、400 高周波誘導加熱装置
12 板状導電性材料
14、16、52、54 フェライトコア
14a、14b、16a、16b、52b、52c、54b、54c、62a、64a 凸部
14c、16c、52d、54d 連結部
18、20、22、24、40、42 誘導コイル
32、34、36、38、43、44、46、48、62、64、66、68、72、74、76、78、80、82、84、86 磁性体
52a、52a−1、52a−2 54a、54a−1、54a−2 磁性材
65、66、67、68 突出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波誘導加熱装置に関し、さらに詳細には、板状の導電性の材料(本明細書においては、「板状の導電性の材料」を、単に「板状導電性材料」と適宜に称することとする。)を加熱する際に用いて好適な高周波誘導加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の形状を備えた被加熱物、例えば、板状導電性材料を加熱する際に、当該板状導電性材料がアルミニウムやステンレス鋼のような非磁性体材料またはキューリー温度を超えた磁性体材料である場合には、一般に、当該板状導電性材料の上下に誘導コイルを配置した構造(トランスバース型構造)を備えた高周波誘導加熱装置が用いられていた。
【0003】
このトランスバース型構造を備えた高周波誘導加熱装置(本明細書においては、「トランスバース型構造を備えた高周波誘導加熱装置」を単に「トランスバース型高周波誘導加熱装置」と適宜に称する。)においては、板状導電性材料の上下に配置された誘導コイルが作る磁束が当該板状導電性材料を貫通することにより、当該板状導電性材料が加熱されることになる。
【0004】
ここで、図1(a)には従来のトランスバース型高周波誘導加熱装置の概念構成斜視説明図が示されており、また、図1(b)には図1(a)のA−A線による断面構成説明図が示されている。
【0005】
この従来のトランスバース型高周波誘導加熱装置10は、長手方向において板状導電性材料12の幅方向における長さL1と同じ長さを有して形成され、板状導電性材料12を通過させる所定の間隙g1を開けて対向して配置された一対の磁性部材たる断面U字形状のフェライトコア14およびフェライトコア16と、高周波発振器(図示せず。)により発生された高周波電流を導通する線路たるフィーダー(図示せず。)を介して当該高周波発振器から高周波電流を給電される誘導コイル18、誘導コイル20、誘導コイル22および誘導コイル24を有して構成されている。
【0006】
なお、所定の間隙g1は、板状導電性材料12の厚さや板状導電性材料の上下の位置の変動あるいは加熱効率により決定される。
【0007】
より詳細には、フェライトコア14とフェライトコア16とは、断面がU字形状を構成する凹凸面を互いに対向させ、フェライトコア14およびフェライトコア16の長手方向が板状導電性材料12の搬送方向と直交するように配置され、板状導電性材料12がフェライトコア14とフェライトコア16とにより形成された間隙g1内を搬送されるようになされている。
【0008】
また、誘導コイル18は、フェライトコア14の凸部14aを囲うように配設され、誘導コイル20は、フェライトコア14の凸部14bを囲うように配設され、誘導コイル22は、フェライトコア16の凸部16aを囲うように配設され、誘導コイル24はフェライトコア16の凸部16bを囲うように配設されている。
【0009】
以上の構成において、トランスバース型高周波誘導加熱装置10の誘導コイル18、誘導コイル20、誘導コイル22、誘導コイル24に高周波発振器からフィーダーを介して高周波電流が給電されると、誘導コイル18、誘導コイル20、誘導コイル22および誘導コイル24により生成された磁束が所定の間隙g1を通過する板状導電性材料12を貫通することとなり、これにより板状導電性材料12の表面に渦電流が誘導されて板状導電性材料12が加熱されることになる。
【0010】
ここで、図2には、こうした従来のトランスバース型高周波誘導加熱装置10において加熱される板状導電性材料12の幅方向における温度分布が示されている。
【0011】
図2に示されているように、従来のトランスバース型高周波誘導加熱装置10においては、板状導電性材料12の幅方向における両方の端部の近傍において温度が低い部分が発生している。
【0012】
つまり、板状導電性材料12の幅方向における一方の端部の近傍の点P付近で低温部が生じ、他方の端部の近傍の点Q付近で低温部が生じている。
【0013】
こうした板状導電性材料12の幅方向における両方の端部の近傍に生じる低温部は、例えば、板状導電性材料12の幅方向の長さL1が400〜500mmのときに、それぞれの端部から50〜100mmの位置に生じるものであった。
【0014】
このように、従来のトランスバース型高周波誘導加熱装置によれば、板状導電性材料の幅方向における両方の端部の近傍において温度が低い部分が生じることにより、板状導電性材料の温度分布の均一化が阻害されることになるという問題点があった。
【0015】
なお、本願出願人が特許出願時に知っている先行技術は、上記において説明したようなものであって文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成により均一な温度分布で加熱することができるようにした高周波誘導加熱装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明による高周波誘導加熱装置は、一対の断面U字形状のフェライトコアの凹凸面を互いに対向させて、対向したフェライトコアが形成する間隙内に板状導電性材料を通過させるようにし、各フェライトコアの凸部の内面や外面あるいは対向する凸部の対向面の幅方向における両端面の近傍に、少なくとも1対の膨出部を形成するようにしたものである。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本発明による高周波誘導加熱装置は、それぞれU字形状の磁性材を隙間なく連設して形成された一対の断面U字形状のフェライトコアの凹凸面を互いに対向させて、対向したフェライトコアが形成する間隙内に板状導電性材料を通過させるようにする際に、幅方向における両端面の近傍に位置する1対の磁性材を他の磁性材よりも板状導電性材料に近接して配置するようにしたものである。
【0019】
ここで、1対の膨出部を形成したり、あるいは、1対の磁性材を他の磁性材よりも板状導電性材料に近接して配置する際における、幅方向における両端面の近傍とは、従来の高周波誘導加熱装置を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料の幅方向における両方の端部近傍の低温部(以下、単に「従来技術低温部」と適宜に称する。)に対応する位置とすることが好ましい。
【0020】
即ち、本発明のうち請求項1に記載の発明は、板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、上記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、上記第1のフェライトコアとの間に上記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて上記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアとを有し、上記第1のフェライトコアと上記第2のフェライトコアとの少なくともいずれか一方に対し、該一方の幅方向における両端面の近傍に少なくとも1対の膨出部を形成するようにしたものである。
【0021】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、上記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、上記第1のフェライトコアとの間に上記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて上記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアとを有し、上記第1のフェライトコアと上記第2のフェライトコアとのそれぞれに対し、幅方向における両端面の近傍に膨出部を少なくともそれぞれ1対ずつ形成するようにしたものである。
【0022】
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、上記膨出部は、上記第1のフェライトコアと上記第2のフェライトコアとの少なくともいずれか一方の長手方向に延長する側面において、上記所定の間隔内を搬送される上記板状導電性材料の近傍に形成されるようにしたものである。
