説明

高屈折率眼鏡用累進多焦点プラスチックレンズ

【課題】 ウレタン樹脂と比較して屈折率は高いが脆性なエピスルフィド系樹脂を用いたレンズの耐衝撃性を向上させることである。
【解決手段】 屈折率1.70以上のエピスルフィド系樹脂モノマーで成形された累進多焦点レンズであって少なくともプライマー層とハードコート層を備え、レンズ中心厚及びその重量の条件が、遠用部にマイナスレンズを構成するものにおいては、前記レンズの中心厚が1.0mm〜1.9mmの範囲にあり、眼鏡枠に装着前もしくは装着後のレンズの長径又は直径を50mm以内に設定したとき、レンズの重量を11g〜4gの範囲とし、遠用部度数は0.00〜−10.00の範囲を対象にしている。但し加入度数は1.00〜3.00とし特に需要の多い分野のレンズの耐衝撃性を向上させ中心厚が薄くてもFDA規格値の少なくとも1.5倍を達成できるようにすることを主眼にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現時点で最も屈折率の高いエピスルフィド樹脂を用いた眼鏡用プラスチックレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡用プラスチックレンズは屈折率の高い樹脂を用いることで薄いレンズを提供することができる。近年では屈折率1.60以上1.70未満のウレタン樹脂が全盛を極めており、中心厚0.7mm以上のレンズが流通している。プラスチックレンズは耐擦傷性が劣るためレンズ面へのハードコート層の被着が不可欠になっている。耐擦傷性を向上させるためには、有機硅素やエポキシ樹脂等のハードコート層が設けられ、その上層に反射防止層を形成するために金属薄膜密着させるには極めて有効であるが、衝撃によりこのハードコート層や反射防止層に亀裂が生じた場合にはレンズ本体まで亀裂が波及し、一気にレンズを破壊する場合があり大きな欠点となっている。従って耐衝撃性は何等これらの薄膜を構成しない成形後のレンズの1/20に低下すると云われている。これらの欠点を解消するためにレンズ本体とハードコート層の間にプライマー層を一定以上の厚さで形成することで耐衝撃性が向上し眼鏡着用者の安全を確保している。
【0003】
耐衝撃性の評価は米国FDA規格により実施されるのが一般的であり、重量約16.4gの鋼球をレンズ上方127cmから自然落下させ衝突したときの状態をもって評価している。衝突したときのエネルギーは位置エネルギーで換算され0.204ジュールに相当する。更に着用者の安全性を補償するための基準としてアメリカ国家規格(ANSI Z87.1 1−2003)では工業用安全メガネとして、直径25.4mmの鋼球をレンズ上方127cmから落下させ衝突したときの状態で評価しているが衝突したときのエネルギー値はFDA規格の4倍に相当する。本発明者らが属する(株)アサヒオプティカルは、この安全性に着目し、ウレタン樹脂レンズにおける安全性を検証してその成果をPCT/JP96/03099にて出願し、米国特許第6070979号及びヨーロッパ特許0801320号を取得している。
【0004】
眼鏡用レンズは薄くて軽いレンズが要求されるが、屈折率が高ければ薄いレンズを提供できることは自明であり、近年屈折率1.70以上のエピスルフィド系樹脂が上市されている。エピスルフィド樹脂はエポキシ系の樹脂であるが、高屈折率を求めた結果物性は硬くて脆い性質である。眼鏡用レンズは日本では近視用のマイナスレンズに需要は多いが、中心厚を薄くせざるを得ず温度変化や眼鏡枠に装填したときの応力により中心部の形状が多少波打つような現象が生じて実用に適さない場合がある。マイナスレンズの断面形状はFDA規格のような落球テストに対して最も抵抗力のない形状であり、中心厚を厚くする以外に耐衝撃性を向上させる方法が見いだせない。中心厚を厚くすると折角の高屈折率樹脂の長所をレンズに具現できないが、それでもプライマーの組成及びハードコートの膜厚を検討してFDA規格の1倍の耐衝撃性を確保するために中心厚を1.0mmを超える範囲に設定している。
【0005】
