説明

高強度布構造体および均一な厚みを有するその継ぎ目、並びにそれらを形成するための方法

高強度フレキシブル布構造体は複数のフレキシブル布セクションを含み、各セクションは互い違いな繊維配向の複数の層を含む。接合部は隣接するセクション間に配置される。各セクションの層はオフセットされており、同じ繊維配向の層がオーバーラップすることなく、二つのセクション間に均一な厚みの継ぎ目を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体的に均一厚みを有する高強度布に関し、この布は、布セクションが一つに接合される継ぎ目領域を含み、無線周波伝送損失を低減するために、布構造体、特にレドームにおいて使用される。
【0002】
この出願は、2003年7月16日に出願された米国特許出願No.10/620,888に関する利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
空気支持式フレキシブル布構造体には、陸軍シェルター、折り畳み式燃料および水貯蔵タンク、通信レドームおよびアンテナ保護用レーダーレドーム、ハンガー、シェルター、スポーツ用複合「ドーム」および他の構造体が含まれる。そうした布構造体は制御可能な環境を提供し、かつ熱ゆがみ、日光、雨および他の作用からの防護物として機能する。他の例では、布を用いた工学的膨脹物は、飛行船、軽飛行機、小形飛行船、エアビームおよびエアフロート、エアバッグ、および衝撃吸収体を含む。建築用布はまた、スポーツ複合体、輸送複合体、円形劇場、および屋外パビリオンカバーに見出すことができる。工業用布の用途は、自治体および産業用排水処理タンク用の匂い閉じ込めカバーに見出すことができる。
【0004】
現在、高強度の構造物用フレキシブル布継ぎ合わせ技術では、布構造体を形成する、さまざまな布セクションを一つに接合するのに、熱溶着可能な、熱可塑性の、「オーバーラップ」あるいは「突合せ接合」継ぎ目を利用する。事実、あらゆる公知の高強度布構造体は「オーバーラップ」あるいは「突合せ接合」技術を使用している。
【0005】
現在の布構造体および継ぎ目構造の欠点は、それらには出来上がった構造体に望ましくない厚みの不連続部が生じるということである。とりわけ、この厚みの不連続部は局所的な応力集中を引き起こし、これが構造体全体の強度要求を増大させる。しかも、レーダー用途、たとえばレドームにおける布の使用に関して、無線周波(RF)伝送損失が、「オーバーラップ」あるいは「突合せ接合」継ぎ目によって形成される厚みの不連続部によって生じる。オーバーラップあるいは突合せ接合継ぎ目によって形成されるレドームのより厚みの大きな領域を経て伝わるRF波は、より低い速度で伝わり、反射するかあるいは散乱し、これによって望ましくない無線周波損失およびRF効率の低下が生じる。この結果、甚大な費用が掛かってもRF損失を補償するために、さらなる出力が要求される。15〜20%の効率低下によって、0.10dBのオーダーの損失が生じ、そうした損失はレドームによって保護されるレーダーシステムにおける7けたのコスト増大につながることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ本発明の目的は、均一な厚みを有する高強度布構造体を提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、オーバーラップまたは突合せ接合継ぎ目を持たないか、あるいは少なくともオーバーラップまたは突合せ接合継ぎ目が縮小された高強度布継ぎ目を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、レドームを含むフレキシブル布構造体および空気支持式構造体、工学的膨脹物、建築用布、および工業用布において使用される高強度布継ぎ目を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、電波周波(RF)損失を低減するためにレドームとして有用な高強度布構造体を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、電力要求、およびレドームによって保護されたレーダーアンテナシステムに係るコストを低減するレドームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、均一な厚みを有する高強度布継ぎ目およびより少ないRF損失が、マトリックス材中に繊維のレイヤーすなわち層を特別に配向すると共に、食い違い状態すなわちオフセット状態で二つの布セクション間の継ぎ目において層を積み重ねることによって実現されるという知見に基づくものである。
【0012】
本発明は複数のフレキシブル布セクションを備えた高強度フレキシブル布構造体を特徴とし、各セクションは互い違いな繊維配向の複数の層を含む。ある例では、隣接するセクション間に接合部が存在し、各セクションの層はオフセットし、同じ繊維配向の層がオーバーラップしないよう二つのセクション間に均一な厚みの継ぎ目を形成している。
【0013】
ある好ましい実施形態では、フレキシブル布構造体は各セクションに少なくとも三つの層を含むことができる。第1および第3の層は0°および90°で配向された繊維を有していてもよく、第2の繊維は±45°で偏向された繊維を有していてもよい。層繊維は織られても、編まれても、あるいは一方向のものであってもよい。各層の繊維は、ポリウレタン樹脂材のようなフレキシブルなマトリックス材中に配されてもよい。
【0014】
各セクションの層は一つに熱溶着されても、あるいは一つに積層(ラミネート)されてもよく、しかもセクションが接合部において熱溶着あるいは積層(ラミネート)されてもよい。熱溶着あるいはラミネーションと同等の、他の公知の熱・圧力誘起手法が用いられてもよい。高強度フレキシブル布構造体は、レーダーシステムを取り囲むレドームであってもよい。
【0015】
ある例では、第1の布セクションは、第2の層から外側に突出する第1の層を備えた縁部を含んでいてもよい。第2の層自体は第3の層から外側に突出していてもよい。隣接する第2のセクションは、第2の層の内側にオフセットした第1の層を備えた隣接する縁部を有していてもよい。第2の層自体は、二つのセクション間の接合部において、第1のセクションの第1の層が第2のセクションの第2の層の上に配置されると共に、第1のセクションの第2の層が第2のセクションの第3の層の上に配置されるよう、第3の層の内側にオフセットしていてもよい。
【0016】
本発明はまた第1および第2の布セクションを有するフレキシブル布構造体を特徴とし、ここで第1および第3の層は、第1の方向、好ましくは0°および90°でそれぞれ配向された、フレキシブルなマトリックス材中の複数の繊維を含んでおり、かつ第2の層は第2の方向(これは±45°で偏向されてもよい)に配向されたフレキシブルなマトリックス材中の複数の繊維を含む。第1および第2のセクション間の接合部は、この接合部が第1および第2のセクションの厚みと同じ厚みを有するよう第1のセクションの層が第2のセクションの層と食い違い構造をなすように構成されかつ配置されてもよい。