【0023】
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、請求項1に記載の発明において、上記膨出部は、上記第1のフェライトコアと上記第2のフェライトコアとの対向する上記両端の凸部のうちの少なくともいずれか一方の凸部の少なくともいずれか一方の対向面に形成されるようにしたものである。
【0024】
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、本発明のうち請求項2に記載の発明において、上記膨出部は、上記第1のフェライトコアおよび上記第2のフェライトコアの長手方向に延長する側面において、上記所定の間隔内を搬送される上記板状導電性材料の近傍に形成されるようにしたものである。
【0025】
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、本発明のうち請求項2に記載の発明において、上記膨出部は、上記第1のフェライトコアと上記第2のフェライトコアとの対向する上記両端の凸部の少なくともいずれか一方の対向面に形成されたるようにしたものである。
【0026】
また、本発明のうち請求項7に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の発明において、上記膨出部は、所定の形状の磁性体を接着して形成されるようにしたものである。
【0027】
また、本発明のうち請求項8に記載の発明は、板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、U字形状の磁性材を隙間なく連設して、板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、U字形状の磁性材を隙間なく連設して、上記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、上記第1のフェライトコアとの間に上記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて上記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアとを有し、上記第1のフェライトコアを構成する上記磁性材と上記第2のフェライトコアを構成する上記磁性材との少なくともいずれか一方に関し、該一方の幅方向における両端面の近傍に位置する少なくとも1対の磁性材を他の磁性材よりも上記板状導電性材料に近接して配置するようにしたものである。
【0028】
また、本発明のうち請求項9に記載の発明は、板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、U字形状の磁性材を隙間なく連設して、板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、U字形状の磁性材を隙間なく連設して、上記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、上記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して上記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、上記第1のフェライトコアとの間に上記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて上記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアとを有し、上記第1のフェライトコアを構成する上記磁性材と上記第2のフェライトコアを構成する上記磁性材とのそれぞれに関し、幅方向における両端面の近傍に位置する少なくとも1対の磁性材を他の磁性材よりも上記板状導電性材料に近接して配置するようにしたものである。
【0029】
また、本発明のうち請求項10に記載の発明は、本発明のうち請求項8または9のいずれか1項に記載の発明において、上記第1のフェライトコアを構成する上記磁性材と上記第2のフェライトコアを構成する上記磁性材とはそれぞれ同一の形状を有しており、上記両端面の近傍に位置する少なくとも1対の磁性材と他の磁性材とをずらして配置するようにしたものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、以上説明したように構成されているので、簡単な構成により均一な温度分布で加熱することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による高周波誘導加熱装置の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0032】
なお、以下の説明においては、図1(a)(b)を参照しながら説明した従来の高周波誘導加熱装置と同一または相当する構成については、上記において用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その詳細な構成ならびに作用の説明は適宜に省略することとする。
【0033】
まず、図3(a)(b)乃至図4を参照しながら、本発明による高周波誘導加熱装置の第1の実施の形態について説明する。
【0034】
即ち、図3(a)には本発明の第1の実施の形態による高周波誘導加熱装置の概略構成斜視説明図が示されており、また、図3(b)には図3(a)のB−B線による断面構成説明図が示されており、また、図4には図3(a)におけるC矢視図が示されている。
【0035】
この図3(a)(b)乃至図4に示す高周波誘導加熱装置30は、トランスバース型高周波誘導加熱装置であって、板状導電性材料12を通過させる所定の間隙g1を開けて対向して配設された一対の磁性部材たる断面U字形状のフェライトコア14およびフェライトコア16と、フェライトコア14およびフェライトコア16に膨出部として接着された磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38と、高周波発振器(図示せず。)により発生された高周波電流を導通する線路たるフィーダー(図示せず。)を介して当該高周波発振器から高周波電流を給電される誘導コイル40および誘導コイル42とを有して構成されている。
【0036】
なお、所定の間隙g1は、板状導電性材料12の厚さや板状導電性材料12の上下の位置変動あるいは加熱効率により決定される。
【0037】
より詳細には、フェライトコア14とフェライトコア16とは、断面がU字形状を構成する凹凸面を互いに対向させ、フェライトコア14およびフェライトコア16の長手方向が板状導電性材料12の搬送方向と直交するようにして配設され、板状導電性材料12がフェライトコア14とフェライトコア16とにより形成された間隙g1内を搬送されるようになされている。
【0038】
また、誘導コイル40は、フェライトコア14の凸部14aと凸部14bとを連結する連結部14cを囲うように配置され、同様に、誘導コイル42は、フェライトコア16の凸部16aと凸部16bとを連結する連結部16cを囲むように配置されている。
【0039】
さらに、磁性体32および磁性体32と対をなす磁性体34は、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaに接着され、磁性体36および磁性体36と対をなす磁性体38は、フェライトコア14の凸部14aに対向するフェライトコア16の凸部16aの外面16aaに接着される。
【0040】
ここで、フェライトコア14およびフェライトコア16の長手方向における磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38を接着する位置は、フェライトコア14およびフェライトコア16の長手方向において、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料12の幅方向における両方の端部近傍の低温部たる従来技術低温部に対応する位置とする。
【0041】
また、板状導電性材料12に対するフェライトコア14およびフェライトコア16の高さ方向における磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38を接着する位置は、物理的干渉により、磁性体32の下面32aおよび磁性体34の下面34aがフェライトコア16の凸部16aと対向するフェライトコア14の凸部14aの対向面14eと同じ高さ位置とし、磁性体36の上面36aおよび磁性体38の上面38aがフェライトコア14の凸部14aと対向するフェライトコア16の凸部16aの対向面16eと同じ高さ位置とする。
