説明

高性能スレート

映画、ビデオ、又はテレビ製作に使用する技術が、(1)オーディオシーケンス、(2)ビデオシーケンス、及び(3)オーディオ及びビデオシーケンスのうちの1つの記録データに関する製作情報を生成するステップと、生成した製作情報にタイミング情報をタギングするステップと、生成した製作情報をディスプレイ上に表示するステップと、タギングした製作情報を記録するステップとを含み、記録ステップがスレートの拍子木を使用して自動的に開始され、タギングした製作情報を対応する記録データに関連付けるステップをさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2008年3月12日に出願された「高性能スレート」という名称の同時係属中の米国仮特許出願第61/036,005号、2008年3月12日に出願された「ダイレクトカメラデイリー」という名称の米国仮特許出願第61/036,010号、及び2008年12月23日に出願された「カメライベントロガー」という名称の米国仮特許出願第61/140,520号の優先権の利益を主張するものである。上記仮出願の開示は、引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、映画、ビデオ、又はテレビ製作に関し、より詳細には、このような映画、ビデオ、又はテレビ製作中のオーディオ及びビデオシーケンスに関する製作情報の生成、表示、及び記録に関する。
【背景技術】
【0003】
動画及びビデオテープの製作では、通常、画像に音声を同調させるためにスレートが使用される。スレートは、製作中に記録された特定のシーン及びテイクを識別してこれにマーキングするためにも使用される。フィルム又はビデオテープの製作中にタイムコードを生成して記録するために従来技術が開発されてきた。1つのこのような技術としてスレートが挙げられ、これには、タイムコードを表示するためのディスプレイ、及び製作関連情報を手書き入力できる面が備えられる。他の技術として、製作中のフィルム又はビデオテープのビデオ部分及び音声部分中に記録するためのビデオタイムコードを生成して表示することが挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施構成では、映画、ビデオ、又はテレビ製作のための方法を開示する。この方法は、(1)オーディオシーケンス、(2)ビデオシーケンス、及び(3)オーディオ及びビデオシーケンスのうちの1つの記録データに関する製作情報を生成するステップと、生成した製作情報にタイミング情報をタギングするステップと、生成した製作情報をディスプレイ上に表示するステップと、タギングした製作情報を記録するステップとを含み、この記録ステップはスレートの拍子木を使用して自動的に開始され、タギングした製作情報を対応する記録データに関連付けるステップをさらに含む。
【0005】
別の実施構成では、映画、ビデオ、又はテレビ製作のためのスレートを開示する。このシステムは、タイムコードジェネレータ及び少なくとも1つのポストプロダクション処理ステーションと通信するように構成された無線周波数インターフェイスと、(1)オーディオシーケンス、(2)ビデオシーケンス、及び(3)オーディオ及びビデオシーケンスのうちの1つの記録データに関する製作情報を受け取ってタギングするように構成されたプロセッサとを備え、製作情報には、タイムコードジェネレータ及びカメラロギング装置から取得したタイミング情報がタギングされ、製作情報を表示するように構成されたディスプレイと、プロセッサに結合された拍子木と、タギングした製作情報を記録して対応する記録データに関連付けるように構成されたレコーダとをさらに備え、拍子木を使用して記録を開始する。
【0006】
さらなる実施構成では、映画、ビデオ、又はテレビ製作のためのコンピュータファイルを記憶するコンピュータ可読記憶媒体を開示する。コンピュータファイルは、コンピュータに、(1)オーディオシーケンス、(2)ビデオシーケンス、及び(3)オーディオとビデオシーケンスのうちの1つの記録データに関する製作情報を生成させ、生成した製作情報にタイミング情報をタギングさせ、ディスプレイに生成された製作情報を表示させ、タギングした製作情報を記録させる実行可能XML命令を含み、この記録はスレートの拍子木を使用して開始され、コンピュータファイルは、コンピュータに、このタギングした製作情報を対応する記録データに関連付けさせる実行可能XML命令をさらに含む。
【0007】
当業者には、以下の詳細な説明及び添付図面を検討した後に本発明のその他の特徴及び利点がより容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】映画、ビデオ、又はテレビ製作中にオーディオ及びビデオシーケンスに関する製作情報を生成し、表示して記録するための処理を示すフロー図である。
