説明

高性能代謝細菌

本発明は、新規なストレス耐性細菌およびその使用に関する。さらに具体的には、本発明は、様々な培養条件で有機酸またはアルコールを生産するための有利な性質を有する単離されたストレス耐性細菌に関する。本発明は、また、該細菌を使用して特にバイオマスから有機酸またはアルコールを生産する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な細菌およびその使用に関する。さらに具体的には、本発明は、多様な培養条件で有機酸またはアルコールを生産するための有利な性質を有する、単離されたストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌に関する。本発明は、また、該細菌を使用して特にバイオマスから有機酸またはアルコールを生産する方法に関する。
【0002】
緒言
自己のゲノムがストレスによって破壊されたときにそれを再度組立てる能力を有する、Deinococcus細菌などの細菌が文献に報告されている。Deinococcusは、Andersonおよび共同研究者らによって1956年に単離されたグラム陽性細菌である。この好極限性生物は、UVおよび電離放射線によるDNA損傷または架橋剤(マイトマイシンC)によるDNA損傷に耐性であって、乾燥に抵抗力がある。
【0003】
国際公開公報第01/023526号は、放射線に対するDeinococcusの珍しい耐性を示しており、さらにそれらの操作およびバイオレメディエーションにおける使用を提案している。現在未公開の特許出願PCT/EP2008/065613は、Deinococcus細菌が溶媒に耐性を有し、バイオマスを変換し、エタノールを生成できることを示している。
【0004】
他のストレス耐性細菌、ならびにそれらを単離および/または選択するための方法、ならびにそれらが抗生物質などの代謝物を生産できることが、現在未公開の特許出願EP 09 305041.7に開示されている。
【0005】
本発明は、有機酸またはアルコールを生産するための注目すべき性質を有する、新規なストレス耐性細菌の単離および特徴づけに起因する。さらに具体的には、本発明は、多様な炭素源を利用して工業的に高い関心が持たれる有機酸またはアルコールを生産することができる新規なストレス耐性細菌の単離を開示する。本発明は、本発明者らによって単離された、顕著に広いスペクトルの炭素源を利用することができ、かつ/または有機酸もしくはアルコール、特にエタノールを予想外に生成できる株を開示する。本発明は、特に有機酸またはアルコールを生産するためのそのような単離された細菌、およびその使用に関する。
【0006】
発明の概要
本発明の第一の目的は、単離されたストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌であって、好気生活において炭素源としてセルロースを利用して有機酸またはアルコールを生産することができる細菌に関する。好ましい態様では、その細菌は、好熱性(すなわち45℃以上の温度で生存可能)であって、5〜9の間に含まれるpHで生存可能である。
【0007】
本発明の別の目的は、単離されたストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌であって、好熱性で、5〜9の間に含まれるpHで生存可能であり、少なくとも2g/Lの乳酸を生産する細菌である。
【0008】
本発明のさらなる目的は、単離されたストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌であって、好熱性で、5〜9の間に含まれるpHで生存可能であり、少なくとも0.05g/Lのコハク酸を生産する細菌にある。
【0009】
本発明の別の目的は、単離されたストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌であって、好熱性で、5〜9の間に含まれるpHで生存可能であり、少なくとも0.25g/Lの酢酸を生産する細菌である。
【0010】
本発明の最も好ましい細菌は、少なくとも0.004%、最も好ましくは少なくとも0.04%のエタノールを生産する。
【0011】
本発明は、また、単離されたストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌であって、炭素源の存在下で、さらに好ましくは炭素源としてセルロースの存在下で好気生活において培養したときに0.04%よりも多いエタノールを生産する細菌に関する。
【0012】
さらなる局面では、本発明は、上記と同義の単離されたストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌であって、炭素源として追加的な基質、特にグルコース、デンプンおよびスクロースをさらに利用することができる細菌に関する。
【0013】
本発明の好ましい細菌は、また、炭素源としてカルボキシメチルセルロース、セロビオース、ヘミセルロースおよびキシロースも利用することができる。
【0014】