【0017】
本発明はまた複数のフレキシブル布セクションを含む高強度フレキシブル布構造体を特徴とし、各セクションは複数の層を含み、各層はフレキシブルなマトリックス中に配された繊維ならびに隣接する第1および第2のセクション間の接合部を有する。第1のセクションは第2の層から外側に突出するその第1の層を備えた縁部を有していてもよく、かつ第2の隣接するセクションは第2の層から内側にオフセットしたその第1の層を備えた縁部を有していてもよく、かつ第1のセクションの第1の層は第2のセクションの第2の層の上に配されてもよい。第1のセクションはさらに、この第1のセクションの第2の層から内側にオフセットした第3の層を備えていてもよい。第2の隣接するセクションはさらに、この第2のセクションの第2の層から外側に突出する第3の層を備えていてもよく、しかも第1のセクションの第2の層は、この第2のセクションの第3の層の上に配置されてもよい。
【0018】
本発明はさらに、複数のフレキシブル布セクションならびに隣接するセクション間の接合部を備えた高強度フレキシブル布構造体を特徴とし、各セクションは少なくとも三つの層を含み、第1の層は0°および90°で配向された繊維を有し、第2の層は±45°で偏向された繊維を有し、第3の層は0°および90°で配向された繊維を有し、各セクションの層はオフセットしており、同じ繊維配向の層がオーバーラップすることなく、二つのセクション間に均一な厚みの継ぎ目を形成している。
【0019】
本発明はまた、第1の布セクションと第2の布セクションとを備えた均一な継ぎ目厚みのフレキシブル布構造体を特徴とし、第1の布セクションは、第1の方向に配向された複数の繊維を含む第1の層と、第2の方向に配向された複数の繊維を含む第2の層と、第1の方向に配向された複数の繊維を含む第3の層とを具備してなる。第2の布セクションは、第1の方向に配向された複数の繊維を含む第1の層、第2の方向に配向された複数の繊維を含む第2の層、第1の方向に配向された複数の繊維を含む第3の層を備えていてもよく、ここで、第1および第2のセクション間の接合部は、この接合部が第1および第2の布セクションの厚みと同じ厚みを有するよう第1のセクションの層が第2のセクションの層と食い違い構造をなすように構成されかつ配置される。
【0020】
本発明はさらに高強度フレキシブル布構造体を形成するための方法を特徴とし、この方法は、それぞれが互い違いな繊維配向の複数の層を含むよう複数のフレキシブルな布セクションを形成することを含む。この方法はさらに、各セクションの層をオフセットすること、ならびに同じ繊維配向の層が重なり合わないように隣接するセクション同士を接合することを含んでいてもよい。ある好ましい実施形態では、各セクションには少なくとも三つの層が存在し、第1および第3の層は0°および90°で配向された繊維を有し、かつ第2の層は±45°で偏向された繊維を有する。本方法はさらに、層繊維を織ること、ならびにポリウレタン樹脂材のようなフレキシブルなマトリックス材中に各層の繊維を配することを含んでいてもよい。層繊維は編まれても、あるいは一方向のものであってもよい。上記セクションは、各セクションの層を一つに熱溶着あるいはラミネートすることによって接合されてもよく、しかも接合部においてセクションを熱溶着あるいは積層(ラミネート)することを含んでいてもよい。他の公知の、熱溶着またはラミネーションと同等の熱・圧力誘起手法を用いることもできる。本方法はさらに、レドームカバーとしてフレキシブル布セクションを形作ることを含んでいてもよい。
【0021】
オフセットさせるステップは、第2の層から外側に第1のセクションの第1の層を突出させること、ならびに第3の層から外側に第2の層自体を突出させることを含んでいてもよい。第2のセクションの第1の層はその第2の層から内側にオフセットしていてもよく、かつ第2の層は第3の層から内側にオフセットしていてもよい。接合ステップは、第1のセクションの第1の層を第2のセクションの第2の層の上に配置すること、ならびに第1のセクションの第2の層を第2のセクションの第3の層の上に配置することを含んでいてもよい。
【0022】
本発明による方法はまた、複数の布セクションを形成することと、セクション同士がオーバーラップせずに隣接するセクションに当接しかつつながるよう各セクションを構成しかつ配置することとを具備してもよく、これによって均一な厚みの布構造体が形成される。本方法は、第1、第2および第3の層を重ね合わせることと、この第1、第2および第3の層をオフセット状態で第2のフレキシブル布部の同様に配向された層と接合することとを含んでいてもよい。
【0023】
本発明はまた、均一厚みのフレキシブル布構造体を形成する方法を特徴とし、0°および90°で配向された複数の繊維を含むフレキシブル布の第1の層、±45°で配向された複数の繊維を含むフレキシブル布の第2の層、ならびに0°および90°で配向された複数の繊維を含むフレキシブル布の第3の層を備えた第1のフレキシブル布部を形成するステップと、第1、第2および第3の層を積層するステップと、第1、第2および第3の層をオフセット状態で第2のフレキシブル布部の同様に配向された層と接合すると共に均一な厚みの継ぎ目を形成するステップとを具備する。
【0024】
本発明はさらに少なくとも二つのフレキシブル布セクションを用いた高強度フレキシブル布継ぎ目を特徴とし、各セクションは互い違いな繊維配向の複数の層を備える。各セクションの層はオフセットされていてもよく、同じ繊維配向の層がオーバーラップすることなく接合されてもよい。ある好ましい実施形態では、各セクションには少なくとも三つの層が存在する。第1および第3の層は、0°および90°で配向された繊維を有していてもよい。第2の層は±45°で偏向された繊維を有していてもよい。層繊維は織られても、編まれても、あるいは一方向のものであってもよく、ポリウレタン樹脂材のようなフレキシブルなマトリックス材中に配されてもよい。各セクションの層は一つに熱溶着されても積層されてもよく、セクション同士が一つに熱溶着されても積層されてもよく、しかも熱溶着あるいはラミネーションに類似の、他の同等の熱・圧力誘起手法が使用されてもよい。
【0025】
本発明の継ぎ目はさらに、第2の層から外側に突出するその第1の層を備えた縁部を含む第1のセクションを具備してもよい。第2の層自体は第3の層から外側に突出してもよい。隣接する第2のセクションは、第2の層から内側にオフセットしたその第1の層を備えた隣接する縁部を有し、第2の層自体は第3の層から内側にオフセットし、これによって第1のセクションの第1の層は第2のセクションの第2の層の上に配置されている。第1のセクションの第2の層は第2のセクションの第3の層の上に配置されている。
【0026】