【図2】映画、ビデオ、又はテレビ製作中のオーディオ及びビデオシーケンスに関する製作情報を生成し、表示して記録するように構成された強化型スレートの1つの例を示す図である。
【図3】スレートが、拍子木を閉じることによりトリガされるログイベントを取り込んだときのディスプレイ構成を示すように構成された強化型スレートの別の例を示す図である。
【図4】本発明の1つの実施構成による強化型スレートの背面図を示す図である。
【図5】スレートに取り付けられたSDメモリカードの形の記憶装置を示す図である。
【図6】電子機器を取り外した筺体の正面図を示す図である。
【図7】電子機器を取り外した筺体の背面図を示す図である。
【図8】本発明の1つの実施構成による強化型スレートのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で開示するいくつかの実施構成は、映画、ビデオ、又はテレビ製作中にオーディオ及びビデオシーケンスに関する製作情報を生成し、表示して記録するための技術を提供する。1つの実施構成では、表示技術が、拍子木と、日付、タイムコード、監督、現在のシーン、テイク、ロール、カメラナンバー、及びその他の情報などの製作情報を表示するためのディスプレイ及びプロセッサを内蔵する筺体とを含む強化型スレートを構成することを含む。さらに、記録技術が、メタデータとしてタイミング情報をタギングされた生成した製作情報を、オーディオ及びビデオシーケンスからなる対応する記録データに関連付けることを含む。この説明を読んだ後に、本発明を様々な実施構成及び用途で実施する方法が明らかになるであろう。しかしながら、本明細書では本発明の様々な実施構成について説明するが、これらの実施構成は一例として提供するものにすぎず、限定的なものではないことを理解されたい。従って、この様々な実施構成についての詳細な説明を、本発明の範囲又は幅を限定するものであると解釈すべきではない。
【0010】
1つの実施構成では、強化型スレートが、映画、ビデオ、又はテレビ製作中の様々な情報を容易に表示して記録するためのコンピュータ機能(処理、記憶、入力/出力)を含む。強化型スレートは、拍子木及びディスプレイを含む。この拍子木を使用して、タイムコードをタイムスタンプされた製作情報を書き込むためのファイル書き込み処理を開始する。強化型スレートを従来の方法で「クラップ」すると、この強化型スレートが、(Apple社のFinal Cut Pro編集システムにインポートできる拡張可能マークアップ言語(XML)ファイルなどの)フォーマットファイルに製作情報を書き込む。1つの実施構成例では、フィルム又はテープ転送ログを変換するアプリケーションが、Avid編集システムにインポートできるASCIIのフォーマット(テキストファイル)であるAvid.ALEフォーマットを使用する。通常、スレートは、最低でも1製作日当たり1つのXML、ALEファイルを生成する必要がある。
【0011】
さらに、ディスプレイは、映画、ビデオ、又はテレビ製作に関する日付、タイムコード、監督、シーン、テイク、ロール、カメラナンバー、及びその他の情報などの製作情報を示すように構成される。例えば、強化型スレートの1つの実施構成はタッチスクリーンモニタを含み、これにスタイラスで書き込まれた(監督名、シーンナンバーなどの)情報を受け入れ、タイミング情報をタギングされた入力情報を自動的に記録してメタデータファイルを作成する。その後、これらのメタデータファイルを(メモリカード又は無線などにより)コンピュータに転送して、(タイムコードなどを使用して)対応する記録済みのオーディオ及び/又はビデオデータに関連付けることができる。
【0012】
図1は、映画、ビデオ、又はテレビ製作中にオーディオ又はビデオシーケンスに関する製作情報を生成し、表示して記録するための処理を示すフロー図100である。ボックス110において、オーディオ及びビデオシーケンスの少なくとも一方に関する製作情報が生成される。上述したように、入力/出力装置から監督名又は現在のシーンナンバーなどの製作情報を受け取ることができる。従って、本明細書で使用する場合、「生成する」という用語は「受け取る」という用語を含むという点に留意されたい。次にボックス112において、通常はタイムコードジェネレータからタイミング情報が受け取られる(図8を参照)。ボックス120において、生成した製作情報にタイミング情報がタギングされ、ボックス130において、この生成した製作情報が表示される。1つの実施構成では、プロセッサが、日付、タイムコード、監督、現在のシーン、テイク、ロール、カメラナンバー、及びその他の情報などの製作情報をディスプレイ上に表示するように構成される。