本発明は、実際に、炭素源として非常に大きなスペクトルの基質を利用する顕著な能力を有するストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌の単離を開示する。本発明の特定の細菌は、例えばD. radiodurans、D. geothermalis、D murrayi、D. cellulosilyticusまたはD. desertiより選択されうるDeinococcus細菌である。そのような細菌の具体例には、2009年5月7日にCNCM(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes - Institut Pasteur - Paris)にCNCM I−4155の番号で寄託されたDeinococcus M11−9D株、2009年5月7日にCNCMにCNCM I−4156の番号で寄託されたDeinococcus strain MC2−2A株、および2009年5月7日にCNCMにCNCM I−4157の番号で寄託されたDeinococcus M13−1A株、または該細菌の派生株、突然変異体、トランスフォーマントもしくは子孫が挙げられる。
【0015】
本発明のさらなる目的は、有機酸またはアルコール、特にエタノールを生産する方法であって、適切な炭素源の存在下で上記開示の細菌を培養すること、およびその有機酸またはアルコールを収集することを含む方法である。
【0016】
本発明のさらなる目的は、バイオアルコール、好ましくはエタノールを生産するための、上記と同義の細菌の使用にある。
【0017】
本発明は、また、上記開示の細菌を含む培養装置または発酵槽に関する。
【0018】
発明の詳細な説明
本発明は、有機酸またはアルコールを生産するためのストレス耐性細菌およびその使用に関する。
【0019】
本発明の文脈内で「ストレス耐性細菌」という用語は、具体的には自己のゲノムがストレスによって破壊されたときにそれを全体または部分的に再度組立てる能力を有する細菌を意味する。そのストレスは、任意の細胞破壊性DNA損傷処理、すなわちE. coli細菌培養物に90%以上の細胞死を引き起こすために十分な処理でありうる。なおいっそう好ましくは、細胞破壊性DNA損傷処理は、E. coli培養物中の細菌力価を少なくとも2logだけ減少させるために十分な処理である。そのような処理の例には、照射、好ましくは反復および連続UV照射、ならびに/または遺伝毒性剤の使用が挙げられる。好ましいストレス処理は、0.5〜400mJ/cm2の間、さらに好ましくは1〜200mJ/cm2の間、典型的には1〜100mJ/cm2の間で約5秒〜5分間適用されたUV処理である。好ましいUV処理は、4mJ/cm2を30秒間であるが、それを1〜8時間、好ましくは3〜5時間、より好ましくは約4時間の間隔で繰り返してもよい。本発明による特定の細胞ストレス処理は、未公開の特許出願EP09 305041.7に記載されており、参照により本明細書に組み入れられる。
【0020】
本発明による細胞ストレス耐性細菌には、より具体的にはDeinococcus細菌、Tepidimonas細菌、Truepera細菌、Porphyrobacter細菌、Novosphingobium細菌またはExiguobacteria細菌が挙げられる。本発明の好ましい細菌は、Deinococcus細菌、特に好極限性Deinococcus細菌、より好ましくはD. radiodurans、D. geothermalis、D. murrayi、D. cellulosilyticusまたはD. desertiより選択されるDeinococcus細菌である。
【0021】
Deinococcus細菌は、自己のゲノムがストレスによって破壊されたときにそれを全体または部分的に再度組立てる能力を有することが示された。上記のように、これらの細菌、特にD. radioduransが、バイオレメディエーションのために提案されている。Deinococcus細菌がバイオマスからバイオエネルギー産物を生産できることは、現在未公開のPCT/EP2008/065613に開示されている。本発明は、今回、高性能ストレス耐性細菌の同定および特徴づけに起因する。さらに具体的には、本発明は、本発明者らによって環境試料から単離された、単離されたストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌であって、有機酸またはアルコールを生産するための改善された性能を、特に炭素源の利用および/または生産レベルに関して有する細菌を提供する。
【0022】
本発明の文脈内で、有機酸という用語は、さらに好ましくは、ギ酸、酢酸、乳酸、酪酸、グルコン酸、クエン酸、コハク酸、プロピオン酸、フマル酸、リンゴ酸、ピルビン酸、イタコン酸およびコウジ酸より選択される有機酸を意味する。より好ましくは、本発明の単離された細菌は、少なくとも1種、より好ましくは少なくとも2種の上記有機酸を生産する。本発明の最も好ましい細菌は、ピルビン酸、乳酸、コハク酸、酢酸、ギ酸および/またはリンゴ酸を生産する。
【0023】
この点で、本発明の好ましい細菌は、少なくとも0.1g/Lの乳酸、より好ましくは少なくとも0.5g/L、なおいっそう好ましくは少なくとも0.8g/L、もっとも好ましくは少なくとも2g/Lの乳酸を生産するストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌である。
【0024】
本発明の別の好ましい細菌は、少なくとも0.05g/Lのコハク酸を生産するストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌である。
【0025】
本発明の別の好ましい細菌は、少なくとも0.25g/Lの酢酸を生産するストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌である。