エピスルフィド系樹脂に関する出願のうち特に耐衝撃性について記載している先行技術としては次の文献が挙げられる。文献1には実施例の中で中心厚1.5mm、直径3cmのマイナスレンズに127cmの高さから114gの鉄球を落下し割れなかったことが記載されていが屈折率は1.63と低い。FDA規格の7倍に相当する。文献2には2.5mm厚の平板に127cmの高さより300gの鉄球を落下させて、破壊しなかった例を記載している。FDA規格の18倍に相当する。文献3は硫黄含有ポリウレアウレタンに関し、少なくとも1種のエピスルフィド含有物質を含んでおり屈折率は1.57〜1.60でアッベ数が35と高い数値を示している。耐衝撃性はFDA規格の10倍を越えるエネルギー値が示されている。文献4には高屈折率、高アッベ数、高耐衝撃性を有する樹脂素材について記載されている。屈折率は1.75と高い数値であるが耐衝撃性についての具体的な記載はない。これらの文献はレンズ用樹脂の組成に関するものであり、流通しているプラスチックレンズの耐衝撃性について述べてはいない。
【特許文献1】特開平10−114764号
【特許文献2】特開2003−26674号
【特許文献3】特表2005−509703号
【特許文献4】特開2005−239553号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、ウレタン樹脂と比較して屈折率は高いがどちらかといえば脆性なエピスルフィド系樹脂を用いたレンズの耐衝撃性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、屈折率1.70以上のエピスルフィド系樹脂モノマーで成形された累進多焦点レンズであって少なくともプライマー層とハードコート層を備え、レンズ中心厚及びその重量の条件が、(a)遠用部にマイナスレンズを構成するものにおいては、前記レンズの中心厚が1.0mm〜1.9mmの範囲にあり、眼鏡枠に装着前もしくは装着後のレンズの長径又は直径を50mm以内に設定したとき、レンズの重量を11g〜4gの範囲とし、遠用部度数は0.00〜−10.00の範囲を対象にしている。また、(b)遠用部にプラスレンズを構成するものにおいては、前記レンズの中心厚が2.7mm〜7.5mmの範囲にあり、眼鏡枠に装着前もしくは装着後にレンズの長径又は直径を50mm以内に設定したとき、レンズの重量が13g〜10gの範囲とし、遠用部度数は+1.00〜+4.00の範囲を対象にしている。但し加入度数は1.00〜3.00とし特に需要の多い分野のレンズの耐衝撃性を向上させることを主眼にしている。耐衝撃性の観点から検証を行うと特に遠用部にマイナスレンズを構成する場合は中心厚が1mm近傍の値を取る場合が多く不慮の衝撃で破損し眼を損傷する可能性が高い。ウレタン樹脂レンズは中心厚0.7mmでもFDA規格値の4倍を保証できるが、エピスルフィド系の樹脂は脆性でFDA規格値の1倍程度となり、量産されるレンズには当然ばらつきが生じて危険なレンズが流通している。
【0008】
一般的に機械工学の分野では、材料が衝撃荷重に対して示す抵抗を衝撃強さと云うが実際に行われている試験は衝撃破壊試験であって、破壊に費やされた仕事量、あるいはその時材料が吸収するエネルギーを試験片断面積で除して、これらを衝撃値と呼んでいる。衝撃値が小さい試験片の破面は塑性変形が少なく、脆性破面を呈するが、衝撃値が大きい試験片の断面は大きな塑性変形を起こすとされている。FDA試験はまさに衝撃破壊試験であり、与える衝撃エネルギーを種々規定し耐衝撃性の優劣を示す基準にしている。エピスルフィド系樹脂からなるレンズはどちらかと云えば脆性に属しているから、規定された耐衝撃エネルギーを越えるためにはレンズの断面積を大きくして単位面積当たりの衝撃エネルギーを小さくする必要がある。従って、流通するレンズメーカーが供給するレンズの直径が70乃至80mmとして、直径及び度数により断面積が異なるから実験的にFDA規格値の1倍を越える中心厚の範囲を求めている。その結果、度数の低いマイナスレンズの中心厚は度数の大きいマイナスレンズの中心厚より厚くなる傾向にある。耐衝撃性をFDAの少なくとも1.5倍としているのは、量産する中で品質のばらつきは避けられないから最悪の場合でもFDAの1倍以上を確保するためであり、FDAの3乃至4倍以上にするとレンズの中心厚が2mmは必要となり折角の高屈折率樹脂の特徴を損なうことになる。