【0042】
さらに、磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38の大きさは、板状導電性材料12の材質、厚みあるいは温度分布(特に、板状導電性材料12の幅方向における両方の端部近傍に生じる低温部)に基づき適宜に変更可能であるものとする。
【0043】
より詳細には、磁性体32は、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaにおけるフェライトコア14の長手方向において、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料12の幅方向における一方の端部近傍の低温部の点P、即ち、従来技術低温部の点Pに対応した位置に接着されている。
【0044】
また、磁性体32と対をなす磁性体34は、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaにおけるフェライトコア14の長手方向において、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料12の幅方向における他方の端部近傍の低温部の点Q、即ち、従来技術低温部の点Qに対応した位置に接着されている。
【0045】
また、磁性体36は、フェライトコア16の凸部16aの外面16aaにおけるフェライトコア16の長手方向において、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料12の幅方向における一方の端部近傍の低温部の点P、即ち、従来技術低温部の点Pに対応した位置に接着されている。
【0046】
また、磁性体36と対をなす磁性体38は、フェライトコア16の凸部16aの外面16aaにおけるフェライトコア16の長手方向において、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料12の幅方向における他方の端部近傍の低温部の点Q、即ち、従来技術低温部の点Qに対応した位置に接着されている。
【0047】
具体的には、例えば、フェライトコア14およびフェライトコア16の長手方向の長さL2が480〜600mm、幅方向の長さL3が60〜90mm、高さ方向の長さL4が45mmのときには、縦方向の長さL5が30mm、横方向の長さL6が60mm、厚さ方向の長さL7が15mmの直方体の磁性体32は、フェライトコア14の一方の端面14dから50〜80mmの位置に、下面32aが凸部16aと対向する凸部14aの対向面14eと同じ高さ位置となるよう接着され、また、縦方向の長さL5が30mm、横方向の長さL6が60mm、厚さ方向の長さL7が15mmの直方体の磁性体34は、フェライトコア14の他方の端面14fから50〜80mmの位置に、下面34aが凸部16aと対向する凸部14aの対向面14eと同じ高さ位置となるよう接着され、また、縦方向の長さL5が30mm、横方向の長さL6が60mm、厚さ方向の長さL7が15mmの直方体の磁性体36は、フェライトコア16の一方の端面16dから50〜80mmの位置に、下面36aが凸部14aと対向する凸部16aの対向面16eと同じ高さ位置となるよう接着され、また、縦方向の長さL5が30mm、横方向の長さL6が60mm、厚さ方向の長さL7が15mmの直方体の磁性体38は、フェライトコア16の他方の端面16fから50〜80mmの位置に、下面38aが凸部14aと対向する凸部16aの対向面16eと同じ高さ位置となるよう接着される。
【0048】
なお、上記した磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38の適正な大きさや、それらをフェライトコア14およびフェライトコア16に接着する適正な位置は、例えば、実験を繰り返して実験的に求めることができる。
【0049】
以上の構成において、トランスバース型高周波誘導加熱装置30の誘導コイル40および誘導コイル42に高周波発振器からフィーダーを介して高周波電流が給電されると、誘導コイル40および誘導コイル42が作る磁束が所定の間隙g1を通過する板状導電性材料12を貫通することとなり、これにより板状導電性材料12に渦電流が誘導されて板状導電性材料12が加熱されることとなる。
【0050】
ここで、トランスバース型高周波誘導加熱装置30により板状導電性材料12の表面に誘導される渦電流について説明すると、トランスバース型高周波誘導加熱装置30により板状導電性材料12の表面に誘導される渦電流は、例えば、図5(a)に示すように、互いに対向するフェライトコア14の凸部14aおよびフェライトコア16の凸部16aと、互いに対向するフェライトコア14の凸部14bおよびフェライトコア16の凸部16bとを周回するとともに、各磁性体32、34、36、38が接着された領域近傍に集中するようにして発生される。
【0051】
なお、図5(a)においては、図示を簡略化して本発明の理解を容易にするために、フェライトコア14における2つの凸部14aと凸部14bとを連結する連結部14cの図示を省略するとともに、フェライトコア16における2つの凸部16aと凸部16bとを連結する連結部16cの図示を省略している。
【0052】
即ち、図5(a)を参照しながら板状導電性材料12に誘導される渦電流について説明すると、フェライトコア14に関しては、磁性体32と磁性体34とが接着されていない凸部14bでは、凸部14bに対して渦電流が時計回り方向に周回しながら広範囲に発生しているのに対し、磁性体32と磁性体34とが接着された凸部14aでは、凸部14aに対して反時計回り方向に周回しながら発生する渦電流が、磁性体32および磁性体34の接着された領域近傍に集中するようになる。
【0053】
同様に、フェライトコア16に関しては、磁性体36と磁性体38とが接着されていない凸部16bでは、凸部16bに対して渦電流が時計回り方向に周回しながら広範囲に発生しているのに対し、磁性体36と磁性体38とが接着された凸部16aでは、凸部16aに対して反時計回り方向に周回しながら広範囲に発生する渦電流が、磁性体36および磁性体38の接着された領域近傍に集中するようになる。
【0054】
このように、フェライトコア14の凸部14aとフェライトコア16の凸部16aとにより挟まれた空間S1では、フェライトコア14の凸部14bとフェライトコア16の凸部16bとにより挟まれた空間S2よりも、板状導電性材料12の幅方向における磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38が接着された位置に対応する位置でより効果的に加熱されることになる(図5(b)を参照する。)。
【0055】
即ち、トランスバース型高周波誘導加熱装置30では、板状導電性材料12における磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38が接着された位置に対応する領域近傍に渦電流が集中することにより、磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38が接着された位置に対応する位置、つまり、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる板状導電性材料12の幅方向における両方の端部近傍の低温部たる従来技術低温部においてより効率的に加熱されることになるため、板状導電性材料12の幅方向において低温部が発生することがなくなり、板状導電性材料12の温度分布を均一にすることができる。
【0056】
つまり、トランスバース型高周波誘導加熱装置30によれば、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaにおける従来技術低温部に対応する位置に磁性体32および磁性体34を接着し、フェライトコア16の凸部16aの外面16aaにおける従来技術低温部に対応する位置に磁性体36および磁性体38を接着することにより、板状導電性材料12の表面に誘導される渦電流が磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38の接着された位置に集中するようになり、板状導電性材料12において磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38が接着された位置、つまり、板状導電性材料12における従来技術低温部が効果的に加熱されることとなり、板状導電性材料12の幅方向における低温部の発生が解消され、板状導電性材料12を加熱する際の温度分布を均一化することができる。