【0026】
本発明の別の好ましい細菌は、ギ酸またはリンゴ酸を生産するストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌である。
【0027】
本発明の文脈内で、アルコールという用語は、より好ましくはエタノール、ブタノール、プロパノール、メタノール、イソプロパノール、プロパンジオール、グリセロール、または2,3−ブタンジオール、好ましくはエタノールを意味する。
【0028】
この点で、本発明の好ましい細菌は、少なくとも0.004%、より好ましくは少なくとも0.015%、最も好ましくは少なくとも0.04%のエタノールを生産するストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌である。%のエタノールは、培地1gあたりのエタノールのg数を意味する(すなわち、典型的には1%のエタノール=1gエタノール/100g培地=10gエタノール/L)。
【0029】
実験の部に開示するように、多様な工業分野において特に有用な、その種の性質を有するストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌が今回単離された。なおいっそう興味深いことに、その細菌は、上記生産能力に加えて、以下:
− 好極限性である、
− 4〜9の間に含まれるpHで生存可能である、
− 2%のエタノールの存在下で生存可能である、
− 好気生活もしくは嫌気生活で成長することができる、および/または
− 炭素源としてセルロースもしくはその誘導体を利用することができる
の性質の一つまたは複数を示す。
【0030】
この最後の性質は、特に有利で予想外である。実際に、唯一の炭素源としてのセルロース(またはその誘導体)の使用は、少なくとも1種のセロビアーゼおよび1種のグルカナーゼを含む効率的な酵素系を必要とし、本発明の細菌が多様な工業条件下で成長できることを例示している。
【0031】
セルロース誘導体の例には、例えば、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルメチルセルロース、粉末セルロースおよびセルロースワッディングが挙げられる。そのようなセルロースまたは誘導体の市販の入手源には、例えばWhatman紙、Avicelle(微結晶セルロース)またはSolka Floc(粉末セルロース)が挙げられる。
【0032】
この細菌がセルロースを利用できることは、例えばその細菌がWhatman紙の上で成長する予想外の能力によって例示される。この紙は、セルロースまたはその誘導体を含み、炭素源としてのその使用および完全な分解は、エキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼおよびセロビアーゼを含む効率的な酵素複合体を必要とする。
【0033】
結果として、炭素源としてセルロースまたはWhatman紙を利用できる本発明の細菌は、バイオマスを含めた多種多様な基質で非常に効率的に成長し、かつ/または形質転換することができると予想される。この点で、注目すべきは、200株の被験Deinococcus新規単離株のうち、5株がWhatman紙を完全に分解する能力を示したことに留意する。
【0034】
したがって、本発明の株は、代謝物の生産のための顕著な性質を示すばかりでなく、炭素源として特定の基質で成長し、それを利用することもできるが、このことは、その株を工業的使用に特に有利にする。
【0035】
本発明の目的は、単離されたストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌であって、好気生活で炭素源としてセルロースを利用して有機酸またはアルコールを生産することのできる細菌に関する。本発明の好ましい細菌は、少なくとも1種のセロビアーゼおよびグルカナーゼを含む効率的な酵素系を含有し、セルロース(例えばWhatman紙)を好ましくは完全に分解することができる。
【0036】
そのうえ、本発明の好ましい細菌は、炭素源として追加的な基質、特にグルコース、デンプンおよびスクロースをさらに利用することができる。本発明の好ましい細菌は、また、炭素源としてカルボキシメチルセルロース、セロビオース、ヘミセルロースおよびキシロースを利用することができる。
【0037】
本発明の別の目的は、単離されたストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌であって、好熱性で、5〜9の間に含まれるpHで生存可能で、少なくとも2g/Lの乳酸を生産する細菌である。
【0038】
本発明の別の目的は、単離されたストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌であって、好熱性で、5〜9の間に含まれるpHで生存可能で、少なくとも0.05g/Lのコハク酸を生産する細菌である。
【0039】
本発明の別の目的は、単離されたストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌であって、好熱性で、5〜9の間に含まれるpHで生存可能で、少なくとも0.25g/Lの酢酸を生産する細菌である。
【0040】
本発明の別の目的は、単離されたストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌であって、好熱性で、5〜9の間に含まれるpHで生存可能で、少なくとも0.004%のエタノール、好ましくは少なくとも0.04%のエタノールを生産する細菌である。