【0009】
プライマー層を形成する樹脂としてはポリウレタン樹脂が好適であり、特開平3−109502号に開示された熱硬化性ポリウレタン、特開平6−337376号に開示された無機微粒子を含有させた熱硬化性ポリウレタン樹脂等が用いられる。更に市販されているWitcobond,W−240(Crompton社製)は水分散系ウレタン樹脂であり、風乾30分で指触乾燥し膜厚も2μ以上が簡単に得られる。いずれもディッピング法で塗布されるが耐衝撃性をFDA規格値の1.5倍を越えるためには2乃至3μは必要である。プライマーの組成は近年屈折率を高くする開発が進められ屈折率1.62を達成している。本発明ではこのようなプライマーも利用しうるものである。
【0010】
プライマーとして利用できる他の組成物は、ゴム系エマルジョンに密着成分と高屈折率ゾルを添加した衝撃吸収能を有するプライマーである。エピスルフィド系樹脂レンズはどちらかといえば脆性でありレンズ全体を弾性体で覆うことで耐衝撃性を高めることができる。
【0011】
また、ポリエステル樹脂液に密着成分、粘弾性成分、高屈折率ゾルを添加した水性プライマーも利用できる。構成は熱可塑性エラストマーの水性エマルジョンに添加したウレタンエラストマーをシランカップリング剤で加水分解し、密着成分N−メチル−2−ピロリドンを0.01〜0.1重量部を添加し、更に粘弾性成分としてシリコーン変性有機系樹脂及びスチレンブタジェン系エマルジョンを0.05〜0.2重量%添加した後、高屈折率ゾルを30〜50重量%添加した組成物である。
【0012】
また、水性アクリル・ポリウレタン樹脂をシランカップリング剤で加水分解し、密着成分N−メチル−2−ピロリドンを0.01〜0.1重量部を添加し、更に粘弾性成分スチレンブタジェン系エマルジョンを0.05〜0.2重量%添加した後、高屈折率ゾルを30〜50重量%添加した組成物も利用できる。
【0013】
その他に、エポキシ樹脂化合物に密着成分、粘弾性成分、高屈折率ゾルを添加したエポキシ樹脂系の弾性プライマーも利用できる。
【0014】
ハードコート層を形成する樹脂は屈折率1.47以上のオルガノシロキサン系ハードコート層が用いられる。この層を形成する樹脂は、シリコン樹脂主成分とする硬化性組成物からなり、アルキル基、アルケニル基、アリル基、ビニル基またはエポキシ基、ハロゲン基、アミノ基、メタクリロキシ基などを有する炭化水素基などで置換されたシラノール化合物、その加水分解物あるいは部分宿合物などに代表されるベース樹脂に粒径1〜50mμのコロイダルシリカを分散せしめた組成物などを挙げることができる。更に屈折率を上げる目的で微粒子状ジルコニア、鉄などを添加してもよい。ハードコート層はその膜厚が2μ以下では耐擦傷性、耐衝撃性が不充分となり、4μを越えると面だれを生じて面精度が低下する。このハードコート層の上に5層よりなる反射防止の金属薄膜を蒸着法により施しても金属薄膜の影響による耐衝撃性の低下は除かれる。レンズ用樹脂が1.74と高屈折率になったことを反映してハードコートの組成も高屈折率ゾルを利用し近年では屈折率1.69が達成されている。本発明でもこのようなハードコート組成物を用いて干渉縞の解消に効果を上げている。
【0015】
上述した熱硬化性ポリウレタン樹脂プライマー層とハードコート層及び反射防止薄膜の組み合わせは、本出願人が先に取得した米国特許及びヨーロッパ特許に記載されたようにウレタン樹脂レンズの表面加工として用いており、FDA規格の4倍以上の耐衝撃性が保証されているものである。ウレタン樹脂レンズの耐衝撃性は中心厚が1.1mm程度でFDA規格値の12倍を有しているが、エピスルフィドはFDA規格値の1倍程度しかない。従ってプライマー層は衝撃緩衝層としての役割が求められ、粘弾性成分を含有する組成物は好適である。そのためウレタン樹脂レンズの場合に比較して膜厚は大きくする必要がある。
【0016】