【0057】
次に、本願発明者が上記したトランスバース型高周波誘導加熱装置30を用いて行った実験の結果について、詳細に説明する。
【0058】
この実験においては、互いに対向して設けられたフェライトコア14およびフェライトコア16に磁性体を一対だけ設けた高周波誘導加熱装置と磁性体を三対設けた高周波誘導加熱装置とにおいて加熱された板状導電性材料12の温度分布を測定した。
【0059】
具体的な実験条件としては、磁性体を一対だけ設けた高周波誘導加熱装置では、フェライトコア14およびフェライトコア16の長手方向の長さL2を480mm、幅方向の長さL3を60mm、高さ方向の長さL4を45mmとし、縦方向の長さL5が30mm、横方向の長さL6が60mm、厚さ方向の長さL7が15mmの磁性体32をフェライトコア14の凸部14aの一方の端面14dから70mmの位置に接着し、磁性体32と同じ寸法の磁性体34をフェライトコア14の凸部14aの他方の端面14fから70mmの位置に接着し、誘導コイル40および誘導コイル42はそれぞれフェライトコア14の凸部14aと凸部14bとの連結部14cおよびフェライトコア16の凸部16aと凸部16bとの連結部16cに巻回され(図6(a)(b)を参照する。)、高周波発振器としてSST−40(島田理化工業株式会社製)を用い、発振周波数18kHz、出力トランス5:2、コンデンサ5.16μF*(1p)*1s(なお、「コンデンサ5.16μF*(1p)*1s」は、5.16μF容量のコンデンサを並列に1つ接続し、当該並列に接続したコンデンサを直列に1つ接続していることを示す。)とし、板状導電性材料12として厚さ100μmのアルミ箔を搬送速度4.5m/minで搬送して高周波誘導加熱したときのアルミ箔における温度分布をサーモグラフィーで測定した。
【0060】
さらに、磁性体を三対設けた高周波誘導加熱装置では、フェライトコア14およびフェライトコア16の長手方向の長さL2を480mm、幅方向の長さL3を60mm、高さ方向の長さL4を45mmとし、縦方向の長さL5が30mm、横方向の長さL6が60mm、厚さ方向の長さL7が15mmの磁性体32をフェライトコア14の凸部14aの一方の端面14dから50mmの位置に接着し、磁性体32と同じ寸法の磁性体34をフェライトコア14の凸部14aの他方の端面14fから50mmの位置に接着し、磁性体32と同じ寸法の磁性体36をフェライトコア16の凸部16aの一方の端部16dから50mmの位置に接着し、磁性体32と同じ寸法の磁性体38をフェライトコア16の凸部16aの他方の端部16fから50mmの位置に接着し、磁性体32と同じ寸法の磁性体72をフェライトコア14の凸部14bの一方の端部14gから50mmの位置に接着し、磁性体32と同じ寸法の磁性体74をフェライトコア14の凸部14b他方の端部14hから50mmに位置に接着し、誘導コイル40および誘導コイル42はそれぞれフェライトコア14の凸部14aと凸部14bとの連結部14cおよびフェライトコア16の凸部16aと凸部16bとの連結部16cに巻回され(図7(a)(b)を参照する。)、高周波発振器としてSST−40(島田理化工業株式会社製)を用い、発振周波数18kHz、出力トランス5:2、コンデンサ5.16μF*(1p)*1s(なお、「コンデンサ5.16μF*(1p)*1s」は、5.16μF容量のコンデンサを並列に1つ接続し、当該並列に接続したコンデンサを直列に1つ接続していることを示す。)とし、板状導電性材料12として厚さ100μmのアルミ箔を搬送速度4.5m/minで搬送して高周波誘導加熱したときのアルミ箔での温度分布をサーモグラフィーで測定した。
【0061】
これらの実験結果を図8および図9に示す。図8(a)には、磁性体を一対だけ設けた高周波誘導加熱装置により加熱されたアルミ箔の幅方向における温度分布を測定した測定結果が示され、図8(b)には、磁性体を一対だけ設けた高周波誘導加熱装置により加熱されたアルミ箔の温度分布を撮影した撮影結果が示され、図9(a)には、磁性体を三対設けた高周波誘導加熱装置により加熱されたアルミ箔の幅方向における温度分布を測定した測定結果が示され、図9(b)には、磁性体を三対設けた高周波誘導加熱装置により加熱されたアルミ箔の温度分布を撮影した撮影結果が示されている。
【0062】
図8(a)(b)に示すように、磁性体を一対だけ設けた高周波誘導加熱装置では、磁性体を接着しない高周波誘導加熱装置に比べてアルミ箔の両方の端部近傍に生じる低温部における温度が高くなった。
【0063】
さらに、図9(a)(b)に示すように、磁性体を三対設けた高周波誘導加熱装置では、磁性体を一対だけ設けた高周波誘導加熱装置に比べてアルミ箔の両方の端部近傍に生じる低温部における温度がより高くなり、アルミ箔の両方の端部近傍に生じる低温部が当該低温部以外の温度により近くなっている。
【0064】
次に、図10を参照しながら、本発明による高周波誘導加熱装置の第2の実施の形態について説明する。
【0065】
なお、以下の説明においては、図3乃至図4を参照しながら説明した本発明による高周波誘導加熱装置の第1の実施の形態と同一または相当する構成については、上記において用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その構成ならびに作用の詳細な説明は適宜に省略することとする。
【0066】
ここで、図10(a)には本発明による第2の実施の形態による高周波誘導加熱装置の概略構成説明図が示されており、また、図10(b)には図10(a)のD−D線による断面構成説明図が示されている。
【0067】
この図10(a)(b)に示す高周波誘導加熱装置50は、トランスバース型高周波誘導加熱装置であって、板状導電性材料12を通過させる所定の間隙を開けて対向して配置された一対の磁性部材たる断面U字形状のフェライトコア52およびフェライトコア54と、高周波発振器(図示せず。)により発生された高周波電流を導通する線路たるフィーダー(図示せず。)を介して当該高周波発振器から高周波電流を給電される誘導コイル40および誘導コイル42を有して構成されている。
【0068】
なお、上記した所定の間隙は、板状導電性材料12の厚さや板状導電性材料12の上下の位置変動あるいは加熱効率により決定される。
【0069】
より詳細には、フェライトコア52は、複数の断面U字形状の磁性材52aを隙間なく連設して構成されており、同様に、フェライトコア54は、複数の断面U字形状の磁性材54aを隙間なく連設して構成されており、フェライトコア52とフェライトコア54とは、断面がU字形状を構成する凹凸面を互いに対向させ、フェライトコア52およびフェライトコア54の長手方向が板状導電性材料12の搬送方向と直交する、即ち、フェライトコア52およびフェライトコア54の長手方向と板状導電性材料12の幅方向とが一致するようにして配置され、板状導電性材料12がフェライトコア52とフェライトコア54とにより形成された間隙内を搬送されるようになされている。
【0070】
また、誘導コイル40はフェライトコア52の凸部52bと凸部52cとを連結する連結部52dを囲うように配置され、同様に、誘導コイル42は、フェライトコア54の凸部54bと凸部54cとを連結する連結部54dを囲うように配置されている。
【0071】
ここで、フェライトコア52は長手方向において、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料12の幅方向における両方の端部近傍の低温部、即ち、従来技術低温部に対応する位置の磁性材52a−1と磁性材52a−2とが所定量だけ下方側に突出した位置に配置されるようになされており、フェライトコア54は長手方向において、従来の高周波誘導加熱装置10を用いた場合に生じる図2に示す板状導電性材料12の幅方向における両方の端部近傍の低温部、即ち、従来技術低温部に対応する位置の磁性材54a−1と磁性材54a−2とが所定量だけ上方側に突出した位置に配置されるようになされている。
【0072】
即ち、フェライトコア52の長手方向において、従来技術低温部の点Pに対応した位置にある磁性材52a−1と従来技術低温部の点Qに対応した位置にある磁性材52a−2とは、他の磁性材52aよりも所定量だけ下方側に突出し、板状導電性材料12に近接して配設されている。
【0073】
一方、フェライトコア54の長手方向において、従来技術低温部の点Pに対応した位置にある磁性材54a−1と従来技術低温部の点Qに対応した位置にある磁性材54a−2とは、他の磁性材54aよりも所定量だけ上方側に突出し、板状導電性材料12に近接して配設されている。