【0041】
上述のように、本発明の好ましい細菌は、有利には炭素源としてセルロースを利用する。加えてそれらは、グルコース、デンプンおよびスクロース、カルボキシメチルセルロース、セロビオース、ヘミセルロースおよびキシロースなどの他の基質を利用する。
【0042】
その細菌は、任意の適切な培地および装置中で培養および/または維持することができる。そのような培地の例には、実施例に開示されたような複合グルコース培地または限定培地が挙げられる。適切な培地は、市販もされている。
【0043】
本発明の細菌の具体例は、2009年5月7日にCNCMにCNCM I−4155の番号で寄託されたDeinococcus M11−9D株、2009年5月7日にCNCMにCNCM I−4156の番号で寄託されたDeinococcus MC2−2A株、および2009年5月7日にCNCMにCNCM I−4157の番号で寄託されたDeinococcus M13−1A株、または該細菌の派生株、突然変異体、トランスフォーマントもしくは子孫である。
【0044】
実施例に開示されたようなこれらの寄託株は、全て好熱性で、5〜9の間に含まれるpHで成長することができ、かつ/または炭素源としてセルロース(Whatman紙で例示される)を利用することができる。
【0045】
MC2−2Aは、CMC、セロビオース、キシランまたはキシロースなどの広スペクトルの基質を利用して有益な有機酸を生産する顕著な能力を有する。
【0046】
M13−1Aは、唯一の炭素源としてWhatman紙の存在下で培養した場合に、実質的なレベルのエタノールを生産する予想外の能力を有する。
【0047】
M119−Dは、Deinococcus細菌として前例のない、2.5g/Lよりも多い乳酸を生産する顕著な能力を有する。
【0048】
したがって、本発明のこれらの細菌は、基質利用および/または代謝物生産に関して、特に工業目的に有用な、顕著な性質の組み合わせを示す。
【0049】
本発明の教示を用いて、そして例えば実験の部に記載されたような実験手順に従って、本発明による性質を有するDeinococcus細菌などのさらなるストレス耐性細菌を選択または単離してもよいことを了解すべきである。特に本発明者らは、ある種のストレス耐性細菌がWhatman紙上で成長できることを実証したので、技術者は、実験の部に提供されたプロトコールに従ってそのような性質を有する他の株を単離することができる。
【0050】
この点で、本発明のさらなる目的は、ストレス耐性細菌、特にDeinococcus細菌を単離する方法であって、以下:
− 潜在的に細菌を含有する試料を提供すること、
− 該試料をDNA切断処理に供すること、
− 該試料をセルロースまたはその誘導体(例えばwhatman紙)の存在下で培養すること、および
− 該培養物から成長または生存中の細菌を単離すること
を含む方法である。
【0051】
この方法に従って、本発明者らは、上記の優れた特徴を併せ持つ追加的な株を単離した。特に、5〜9の間に含まれるpHで成長して0.3g/Lよりも多い乳酸を生産することができる好熱性Deinoccocus株が単離されたが、これは、上記方法の有用性を示している。
【0052】
上記方法に従って、本発明者らは、また、5〜9の間に含まれるpHで成長し、セルロースを用いた培養でエタノールを生産することのできる、追加的な好熱性Deinoccocus株を単離することができた。その種の細菌の例には:
− 炭素源としてのセルロースの存在下で0.041%のエタノールを生産するDeinoccocus M11 12B;
− 炭素源としてのセルロースの存在下で0.021%のエタノールを生産するDeinoccocus M14 6C;および
− 炭素源としてのセルロースの存在下で0.016%のエタノールを生産するDeinoccocus M13 8D
が挙げられる。
【0053】
したがって本発明は、炭素源としてセルロースを使用する能力を有するいくつかのDeinococcus細菌を開示する。本発明は、その種の細菌がストレスの多い培養条件下でセルロースを使用してエタノールを生産することができることを開示する。
【0054】
本発明のさらなる目的は、上記と同義の細菌の抽出物である。「細菌の抽出物」は、細胞上清、細胞破片、細胞壁、DNA抽出物、酵素もしくは酵素調製物などの、細菌から入手される任意の画分、または化学、物理および/もしくは酵素処理により細菌から得られる、本質的に生きた細菌を有さない任意の調製物を意味する。
【0055】
本発明は、また、上記細菌の派生株、トランスフォーマント、突然変異体または子孫に関する。トランスフォーマントという用語は、リコンビナント核酸(すなわち該細菌に自然には存在しない核酸または変更もしくは複製された核酸)を含有する株を意味する。突然変異体という用語は、突然変異誘発処理に起因する株を意味する。派生株は、本発明の株から例えばセレクションによって得られた任意の株であって、列挙された炭素源を利用して有機酸またはアルコールを生産する能力を保持する株を意味する。
【0056】
本発明のさらなる目的は、有機酸またはアルコールを生産するための、上記と同義の細菌の使用に関する。
【0057】
本発明のさらなる目的は、バイオアルコール、好ましくはエタノールを生産するための、上記と同義の細菌の使用に関する。
【0058】