【0013】
図2は、映画、ビデオ、又はテレビ製作中にオーディオ及びビデオシーケンスに関する製作情報を生成し、表示して記録するように構成された強化型スレート200の1つの例を示している。図2の例示による実施構成では、スレート200が、拍子木210及びディスプレイ220を含む。上述したように、拍子木210を使用して、タイムコードをタイムスタンプされた製作情報を書き込むためのファイル書き込み処理を開始する。ディスプレイ220は、映画、ビデオ、又はテレビ製作に関する日付230、タイムコード232、監督234、シーン236、テイク238、ロール240、カメラナンバー(又は文字)242、及びその他の情報244、246などの製作情報を示す。図2の例示による実施構成では、ディスプレイ220がタッチスクリーンモニタとして構成され、これにスタイラスで書き込んだ情報を受け入れる。例えば、スタイラス又はスクリーン上の「仮想」キーボードを使用して、監督名(「Wayne」)がモニタに書き込まれる。文字認識ソフトウェアを使用して名前を表示することができる。ディスプレイ220は、タイミング情報をタギングされた入力情報を自動的に記録してメタデータファイルを作成する。次に、これらのメタデータファイルを(メモリカード又は無線などにより、取り外し可能SDメモリカードを示す図5を参照)コンピュータに転送し、その後、(タイムコードなどを使用して)対応する記録済みのオーディオ及び/又はビデオデータに関連付けることができる。アンテナ250は、マスタータイムコードを無線受信できるようにする。(スレート内のBluetooth及び無線LANアンテナ252などの)その他のアンテナは、データをダウンロード又はアップロードするための通信を可能にする。スレート200はまた、映画、ビデオ、又はテレビ製作中に様々な情報を容易に表示して記録するためのコンピュータ機能(処理、記憶、入力/出力)も含む。
【0014】
再び図1を参照すると、ボックス140において、タギングした製作情報が記録され、ボックス150において、(カメライベントロガーにより記録されるような)オーディオ及びビデオシーケンスからなる対応する記録データに関連付けられる。タギングした製作情報とオーディオ及びビデオシーケンスからなる対応する記録データとの関連付けは、ポストプロダクション処理ステーション内で行われる。さらなる任意の実施構成では、タギングした製作情報が再検討及び/又は編集される。1つの実施構成では、オーディオ及びビデオシーケンスからなる記録済みのデータに、関連する製作情報がメタデータとして添付される。例えば、記録済みのビデオデータ内のタイミング情報により参照される製作時間内の特定の時点(タイムコード)でこのメタデータを組み込むことができる。メタデータを(記録済みのビデオデータに)追加データとして組み込み、又は記録ビデオデータにウォーターマークとして挿入することができる。別の実施構成では、画像及び音声の取得が終了した後に、生成した製作情報がオーディオ及びビデオシーケンスからなる記録データに関連付けられる。すなわち、生成した製作情報を記憶し、その後タイミング情報を使用してこの製作情報を記録データに関連付けることができる。
【0015】
さらなる実施構成では、処理100が、スレートのリスト管理を行うための機能を含む。この機能は「カメラレポート」と呼ばれ、ペーパーログの必要性を大幅に低減させる。このレポートは、スレート上の別のスクリーンを介して閲覧及び編集できるソート可能データベースである。
【0016】
製作情報を生成して表示する際に、いくつかの異なる技術を使用することができる。例えば、強化型スレート200は、ケツカッチン(tail slate)を示すためにスレートを逆さまに保持する場合にテールフラグ(tail flag)を記録するためのポジションセンサを含むことができる。伝統的に、スレートを逆さまに保持した場合には、ディスプレイは逆さまに示される。しかしながら、本発明のいくつかの実施構成では、スレート200が逆さまに保持されてはいるが機械可読テールフラグを記録しているということをポジションセンサ(図示せず)が感知した場合、強化型スレート200はディスプレイの正しい側を上に保持する。スレート又はテールフラグの視覚的位置が逆さまである場合、スレート情報がショットの先頭ではなく最後に関して記録されているので、ポストプロダクション処理ステーションにテイクの最後からコードを「バックタイム(backtime)」するように警告が行われる。別の例では、記録技術が、スレートログ内のシーンのタイムコードの開始点にMOS(「音声無し」)フラグを挿入してマーキングするための「サイレントブループ(silent bloop)」の提供を含み、このフラグがポストプロダクション処理ステーションに、特定のシーン及びテイクに関して無音が予想されること、及びシーンの開始点にタイムコードがマーキングされていることを警告する。いくつかの実施構成では、テールスティック(tail stick)及びMOS機能を統合して協働させる。別の例では、拍子木をクラップする動作により、タイムコード310の表示色(図3を参照)が反転する。