本発明の均一な厚みを有するフレキシブル布継ぎ目はまた、第1および第2の布セクションを備えてもよく、このそれぞれは、第1の方向に配向された、フレキシブル樹脂マトリックス材中の複数の繊維を備えた第1および第3の層を有する。第2の層は、第2の方向に配向されたフレキシブル樹脂マトリックス材中の複数の繊維を含んでもよい。第1のセクションの層は第2のセクションの層と食い違い構造をなしかつこの第2のセクションの層と接合されてもよく、これによって上記継ぎ目は、第1および第2の布セクションの第1、第2および第3の層の組み合わされた厚みと等しい厚みを有する。
【0027】
本発明はさらに、少なくとも二つのフレキシブルな布セクションを含む高強度フレキシブル布継ぎ目を特徴とし、そのそれぞれは複数の層を含み、各層はフレキシブルなマトリックス中に配された繊維を有し、第1のセクションは、第2の層から外側に突出するその第1の層を備えた縁部を有する。第2の隣接するセクションは、第2の層から内側にオフセットしたその第1の層を備えた縁部を有していてもよく、しかも第1のセクションの第1の層は第2のセクションの第2の層の上に配されていてもよい。第1のセクションは、この第1のセクションの第2の層から内側にオフセットした第3の層を含んでいてもよい。第2の隣接するセクションは、この第2のセクションの第2の層から外側に突出する第3の層を含んでいてもよく、第1のセクションの第2の層は第2のセクションの第3の層の上に配されていてもよい。
【0028】
本発明はさらに、均一厚みを備えたフレキシブル布継ぎ目を特徴とし、このものは、第1の方向に配向された複数の繊維を含む第1の層と、第2の方向に配向された複数の繊維を含む第2の層と、第1の方向に配向された複数の繊維を含む第3の層とを有する第1の布セクション、ならびに第2の布セクションを具備してなる。第2の布セクションは、第1の方向に配向された複数の繊維を含む第1の層と、第2の方向に配向された複数の繊維を含む第2の層と、第1の方向に配向された複数の繊維を含む第3の層とを含んでいてもよい。第1のセクションの層は第2のセクションの層と食い違い構造をなしかつこの第2のセクションの層と接合されてもよく、これによって上記継ぎ目は、第1および第2の布セクションの第1、第2および第3の層の組み合わされた厚みと等しい厚みを有する。
【0029】
高強度フレキシブル布継ぎ目を形成する方法は、それぞれが互い違いな繊維配向の複数の層を含むよう複数のフレキシブル布セクションを形成することと、各セクションの層をオフセットさせることと、同じ繊維配向の層がオーバーラップしないように隣接するセクション同士を接合することとを含んでいてもよい。
【0030】
本発明はさらに、高強度フレキシブル布継ぎ目を形成するための方法を特徴とし、この方法は、それぞれが少なくとも三つの互い違いな繊維配向の層を含むようフレキシブル布セクションを形成することと、各セクションの層をオフセットさせることと、同じ繊維配向の層がオーバーラップしないように隣接するセクション同士を接合することと、層繊維を織ることと、フレキシブルなマトリックス材中に各層の繊維を配することと、を具備してなる。
【0031】
本発明はまた、複数のフレキシブル布セクションを備えたレドーム構造体を特徴とする。ある実施例では、各セクションは互い違いな繊維配向の複数の層を含んでいてもよい。レドームはさらに、隣接するセクション間の接合部を含んでいてもよく、ここで各セクションの層はオフセットしており、同じ繊維配向の層がオーバーラップすることなく、セクション間の均一厚みの継ぎ目を形成している。
【0032】
上記以外の目的、特徴ならびに利点は、以下の好ましい実施形態に関する説明ならびに添付図面から、当業者には明白であろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下で説明する好ましい実施形態に加えて、本発明はその他の実施形態をとることができ、かつさまざまな方式で実施あるいは実行できる。ゆえに本発明は、その応用に関して、以下の説明または図面に開示された構成の細部および構成要素の配置に限定されるものではない、ということを理解されたい。
【0034】
上記背景の段落で論じたように、図1のレドーム10のような空気支持式フレキシブル布構造体は接合された布セクション12a〜12nからなり、これらは、布セクション12fおよび12gを接合する継ぎ目22に関して示すように継ぎ目によって接合されている。通常、こうした構造体は図2に示すオーバーラップ接合によって形成される継ぎ目を利用するが、ここでは布セクション12aは部分的に布セクション12bとオーバーラップしている。各布セクション12a〜12nは、図2に布セクション12bに関して示すレイヤーすなわち層14および16と、布セクション12aに関して示す層18および20から形成可能である。図2から分かるように、オーバーラップ領域22は、個々の布セクション12aまたは12bの厚みよりも非常に厚みが大きい(すなわち少なくともその2倍の厚みである)。典型的な例では、オーバーラップ領域22の幅は、約5インチであるが、このオーバーラップ領域22の幅は、多くの因子、たとえば布の強度および構造体が抗しなければならない荷重に依存する、ということが分かるであろう。
【0035】
他の従来型布継ぎ目構造を図3に示す。図3においては、いわゆる突合せ接合部が形成されている。この突合せ接合継ぎ目は二つの布セクション12cおよび12dからなり、この例では、それぞれがセクション12cに関する層23および24、ならびにセクション12dに関する層26および28を具備している。図3の突合せ接合構造においては、布セクション12cおよび12dは、やはりレイヤーすなわち層32および34からなる布すなわち材料の第3の架橋片30によって一つに固定されている。繰り返すが、結果は同じである。すなわち継ぎ目36は布セクション12cおよび12d単独の少なくとも2倍の厚みを有する。
【0036】
オーバーラップ接合および突合せ接合継ぎ目構造の両方においては、布層は一方が他方の上面に直接配列される。図2のオーバーラップ接合に関して、セクション12aはオーバーラップ領域22においてセクション12bの上面に配列されている。図3の突合せ接合構造に関して、布セクション12cおよび12dは、布すなわち材料の付加片30の上面に直接配列されている。ゆえに、図2の従来型オーバーラップ接合継ぎ目および図3の従来型突合せ接合継ぎ目のいずれに関しても、出来上がった構造体は厚みがひどく不連続なものとなる。この厚みの不連続によって、構造体全体の強度要求を増大させる局所的応力が生じ、しかも無線周波(RF)損失およびレドームの性能低下が引き起こされる。
【0037】