本発明は、また、アルコール、好ましくはエタノールを生産する方法であって、適切な基質の存在下で上記と同義の細菌を培養すること、およびそのアルコールを収集することを含む方法に関する。
【0059】
基質は、任意の培地または様々な種類のバイオマスまたはそれ由来の産物でありうる。特に、該酸およびアルコールは、再生可能な資源、特に植物性もしくは動物性バイオマスから、または都市ゴミおよび産業廃棄物から生産することができる。本発明の文脈内で「バイオマス」という用語は、工業生産のために使用することのできる、生存した生物学的材料および死滅した生物学的材料を表す。最も一般的には、バイオマスは、例えば植物性材料、動物性材料、生分解性廃棄物を表す。バイオマスは、ススキ、スイッチグラス、アサ、サトウダイコン、コムギ、トウモロコシ、ポプラ、ヤナギ、モロコシ、サトウキビを含めた多種類の植物、およびユーカリノキからアブラヤシに及ぶ多種の樹木から得ることができる。本発明によるバイオマスは、原料バイオマスおよび/または二次バイオマスを含む可能性がある。原料バイオマスは、生物学的材料からの未処理の材料である。例には、材木または紙生産に適さない成熟樹木などの林業産物、草、作物および厩肥などの農業産物、ならびに藻類および海草などの水性産物が挙げられる。二次バイオマスは、最初は原料バイオマスから得られた、顕著な化学的変化および物理的変化を受けた任意の材料である。例には、紙製品、皮革製品、綿製品、麻製品、天然ゴム製品、食品加工副産物、および使用済み植物油が挙げられる。
【0060】
本発明の特定の目的は、バイオアルコールを生産するための方法であって、本発明の細菌またはその抽出物にバイオマスを曝露することおよび場合によりそのバイオアルコールを収集することを含む方法に関する。
【0061】
バイオアルコールは、好ましくはエタノールである。
【0062】
本発明の方法は、変換リアクター中で行うことができる。「リアクター」によって、従来の発酵タンク、または本発明を実施するために特別に設計され、したがって特にバイオリアクター、バイオフィルター、回転式生物学的コンタクター、ならびに他の気相および/もしくは液相バイオリアクターにある、バイオマス変換のための任意の装置もしくはシステム、特にバイオマスもしくはバイオマス誘導体の処理に適したものが意味される。本発明により使用することのできる装置は、連続的にまたはバッチ式ロードにより使用することができる。
【0063】
本発明の方法を実施するために、リアクター中に本発明の少なくとも一つの細菌、またはその細菌抽出物が使用されるが、該リアクターは、該細菌が検討中のアプリケーションで動作可能なように、そして場合により細菌の成長が可能であり、好ましくはその中で促進されるように、その中で物理化学的条件が設定および維持されるようにアレンジおよび供給される。
【0064】
基質および細菌に応じて、工程は、好気生活、嫌気生活または微好気生活下で行うことができる。
【0065】
本発明のさらなる局面および利点を、以下の実施例に開示するが、それらの実施例は、例示として見なすべきであり、本出願の範囲を限定するものではない。
【0066】
実施例
ストレス耐性細菌は、環境試料から単離された。特定の炭素源を利用し、関心が持たれる代謝物を生産する予想外の能力を有する細菌が同定され、特徴づけられた。その種の株の例がCNCMに寄託されている。これらの細菌の選択プロトコールおよび主特性は、この実験の部に開示されている。
【0067】
実施例1.成長のためのpH範囲
材料および方法
本方法は、微生物がある範囲のpHで成長できることを評価することを可能にする。
【0068】
試験は、45℃で行うものとする(好熱株)。
【0069】
複合培地グルコースに入れて調製した前培養物(定常期)を遠心分離し、次に滅菌した浸透水(osmosed water)で3回洗浄する。
【0070】
洗浄した培養物を用いて、200μLのPGY培地に植菌する(5%の接種)。96ウェルマイクロプレート中で試験を行う。
【0071】
PGYは、10g/Lペプトン、5g/L酵母エキス、1g/Lグルコースを含有する。
【0072】
pHは、pHメーターを使用してHCl 1MまたはNaOH 1Mで調整(master)する。
【0073】
pH調整した培地を濾過する(0.2μm)。
【0074】
好気生活において培養を行う。
【0075】
マイクロプレートを撹拌しながらインキュベーター中に45℃で放置する。
【0076】
効果的な成長の結果は、7および14日目の読み取り後に決定する。読み取りは、裸眼で陽性対照および陰性対照と比較しながら行う。
【0077】
結果:
単離されたDeinococcus株は、pHが5〜9の間の培地中で成長することができる。
【0078】
【表1】

【0079】
実施例2 − 炭素源の利用性
材料および方法
この方法は、微生物が、関心が持たれる炭素源(グルコース、スクロース、デンプン、Whatman紙、CMC、セロビオース、ヘミセルロース、キシロース)を利用できることの評価および成長のためのpH範囲を試験することを可能にする。
【0080】
試験は、45℃(好熱株)で行うものとする。
【0081】
複合培地グルコースに入れて調製した前培養物(定常期)を遠心分離し、次に滅菌した浸透水で3回洗浄する。
【0082】
洗浄した培養物を用いて、200μLの限定培地に接種する(接種量5%)。96ウェルマイクロプレートで試験を行う。
【0083】