【0074】
以上の構成において、トランスバース型高周波誘導加熱装置50の誘導コイル40および誘導コイル42に高周波発振器からフィーダーを介して高周波電流が給電されると、誘導コイル40および誘導コイル42が作る磁束が所定の間隙を通過する板状導電性材料12を貫通することとなり、これにより板状導電性材料12に渦電流が誘導されて板状導電性材料12が加熱されることとなる。
【0075】
ここで、トランスバース型高周波誘導加熱装置50により板状導電性材料12の表面に誘導される渦電流について説明すると、トランスバース型高周波誘導加熱装置50により板状導電性材料12の表面に誘導される渦電流は、例えば、図11(a)に示すように、互いに対向するフェライトコア52の凸部52bおよびフェライトコア54の凸部54bと、互いに対向するフェライトコア52の凸部52cおよびフェライトコア54の凸部54cとを周回するとともに、互いに対向する磁性材52a−1および磁性材54a−1ならびに互いに対向する磁性材52a−2および磁性材54a−2の領域近傍に集中するようにして発生される。
【0076】
なお、図11(a)においては、図示を簡略化して本発明の理解を容易にするために、フェライトコア52およびフェライトコア54の詳細な図示を省略している。
【0077】
即ち、図11(b)を参照しながら板状導電性材料12の表面に誘導される渦電流について説明すると、フェライトコア52を構成する磁性材52a−1とフェライトコア54を構成する磁性材54a−1との間の間隙g2およびフェライトコア52を構成する磁性材52a−2とフェライトコア54を構成する磁性材54a−2との間の間隙g2が、フェライトコア52を構成する他の磁性材52aとフェライトコア54を構成する他の磁性材54aとの間の間隙g3よりも板状導電性材料12に近接しているので、板状導電性材料12の表面において磁性材52a−1および磁性材54a−1の位置近傍の領域と磁性材52a−2および磁性材54a−2の位置近傍の領域とに渦電流が集中するようになる。
【0078】
従って、トランスバース型高周波誘導加熱装置50では、板状導電性材料12において磁性材52a−1および磁性材54a−1の位置近傍の領域と磁性材52a−2および磁性材54a−2の位置近傍の領域とに渦電流が集中することにより、板状導電性材料12の従来技術低温部において効率的に加熱されることとなり、板状導電性材料12の幅方向において低温部の発生がなくなり、板状導電性材料12の温度分布を均一にすることができる。
【0079】
即ち、トランスバース型高周波誘導加熱装置50によれば、フェライトコア52の板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置の磁性材52a−1と磁性材52a−2とがフェライトコア52を構成する他の磁性材よりも下方側に位置し、フェライトコア54の導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置の磁性材54a−1と磁性材54a−2とがフェライトコア54を構成する他の磁性材よりも上方側に位置することにより、板状導電性材料12の表面に誘導される渦電流が磁性材52a−1、磁性材52a−2、磁性材54a−1および磁性材54a−2の位置に集中するようになり、板状導電性材料12において磁性材52a−1、磁性材52a−2、磁性材54a−1および磁性材54a−2が位置する領域、つまり、板状導電性材料12の従来技術低温部が効率的に加熱されることとなり、板状導電性材料12の幅方向において低温部が生ずることがなく、板状導電性材料12の温度分布が均一化される。
【0080】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(11)に示すように変形することができるものである。
【0081】
(1)上記した実施の形態において、磁性体32および磁性体32と対をなす磁性体34をフェライトコア14における板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置に接着するとともに、磁性体36および磁性体36と対をなす磁性体38をフェライトコア16における板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置に接着するようにしたが、これに限られるものでなはいことは勿論である。例えば、磁性体32および磁性体34をフェライトコア14と一体化するとともに、磁性体36および磁性体38をフェライトコア16と一体化する、即ち、フェライトコアの形状が板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置で直方体形状で突出した形状とするようにしてもよい。
【0082】
具体的には、例えば、図12に示すトランスバース型高周波誘導加熱装置60のように、フェライトコア62の凸部62aの外面62aaを突出形成して膨出部部65および膨出部66を形成し、フェライトコア64の凸部64aの外面64aaを突出形成して膨出部67および膨出部68を形成するようにしてもよい。
【0083】
要するに、フェライトコアにおける板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する領域が他の領域より膨出して形成され、フェライトコアにおける板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する領域が他の領域よりも大きくなるようにすればよい。
【0084】
(2)上記した実施の形態において、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaおよびフェライトコア16の凸部16aの外面16aaに接着される磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38を直方体形状としたが、これに限られるものではないことは勿論であり、磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38の形状としては、立方体形状や円柱形状などの適宜の形状を選択することができる。
【0085】
(3)上記した実施の形態においては、板状導電性材料12の搬送方向における出口側に位置するフェライトコア14の凸部14aの外面14aaに磁性体32および磁性体34を接着し、フェライトコア16の凸部16aの外面16aaに磁性体36および磁性体38を接着するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、搬送方向の入口側に位置するフェライトコア14の凸部14bの外面14baに磁性体32および磁性体34を接着し、フェライトコア16の凸部16bの外面16baに磁性体36および磁性体38を接着するようにしてもよい。
【0086】
(4)上記した実施の形態においては、磁性体32および磁性体32と対をなす磁性体34をフェライトコア14の凸部14aの外面14aaに接着し、磁性体36および磁性体36と対をなす磁性体38をフェライトコア16の凸部16aの外面16aaに接着するようにしたが、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaとフェライトコア16の凸部16aの外面16aaとに磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38を接着しても板状導電性材料12の従来技術低温部での温度上昇が不足して、板状導電性材料12の幅方向における温度分布が均一にはならない場合には、さらに、フェライトコア14の凸部14aの内面14abとフェライトコア16の凸部16aの内面16ab、フェライトコア14の凸部14bの外面14baとフェライトコア16の凸部16bの外面16baまたはフェライトコア14の凸部14bの内面14bbとフェライトコア16の凸部16bの内面16bbといった対向する凸部の同方向の面において、板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置で1対の磁性体を接着するようにしてもよい。
【0087】