本発明による(均一厚みの)高強度フレキシブル布構造体は、これに反して、図2および図3に示す従来型のオーバーラップあるいは突合せ接合を利用しない。本発明の一実施形態では、(図6のレドーム100のような)高強度フレキシブル布構造体は、複数の布セクション42および44を備える(図4および図5参照)。各セクション42および44は複数の層を備える。すなわち、セクション42は、好ましくは互い違いな繊維配向の層46,48および50を含むと共に、セクション44はやはり互い違いな繊維配向の層52,54および56を含む。層46は第1の繊維配向を有し、層48は第2の繊維配向を有し、そして層50は層46と同じ配向を有する。好ましい実施形態では、第1の層46はそれぞれ0°および90°で配向された繊維80および82を有する。第2の層48は通常±45°で偏向された繊維88,90による偏向された繊維配向を有する。第3の層50も、それぞれ0°および90°で配向された繊維84,86を有する。
【0038】
図5は、均一厚みの接合部すなわち継ぎ目領域58を示し、ここで層すなわちセクション42および44が当接している。この均一厚みの継ぎ目は、各セクションの個々の層46,48,50,52,54および56を、同じ繊維配向の層がオーバーラップしないようオフセットさせることによって形成されている。これによって、継ぎ目58における厚みは各布セクションそれぞれの厚み61と同じか、あるいは実質的にそれと同じになっている。
【0039】
各布セクションの各層の繊維は織られていても、編まれていても、一方向のものであってもよい。織布とは違って、一方向性繊維は絡み合っておらず、むしろ、当該技術分野で公知のように、たとえば繊維88および90に係る互い違いな繊維配向のような、互い違いな繊維配向に配列されるであろう。また当該技術分野で公知のように、編まれた繊維も絡み合っていないが、一方向性繊維がそうであるように互い違いな配向で単独配列されるというよりもむしろ、たとえば接続ポイント89において縫合されている。布セクション42ならびにその層46,48および50ならびにそれら個々の繊維配向に関する上記説明は、布セクション44ならびにその層ならびにそれら個々の繊維配向にも同様に当てはまる、ということを理解されたい。また、層の数はいくつであってもよいことを理解されたい。ある好ましい実施形態では、図示のとおり三つの層のみが使用される。好ましくは各層の繊維は、ポリウレタン樹脂マトリックス材のようなフレキシブルマトリックス中に配される。各セクション42および44の層は、通常、接合部すなわち継ぎ目58において、セクション42および44がそうであるのと同様、一つに熱溶着される。ある実施例では、この継ぎ合わせ方法は、その中のレーダーあるいはアンテナシステム(図示せず)を取り囲むレドーム100(図6)を形成するのに使用される。当該技術分野において公知であるように、他の熱・圧力誘起手法、たとえばラミネーションを使用することもできる。
【0040】
当業者であればさらに、繊維を組み合わせて糸を形成可能であること、そしてここでの繊維または繊維配向などに対する言及は繊維からなる糸に対しても同様に当てはまることを理解するであろう。
【0041】
好ましい実施形態では、第1のセクション(図4および図5)は、第2の層48から外側にかつこの第2の層48から食い違い状態で突出する第1の層46によって形成された縁部110を備えるが、第2の層48自体は第3の層50から外側に突出している。隣接する第2のセクション44は第1の層52によって形成された隣接する係合縁部112を有し、第1の層52は第2の層54から内側にオフセットしており、第2の層54自体は第3の層56から内側にオフセットしている。セクション42と44との間の継ぎ目58(図5)において、第1のセクション42の第1の層46は第2のセクション44の第2の層54の上に配されており、かつ第1のセクション42の第2の層48は第2のセクション44の第3の層56の上に配されている。
【0042】
本発明による高強度フレキシブル布構造体は、通常、複数のフレキシブルな布セクションを、それぞれが上記のとおり複数の層を備えるよう形成することによって製造される。以下の説明は、構造体の布セクション42にのみ適用されるが、同じ開示は、さまざまな繊維配向の多数の層を含む多数のセクションに対しても当てはまる、ということを理解されたい。
【0043】
上記のとおり、各セクションの層は好ましくは互い違いな繊維配向のものである。各セクション42,44の層は図示のとおりオフセットしており、しかも隣接するセクション42,44(図5)は、同じ繊維配向の層が付加強度のためにオーバーラップしないよう接合される。好ましくは、各セクションには少なくとも三つの層が存在する。すなわち、セクション42は層46,48および50を含み、セクション44は層52,54および56を含む。層46は0°および90°で配向された織られた繊維であってもよく、第2の層48は織られた偏向繊維配向を有し、そして第3の層50は0°および90°で配向されるよう織られた繊維を有する。好ましくは第2の層48は±45°で偏向された繊維を有する。布セクション44の層52はセクション42の層46と同じものであり、層54は層48と同じものであり、そして層56は層50と同じものである。ある実施例では、繊維は数百フィートの長さを有し、通常は200ないし5000デニールである。同じ実施例において、±90°の繊維配向を有する層46,50,52および56の厚みは、普通、約0.015インチであり、これに対して±45°の繊維配向を備えた偏向された層48および54の厚みは約0.030インチである。当業者ならば、上述したように繊維は織られてもよく、あるいは繊維は編まれるかあるいは一方向性のものであってもよいことを理解するであろう。
【0044】
本発明の方法はさらに、接合されたフレキシブルな布セクション42,44(および多数の他の類似の接合されたセクション)をレドームカバー100(図6)として形作るステップを含んでいてもよい。通常、第1のセクション42の第1の層46は第2の層48から外側に突出し、かつ第2の層48は第3の層50から外側に突出している。同様に、第2のセクション44の第1の層52は第2の層54から内側にオフセットし、かつ第2の層54は第2のセクション44の第3の層56から内側にオフセットしている。接合ステップは、第1のセクション44の第1の層46の突出部をセクション44の第2の層54の上に配置すなわち積み重ねることと、第1のセクション42の第2の層48の突出部を第2のセクション44の第3の層56の上に配置すなわち積み重ねることとを含んでいてもよい。熱溶着処理、あるいは同等の熱・圧力誘起手法、たとえばラミネーションが続いて実施される。
【0045】
本発明の方法はまた同様に、複数の布セクション42および44を形成することと、セクション同士がオーバーラップせずに相互に当接しかつつながるよう各セクションを構成すると共に配置することとを含み、これによって布構造体および均一な厚みの継ぎ目58が形成される。
【0046】