限定培地は、オートクレーブ(120℃で15分間)した浸透水で調製する。オートクレーブした浸透水に以下の溶液を添加する:MOPS緩衝溶液(10×)pH7[酸MOPS 400mM、NHCl 200mM、NaOH 100mM 、KOH 100mM 、CaCl 5μM、NaSO 2.76mM、MgCl 5.28mM];微量栄養素(10000×)[(NH(Mo)24 300mM、HBO 4mM、CoCl 0.3mM、CuSO 0.1mM、MnCl 2.5mM、ZnSO 0.1mM];FeCl(100×) 2mM(CNa 20mMに溶かしたもの);KHPO 1g/L。溶液を濾過滅菌する(0.2μm)。
− 炭素源:10g/L(デンプン5g/Lおよびヘミセルロース5g/L以外)
− 培養は好気生活において行う。
− マイクロプレートを撹拌しながらインキュベーター中に45℃で放置する。
− 7および14日目の読み取り後に有効な成長の結果を決定する。読み取りは、裸眼で陽性対照および陰性対照と比較しながら行う。
【0084】
結果
結果は、株が唯一の炭素源としてグルコース、スクロース、デンプン、Whatman紙、CMC、セロビオース、ヘミセルロースを使用できることを示している。これらの株は、特に第二世代のエタノール生産に有用である。特に表2に示される結果は、MC2−2A株が炭素源としてグルコース、スクロース、デンプン、Whatman紙、CMC、セロビオース、およびヘミセルロースを利用できることを示している。
【0085】
【表2】

【0086】
本発明者らによって単離された、5から9の間に含まれるpHで成長してセルロースを分解することができる好熱性Deinoccocus株のさらなる例には、Deinoccocus M11 12B、Deinoccocus M14 6C;およびDeinoccocus M13 8Dが挙げられる。
【0087】
実施例3. 代謝物の生産 − 複合培地グルコース
材料および方法
この方法は、微生物が、複合培地グルコースから関心が持たれる代謝物を生産できることを評価できるようにする。
【0088】
試験は、45℃(好熱株)で実施する。
【0089】
複合培地グルコースに入れて調製した前培養物(定常期)から6mlの強化培地に接種する(接種量1%v/v)。
【0090】
被験強化培地は、複合培地グルコース、限定培地Whatman紙である。
【0091】
複合培地グルコースは、浸透水に溶かしたペプトン2g/L、酵母エキス5g/Lおよびグルコース10g/Lを含有する。溶液をオートクレーブ(15分間、120℃)により滅菌する。この溶液に以下の溶液を添加する:MOPS緩衝液(10×)pH7[酸MOPS 400mM 、NHCl 200mM 、NaOH 100mM 、KOH 100mM 、CaCl 5μM、NaSO 2.76mM、MgCl 5.28mM];微量栄養素(10000×)[(NH(Mo)24 300mM、HBO 4mM、CoCl 0.3mM、CuSO 0.1mM、MnCl 2.5mM、ZnSO 0.1mM];FeCl(100×)2mM(CNa 20mMに溶かす);KHPO 1g/L。溶液を濾過滅菌する(0.2μm)。
【0092】
培養を好気生活および嫌気生活(Biomerieux、Genbag)の両方において行う。
【0093】
好気生活条件での培養物を撹拌しながらインキュベーター中に45℃で7日間放置する。次に、培養物を4000rpmで10分間遠心分離する。上清を濾過(0.2μm)し、他のチューブに注ぎ、−80℃で保存する。
【0094】
嫌気生活条件での培養物をインキュベーター中に45℃で4週間放置する。次に、培養物を4000rpmで10分間遠心分離する。上清を濾過(0.2μm)し、他のチューブに注ぎ、−80℃で保存する。
【0095】
ガスクロマトグラフィーFID分析(Varian CP-WAX 57 CB 25m×0.32mmカラム)を用いてアルコールを定量した。有機酸は、キャピラリー電気泳動(5mM 2,6−ピリジンジカルボン酸、0.5mMセチルトリメチルアンモニウムブロミド;pH5.6に調整した緩衝液/長さ61cm、直径50μmのキャピラリー、Agilent)によって定量した。残留グルコースは、屈折計と連結されたHPLC(Phenomenex LUNA 3u NH2 100A 150×4.6mmカラム、ACN/HO(85:15)移動相)によって定量した。
【0096】
結果
好気生活および嫌気生活において複合培地グルコースを利用できる株を同定した。これは、関心のエタノールおよび酸の生産へと導く。
【0097】
【表3】

【0098】
実施例4 − 代謝物の生産 − 限定培地Whatman紙
この方法は、微生物が、Whatman紙の利用から関心が持たれる代謝物を生産できることを評価できるようにする。
【0099】
試験は、45℃(好熱株)で実施する。
【0100】
複合培地グルコースに入れて調製した前培養物(定常期)を遠心分離し、次に滅菌した浸透水で3回洗浄する。
【0101】
洗浄された培養物を用いて20mLの限定培地Whatman紙に接種する。
【0102】
限定培地Whatman紙:
− 限定培地は、オートクレーブ(120℃で15分間)した浸透水で調製する。オートクレーブした浸透水に以下の溶液を添加する:MOPS緩衝液(10×)pH7[酸MOPS 400mM 、NHCl 200mM 、NaOH 100mM 、KOH 100mM、CaCl 5μM、NaSO 2.76mM、MgCl 5.28mM];微量栄養素(10000×)[(NH(Mo)24 300mM、HBO 4mM、CoCl 0.3mM、CuSO 0.1mM、MnCl 2.5mM、ZnSO 0.1mM];FeCl(100×)2mM(CNa 20mMに溶かす);KHPO 1g/L。溶液を濾過滅菌する(0.2μm)。