【0017】
再び図2を参照すると、ディスプレイ200を、第1のディスプレイ区域、第2のディスプレイ区域、及び書き込みエリアの3つのセクションに分割することができる。第1のディスプレイ区域は、タイムコード232のためのディスプレイを含む。第1のディスプレイ区域は、ビデオ又はフィルムの個々のフレームにラベリングするための協同規格の組である米国映画テレビ技術者協会(SMPTE)/欧州放送連合(EBU)のタイムコードをサポートする。タイムコードは、内部ジェネレータから生成することも、或いは無線受信機から受信することもできる。無線モードにある場合、内部ジェネレータを継続的に妨害して、短期的RF妨害に対するさらなる耐性をシステムに与えることができる。タイムコードは、1秒あたり23.98、24、25、29.97、又は30フレームの通常のフレームレートによる標準的なHH:MM:SS:F.Fの表示形式で表示することができる。ドロップフレーム形式及びノンドロップフレーム形式のタイムコードがサポートされる。1つの実施構成例では、タイムコード表示が、クラップ後に(3などの)固定数のフレームにわたって静止し、その後(1秒などの)固定時間の間ユーザビットに変化する。
【0018】
第2のディスプレイ区域は、シーン236、テイク238、及びサブクリップ248を以下のフォーマットで示すためのディスプレイを含む。1つの実施構成では、シーン236がPP123SSSという命名法を使用し、この場合Pは接頭辞を示し、Sは接尾辞を示す。接頭辞は追加シーンを示す。シーンがオリジナルの台本に書かれたシーンであることを示す接頭辞は存在しない。接尾辞は、シーンのカバレッジショット(coverage shots)を指定する。1つの実施構成例では、接尾辞が、最初の24個のサブシーンではA〜Z、次の24個のサブシーンではAA〜ZZ、最後の24個のサブシーンではAAA〜ZZZの範囲に及ぶことができる。別の実施構成では、シーン236が、ディスプレイウィンドウのサイズによって決まる実際の限界以下のいずれかの英数字の組み合わせの形で表示される。サブクリップ又はサブテイク248は、カメラアシスタントが必要に応じて再スタート(「やり直し」又は「ピックアップ」)を手動でマーキングできるようにする機能である。通常、サブテイクのマーキング動作はカメラ無しで行われ、これによりスレートログ及び/又は取り外し可能媒体上にタイムスタンプが作成される。表示される数字は、主にオペレータによる確認のためのものである。スレート200は、通常サブクリップの入力に使用されるユーザ定義スイッチを含むことができる。しかしながら、このスイッチは、MOSなどのより頻繁に使用される機能に対応するように変更することができる。第2のディスプレイ区域は、カメラナンバー242及びロール240を含むその他のディスプレイを含むこともできる。代替の実施構成では、ディスプレイがE−Ink(商標)リーダ/ディスプレイに基づいて構成される。
【0019】
書き込みエリアは、プロダクション244、監督234、及び撮影監督246の名前を入力するためのスペースを提供する。手書き認識プログラムにより、入力を読みやすいブロック文字に変換することができる。
【0020】
図4は、本発明の1つの実施構成による強化型スレート200の背面図である。この図は、標準的なタブレットコンピュータをいかにしてスレートとして構成するかを明確に示している。従って、図4の例示による実施構成では、タブレットコンピュータ200が筺体420に挿入され、電子拍子木210、ロガー430、及びアンテナ250に電気的に接続される。タブレットコンピュータ200を高耐久化し、機械的に修正して耐久力を高めることができる。図6及び図7は、電子機器を取り外した筺体420の正面図及び背面図である。代替の実施構成では、上記の概念が、筺体に収容された標準的なタブレットコンピュータを使用するのではなく、専用の特設ハードウェア装置として実現される。この形では、上記の概念は、スイッチ入力及びLEDディスプレイ装置を含むオペレータインターフェイスを備えたプロセッサ駆動ユニットになる。
【0021】