それゆえ本発明は、均一な厚みを備えた高強度布構造体をもたらす。例によって、オーバーラップあるいは突合せ接合継ぎ目は使用されていない。本明細書に開示した継ぎ合わせ技術は、レドームのようなフレキシブル布構造体および空気支持式構造体、工学的膨脹式構築物、建築用布および工業用布において使用できる。レドームに関して、レドームによって保護されるレーダーアンテナシステムの電力要求およびコストと同様、電波周波(RF)損失が低減される。概して、均一な厚みの高強度布継ぎ目およびより低いRF損失は、マトリックス材中に繊維のレイヤーすなわち層を配向し、かつ継ぎ目においてこの層を食い違い状態すなわちオフセット状態で積み重ねることによって実現される。本発明の構造体および継ぎ目はXバンドレーダーシステム用のレドームに好適であるが、本発明はそうしたレドームあるいは構造体に限定されるものではない。
【0047】
本発明の具体的特徴は全ての図面には示していないが、これは便宜的なものに過ぎず、各特徴は本発明による他の特徴のいずれかあるいは全てと組み合わせることができる。本明細書で使用した「含む」、「具備する」、「有する」、および「備える」という用語は、広くかつ包括的に解釈されるべきであり、いかなる物理的な相互連結にも限定されるものではない。さらに、本出願で開示した実施形態は、唯一可能な実施形態として考えるべきではない。当業者ならば他の実施形態も思い付くであろうし、それも特許請求の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】フレキシブルな膜すなわち布カバーを備えた典型的な空気支持式地上レドームの概略図である。
【図2】二つのレドーム布セクションを接合するのに使用される従来型オーバーラップ接合継ぎ目の概略図である。
【図3】二つのレドーム布セクションを接合する従来型突合せ接合継ぎ目の概略図である。
【図4】本発明による均一厚み継ぎ目を形成する直前の高強度フレキシブル布の二つのセクションの概略断面図である。
【図5】本発明の均一厚み継ぎ目を示す、フレキシブル布の二つの接合されたセクションの概略断面図である。
【図6】本発明の方法に従って構築されたレドームの概略図である。
【符号の説明】
【0049】
10 レドーム
12a〜12n 布セクション
14,16,18,20 層
22 継ぎ目(オーバーラップ領域)
23,24,26,28,32,34 層
30 付加片
36 継ぎ目
42,44 布セクション
46,48,50,52,54,56 層
58 継ぎ目領域
61 厚み
80,82,84,86,88,90 繊維
89 接続ポイント
100 レドーム
110 縁部
112 隣接する係合縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレキシブルな布セクションと、隣接セクション間の接合部と、を具備してなり、
前記各セクションは互い違いな繊維配向の複数の層を含み、
前記各セクションの層は、同じ繊維配向の層がオーバーラップすることなく前記二つのセクション間に均一厚みの継ぎ目を形成するようオフセットしていることを特徴とする高強度フレキシブル布構造体。
【請求項2】
各セクションには少なくとも三つの層が存在することを特徴とする請求項1に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項3】
第1の層は0°および90°で配向された繊維を有し、第2の層は偏向された繊維を有し、第3の層は0°および90°で配向された繊維を有することを特徴とする請求項2に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項4】
前記第2の層は±45°で偏向された繊維を有することを特徴とする請求項3に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項5】
前記層繊維は織られていることを特徴とする請求項1に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項6】
前記層繊維は編まれていることを特徴とする請求項1に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項7】
前記層繊維は一方向のものであることを特徴とする請求項1に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項8】
前記各層の繊維はフレキシブルなマトリックス材中に配されていることを特徴とする請求項1に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項9】
前記マトリックス材はポリウレタン樹脂材であることを特徴とする請求項8に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項10】
前記各セクションの層は一つに熱溶着されていることを特徴とする請求項1に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項11】
前記各セクションの層は一つに積層されていることを特徴とする請求項1に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項12】
前記セクションは前記接合部において熱溶着されていることを特徴とする請求項1に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項13】
前記セクションは前記接合部において積層されていることを特徴とする請求項1に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項14】
レーダーシステムを取り囲むレドームであることを特徴とする請求項1に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項15】
第1のセクションは、第3の層から外側に突出する第2の層から外側に突出するその第1の層を備えた縁部を具備すると共に、前記隣接する第2のセクションは、第3の層から内側にオフセットした第2の層から内側にオフセットしたその第1の層を備えた隣接する縁部を有し、前記二つのセクション間の接合部において、前記第1のセクションの前記第1の層は前記第2のセクションの前記第2の層の上に配置され、かつ前記第1のセクションの前記第2の層は前記第2のセクションの前記第3の層の上に配置されることを特徴とする請求項2に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項16】
各セクションには少なくとも三つの層が存在し、前記第1の層は0°および90°で配向された繊維を有し、前記第2の層は偏向された繊維を有し、前記第3の層は0°および90°で配向された繊維を有し、前記第1のセクションは、前記第3の層から外側に突出する前記第2の層から外側に突出するその前記第1の層を備えた縁部を具備すると共に、前記隣接する第2のセクションは、前記第3の層から内側にオフセットした前記第2の層から内側にオフセットしたその前記第1の層を備えた隣接する縁部を有し、前記二つのセクション間の接合部において、前記第1のセクションの前記第1の層は前記第2のセクションの前記第2の層の上に配置され、かつ前記第1のセクションの前記第2の層は前記第2のセクションの前記第3の層の上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項17】