− 炭素源:Whatman濾紙No.1、90mmディスク1枚をオートクレーブ(120℃で15分間)し、限定培地に添加。
− 培養は好気生活で行う。
− 好気生活条件での培養物を撹拌しながらインキュベーター中に45℃で6週間放置する。次に、培養物を4000rpmで10分間遠心分離する。上清を濾過し(0.2μm)、他のチューブに注ぎ、−80℃で保存する。ガスクロマトグラフィーFID分析(Varian CP-WAX 57 CB 25m×0.32mmカラム)を用いてアルコールを定量した。有機酸は、キャピラリー電気泳動(5mM 2,6−ピリジンジカルボン酸、0.5mMセチルトリメチルアンモニウムブロミド;pH5.6に調整した緩衝液/長さ61cm、直径50μmのキャピラリー、Agilent)によって定量した。残留グルコースは、屈折計と連結されたHPLC(Phenomenex LUNA 3u NH2 100A 150×4.6mmカラム、ACN/HO(85:15)移動相)によって定量した。
【0103】
結果
好極限性条件下で唯一の炭素源としてWhatman紙を利用できる株を同定した。この分解は、関心の代謝物生産へと導く。
【0104】
【表4】

【0105】
実施例5 − 溶媒の殺菌性
本発明の細菌の溶媒曝露への耐性を試験した。この方法は、エタノールに対する微生物の感受性を評価できるようにする。この試験は、45℃で実施する(好熱性株)。エタノールの殺菌性は:
− T0、
− 対数増殖期、
− 定常期
にエタノールを添加して決定する。
【0106】
T0でのエタノール殺菌性について、0〜10%の間のパーセンテージのエタノールを試験する。
【0107】
被験エタノール含量毎に、強化培地中の定常期の前培養物から200μlの複合培地グルコースに1%v/vで接種する。
【0108】
複合培地グルコースは、浸透水に溶かしたペプトン2g/L、酵母エキス5g/Lおよびグルコース10g/Lを含有する。溶液はオートクレーブ(120℃、15分間)によって滅菌する。この溶液に以下の溶液を添加する:MOPS緩衝液(10×)pH7[酸MOPS 400mM、NHCl 200mM、NaOH 100mM、KOH 100mM、CaCl 5μM、NaSO 2.76mM、MgCl 5.28mM];微量栄養素(10000×)[(NH(Mo)24 300mM、HBO 4mM、CoCl 0.3mM、CuSO 0.1mM、MnCl 2.5mM、ZnSO 0.1mM];FeCl(100×)2mM(CNa 20mMに溶かす);KHPO 1g/L。溶液を濾過滅菌する(0.2μm)。
【0109】
試験は、96ウェルマイクロプレートに入れて好気生活において行う。滅菌不透過性フィルムを使用してエタノールの蒸発を避ける。
【0110】
結果の読み取りは、肉眼で行う。
【0111】
結果:
本発明者らが細菌生存率の減少があると見なす溶媒濃度は、本発明者らが完全成長阻害を観察するときの最低溶媒濃度に対応する。
【0112】
被験株は、工業的応用の観点から発酵槽中で溶媒に十分な耐性を示す(表5参照)。
【0113】
対数増殖期および定常期の試験でのエタノールの殺菌性:
被験エタノール含量毎に、強化培地中の定常期の前培養物から5mLの複合培地グルコースに1%v/vで接種する。
【0114】
複合培地グルコースは、浸透水に溶かしたペプトン2g/L、酵母エキス5g/Lおよびグルコース10g/Lを含有する。溶液をオートクレーブ(120℃、15分間)によって滅菌する。この溶液に以下の溶液を添加する:MOPS緩衝液(10×)pH7[酸MOPS 400mM、NHCl 200mM、NaOH 100mM、KOH 100mM、CaCl 5μM、NaSO 2.76mM、MgCl 5.28mM];微量栄養素(10000×)[(NH(Mo)24 300mM、HBO 4mM、CoCl 0.3mM、CuSO 0.1mM、MnCl 2.5mM、ZnSO 0.1mM];FeCl(100×)2mM(CNa 20mMに溶かす);KHPO 1g/L。溶液は濾過滅菌する(0.2μm)。
【0115】
成長の経過観察は、対照培養物(対数増殖期にも定常期にもエタノールを添加しない)を用いて実施する。ODは、分光光度計(UV Light XS5、SECOMAM)を用いて600nmで読み取る。
【0116】
対数増殖期(600nmでの吸光度0.5)または定常期(プラトー)に達したら、溶媒を添加する。被験含量は0〜20%である。次に、培養物を2時間インキュベーションする。
【0117】
インキュベーション時間の終わりに、被験エタノール含量毎に株に及ぼすエタノールの影響を評定するために計数する。
【0118】
計数:インキュベーションの終わりに、溶媒中の濃度毎に20μLの培養液を別のマイクロプレートに移し、段階的に希釈する(9個のウェルにわたり1/10希釈)。希釈用の培地は強化培地である。各希釈液の5μLをPGY寒天培地に三つ組で接種する。ペプトン5g/L、酵母エキス2.5g/L、グルコース0.5g/L、寒天14g/L:120℃で20分間オートクレーブすることにより培地を滅菌する。成長が許せば、被験溶媒のパーセンテージ毎に計数を実施し、有機溶媒が株に及ぼす影響を評価する。
【0119】
結果:
本発明者らが細菌生存率の減少があると見なす溶媒濃度は、本発明者らが対照に比べて1logの減少を観察するときの最少溶媒濃度に対応する。
【0120】