追加の変形及び実施構成も可能である。例えば、「音声ロールのみ」の構成により、音声レコーダからのメタデータが、ポストプロダクション処理においてネーミング情報を提供できるようになる。別の例では、「複数カメラ撮影」の構成により、視覚的識別のためにカメラに事前にスレートを入れることができるようになる(すなわち、音声がロールしない)。この構成では、マスター媒体上にある、カメライベントロガーにより取り込まれたカメラメタデータが(A、B、C、その他などの)カメラIDを示す。タイムコードスレートが「複数」を示すように構成され、通常通りにクラップされる。ポストプロダクション処理により、スレートデータ及び音声が複数のカメラファイルにわたって割り当てる。カメラID、ロール、及びシーン及びテイクのタイムコードスタンプからファイル名を取得することができる。その他の選択肢として、「別個の拍子木」を使用する(すなわち、全ての又はいくつかのカメラが回っている間に1つのカメラごとに1回クラップ動作を行う)ことを挙げることができる。さらに別の例では、「2以上の製作(撮影)ユニット」の構成が、日付及びタイムコードの複数のインスタンスに起因する曖昧性に対処して、ポストプロダクション処理における曖昧性を避けようとする。
【0022】
図8は、本発明の1つの実施構成による強化型スレート800のブロック図である。図8の例示による実施構成では、スレート800が、拍子木810、プロセッサ820、ディスプレイ830、インターフェイス840、レコーダ850、タイムコード受信機/ジェネレータ870、及びRF受信機880を含む。送信機(図示せず)からタイミング情報が発信され、RF受信機880により受信される。受信したタイミング情報により、受信機/ジェネレータ870が更新される。インターフェイス840は、タイムコード受信機/ジェネレータ870と通信するように構成され、レコーダ850は、記録した製作データを少なくとも1つのポストプロダクション処理ステーション860へ送信する。プロセッサ820は、オーディオ及びビデオシーケンスの少なくとも一方に関する製作情報を受け取ってタギングするように構成され、この製作情報に、タイムコードジェネレータ870から取得したタイミング情報がタギングされる。ディスプレイ830は、製作情報を表示するように構成される。レコーダ850は、情報を記録してこの情報をオーディオ及びビデオシーケンスからなる対応する記録データに関連付けるように構成される。拍子木810がプロセッサ820に結合され、この拍子木810を使用して記録を開始する。
【0023】
さらなる実施構成では、所与のイベントに関連する全てのスレートデータ(例えば、拍子木をクラップしたときに取り込まれるもの全て)が、カメラ上で補助メタデータ、タイムコード及びオーディオチャンネルを利用できないときにスクリーン上に表示するための機械可読表示に変換される。例えば、シーン、テイク、及び監督名を示すスレートのメイン画面が、情報をバーコード形式で簡潔に表示するように変更される。次に、スレートデータの機械可読表示がカメラにより視覚的に取り込まれ、その後抽出されてポストプロダクションにおいて復号される。この実施構成は、主にフィルムベースの取り込みに適用されるが、この技術をビデオ取り込みと重複して使用することもできる。
【0024】
本発明の様々な実施構成は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はこれらの技術の組み合わせの形で実現される。実施構成によっては、1又はそれ以上のコンピュータ装置により実行される1又はそれ以上のコンピュータプログラムを含むものもある。一般に、コンピュータ装置は、1又はそれ以上のプロセッサ、(ハードディスクドライブ及びフロッピーディスクドライブ、CD−ROM/DVDドライブ、フラッシュメモリカード、及び磁気テープドライブなどの揮発性又は不揮発性メモリモジュール及び永続的光学及び磁気記憶装置のような)1又はそれ以上のデータ記憶構成要素、(ゲームコントローラ、タッチスクリーン、マウス及びキーボードなどの)1又はそれ以上の入力装置、及び(ディスプレイ装置などの)1又はそれ以上の出力装置を含む。
【0025】
コンピュータプログラムは、通常、永続記憶媒体に記憶されてその後ランタイムでメモリにコピーされる実行可能コードを含む。プログラム命令を所定の順序でメモリから取り出すことにより、少なくとも1つのプロセッサがコードを実行する。プログラムコードを実行する場合、コンピュータは、入力及び/又は記憶装置からデータを受け取り、データに対して動作を実行し、その後結果として得たデータを出力及び/又は記憶装置に配信する。
【0026】