複数のフレキシブルな布セクションであって、各セクションは複数の層を具備してなり、各層はフレキシブルなマトリックス中に配された繊維を有している布セクションと、
隣接した第1および第2のセクション間の接合部と、を具備してなり、
前記第1のセクションは、第2の層から外側に突出する、その第1の層を備えた縁部を有し、
前記第2の隣接セクションは、第2の層から内側にオフセットしたその第1の層を備えた縁部を有し、
前記第1のセクションの前記第1の層は、前記第2のセクションの前記第2の層の上に配置されていることを特徴とする高強度フレキシブル布構造体。
【請求項18】
前記第1のセクションはさらに、この第1のセクションの前記第2の層から内側にオフセットした第3の層を備え、
前記第2の隣接セクションはさらに、この第2のセクションの前記第2の層から外側に突出する第3の層を備え、
前記第1のセクションの前記第2の層は、前記第2のセクションの前記第3の層の上に配置されていることを特徴とする請求項17に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項19】
各セクションの前記第1の層は0°および90°で配向された繊維を有し、各セクションの前記第2の層は偏向された繊維を有し、各セクションの前記第3の層は0°および90°で配向された繊維を有することを特徴とする請求項18に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項20】
前記第2の層は±45°で偏向された繊維を有することを特徴とする請求項19に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項21】
前記層繊維は織られていることを特徴とする請求項17に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項22】
前記層繊維は編まれていることを特徴とする請求項17に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項23】
前記層繊維は一方向のものであることを特徴とする請求項17に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項24】
前記フレキシブルなマトリックスはウレタン樹脂材であることを特徴とする請求項17に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項25】
各セクションの前記層は一つに熱溶着されていることを特徴とする請求項17に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項26】
各セクションの前記層は一つに積層されていることを特徴とする請求項17に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項27】
前記セクションは前記接合部において熱溶着されていることを特徴とする請求項17に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項28】
前記セクションは前記接合部において積層されていることを特徴とする請求項17に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項29】
レーダーシステムを取り囲むレドームであることを特徴とする請求項17に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項30】
複数のフレキシブルな布セクションであって、各セクションは少なくとも三つの層を含み、第1の層は0°および90°で配向された繊維を有し、第2の層は±45°で偏向された繊維を有し、第3の層は0°および90°で配向された繊維を有する布セクションと、
隣接セクション間の接合部と、を具備してなり、
各セクションの前記層は、同じ繊維配向の層がオーバーラップすることなく二つのセクション間に均一な厚みの継ぎ目を形成するようオフセットしていることを特徴とする高強度フレキシブル布構造体。
【請求項31】
前記層繊維は織られていることを特徴とする請求項30に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項32】
前記層繊維は編まれていることを特徴とする請求項30に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項33】
前記層繊維は一方向のものであることを特徴とする請求項30に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項34】
レーダーシステムを取り囲むレドームであることを特徴とする請求項30に記載の高強度フレキシブル布構造体。
【請求項35】
均一な継ぎ目厚みを備えたフレキシブル布構造体であって、第1の布セクションと、第2の布セクションと、を具備してなり、
前記第1の布セクションは、
第1の方向に配向された複数の繊維を含む第1の層と、
第2の方向に配向された複数の繊維を含む第2の層と、
前記第1の方向に配向された複数の繊維を含む第3の層と、を具備してなり、
前記第2の布セクションは、
前記第1の方向に配向された複数の繊維を含む第1の層と、
前記第2の方向に配向された複数の繊維を含む第2の層と、
前記第1の方向に配向された複数の繊維を含む第3の層と、を具備してなり、
前記接合部が前記第1および第2の布セクションの厚みと同じ厚みを有するように前記第1のセクションの前記層が前記第2のセクションの前記層と食い違い構造をなすよう前記第1および第2のセクション間の接合部が構成されかつ配置されていることを特徴とするフレキシブル布構造体。
【請求項36】
前記第1の方向は0°および90°であることを特徴とする請求項35に記載の布構造体。
【請求項37】
前記第2の方向は±45°であることを特徴とする請求項35に記載の布構造体。
【請求項38】
前記繊維はフレキシブルな樹脂マトリックス材中に配されていることを特徴とする請求項35に記載の布構造体。
【請求項39】
高強度フレキシブル布構造体を形成するための方法であって、
それぞれが互い違いな繊維配向の複数の層を含むよう複数のフレキシブル布セクションを形成することと、
各セクションの層をオフセットさせることと、
同じ繊維配向の層がオーバーラップしないよう隣接するセクション同士を接合することと、を具備することを特徴とする方法。
【請求項40】