被験株は、工業的応用の観点から発酵槽中で溶媒に優れた耐性を示す(表5参照)。
【0121】
【表5】

【0122】
CNCMへの寄託
Deinococcus細菌MC2−2A、M13 1AおよびM11 9Dは、ブダペスト条約に基づきCNCMに寄託された。
【0123】
M11−9Dは、2009年5月7日にCNCMにCNCM I−4155の番号で、Deinococcus MC2−2A株は、2009年5月7日にCNCMにCNCM I−4156の番号で、Deinococcus M13−1A株は、2009年5月7日にCNCMにCNCM I−4157の番号で寄託された。専門家の解決(expert solution)が要求された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
好気生活で炭素源としてセルロースを利用して有機酸またはアルコールを生産することができる、単離されたストレス耐性細菌、特にデイノコッカス(Deinococcus)細菌。
【請求項2】
ギ酸、酢酸、乳酸、酪酸、グルコン酸、クエン酸、コハク酸、プロピオン酸、フマル酸、リンゴ酸、ピルビン酸、イタコン酸およびコウジ酸より選択される有機酸を生産する、請求項1記載の細菌。
【請求項3】
好気生活で炭素源としてセルロースを利用して0.04%よりも多いエタノールを生産することができる、請求項1記載の細菌。
【請求項4】
好熱性であって、5〜9の間に含まれるpHで生存可能である、請求項1〜3のいずれか一項記載の細菌。
【請求項5】
好熱性であって、5〜9の間に含まれるpHで生存可能であって、少なくとも2g/Lの乳酸を生産する、単離されたストレス耐性細菌、特にデイノコッカス細菌。
【請求項6】
好熱性であって、5〜9の間に含まれるpHで生存可能であって、少なくとも0.05g/Lのコハク酸を生産する、単離されたストレス耐性細菌、特にデイノコッカス細菌。
【請求項7】
好熱性であって、5〜9の間に含まれるpHで生存可能であって、少なくとも0.25g/Lの酢酸を生産する、単離されたストレス耐性細菌、特にデイノコッカス細菌。
【請求項8】
好熱性であって、5〜9の間に含まれるpHで生存可能であって、少なくとも0.04%のエタノールを生産する、単離されたストレス耐性細菌、特にデイノコッカス細菌。
【請求項9】
ギ酸またはリンゴ酸を生産する、前記請求項のいずれか一項記載の細菌。
【請求項10】
アルコールが、エタノール、ブタノール、プロパノール、メタノール、イソプロパノール、プロパンジオール、グリセロール、および2,3−ブタンジオール、好ましくはエタノールより選択される、請求項1記載の細菌。
【請求項11】
グルコース、デンプンおよび/またはスクロースを炭素源として利用することができる、前記請求項のいずれか一項記載の細菌。
【請求項12】
炭素源としてカルボキシメチルセルロース、セロビオース、ヘミセルロースおよびキシロースをさらに利用することができる、前記請求項のいずれか一項記載の細菌。
【請求項13】
45℃以上の温度で成長する、前記請求項のいずれか一項記載の細菌。
【請求項14】
D.ラジオデュランス(D. radiodurans)、D.ジオサーマリス(D. geothermalis)、D.マーレイ(D murrayi)、D.セルローシリティカス(D. cellulosilyticus)またはD.デザーティ(D. deserti)の株より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の細菌。
【請求項15】
2009年5月7日にCNCMにCNCM I−4155の番号で寄託されたデイノコッカスM11−9D株、2009年5月7日にCNCMにCNCM I−4156の番号で寄託されたデイノコッカスMC2−2A株、および2009年5月7日にCNCMにCNCM I−4157の番号で寄託されたデイノコッカスM13−1A株より選択される細菌、または該細菌の派生株、突然変異体、トランスフォーマントもしくは子孫。
【請求項16】
有機酸またはアルコール、特にエタノールを生産する方法であって、適切な炭素源の存在下で請求項1〜15のいずれか一項記載の細菌またはその抽出物を培養すること、および該有機酸またはアルコールを収集することを含む方法。
【請求項17】
エタノールを生産するための、請求項1〜15のいずれか一項記載の細菌の使用。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか一項記載の細菌を含む培養装置または発酵槽。

【公表番号】特表2012−526538(P2012−526538A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510308(P2012−510308)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056600
【国際公開番号】WO2010/130812
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(511174454)
【氏名又は名称原語表記】DEINOVE
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【出願人】(511275636)ユニヴェルシテ・モンペリエ・アン (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE MONTPELLIER I
【Fターム(参考)】