当業者であれば、本明細書で説明した様々な例示的なモジュール及び方法ステップを電子ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせとして実現できることを理解するであろう。説明を明確にするために、本明細書では、このハードウェア及びソフトウェア、様々な例示的なモジュール及び方法ステップの互換性についてこれらの機能の観点から大まかに説明した。このような機能がハードウェア又はソフトウェアのいずれの形で実現されるかは、特定の用途及びシステム全体に課せられる設計制約に依存する。当業者であれば、説明した機能を個々の特定の用途のための様々な方法で実施することができるが、このような実施の決定が本発明の範囲からの逸脱を生じると解釈すべきではない。例えば、一般に上記説明はコンピュータ生成ログを提供するものであるが、強化型スレートは、コンピュータ生成ログが全て破壊され又は失われた場合にフェイルセーフ機能を提供するために、拍子木を閉じるという視覚効果とともに従来の音で聞こえるクラップの機能を提供することもできる。また、説明を容易にするためにモジュール又はステップ内の機能をグループ分けした。本発明から逸脱することなく、特定の機能を1つのモジュール又はステップから別のモジュール又はステップへ移すことができる。
【0027】
さらに、本明細書で開示した実施構成に関して説明した方法のステップ又は技術を、直接ハードウェアの形で、プロセッサにより実行されるソフトウェアモジュールの形で、或いはこれらの組み合わせの形で具体化することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能ディスク、CD−ROM、或いはネットワーク記憶媒体を含む他のいずれかの形の記憶媒体内に存在することができる。記憶媒体例をプロセッサに結合して、プロセッサがこの記憶媒体との間で情報を読み書きできるようにすることができる。代替例では、記憶媒体をプロセッサに統合することもできる。プロセッサ及び記憶媒体をASIC内に存在させることもできる。
【符号の説明】
【0028】
100 フロー図
110 製作情報を生成
112 タイミング情報を受け取り
120 生成した製作情報に受け取ったタイミング情報をタギング
130 生成した製作情報を表示
140 タギングした製作情報を記録
150 タギングした製作情報をカメラメタデータに関連付け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映画、ビデオ、又はテレビ製作のための方法であって、
(1)オーディオシーケンス、(2)ビデオシーケンス、及び(3)オーディオ及びビデオシーケンスのうちの1つの記録データに関する製作情報を生成するステップと、
前記生成した製作情報にタイミング情報をタギングするステップと、
前記生成した製作情報をディスプレイ上に表示するステップと、
前記タギングした製作情報を記録するステップと、
を含み、前記記録ステップがスレートの拍子木を使用して自動的に開始され、
前記タギングした製作情報を対応する記録データに関連付けるステップをさらに含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記関連付けられる製作情報が、前記対応する記録データにメタデータとして添付される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メタデータが、前記タイミング情報により参照される製作時間内の特定の時点で前記対応する記録データに組み込まれる、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記メタデータが、前記対応する記録データに追加データとして組み込まれる、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記メタデータが、前記対応する記録データにウォーターマークとして挿入される、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記映画、ビデオ、又はテレビによる画像及び音声の取得が終了した後に、前記生成した製作情報が前記対応する記録データに関連付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記スレートが逆さまに保持されて、前記製作情報がショットの最後に関して記録されていることを示す場合、ポジションセンサからの読み取りを使用してテールフラグを記録するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記拍子木をクラップして前記記録ステップを開始した場合、前記タイミング情報の表示色が反転する、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