各セクションには少なくとも三つの層が存在することを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の層は0°および90°で配向された繊維を有し、前記第2の層は偏向された繊維を有し、前記第3の層は0°および90°で配向された繊維を有することを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第2の層は±45°で偏向された繊維を有することを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記フレキシブル布セクションの形成は、前記層繊維を織ることを含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記フレキシブル布セクションの形成は、フレキシブルマトリックス材中に各層の繊維を配することを含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記マトリックス材はポリウレタン樹脂材であることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記セクションの接合は、各セクションの前記層を一つに熱溶着することを含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記セクションの接合は、各セクションの前記層を一つに積層することを含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項48】
前記セクションの接合は、前記接合部において前記セクションを熱溶着することを含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項49】
前記セクションの接合は、前記接合部において前記セクションを積層することを含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項50】
前記フレキシブル布セクションをレドームカバーとして形作るステップをさらに含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項51】
オフセットさせることは、第1のセクションの第1の層をその第2の層から外側に突出させることと、前記第2の層をその第3の層から外側に突出させることと、前記第2のセクションの第1の層をその第2の層から内側にオフセットさせることと、その前記第2の層をその第3の層から内側にオフセットさせることと、を含むことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項52】
接合は、前記第1のセクションの前記第1の層を前記第2のセクションの前記第2の層の上に配置することと、前記第1のセクションの前記第2の層を前記第2のセクションの前記第3の層の上に配置することと、を含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
均一な厚みの布構造体を形成するための方法であって、
複数の布セクションを形成することと、
セクション間のオーバーラップを伴わずに隣接するセクションに当接しかつつながるよう各セクションを構成しかつ配置すると共に、均一な厚みの布構造体を形成することと、を具備することを特徴とする方法。
【請求項54】
均一な厚みのフレキシブル布構造体を形成するための方法であって、
0°および90°で配向された複数の繊維を含むフレキシブル布の第1の層と、±45°で偏向された複数の繊維を含むフレキシブル布の第2の層と、0°および90°で配向された複数の繊維を含むフレキシブル布の第3の層と、を備えた第1のフレキシブル布部を形成することと、
前記第1、第2、および第3の層を積み重ねることと、
前記第1、第2、および第3の層を、オフセット状態で第2のフレキシブル布部の同様に配向された層と接合すると共に、均一な厚みの継ぎ目を形成することと、を具備することを特徴とする方法。
【請求項55】
高強度フレキシブル布継ぎ目であって、
少なくとも二つのフレキシブル布セクションを具備してなり、各セクションは互い違いな繊維配向の複数の層を含み、各セクションの前記層はオフセットされかつ同じ繊維配向の層がオーバーラップすることなく接合されていることを特徴とする高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項56】
各セクションには少なくとも三つの層が存在することを特徴とする請求項55に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項57】
前記第1の層は0°および90°で配向された繊維を有し、前記第2の層は偏向された繊維を有し、前記第3の層は0°および90°で配向された繊維を有することを特徴とする請求項56に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項58】
前記第2の層は±45°で偏向された繊維を有することを特徴とする請求項57に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項59】
前記層繊維は織られていることを特徴とする請求項55に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項60】
前記層繊維は編まれていることを特徴とする請求項55に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項61】
前記層繊維は一方向のものであることを特徴とする請求項55に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項62】
各層の前記繊維はフレキシブルマトリックス材中に配されることを特徴とする請求項55に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項63】
前記マトリックス材はポリウレタン樹脂材であることを特徴とする請求項62に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項64】
各セクションの前記層は一つに熱溶着されていることを特徴とする請求項55に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項65】
各セクションの前記層は一つに積層されていることを特徴とする請求項55に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項66】
前記セクションは一つに熱溶着されていることを特徴とする請求項55に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項67】
前記セクションは一つに積層されていることを特徴とする請求項55に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項68】