また、前記金属酸化物を蒸着した反射防止膜の代わりに、前記ハードコート層の上に屈折率が1.3乃至1.35の非晶質フッ素樹脂からなる低屈折率層をコーティングにより形成し、前記屈折率が1.74のレンズの上に屈折率1.47以上のハードコート層及び空気の屈折率に最も近い屈折率が1.3乃至1.35の低屈折率層をこの順に積層することで、各層の界面における反射光を少なくして干渉縞を軽減させるほか視感透過率を向上させる。
【発明の効果】
【0017】
エピスルフィド樹脂は高屈折率であるためにできるだけ薄いレンズを供給することが優先されるが、耐衝撃性が低いためともすると安全性に欠けるレンズが流通する。本発明はこの点を重視しレンズの薄さを維持しながら眼鏡着用者の安全性も保証している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
衝撃値がFDA規格値の少なくとも1倍を越えるレンズを用意し、これにプライマー層とハードコート層及び反射防止膜を形成しても少なくともFDA規格値の1.5倍以上の耐衝撃性を有するエピスルフィド樹脂レンズを提供する。本願発明は高屈折率累進多焦点レンズの安全性を確保することを主眼にしているが、遠用部にマイナスレンズを設ける場合には中心厚が薄くなり特に耐衝撃性を検証するためにマイナスレンズを十分に検証することとした。
【実施例1】
【0019】
先ずレンズ基材を成形する際に衝撃値がFDA規格値の1倍を越えるエピスルフィド樹脂レンズを特定するために度数−1.0、度数−2.0、度数−3.0のマイナスレンズのそれぞれに、中心厚1.0、1.1、1.2、1.3、1.4mmの中心厚をもつレンズを各3個宛作製する。これらのレンズをFDA試験要領に基づき、16.4gの鋼球を127cmの高さから自然落下させレンズの中央に衝突させ、細い放射状の小さなスタークラックが生じた場合を合格の最低条件として全数落球テストを行った。中心厚1.0mmは度数−1.0及び−2.0は貫通したが、度数−3.0は小さなスタークラックにとどまり合格した。中心厚1.1mmは小さなスタークラックが度数−1.0のレンズに認められたが1個を合格とした。1.2mmと1.3mmは衝撃痕は見られたがクラックは発生しなかった。度数が大きくなるとレンズ断面積が増加し、合格する確率は高くなる。試験の結果を図1(a)図に表として示す。更に同(b)図にはFDA規格値の2倍の衝撃エネルギーを与えた場合の試験結果を表として示す。遠用部度数が−2.00Dの場合中心厚は1.2mmが必要であり、度数−1.0の場合は中心厚1.4mmでは不充分であり1.5mmにした場合は3個とも合格した。
【0020】
新たに度数−1.0〜−3.0のレンズを対象に、前記各中心厚を有するレンズをそれぞれ3個宛作製し、同じ中心厚のレンズに熱硬化型ポリウレタン樹脂からなるプライマー溶液にディッピングしてプライマー層の膜厚を1μ、2μ、3μになるよう調整して成膜した。プライマー層が指触乾燥したところでオルガノシロキサン系のハードコート液にディッピングして、乾燥時の膜厚が全数2.6μの膜厚になるよう調整してハードコート層を形成した。
【0021】
ハードコート層を形成したのち、その上に5層の金属薄膜からなる反射防止膜を蒸着してレンズを完成させた。全数にFDA規格値の2倍の落球テストを行い損傷の状態を検証した。中心厚1.0mmのレンズはプライマーの膜厚が3μのものは合格したが、2μと1μは不合格となった。中心厚が1.1mm以上では度数−2.0及び−3.0はFDA規格値の2倍は合格し、中心厚が1.3mm以上では全数合格となっている。度数−1.0では中心厚が1.4mmを越えてから小さなスタークラックで納まり、図示していないが中心厚1.5mmで合格した。その結果を図2に表として示す。
【0022】