具体的には、例えば、図13(a)に示すトランスバース型高周波誘導加熱装置100のように、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaに磁性体32および磁性体32と対をなす磁性体34を接着し、フェライトコア16の凸部16aの外面16aaに磁性体36および磁性体36と対をなす磁性体38を接着し、フェライトコア14の凸部14aの内面14abに磁性体43および磁性体43と対をなす磁性体44を接着し、フェライトコア16の凸部16aの内面16abに磁性体46および磁性体46と対をなす磁性体48を接着し、フェライトコア14の凸部14bの外面14baに磁性体72および磁性体72と対をなす磁性体74を接着し、フェライトコア16の凸部16bの外面16baに磁性体76および磁性体76と対をなす磁性体78を接着し、フェライトコア14の凸部14bの内面14bbに磁性体82および磁性体82と対をなす磁性体84を接着し、フェライトコア16の凸部16bの内面16bbに磁性体86および磁性体86と対をなす磁性体88を接着するようにしてよい。
【0088】
また、トランスバース型高周波誘導加熱装置100では、板状導電性材料12の従来技術低温部の温度上昇が大きすぎて板状導電性材料12の幅方向における温度分布が均一にならない場合は、例えば、図13(b)に示すトランスバース型高周波誘導加熱装置200のように、フェライトコア14の凸部14aの外面14aaに磁性体32および磁性体32と対をなす磁性体34を接着し、フェライトコア16の凸部16aの外面16aaに磁性体36および磁性体36と対をなす磁性体38を接着し、フェライトコア14の凸部14bの外面14baに磁性体72および磁性体72と対をなす磁性体74を接着し、フェライトコア16の凸部16bの外面16baに磁性体76および磁性体76と対をなす磁性体78を接着するようにしてよい。
【0089】
このように、フェライトコア14ならびにフェライトコア16に接着する磁性体を増減することにより、板状導電性材料12の従来技術低温部における温度上昇を制御することができる。
【0090】
即ち、板状導電性材料や接着させる磁性体の材質や大きさなどに応じて、フェライトコアの長手方向に延長する側面、つまり、フェライトコアの凸部の外面および内面における磁性体の接着位置や接着数を可変することにより、板状導電性材料12の従来技術低温部における温度上昇を制御することができる。
【0091】
(5)上記した実施の形態においては、磁性体32および磁性体32と対をなす磁性体34をフェライトコア14の凸部14aの外面14aaに接着し、磁性体36および磁性材36と対をなす磁性体38をフェライトコア16の凸部16aの外面16aaとに接着するようにしたが、これに限られものもではないことは勿論であり、磁性体32および磁性体34をフェライトコア14の凸部14aのフェライトコア16の凸部16aに対向する対向面14eに接着させ、磁性体36および磁性体38をフェライトコア16の凸部16aのフェライトコア14の凸部14aに対向する対向面16eに接着させるようにしてもよい。
【0092】
具体的には、例えば、図14(a)に示すトランスバース型高周波誘導加熱装置300のように、フェライトコア14の凸部14aのフェライトコア16の凸部16aに対向する対向面14eにおける従来技術低温部の点Pに対応した位置に磁性体32を接着し、フェライトコア14の凸部14aのフェライトコア16の凸部16aに対向する対向面14eにおける従来技術低温部の点Qに対応した位置に磁性体32と対をなす磁性体34を接着し、フェライトコア16の凸部16aのフェライトコア14の凸部14aに対向する対向面16eにおける従来技術低温部の点Pに対応した位置に磁性体36を接着し、フェライトコア16の凸部16aのフェライトコア14の凸部14aに対向する対向面16eにおける従来技術低温部の点Qに対応した位置に磁性材36と対をなす磁性体38を接着するようにしてもよい。
【0093】
また、フェライトコア14の対向面14eとフェライトコア16の対向面16eとに磁性体32、磁性体34、磁性体36および磁性体38を接着しても、板状導電性材料12の従来技術低温部での温度上昇が不足して板状導電性材料12の幅方向における温度分布が均一にならない場合には、さらに、フェライトコア14の凸部14bのフェライトコア16の凸部16bに対向する対向面16gとフェライトコア16の凸部16bのフェライトコア14の凸部14bに対向する対向面16gとに磁性体を接着するようにしてもよい。
【0094】
具体的には、例えば、図14(b)に示すトランスバース型高周波誘導加熱装置400のように、トランスバース型高周波誘導加熱装置300の構成に加え、フェライトコア14の凸部14bのフェライトコア16の凸部16bに対向する対向面14gにおける従来技術低温部の点Pに対応した位置に磁性体80を接着し、フェライトコア14の凸部14bのフェライトコア16の凸部16bに対向する対向面14gにおける従来技術低温部の点Qに対応した位置に磁性材80と対をなす磁性体82を接着し、フェライトコア16の凸部16bのフェライトコア14の凸部14bに対向する対向面16gにおける従来技術低温部の点Pに対応した位置に磁性体84を接着し、フェライトコア16の凸部16bのフェライトコア14の凸部14bに対向する対向面16gにおける従来技術低温部の点Qに対応した位置に磁性材84と対をなす磁性体86を接着するようにしてもよい。
【0095】
(6)上記した実施の形態において、U字形状の磁性材を隙間なく連設してフェライトコアを形成する際に、板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置の磁性材を他の磁性材よりも上方側もしくは下方側にずらして突出するように構成したが、これに限られるものではないことは勿論であり、板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置の磁性材として他の磁性材の凸部よりも長い凸部を備えたものを用い、こうした磁性材によりフェライトコアを構成するようにしてもよい。
【0096】
(7)上記した実施の形態において、U字形状の磁性材を隙間なく連設してフェライトコアを形成する際に、板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置の磁性材を1つだけ上方側もしくは下方側にずらすようにして構成したが、これに限られるものではないことは勿論であり、板状導電性材料12の従来技術低温部が広いときには、当該従来技術低温部に対応するように複数の磁性材をずらすようにしてもよい。
【0097】
(8)上記した実施の形態における高周波誘導加熱装置30、高周波誘導加熱装置60、高周波誘導加熱装置100、高周波誘導加熱装置200、高周波誘導加熱装置300ならびに高周波誘導加熱装置400においては、それぞれのフェライトコア14、16が断面U字形状の単一の磁性部材により構成される場合を図示して説明したが、これに限られるものではないことは勿論であり、高周波誘導加熱装置50と同様に、複数の断面U字形状の磁性材を隙間なく連設してフェライトコア14、16を構成するようにしてもよい。この場合には、フェライトコア14、16を構成する各磁性材のなかで従来技術低温部の位置に対応する磁性材に、磁性体32、磁性体34、磁性体36、磁性体38、磁性体43、磁性体44、磁性体46、磁性体48、磁性体62、磁性体64、磁性体66、磁性体68、磁性体72、磁性体74、磁性体76、磁性体78、磁性体80、磁性体82、磁性体84または磁性体86をそれぞれ設けるようにすればよい。
【0098】
(9)上記した各変形例においては、上記(1)において説明した変形例と同様に、磁性体43、磁性体44、磁性体46、磁性体48、磁性体62、磁性体64、磁性体66、磁性体68、磁性体72、磁性体74、磁性体76、磁性体78、磁性体80、磁性体82、磁性体84または磁性体86を接着するのではなく、それらをフェライトコア14あるいはフェライトコア16と一体化する、即ち、フェライトコアの形状が板状導電性材料12の従来技術低温部に対応する位置で直方体形状で膨出した形状とするようにしてもよい。
【0099】
(10)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(9)に示す変形例においては、板状導電性材料12を中心にして対称となるように、フェライトコア14とフェライトコア16とに対しそれぞれ磁性体32、磁性体34、磁性体36、磁性体38、磁性体43、磁性体44、磁性体46、磁性体48、磁性体62、磁性体64、磁性体66、磁性体68、磁性体72、磁性体74、磁性体76、磁性体78、磁性体80、磁性体82、磁性体84または磁性体86を形成したが、フェライトコア14とフェライトコア16とのいずれか一方にのみ形成するようにしてもよい。
【0100】