MOSフラグをスレートログに挿入して、前記特定のシーン及びテイクに関して無音が予想されることをポストプロダクション処理ステーションに指示するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ポストプロダクション処理において、前記タギングした製作情報が対応する記録データに関連付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ポストプロダクション処理において、音声レコーダからのメタデータがネーミング情報を提供できるようにするステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
視覚的識別のためにカメラに事前にスレートを入れることができるようにするステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
映画、ビデオ、又はテレビ製作のためのスレートであって、
タイムコードジェネレータ及び少なくとも1つのポストプロダクション処理ステーションと通信するように構成されたインターフェイスと、
(1)オーディオシーケンス、(2)ビデオシーケンス、及び(3)オーディオ及びビデオシーケンスのうちの1つの記録データに関する製作情報を受け取ってタギングするように構成されたプロセッサと、
を備え、前記製作情報に、前記タイムコードジェネレータから取得したタイミング情報がタギングされ、
前記製作情報を表示するように構成されたディスプレイと、
前記プロセッサに結合された拍子木と、
前記タギングした製作情報を記録してこれを前記対応する記録データに関連付けるように構成されたレコーダと、
をさらに備え、
前記拍子木を使用して前記記録を開始する、
ことを特徴とするスレート。
【請求項14】
前記スレートが逆さまに保持されて、前記製作情報がショットの最後に関して記録されていることを示す場合にテールフラグを記録するためのポジションセンサをさらに備える、
ことを特徴とする請求項13に記載のスレート。
【請求項15】
前記拍子木をクラップして前記記録ステップを開始した場合、前記ディスプレイが前記タイミング情報の色を反転させて表示する、
ことを特徴とする請求項14に記載のスレート。
【請求項16】
映画、ビデオ、又はテレビ製作のためのコンピュータファイルを記憶するコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータファイルが、コンピュータに、
(1)オーディオシーケンス、(2)ビデオシーケンス、及び(3)オーディオ及びビデオシーケンスのうちの1つの記録データに関する製作情報を生成させ、
前記生成した製作情報にタイミング情報をタギングさせ、
前記生成した製作情報をディスプレイ上に表示させ、
前記タギングした製作情報を記録させる実行可能XML命令を含み、
前記記録がスレートの拍子木を使用して開始され、
前記コンピュータファイルが、コンピュータに、
前記タギングした製作情報を前記対応する記録データに関連付けさせる実行可能XML命令をさらに含む、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記関連付けられる製作情報が、前記記録データにメタデータとして添付される、
ことを特徴とする請求項16に記載の記憶媒体。
【請求項18】
前記メタデータが、前記タイミング情報により参照される製作時間内の特定の時点で前記記録データに組み込まれる、
ことを特徴とする請求項17に記載の記憶媒体。
【請求項19】
前記メタデータが、前記記録データに追加データとして組み込まれる、
ことを特徴とする請求項17に記載の記憶媒体。
【請求項20】
前記メタデータが、前記記録データにウォーターマークとして挿入される、
ことを特徴とする請求項17に記載の記憶媒体。
【請求項21】
前記映画、ビデオ、又はテレビによる画像及び音声の取得が終了した後に、前記生成された製作情報が前記記録データに関連付けられる、
ことを特徴とする請求項16に記載の記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−517173(P2011−517173A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550876(P2010−550876)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/037011
【国際公開番号】WO2009/114723
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.フロッピー
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(596102126)ソニー ピクチャーズ エンターテインメント インコーポレイテッド (46)
【Fターム(参考)】