度数により同じ中心厚でもレンズの断面積が異なるがその状況を図3を用いて説明する。樹脂はエピスルフィド樹脂を用いている。(a)図1aは度数−1.0で中心厚1.0mmのマイナスレンズ、(b)図1bは度数−2.0で中心厚1.0、(c)図1cは度数−3.0で中心厚1.0mmを示し、それぞれの断面積を記載している。(d)図1dはマイナスレンズ1aの中心厚を1.5mmにした場合で断面積を130mm以上になる中心厚を示しており、中心厚が増加したときの断面積の増加割合を確認するためである。(e)図1eはマイナスレンズレンズ1bの中心厚を1.2mmにした場合の断面積の増加率を検証するためのものである。FDA規格値1倍を越えるためには断面積が130mm以上必要である。
【実施例2】
【0023】
図4は屈折率1.74のエピスルフィド系樹脂を用いて成形された累進多焦点レンズ2の模式断面図である。遠用部には度数−2.00Dのマイナスレンズが構成され、近用部には度数0.00が構成され、加入度数は2.00Dである。中心厚は1.20mmである。レンズ全体の重量は基準径75mmで14gである。眼鏡枠入れに必要な直径を50mmとした場合の重量は5gである。累進多焦点レンズの遠用部度数に対する加入度数、中心厚と基準径及び直径50mmに加工した場合のそれぞれの重量を図5に一覧表として示す。ここに記載の重量はプライマー層、ハードコート層、反射防止膜を含む重量であり、耐衝撃特性は全数FDA規格値の2倍以上を達成している。
【産業上の利用可能性】
【0024】
レンズの製造過程で中心厚等にばらつきが生じても、高屈折率であり、耐衝撃性が少なくともFDA規格値の1倍以上を保証できるので眼鏡着用者の安全を保証できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】成形されたレンズについて(a)図はFDA規格値1倍の耐衝撃性の結果を示す表であり、(b)図はFDA規格値2倍の耐衝撃性試験結果を示す表である。(実施例1)
【図2】成形されたレンズにプライマー層、ハードコート層、反射防止層を加工した後に、FDA規格値の2倍の耐衝撃試験を行った結果を示す表である。(実施例1)
【図3】度数と中心厚の異なるマイナスレンズの断面図である。(実施例1)
【図4】累進多焦点レンズの模式断面図である。(実施例2)
【図5】累進多焦点レンズの遠用部度数に対する加入度数、中心厚と基準径及び直径50mmに加工した場合の重量を示す表である。(実施例2)
【符号の説明】
【0026】
1 マイナスレンズ
2 累進多焦点レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率1.70以上のエピスルフィド系樹脂モノマーで成形されたレンズであって少なくともプライマー層とハードコート層を備え、レンズ中心厚及びその重量が次の(a)及び(b)のいずれかを構成したことを特徴とする高屈折率眼鏡用累進多焦点プラスチックレンズ。
(a)前記レンズの中心厚が1.0mm〜1.9mmの範囲にあり、眼鏡枠に装着前もしくは装着後のレンズの長径または直径を50mm以内に設定したとき、レンズの重量が11g未満であり遠用部にマイナスレンズを構成する。
(b)前記レンズの中心厚が2.7mm〜7.5mmの範囲にあり、眼鏡枠に装着前もしくは装着後のレンズの長径もしくは直径を50mm以内に設定したとき、レンズの重量が18g未満であり遠用部にプラスレンズを構成する。
【請求項2】
FDA規格値の少なくとも1.5倍以上の耐衝撃性を示す請求項1に記載の累進多焦点プラスチックレンズ。
【請求項3】
前記ハードコート層の上に反射防止層を備えた請求項1又は2に記載の累進多焦点プラスチックレンズ。
【請求項4】
前記ハードコート層の上に屈折率が1.3近傍の非晶質フッ素樹脂からなる低屈折率層を備え、前記レンズと前記ハードコート層及び前記低屈折率層をこの順に積層して干渉縞を軽減したことを特徴とする請求項1に記載の高屈折率プラスチックレンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−46282(P2008−46282A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220779(P2006−220779)
【出願日】平成18年8月12日(2006.8.12)
【出願人】(000116231)ワシ興産株式会社 (25)
【Fターム(参考)】