同様に、フェライトコア52とフェライトコア54とをそれぞれ構成する磁性材のなかで、従来技術低温部に対応する位置のフェライトコア52とフェライトコア54とのいずれか一方のみの磁性材を、対向するフェライトコアに他の磁性材よりも板状導電性材料12に近接するようにずらしてもよい。
【0101】
(11)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(10)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、焼鈍などの熱処理や表面処理における加熱手段や、洗浄または塗装後の乾燥工程における乾燥手段として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1(a)は、従来技術による高周波誘導加熱装置を示す概略構成斜視説明図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線による断面構成説明図である。
【図2】図2は、図1(a)(b)に示す従来技術による高周波誘導加熱装置により加熱された場合の板状導電性材料の幅方向の温度分布を示すグラフである。
【図3】図3(a)は、本発明の第1の実施の形態による高周波誘導加熱装置を示す概略構成斜視説明図であり、図3(b)は、図3(a)のB−B線による断面構成説明図である。
【図4】図4は、図3(a)におけるC矢視図である。
【図5】図5(a)は、図3(a)(b)に示す高周波誘導加熱装置により板状導電性材料の表面に誘導された渦電流の電流経路を概念的に示す説明図であり、図5(b)は、図3(a)(b)に示す高周波誘導加熱装置のB−B線によるフェライトコアの端面構成説明図である(誘導コイルの図示は省略している。)。
【図6】図6(a)は、本願発明者による実験に用いた高周波誘導加熱装置を示す構成説明図であり、図6(b)は、図6(a)に示す高周波誘導加熱装置のE−E線による断面構成説明図である。
【図7】図7(a)は、本願発明者による実験に用いた高周波誘導加熱装置を示す構成説明図であり、図7(b)は、図7(a)に示す高周波誘導加熱装置のF−F線による断面構成説明図である。
【図8】図8(a)(b)は、図6に示す高周波誘導加熱装置を用いて行った実験結果である。
【図9】図9(a)(b)は、図7に示す高周波誘導加熱装置を用いて行った実験結果である。
【図10】図10(a)は、本発明の第2の実施に形態による高周波誘導加熱装置を示す概略構成説明図であり、図10(b)は、図10(a)のD−D線による断面構成説明図である。
【図11】図11(a)は、図10(a)(b)に示す高周波誘導加熱装置により板状導電性材料の表面に誘導された渦電流の電流経路を概念的に示す説明図であり、図11(b)は、図10(a)(b)に示す高周波誘導加熱装置のD−D線によるフェライトコアの端面構成説明図である。
【図12】図12は、本発明による高周波誘導加熱装置の変形例を示す概略構成斜視説明図である。
【図13】図13(a)(b)は、本発明による高周波誘導加熱装置の変形例を示す概略構成斜視説明図である。
【図14】図14(a)(b)は、本発明による高周波誘導加熱装置の変形例を示す概略構成斜視説明図である。
【符号の説明】
【0104】
10、30、50、60、100、200、300、400 高周波誘導加熱装置
12 板状導電性材料
14、16、52、54 フェライトコア
14a、14b、16a、16b、52b、52c、54b、54c、62a、64a 凸部
14c、16c、52d、54d 連結部
18、20、22、24、40、42 誘導コイル
32、34、36、38、43、44、46、48、62、64、66、68、72、74、76、78、80、82、84、86 磁性体
52a、52a−1、52a−2 54a、54a−1、54a−2 磁性材
65、66、67、68 突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、
板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、
前記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、前記第1のフェライトコアとの間に前記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて前記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアと
を有し、
前記第1のフェライトコアと前記第2のフェライトコアとの少なくともいずれか一方に対し、該一方の幅方向における両端面の近傍に少なくとも1対の膨出部を形成した
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項2】
板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、
板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、
前記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、前記第1のフェライトコアとの間に前記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて前記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアと
を有し、
前記第1のフェライトコアと前記第2のフェライトコアとのそれぞれに対し、幅方向における両端面の近傍に膨出部を少なくともそれぞれ1対ずつ形成した
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項3】
請求項1に記載の高周波誘導加熱装置において、
前記膨出部は、前記第1のフェライトコアと前記第2のフェライトコアとの少なくともいずれか一方の長手方向に延長する側面において、前記所定の間隔内を搬送される前記板状導電性材料の近傍に形成された
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項4】
請求項1に記載の高周波誘導加熱装置において、
前記膨出部は、前記第1のフェライトコアと前記第2のフェライトコアとの対向する前記両端の凸部のうちの少なくともいずれか一方の凸部の少なくともいずれか一方の対向面に形成された
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項5】
請求項2に記載の高周波誘導加熱装置において、
前記膨出部は、前記第1のフェライトコアおよび前記第2のフェライトコアの長手方向に延長する側面において、前記所定の間隔内を搬送される前記板状導電性材料の近傍に形成された
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項6】
請求項2に記載の高周波誘導加熱装置において、
前記膨出部は、前記第1のフェライトコアと前記第2のフェライトコアとの対向する前記両端の凸部の少なくともいずれか一方の対向面に形成された
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の高周波誘導加熱装置において、
前記膨出部は、所定の形状の磁性体を接着して形成された
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項8】
板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、
U字形状の磁性材を隙間なく連設して、板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、
U字形状の磁性材を隙間なく連設して、前記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、前記第1のフェライトコアとの間に前記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて前記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアと
を有し、
前記第1のフェライトコアを構成する前記磁性材と前記第2のフェライトコアを構成する前記磁性材との少なくともいずれか一方に関し、該一方の幅方向における両端面の近傍に位置する少なくとも1対の磁性材を他の磁性材よりも前記板状導電性材料に近接して配置した
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項9】
板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、