第1のセクションは、前記第3の層から外側に突出する前記第2の層から外側に突出するその前記第1の層を備えた縁部を含み、かつ、前記隣接する第2のセクションは、前記第3の層から内側にオフセットした前記第2の層から内側にオフセットしたその前記第1の層を備えた隣接する縁部を有し、前記第1のセクションの前記第1の層が前記第2のセクションの前記第2の層の上に配置されると共に、前記第1のセクションの前記第2の層が前記第2のセクションの前記第3の層の上に配置されることを特徴とする請求項56に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項69】
各セクションには少なくとも三つの層が存在し、前記第1の層は0°および90°で配向された繊維を有し、前記第2の層は偏向された繊維を有し、前記第3の層は0°および90°で配向された繊維を有し、第1のセクションは、前記第3の層から外側に突出する前記第2の層から外側に突出するその前記第1の層を備えた縁部を含み、かつ、前記隣接する第2のセクションは、前記第3の層から内側にオフセットした前記第2の層から内側にオフセットしたその前記第1の層を備えた隣接する縁部を有し、前記第1のセクションの前記第1の層が前記第2のセクションの前記第2の層の上に配置されると共に、前記第1のセクションの前記第2の層が前記第2のセクションの前記第3の層の上に配置されることを特徴とする請求項55に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項70】
高強度フレキシブル布継ぎ目であって、少なくとも二つのフレキシブル布セクションを具備してなり、
各セクションは複数の層を含み、各層はフレキシブルマトリックス中に配された繊維を有し、前記第1のセクションは第2の層から外側に突出するその第1の層を備えた縁部を有し、
前記第2の隣接するセクションは第2の層から内側にオフセットしたその第1の層を備えた縁部を有し、
前記第1のセクションの前記第1の層は前記第2のセクションの前記第2の層の上に配置されていることを特徴とする高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項71】
前記第1のセクションは、この第1のセクションの前記第2の層から内側にオフセットした第3の層を含み、
前記第2の隣接するセクションは、この第2のセクションの前記第2の層から外側に突出する第3の層を含み、
前記第1のセクションの前記第2の層は、前記第2のセクションの前記第3の層の上に配置されていることを特徴とする請求項70に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項72】
各セクションの第1の層は0°および90°で配向された繊維を有し、前記第2の層は偏向された繊維を有し、前記第3の層は0°および90°で配向された繊維を有することを特徴とする請求項71に記載の高強度フレキシブル布継ぎ目。
【請求項73】
均一な厚みを備えたフレキシブル布継ぎ目であって、第1の布セクションと、第2の布セクションと、を具備してなり、
前記第1の布セクションは、
第1の方向に配向された複数の繊維を含む第1の層と、
第2の方向に配向された複数の繊維を含む第2の層と、
前記第1の方向に配向された複数の繊維を備えた第3の層と、を具備してなり、
前記第2の布セクションは、
前記第1の方向に配向された複数の繊維を含む第1の層と、
前記第2の方向に配向された複数の繊維を含む第2の層と、
前記第1の方向に配向された複数の繊維を含む第3の層と、を具備してなり、
前記継ぎ目が、前記第1および第2の布セクションの前記第1、第2および第3の層の組み合わされた厚みと等しい厚みを有するよう、前記第1のセクションの前記層は、前記第2のセクションの前記層と食い違い構造をなしておりかつ前記第2のセクションの前記層と接合されていることを特徴とするフレキシブル布継ぎ目。
【請求項74】
高強度フレキシブル布継ぎ目を形成するための方法であって、
それぞれが互い違いな繊維配向の複数の層を含むよう複数のフレキシブル布セクションを形成することと、
各セクションの前記層をオフセットさせることと、
同じ繊維配向の層がオーバーラップしないよう隣接するセクション同士を接合することと、を具備することを特徴とする方法。
【請求項75】
オフセットさせることは、第1のセクションの前記第1の層をその前記第2の層から外側に突出させることと、前記第2の層をその前記第3の層から外側に突出させることと、前記第2のセクションの前記第1の層をその前記第2の層から内側にオフセットさせることと、その前記第2の層をその前記第3の層から内側にオフセットさせることと、を含むことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項76】
接合は、前記第1のセクションの前記第1の層を前記第2のセクションの前記第2の層の上に配置することと、前記第1のセクションの前記第2の層を前記第2のセクションの前記第3の層の上に配置することと、を含むことを特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項77】
高強度フレキシブル布継ぎ目を形成するための方法であって、
それぞれが互い違いな繊維配向の少なくとも三つの層を含むよう複数のフレキシブル布セクションを形成することと、
各セクションの前記層をオフセットさせることと、
同じ繊維配向の層がオーバーラップしないよう隣接するセクション同士を接合することと、
前記層繊維を織ることと、
フレキシブルマトリックス材中に各層の前記繊維を配することと、を具備することを特徴とする方法。
【請求項78】
複数のフレキシブル布セクションであって、各セクションは互い違いな繊維配向の複数の層を含んでいるフレキシブル布セクションと、
隣接するセクション間の接合部と、を具備してなるレドーム構造体であって、
各セクションの前記層は、同じ繊維配向の層がオーバーラップすることなく前記二つのセクション間に均一な厚みの継ぎ目を形成するよう、オフセットされていることを特徴とするレドーム構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−537361(P2007−537361A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520168(P2006−520168)
【出願日】平成16年6月8日(2004.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/018081
【国際公開番号】WO2005/014905
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(597149685)レイセオン カンパニー (27)
【Fターム(参考)】