U字形状の磁性材を隙間なく連設して、板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、
U字形状の磁性材を隙間なく連設して、前記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、前記第1のフェライトコアとの間に前記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて前記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアと
を有し、
前記第1のフェライトコアを構成する前記磁性材と前記第2のフェライトコアを構成する前記磁性材とのそれぞれに関し、両端面の近傍に位置する少なくとも1対の磁性材を他の磁性材よりも前記板状導電性材料に近接して配置した
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項10】
請求項8または9のいずれか1項に記載の高周波誘導加熱装置において、
前記第1のフェライトコアを構成する前記磁性材と前記第2のフェライトコアを構成する前記磁性材とはそれぞれ同一の形状を有しており、前記両端面の近傍に位置する少なくとも1対の磁性材と他の磁性材とをずらして配置した
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項1】
板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、
板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、
前記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、前記第1のフェライトコアとの間に前記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて前記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアと
を有し、
前記第1のフェライトコアと前記第2のフェライトコアとの少なくともいずれか一方に対し、該一方の幅方向における両端面の近傍に少なくとも1対の膨出部を形成した
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項2】
板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、
板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、
前記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を備え、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、前記第1のフェライトコアとの間に前記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて前記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアと
を有し、
前記第1のフェライトコアと前記第2のフェライトコアとのそれぞれに対し、幅方向における両端面の近傍に膨出部を少なくともそれぞれ1対ずつ形成した
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項3】
請求項1に記載の高周波誘導加熱装置において、
前記膨出部は、前記第1のフェライトコアと前記第2のフェライトコアとの少なくともいずれか一方の長手方向に延長する側面において、前記所定の間隔内を搬送される前記板状導電性材料の近傍に形成された
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項4】
請求項1に記載の高周波誘導加熱装置において、
前記膨出部は、前記第1のフェライトコアと前記第2のフェライトコアとの対向する前記両端の凸部のうちの少なくともいずれか一方の凸部の少なくともいずれか一方の対向面に形成された
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項5】
請求項2に記載の高周波誘導加熱装置において、
前記膨出部は、前記第1のフェライトコアおよび前記第2のフェライトコアの長手方向に延長する側面において、前記所定の間隔内を搬送される前記板状導電性材料の近傍に形成された
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項6】
請求項2に記載の高周波誘導加熱装置において、
前記膨出部は、前記第1のフェライトコアと前記第2のフェライトコアとの対向する前記両端の凸部の少なくともいずれか一方の対向面に形成された
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の高周波誘導加熱装置において、
前記膨出部は、所定の形状の磁性体を接着して形成された
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項8】
板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、
U字形状の磁性材を隙間なく連設して、板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、
U字形状の磁性材を隙間なく連設して、前記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、前記第1のフェライトコアとの間に前記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて前記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアと
を有し、
前記第1のフェライトコアを構成する前記磁性材と前記第2のフェライトコアを構成する前記磁性材との少なくともいずれか一方に関し、該一方の幅方向における両端面の近傍に位置する少なくとも1対の磁性材を他の磁性材よりも前記板状導電性材料に近接して配置した
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項9】
板状導電性材料を高周波電流により誘導加熱するトランスバース型構造の高周波誘導加熱装置において、
U字形状の磁性材を隙間なく連設して、板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第1の誘導コイルが配設された第1のフェライトコアと、
U字形状の磁性材を隙間なく連設して、前記板状導電性材料の幅方向と直交する搬送方向における両端において突出形成された凸部と該凸部を連結する連結部とを有して構成されるU字形状を形成し、かつ、前記板状導電性材料の幅方向の長さと等しい長さを有して前記板状導電性材料の幅方向に沿って配置され、該連結部に第2の誘導コイルが配設されるとともに、前記第1のフェライトコアとの間に前記板状導電性材料が搬送可能な所定の間隔を開けて前記両端の凸部同士が互いに対向するように配置された第2のフェライトコアと
を有し、
前記第1のフェライトコアを構成する前記磁性材と前記第2のフェライトコアを構成する前記磁性材とのそれぞれに関し、両端面の近傍に位置する少なくとも1対の磁性材を他の磁性材よりも前記板状導電性材料に近接して配置した
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項10】
請求項8または9のいずれか1項に記載の高周波誘導加熱装置において、
前記第1のフェライトコアを構成する前記磁性材と前記第2のフェライトコアを構成する前記磁性材とはそれぞれ同一の形状を有しており、前記両端面の近傍に位置する少なくとも1対の磁性材と他の磁性材とをずらして配置した
ことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−108605(P2010−108605A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276357(P2008−276357)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】
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